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農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね(DC)( )

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・目標とする運用成果 ・・・・

投資信託財産の中長期的な成長を目指します

■基準価額、純資産総額

■基準価額の推移グラフ

■資産構成

*ベビーファンドの実質組入比率(純資産総額比)です。

■為替ヘッジ

(原則として行いません) 為替ヘッジ比率 - *為替ヘッジ比率は実質比率です。

■ファンド(分配金再投資)の収益率とリスク(標準偏差)

*ファンド(分配金再投資)の収益率とは、当ファンドの決算時に収益の分配金があった場合に、その分配金で当ファンドを購入(再投資)した場合の収益率です。 *収益率・リスクともに月次収益率より算出。なお設定来は、設定日が属する月の最終営業日を基準としています。 *収益率は期間が1 年以上の場合は年率換算しています。期間が1 年未満のものについては年率換算していません。 ■当資料は、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当資料は、確定拠出年金法第24条および関連政省令に規定されている「運用の方法に係る 情報の提供」に基づき、加入者のみなさまに対して、当商品の内容をご説明するために作成されたものであり、当該投資信託の勧誘を目的とするものではありま せん。■投資信託は、株式など値動きのある証券等(外貨建資産に投資する場合には為替リスクもあります。)に投資しますので、基準価額は変動します。した がって、元本および運用成果が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、投資信託をご購入のお客様に帰属します。投資信託は貯 金(預金)保険制度の対象ではありません。■当資料は、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が信頼できると判断した諸データに基づいて作成しまし たが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、上記の実績・データ等は過去のものであり、今後の成果を保証・約束するものではありません。 基準価額 16,667円 純資産総額 8,727百万円 株式現物比率 88.1% 株式先物比率 2.9% 株式実質組入比率 90.9% 現金等 9.1% 3ヶ月間 6ヶ月間 1年間 3年間 5年間 10年間 設定来 ファンド収益率(分配金再投資) 8.35% 16.68% 46.14% 18.58% ---- ---- 16.08% ファンドリスク(分配金再投資) ---- ---- 14.24% 15.86% ---- ---- 15.15% 業種 ファンドのウェイト 1 資本財 18.2% 2 家庭用品・パーソナル用品 11.7% 3 ソフトウェア・サービス 7.0% 4 素材 6.9% 5 医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス 6.4% 6 メディア・娯楽 6.4% 7 商業・専門サービス 5.7% 8 半導体・半導体製造装置 5.7% 9 食品・飲料・タバコ 4.9% 10 ヘルスケア機器・サービス 4.7%

(組入銘柄数 27 )

銘柄名

ファンドのウェイト

1 THE WALT DISNEY CO.

6.4%

2 TEXAS INSTRUMENTS INC

5.7%

3 VISA INC-CLASS A SHARES

5.4%

4 MCCORMICK & COMPANY

4.9%

5 CLOROX COMPANY

3.9%

*ベビーファンドの実質組入比率(純資産総額比)です。 *ベビーファンドの実質組入比率(純資産総額比)です。

■株式業種配分上位

■株式組入上位5銘柄

8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 0 30 60 90 120 150 17/7 18/6 19/5 20/4 21/3 (億円) (円) 純資産総額(右軸) 設定来基準価額(分配金再投資)

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2021年 1月 レポート対象期間(12/29-1/28)の米国株式指数(米ドル建)は上昇しました。上旬は、新型コロナウィルス変 異種の流行拡大に伴い、英国がロックダウンを強化したこと等が懸念され下落しましたが、その後発表された米国の主要 経済指標が概ね堅調であったこと等が好感され上昇に転じました。中旬は、次期財務長官に指名されているイエレン氏 が、増税方針の見直しや追加経済対策へ意欲的な姿勢を示したこと等が好感され上昇しました。下旬は、FOMCが新 型コロナウィルスの感染拡大を受けて景気認識を下方修正した一方で、追加緩和を発表しなかったこと等が嫌気され下 落しました。かかる環境下、当ファンドの円換算後リターンは▲0.23%(為替要因+0.83%、株価要因▲1.06%)と なりました。 農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)では、投資先のモニタリングや新規投資候補先の調査を目的とした国内 外の投資先・投資候補先への訪問を定期的に行っており、単に財務数値の分析だけではない、企業の事業に関する深 い理解に根差した投資を行っています(国内企業は随時、海外企業についても年間6回、約70社程度の現地訪問を 行っております)。

今回は、農家にとって必要不可欠な財・サービスを提供しているDeere & Company(以下“ディア”もしくは“当 社”)をご紹介します。

ディアは米国のイリノイ州に本拠地を構える世界最大の農機メーカーです。創立は1837年と歴史ある企業であり、長 年米国の農家を支えてきた企業です。NVICでは当社が提供する財の性質や競争優位性に注目し、2015年に投資を 開始しています。以降、実際に現地に足を運んで工場見学なども交えながら定期的な対話の機会を設け、当社への理 解を深めています。

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1. 産業付加価値 当社は、農作業という極めて季節性の高い労務に財を提供しています。農家の方々は、おいしい作物を最終消費者 に届けるために、天候・気温・出荷時期などあらゆるファクターを踏まえて作付・収穫期の計画を立てており、農機はその計 画を実行するために非常に重要な役目を果たします。作付・収穫の作業可能期間は限られているため、農機の典型的 な稼働期間は一年の中で約2週間と言われており、農家の方にとってはたったその期間にしか使わないからこそ、農機の 安定稼働が死活問題となります。 これはすなわち、農家の方々にとって、農機の不具合が起きた時に素早く部品を届けてくれたり、修理してくれるサポー ト体制が必要不可欠であることを意味しています。当社を含めた農機メーカーは、一刻を争って農作業をしなければなら ない農家を手助けするために、ディーラー体制(即応体制、保守メンテンナンスなど)を整え、作付・収穫といった繁忙期に おける農機の不稼働時間を最小限に抑えるソリューションを提供しています。 2. 競争優位性 上記の通り、農家にとってディーラーのサポート体制が必要不可欠であることは、それがそのまま農機の重要な購入決 定要因になることを示しています。下図のように、ディアは北米全域において競合よりも多くのディーラーを有し、北米全土 を広範囲にカバーしたサポート体制を築いています。

出所:Ag Equipment Intelligence (2018年)を基にNVIC作成 上記のようなディーラー網をもとにきめ細かいメンテナンスや補修のサービスがなされるからこそ、ディアの顧客は当社の高 価な大型農機(尚、大型農機は小型農機よりも収益性が高いと言われています)でさえも、安心して購入することができ るのです。このような強固な販売・サービス網は、長年の農家・ディーラーとの関係構築や信頼醸成によって裏付けられた ものであり、一朝一夕に構築できるものではありません。例えば、1930年代の大恐慌や1980年代の深刻な農業不況 時に、当社はディーラーの救済を通じて農家の農機購入代金に関する支払条件の見直し(返済期限の延長など)を迅 速に実施しています。このように過去の経済のクレジットサイクルの中で苦境に陥ったディーラー・農家をサポートしてきた事 実は、当然のように世代を超えた顧客ロイヤリティの確保につながっており、既に北米での市場シェア約50%と顧客の囲い 込みに成功している当社の参入障壁は、競合や新規参入者がディーラー網を整えたからといって簡単に崩せるものではな いと言えるでしょう。NVICでは、当社がディーラー網に裏打ちされた顧客接点を梃に今後も覇権を握り、高い利益率を享 受できる可能性が高いと考えています。

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【クボタとの比較】 上記のディーラー数の比較図をみて、感度の鋭い読者の方は日本を代表する農機メーカーである株式会社クボタ(以 下“クボタ”)の存在にお気づきかもしれません。クボタは、NVICの日本株ファンド「おおぶねJAPAN」で投資している企業で もあり、皆さんの中にはディアとクボタの競合状況について気になる方もいらっしゃると思います(尚、クボタの詳細について は、今月の「おおぶねJAPAN」の月次レポートに記載しておりますので、ご興味ある方はご覧ください)。 NVICでは、両社ともディーラー網を強みとした競争優位性を有していると考えていますが、日本と欧米では農機の設 計思想が異なることからある程度のすみわけがなされてきたと考えています。どういうことかというと、畑作が中心の欧米で は、昔は馬がけん引役を担っていました。経済発展とともに農業の機械化が進展するわけですが、その馬を代替する農機 の要件として、欧米では馬のスピードを担保する馬力ある機械が求められ、大型農機が中心となっていったのです(ディア のケース)。大型農機といっても、どのくらいの大きさなのかイメージがつきにくいかもしれないので、下の写真をご覧ください。 百聞は一見に如かず、2階建ての動く工場のようなものです。因みに、この大きさでもディアにとっては「超小型」です。 一方、稲作中心の日本では、昔は牛がノロノロと牽引役を担っていました。欧米とは対照的に、スピードよりも極力重く なく(田んぼの底が抜けてしまうため)、不安定な水田の上でも安定的に動ける水平制御機能の高い小型農機が発展し ていきました(クボタのケース)。このような設計思想の違いから端を発して成長してきた両社は、畑作に強いディア、稲作に 強いクボタとしてそれぞれ異なる市場を主戦場として発展してきたのです。釣りで例えると、両社は違う池で釣りをしてきた と言えるかもしれません。

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【ディア本社訪問時に大型農機とともに (2017年4月、米イリノイ州モリーン)】 (2階建ての工場のようなものでとても大きいですが、ディアにとっては「超小型」) 上記のような理由から、クボタはマザーマーケットである日本で発展を遂げ、世界の稲作面積の9割を占めるアジアにお いても高い評価を得てきました。一方で、クボタは主戦場である稲作地域での優位性を堅持しながら、畑作の分野に挑 戦しているのも事実です。実際、米国でも中小型機の領域を中心に着実にシェアをあげてきています。NVICとしては、両 社が徐々に同じ池で釣りをする機会が増えていることに留意しながら、両社の成長を見守っていきたいと考えています。 3. 長期潮流 NVICでは農業における生産性向上ニーズの高まりを長期潮流として捉えています。その背景には、世界の人口が今 後も増加する一方で、耕作適合地が限られているという厳然たる現実があります(下図ご参照)。国連の世界人口予測 によると、2000年に61億人だった世界人口は2050年には97億人と1.59倍に増加することが見込まれています。この 持続的に増加する人類が空腹で死なないためには、生産性をあげるしかありません。このように考えると、当社は人類が 直面する世界の食糧問題を事業機会としており、それが長期的且つ巨大であることはいうまでもありません。

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出所:国連、国連食糧農業機関(FAO)を基にNVIC作成 それでは、農業の生産性向上に必要なものは何でしょうか。NVICでは、大きく二つのツールが重要な役割を果たすと 考えています。一つ目は、種子です。例えば、特定の農薬に対する抵抗性を有する遺伝子組換種子は、生産性向上に 資する財として世界規模で使用され、その作付面積は米国等の先進国に加え、発展途上国においても、既存の非遺伝 子組換作物を置き換える形で増加しています。NVICでは、この領域にかねてから注目し、農業用種子メーカーであるモ ンサントへ投資していました。当社は他社に先駆けて1973年から遺伝子組換技術の研究を開始したことで得たデータを 梃に、遺伝子組換作物の市場において圧倒的なシェアを有していました。ただ、過去に月次レポートでご紹介したティファ ニーやバリアンと同じく、このように圧倒的な参入障壁を築いている事業は買収によってでしか手に入らないことが多く、独・ バイエルの買収に伴い、2018年に売却する結果となりました(ティファニーは2020年8月と2019年12月、バリアンは 2019年6月の月次レポートでご紹介しています。ご興味ある方は、是非ご覧ください)。 二つ目は、ディアの事業領域である農機です。特に、ITを活用した農機は農家の生産性改善に大きく寄与することが 期待されており、皆さんもスマート農業というキーワードをニュースで見かけたことがあるのではないでしょうか。そのような流れ の中、ディアは精密農業(Precision Farming)といわれる分野に注力しています。精密農業(Precision Farming)と は、国際的に様々な定義がありますが、一言でいえば、データを活用することでコストの最小化・収穫の最大化を目指す 農場管理手法といえます。例えば、データ解析に基づいてどのように効率的に種を撒くか、或いは収穫するかなどが判断で きるようになり、各作業工程の最適化・厳格化を目指しています。 下図の通り、当社は精密農業の領域において農家の生産性改善に寄与する財・サービスを提供しています。例えば、 当社との過去の面談で実際にみせてくれましたが、「Combine Optimization」ではカメラとセンサーで農地の状態(どの 程度の密度で作物が植えられているかなど)を把握し、そのデータを当社アプリのDeere.comに送信することで農地の状 態を早く正確に確認できるようになっています。

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2020年9月に実施した当社とのミーティングでは、当社の精密農業の取組状況をヒアリングしました。当社は精密農 業の成功指標として、Engaged Acresという概念(精密農業の技術が導入されている農地を指す)を使用しており、 NVICではこの数値の推移に注目して面談に臨みましたが、この数値が北米だけでなく、全世界で伸びていることを確認 することができました。特に、欧州と南アフリカなどでの伸びが著しく、当社の強みが海外事業にも展開されていることは新た な発見でした。また、当社のEngaged Acresの規模は、競合の独・バイエル傘下のClimate Corporationの2倍超で あり、当社が精密農業の領域で他を圧倒していることも確認することができました。NVICでは、当社が農業の生産性改 善のニーズを取り込みながら更なる成長を遂げる姿を対話を通じて見守っていきたいと考えています。 (最後に) 今回ご紹介させていただいたディアは、単純なモノづくりからソフトウェアや仕組みとして提供されるサービスに付加価値が シフトしつつある世界で、従来の競争力の源泉(ディーラー網)に新たな価値(データを駆使した精密農業)を付加すること で「構造的に強靭な企業」として更に進化していると言えるかもしれません。DXやデータ活用の重要性が叫ばれる中、 NVICでは引き続き企業の強靭さの変化を冷静にみつめ、皆様と企業の導管としての役割を全うしていきたいと考えてい ます。 以上 ■当資料は、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当資料は、確定拠出年金法第24条および関連政省令に規定されている「運用の方法に 係る情報の提供」に基づき、加入者のみなさまに対して、当商品の内容をご説明するために作成されたものであり、当該投資信託の勧誘を目的とするもの ではありません。■投資信託は、株式など値動きのある証券等(外貨建資産に投資する場合には為替リスクもあります。)に投資しますので、基準価額は変 動します。したがって、元本および運用成果が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、投資信託をご購入のお客様に帰属しま す。投資信託は貯金(預金)保険制度の対象ではありません。■当資料は、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が信頼できると判断した諸データ に基づいて作成しましたが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、上記の実績・データ等は過去のものであり、今後の成果を保証・約 束するものではありません。

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2021年 2月 レポート対象期間(1/28-2/25)の米国株式指数(米ドル建)は上昇しました。上旬は、経済対策成立への期 待が高まるなか、自動車・同部品などの景気敏感業種を中心に上昇しました。中旬は、鉱工業生産指数やPPI(生産 者物価指数)が前月比で上昇したことから景気回復への期待が高まった一方で、金利上昇ペースが加速したことが懸念 され、方向感の定まらない展開となりました。下旬も引続き金利上昇ペース加速への動揺が広がり、高バリュエーション株 を中心に売りが拡大したことから、下落となりました。 かかる環境下、当ファンドの円換算後リターンは+0.58%(為替要因+1.58%、株価要因▲1.00%)となりました。 農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)では、投資先のモニタリングや新規投資候補先の調査を目的とした国内 外の投資先・投資候補先への訪問を定期的に行っており、単に財務数値の分析だけではない、企業の事業に関する深 い理解に根差した投資を行っています。また、これらの対話を通じて、投資先企業に関して当初想定していた投資仮説 に疑義が生じた場合には、投資確信度の引き下げによる組入ウェイトの引き下げ、或いは全売却の実施を随時検討して います。

本ファンドでは、ニューヨーク州に本拠地を構える世界シェア2位の香料(Flavor & Fragrance)メーカーである International Flavor & Fragrances(以下、IFF)に2016年から投資をしていましたが、2021年1月に全売却 を実施しました。一方、IFFの競合であり、スイスのジュネーブ近郊に本拠地を構える世界シェア1位の香料メーカー、 Givaudan(以下ジボーダン)については、米国を含む先進国企業に対して長期厳選投資を行う「おおぶねグローバル」 において引き続き投資を継続しています(ちなみにジボーダンはおおぶねグローバルの2020年10月の月次レポートにてご 紹介しています)。 今回は、香料業界を含む機能性素材産業において新たな潮流となりつつある変化と、それに対するIFFとジボーダンの 戦略の違い、および当ファンドにおいてIFFを全売却するに至った経緯をご説明いたします。 【投資仮説】 香料とは香水はもちろん、食品、飲料、洗剤を始めとしたホームケア製品などに幅広く使用されている、「味」や「香り」 のもととなる原料です。IFFおよびジボーダンに対するNVICの投資仮説は以下の通りです。 1.産業の付加価値 IFFおよびジボーダンが提供する香料によって決定される味や香りは、消費者が最終製品を買うかどうかを決める購買 動機に占める割合が非常に高く、香水などであれば購買動機の約8割が、ホームケア製品や食品などでも5割弱が味や 香りに由来するとされています。 一方で、香料のコストが香水や食品、ホームケア製品などの最終製品の原価に占める割合は0.5~6%程度とされて おり、その価値に比して高い割合ではありません。したがって、顧客にとって香料のコストを下げようとするインセンティブは働 きにくく、価格競争が起きにくい構造にあります。

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2.競争優位性 香料を提供する上では、原料の調達、原料の調合・合成、各国の食品・ホームケア製品などに関する法規制への対 応、といったことが必要になってきますが、そのどれに関しても事業展開の歴史に裏付けられた蓄積が必要となります。 例えば、原料の調合・合成に関しては、新規参入企業が一朝一夕にできるものではなく、調合ノウハウや合成香料の パテントなどの蓄積があればこそ実現できるものです。また、実際に調合を担うのはパフューマー、フレーバリストと呼ばれる 極めて専門性の高い人材であり、その専門性も簡単に獲得できるものではありません(パフューマーの数は世界全体でも 宇宙飛行士(約560人)より少ないと言われており、また育成には10年以上の時間が必要とも言われています)。 3.長期潮流 先に述べたように、香料は食品、ホームケア製品、香水など、人が暮らしていくうえで多く使用するものの原料の一つで す。従って、今後も人口の増加や経済の発展、(新興国における)所得の増加といった長期潮流に乗って、安定的に 成長していくことが想定されます。 また、消費者ニーズが多様化し、製品ライフサイクルが短くなる環境の中で、かつては大手消費財メーカーや大手食品 メーカーがすべての機能を内製していたモデル(垂直統合モデル)から、各機能を専門性の高い企業(機能特化型企 業)に外注するトレンド(水平分業モデル)へシフトするトレンドが見られます。香料はまさにこのトレンドと合致していると 言えます。

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【IFFによるデュポンの食品原料部門の買収について】 さて、上述した投資仮説に基づき本ファンドにおいてはIFF、おおぶねグローバルにおいてはジボーダンに投資を行ってきま したが、2019年12月にIFFはデュポンの食品原料部門を約2.9兆円で買収することを発表しました。買収対象となる事 業の売上規模は約6,000億円、IFFの2019年12月期の売上高が約5,000億円ですから、IFFの姿を大きく変えるイ ンパクトのある買収です。 NVICでは買収の発表以降、買収による投資仮説への影響を見定める必要があると考え、2020年1月にIFFの投資 ウェイトを引き下げると同時に、IFFやジボーダン、日系香料メーカー等とのミーティングを含む調査を行ってきました。 まず、今回のIFFによる買収の背景について、IFFやジボーダンが扱う香料は大きく捉えると機能性素材の一つですが、 機能性素材には他にも酸味料、甘味料、たんぱく質、安定剤、増粘剤、乳化剤、酵母、酵素等、多岐に渡る素材が 存在します。そしてこれらを製造する原料メーカーも数多く存在していますが、そのビジネスモデルを大きく分けると、①ビタミ ンや穀物油脂等、単純で付加価値の低いコモディティ原料を大量生産する「規模の経済型」、②香料や菌等、特定の 付加価値の高い専門分野を中心に事業展開する「専門性特化型」、③付加価値の高い財と低い財を両方取扱い、 複数の製品ラインナップを自前で提供することを強みとしている「Integrated Solution型」、と定義することができます。 訪問日時 企業名 面談形式 2020年3月 Givaudan CFOとのミーティング 2020年7月 IFF IRとのミーティング(電話会議) 2020年10月 日系香料メーカー IRとのミーティング(Zoom) 2020年12月 日系香料メーカー IRとのミーティング 2020年12月 Givaudan IRとのミーティング(Webex)

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今回IFFが買収を発表したデュポンの食品原料部門は、安定剤や増粘剤、乳化剤、酵素、菌等を幅広く提供する③ 「Integrated Solution型」の戦略を取った事業になります。今回の買収は、IFFが香料に特化した②「専門性特化 型」から、香料を含む幅広い製品ラインナップを有する③「Integrated Solution型」の企業に変わることを意味していま す。 【Integrated Solutionについて】 この幅広い製品ラインナップを持つ「Integrated Solution型」のビジネスモデルについては、アイルランドに本社を置き、 世界最大規模で食品原料ラインナップを提供する「Kerry Group」(以下ケリー)の分析、および面談を通じて認識を していました(詳細は2019年11月の月次レポートをご覧ください)。 例えば、顧客が新しい飲料や食品等を開発する際、素材ごとに異なる会社に原材料を発注すると手間暇がかかりま すが、ケリーのように一括して原材料を注文できる会社があれば、より早く新製品の開発を行うことができます。実際にケリ ーは顧客の新製品開発に係るアイデア出しから量産化までを包括的にサポートしています。 ケリーのIntegrated Solutionは、特定分野の専門メーカーほど高度で付加価値の高い製品は提供することができま せんが、幅広いラインナップを持ちワンストップで原料を提供することで、原材料調達能力に乏しい新興国メーカー等には 歓迎されるものと考えられます。 このようにワンストップで様々な原材料を提供するIntegrated Solutionが新たな潮流になりつつあるということを認識 できた一方で、ケリーが扱っている素材にはコモディティに近い性質のものも比較的多く含まれている状況があり、このような 背景から収益性の観点では専門性特化型のIFFやジボーダンに優位性があるということが分かりました。

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(出所:Bloomberg) 【IFFとのミーティング】 当然ながら、今回の買収に至った背景についてはIFFとの面談においても確認を行いました。IFFが説明していた買収の 狙いは以下の2点です。 1.幅広い製品ポートフォリオをワンストップで提供 デュポンの食品原料部門の買収により、幅広い分野でNo.1またはNo.2のポジションとなり、顧客に対してカテゴリを跨 いだ製品群をワンストップで提供することが可能。加えて、グローバルで業界随一のサプライチェーンを持つことで、世界中 で迅速に製品を提供することが可能となり、顧客の製品開発スピードを格段に上げることができる。 2.R&D能力の強化 豊富な開発パイプラインを持つデュポン食品原料部門の買収により、圧倒的なR&D体制を構築し、イノベーションの創 出が期待される。 ケリーからヒアリングした内容も元にディスカッションをしましたが、戦略の方向性としてはケリーに近いビジネスモデルを志 向していることが確認できました。一方で、買収する事業の中には一部コモディティの性質を持つものが含まれていることも 認めていましたが、トータルで見れば十分付加価値の高いビジネスであるということを強調していました。 (出所:IFF公開資料)

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せん。しかしながら、企業のIRは当然ながら自社のことをよく見せようとするものです。NVICの企業分析では、分析してい る企業から聞いた内容をそのまま受け入れるのではなく、必ず競合企業や関連企業の分析および面談を通じて裏付けを 取ります。今回はIFFの競合であり香料世界トップメーカーのジボーダン、および日系香料メーカーとミーティングを実施しま した。 【ジボーダン、日系香料メーカーとのミーティング】 ジボーダンとは2020年3月、2020年12月にそれぞれミーティングを行いました。 デュポンの食品原料部門については、ジボーダン自身も事業分析をしており、ジボーダンの認識としては、当該事業の2 割程度の「菌」に関するビジネスについては香料との親和性があり魅力的ではあるが、残りの8割についてはコモディティであ り価値は見出せないと説明していました。 Integrated Solutionについても、一つの潮流としてそのような流れがあることは認めつつも、顧客は付加価値の高い 原材料を望んでいるのであり、単純にワンストップで購入できることに価値を見出しているのではないということを強調してい ました。 実はジボーダンも香料の分野だけを事業領域としているわけではなく、一部その周辺領域にも進出しています。しかしな がら、天然由来の付加価値の高い保存料や着色料等、進出しているいずれの分野も香料との組み合わせにより顧客に 高い付加価値を提供できるものに限定されています。 例えば最近よく耳にするようになった代替肉バーガーの分野では、ジボーダンは香料とセットで、血の赤みを出す着色 料、肉の質感を出す添加剤等、特定分野の原料を最適な割合で調合して顧客に提供しています。 一方、IFFはデュポンの食品原材料部門を買収したことより、上記に加えてバーガーのパンやチーズの原料等を顧客に 包括的に提供できるようになります。 (出所:IFF公開資料) 買収により香料以外の原材料ビジネスを一気に手に入れたIFFと、香料とのシナジーが期待できる分野にのみ限定的 に進出しているジボーダンの戦略は、Integrated Solutionの潮流に対するアプロ―チとしては対照的です。しかしなが ら、NVICとしてはジボーダンのアプローチに対してより堅実な印象を持ちました。 また、今回のIFFによる買収はその規模の大きさからIFFの姿を大きく変えるものであり、多くの不確実性を孕んでいるも のとも考えられます。このようなことから、IFFのフレーバリストやパフューマ―の一部がIFFを退職し、他の香料メーカーに流 れているという話も聞くことができました。

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なお、日系香料メーカー2社とも2020年10月、12月に面談を行いましたが、これらの面談においては、Integrated Solutionに対して、理屈としては戦略に理解を示しつつも、IFFやジボーダンのような具体的なアプローチには至っていませ んでした。 【NVICとしての当該買収に対する結論】 今回の分析内容を当初想定していた投資仮説に沿ってまとめると以下の通りです。 (産業の付加価値) ・ IFFが志向するIntegrated Solution戦略には一定の合理性は見出しうるものの、買収する事業にはコモディティ 財も相当に含まれており、必ずしも付加価値の高い財ではなく、香料とはビジネスの性質が異なることから、当初想 定していた産業の付加価値とは異なる方向に向かう可能性がある。 (競争優位性) ・ IFFは2018年にもイスラエルの天然香料メーカーであるフルタロムを約8,000億円で買収しているが、今回の買収は これに続く大型買収であり、統合後軌道に乗るまでの混乱が予想される。その兆しとして、IFFの競争優位の源泉で あるフレーバリストやパフューマ―の流出が発生している可能性がある。 上記を踏まえ、IFFについては全売却を行うこととし、積極的な買収を行うIFFと比較すると堅実な事業展開を行って いるジボーダンについては、引き続きおおぶねグローバルにて投資を継続しています。 今後、IFFのIntegrated Solutionがどのように展開していくか、ジボーダンとの競争環境がどのように変化していくのか という点については、モニタリングを継続していきます。 以上 ■当資料は、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当資料は、確定拠出年金法第24条および関連政省令に規定されている「運用の方法に 係る情報の提供」に基づき、加入者のみなさまに対して、当商品の内容をご説明するために作成されたものであり、当該投資信託の勧誘を目的とするもの ではありません。■投資信託は、株式など値動きのある証券等(外貨建資産に投資する場合には為替リスクもあります。)に投資しますので、基準価額は変 動します。したがって、元本および運用成果が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、投資信託をご購入のお客様に帰属しま す。投資信託は貯金(預金)保険制度の対象ではありません。■当資料は、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が信頼できると判断した諸データ に基づいて作成しましたが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、上記の実績・データ等は過去のものであり、今後の成果を保証・約 束するものではありません。

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2021年 3月 や雇用統計が前月比で改善したこと等が好感された一方、米国長期金利の上昇によりグロース株を中心とした高バリュ エーション株の売り圧力が強まり、方向感の定まらない展開となりました。中旬は、ニューヨークやロサンゼルスのレストラン・ 商業施設で実施されていた営業制限の緩和が発表されたことや、バイデン大統領による1.9兆ドル規模の経済対策が 正式に成立したことが好感されて上昇しました。下旬は、バイデン大統領がワクチン接種目標の引き上げを発表する等、 経済活動再開に向けた積極的な施策が好感されて上昇しました。 かかる環境下、当ファンドの円換算後リターンは+7.98%(為替要因+3.90%、株価要因+4.08%)となりまし た。 農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)では、投資先のモニタリングや新規投資候補先の調査を目的とした国内 外の投資先・投資候補先への訪問を定期的に行っており、単に財務数値の分析だけではない、企業の事業に関する深 い理解に根差した投資を行っております。(国内企業は随時、海外企業についても年間6回、約70社程度の現地訪 問を行っております) 今回は、塗料という面白い性質を持つ財を提供しているSherwin Williams(以下“シャーウィン”もしくは“当社”) をきっかけに、NVICが投資している構造的に強靭な企業®が持つ特徴に関して考えてみたいと思います。 シャーウィンは米国オハイオ州クリーブランドに本社を持つ(米国屈指のオーケストラであるクリーブランド管弦楽団の本 拠地などで有名な都市ですね)、塗料メーカーです。住宅の外壁に塗る塗料をイメージして頂くと分かりやすいかと思いま す。 (訪問時にNVIC撮影)

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NVICは財の性質の面白さや競争優位性に注目し、2013年に投資開始後、継続保有し続けています。 下記グラフは2012年末を100として、2013年から直近(2021/3/31)までの株価を指数化したグラフです。シャーウ ィンの株価は2012年末と比べて約5.2倍になっており、同期間で約2.8倍になっているS&P 500と比較すると2倍近く株 価を上げていることがわかります。 (出所:Bloomberg、Sherwin Williams、S&P 500共に配当を含まず) NVICが考えるシャーウィンの魅力を、下記3つの観点でご説明しましょう。 1.高い産業付加価値 シャーウィンが提供する塗料は、住宅の新築時のみ使用されるわけではなく、経年に伴う補修需要も安定的に存在し ます。住宅用塗料の需要規模は新築向け:補修向け=1:4とも言われており、住宅が存在する限り発生する補修需要 のほうが大きいのです。 ニュース等で時たま目にする米国の新規住宅着工件数は景気に左右されやすい傾向がありますが、新規住宅の件数 ではなく住宅の総数に需要が紐づくというのは、需要の安定性、シャーウィンの売上の堅牢性を裏付けていると言えます。 2.高い競争優位性 塗料、というと差別化がなかなか難しい“コモディティ”のような財、だとイメージされる方も多いのではないでしょうか。缶に 入ったペンキのイメージだとそう考えるのも無理はありません。 ただ、シャーウィンの塗料ビジネスは、財の性質とビジネスモデルをうまく組み合わせた高い参入障壁をいくつか持つのがユ ニークだと言えます。 ① 地域の観点からの参入障壁:塗料は重く、輸送コストが多くかかることから長距離の輸送(輸出入など)には向か ない財です。また、消費地の気候条件などにより適した塗料が異なるので、他地域からの参入は難しいと言えます。 ② 技術の観点からの参入障壁:塗料は色以外にも様々な性能が求められます。例えば耐熱・遮熱などの熱的性 能、蛍光・蓄光・紫外線遮断などの光に関する性能、結露防止・防水・上からの落書きや張り紙に強いなどの物理 的性能、抗菌・防臭などの生物・化学的性能などです。こういった性能に関するニーズは複数の性能の組み合わせも 含め非常に多岐にわたっており、また技術的にも高度であるため、技術・ノウハウの蓄積が非常に重要となってきま す。そうした技術・ノウハウの蓄積が参入障壁として機能するのです。

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て一番大きなコストは人件費で、塗料のコストは人件費に比べるとかなり小さいと言われています。つまり、塗装業者 にとってはより効率的に塗装が出来る(塗装人員を効率的に活用できる)ことが重要で、塗料を安いものに変えた 結果塗りムラが出来てしまい塗り直しになった、といった事態はもっとも避けなければなりません。故に、品質の高さや 過去から使用されてきた実績が評価されている当社の塗料から変える理由がなく、非常にスイッチングコストが高い状 況が形成されています。 また、当社は自社の販売店を非常に多く有しており、その利便性からも塗装業者にとって必要不可欠なポジションを 形成していると言えます。(この戦略は後程もう少し詳しくご説明します) 3.長期潮流へのフィット 先に述べたように、シャーウィンの提供する塗料は、住宅が存在する限り必要とされ続けるものです。従って、今後も人 口の増加や経済の発展、所得の増加といった長期潮流に乗って、安定的に成長していくことが想定されます。

また、住宅用塗料の需要に関してはDIY(Do It Yourself、自分で塗ること)よりもDIFM(Do It For Me、プロ の業者に依頼する)の割合が過去から増加してきている傾向が存在します。このトレンドは今後も高齢化、所得の増 加、(共働きなどを背景とした)余暇時間の有効活用ニーズの高まりなどを背景に継続し、売上の太宗がプロの塗装業 者向けである当社にとっては成長の追い風を受けやすいのでは、と考えられます。

(出所:Sherwin Williams IRプレゼンテーション)

ここまでシャーウィンについてご紹介してきましたが、ここからはシャーウィンの提供する財の性質・ビジネスモデルを起点 に、NVICの投資する構造的に強靭な企業®が持つ特徴に関して考えてみたいと思います。キーワードは“ECとの相性”と “購買の意思決定権者とその基準”です。 【ECとの相性】 “Amazon Effect”という言葉をご存知でしょうか?Amazonの拡大によって競合周辺産業に起こる大きな変化のこ とを指します。例えばAmazonの台頭による実店舗型小売へのダメージなどがその一例ですが、小売のみならずメーカーに もその影響は大きく存在します。具体的には、Amazon内で価格が極めて透明化されてしまうことによる価格低下圧力 の増加です。また、実店舗の比ではなく数多くの競合製品と簡単に比較できてしまうAmazonは、価格以外に差別化が 難しい製品の価格競争の激化を促すことになりかねません。

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しかし、財の特徴を考えると、AmazonのようなECになじみにくい財、すなわちECではなく従来型の購買プロセス・販売 チャネルで買うことに意味がある財があることもまた事実です。そしてシャーウィンの塗料は“ECになじみにくい”という特徴を 持っています。 塗料は①PCの画面上ではうまく色を選べない、②返品が受け付けられない、③重い(配送コストが高くつく)という観 点からECになじみにくいと言われています。ECで買うと、画面上の色を見て選んだ塗料を高い配送コストを払って買ったと しても、缶を開けてみて実際の色とイメージが違ったからといって返品できない、ということが起こりうるのです。店舗であれば 少量のサンプリングなどで実際の色を確認することも可能ですし、塗装現場から車でアクセスできる範囲の店舗で買えば 配送コストもかかりません。始業前にトラックで店舗に立ち寄って塗料を積みこんで現場に行く、といった塗装業者の業務 プロセスを考えるとECより店舗で買う方が“便利”と言えます。 上記①、②は塗料特有のECになじみにくい理由ですが、③の配送コストの観点は他の財にも敷衍して考えることが可 能です。塗料のように一つ一つの製品が重い場合はもちろん、逆に一つ一つがとても軽くてかさばる場合も、一つ一つの製 品にかかる配送コストが高くつくのでECになじみにくいと言えます。 軽くてかさばる結果ECになじまない財としては、おおぶねJAPANで投資している東洋水産が作っているようなカップ麺な どがあげられます。カップ麺は軽くてかさばる上に、一つ一つの価格が安い(利幅も薄い)ために高い配送コストに見合わ ないのです。 “ECになじみにくい”という特徴はそもそもの財の性質や使われ方に起因するものなので、意図的にこの特徴を創り出 すことは難しいと言えますが、“Amazon Effect”と一口に言っても全ての財や周辺産業にネガティブな影響があるわけで はなく、財やサービスの性質を鑑みるとその影響には濃淡があることがわかります。何か市場に大きな変動があった時に、単 純に危機感を醸成したり過度に楽観視するのではなく、個々の企業やその財・サービスの特徴に照らし合わせて丁寧に影 響を考えていくことはとても重要であり、また面白い作業でもあるのです。 【購買の意思決定権者とその基準】 ペンキを始めとした塗料は、上述の通り“コモディティ”のイメージを持たれることも少なくありませんが、シャーウィンの提供 する塗料は多くの競合と価格で勝負しないといけない“コモディティ”にはなっていません。それはなぜでしょうか?NVICが考 える答えは、「①購買の意思決定権者が住宅の所有者ではなくプロの塗装業者で、塗装業者の意思決定基準が価格 ではないから」「②塗装業者の意思決定基準にシャーウィンが訴求できているから」です。 ①に関して、プロの塗装業者の意思決定基準が価格ではないことは上述の通りです。塗料のコストより人件費が圧倒 的に高いコストの構造は、人件費を最大限効率的に使うための“品質”“(安心して使えるという意味での)実績”の方 が価格より重要であり購買者の価格感応度が低い、という状況を創り出しています。 では②に関してはどうでしょうか?もちろん上記の品質や実績などは重要な意思決定基準であり、シャーウィンの財は既 に意思決定基準に訴求できているとも言えますが、シャーウィンは“利便性”という意思決定基準にも上手く訴求するビジ ネスを展開しているのです。 シャーウィンは塗料メーカーでありながら非常に多くの店舗を持っています。また、顧客ごとに以前買った色・性能の商品 はどれかなどの情報をデータベースで管理しており、顧客がどの店舗に行ってもニーズに合った商品を買うことが出来る環境 を作っています。店舗ネットワークという物理的な意味でも、顧客データベースという情報管理・活用の意味でも、塗装業 者が買いたいものをいつでも変える“利便性”を訴求し、塗料の購買者である塗装業者にとって不可欠な存在となっている のです。 おおぶねグローバルにおいてNVICが投資をしている企業の中では、スイスの配管システムメーカーGeberitも同じような 特徴を持っています。

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(出所:Geberit IRプレゼンテーション) Geberitが提供するトイレ回りの配管システムの購買の意思決定権者は住宅の所有者ではなく、Plumberと呼ばれ る配管工事業者です(トイレの便器や内装にこだわる所有者はいても、壁の後ろの配管システムにまでこだわる所有者 はいません)。Plumberは(言葉を選ばず言えば)自分の身銭を切るわけではないため価格感応度が低く、その代わり “工事のしやすさ・取り付けやすさ”が重要な意思決定基準になっています。 Geberitはパイプや水を流すシステム、それらを組み込む骨組みなどをパッケージ化した取り付けやすい製品を提供する ほか、自社のインフォメーションセンターや移動式ショールーム、外部イベントなどで年間10万人を超える配管工に対し当 社の製品の取り付けやすさ・良さを教育・普及させる取組を実施しており、製品そのものも、製品に対する認識としても、 「取り付けやすいからGeberitの製品を使いたい」と配管工事業者に思わせる状況を創り出しています。 シャーウィンやGeberitの例を踏まえると、購買(の意思決定権)者が誰か、意思決定基準は何かを正しく理解し、 訴求することは製品を“コモディティ”にしないための非常に重要な条件と言えるでしょう。 (出所:NVIC作成)

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上記のような特徴は特定の業種・セクターに偏って存在する特徴ではなく、形は違えど様々な業種の企業に存在して います。 NVICは、特定の業種・産業に偏って投資をするわけではなく、様々な企業の事業内容を丁寧に分析して投資を実施し ておりますが、その結果、ポートフォリオ企業にこのような特徴を共通して持つ企業が複数ある、ということは、まさにこういっ た特徴がNVICの投資したい構造的に強靭な企業®が持つ特徴の一つと言えるのではないか、とも考えられます。 個別の企業を丁寧に分析する中で共通した特徴を見つけ、見つけた特徴を新たな分析に活用していく、そういった分 析のあり方もNVICらしさ、と言えるでしょうか。 今後も、NVICの投資の基盤である分析や企業訪問の中で得られた考察、投資ができると考えた魅力などを、最終的 な企業の“オーナー”である受益者の皆様にもこのような形でご紹介したいと考えております。 ■当資料は、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当資料は、確定拠出年金法第24条および関連政省令に規定されている「運用の方法に 係る情報の提供」に基づき、加入者のみなさまに対して、当商品の内容をご説明するために作成されたものであり、当該投資信託の勧誘を目的とするもの ではありません。■投資信託は、株式など値動きのある証券等(外貨建資産に投資する場合には為替リスクもあります。)に投資しますので、基準価額は変 動します。したがって、元本および運用成果が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、投資信託をご購入のお客様に帰属しま す。投資信託は貯金(預金)保険制度の対象ではありません。■当資料は、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が信頼できると判断した諸データ に基づいて作成しましたが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、上記の実績・データ等は過去のものであり、今後の成果を保証・約 束するものではありません。

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設定日 年月 リターン 年月 リターン 年月 リターン 年月 リターン 2021年3月 8.0 2018年3月 -3.7 2021年2月 0.6 2018年2月 -4.6 2021年1月 -0.2 2018年1月 0.4 2020年12月 1.9 2017年12月 3.5 2020年11月 7.8 2017年11月 2.6 2020年10月 -2.0 2017年10月 3.4 2020年9月 -2.0 2017年9月 3.9 2020年8月 7.5 2017年8月 -1.6 2020年7月 4.4 2020年6月 -0.4 2020年5月 5.1 2020年4月 8.8 2020年3月 -8.7 2020年2月 -6.4 2020年1月 0.1 2019年12月 2.3 2019年11月 3.4 2019年10月 2.9 2019年9月 2.4 2019年8月 -4.9 2019年7月 4.7 2019年6月 3.3 2019年5月 -5.7 2019年4月 4.2 2019年3月 2.0 2019年2月 6.1 2019年1月 3.5 2018年12月 -8.7 2018年11月 3.9 2018年10月 -6.7 2018年9月 4.4 2018年8月 3.1 2018年7月 3.9 2018年6月 3.3 2018年5月 1.4 2018年4月 2.1 ※リターンは、各月末時点の分配金込み基準価額の月次騰落率です。 2017年7月5日 ■当資料は、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。■当資料は、確定拠出年金法第24条および関連政省令に規定されている「運用の方法 に係る情報の提供」に基づき、加入者のみなさまに対して、当商品の内容をご説明するために作成されたものであり、当該投資信託の勧誘を目的とする ものではありません。■投資信託は、株式など値動きのある証券等(外貨建資産に投資する場合には為替リスクもあります。)に投資しますので、基準価 額は変動します。したがって、元本および運用成果が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、投資信託をご購入のお客様に 帰属します。投資信託は貯金(預金)保険制度の対象ではありません。■当資料は、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が信頼できると判断し た諸データに基づいて作成しましたが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、上記の実績・データ等は過去のものであり、今後の成 果を保証・約束するものではありません。

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