第 3 章 保険募集管理態勢の整備と内部監査 法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト とは別に 保険募集管理態勢の確認検査用チェックリスト により検証する構成がとられています これは 保険募集に関する法令等遵守の重要性が高く また 着目すべきポイントが多岐に渡っていることを反映したものとも考えられ

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全文

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方針の策定

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取締役の役割・責任

●チェック項目●  取締役は、保険募集に関する法令等の遵守の徹底が顧客の保護、保険会社への信 頼の維持並びに業務の健全性及び適切性の確保のために必要不可欠であることを 十分に認識し、保険募集に関する法令等の遵守を重視しているか。  また、保険募集管理の担当取締役は、保険募集に関する法令等の内容を理解する だけでなく、当該法令等の遵守の状況のモニタリング・当該法令等の遵守の徹底等 の方法を十分に理解し、この理解に基づき当該保険会社における当該法令等の遵守 の現状を的確に認識し、保険会社の販売チャネルの特性を踏まえつつ、適正な保険 募集管理態勢の整備・確立に向けた方針及び具体的な方策を検討しているか。

《解説》

 保険募集管理態勢の確認検査用チェックリスト「検証のポイント」では、「保険募集管理」 を「保険募集に関する法令等の遵守を確保し適正な保険募集を実現するため必要となる 管理」であると定義しています。また、同ポイントの中で、「保険会社における保険募 集管理態勢の整備・確立は、顧客の保護の観点から重要であるのみならず、保険会社の 業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正の観点から極めて重要であり、経営陣に は、これらの態勢の整備・確立を自ら率先して行う役割と責任がある」とされ、その重 要性が強調されています。  保険検査マニュアルでは、保険募集に関する法令等遵守を確保する態勢については、 ■ 取締役は、保険募集に関する法令等遵守を重視 し、そのための取組みを進めることが求められ る。 ■ 取締役会は、経営方針に則った「保険募集管理 方針」を定め、組織全体に周知させることが求 められる。 ■ POINT

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第3章●保険募集管理態勢の整備と内部監査 「法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト」とは別に、「保険募集管理態勢の確認検 査用チェックリスト」により検証する構成がとられています。これは、保険募集に関す る法令等遵守の重要性が高く、また、着目すべきポイントが多岐に渡っていることを反 映したものとも考えられます。    このチェック項目では、保険募集管理の重要性について、「保険会社の業務執行に係 る最高意思決定機関である取締役会」の構成員としての各取締役の認識、行動が、まず 問われています。具体的には、取締役は、保険募集に関する法令等遵守の重要性を認識 して、取組みをすすめることです。さらに、保険募集管理の担当取締役に対しては、よ り詳細な理解・認識や具体的な方策検討等の実践が求められています。  担当役員の職責をいわゆる執行役員が担っている場合については、保険検査マニュア ル「留意事項」において、「担当取締役に求められている役割及び責任は、いわゆる執 行役員が担っている場合を否定はしない。但し、以下の点等を総合的に検証した上で、 担当取締役に求められる役割及び責任を十分果たしているか検証する」としています。  ◦ 取締役会により、担当取締役と実質的に同等の権限が付与されている  ◦ 責任の所在が明確化されている  ◦ 業務執行について取締役会による十分な監視が行われている  なお、「モニタリング」とは、「単に監視するだけでなく、警告、提案、指示など問題 の抑止活動も含む」としています。

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保険募集管理方針の整備・周知

●チェック項目●  取締役会は、経営方針に則り、保険募集管理に関する基本方針(以下「保険募集 管理方針」という。)を定め、組織全体に周知させているか。保険募集人については、 その属性を踏まえ、周知方法を工夫しているか。

《解説》

 取締役会は、自社の経営方針と整合性を持ったものとして「保険募集管理方針」を決 定すること、全社的に周知させることが求められています。

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集に関する法令等遵守の基本方針の策定は、保険会社経営における重要性に鑑みて、「取 締役・使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」(会 社法 362 条 4 項 6 号および会社法施行規則 100 条 4 号⑴)に含まれ、取締役会による決定 を求めたもの考えられます。  「保険募集管理方針」の形式のあり方については、金融検査マニュアル改定時のパブリッ ク・コメント回答で、各管理態勢のチェックリストにおいて記載されている方針や内部 規程等は、「その名称や形式にこだわらず、記載すべき事項が漏れなく明文化され、方 針については取締役会、内部規程については取締役会等の承認を受け、必要のある役職 員に周知徹底されているか等、その果たすべき機能が備わっているかを検証する」とし、 名称や形式を問わず、それらの内容、実効性が重要であることを強調しています。   また、当該方針を周知させることが重要であり、その具体的な方法を定め、実施し、 結果を確認し、不十分な手続は改善するという一連の改善プロセスの確立が求められて いると考えるべきでしょう。「組織全体」に周知させるとありますが、金融検査マニュ アルにおける「組織全体」と「組織内」との書き分けについて、パブリック・コメント 回答で、「組織全体と記載した場合には金融機関全体を意味し、組織内と記載した場合 には関係する必要な組織内を指す。」と説明しています。  なお、保険募集人に対しても保険募集管理方針を周知する必要がありますが、募集人 は様々な属性を持ち、それに伴って周知のためのポイントも異なることから、一律に当 該方針を知らせるという方法にとどまらず、その方法に工夫を求めています。 ⑴  保険業法に基づく相互会社形態の保険会社に対しても、同法 53 条の 14、同法施行規則 23 条の8等によって、 同等の規定が適用されています。

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第3章●保険募集管理態勢の整備と内部監査

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方針策定プロセスの見直し

●チェック項目●  取締役会は、定期的に又は必要に応じて随時、保険募集管理の状況に関する報告・ 調査結果等を踏まえ、方針策定のプロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

《解説》

 保険検査マニュアルは、金融検査マニュアルと同様に、随所にプロセスの「見直し」 に関するチェック項目を設け、自律的な態勢整備を促す構成となっている点に、その特 徴があります。ここでは、経営陣の3つの役割・責任、すなわち、①方針の策定、②内 部規程・組織体制の整備、③評価・改善活動の中で、一番目の「方針の策定」プロセス の見直しについて示したものです。  「保険募集管理方針」を含む方針策定のあり方に関連して、金融検査マニュアル改定 時のパブリック・コメント回答において、「単年度でも複数年度でも、取締役会により 方針として策定されるものを意味している。コンプライアンス・プログラムの中に含め ているとしても方針として取り扱うことは可能」とし、方針の年次性は特に要求されて いないこと、方針の形式についてもコンプライアンス・プログラムに含めて制定するこ とも可能であることが説明されています。  また、金融検査マニュアルFAQでは、方針策定に係る見直しのサイクルについて、 「「定期的」については特段年限を定めていないが、見直しのプロセスが有効に機能して いるかという観点から判断する」としており、見直しのサイクルに周期を定めることよ りは、見直しのプロセスが機能しているかどうかによるものとしています。これも当然 の理解であると思われます。  さらに、取締役会(等)による「検証」の意味するところについて、金融検査マニュ アル改定時のパブリック・コメント回答では、「必ずしも取締役会(等)自身が検証の ために必要な全ての具体的行動を行う必要はなく、例えば、取締役会(等)が指示する ことで代表取締役や担当取締役を通じ実際の検証のための情報を収集させ、それをまと

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第3章●保険募集管理態勢の整備と内部監査

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内部規程の整備・周知

●チェック項目●  取締役会等は、保険募集管理方針に則り、保険募集に関する取決めを明確に定め た内部規程(以下「保険募集管理規程」という。)を、保険募集管理の担当部門(以 下「保険募集管理部門」という。)の管理者(以下本チェックリストにおいて単に「管 理者」という。)に策定させ、組織内及び保険募集人に周知させているか。取締役会 等は、保険募集管理規程についてリーガル・チェック等を経て、保険募集管理方針 に合致することを確認した上で承認しているか。

《解説》

 「取締役会等」は、保険募集管理部門の管理者に「保険募集管理規程」(案)を策定さ せ、リーガル・チェック等を経て、これを承認し、周知させることが求められています。  ここで「保険募集管理部門」は「保険募集に関する法令等の遵守を確保し適正な保険 募集を実現するため必要となる管理を担当する部門」と定義されています。保険検査マ ニュアルでは、「保険募集管理部門」を「コンプライアンス統括部門」と概念的に区別 しています。「コンプライアンス統括部門」については「法令等遵守に関する事項を一 元的に管理する部門。但し、保険募集に関する法令等遵守を第一次的に管理する部門と しては、保険募集管理部門が存在する。」と説明されています。

内部規程・組織体制の

整備

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■ 取締役は、保険募集管理態勢の確立に主体的に 取り組んでいかなければならない。 ■ 取締役会は、保険募集コンプライアンス・マニ ュアル、保険募集コンプライアンス・プログラ ムの承認を求められている。 ■ POINT

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■ 「コンプライアンス統括部門」 ⇒ 法令等遵守に関する事項を一元的に管理する部門。但 し、保険募集に関する法令等遵守を第一次的に管理する 部門としては、保険募集管理部門が存在する。  なお、「取締役会等」とは、 ■ 「取締役会等」には、取締役会のほか、常務会、経営会議等の、経営陣レベルによっ て構成される経営に関する事項を決定する組織(以下「常務会等」という。)も含む。 ■ 「取締役会等」の役割とされている項目についても、取締役会自身において決定 することが望ましい。 ■ 常務会等に委任している場合には、 ① 取締役会による明確な委任があること ② 常務会等の議事録の整備等により事後的検証を可能としている ③ 取締役会への結果報告や常務会等に監査役の参加を認める等の適切な措置 により、十分な内部牽制が確保される 態勢となっているかを確認する必要がある。 とされています(保険検査マニュアル「留意事項」)。  これに関連して、金融検査マニュアルFAQでは、 ◦  「取締役会等」には、取締役会のほか、常務会、経営会議等の、経営陣レベル によって構成される経営に関する事項を決定する組織(以下「常務会等」という。) も含む ◦  しかしながら、経営の意思決定については様々な形態があるので、形式的に名 称が「常務会」「経営会議」等となっていたとしても、十分とはいえない可能性 もある ◦  同様に、決議機関か協議機関かだけで判断することはなく、個々の金融機関に おける意思決定プロセスの実態を十分踏まえ、事実上の意思決定機関といえる状 況にあるかどうか検証する。例えば、代表取締役が経営会議による議論をまった

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第3章●保険募集管理態勢の整備と内部監査 く尊重せず、独断で決定しているような実態があれば、経営会議は事実上経営に 関する事項を決定することができないのであり、「取締役会等」に該当しない場 合もある としており、実態的な機能面を重視する姿勢が示されています。  本チェックリストでは、保険募集管理規程が、保険募集方針と整合性をもって作成さ れること、リーガル・チェック等を経ていること、取締役会等に承認を受けること、組 織内、保険募集人に周知されることが求められています。保険募集方針だけでなく保険 募集管理規程を、募集人にまで周知することを求めている点に注目する必要があります。

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保険募集管理部門の態勢整備

●チェック項目● (ⅰ)取締役会等は、保険募集管理方針及び保険募集管理規程に則り、保険募集管理 部門を設置し、所掌事項を明確にして権限を付与し、適切な役割・機能を発揮 させる態勢を整備しているか。 (ⅱ)取締役会は、保険募集管理部門に、当該部門を統括するために必要な知識と経 験を有する管理者を配置し、当該管理者に対し管理業務の遂行に必要な権限を 与えて管理させているか。 (ⅲ)取締役会等は、保険募集管理部門に、その業務の遂行に必要な知識と経験を有 する人員を適切な規模で配置し、当該人員に対し業務の遂行に必要な権限を与 えているか。 (ⅳ)取締役会等は、保険募集管理部門について営業推進部門等からの独立性を確保 することなどにより、牽制機能が発揮される態勢を整備しているか。特に、保 険募集管理部門が他の業務との兼務をする場合、営業推進部門等からの干渉を 防止する態勢となっているかに留意する。 (ⅴ)取締役会等は、保険募集に関する法令等の遵守について、保険募集管理部門と コンプライアンス統括部門との相互の連携・協力が必要に応じて十分に図られ る態勢を整備しているか。

《解説》

 (ⅰ)取締役会等は、保険募集管理部門を設置し、必要な権限を付与し、機能発揮で きる態勢を整備することが求められています。同部門の設置については、以下の脚注が 付されています。

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署が保険募集管理を担当する場合や、部門や部署ではなく責任者が保険募集管理を担当 する場合等)には、当該保険会社の規模・特性に応じ、その態勢のあり方が十分に合理 的で、かつ、機能的な側面から見て部門を設置する場合と同様の機能を備えているかを 検証する。」  (ⅱ)では、主体を取締役会等ではなくあえて「取締役会」とし、その取締役会が、 保険募集管理部門の管理者にふさわしい知識、経験を持った者を任命し、権限付与を行 うことが示されています。したがって、取締役会には、任命した管理者の適格性につい て説明責任が求められます。  (ⅲ)「取締役会等」は、保険募集管理部門に対して必要な経営資源を投入すべきこと が求められています。募集管理機能を十分に果たすことができるだけの資源(人・予算、 権限など)が配分されなければなりません。ここでは、単に人を配置するということだ けでなく、「その業務の遂行に必要な知識と経験を有する人員」を適切な規模で配置し なければなりません。経営資源の投入の十分性は、事後的には募集管理態勢の実効性に より説明されることになるでしょう。また、以下の脚注が付されています。  「人員の配置及び権限の付与についての権限が取締役会等以外の部署・役職にある場 合には、その部署・役職の性質に照らし、牽制機能が働く等合理的なものとなっている か否かを検証する」  (ⅳ)では、取締役会等が「保険募集管理部門による営業推進部門等に対する牽制機 能が発揮される態勢」を整備すべきであるとされています。ここでは「独立性の確保な どにより、」と例示される表現となっており、部門の独立性だけでなく、他の方法によ る牽制機能確保も考えられます。その場合には、保険会社の取締役会等が、牽制機能の 発揮に問題がないことの説明責任を果たす必要があります。  (ⅴ)では、保険検査マニュアルではコンプライアンス統括部門と保険募集管理部門 が別個の機能として整理されていることから、保険募集に係る法令等遵守事項について、 両機能の連携が確保されるべきことが示されています。例えば、募集関連の法令等遵守

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第3章●保険募集管理態勢の整備と内部監査 のための方針・規程・マニュアルなどの整備、指導・教育、情報共有などで十分な相互 補完のシステムが必要です。

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営業推進部門等および保険募集人における保険募集管理態勢の整備

●チェック項目●  取締役会等は、管理者又は保険募集管理部門を通じ、営業推進部門等及び保険募 集人に対し、保険募集管理に関して遵守すべき法令等、内部規程・業務細則等を周 知させ、遵守させる態勢を整備するなど、保険募集管理の実効性を確保する態勢を 整備しているか。  例えば、管理者又は保険募集管理部門に、営業推進部門等及び保険募集人が遵守 すべき法令等、内部規程・業務細則等を特定させ、効果的な研修を定期的に行わせ る等の具体的な施策を行うよう指示しているか。

《解説》

 ここでは、現場に保険募集管理に係る法令等遵守を徹底して実効性をもたせるための 態勢を整備する責任が取締役会等の経営陣にあることを示しています。保険募集管理部 門またはその管理者が営業推進部門等・保険募集人に対して指導・研修等を実施する態 勢を確保するための、権限の付与や明確な指示を行わなければなりません。  上記のうち、「業務細則」とは、一般的には規程の下位にある細則・要領・要綱、マニュ アル、手順書・手続書などを言います。確認検査用チェックリストでは「業務細則とは、 取締役会等から授権された者又は部署が制定・改廃を行う内部規程の下位規程をいう」 とされています。「内部規程」に関しては、保険検査マニュアル「留意事項」において、「内 部規程とは、経営方針等に則り、業務に関する取り決め等を記載した保険会社内部に適 用される規程をいう。内部規程においては、手続の詳細を記載することまでは必ずしも 要さないことに留意する。」とされています。保険募集管理において遵守しなければな らない対象に「内部規程、業務細則等」の社内ルールが含まれていることを意味します。

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参照

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