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台湾の2018年度所得税法改正案、及びBEPS/租税回避防止に関する重要な最新情報について

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国際税務研究会 「国際税務」 2018 年 2 月号掲載 台湾の 2018 年度所得税法改正案、及び BEPS/租税回避防止に関する重要な最新情報について PwC 税理士法人 事業法人部 パートナー 加藤 雅規 台湾タックスデスク シニアマネージャー 林碩彥 事業法人部 マネージャー 堀越 大三郎 要旨: 1. 台湾における各種 BEPS/租税回避対策の背景 ‐ 特別税制作業部会 ‐ 各種パブリックコメント 2. CFC 制度,PEM 制度及び CRS 制度の導入 ‐ CFC 制度及び PEM 制度による影響(改正法案の状況:可決成立,未施行) ‐ CRS 制度の施行は 2019 年を予定 3. 国外の電子商取引等事業者に係る営業税の改正 ‐ 改正営業税法の施行に伴う影響の範囲 ‐ 外国事業者による税籍登録 4. BEPS 行動計画 13 に基づく移転価格文書化制度の導入 ‐ マスターファイル及び CbCR に関する新規定 ‐ ローカルファイルの同時文書化規定の改訂 ‐ 適用基準及び提出期限 5. 2018 年度の包括的な所得税法改正について ‐ 施行予定日 ‐ 法人所得税率の 20%への引き上げ ‐ 未配当利益に対する追加税率の引き下げ及び配当源泉税額からの控除の廃止 ‐ 配当源泉税率の 21%への引き上げ ‐ インピュテーション制度の廃止 ‐ 個人所得税の税率区分の削減及び各種控除額の引き上げ 6. 日本企業に対する影響 ‐ 台湾に PE を有さない日本のデジタルコンテンツ事業者の一部は税籍登録を行う必要がある。 ‐ 日台租税協定の不確実性を踏まえれば,日本の多国籍企業グループに属する台湾子会社には当該グル ープの CbCR とマスターファイルの提出が求められる可能性がある。 ‐ 2019 年以降は未配当利益に対する追加税額の配当源泉税額からの控除が認められなくなるため,台湾子 会社の 2018 年度配当方針の見直しが必要になるものと考えられる。 ‐ 日本の CFC 税制の観点からは,台湾の法人所得税率の 17%から 20%への引き上げ(実効税率 20%への 引き上げ)は,台湾子会社の受動的所得を合算対象とするか否かの判定に影響を与える可能性がある。 ‐ 日本と台湾との間の移転価格の設定は慎重に計画されるべきである。

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台湾における法改正及び各種の租税回避/BEPS 対策の背景 2017 年9月1日,台湾財政部(以下,「財政部」)は所得税法の改正草案を公表した。当該改正案は,2018 年1 月 18 日に台湾立法院の第三読会で可決され,確定した。2018 年1月1日に遡って適用開始となる見込みであ る。 近年,財政部は,経済協力開発機構(以下,「OECD」)が主導する租税回避や BEPS(税源浸食と利益移転)対 策を中心としたいくつかの取り組みを進めている。財政部は,その下部組織である台湾国税局(以下,「国税局」) と協力し,重要な BEPS 行動計画の一部に関してパブリックコメントの募集を定期的に実施したほか,2014 年4月 には両組織内に複数の特別税制作業部会を設置し,BEPS の各行動計画による様々な影響の調査を行い,それ らの提案を税制改正に反映させるよう努めている。 最新の所得税法改正案には,BEPS に関連する租税回避対策が各種盛り込まれている。これが示すように,台 湾政府は,世界的な租税協調を促進する上で中心的役割を担う OECD に加盟していないにもかかわらず,世界 的な租税回避防止への取り組みに協力しようと努力している。 今日でも台湾は日本の主要貿易相手国の一つであり,両国は友好的な関係を維持している。2017 年1月1日 から日台租税協定が適用開始となり,これにより日本と台湾の税務当局間の連携が一層進むと考えられる。これ らの法改正や対策が 2018 年以降に適用されれば,台湾で事業や投資を行う日本の多国籍企業が影響を受ける のは必至である。 本稿では,重要な税制について時系列に説明するとともに,台湾で事業を行う日本企業が認識しておくべき税 務上の取り扱いについて要約する。 CFC 制度,PEM 制度及び CRS 制度の導入 2016 年7月 12 日,立法院は,国際的な租税回避対策の動向に対応するため,租税回避対策税制,すなわち, 所得税法第 43 条の3「外国子会社合算制度(以下,「CFC 制度」)」及び第 43 条の4「事業の実質的管理の場所 に関する制度(以下,「PEM 制度」)」を追加する改正案を第三読会で可決した。 以下の説明は,CFC 制度及び PEM 制度による台湾国内・多国籍企業への主な影響を要約したものである。 被支配外国法人(以下、「CFC」) 持株比率>50% 台湾国内の営利事業者及びその関係会社の CFC に対する持株比率が合計で 50%以上,又は 50% 未満であるが当該 CFC に対して重要な影響力(人事又は財務決定権)を有している場合。 低税率国・地域 CFC所在地国・地域の税率が台湾法人所得税率の70%(現行11.9%,2018年度税制改正以降は 14%)未満である場合,又はCFC所在地国・地域では国内源泉所得に対してのみ課税される場合。 適用除外要件 1. CFC が実質的な事業活動を行っている場合。 2. CFCは実質的な事業活動を行っていないが,その利益が一定水準に満たない場合。 税務上の影響 1. 台湾国内の営利事業者は,CFC に対する持株比率に応じた当該 CFC の利益を法人所得税申告 書上,投資収益として申告しなければならない。 2. 将来において実際に配当を受けた場合,既に課税済みの CFC 所得に対しては課税されない。国 外で納付した配当源泉税額については,法人所得税申告書上で投資収益を申告した年度から5年間 にわたり外国税額控除を受けることができる。 3. 税務上の欠損金については,公認会計士の監査証明及び税務当局の認定を受けた場合に限り 10年間の繰り越しが認められている。

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事業の実質的管理の場所(以下、「PEM」) 適用対象 国の法令に基づき設立された営利事業者のうち事業の実質的管理の場所が台湾にあるもの。 3 つの判定基準 以下の3つの条件全てを満たした場合には,外国営利事業者は PEM とみなされる。 1. 意思決定を行う場所:事業運営や人事,財務に関する重要な意思決定が台湾に居住する個人, 若しくは本社が台湾国内にある営利事業者によって行われること,又は当該意思決定を行う場所が台 湾にあること。 2. 帳簿の保管場所:財務諸表,会計帳簿記録及び取締役会議事録・株主総会議事録の作成・保管 場所が台湾にあること。 3. 実質的に事業を行う場所:主な事業活動を行う場所が台湾国内にあること。 税務上の影響 上記3条件の全てを満たす外国営利事業者は,本社が台湾にある営利事業者とみなされ,以下を含 む(ただし,これらに限定されない)通常の台湾法人税課税の対象となる。  法人所得税  代替ミニマム税  未配当利益に対する 10%の追加法人所得税  源泉徴収税 立法院の意向としては,原則として,CFC と PEM の両制度を直ちに適用するのではなく,むしろ中台租税協定 が適用開始となり,金融口座の自動的情報交換のための共通報告及びデューディリジェンス基準が国際的に広 く導入され,かつ,当該両制度に係る関連規則が適切に制定,十分に支持されるのを待ってから発効させたい考 えである。 両制度の施行日は台湾行政院(以下,「行政院」)によって決定され,最短で 2018 年度中となる見通しであった が,中台租税協定合意が見送られたため,現在未定となっている。 2017 年8月,財政部は,OECD の国際基準と同様の枠組みを有する共通報告基準(以下,「CRS」)を採用する 考えを公表した。また,2017 年 11 月 16 日,CRS の関連規則である「金融機構執行共同申報及盡職審查準則作 業辦法」が最終化され、発効した。 台湾の CRS 規則は,米国で施行された FATCA 財務省規則に類似しているだけでなく,その様式や要件も OECD が定めた国際基準のものと類似している。同規則は 2019 年に適用開始となる予定である。台湾の全ての 金融機関は,当該 CRS 規則に従い,一定の口座保有者の在留資格を確認し,その金融口座情報を財政部に報 告する必要がある。台湾は,金融口座情報を日本などの OECD 加盟国との間で自動交換できない可能性がある が,「情報交換規定」に依拠することにより,特にシンガポール,日本,オーストラリア,ニュージーランド,カナダ, 英国といった主な協定相手国と当該情報の交換に努める予定である。なお,これらの諸国には台湾人が多数在 留し,台湾から多額の投資が行われている。当該 CRS 制度は,日本に多額の投資を行う台湾の個人富裕層だけ でなく,台湾の金融機関に金融口座を保有する日本人居住者に対しても影響を及ぼす可能性がある。 主な特徴:  富裕層口座の判定基準:1百万米ドルを超える金融口座  新たな口座開設手続き:2019 年1月1日より

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 個人富裕層の口座に対するデューディリジェンス(フェーズ1):2019 年末までに終了予定  その他の口座に対するデューディリジェンス(フェーズ2):2020 年末までに終了予定  情報の報告:報告義務のある金融機関は,報告対象口座に関する年次情報(口座保有者名,住所,税務上 の居住地,口座残高,入出金明細等)を6月 30 日(法人・個人所得税確定申告書の申告期限から1ヶ月後 の日)までに国税局に提出しなければならない。  情報の交換:国税局は,フェーズ1の終了後,おそらく 2020 年に,主な協定相手国との間で金融口座情報を 交換するための交渉を行う予定である。 国外の電子商取引等事業者に係る営業税の改正 従来,台湾において事業を行う一定の場所を持たない外国営利事業者が行う国際 B2C 電子商取引等につい ては,各売上高が 3,000 台湾ドル以下の場合には営業税が免除され,台湾の消費者が納税者とされていた。し かし,その一方で,B2C 電子商取引等を営む国内営利事業者に対しては,売上高に5%の営業税が課税されて いたため,国内と国外の電子商取引等事業者間では不公平な競争が生じていた。 2016 年 12 月9日,立法院は,BEPS 行動計画1「電子経済の課税上の課題への対処」の提案に対応して,「付 加価値型及び非付加価値型営業税法」の改正案を第三読会で可決した。 この国際 B2C 電子商取引等に関す る改正営業税法は 2017 年5月に施行された。台湾において事業を行う一定の場所を持たない外国事業者のうち, 台湾の消費者向けに電子情報財(台湾の消費者がインターネットやその他の電子媒体を通じて利用する音楽, 書籍,ゲーム及びその他の類似の電子コンテンツを含むが,これらに限定されない)を販売するものは,その年間 売上高が 480,000 台湾ドルを超える場合,税籍登録を行い,営業税を申告・納税する必要がある。 今後,オンラインゲーム開発業者などの国外の電子商取引等事業者,又は B2C において台湾の消費者から直 接代金を受け取るような国外のオンラインプラットフォーム事業者は,受領した金額に基づき仮払営業税を計算し, 営業税を納付しなければならない。つまり,台湾の消費者から直接代金を受領する事業者が台湾営業税の納付 義務を負う。 国外のオンラインプラットフォーム事業者が台湾の消費者に販売したオンラインゲームの代金を直接回収する 場合,その金額からプラットフォーム利用料を差し引いた残額がオンラインゲーム開発業者に対して支払われる。 オンラインゲーム開発業者は,オンラインゲームの販売時において顧客や取引に関する正確な情報を把握して いないため,オンラインプラットフォーム事業者が台湾で税籍登録を行い,受領した代金の5%を営業税として納 税しなければならない。他方,国外のオンラインゲーム開発業者が台湾の消費者から直接販売代金を受け取る 場合,当該開発業者が台湾で税籍登録を行い,受領した代金の5%を営業税として納税しなければならない。 例: ある日本のオンラインゲーム開発業者が海外のオンラインプラットフォームを通じてオンラインゲームを台湾の消 費者に販売したとする。仮に台湾の消費者が国外のオンラインプラットフォーム事業者に 100 ドルを支払い,その 後後者が日本のオンラインゲーム開発業者に 70 ドル(30%のプラットフォーム利用料を差し引いた後の金額)を 支払うとした場合,国外のオンラインプラットフォーム事業者は台湾の消費者から受領する 100 ドルの5%を営業 税として納税することになる。日本のオンラインゲーム開発業者が受領する 70 ドルは,原則として台湾の営業税 の対象とはならない。

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財政部は電子申告ポータル(https://www.etax.nat.gov.tw/etwmain/front/ETW118W/VIEW/969)を開設して おり,外国企業は上記の URL から直接オンライン登録することができる。 BEPS 行動計画 13 に基づく移転価格文書化制度の導入 多くの諸外国では,透明性を強化し,国際的な租税回避行為に効果的に対抗するため,OECD の定めるガイ ドラインに従って三層構造の移転価格文書化制度を導入している。2017 年7月 27 日,財政部は,移転価格文書 化規定を盛り込んだ「営利事業所得税非独立企業間移転価格監査準則」(以下,「TP 監査準則」)の改正案を公 表し,11 月 13 日に確定した。当該改正案は 2017 年から適用され,多国籍企業は 2018 年5月 31 日までに(12 月決算以外の法人の場合には年度末から5ヶ月以内)マスターファイルを作成し,2018 年 12 月 31 日までに(12 月決算以外の法人の場合には年度末から1年以内)マスターファイル及び国別報告書(以下,「CbCR」)を提出 する必要がある。 以下の表は,特定の基準を満たす多国籍企業に関する当該改正の重要ポイントを要約したものである。 移転価格 文書の種類 CbCR マスターファイル ローカルファイル (同時文書化) 適用基準 多国企業グループの前年度の 連結総収入金額が 270 億台湾 ドル以上(OECD ガイドラインの 基 準 に 近 似 ) 。 た だ し , 他 の CbCR が義務化されている国に 最終親会社が所在する場合に は,CbCR の適用基準はその所 在国の基準に従うこととなる(例 えば,最終親会社が日本に所 在する場合には,1,000 億円)。 台湾法人単体の総収入金額が 30 億台湾ドル以上,ただし国外関連 者との取引の絶対額が 15 億台湾 ドル未満である法人を除く。 現行のセーフハーバールールと 同じ基準になる予定。 主な記載内容 多国籍企業グループの国別の 利益/損失,資産,納付税額 及び各構成事業体が果たす主 な活動/機能 多国籍企業グループのバリューチ ェーン分析,無形資産の内容及び 金融活動 包括的な移 転価格 報告書で あ り,より詳細な開示が求められる。 提出期限 2018 年 12 月 31 日 法人所得税申告書の提出期限ま でに作成し,2018 年 12 月 31 日ま でに提出することが求められる。 法人所得税申告書の提出期限ま でに作成し,要請に応じて提出 することが求められ る(通常1ヶ 月,場合により2ヶ月の延長が認 められる)。 国外のオンライン ゲーム開発業者 国外のオンライン プラットフォーム事業者 台湾の消費者 $70 の 支 払 い $100 の 支 払 い

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なお,上記の基準により,台湾におけるマスターファイルや CbCR の提出を免除される台湾の法人であっても, 台湾以外に所在する他のグループ会社にマスターファイルや CbCR の提出義務がある場合には,台湾当局は調 査目的でマスターファイルや CbCR の提出を求めることができる。 各事業者は,移転価格情報の開示要求の高まりに対応して,グループ内の関連者間取引全体を見直し,取引 の実態に合った利益配分が行われるよう検討すべきである。 2018 年度の包括的な所得税法改正 ‐ 背景 最新の国際的動向を踏まえた上記の新税制案に加えて,財政部は,2017 年9月1日に所得税法改正案を公表 した。当該改正案の主な目的は,現行の所得税制により生じている国内の法人・個人納税者間及び国内・海外 投資家間の税の不平等を緩和すると同時に,台湾の財政上の問題を解決することである。 当該改正案は,個人所得税,法人所得税及び外国株主への課税を対象とし,2018 年1月 18 日に立法院の第 三読会を経て可決された。 ‐ 改正内容の要約 以下の表は,外国株主及び台湾国内就業外国人にとって最も重要な規定を整理したものである。 項目 現行税制 税制改正案 法人所得税率 1. 法人所得税率 17% 2. 未配当利益に対する追加税率 10% 1. 法人所得税率 20% (経過措置により,課税所得 500,000 台湾ドル未満 の法人については,2018 年は 18%,2019 年は 19%,2020 年以降は 20%と規定されている) 2. 未配当利益に対する追加税率5% 配当所得 1. 標準的な源泉税率は 20%。適用される租税協 定により軽減源泉税率を利用できる場合がある。 2. 過年度に納付した未配当利益に対する追加税 額の約 50%を配当源泉税額から控除することがで きる(ただし,一定の上限額が定められている)。 1. 標準的な源泉税率は 21%。適用される租税協 定により軽減源泉税率を利用できる場合がある。 2. 2018 年までは未配当利益に対する追加税額を 配当源泉税額から控除することができる(すなわ ち,2018 年に支払われた配当については税額控除 の利用が依然として可能)。 個人所得税率 5%から 45%の累進税率 5%から 40%の累進税率 個人所得税 控除 居住者である個人納税者は,以下の控除を受ける ことができる。 1. 90,000 台湾ドルの基礎控除(夫婦合算申告の場 合は 180,000 台湾ドル) 2. 128,000 台湾ドルの給与所得控除 3. 128,000 台湾ドルの身体・精神障害者特別控除 居住者である個人納税者は,以下の控除を受ける ことができる。 1. 120,000 台湾ドルの基礎控除(夫婦合算申告の 場合は 240,000 台湾ドル) 2. 200,000 台湾ドルの給与所得控除 3. 200,000 台湾ドルの身体・精神障害者特別控除

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所得税法改正案は 2018 年1月1日に施行された。ただし,事業年度が暦年ではない事業者の場合は,2018 年 度からの適用となる。例えば,日本の親会社と同じく 2017 年4月1日から 2018 年3月 31 日までを事業年度とする 台湾法人には現行の税制(法人所得税率 17%及び未配当利益に対する追加税率 10%)が適用される。一方で, 2018 年4月1日から 2019 年3月 31 日までの事業年度については,所得税法改正案(法人所得税率 20%及び未 配当利益に対する追加税率5%)が適用されることになる。 ‐ インピュテーション制度の廃止 今回の改正の主な目玉は,1998 年から 19 年間実施されてきた現行の「インピュテーション制度(両税合一)」の 廃止である。台湾では,基本的に,法人・個人所得に対する二重課税の影響を軽減する目的でインピュテーショ ン制度が設けられている。例えば,当該制度の下では,台湾法人が台湾居住者個人株主に税引後利益の一部 を配当する際,これに対応する法人所得税が(一定の計算式と上限額に基づく)株主控除可能税額として株主に 割り当てられる。従って,台湾居住者個人株主は,個人所得税申告の際に未払個人所得税額から当該株主控 除可能税額を控除することができる。ただし,台湾居住者法人株主の場合,受取配当額は,法人所得税申告書 上では非課税とされる。また,株主控除可能税額は,配当受取法人の株主控除可能税額記録簿(Shareholder Imputation Credit Account,以下「ICA」)の残高に計上され,将来の配当時に台湾居住者個人株主に割り当てら れる。 一方,外国個人・法人株主は株式控除可能税額や ICA の利用が認められていない。外国株主については,台 湾居住者法人から受けた配当総額に対して配当源泉税が課される。台湾居住者法人の当期利益が翌年度末ま でに株主に分配されなかった場合,当該利益に対して 10%の追加法人所得税が課される。未配当利益に対して 支払った追加税額ついては,その後,非居住者個人・法人株主に対して配当を支払う際に生じる未払配当源泉 税から一定の金額を控除することができる。なお,控除額は複雑な計算式と上限額に基づき算定される(現行税 制では,配当支払法人が納付した追加税額の 50%を配当源泉税額から控除することが可能)。 インピュテーション制度の廃止後においては,居住者個人納税者が受け取る配当所得に対して以下の2つの方 式案のいずれかにより課税が行われる。 1) A 案:配当所得のうち 37%を免税とし,残りの金額は個人総合所得に合算して課税 2) B 案:個人納税者は以下の2つのオプションのうちいずれか有利な方を選択する。オプション1では,受取配 当所得を個人総合所得に合算して課税し,そのうちの 8.5%をみなし控除額とする(ただし,各世帯につき 80,000 台湾ドルを上限とする)。オプション2では,配当所得は 28%の一定税率で分離課税される。 立法院の審議により,B 案が可決された。 ‐ インピュテーション制度廃止後の未配当利益に対する追加税額の配当源泉税額からの控除について 未配当利益に対する追加税額の配当源泉税額からの控除は,2019 年以降認められなくなる見通しである。以 下は,その影響を各年度別にまとめたものである。  2018 年においては,2016 年の未配当利益に対して(すなわち,2017 年に 2016 年の利益が株主に分配されな い場合,2018 年に)10%の追加法人所得税が課税され,納付済みの追加税額の約半分を配当源泉税額から 控除することができる。従って,追加法人所得税の実効税率は5%である。

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 2019 年においては,2017 年の未配当利益に対して(すなわち,2018 年に 2017 年の利益が株主に分配されな い場合,2019 年に)10%の追加法人所得税が課税される。ただし,配当源泉税額からの控除は 2019 年以降 認められない。従って,追加法人所得税の実効税率は 10%である。  2020 年においては,2018 年の未配当利益に対して5%の追加法人所得税が課税されるが,配当源泉税額か らの控除は認められない。従って,追加法人所得税の実効税率は5%である。 上記を踏まえて,2018 年度末までに過去の留保利益から配当を行い,当該利益に対する追加税額の配当源 泉税額からの控除を活用することが推奨される。 日本企業に対する影響 台湾で投資や事業を行う日本企業(支店又は子会社)が実施すべき項目を以下に記載する。 - 改正営業税法の施行後においては,台湾に PE を持たない日本のデジタルコンテンツ事業者が台湾の消費者 向けにデジタルコンテンツを直接販売する場合,税籍登録が必要となるケースがある。 - TP 監査準則の改正の下で,外国多国籍企業グループの台湾子会社又は支店は,前述した期限に沿ってマ スターファイルを提出する必要がある。マスターファイルは繁体中国語もしくは英語で提出することが認められ るが,税務当局は1ヶ月以内に繁体中国語に翻訳することを求めることができる。 - 現在の移転価格税制のルール案によれば,次の3つのうちのいずれかの事由により台湾国税局が CbCR を入 手できない場合には,台湾子会社または支店が当該文書を提出する必要がある。(1) 外国多国籍企業の所 在地国に CbCR の提出を求める規定がない,(2) 外国多国籍企業の所在地国と台湾との間で CbCR に関す る情報交換協定が締結されていない,(3) 外国多国籍企業の所在地国と台湾との間で CbCR に関する情報 交換協定が締結されているが,台湾国税局が期限までに CbCR を入手することができない。日台租税協定は 民間団体間での取り決めであり,このため,日本と台湾の税務当局双方が第 25 条の情報交換規定を適用し, 互いに連携して CbCR の情報交換を行うかどうかは定かではない。こうした日台租税協定の不確実性を踏まえ れば,日本の多国籍企業グループに属する台湾子会社や支店には当該グループの CbCR の提出が依然とし て求められる可能性があり,日本の親会社は当該改正案の進展に注意を払う必要がある。 - 現行の所得税法改正案によれば,2019 年以降は未配当利益に対する追加税額を配当源泉税額から控除す ることができなくなる見通しである。従って,日本の多国籍企業グループの親会社は,台湾子会社の 2018 年 度の配当方針を見直し,当該税額控除の適用の是非を検討すべきである。 - 日本の CFC 税制の観点からは,台湾の法人所得税率の 17%から 20%への引き上げは,台湾子会社の受動 的所得を合算対象とするか否かの判定に影響を与える可能性がある。この引き上げにより,台湾子会社の実 効税率は約 20%になるため,租税負担割合が 20%以上になる場合には,その各種受動的所得については 日本の CFC 税制の合算課税の対象に含めなくてもよいと一般的に考えられる。 - 日本と台湾の税務当局双方は,現行の日台租税協定の枠組みに基づき,二重課税問題を解決し,国際的租 税回避に対抗する上で連携を強化することを誓約している。このため,両税務当局間では,CbCR,マスターフ ァイル及び CRS 報告書等の各種情報の提供要請を履行すべく,文書の送交付や共同作業が一層頻繁に行 われることが予想される。このため,日本の多国籍企業とその台湾関係会社との間の移転価格の設定にあた

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- 上記にかかわらず,日本の多国籍企業は,更なる改正及び各種 BEPS 対策の進展を注意深く監視し,これら に対する備えを積極的に進めることが推奨される。

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