駆逐聖姫 春雨
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あ
ら
すじ
︼
駆逐聖姫 春 雨 は正 義 の 深 海 棲艦 であ る。 深 海 棲艦 は 世 界の海 を 支 配 す る悪 の 艦隊 であ る。 春 雨 は 人間 と海の 自 由のた め に 、深 海 棲艦 と戦うのだ !目
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│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳01 呼び 声 1 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳02 変生 9 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳03 狭間 18 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳04 覚醒 28 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳05 遊撃・ 前 編 41 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳06 遊撃・後編 53 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳07 深淵 72 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳08 姉妹 89 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳09 戦 艦レ級 101 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳10 渾作戦 115 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳11 約 束 129 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ LAST︳STAGE 優しい 世 界 149 extra operation │ │ │ │ │ │ │ STAGE︳E01 翔鶴深 改救 出 作戦 176 │ │ │ │ │ │ STAGE︳E02 クソ提 督 更 正 マニュアル 196
STAGE︳01
呼び
声
最初 に 感 じたのは浮 遊感 でした 。 続 い て 襲 う 激 痛 に 、 敵 の 奇 襲 と 判 断 し て 体 勢 を 立 て 直 そ う と す る も、立 ち 上 が る ことはできませ ん。 ﹁ ⋮⋮ ?﹂ 疑 問はすぐに 解消 さ れ ました 。 激痛 の発 生源 に 目を向 け れ ば 、 私 の両 足 は 膝上 あた り か ら綺麗 に 消 し 飛ん でいたのです 。 ﹁ あ 、 ぐ 、 うぁ⋮⋮ ﹂ ﹁ 春 雨 ぇ !?﹂ 姉 たちの 悲鳴 が 聞 こえ る。 だけど 私 はそ れ に 反応 す る ことは 出 来ませ ん でした 。 ﹃キ、ヒヒ、ヒヒ ⋮⋮ ﹄ いつか ら そこにいたのか 。 私 たち 駆逐艦よりも小柄 な体 躯。愛嬌 さえあ る笑顔。 そしてそ れら に 不釣合 いな 長 大な尾の先には 、 異形の 顎 が 備わ って いました 。 人 で も艦娘 で も あ り えない海に潜 む 異形の怪物 、人類 の天敵 。 ││深 海 棲艦。 先 月 複 数 の 鎮 守 府 が 総 攻 撃 を か け て 深 海 棲 艦 の 支 配 下 か ら 取 り 戻 した サーモン沖。 ここが 開 放さ れ たことに より、 輸送 の 効率 はそ れ までとは 段違 いに 向上 しました 。 私 た ち の 鎮 守 府 で も 駆 逐 隊 の 持 ち 回 り で 頻 繁 に 輸 送 任 務 に 駆 り 出 さ れ ていたのです 。 海 域 の 開 放か らわ ずか 一月足ら ずですが 、 そ れ までにこ ん な怪物が 出る などという 話 は 聞 いたことがあ り ませ ん。どう やら私 たちは特大の 貧 乏くじ を引 いてしまった よ うでした 。 ﹁ あああああっ !!﹂ ﹁夕立 !﹂ 村 雨 姉 さ ん と 五 月 雨 に 抱 え ら れ な が ら 私 の 両 足 を 奪 っ た そ の 怪 物 のほう を見れ ば 、夕立姉 さ ん が 突撃を仕掛 けていました 。 改 装を重 ね 、 駆逐艦 であ り なが ら重巡 並 み の火 力を誇る夕立姉 さ ん の 猛 攻 。 ですが 、今 は砲 雷 戦 仕様 ではなく 輸送任務仕様。 兵 装 は 最 低 限 の も のしか 装備 さ れ ていませ ん でした 。 ﹃ギ、ヒヒ、ヒハハハハァ !!﹄ 敵は 連装 砲の 斉射も魚雷 の 一撃も意 に 介 さず 受 け 進み ます 。 そ し て 連 撃 に よ る 一 瞬 の 硬 直 状 態 に あ っ た 夕 立 姉 さ ん を 長 大 な 尾 で 殴り飛 ばしました 。 無 造 作 な そ の 一 撃 に ど れ だ け の エ ネ ル ギ ー が 込 め ら れ て い た の で し ょ うか 。 夕立姉 さ ん の 艤装 は 一蹴 で 消 し 飛 び 、 大破してしまいました 。 ﹁ けふっ 、 けふっ 、 こ 、 このぉ⋮⋮ ﹂ 数十 メートル ほど も 吹き 飛 ばさ れ た 夕立姉 さ ん は 、 血を吐 きなが ら も立 ち 上 が ろ うとす る けど 、 体が 言 う 事を きかない よ うです 。 海に浮いてい る ことか ら辛 うじて 轟沈 は免 れ た よ うだけ れ ど 、 完 全 に戦 闘力を喪 失していました 。 この火 力 にこの 装 甲 、間違 いあ り ませ ん。 戦 艦級。 そ れも 恐 ら く 新型。 少 し周 りをよ く 見れ ば 、 艦載 機 ら しき も の も 浮 遊 してい る。 どう や ら 空 母 までい るよ うです 。 ⋮⋮ ま さ か そ れ ま で 目 の 前 の こ い つ の も の と は 思 い た く は あ り ま せ ん が 。 ﹁夕立姉 さ んを、連れ て 、逃 げて ﹂ ﹁ 春 雨 !? 何 を言 っ⋮⋮て⋮⋮ ﹂ 悲鳴 の よ うな 抗議 の 声 は 途 中で 小 さくな る。 死 相を見 て 取 ったのでし ょ う 。
私 は も う 、助 か ら ない 。 夕立姉 さ ん が先に やられ たのは 不 幸中の幸いだったか も し れ ない 。 も し健在だった ら 決して 引 くこと を しなかったでし ょ うか ら。 私 の 足 は やられ たけど 、艤装 は奇 跡的 に無 事 だった 。 な ら ば 自分 が 囮 にな る のは当然の 選択 でした 。 ﹁ は や く⋮⋮ ! 生 きて⋮⋮戻って 、 司令官 に 、 こいつの 、 こと を ⋮⋮ !﹂ そ れ で も躊躇 す る 村 雨姉 さ ん と 五月雨を腕 だけで振 り 払うと 、 私 は 這 う よ うに怪物の前に 出る。 そ れ で よ う や く 二人 は 夕立姉 さ ん のほうに 走 っていきました 。 ﹁ ご めん、 ご めん なさい 、 ご めん なさい !﹂ ﹁ は 、離 し て 五 月 雨 ! 姉 さ ん ! 夕 立 ま だ や れ る っ ぽ い ! ⋮⋮ 春 雨、 春 雨 ぇ ー !!﹂ 二 人 が 泣 き な が ら 夕 立 姉 さ ん を 引 き ず る よ う に 連 れ 差 っ て い く の を 尻 目 に 、私 は怪物に 向 き 直り ます 。 傷 口 が 焼 け 焦 げ て い て さ ほ ど 出 血 が 無 い の は 不 幸 中 の 幸 い で し た 。 おかげでしば ら くは 意識も保 つ 。 この先の 運 命 を受 け入 れ たせいか 、 気分 は 意外 なほどに穏 や かでし た 。 ﹁ 白 露型、五 番 艦、 春 雨。参り、 ます⋮⋮ !﹂ そうして 連装 砲 を向 け る私を見 て 、 少 女の 姿を した怪物は 、 いっそ 可愛ら しく 見 え る ほど 邪悪 に 微笑ん で 見 せました 。 ││ そ れ か ら。 私 は 足 だ け で な く 艤 装 を 潰 さ れ 左 腕 も 尾 の 顎 に 食 い ち ぎ ら れ ま し た 。 そして ろ くに 身動 きが 取れ なくなった 私を、 あの怪物はすぐに 沈め よ うとせず 、玩 具 を見 つけた 悪童 の よ うに散 々 に 甚 振 り ました 。 ⋮⋮そういう 嗜 好の 深 海 棲艦 なのでし ょ うか ? 生 あ る者を殺 すことと 沈める ことしか 頭 に無いあの 連 中は 、 敵 を 嬲
る な ん て余 分 なことはしなかったはずなのですが⋮⋮ 。 つ い で に 自 在 に 艦 載 機 も ど き を 操 っ て い る こ と か ら こ れ も 自 前 の も の ら しいです 。 いく ら 何で も反 則 過 ぎ る と 思 います 。 はい 。 だけどそ れも 含 め て好 都合 でした 。 どうせ も う 痛み など 感 じて も いなかったし 、 私 が 力 尽き る まで存 分 に時 間 稼ぎが 出 来たということなのだか ら。 たとえ 艦載 機 を飛 ばしたって 、 も う 姉 さ ん たちには 追 いつけないは ずです 。 目的を果 たす 事 ができた 事 に 、 私 は 最後 の 力を 振 り 絞 り、 笑みを 浮 かべました 。 ﹃ ⋮⋮⋮⋮ ﹄ そのまま 少 し も動 けなくなった 私 の 首を掴む と 、 怪物は 酷 くつま ら なそうに 見 つ め てきます 。 そして無 造 作に 私を 放 り 捨て る と 、 何 処 かへと 去 っていきました 。 私 はそのまま 。 海の 底 へと 沈ん でいきました 。 駆逐聖姫 春 雨 STAGE 01 呼び 声 ││ あ れ か ら ど れ だけの時 間 が 過 ぎたのでし ょ う 。 数 分 に も思 え る し数 ヶ月 に も感 じ られ ました 。
姉 さ ん たちは無 事 に 逃 げ 切れ たでし ょ うか ? 海の 底。溶 けかけた 意識 で 私 は 考 えます 。 あいつは 私 で 遊 びすぎた 。 高速艦 であ る駆逐艦 が 逃 げ 切る には十 分 な時 間 だったはず 。 だか ら、 そう 。 そう 、 こ れ で よ かった ん です 。 はい 。 ﹁ ああ 、よ かった⋮⋮ ﹂ 最期 にそう 心 の中でつぶ や いて 、私 は 瞳を閉 じ よ うとした 。 その時 。 ﹃││ 本当に ?﹄ 声 が 、聴 こえました 。 ﹁ ⋮⋮え ﹂ 気 が 付 けば 私 は海の 底よりも なお 暗 い 闇 の中にいました 。 ひどく 寒 くて 、 自分 が 自分 で無くな るよ うな 、 どうし よ う も なく 不 安 にな る 場所でした 。 ﹁ さ む、 い⋮⋮ 。 ここ 、 は⋮⋮ ?﹂ 考 え よ うとして も寒 さと 痛み でうまく 頭 が 働 かない 。 私 の 思考 は 、悪 夢の よ うな眩 暈 じ み たまど ろみ の中にあ り ました 。 そこに 再 び 声 が 、聴 こえてきます 。 ﹃ 本当にこのまま終 わ ってしまっていいの ?﹄ ﹁ 何 、を﹂ どこかで 聞 いたことのあ る、声。 ﹃ こ ん なとこ ろ で何の 意 味 も 無く嬲 り殺 しにさ れ て ﹄ 意 味は 、 あった 、 はず 。 私 は 、誰 かの 、 た め に⋮⋮ 。 ﹃ 無い よ、意 味な ん て 。 下ら ない 連 中のた め に ゴミみ たいに 見 捨て られ て 、 こうして 惨め に 終 わろ うとしてい る﹄ そ れ は 、違 う 。 違 う 、 はず 、 なのに 、 何 も ⋮⋮ 思 い 出 せない 。
﹃違わ ない 。違 うと 思 いたいだけ 。貴 女は 使 い捨て られ、 見 捨て られ、 そして死 ん だ ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮あ ﹂ 心 が 、 ひどく 痛 い 。 そして 寒 い 。 とて も とて も寒 い 。 ﹃ で も ね 、 そ ん なのは 認め ない 。 そ ん なの 憎 た ら しいじ ゃ ないか 。 貴 女は 、ワタシ は 、 こ ん な所で死 ん ではいけないの よ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ?﹂ 闇 の先に 、 光が 見 えます 。 いいえ 、よ く 見れ ばそ れ は光ではあ り ませ ん でした 。 闇 の中にあって 、更 に 深 い 闇。 そ れ が 炎 の よ うに 揺らめ いています 。 ﹃ さあ 、行 って 。 あ る べき 姿 に 生 ま れ変わる の ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮はい ﹂ 脚 の 無 い 私 は 這 う よ う に 闇 の 炎 を 目 指 し ま す 。 と に か く こ こ は 寒 すぎ る。 炎 に 近付 くたびに 寒 さが 薄れ、 痛み が 消 えて ゆ く 。 そのか わり に 私 の 心 に 熱 が灯 り ます 。 憎悪 という 炎 の 熱 が 。 ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ 何か ガ、 おかしい 、気 が スる。 コノ まま 進む と 、取り返 し ノ付 かないことにな るよ うな⋮⋮ 。 そ れ で も私 は 寒 さ カラ逃れる た メ に 進み続 け 、 そして 炎 の前 マデ辿 り 着いた 。 ﹃ さあ 、 そ れを 手に 取 って 受 け入 れるん だ ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ 声 に 導 か レる まま 、私 は 炎ニ触れる。 ﹁││││ ぁ ﹂ 私ガ造り変 え らレテ いく 。 より 強く 、ヨリ虚ロナ 器に 。 そして 同 時 、 と テツモ ない 熱量ヲ秘め た 憎悪 の 炎ガ私 の 心を包み こ もウト し タ。
︻ さあ 、 全て を憎め ! 君を見 捨てた 艦娘 ど もを沈めよ う !︼ ﹁ ⋮⋮⋮⋮あ 、ア﹂ ︻君を使 い捨てにした 人間 共 を皆殺 しにす るん だ !!︼ ソノ瞬間││。 ﹁誰 か 、助 けて !!﹂ ﹁ !!﹂ 私 は 炎を 吹き 飛 ばし 、 声 の 聴 こえた 生 の 世 界へと浮 上 していきまし た 。 ︻ え 、 ち ょ︼ ###TIPS TIPS 補 足 的 な 人 物 紹 介 や 本 編 と あ ま り 関 わ り の 無 い 設 定 な ど を 記 す コーナー。 読 まなくて も 特に問 題 は無い 。 春 雨 本作の主 人 公 。 超 が 三 つく ら い 付 く レベル のいい子 。 夕立 既 に改 二済み。 本来は主 力艦隊 の 一人 だが 、 激 戦区での 輸送任務 のた め一 時 的 に 遠
征部隊 に 起 用さ れ た 。 実 は 謎 の 新型 戦 艦を小 破させてい る。ドラム缶装備 で 。
STAGE︳02 変生
あ る 司 令 部 か ら サ ー モ ン 沖 に お け る 強 力 な 新 種 の 報 告 が も た ら さ れ て 一月 あま り。 同 じ よ う な 目 撃 例 や 被 害 報 告 が 他 の 司 令 部 か ら も 頻 発 す る に あ た り、 ついに 最精鋭 た る司令部 が 動 き 出 した 。 大 和型や長門型、 一航 戦などが 総出 で 出撃 し 、 狩り出 し を行 った ら しい 。 そのおかげか 最近 は 被害 報告 も途 絶え 、輸送任務も再開 さ れ た 。 だが 油断 す る べきではなかったのだ 。 決して 、 撃 破せし め たという報告が も た ら さ れ た 訳 ではなかったの だか ら。 ﹁ う 、 うう⋮⋮ ﹂ 戦 艦レ級。 司令部より そう 名付 け られ た 新 種の 深 海 棲艦 の奇 襲 に よ って 、 遠征 任務 についていた第六 駆逐隊 は 瞬 時に 壊滅状 態に 陥 った 。 暁 型 駆 逐 艦 の 末 妹 で あ る 電 は 真 っ 先 に 艦 載 機 の 爆 撃 を 受 け て 大 破 させ られ た 。 そのまま止 めを 刺さ ん と 迫るレ級より、 電を庇 って砲 撃を受 けた 長 姉暁も同 じ よ うに大破させ られる。 当た り 所が 悪 かったのか 完 全に 気を 失った 暁を、 レ級 は片手で 締め 上 げた 。 ﹁ このぉぉ !!﹂ ﹁暁を 放せ !﹂ 電 と 同 じく 爆撃を受 けなが らも、 辛 うじて中破に留ま り 武 装 の無 事 だった も う 二人 の 姉、雷 と 響 が 連装 砲 を撃 ち 続 け る。 しかし レ級 はまったく 意 に 介 した 様 子 も見 せず 、 ニヤニヤ と 薄気 味 の 悪 い 笑みを 浮かべ 続 けてい る。そして海 面 か ら長 大な尾が浮かび 上 がった 。 ﹁ あ⋮⋮ ﹂ 尾の先には異形の 顎 が 備わ っていた 。 そ れ が 涎を垂ら しなが ら 大きく 開 き 、 ゆ っく り と 見 せ 付 け るよ うに 暁 に 近 づいていく⋮⋮ 。 ﹁ ま 、 まさか⋮⋮ ﹂ ﹁やめ て ー っ !!﹂ 誰 か 。 ﹁誰 か 助 けて !!﹂ 電 は絶 望的 な 状況 に 、魂 の 底 か ら叫ん だ 。 駆逐聖姫 春 雨 STAGE 02 変生 ﹁ させませ ん !!﹂ ざば り と 。 潜水 艦 の よ うに海 面 か ら 浮 上 して 、 まず 目 に入ったのはいつかの 旧 敵が 同胞を喰ら おうとしてい る 場 面 でした 。 瞬 時に 状況を把握 す る と 、 私 は 不意を突 か れ てさすがに呆 気 に 取ら れ てい る 怪物に 向 けて 脚部 の 魚雷 発 射管を向 けました 。 そして全ての 狙 い を 尾に 向 け 魚雷を斉射 し 、 自身も ﹃ホバー﹄ を 吹 かせ 突進 します 。 奴の 装 甲の硬さは 知 っています 。
︵ で も、 たとえ 通 用しなくて も、 あ れ だけぶつけ れ ば彼女 を 手放させ る く ら いは 出 来 る はず⋮⋮ !︶ その 隙 に 肉薄 し 、 全ての火 力を叩 き 込む ! 夕立姉 さ ん の 得意技 です 。 駆逐艦 の 防御力を考 え れ ば特攻まがいの 荒 業だけど 、 奴に 多少 な り と も損傷を与 え る にはこ れ しかない ! そうして 連装 砲 ︵装 着 式 だったっけ ?︶ を構 え よ うとした 瞬間││。 大 爆 発が 巻 き 起 こ り、 怪物の尾が根元か ら 吹き 飛 びました 。 ﹃ギャアアアアア !?﹄ 怪物が 苦悶 の 悲鳴を上 げのた打ち 回る。 ﹁ え ﹂ なに 、 こ れ。 おかしい 。 私 の 雷撃 にここまでの 威力 はなかったはず⋮⋮い や、 今 は 後回 しで す 。 疑 問は 今 は 置 いておきまし ょ う 。 予定を変更 した 私 は 更 に ホバーを 吹かし 、 跳躍 す る と放 り出 さ れ た 暁 と 思 しき 艦娘を抱 き止 め ました 。 そして着水す る と 同 時 、 暁 ち ゃんを脇 に 抱 え 、 未だにのた打ち 回 っ てい る 怪物に 向 けて砲 を斉射 し 続 けました 。 ﹃ギッ、ガッ﹄ 嬲 るよ うで 少 し 心 が 痛む けど 、 手 加減 な ん て 出 来 る相 手ではあ り ま せ ん。 そ れ にこっちだって 一度 嬲 り殺 しにさ れ た ん だか ら おあいこです 。 というか無 防備 な 背 中に打ち 込み続 けてい る のに 、 大して ダメージ を与 え られ てい る様 子があ り ませ ん。 ︵や っぱ り 昼 間 では 雷撃 でなけ れ ば 有効 打は 望め ないか⋮⋮ 。 で も魚雷 は も う全弾 撃 ち尽くしてい る し⋮⋮ ︶ と 、 そ こ で 我 に 返 っ た ら し き 怪 物 が 体 勢 を 立 て 直 し て し ま い ま し た 。 可 愛 ら し い は ず の 顔 を 凄 ま じ い 形 相 に 歪 め て 睨 み つ け て き ま す 。 姉 さ ん、 夢に 出 そうです 。
﹃コロ、シテ、ヤル ⋮⋮ ﹄ 怖 いです 。 と い う か ど う 考 え て も 駆 逐 艦 が 正 面 切 っ て や り 合 う よ う な 相 手 で はあ り ませ ん。 しかし 満身 創 痍 の彼女たち を見 捨て 逃 げ るわ けに も行 きませ ん。 私 は 抱 えた 暁 ち ゃんを庇 う よ うに半 身 に 構 え 、 砲 を向 けました 。 と 。 ﹃グッ ⋮⋮ !?﹄ 怪物 少 女はいきな り 何 も 無いとこ ろ でふ らり と 躓 きました 。 体 勢 を 立 て 直 そ う と し て 更 に バ ラ ン ス を 崩 し て 倒 れ こ ん で し ま い ます 。 ﹁ そうか 、 尻尾 を 破 壊 さ れ てうまく バランス が 取れ ないのですね !﹂ ﹃グッ、クソッ、クソックソックソォッ !!﹄ さすがに 不 利 を悟 ったのか 、 彼女は も う 一度心底口惜 しそうにこち らを 睨 み付 け 、 ふ ら つきなが らも逃 げ 去 っていきました 。 そこに 更 に 追撃を加 え よ うとしたけど⋮⋮ やめ ておきました 。 今回 は奇 襲 と何 ら かの幸 運 が 重 なって 撃退 できた よ うな も の 。 まと も に やり合 った ら 太 刀 打ちでき る相 手じ ゃ ない 。 逃 げてく れる な ら深追 いは 禁 物です 。 という 訳 で⋮⋮ 。 ﹁ ふぅぅぅぅ⋮⋮ ﹂ た 、助 か り ました⋮⋮ 。 ま さ か あ ん な 怪 物 と 二 回 も 差 し 向 か い で や り 合 う 事 に な る と は 思 いませ ん でした 。 そ れ に 私 いつの 間 に ダメコン な ん て積 ん でいたのでし ょ う ? あ れ は極 め て 貴重 な も ので 、 基 本 的 に大 規 模かつ 激 戦が 予想 さ れる よ うな作戦の時にしか 使われ ませ ん。 輸送任務 で 使われる ことなど 、 あ り えないと 思 うのですが⋮⋮ 。 まぁ 、 そ れ はいった ん置 いときまし ょ う 。 次に 私 は先ほどの夢のこと を思 い 出 しました 。 思 い 返 すだけで も自分 に 腹 が 立 ちます 。
あ ん な夢 を見 たこと 自 体 、痛 恨の極 み です 。 ⋮⋮何が 見 捨て られ た 、 ですか 。 そ ん なのは 初め か ら私 が 望ん だことです 。 そ れ に 、誰 が 憎 いという ん ですか 。 私 は正 真 正 銘 本 心 か ら誰も憎ん でな ん かいませ ん。 はい ! 我 なが ら 何であ ん な夢 を見 たのでし ょ う 。 無 理 があ る に も程 があ り ます 。 まったく 。 ﹃ ⋮⋮う る さい 、 無 理 があ る のは 自分 で もわ かってた よ﹄ ﹁ え ﹂ 気 のせいでし ょ うか ? い や、 そういえば 今 はそ れ どこ ろ じ ゃ あ り ませ ん。 気 が 抜 けて 今 の 状況を すっか り忘れ ていました 。 私 は 脇 に 抱 えた 暁 ち ゃんを 両手で 抱 え 直 そうとして⋮⋮ 。 ﹁ あ 、暁を 放しなさい !!﹂ ﹁ ⋮⋮えっ ﹂ 怯えなが らも 砲 を こち ら に 向 けて 立 ちはだか る暁型、 雷 の 姿 があ り ました 。 ﹁ な 、 な ん で⋮⋮ ?﹂ 気 が 動転 してい る のでし ょ うか ? と に か く 誤 解 を 解 こ う と 雷 ち ゃ ん に 近 寄 ろ う と し て ⋮⋮ 背 後 に 衝 撃を受 けました 。 ﹁暁 ! くっ 、 大 型艦 には 見 えないのにな ん て 装 甲だ ﹂ ⋮⋮どう やら 砲 撃を受 けた よ うです 。今 のは 直撃 弾でした 。 駆 逐 艦 の 損 耗 し た 状 態 で の 砲 撃 と は い え 、私 だ っ て 同 じ 駆 逐 艦 で す 。 直撃を受 け れ ばただでは 済 まないはず 。 だというのに ﹃痛 く も痒 く も 無かった ﹄ ⋮⋮そこで よ う や く 私 は 自身 の体 を見下ろ し 、 自分 の 有様 に 気付 き ました 。 いえ 、気付 かない振 りを していただけだったのか も し れ ませ ん。 ﹁ え ﹂
生気 のない 青 白い 肌、漆黒 の 衣装、有 機 的 かつ異形の兵 装。 そ し て 喪 わ れ た 両 足 の 代 わ り に 括 り 付 け ら れ た ホ バ ー ユ ニ ッ ト を 模した 生 体兵器 。 こ れ は 。 こ れ ではま る で 、深 海 棲艦││。 ﹁ あ ﹂ 鎮守府 の 艦娘 の 間 で 囁 か れ ていた怪 談 にそ ん な 話 があ り ました 。 曰 く 、轟沈 した 艦娘 は 深 海 棲艦 として 造り変 え られ てしまうと 。 ﹁ あ ﹂ そ ん な 、 ことが 。 本当に 。 私、 は 。 ﹁ ああああああああああああああああああああ ﹂ 私 は ││。 電 は 突如泣 き 叫 び 始め た 深 海 棲艦を 呆然と 見 つ め ていた 。 胸を衝 か れるよ うな 苦悩 と絶 望 に 満 ちた 声 であった 。 見れ ば 、雷 と 響も思わ ず砲 撃を 止 め てい る。 突 如 現 れ、 絶 望 的 と す ら 思 わ れ た 強 大 な 戦 艦 レ 級 と 同 士 討 ち を 始 め、 あっさ り と 追 い散 ら した 謎 の 深 海 棲艦 ⋮⋮ 。 ﹁ いえ 、違 うのです ﹂ あ れ はどう 見 て も、 どう 考 えて も。 自分 たち を助 けてく れ たとしか ││。 ﹁ ⋮⋮なのです !﹂ 電 の 心 は決まった 。 半 壊 し た 推 進 ユ ニ ッ ト を 目 い っ ぱ い 吹 か す と 謎 の 深 海 棲 艦 目 が け て 接近 す る。
﹁電 !?﹂ ﹁ 無 茶よ !﹂ 姉 の 心配 す る声 が 聴 こえ る が 、心配 はい ら ない 。 電 に は も う 、 眼 前 の 深 海 棲 艦 が 危 険 な 相 手 と は ど う し て も 思 え な かった 。 そうして 暁を抱 えてうずくま る深 海 棲艦 の側まで 肉薄 す る と ││。 ﹁ ⋮⋮ 逃 げて !﹂ ﹁ えっ ?﹂ そ れ だ け を そ っ と 告 げ て 即 座 に 離 脱 し 、姉 た ち の も と に 向 か っ て 行 った 。 ハッ と 、背を向 け る電 に 顔を向 け る深 海 棲艦。 ﹁ は わわわわ、 砲が 壊れ てて弾が 出 ないのです !﹂ ﹁も う 、ド ジ な ん だ か ら ! 大 破 し て る ん だ か ら 貴 女 は 下 が っ て な さ い !﹂ ﹁二人 と も、 そこまで 。 敵か ら目を離 さないで !﹂ 呆 然 と そ ん な や り 取 り を 見 つ め て い た 謎 の 深 海 棲 艦 は ⋮⋮ 暁 を 静 かに海 面 に 下ろ し 、 彼女たちに 背を向 けて 走り去 っていった 。 第六 駆逐隊も またそ れを少 しの 間 呆然と 見送 っていたが 、 や がて慌 てて 自分 たちの 姉を回収 しに 走 った 。 ﹁ に 、逃 げたのかし ら ⋮⋮ ?﹂ ﹁追 う の は ⋮⋮ ど う 考 え て も 無 謀 だ ね 。一 度 引 き 返 し て 司 令 官 に 報 告 し よ う ﹂ ﹁ ⋮⋮なのです ﹂ そ れ か ら 帰 路 についていた第六 駆逐隊。 しば ら くしてふと 響 がつぶ や いた 。 ﹁ ⋮⋮ 今度会 った ら お礼 を言わ ないとね ﹂ ﹁ は わ っ !?﹂ 飴玉を喉 に 詰 ま ら せた よ うな 変声を上 げ る電を 横 目 に 、 暁を背負 っ た 雷も口を出 す 。
﹁ ご めん なさいが先 よ。後 で 暁 に も事情を説明 しておかないとね ﹂ ﹁ は わわわ っ !?﹂ ますます テンパる電 に 、二人 の 姉 はくすくす 笑 うのだった 。 ﹃イタイ、イタイイタイイタイ、イタイヨウ ⋮⋮ ﹄ こ ん なに 痛 い 思 いはしたことがない 。 ﹃アイツ、アイツダ ⋮⋮ ﹄ あ ん なに強い奴には 遭 ったことがない 。 ﹃ギ、ヒヒヒヒヒ ⋮⋮ ヒヒヒ ⋮⋮ ヒヒヒ ⋮⋮ ﹄ こ ん なに 惨め で 悔 しい 思 いは味 わ ったた め しがない 。 ﹃ゼ ッ タ イ、ゼ ッ タ イ ゼ ッ タ イ ゼ ッ タ イ ゼ ッ タ イ ゼ ッ タ イ ゼ ッ タ イ ⋮⋮ ﹄ 許 さない 。 ﹃コロシテヤル ⋮⋮ !﹄ 胸 が 熱 くて 、苦 しい 。 ###TIPS 第六 駆逐隊 余 程 の アクシデント がない 限り、 南 方 海 域 で 任務を こなせ る程度 の 錬度 はあ る。 基 本 的 に春 雨級 のいい子 軍団 なので 、雷 と 響も程 なく 気付 いた 。 ちな み に 暁 と 響 はこの 少 し 後、再 改 装 さ れる ことにな る。
サーモン沖 未だ 開 放さ れ たばか り であ り、 レ級出現以 前 も 危 険 な海 域 ではあっ た 。 ここでの 輸送任務 はかな り の ハイリスク・ハイリターン。 本作においては 成功 させ れ ば海 域 攻略並 み の 功 績とな る。 レ級出現後 はなおの 事 であ る。
STAGE︳03 狭間
私 は呆然としなが ら、 海の 上を漂 っていました 。 混 乱と絶 望 で何 も考 え る ことができませ ん。 な ん で 、 どうして 、私 がこ ん な 目 に 。 私 だって 、 小型艦 とはいえ 軍艦 です 。 戦いの中で 沈む覚悟 く ら い 出 来ていました 。 で も、 こ れ は 、 こ ん なのはあ ん ま り です 。 ﹁姉 さ ん。私、 こ れ か ら、 どうした ら いい ん でし ょ う⋮⋮ ﹂ 思わ ず弱 音を口 にしてしまう 。 こ こ に い な い 、 恐 ら く は も う 二 度 と 会 え な い 姉 た ち に 縋 っ て し ま う 。 そ ん な時 、 またあの ﹃声﹄ が 聴 こえてきました 。 ﹃ ど う も し な く て い い ん だ よ。 こ の ま ま 心 を 閉 ざ し て 堕 落 し て し ま え ばいい ﹄ さすがに も う 気 のせいだとは 思 いませ ん。 私 は八つ当た り の よ うにその ﹃声﹄ に 怒鳴 ってしまいます 。 ﹁ さっきか ら ! いったい 貴 女は何な ん ですか !?﹂ そ れ に 対 して ﹃声﹄ は 冷静 に 、 そしてどこか呆 れ た よ うな 調 子で答 えました 。 ﹃ まだ わ か ら ないの ? そ れ と も分 か ら ない振 りを して る だけ ? さっき み たいに ﹄ ﹁ ⋮⋮っ ﹂ ﹃声﹄ はくすくすと 、小馬鹿 にした よ うに 笑 います 。 そして 、聞 きたくなかった答え を突 きつけてきました 。 ﹃ワタシ は 貴 女 。貴 女か ら分 か れ た も う 一人 の春 雨 だ よ﹄駆逐聖姫 春 雨 STAGE 03 狭間 何となくそ ん な 気 はしていました 。 聞 き 覚 えのあ る声。 そ ん なの当然です 。自分 の 声 なのだか ら。 ﹃ 本 当 は ワ タ シ 達 が 深 海 棲 艦 に な っ た と き 、貴 女 と 人 格 が 入 れ 替 わ る はずだったのだけ れ ど ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ ﹃ ⋮⋮まったく 、 あの イカレ た戦 艦も少 しは空 気読ん で欲しい よ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ ﹃ あ ら、 まただ ん ま り ?﹄ わ か ら ない 。 だってこの ﹃声﹄ が 私 だというのな ら。 な ん で 。 ﹁ 何で 、深 海 棲艦 にな ん てなったの⋮⋮ ?﹂ 意識 せず 、 ぽつ り と 漏れ た問い 。 しかし ﹃声﹄ の答えは 明確 でした 。 ﹃ そ ん なの 、二度 と 沈み たくなかったか ら に決まって る でし ょ う ﹄ 沈み たくない 。 そ れ はそうでし ょ う 。 私 たち 艦娘 の 原型 となった 帝国 海 軍 の 軍艦 たち 。 その数は数 多 あ れ ど 、 かの大戦 を 終戦まで 沈 まずに 生 き 延 びた モノ は決して 多 くあ り ませ ん。 中には 言葉 に も出 来ないほど 悲惨 な 最期を迎 えた 艦も あ り ます 。
沈み たくないという 気持 ちは 痛 いほどに 分 か る。 け れ ど 。 ﹁仲間を、 姉 さ ん たち を、 敵に 回 してまで 生 き 延 びたかったのですか ﹂ ﹃ ⋮⋮そ れ は ﹄ 初め て ﹃声﹄ が 動揺 した 様 子 を見 せました 。 ﹁貴 女は 姉 さ ん たち を、人間 たち を憎ん でい る の ?﹂ ﹃ そ れ は 違 う ! ワタシ はただ 生 き 延 びたかっただけだ よ。 深 海 棲艦 にな る には 負 の 感情 が 必要 だったか ら ⋮⋮ 。 ⋮⋮あの時の やり方 が ろ くで も ない手だったことは 認めるよ。 私 だって本当は 見 捨て られ たな ん て 思 ってない 。 姉 さ ん たちのこと も 全然恨 ん でな ん か 、 ない よ﹄ しど ろも ど ろ に 弁解 しだす も う 一人 の 私。 ああ 。 何となく 分 か り ました 。 この子はきっと 、 私 の本 能 の よ うな 部分 が 人 格 を持 った存在なので し ょ う 。 死に 瀕 していた 私 たちの命 を 繋ぐた め に 。 溺れる者 が 藁をも掴むよ うに 、 目 の前に 現れ た手 段 に 飛 びついてし まっただけ 。 も しかした ら、 怨 念 の み で 動 いてい る と 思 っていた 他 の 深 海 棲艦も そういう モノ なのか も し れ ませ ん。 ただ死にたくない 、 沈み たくない 、 という よ うな本 能や原始的 な 感 情 で 動 いてい る だけ 。 だか ら話も通 じない 。 私も、 あの時 電 ち ゃん の 声 が 聴 こえなけ れ ば ﹃ そう ﹄ なっていたの でし ょ うか 。 ﹃ とにかく ! なっち ゃ った も のはし ょ うがないでし ょ う ! こ れ か らワタシ は 深 海 棲艦 として 生 きていくの ! 姉 さ ん た ち と は 戦 わ な い で あ げ る か ら、 さ っ さ と ワ タ シ と 入 れ 替 わ って よ !﹄ ⋮⋮はあ ? 私 の 思考 はあま り に も おばかさ ん な ﹃声﹄ にかき 消 さ れ てしまいま
した 。 ﹁ ⋮⋮ 馬鹿 なこと を言わ ないでください 。 姉 さ んや司令部 の 仲間以外 の 艦 だって 、 大 切 な 友軍 です 。 敵に 回 すな ん て 有り得 ませ ん﹂ ﹃ はあ ? そ れ じ ゃ同 じ 深 海 棲艦を 敵に 回 すの ? こ れ か ら 先ずっと ? たった 一人 で何の支 援も補 給 も なく ?﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ ﹃ そ れ と も この 姿 で 鎮守府 に帰 還 して みる ? 万 が 一 にで も、受 け入 れ てく れる と 思 って る ?﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ ⋮⋮どち らも 無 理 に決まっています 。 この体と兵 装 はあの戦 艦級 の 新型 とす ら まと も に渡 り合 えました 。 恐 ら く は 姫 級 か 鬼 級、 あ る い は そ れ に 近 い 性 能 を 持 っ て い る の で し ょ う 。 しかしそ れ で も、 補 給無しに戦い 続 け る ことはど ん な 艦 だって 不可 能 です 。 ですが 、鎮守府 に戻 る のは 論外 です 。 ⋮⋮ 実際 のとこ ろ、 受 け入 れ てく れる可能 性はそこまで低くないと 思 っています 。 うちの 司令官 は 少 し 変わり者 ですけど 、 とて も仁義 に 厚 い 方 ですか ら。 事情を話 せば 分 かってく れる か も し れ ない 。 ですが 、 人類 の怨敵であ る深 海 棲艦を 匿うなど 、 たとえうちの 司令 官 が 許 して も 周 囲 が絶 対 に 許 しませ ん。 鎮 守 府 に 戻 れ ば き っ と あ ら ゆ る 意 味 で 迷 惑 を か け て し ま う 事 に な る でし ょ う 。 ⋮⋮⋮⋮ 詰ん でますね 。 ﹃ ⋮⋮ ま ぁ 私 だ っ て 別 に 、 ど う し て も あ の 薄 気 味 悪 い 連 中 の 仲 間 入 り がしたい 訳 じ ゃ ないけどね 。 ま ぁ 好 き に す れ ば い い よ。 ど の 道 す ぐ に 絶 望 す る に 決 ま っ て る ん
だか ら。 で も その体はいず れワタシ の物にな るん だか ら、 何 やろ うが 勝 手だ けど 沈む のだけは 勘弁 して よ ね ﹄ 勝 手なこと を言 うと 、 も う 一人 の 私 は 溜 息 を付 いてそ れ き り黙り ま した 。 ⋮⋮いったい 誰 のせいで 、 こ ん な 事 になったと 思 ってい る のでし ょ うか 。 ﹁ はぁ⋮⋮ 。 本当に も う 、 どうしまし ょ う ﹂ ひっそ り と無 人島 でで も隠棲 す る しかないのでし ょ うか 。 まぁ 、 ろ くで も ない 同 居 人 とはいえ 、 話を していた ら少 しは 心も落 ち着いてきました 。 やれる だけのこと をやる しかないのでし ょ う 。 たとえど ん な 姿 に 変わ ってしまったとして も。 そ れ か ら 数時 間。 私 は未だに当て も 無く大海 原 の 上を 彷 徨 っています 。 既 に 陽 は 沈み かけ 、 海 面を真 っ 赤 に 染め上 げていました 。 同 居 人 は 今 だ 沈 黙 を 保 っ た ま ま で す 。 ひ ょ っ と し て 寝 て い る の で し ょ うか 。 と 。 ﹃ん。五 時の 方角。距離3﹄ ﹁ ⋮⋮な ん ですか 、 そ れ﹂ ずっとだ ん ま りを 決 め込ん でいたと 思 った ら、 訳 の 分 か ら ないこと を言 い 出 しました 。 ﹃深 海 棲艦。ワタシ達 の 同胞 だ よ。 ええと 、駆逐級 が数体だけね 。 偵 察部隊 か何かかな ﹄ ﹁ え ﹂ 慌てて 言われ たとお り の 方角 に 目を向 け れ ば 、 確 かに数 キロ 先に異 形の影が 見 て 取れ ました 。 しかし 、 電探も 索敵機 も ないのに 一 体どう や って 深 海 棲艦 の存在 を
察知 したのでし ょ うか 。 そ ん な 私 の 疑 問 を察 したのか 、 同 居 人 ⋮⋮ ワタシ が楽しそうに答え ます 。 ﹃ワタシ は 深 海 棲艦 の中で も上 位種として 造られ た ん だ 。 だか ら、下 位の存在の 動向 は何となく 把握 でき る。 特に 駆逐艦 に 対 しては大きな 管理 権 限を持 ってい るん だ よ﹄ 同 居 人 は や た ら得意 げに答えます 。 上 位種 。 や は り姫級 か 鬼級 ということでし ょ うか 。 そ れも駆逐艦 の 。 駆 逐 級 の そ れ ら が 存 在 し た と い う 話 は 聞 い た こ と が あ り ま せ ん が ⋮⋮ 。 ⋮⋮で も まぁ 、通 常の 深 海 棲艦 の 駆逐級 は 。 見 た 目 がその 、 正 直アレ なので 助 かったのか も し れ ませ ん。 ﹃丁度 いい 。行 って 、会 って み な よ﹄ ﹁ えっ ?﹂ ﹃今 の 貴 女 に と っ て 深 海 棲 艦 と い う も の が 本 当 に 敵 な の か 、確 か め て みれ ばいい ﹄ ﹁ ⋮⋮ ﹂ ワタシ の 言葉を鵜 呑 み にす るわ けではあ り ませ ん が 、 会 って みる と いうのは 確 かにひとつの手か も し れ ませ ん。 鎮守府 か ら の支 援 が 受 け られ ない 以上、 どこかで 補 給の 目処を立 て なけ れ ばな り ませ ん。 首 尾 よ く 深 海 棲艦を通 して 補 給 を受 け る ことができ れ ば 、 当 面燃料 切れ で 動 けなくな る事 態は 避 け られる のですか ら。 敵か ら補 給 を受 け る というのは 複雑 な 気分 ですが 、 背 に 腹 は 変 え ら れ ませ ん。 同胞 に敵 対 す るわ けではないのですか ら、 別に大 丈 夫 。 ⋮⋮という 事 にしておきまし ょ う 。 はい 。 という わ けで 、私 は 深 海 棲艦 のほうへ 向 かいました 。 既 に 距離 は砲 撃 戦が 可能 なほどにまで 狭 まっています 。 ええと 、 まずは や は り。
﹁ こ 、 こ ん にち わ ?﹂ 巨 大 な 魚 の 頭 部 だ け を そ の ま ま 怪 物 に し た か の よ う な 姿 の 駆 逐 イ 級。 その数 四 体 。 今 まで砲弾 や魚雷を叩 きつけ る だけだった存在に 対 して 、 私 は 初め て挨 拶を してしまいました 。 さて 、 どうな る こと やら。 諞 主 測 貅 コ 谿 コ 謔 ェ 謔 イ 螢 企 が 諤 堤 汲 豁 サ 貊・ 協 豐 郁。 ?轣 ォ 蟇 貞ッょヲャ鬯シ 不 明 な ユ ニ ッ ト と の 接 触 を 確 認。デ ー タ ベ ー ス に 該 当 ユ ニ ッ ト な し 。 外観 か ら深 海 棲艦 と 推 測 。 照 合開始。 >>> class ? >>> destroyer:OK. . . . . . . . . . . . >>> grade ? >>> normal : NG >>> elite : NG >>> flagship:NG. . . . . . . . . . . . >>> extra︳grade ? >>> demon : NG >>> princess : ERRO R !! >>> ghost:NG. . . . . . . . . . . . ⋮⋮ 対象を 敵性体 ︻艦娘︼ と判 断。 攻 撃開始。 諞 主 測 貅 コ 谿 コ 謔 ェ 謔 イ 螢 企 が 諤 堤 汲 豁 サ 貊・ 協 豐 郁。 ?轣 ォ 蟇 貞ッょヲャ鬯シ
﹁ ⋮⋮で 、管理 権 限 が何でしたっけ ?﹂ 深 海 棲艦 たちの砲 撃雷撃を回避 しつつ 、 そ ん な 皮肉 が 思わ ず 口 に 出 てしまいました 。 あ れ だ け 得 意 げ に 言 っ て お い て こ の 状 況 な の で す か ら 別 に い い で す よ ね 。 はい 。 エリート級 です ら ない 最下級 の 駆逐艦 の攻 撃 ですか ら、 今 の体な ら 当たった所でどうと 言 う 事 はないのですが 。 補 給の当てが潰えた 以上、 無 駄 な 損耗 は 出 来 る だけ 避 けなくてはい けませ ん。 ﹃ そ ん な バカ な⋮⋮どうして彼 ら が ワタシ に攻 撃を ⋮⋮ ﹄ ひ ょ っ と し た ら ワ タ シ が 私 を 嵌 め よ う と し た の か と も 思 い ま し た が 、 この 状況 は彼女にとって も予想外 の よ うでした 。 ﹃私 は 駆逐艦 の 、深 海 棲艦 のお 姫様 なのに !!﹄ ⋮⋮ 。 痛 い 、 です 。 何故かすごく 、心 が 痛 いです 。 何故か急に 、 ワタシ が 私 と 同 じ 自分 であ る ことが 許 しがたくな り ま した 。 ﹁ ⋮⋮とにかく 、 こうなった 以上 は 倒 してしまいます よ ?﹂ 数体とはいえ 最下級 の 駆逐艦。 ワタシ曰 く 姫級 の 私 が彼 らを 全 滅 させ る のに 、 一分 とかか る ことは あ り ませ ん でした 。 最後 の敵に砲 撃を叩 き 込ん で 撃沈を確認 したこ ろ、 ワタシ が 叫 びま した 。 ﹃ そうか ! や っぱ り貴 女のせいだ よ !﹄ ﹁ ⋮⋮はぁ ?﹂ ﹃貴 女 が 現 実 を 受 け 入 れ な い で 深 海 棲 艦 化 を 拒 む か ら、 彼 ら も ワ タ シ 達を同胞 と 認識 できない ん だ !﹄ ﹁ ⋮⋮そうですか ﹂
﹃ という わ けで 、今 すぐ 深 海 棲艦 になって よ !﹄ ﹁嫌 です ﹂ 結局そういう結 論 に 行 き着く 訳 ですか 。 ﹃ そ れ じ ゃ 本当に 深 海 棲艦も艦娘も 敵に 回 すつ もり なの ? そ れ で 生 き 残れる と本 気 で 思 って る ?﹄ ﹁ ⋮⋮ 仲 間 を 裏 切 る く ら い な ら、沈 む ほ う が マ シ に 決 ま っ て い る で し ょ う ﹂ ﹃ この 意 地っ張 り !﹄ 意 地 、 という より は 投 げ やり、 が 近 いのでし ょ うか 。 考 えて みれ ば元 々沈ん だ 身 です 。 座 して 二度目 の死 を待 つつ もりも あ り ませ ん が 、 いつ 沈も うと も私 はそ れを受 け入 れる のでし ょ う 。 そう 考 え れ ば 気分も だいぶ楽になってきました 。 さて 、陽も完 全に 沈み ました 。 夜間 の戦 闘 の危 険 性 を考 え る と 、 今日 のとこ ろ はそ ろ そ ろ休み たい です 。 どこかに 適 当な 陸 地はない も のでし ょ うか 。 ﹁ ああ 。 で も、 ただ死ぬく ら いな ら ⋮⋮ 。 沈む までに 、私 は 私 に 出 来 る だけの 事をや って み まし ょ う ﹂ ###TIPS 深 海 棲艦 通 常兵器無 効も しくはほぼ無 効。 総 じて 、希薄 な 自我 と崩 壊 した 理 性しか 持 たない 。 その中で も駆逐級 は極 め て簡 易 で機 械的 な判 断 しかできない 。 以上 の 理 由か ら、講和 はお ろ か 対話 す ら不可能 とさ れ てい る。
上 位種 ご存 知原 作におけ る姫や鬼、 水 鬼級 のこと 。 通 常種と 比 べ 多少 の 自我を持 ち 言葉も話 す 。 しかし 理 性は 憎悪 と 狂気 に 飲 ま れ てい る。 諞 主測 貅∼ 投 稿 ミス ではあ り ませ ん。
STAGE︳04 覚醒
﹁ こ れ で⋮⋮終 わり です !﹂ 艦載 機に よる爆撃を 潜 り抜 けて敵空 母 に 肉薄 す る と 、 私 は 喪 った 腕 の 代わり に 括り付 け られ た 連装 砲 を至近距離 か ら叩 き 込み ます 。 私 た ち か ら は ヲ 級 と 呼 ば れ る ほ ぼ 人 の 姿 を し た そ の 空 母 級 の 個 体 は 、巨 大な 頭部ユニットを 吹き 飛 ばさ れ なが ら沈ん でいきました 。 今 では も うお 馴染み となった 、 武 装 の 貧 弱な 駆逐艦 が 効率的 に火 力 を叩 き 込む た め の 肉薄 戦 法。 私 の 錬 度 で は 姫 級 が 持 つ こ の ス ペ ッ ク だ か ら こ そ で き る 荒 業 な の ですが 、 こ れを 正 真 正 銘 ただの 駆逐艦 の 身 で何 度も 繰 り返 していた 夕 立姉 さ ん はいったい何 者 なのでし ょ うか 。 と も あ れ、 空 母を 潰したことで敵の制空権は無 効化 しました 。 後 に 残る のは 駆逐級 と 軽巡級、 そして 今回 の 私 の 目 当てであ る輸送 艦 だけ 。 ほどなくして 私 は敵 輸送部隊を壊滅 させました 。 駆逐聖姫 春 雨 STAGE 04 覚醒 あ れ か ら お よ そ半 月後。私 は サーモン 海 域を離れ、 ここ南 西諸島 海 域 に 移動 しました 。 ここはその中で も 東 部オリョール 海と呼ば れる 海 域 です 。 別 名 資 材 の 宝 庫 と も 言 わ れ る こ こ に は 様 々 な 資 源 が 今 も 手 付 か ず で眠っています 。 南 西 諸 島 海 域 は だ い ぶ 前 に 各 鎮 守 府 の 活 躍 に よ り 開 放 さ れ ま し た が 、完 全に 安 全な海に戻った 訳 ではあ り ませ ん。 深 海 棲艦 にとって も ここの 資源 は 魅力的 なのでし ょ うか 。 影 響力 こそ 以 前に 比 べ 激減 しましたが 、 今 で も深 海 棲艦 に よるゲリ ラ的 な 襲撃 があ り ます 。 そ の た め 資 源 は 豊 富 で あ っ て も 非 武 装 の 輸 送 船 に よ る 大 規 模 な 輸 送 は 困難 なのです 。 ⋮⋮という 訳 で ﹁見 つけた 資 材は 自分 の も の ﹂ という 取り 決 め が 鎮 守府 の 間 には存在します 。 要 す る に 、 資源 が欲しけ れ ば 自分 たちで戦って 適宜持 ち 運 べ 、 とい うことです 。 今回 は 私も そ れ が 目 当てでここに や ってきたのです 。 といって も私 の 狙 いは 資源 その も のではあ り ませ ん が 。 私 は先ほど 撃 破した敵 輸送艦 が 沈む 前に 、 輸送ユニット だけ を切り 離 して 回収 しました 。 そして中 身を 改 め ます 。 ﹁よ っ 、 と 。 う ん、今回 は大 漁 ですね 。 こ れ だ け あ れ ば し ば ら く は 燃 料 と 弾 薬 の 心 配 は な さ そ う で す 。 は い ﹂ こ れ こそが 私 の本当の 目的 です 。 まぁ 、 つま り。 自分 でちまちま 燃料を掘り出 す より、 敵の 輸送部隊 が 集め た も の を 丸ごといただくほうが 効率的 ということです 。 ﹃ ⋮⋮えげつな ー﹄ ﹁ う る さいです ﹂ 正 直私も ち ょ っと 心 が 痛み ますけど 、 鎮守府 にいた 頃 はこういった 海 賊 まがいの作戦が 頻 繁に 行われ ていたじ ゃ ないですか 。
⋮⋮あ 、底 のほうに 修復 剤まであ り ます 。 こ れ は 助 か り ますね 。 ﹃ あ あ 、 そ う い え ば よ く う ち の 潜 水 艦 隊 が ゲ ス 顔 で 敵 の 輸 送 ユ ニ ッ ト を担 いで 持 って帰ってきてたっけ ﹄ ﹁ 別に 、 そ ん な 顔 はしてなかったと 思 いますが⋮⋮ ﹂ ﹃ し か も そ れ が 効 果 的 だ と 知 ら れ て か ら は 各 鎮 守 府 が 一 斉 に 強 奪 部 隊 を送り込ん で⋮⋮ ﹄ ﹁ 大 本 営 か ら 正 式 な 作 戦 任 務 と し て 認 可 さ れ て 、 し ま い に は 輸 送 艦 に 付 いたあだ 名 が ﹃オリョール の 泳 ぐ 宝箱﹄ ⋮⋮ 本 当 に 、 何 で 深 海 棲 艦 は こ こ か ら 引 き 上 げ よ う と し な い の で し ょ うか ﹂ 完 全に利敵 行為 しかなってない 気 がす る のですが 。 まぁ 、 現状 そ れ に 助 け られ てい る私 が 気 にす る ことで も あ り ませ ん か 。 と 。 ﹁││ っ ﹂ 眩 暈 がして 意識 が 一瞬落 ちかけました 。 最 近 は ろ く に 寝 て い ま せ ん で し た か ら 疲 労 が た ま っ て い る の か も し れ ませ ん。 戦 闘 時の細かな ダメージも少 しずつ 蓄 積さ れ てますし 、 今日 のとこ ろ は 早め に 休み まし ょ う 。 私 は 輸送ユニットを担 ぎつつ 、 当 座 の 野営 場所としてい る小島 に帰 投 しました 。 ⋮⋮その 上 空 を一 機の偵 察 機が 巡回 していたことに 、 このときの 私 は 気付 くことが 出 来ませ ん でした 。 ﹁ こ れ は⋮⋮ 新型 の 輸送艦、 でちかね ?﹂ 偵 察 機か ら の 視 界と リンク した潜水空 母型 の 艦娘、 伊58 は海中で
首を傾 げた 。 視 界 に は 一 体 の 深 海 棲 艦 が 、輸 送 ユ ニ ッ ト を 担 い で 何 処 か へ と 向 かっていく 様 子が映し 出 さ れ てい る。 基 本は 人型 だが 、 脚部 が太 腿 の半ばか ら切除 さ れ、 替わり に ホバー ユニットら しき も の を装 着していた 。 今 までに 見 たことのない タイプ だった 。 ﹁ う ー ん、 そ れ と も 撃 沈 さ れ た 輸 送 艦 の 物 資 だ け を 回 収 し に き た 巡 洋 艦 ?﹂ 軽巡 か 雷巡 あた り であった場 合、 強 力 な 対 潜攻 撃能力を持 ってい る 可能 性が 高 い 。 う か つ に ち ょ っ か い を か け れ ば 手 痛 い し っ ぺ 返 し を 喰 ら う 危 険 性 も あったが⋮⋮ 。 ちな み に 駆逐艦 という 可能 性は 、 深 海 棲艦 のなかで 人型 の 駆逐艦 と いう も のが 一度も確認 さ れ ていないた め、最初 に 除外 していた 。 ﹁ ま 、 何 に せ よ 相 手 は 一 体 だ け で ち 。 全 員 で 一 気 に 沈 め て し ま え ば 関 係 ないでちね 。 今日 は稼ぎ も少 なかったことでち 、 本 日最後 に も うひと稼ぎす る で ちか 。 ⋮⋮ 潜 水 艦 隊、 こ れ よ り 攻 撃 を 仕 掛 け る で ち 。準 備 は い い で ち か ?﹂ ﹁168、了解﹂ ﹁19、了解 したの ー﹂ ﹁8 っち ゃん、了解 した よ﹂ 伊58 と 同 じく海中のどこかに潜 ん でい る僚艦、 伊号 潜水 艦 たちの 声。 そ れを聞 いた 伊58 はひとつ 頷 くと 、 幼い 容貌 には 不 似 合 いな 、 獰 猛 な 笑みを 浮かべた 。 ﹁OK、 そ れ では 狩り の時 間 でち ﹂
既視感を覚 え る 浮 遊感 と 衝撃。 突如、 何 処 か ら か や ってきた 雷撃 の 直撃を受 けた 私 は 、 輸送ユニッ トを担 いだまま 、爆風 で数 メートル ほど吹き 飛 ばさ れ ました 。 派手に 飛沫を立 てなが らホバーを 制 御 し 、 何とか体 勢を立 て 直 した とこ ろ で 、ワタシ の焦 りを滲 ませた 警 告が 聞 こえます 。 ﹃ソナー に 感 ! 更 に 魚雷 が 接近 して る !﹄ ﹁ くっ !?﹂ 視認 でき る範囲 に 艦 影は 見 えませ ん。 潜水 艦 か 、 遠距離雷撃 が 可能 な 重雷装艦 か 。ソナー に 表 示さ れ た 魚 雷 の水 深を考 え る と 、 潜水 艦 ですか 。 こ の 海 域 に 潜 水 艦 型 の 深 海 棲 艦 が 出 た と い う 話 は 聞 い た こ と が あ り ませ ん。 ついでに 言 えば 、 お よ そどこの 司令部 であ れ、 この オリョール 海で も っと も 戦 果を挙 げてい る のが潜水 艦部隊 です 。 恐 ら く 相 手は 、艦娘。 ﹁ とな る と 、爆雷 は 使 えませ ん か⋮⋮ ﹂ ﹃ ち ょ っ と 、 本 気 !? オ リ ョ ー ル の 潜 水 艦 隊 の 恐 ろ し さ を 知 ら な い わ けじ ゃ ないでし ょ !?﹄ ﹁ だか ら こそです ! この 雷撃を しのいだ ら 全 速力 で 逃 げます よ !﹂ オリョール・クルーザー。 オリョール 海 を 中 心 とした南 西諸島 海 域 での 資 材の 収集、 略奪 を 主 な 任務 とす る 潜水 艦隊。 そ れ が 存 在 す る 艦 隊 で あ れ ば 、 ど こ で あ っ て も ま ず 最 精 鋭 で あ り、 資 材 運 用の大 部分を 支え る艦隊 の大 黒柱。 その キ○○イ じ み た 錬度 と戦 闘 経 験 は 、 今 の 私 にす ら 全く 気取ら せ る ことなく奇 襲を成功 させたことか らも 伺えます 。 たとえこの 姫級 の 身 であって も、 まと も に 相 手 取る のは 分 が 悪 い 相 手です 。 まぁ 、 そうでなくと も 元 同胞 に攻 撃 な ん て絶 対 にしませ ん けど 。
﹁ ⋮⋮ バカ な 。直撃 でち よ !?﹂ 百戦 錬磨 の 伊58 が 思わ ず 動揺 した 。 直撃 す れ ば戦 艦 の エリート級 す ら軽 くて中破に 追 い 込む、 伊58自 慢の 、 お り こうさ ん魚雷 に よる必殺 の 雷撃。 その 直撃を受 けたに も関わら ず 、 標的 の 深 海 棲艦 は大きな 荷 物 を 手 放すことす ら せずにあっさ り 体 勢を立 て 直 し 、 続 く 僚艦 の 雷撃も た や すく 回避 して み せた 。 さすがに無 傷 という わ けではない よ うだが 、 衣装 に 綻 びは 殆 ど無く 艤装も 健在 。良 くて 小 破といったとこ ろ だ ろ う 。 恐 る べき 耐 久 力 だった 。 ﹁ ⋮⋮まさか 、上 位種 ?﹂ ふと 僚艦 の 誰 かが 口 にした 。 上 位種 。 姫級や鬼級 と 司令部 が 名付 けた 深 海 棲艦 の 上 位種は 、 通 常の 深 海 棲 艦よりも遥 かに 高 い火 力や装 甲 を持 つ 。 そこまで 考 えて 、伊58 は ゾッ とした 。 も し奴が 軽巡や雷巡 の 上 位種だとして 、 あの攻 撃力 で 対 潜攻 撃 が 行 われ た り した ら ⋮⋮ 。 耐 久 力 に乏しい潜水 艦 では 一撃 で 轟沈も あ り得る。 百戦 錬磨 であ り、 自分 の役割 を 正しく 理解 していたか ら こそ 、 伊5 8 は 引 くべき時という も の を良 く わ きまえていた 。 ﹁ ⋮⋮っ 、撤退 でち ! 各艦 全 速 でこの海 域 か ら離脱 す る でち ー !!﹂ こうして 双方 戦 闘 の 回避を選択 したことに より、 両 者 共にこ れ以上 の 損害 が 出る ことは 避 け られ た 。 そしてこの 日。 この略奪 任務 中の潜水 艦隊 の報告に より、 南 西諸島 海 域 において 初
め て 深 海 棲艦 の 上 位種の 姿 が 確認 さ れ たのであった 。 ﹁ ⋮⋮⋮⋮ふぅぅ ﹂ ﹃ はぁぁぁ⋮⋮ ﹄ ソナー か ら の 感 が 消 えて も しば ら く 警戒 していましたが 、 どう やら 危 険 は 去 った よ うです 。 先の奇 襲 は恐 ら く 艦載 機に よる 索敵 を受 けたのでし ょ う 。 空 も見 渡しますが 、艦載 機の影 も あ り ませ ん。 そこで よ う や く 私 たちは大きく息 を吐 いたのでした 。 ﹁や は り相 手は オリョール・クルーザー でしたか ﹂ 彼女たちは 精鋭 ですが 、 手こず る相 手には 拘泥 しませ ん。 元 より 敵の 撃 破 を目的 とす る部隊 ではないか ら です 。 一撃離脱を 繰 り返 し 、 倒 せ る 敵だけ を 片っ 端 か ら倒 して 、 物 資を収 集、 強奪していく プロフェッショナル。 逃 げに 徹 す れ ば 追 ってはこないと 踏み ましたが 、 うまくいった よ う です 。 はい 。 ﹁ で も 報告はさ れ たでし ょ うね⋮⋮ 。 ﹂ ﹃多 分 ね 。 こ こ も 今 ま で は い い 狩 場 だ っ た け ど 、 こ れ か ら は リ ス ク も 大きくな るん じ ゃ ない ?﹄ ﹁ はい⋮⋮本当に 、 どうしま⋮⋮し ょ、 う⋮⋮ ?﹂ 気 が 緩ん だせいか 、 眩 暈 が 私を襲 いました 。 先ほどの 魚雷 の 一撃も軽微 とはいえ 、 無 傷 ではあ り ませ ん。 こ こ ま で 碌 な 補 給 も 取 ら な か っ た こ と も あ っ て 疲 労 が 限 界 に 近 づ いていました 。 本当に 、 そ ろ そ ろ、休 息 を取ら ないと⋮⋮ 。 ですが 、 こ ん な時に 限 って 、状況 は 悪 い 方向 に 転 が り ます 。 ﹃ ち ょ っとち ょ っと 、 大 丈 夫⋮⋮って 、 敵だ よ っ !﹄
﹁ ⋮⋮っ ﹂ 先ほど奇 襲を受 けたばか り だというのに⋮⋮ ! 自分 の 間抜 けさに 毒 づきなが らも 周 囲 に 意識を集 中させ れ ば 、 確 か に 深 海 棲艦 の 気配を感 じ 取れ ました 。 まっすぐこち ら に 向 かって来てい る とこ ろ か ら、 どう やら狙 いは 私 の よ うです 。 ﹁今度 の 相 手は 深 海 棲艦 の よ うですね⋮⋮ 。編成 は 、 わ か り ますか ?﹂ ﹃ ええっと 、 ち ょ っと 待 って⋮⋮ ﹄ 以 前に もワタシ が 言 っていましたが 、 同 じ 深 海 棲艦 であ れ ば 、 姫級 であ るワタシ は大体の 動向を把握 できます 。 最 近 は 私 も 電 探 無 し で 気 配 を 感 じ る く ら い は 出 来 る よ う に な っ て きました 。 こ れ は 、私 が 深 海 棲 艦 に 近 づ い て し ま っ た 証 な の で し ょ う か ⋮⋮ と 、今 はそ れ どこ ろ ではあ り ませ ん。 そこで索敵していた ワタシ か ら、最悪 の報告が 聞 こえてきました 。 ﹃ ⋮⋮まずい 。 戦 艦 に空 母、重巡 ⋮⋮主 力艦隊 だ !﹄ ⋮⋮ 意外 と 、二度目 の終 わり は 早 く 訪れ そうでした 。 ﹃ ⋮⋮まぁ 、 ここまで よ く 保 ったほうか ﹄ 戦 艦 級 に 締 め 上 げ ら れ 気 を 失 っ た 春 雨 = 駆 逐 棲 姫 の 体 を 意 識 の 内 側か ら見下ろ し 、も う 一人 の春 雨 は呆 れ た よ うに 溜 息 を付 いた 。 実際 春 雨 は 善 戦した 。 戦 艦二 体 、 空 母一 体 、重巡二 体 、軽巡一 体 。 姫級 とはいえ単 独。 し か も 疲 労 の 溜 ま り き っ た 身 体 で 、 こ れ だ け の 敵 の 猛 攻 を 耐 え 抜 き 、軽巡 と戦 艦 の片 方を沈め て み せたのだ 。 だがそこまでだった 。
捨 て 身 の 突 撃 で 一 体 の 戦 艦 を 沈 め た 次 の 瞬 間 も う 一 体 の 戦 艦 に 殴 り飛 ばさ れ、 ついに春 雨 は 力 尽き 意識を 失った 。 ﹃ だか ら 無 理 だと 言 った ん だ 。 ⋮⋮ 仕方 ない 、 こ ん な所で 沈 ま れ て も困る。 手 を貸 してあげ るよ﹄ ﹃ ⋮⋮ ﹄ ヒト か ら は戦 艦ル級 と 称 さ れる その 深 海 棲艦 は 、 自分 の 腕を掴む深 海 棲艦 の 姿を した 艦娘 か ら不意 に 力 が 抜 けて ゆ くの を感 じた 。 どう やら力 尽きた ら しい 。 奇 妙 な敵だった 。自分 たち 深 海 棲艦 と 同系 の 艤装を纏 い 、 恐 る べき 性 能を持 つ 艦娘。 どう やら 戦う前か らダメージ が 蓄 積さ れ ていた よ うで 、 想定よりも だいぶ楽に無 力化 できた 。 し か し 万 全 の 状 態 だ っ た な ら ば ど れ だ け の 損 害 を 出 し て い た こ と か 。 否 、損害 どこ ろ か全 滅も有り得 たか も し れ ない 。 いったい何 者 だったのかと 希薄 な 自我 で 考 え る。 しかし彼女に 許 さ れ た 自我 では 、 そこまでの 疑 問 を抱 くことはでき て も、 そ れ以上思考を 発展させ る ことは 出 来なかった 。 ﹃ ⋮⋮ ﹄ 一瞬 の 疑 問 を消 して 、 敵の 首を 捻じ 切らん と 力を込めよ うとしたそ の時 。 ごき り、 と 。 力 尽きたはずの 艦娘 の 握力 が 復 活 、 更 に急 激 に 跳 ね 上 が り、 ほぼ 一 瞬 で ル級 の 腕を へし 折 っていた 。 ﹃ ⋮⋮ !?﹄ 眼前の敵か ら、 深 海 棲艦 しか 持 ち 合わ せない筈の 蒼 い 焔 がうっす ら と 立 ち 上る。
拘 束か ら開 放さ れ た敵が 、ゆ っく り と 顔を上 げた 。 ﹁ ⋮⋮⋮⋮ イタイ ⋮⋮ ジャナイ ⋮⋮ カ ⋮⋮ !﹂ 正体 不明 の 艦娘 の 瞳 が 、蒼 く 輝 くの を見 た 。 そ れ が 、 戦 艦ル級 と呼ば れる深 海 棲艦 の 、最期 の 記憶 だった 。 身 体が 重 い 、頭 が 痛 い 、 眠 気 がひどい 、気持 ち 悪 い 。 ﹃ あの 私︵バカ︶ 、 ここまで 疲労を溜め ていたのか⋮⋮ !﹄ 正 直 いつ 身 体が 限 界 を迎 えて 力 尽きて も おかしくない 。 主 導 権 を得 たことで本来の性 能 にだいぶ 近付 いたはずなのに 、 ろ く に 言 うこと を きかない 身 体に 、 彼女は 毒 づいた 。 砕 け た 腕 を 掴 ん だ ま ま の 零 距 離 砲 撃 で 頭 を 吹 き 飛 ば さ れ た ル 級 を 無 造 作に 投 げ捨て る と 、 さすがに 多少 は 動揺 したのか 、 わ ずかに 思考 停止していた 他 の 深 海 棲艦 ど も に 向 き 直る。 未だこち ら が味 方 だという 認識 は無い よ うだった 。 ﹃ ちっ 、今 の 状 態で も まだ ワタシを深 海 棲艦 と 認識出 来ないのか 。 や っぱ り﹃私﹄を 何とかしなき ゃダメ なのかな⋮⋮ ﹄ そ こ で 駆 逐 棲 姫 は 首 を 振 っ た 。締 め 上 げ ら れ た 痛 み に 顔 を し か め る。 ス ペ ッ ク は 跳 ね 上 が っ た が あ ま り 余 裕 は な い な 、 と 彼 女 は 判 断 し た 。 ﹁悪イケド ⋮⋮手 加減ナンテ出 来 ナイヨ !﹂ そう 言 い捨て 、駆逐艦 の 姫 は敵 艦隊 に 突撃 した 。 気 が 付 くと 、 そこは 私 が 仮 の 拠点 としてい る小島 の 砂 浜でした 。
横には 深 海 棲艦 か ら 奪 取 した 輸送ユニット と 、 空になった 燃料缶や 修復 剤などが 転 がっています 。 そ れらを使 ったのか 、 燃料や 弾 薬 は 補 給さ れ、 傷も 癒えていました 。 ﹁私、 は 、 いったい⋮⋮ ﹂ そこで先ほどの 状況を思 い 出 しました 。 どう 考 えて も、 絶 望的 な 状況 だったはずです 。 いったい何故 私 は無 事 なのでし ょ うか⋮⋮ 。 そこで ワタシ の 声 が 聞 こえてきました 。 ﹃よ う や く 起 きたの 。 この 寝 ぼすけ ﹄ ﹁ ⋮⋮いったい何が 、 あった ん ですか ?﹂ 悪 態 を 無 視 して ワタシ に 尋 ねます 。 ﹃ さっきの 連 中な らワタシ が片 付 けた よ。 全然大したことなかったじ ゃ ないか 。 あ ん なのに やられる な ん て 、同 じ ワタシ として 情 けないった ら﹄ ﹁ ⋮⋮ 貴 女 、 が ?﹂ ﹃ ⋮⋮何で 意外 そうなの よ。 ワタシ は 貴 女 み たいな半 端者 とは 違 う 、 本当の 深 海 棲艦 の 姫 な ん だ か ら。 ワタシ が主 導 権 を握れれ ばあ ん な 連 中 、 物の数じ ゃ ない ん だ よ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ 深 海 棲艦 の 、姫。 今 で も 十 分オーバースペック だと 思 ってたのに 、 本来の性 能 は も っ と 上 だというのですか 。 そ れ はと も かく 。 ﹁ あ り がとうございます 。 おかげで命 拾 いしました ﹂ ﹃ ⋮⋮別に 、貴 女のた め に や った ん じ ゃ ない よ。 勝 手に 沈 ま れ た ら困る って 言 ったじ ゃ ない ﹄ お礼 を言 う 私 に 、ワタシ はふてくさ れ た よ うに 言 いました 。 ﹃ そ れ はと も かく 、 本当にしば ら くは 休 息 を取 って よ。 こうなった 以上、 いざという時は 私も 戦ってあげ る。 で もも うあ ん な ガッタガタ の 状 態で戦うな ん て 御 免だか ら ね ﹄
そこで ワタシ の 声 にに やり と 意 地 悪 な 調 子が 混 ざ り ます 。 ﹃ で も気を付 け るん だね 。 ワタシ の 力 に 頼れ ば 頼る ほど 、貴 女 も深 海 棲艦 に 近付 いて ゆ く ﹄ ﹁ ⋮⋮ !﹂ ﹃ ふふっ 。貴 女がいつ 堕 ち る のか 、 楽し み にしてい るよ ⋮⋮ ﹄ ﹁ ⋮⋮ ﹂ そ れ は 。 確 かに 、 無 視 しがたい 重 大な リスク です 。 そ れ はそうなのですが 。 ﹁ ⋮⋮何で 、 そ ん な リスクをわ ざ わ ざ教えてく れるん ですか ?﹂ ﹃ ⋮⋮⋮⋮ ﹄ ﹁ ⋮⋮⋮⋮ ﹂ ﹃ ついだ よ !﹄ そう 言 い捨て る と 、 意識 の奥に 引 っ 込ん だ ら しく 、 声 は 聴 こえなく な り ました 。 ︵ ⋮⋮ 私、 こ ん なに 残念 なとこ ろ あったかなぁ ︶ そ れ はと も かく 。 確 かに 、 燃料 と弾 薬を補 給し 修復 剤で 傷を 癒したとして も、 疲労 だ けは 休 まなけ れ ばどうし よ う も あ り ませ ん。 ﹁ ⋮⋮そうですね 、 はい 。 私一人 の 身 体ではないのですし 、 ここ ら辺 で 少 し ゆ っく り しまし ょ うか ﹂ 私 は ホバーユニットを解除 して 砂 浜にあお 向 けに 倒れ こ み ます 。 ﹁綺麗 な 月 ⋮⋮ ﹂ 夜 空では大きな 月 が海と地 上を見下ろ していました 。 ﹃キ、ヒヒヒ、ヒヒヒ﹄
よ う や くだ 、よ う や くだ 。 ﹃ヒャハハ、ハハハ﹄ 傷 は 治 った 。 尻尾 も新 しく 生 えた 。 ﹃ヤット、ヤット、コロセル、コロセル﹄ や っと 、や っと 、探 しにいけ る。 ###TIPS 敵の 輸送ユニット 敵 艦 か ら 強 引 に剥ぎ 取 った 生 体 パーツ であ り、 見 た 目 はかな りグロ い 。 潜水 艦 が 血 塗 れ になってこ れを持 ち帰ってきた所 を、 新 入 り の 駆逐艦 などが 見 て 腰を抜 かすことがたまにあ る。 オリョール・クルーザー 伊58 の報告 後、 警戒 と 調査 のた め 全 司令部 の オリョクル隊 にそこ そこ 長期 の 休暇 が 与 え られ た 。 ブ ラ ッ ク と ま で は 言 わ な い が 激 務 に は 違 い な い た め、み ん な 大 歓 喜。 ワタシ の 力 に 頼れ ば 頼る ほど ∼ い わゆるリミッター解除。使 い 過 ぎ る と バッドエンド。
STAGE︳05 遊撃・
前
編
あ れ か ら 南 の 島 で 十 分 に 休 息 を 取 っ て 疲 労 を 抜 い た 私 は 南 西 諸 島 海 域を離れ、 この南 方 海 域 に戻ってきました 。 オリョール の 豊富 な 資源 は 魅力的 でしたが 、 私 の存在が 知られ てし まった 以上、 あそこで活 動 してい る各司令部 の潜水 艦隊 と 縄 張 り争 い を す る のは リスク が大きすぎました 。 そのうえ 深 海 棲艦 にまで優先 的 に 狙われる とあっては 、 留ま る理 由 はあ り ませ ん でした 。 そこで 私 は ワタシ と 相談 して 、 この南海まで戻ってく る ことにした のです 。 理 由としては 、 ここが 激 戦区だか ら です 。 上 位種す ら頻 繁に 姿を見 せ る この海 域 でな ら、 私 の存在 も目立 たな いのでは 、 と 思 ったのです 。 あ と は ワ タ シ の 特 殊 な 管 制 能 力 を 索 敵 に 利 用 し て 、出 撃 で 手 薄 に なってい る深 海 棲艦 の 補 給 施設や泊 地に潜入し 、 物 資を頂 こうという 計 画です 。 はい 、 穴だ ら けですね 。分 かってますそ ん なこと 。 ﹃ 海 賊 の次は空き 巣 か ー ⋮⋮ 。ワタシ姫 なのに⋮⋮ ﹄ ﹁ う る さいです ﹂ というか ワタシ、 ど れ だけ 姫 にこだ わ って るん ですか 。 私 にそ ん な 願望 は全然ないのに 。 ⋮⋮全然あ り ませ んよ ? と も あ れ そういう 訳 で 、 私 は 以 前の作戦時の 記憶を頼り に敵 補 給 施 設を目指 し 、 南 方 海 域 の 玄関口 まで 辿り 着きました 。 し か し そ こ で 私 が 見 た も の は 、一 隻 の 輸 送 船 と 艦 娘 の 護 衛 艦 隊 が 、 深 海 棲艦 の 艦隊 に 襲われ てい る 場 面 でした 。駆逐聖姫 春 雨 STAGE 05 遊撃・ 前 編 突 然ですが 、 輸送 に特 化 した 艦娘 は 今 のとこ ろ 存在が 確認 さ れ てい ませ ん。 揚陸艇や 給 糧艦 などの 艦娘 な ら い る のですが 、 彼女たち も 戦 闘能力 自 体は 皆 無に 近 いですし 。 強いて 言 えば 、 輸送 用の 内部 が 亜 空 間化 してい るドラム缶を 積 める 艦娘 であ れ ば 、誰 で も あ る程度 は 輸送船 の役割 を果 たせます 。 か く 言 う 私 も 昔 は 頻 繁 に 輸 送 任 務 に 従 事 し て い ま し た 。 は い 。 あ あ 、懐 かしの 鼠輸送。 と 、 そ れ はと も かく 。 艦娘 で も一応 の 輸送 は 可能 なのですが 、 さすがに 専 用の大 型輸送船 の 輸送量 とは 比 べ物にな り ませ ん。 だか ら こそ 通 常の 輸送船 は 深 海 棲艦 が 跋 扈す る今 で も使 用さ れ、 艦 娘 に 護衛任務 が 与 え られる こと も あ る のですが⋮⋮ 。 遠目 に映 る のは 、 今 ひとつ 動 きの 鈍 い 駆逐艦 の 艦娘 たち を 唯 一高錬 度 と 思 しき天 龍型 の 艦娘 が 、 敵水 雷 戦 隊 の攻 撃を しのぎつつ も必 死に 励 まそうとしてい る姿 でした 。 ﹃ う わ、 あ ん な 錬度 で よ くこの海 域 に来 る気 にな れ たね ﹄ ﹁ ⋮⋮ 恐 ら く 彼 女 た ち の 司 令 官 は 、 こ の 南 海 で の 輸 送 や 護 衛 の 困 難 さ を知ら ないのでし ょ う ﹂ あ る いは 自身 の 艦娘 の性 能を過信 したか 。 海 域 攻略に 比 べて 、 ここでの 遠征任務 が 困難 な も のと 認識 していな