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Integrated modeling of stream flow in complex river system using remotely sensed data 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 VU DUC TUNG 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工農博甲第23号 学 位 授 与 年 月 日 令和元年9月26日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 環境社会創生工学専攻

学 位 論 文 題 目 Integrated modeling of stream flow in complex river system using remotely sensed data

(リモートセンシングデータを用いた複雑な水系の河川流に 関する統合的なモデリング) 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 石 平 博 教 授 舛 谷 敬 一 教 授 末 次 忠 司 教 授 西 田 継 准教授 相 馬 一 義 助 教 馬 籠 純

学位論文内容の要旨

河川流量は、水質や水生生物の生息環境のみならず、人間の生活にも様々な影響を及ぼ す。また、その量は雨季に増加、乾季に減少するなど気象条件の影響を強く受けるととも に、大きな季節・年々変動を伴う。したがって、流量の把握は、総合流域管理の実現にお ける重要な要素の一つといえる。流量の把握には幾つかの方法があり、具体的には現地観 測や、経験的・物理的数値モデルによる推定などが挙げられる。しかしながら、現場観測 は、は膨大な経費・時間を必要とするだけでなく、様々な観測機器を必要とする。一方、 数値モデルだけでは、必ずしも十分なデータが得られておらず、複雑な地形・流路網を有 する大流域においては、適切な流量推定は困難である。幸いなことに、全球規模で利用可 能であり広域・定期的かつ経済的に情報を収集できるリモートセンシング技術やそれによ り作成されている各種プロダクトは、地上観測不足の問題を解決するための代替的な情報 源として利用されつつある。しかし、複雑な水系を含む大河川流域の流量推定において、 どのように先端的な衛星観測情報を利用するのかについては、課題も多く残されている。

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本研究では、各種数値モデルとリモートセンシングデータを組み合わせることで、複雑な 水系を対象とした上流から下流まで一貫した流量推定技術の開発に取り組む。本検討の対 象流域は、中国・ベトナムを流れ、下流域に広大なデルタ域を有する Red river 全流域 (169,000km2)である。なお、この対象流域は Son Tay 水文観測所の上流域(basin 1)と Son Tay

から沿岸域までの低平地(basin 2)に分割される。具体的な検討項目等については以下の通り である。

1) 上流域の流況把握を目的とした分布型水文モデル SWAT による河川流量の推定

Red river 上流域(basin 1)に水文モデル SWAT を適用することで、当該流域の河川流況の把 握と長期的な流量変動の評価を行った。本検討では、まずSon Tay 水文観測所(ST)を下流端 として2003~2009 年を対象とした日単位の流出計算により、モデルパラメータのキャリブ レーションを行った。次に、2010~2013 年を対象として、複数のサブ流域における計算流 量と実測流量の比較を行いモデルの妥当性を検証した。その結果、モデル計算値は高水時 に過大評価となる傾向が見られたが、全般的には流量の季節・年々変動をよく再現できる ことが確認された。また、Son Tay 上流の支川に位置する Lai Chau 観測所 (LC), Hoa Binh 観 測所 (HB)ならびに Ghenh Ga station (GG)においては、モデルによる流量の再現性が十分に 高いことが確認された一方で、Son Tay 地点においては計算流量が実測と比較して過大とな る傾向が明らかとなった。その原因を探るために、下流域の雨量計データのみを用いたケ ースについても検討を行った結果、下流域のみの雨量計データを用いた場合には、上流域 (LC など)においてモデルによる流量の再現性が著しく低下する一方、下流端(ST)における 結果だけを見ると、下流域のみの雨量計データを用いたケースの方が妥当な推定結果とな ることが示された。これより、下流端の流量推定結果のみでモデル及びそのパラメータ設 定の妥当性を判断することは適切でないことが明らかとなった。また、上流・下流域の雨 量計を用いたケースの結果との対比から、ST 地点上流域での人為的な取水の可能性などが 示唆された。 2) 水面反射率と流量、浮遊土砂濃度及び土砂フラックスの関連性に基づく分流河川の 流量推定に関する新手法の提案 水文水資源分野におけるリモートセンシングデータの利用についてはこれまでにも多く の検討例が報告されているが、それらの多くは、特定の河道区間・地点を対象とした目的 変数Q(流量)と衛星観測情報 R(水面反射率)の単純な回帰分析に基づくものであった。しか し、複雑な水系の水文解析、特にデルタ地帯の分流解析を対象とした衛星画像の利用事例 については検討されていない。そこで、本検討では、分流河川の流量推定に対してリモー トセンシングデータの利用を試みた。ここでは、水文観測地点におけるMODIS Band1 (波長

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帯620-670 nm, 空間解像度 250 m)データを用いて、浮遊土砂濃度(SSC)と水面反射率(R)の関 連性について検討を行い、両者の間に正の相関関係を見出した。さらに、SSC と R の回帰 係数である β と流量・土砂収支式を組み合わせることで、分流河川における流量推定を行 った。検討の結果、月平均のSSC と R の間には高い相関性が確認された。また、本研究で 提案した手法により、やや過大評価の傾向が見られるものの、分流後の流量を概ね妥当に 推定できることが確認された。本手法による流量推定の誤差要因として考えられるものと して、雲に起因する反射率観測値の誤差、分流河川における水・土砂収支の誤差、水面反 射率と反射率の変換に起因する誤差などが考えられる。しかしながら、本検討の結果から、 分流前の河川流量と衛星観測により得られる水面反射率から分流河川の流量配分を推定で きることを示すことができた。この方法は、地上観測が乏しい地域における流量情報の取 得を可能にするものと言える。 3) 河川水理モデルとモデルキャリブレーションのためのリモートセンシングデータの利用 による複雑水系の流量推定 先の検討において、分流河川の流量推定に対するリモートセンシングデータ(水面反射率 データ)の有用性が確認されたが、本検討では下流域(basin 2)での水理モデルによる流量推定 のためのキャリブレーション過程へのリモートセンシングデータの適用可能性について検 討を行った。DHI 社 MIKE HD module により、低平地における河川流量推定のための水理 モデルの構築を行い、2010 年 1 月 1 日~31 日を対象として現地観測水位等を用いながらキ ャリブレーションを行うとともに、2008 年 1 月 1 日~31 日を対象としてモデル検証を行っ た。なお、分流河川の流量比(分流前の主河道流量 Q0 と分流後 TC 地点の流量 Q1 の比)もモ デルキャリブレーションを行う際の参照値として利用した。検討の結果、2010 年 1 月下旬 における水位ピークがやや過小評価となったものの、河川水位のモデル推定値と実測値は 良く適合しており、モデルは妥当な推定値を与えることが確認された。 上記の検討結果より、水文モデル、水理モデル及びリモートセンシングデータの統合利 用により、Red River 流域全体の水管理に資する情報を提供する河川流量シミュレーション が可能となった。また、これにより、気候変動等にともなう降水・気温等の変化による流 量の変化を上流域から沿岸域まで一貫して理解することも可能である。

論文審査結果の要旨

論文公聴会は、審査委員のほか、約30 名の研究者、学生が出席して行われた。40 分のプ レゼンテーションでは、研究内容を良く整理し、本研究で開発した手法とその適用結果を

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分かりやすく説明した。質疑(20 分)では、主にデルタ地帯の水理計算における衛星観測 情報の利用方法などに関する質問と回答がなされた。これに引き続く論文審査委員会にお ける審査では、以下のような点が新たな研究成果であり、当該分野において学術的に高く 評価できる功績であると結論した。

・分布型水文モデルSWAT を用いた Red River 上流域の降雨-流出解析を通じて、流況解析 への分布型水文モデル利用に関する幾つかの課題を示すことが出来た。具体的には、下 流端の流量推定結果のみでモデル及びそのパラメータ設定の妥当性を判断することは適 切でない場合があり、上流を含む複数地点においてモデル出力をチェックすることが推 奨される。また、このような多地点での検証によりモデルでは考慮されていない導水・ 取水等の影響を評価できる可能性を示した。 ・リモートセンシングにより得られる水面反射率から分流河川流量を推定するための新た な手法を開発した。本手法は、従来の衛星観測値と水文量の単純な回帰分析に基づくモ デリングとは大きく異なり、分流河川における水・土砂収支式と水面反射率-土砂濃度 関係式を連立させることで分流河川の流量分配比率(分流比)を算出するものである。現在 利用可能な衛星搭載型センサーの解像度では、十分な水面幅を有する河道区間にのみ適 用できる方法ではあるが、将来的にセンサー解像度が改善された場合には、より細かな 河道網の分流解析への応用も可能となる。さらに、この手法は合流河川へも拡張可能な ものであり、支川別の流量・土砂流出量推定などへの利用も期待される。 ・低平地であるデルタ地帯の河川水位・流量推定を目的とした水理モデルの適用において、 モデルキャリブレーションに上記の分流比推定手法を利用することを提案した。デルタ 地帯の水理計算を行うためには、複雑な河川網の情報に加え、多地点の流量情報が必要 となるが、一般にデルタ地帯における流量観測情報は非常に乏しく、モデルパラメータ の同定に困難をきたす場合もある。リモートセンシングデータに基づく分流比推定手法 は、デルタ地帯の流量データ不足を補い、モデルパラメータ同定の精度向上に貢献する 技術として、他のデルタ地帯などでの利用も期待される。 以上に基づき、同審査委員は全員一致で、本論文が博士論文として十分な水準にあると 判断した。 公聴会に引き続き、口頭による最終試験が行われ、水理解析モデルの妥当性検証の方法 や、衛星情報・モデルの統合利用の部分のオリジナリティなどについて質疑が行われた。 審査委員からの主な質問・コメント、および当該学生からの回答は以下の通りである。 ・分流流量の推定値が過大評価になる理由は? → 衛星観測に起因する誤差(雲の影響)や、分流河川における水・土砂収支が完全には閉

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じていないことなどによると考えている。 ・下流域のモデル計算では、どのような流量(高水/低水など)の再現を狙ったのか? → 検証ケースでは、乾季(低水期)のみを対象としていたが、これはその時期のデータし か入手できなかったためであり、本来は雨季も含めた通年の流況変化の再現をターゲッ トとしている。 ・数値モデルと衛星情報の組み合わせは、過去にも多くの検討事例があると推察されるが、 本研究の独自性、特に衛星情報の利用方法に関するオリジナリティは? → 既往の研究の多くは、衛星観測値と水文量の単純な回帰分析に基づく方法を提案し ているが、本研究では、分流河川における水・土砂収支式と水面反射率-土砂濃度関係 式を連立させることで分流河川の流量分配比率(分流比)を算出する点が最大の特徴であ る。また、この分流比を水理モデルのキャリブレーションに応用している部分も今まで にない新たな試みである。 上記の質問、コメントに対する回答は的確なものであり、質疑を通じて、水文データ解 析や数値モデリングなど関連する研究領域について深い知識と技術を持っていることが確 認された。以上のことから、本審査委員会は当該学生が博士(工学)の学位に相応しい科 学的思考能力と技術的能力、理解力、コミュニケーション能力を備えていると判断した。

参照

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