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ピーナッツを用いて調べた咀嚼機能と顔面形態との関わり

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Academic year: 2021

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【目的】 咀嚼機能の評価には,食物の粉砕,食塊形成か ら嚥下開始までの解析が必要であるが,現在まで 咀嚼機能と不正咬合の関連については,食物粉砕 (咀嚼期)を中心に研究が進められてきた.咀嚼 機能を総合的に検討するためには,食塊形成から 嚥下開始時期までを含めた検討が必要である.そ こで今回,ピーナッツ咀嚼時の咀嚼開始から嚥下 までの咀嚼回数,咀嚼時間,粉砕度(10回,20回, 嚥下直前)および唾液分泌量,咬合接触状態,咬 合力,最大口唇閉鎖力と顔面形態との関連を検討 した. 【対象と方法】 被験者は,研究に同意が得られ不正咬合と診断 された成人不正咬合40名(平均年齢21.6歳:17∼ 31歳)と研究に同意の得られた個性正常咬合ボラ ンティア10名(平均年齢20.9歳:18∼27歳)とし た.側面頭部エックス線規格写真は閉唇,咬頭嵌 合位にて撮影を行い,11項目の角度分析,2項目 の線分析を計測した.また,不正咬合者を ANB の 値 で,骨 格 性Ⅰ級(2°≦ANB≦4°:19名, 平 均 年 齢20.9歳),Ⅱ級(4°<ANB:9名,平 均 年 齢21.9歳),Ⅲ級(ANB<2°:12名,平 均 年齢22.4歳)に分類した.ピーナッツ(約3.0g) を用いた咀嚼の嚥下までの咀嚼回数・咀嚼時間, 篩分法による10回,20回咀嚼時および嚥下直前の 粉砕度を解析し,側面頭部エックス線規格写真に よる側面顔面形態との関連について統計解析を 行った.さらに無味無臭のガム(ORION 社製) を用いた唾液量,咬合感圧フィルムを用いた咬合 接触面積・咬合力,多方位口唇閉鎖力測定装置を 用いた最大口唇閉鎖力測定と側面顔面形態との関 連についても調べた. 【結果および考察】 10回粉砕度は4群間で有意な差を示さなかった が,20回粉砕度は,骨格性Ⅰ級,Ⅱ級,Ⅲ級が正 常咬合者に比べ,有意に小さい値を示した.唾液 量,咬合力,咬合接触面積,口唇閉鎖力は,4群 間で有意差は見られなかった.一方,正常咬合者 では咀嚼経路が安定し,グラインディングタイプ を主体とする咀嚼運動が報告されることから効率 よい咀嚼が行われると推察されるが,骨格性Ⅰ 級,Ⅱ級,Ⅲ級では正常咬合者に比べ咀嚼経路は 不安定で,骨格性Ⅱ級とⅢ級ではチョッピングタ イプが多く,骨格性Ⅰ級ではグライディングタイ プ,チョッピングタイプやアブノーマルタイプな どの咀嚼パターンが混在していると報告されてい る.すなわち,本研究で示された骨格性Ⅰ級,Ⅱ 級,Ⅲ級の効率の悪い20回粉砕度は,垂直的で不 規則な咀嚼パターンが関連している可能性が推察 された. 不正咬合の咀嚼回数と咀嚼時間,嚥下直前粉砕

〔学位論文要旨〕

松本歯学38:159∼160,2012

ピーナッツを用いて調べた咀嚼機能と顔面形態との関わり

金澤

昌律

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 硬組織疾患制御再建学講座

Relationship between craniofacial morphology and masticatory function evaluated using peanut

M

ASANORI

KANAZAWA

Department of Hard Tissue Research, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(2)

度については,骨格性Ⅲ級では咀嚼回数がⅠ級, Ⅱ級よりも有意に小さく,咀嚼時間がⅠ級よりも 小さい値を示し,嚥下直前の粉砕度は,骨格性Ⅲ 級が正常咬合者に比べ有意に小さい値を示した. これらのことから骨格性Ⅰ級とⅡ級は咀嚼回数の 増加によりピーナッツの咀嚼を補償しているが, 骨格性Ⅲ級は十分にピーナッツを咀嚼せずに嚥下 している可能性が示唆された.骨格性Ⅲ級では TypeⅠ型線維が優位で,TypeⅡ型線維の選択的 萎縮,比率の減少がみられると報告されているこ とから,筋繊維のタイプの違いが関連している可 能性が推察された. 以上の結果から,骨格性Ⅰ級,Ⅱ級は咀嚼回数 の増加によって嚥下直前までに食片を細かく磨り 潰し,骨格性Ⅲ級は咀嚼回数,咀嚼時間が少な く,食片を細かく磨り潰さずに嚥下していること が示された.一方,個性正常咬合は咀嚼中期から 嚥下直前までに食片を細かく磨り潰していること が示された. 160 松本歯学 38 2012

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