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「グレゴリオ聖歌入門」について : その1

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(1)

「グレゴリオ聖歌入門」について―その1―

解 題

本題 は,Don Eug占neCardine著 PidZLO{n o

d

i Cie空 Gregoriano・Roma,Pontifi -しい

ciolnstitutodiMusicaSacra,1970.の全面的 な翻訳 「グ レゴリオ聖歌入門」ですが,本論 に入 る前にグ レゴリオ聖歌 の現状について述べてお く必要があ ります。 なぜなら, この音楽 が古い時代のものであ って,ほ とん ど忘れ去 られた, も う現代 の美的感覚にはそ くやわない, 使用には耐えない音楽である。 とい う傾向に落 ち入 らない よ うに してお きたいか らです。 も しも個人的 なアル カイックな趣味 でこの音楽を愛好 しているのな らば,取 り立てて翻訳作業 をする とい う重要 な意義はないか らです。そ こで,現在 グレゴリオ聖歌は世界で どうな って いるのか ?,新 しい動 きがあるのか,ないのか ? なぜ グレゴリオ聖歌を問題にす るのか ? とい う問題点を含めて解題 を しよ うと思 います。 <グ レゴ リオ聖歌 とは> グレゴリオ聖歌は,それを知 っている人 に とって,何 に も代 えがたい音楽です。それは, 情熱的 な激 しい音程を持 った ものではない し,効果 をね ら うような起伏や押 しつけが ましい ところもあ りませんOその上,伴奏 もな く,別 のパ ー トと合わ さって重厚 な--モニーをか もし出す とい うものでもあ りません。単声 の音楽です。それに もかかわ らず, ひ とたび この 音楽を聞けば,誰 もが心 の落 ち着 きを得,魂 を揺 り動か され る何 ものかを感 じます。 「人 の (2) 心 のもっとも繊細な感情 と,人 と神 とのもっとも内密 な関係を描 き出す」 よ うな不思議 な力 (3) があるのです。 まさに 「単声 の音楽形式における人類最高の業績」にはかな りません。 今 日, この グレゴ リオ聖歌は,新 しい光が当て られ,教会ばか りでな く,一般の音楽界に おいて も注 目される時代 を迎えていますが これには理 由があ ります。 <典礼の刷新 と聖歌> ご承知 の ように,第二 ヴァチ カン公議 (1962-1965)に よって典礼の刷新 と改革が行 なわ れ ました。 これは 「典礼憲章」ConstitutiodeSacraLiturgia として1963年発布 さ れ ま し たが,その中で音楽に関係す る最 も大 きな改革は国語の積極的 な容認 で した。同時に また,

ラテン語 で歌われ るグ レゴ リオ聖歌の重要 さについての再確認 も行 なわれたのです。具体的 (4)

に関係深 い条項 を読んで見 まし ょう。

(2)

84 研究紀要 (第4号) の使用は人 々のた めに非常に有益 な場合が少 な くないか ら, よ り広範囲にわた っ て国語 を使用す る ことも可能 であ る。」 54条 「--・ミサ聖祭においては,国語 を使用す ることがで きる。-- しか し,キ リス ト信者 が, ミサ通常文 の中で信者 に属す る諸部分を, ラテ ン語 で もい っし ょに と なえ, また歌 うこ とがで きるよ う配慮す るもの とす る。」 116条 「教会は, グ レゴ リオ聖歌 を ロ-マ典礼に固有 な歌 として認 める. したが って こ れは,典礼行為において,他 の点か ら差異 がない もの とすれば首位 を占めるべ き ものである。」 117条 「グレゴリオ聖歌 の諸書の規範版 が完成 されなければな らない。 さらに--・す で に出版 された諸書 の批判版 が新たに出版 され なければ な らない。」 同上 「小 さな教会 で使用す るために簡単 な曲を収録 した版 を準備す ることは有益 であ る」 (5) また,典礼憲章 に も とづ き1967年礼部聖省か ら 「典礼音楽に関す る指針」が出され,そこに は一層具体的 な方 向づ けがなされてい ますO例 えば, 52 「--諸世紀 の間に作 られた教会 の宝庫 の一部 を-・-国語 で行 なわれ る典礼行為 に も用 いるこ との適否 につ いて判断すべ きである。」 52 「教会音楽の宝庫 を保存 し, また聖歌の新 しい形式 を奨励す るために・・=-カ トリ ック学校 において音楽 に関す る教 育 と実習を重視 しなければな らない。 ・・-・まず グレゴ リオ聖歌 の研究 と使用 を促進すべ きである。」

5

9

「新 しい作品が古 い ものに比べ て恥ずか し くない よ う,そ して教会 の音楽宝庫 の 新要素 となる よ うに しなければ な らない。」 この よ うな指針か ら,聖歌 に関す る実際的 な動 きが出て来 まして, 日本 に お い て ほ, まず 「典礼聖歌」が1978年 までに一応 の完成 を見 ました。 これは, 日本語に よる, 日本人 に よっ て作 曲 された, 日本人 のた めの聖歌 として現在, 日本 の カ トリック教会 と修道院 で一般化 し ている事は ご承知 の とお りですo Lか し先に読 み ました諸条項 か ら 「典 礼聖歌」だけで良い のではない事 もお解 りいただけ る と思 い ます。 <新 しい聖歌集> 一方, グ レゴリオ聖歌 も典 礼憲章 に もとづ き,着実 に改訂 され新 しい聖歌集 や研究 の上 か ら重要 な楽譜集が出版 されています。 1966年 GradualeNaum8--・・後で述べ る聖歌 の新 しい研究分野を開 いた聖歌学者E ・カ ルデ ィー ヌの労作 で,1908年版 GradualeRomanum の角型四線楽譜 で示 された旋律

(3)

E.カルディーヌ

:

「グレゴリオ聖歌入門」についてそ-の1- 85

に最古 のネ ウマを手書 きで入れた もです。

1974年 GradualeRomanum・-目新 しい ミサ典 礼に もとづ いた ミサの聖歌集。 現在 の ロ ーマ典 礼の歌 ミサは これ を使用 します。 1975年 GradualeSimplex-- 小 さな教会 で使用 す るための簡単 な ミサ 曲集。 言 うまで もな く,先 に読 んだ典礼憲章117条 の実現 と言えるで し ょう。 1978年 OffertoiresNeum6S-・・・1935年 に出版 された Offertorialeに フィ ッシ ャーがE・ カルデ ィー ヌと同 じよ うに古 いネ ウマを書 き入れた もので,奉納行列用聖歌 の詩 句 で す。

1979年 GradualeTriplex-・・・・先にあげた現行 GradualeRomanum に ラン239とサ ンク トガツ レンのネ ウマをつ けた もの。新 しい演奏解釈 には この楽譜 が是非必要 です。

1981年 Psalterium Monasticum聖務 日課 の詩編唱に関す る聖歌集。

等がそれです。そ して更 に グ レゴ リオ聖歌 に新た な光を当て ることにな った重要 な研究者 と 研究書 が登場 します.それは ウジ ェ∼ ヌ ・カルデ ィー ヌEugeneCardine(1905年 ∼ )

(6)

教授 と 「グ レゴ1)オ聖歌 セ ミオ pジー」SemioloiaGrg egorianaです.

<研究の基礎>

グ レゴリオ聖歌研究 の中心 は,今 日に至 るまでフランスのサル ト県 にあ る ソレム修道院 で す。歴史的 には

A

・モ クロー (1849-1930)を中心 とす る研究者 たちが,その成果を1889年 以来双書 に して 「音楽パ レオ グラフ ィ-」PaleographieMusicaleとしてあ らわ し,21巻 に まで及 んでいます。 これ らの研究書 の 目的 は,各地 に散 らば っていた グ レゴ リオ聖歌 に関す る源泉的資料 の収集 とその研究 であ りま した。集 め られた資料 に よって,古 い時代 の楽譜(ネ ウマ譜)の形体 とか分布 の状態,歴史的 な位置等 が調べ られ ました。そのおか げ で1908年 に ミサの聖歌集,GradualeRomanumが生 まれ,1912年 には聖務 のための Antiphonale Monasticumが公 にされたので した。 <新 しい動 き> さて,第二 ヴァチカン公会議の頃か ら聖歌 の研究 にひ とつ の新 しい方 向性を準備 して いた (7) ソレム修道院出身 のE・カルデ ィー ヌ教授 は1968年 に SemiologiaGregoriana「グ レゴリオ 聖歌 セ ミオ ロジー」を発表 しま した。 これは,先 の

A

・モ クローを中心 としたパ レオ ブラフ ィーの基礎 の上 に, さらに も う一 歩進んだ 「ネ ウマの音楽的意味 を探 るために供 さ れ る 学 (8) 問」 です。ネ ウマの形体を調べ たパ レオ グ ラフ ィ-の段階か ら, ど うしてネ ウマがその よ う な形体 で書 かれ る必要 があ ったか ? その意味す るところは ? 作者 はその形体か ら実際 に 音 とな って鳴 り響 く音楽 に どの よ うな意味 を求 めたのか ? とい うよ うな言わば音楽美学 の 世 界にまで到達す る学問 とい うことになるわ けです。 日本語訳 の同書 の副題 には 「古楽譜記 号解読解釈」 と書 かれています。

(4)

86 研究紀要 (第4号) < ネウマの解釈 とは> 具体的 な例を示 しま し ェうO ここに低一高一低

と い う一 連 の3個 の 音 符 が あ 。ま す。 これ を 角 型 四 線 譜 で は 山 と書 き,演奏は 垂 の よ うに歌 います。 と ころが これに相当す るネ ウマは五種類 `刀

f ノ7

LP があるのです. とい うことは,当然 の ことなが ら五つ の異 な った歌 い方 が存在す ること りになます。 この3個 の 音 を表現す るた めに,作者 はそれぞれに微妙 なニ ュア ンスを望んだに違 いないのです。私た ちは,作者 の意 図をネ ウマ とい う言葉か ら読 み取 って理解す ることにな ります。ネ ウマ とい う音楽言語 の文法 が解 明 され るな らば,作者 の意 図が読 み取 れ ます。それに もとづ いて この 作品を再現 して,つ ま り音 に して初 めて作者 との コ ミュニケ-シ ョソが取れ るわ けです。 こ の 目的 に供す るのが 「グ レゴリオ聖歌 セ ミオ ロジー」 とい う学問です。 この書物 に よって学 (9) んだ人 々か ら今 日,次 々に新 しい研究 と実践が広が っています。そ して既 に述べた とお り, 日本語 に翻訳 されたそれは,内容的 にフランス語版以上 の ものにな ってい るとい う こ と で (10) す。 < グ レゴ リオ聖歌入門>

私 が訳 しま した 「PrimoAnnodiCantoGregoriano」は,「SemiologiaGregoriana」 の 前課程 に使用 され るテキス トで1970年 にイタ リア語 で出版 された ものです。E・カルデ ィー ヌ教授 は,本書 の翻訳を認めて下 さると同時 に若干 の質問に も細か くお答え下 さいました。 グ レゴ1)オ聖歌 セ ミオ ロジーの成果 に よって,私た ちは グ レゴ1)オ聖歌 の源泉的 な姿 に接 す ることが可能 にな って来たのです。 ここに冒頭 で述べ ました,一般音楽界で も注 目されて 来 た理 由が ご理解 いただけた と思 います。 日本 の教会 に とって, この新 しい光の当て られた グ レゴ リオ聖歌 は どの よ うに反映 され るので し ょうか ? 「新 しい典礼聖歌が豊かにな って行 し11ヽ く一方 で,伝統 の聖歌 が本来 の姿 を と りもどしつつ あ ることは皮 肉な現象」 と見 えた り 「グ レゴ リオ聖歌 の伝統 が典礼の国語化 に よって ラテ ン語 とともに また失われて行 く の で は な く,現代の 日本語 に よって生 きた伝統 とな って残 され, さ らに豊かな もの とされ て行 くこと (12) が期待 され る」 とい う見解 もあ ります。 いずれにせ よ今後の 日本 の宗教音楽 と聖歌教育 を考 える上 での課題 であ り摂理 で もあ るよ うに思われ ます。 < なぜグ レゴ リオ聖歌 か> 最 後に グ レゴ リオ聖歌の重要性 と本書を翻訳す る意 義を と りまとめてお きます。 ① セ ミオ ロジ-は,聖歌 の源泉的 な姿を再現す る可能性を有 した学問 であ り,本書はそ の入門書 であること。そ して既 にセ ミオ ロジ ックな演奏が世 界的 に定着 しつ つ あ る こ (13) と。 ② 聖歌は教会固有 の歌 であ り,その研究 と教育 は カ トリック学校 において重視 され るべ きであること。 (参 聖歌は,東方的 ・アジ7的起源 も含 まれ, いわば東 と西 の音楽的融合,同化 か ら生 じ

(5)

E.カルデ ィーヌ :「グ レゴリオ聖歌入門」についてそ-の 1- 87 (14) た もので,時代 と民族を越 えた人類の普遍的な共有財産 であること。 ④ 神 のことばに秘跡的効果を もた らす力あふれたく久遠の音楽> グレゴリオ聖歌は消え (15) ることがないこと。 ⑤ 文化遺産は人か らもらうものではない。先人の残 した文化は,それぞれの世代が, あ (16) らためて自分のものに し直 さなければならない こと。 注 (1) 本書の書評は昭和57年,音楽学会第11回広島例会で行なった。また,本書は 「リズムの考え方」 について特に重点が置かれているので,第5章 「T)ズム分析」を中 Lhに,第3回 日本 グ レゴ 1)オ聖 歌学会 (昭和58年,大阪)で発表 した。機関誌 「グレゴ リオ聖歌研究」1984年。p.21参照 (2) ソレム修道院の先代合唱長, ドン ・ガジャールの言葉。野村,皆川監修 「グ レゴ リオ聖歌選集」 キング レコー ド,1965年,p.6 (3) 『カ トリック大辞典』第 Ⅱ巻,p.78 (4) 南山大学監修 『公会議公文書全集』中央出版社,昭和44年。参照 (5) 典礼憲章実施評議会編

,

「礼部聖省 ・典礼音楽に関す る指針」典礼委員会秘書局,1967年。 参照 (6) E ・カルデ ィー ヌ 『グ レゴ t)オ聖歌セ ミオ pジー』水嶋良雄訳,音楽之友社,昭和54年。 (7) 1950年か らローマ教皇庁立宗教音楽院の教授 (8) 前掲苔,(6)のp.237 (9) 1975年 「国際 グ レゴ リオ聖歌研究協会」設立。1980年 「日本 グ レゴリオ聖歌学会」設立。 (10) 前掲書,(6)のp.239 (ll) 「グ レゴT)オ聖歌研究」1984年版,< これか らの教会におけるグ レゴリオ聖歌の役割 と課題> 帯 功, 日本 グレゴリオ聖歌学会発行。p.5 (12) 土星吉正 『ミサ ーその意味 と歴史』あか し書房 ,昭和56年。p.142 (13) ソレム修道院の合唱長D ・ク レールの演奏,アグス ト一二指揮,ネオ ・グ レゴリオ聖歌隊,水嶋 良雄指揮,ス コラ ・グレゴリアーナの演奏等がそれである。 (14) 皆川達夫監修 「グレゴリオ聖歌集大成」キ ングレコー ド,1974年。p・2 (15) 荏(ll)に同 じ (16) カタ リン,-ル ジェーべ ト共著 『コダーイ ・システムとは何か』羽仁,谷本,中川共訳,全音楽 譜,昭和54年,p.6

(6)

「グレゴリオ聖歌入門」について―その1―

E

・カ ル デ ィ ー ヌ 訳 :高 橋 正 道 目 次 序論 グ レゴ リオ聖 歌 の精神性 と音楽性 A 精神性 B 音 楽性 第1章 ヴァチ カン版 現行記譜法 A 補 助的記号 (1)譜 表 (2)音部記号 (3)変 位記号 (4)ギ ドン (5)区分線 B 旋律記譜法 (1)現行記譜法 (2) 単純 ネウマの展開 (3) ネウマの修飾 (4) 融 化 第2章 詩編 唱 と旋法 (1) 調 と旋法 (2)詩編 唱 (3)旋 法 第3章 グ レゴ リオ聖 歌の リズム (1) 歌われた言葉 , グ レゴ リオ聖 歌 (2) リズ ム とフ レージソグ (3)グ レゴ リオ聖 歌の基礎的要素 (4)言葉 と旋律 の不可分 な関係 第 4章 ラテン語 と旋律形 (1) 異 なった文 脈 の中で用 い られ る同 じモチ- ヴ (2)古写本 の示 す もの (3) トロー ブスの示す もの 第5章 旋律 の リズ ム分析 (1) 重複 カデ ン ツァ (2)先取 カデ ンツァ (3)プ ロ ドリー ・カデ ンツァ (4) 旋 回 カデ ン ツァ (5)Ⅴ字型 アーテ ィキ ュレーシ ョン 第 6章 ラテ ン語 の アクセン トと楽 曲 (1)楽 曲様式 (2)カデ ンツァ公式 におけ る主要 アクセン ト (3) 主要 アクセ ン トと二次 ア クセン ト (4)作 曲家 の二次 アクセ ン トの用 い方

(7)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について 89

グ レ ゴ リオ 聖 歌 の精 神 性 と音 楽 性

A

精神性

1

グ レゴリオ聖歌 の本質的 な価値は,端的 にい ってその精神性 にある とい うことを強調 し なければな らない。 この ことが,われわれ の研究 の根本 であ り, 目ざす きころであ り, また 完全 な動機づけ とな るものであ る。 今期 (1963年12月 4日第 2ヴァチカン公会議)の諸回勅に含 まれ る典礼憲章は, グ レゴ リ オ聖歌 を 「ローマ典礼 に固有 な歌」(116条) として認めている。その理 由は, グレゴ リオ聖 歌 が, その音楽的 な特質以上 に,祈 りを表現す るにた ぐい まれな可能性 を有 しているか らで あ る。 われわれが聖歌 を歌 う時 に,歌詞に注 く小特別 な注意 は歌詞 の持 って いる真の意味 を理解す るのに役立つ もの となろ う。 グ レゴリオ聖歌 の歌詞は,大部分が聖書 か ら取 られ て い る の で, そ こには神 の霊感 に よって示 され る美 に して聖な る働 きが宿 されて いる。 さらに, グ レ ゴ リオ聖歌 の旋律 は, ラテ ン語 の 自然 な輪郭に比類 ない方法 で一致 しているばか りでな く, 驚 くべ き密度 の濃 い精神性 を も有 しているのである。

B

音楽性

2

キ リス ト教 の信仰の有無は別 に して も,多 くの音楽家 は グ レゴ リオ聖歌 の美 しきを称賛 して止 まない。 しか し,精神性 につ いて もそ うであるが, グ レゴリオ聖歌 の音楽的 な全体像 は,単 に一般的 な, あ るいは何 か抽象的 な原則か ら導 き出 され るのではな くて, わ れ わ れ が, これか ら具体的 に研究 して行 く音楽 その ものか ら自然 に沸 き上 が って, は っき りとした ものになるものであ る。 グ レゴリオ聖歌 の楽 曲は,一義的 な ものではな く,純粋 な レパ ー トリー として (特 にその 起源 において)それぞれの機能 を果 さない ものは一 曲 としてなか った。事実,われわれが講 義に使用す る LiberUsualisは多 くの異 な った種類 の聖歌 か ら成 り立 っている。 そ の 大 部 分 (ミサ と主 目の聖務,主要祝 日,古 い祝 日等)は, グ レゴ リオ聖歌 の純粋な遺産 に属 す る ものである。なぜ な ら,それ らは グ レゴ リオ聖歌 の最 も古 い時代 に生 まれた ものである。反 面 また,かな りの部分は新 しい時代 の もの もある。それぞれの作品が成立 した場所 と時代 に よって,作品の中に多かれ少なかれ,は っき りとした特徴 が示 されて いる (例 えば,三位一 体祝 日 ミサ と聖務, 復活節第二主 日 (白衣 の主 日) ア レル ヤの2つの グェルスス)。 その他 のい くつかの作品は, グ レゴ リオ聖歌の様式か らは, 明 らかに 遠 く離れている (例 えば, Adorote,StabatMaterJ。 また, あるものは グ レゴ リオ聖歌 とは対照 的 な もの もあ る (例 えば,0 filiietfiliae,Adestefideles)。それ で もこれ らは確かに宗教音楽には違 いない。

(8)

90 研究紀要 (第4号)

この ような楽曲成立過程 の層の区別や曲種の違 い (Introitus,Graduale,Kyrie,Hymnus

等)は非常に重要 な意味 を持つ ものである。 3 グ レゴリオ聖歌の音楽的意図を理解するために, と りわけその精神的意図を感得す るた めに, グレゴリオ聖歌 の完全な把握を 目指す ことと,実践上の完壁な熟達 とが必要 にな って くる。つ ま り,ひ とつの技法 を獲得す る必要 があるわけであるが,それはあ くまで も目的 と 対象にふさわ しいものでなければな らない (グレゴリオ聖歌は,実に神に捧げ られ る最高の 賛美を歌 うものだか らである)。けれ ども, ここでは っき り言えることは, 仮に専門的な卓 越 した能力を備 えていない小 さな聖歌隊 とか共同体の グループでもグレゴリオ聖歌 の持 って いる精神 を充分に, またそれぞれ決め られた部分を立派に歌 えるよ うに,そ して また祈 りと してふ さわ しい解釈に到達す ることができるように養成 で きない ことはないのである。 第

1

章 ヴ ァチ カン版現行記譜法 (N・B・1)

A

補助的要素 1)譜 表 4 グレゴ リオ聖歌の譜線は,五本でな く四本である。下か ら上へ と数え られ,線 と線の間 も区別 され る。 5 線 の本数は副次的 なものである :初期 の写本は音の高 さをあ らわすためには不正確であ った。なぜ な ら,絶対的 な定 まった位置を示す ものでな く,「空 いた紙面に」 ネ ウマ記号で 書かれたのである。 しか し,少 しづつ音程 を正確に区別す るデ ィアステ ィマタ記譜法への努 力がなされた。最初 の うちは まだ

,

「空いた紙面に」 違 った高 さの位置関係 でネ ウマが書か れ,やがてイ ンキを入れない圧力をかけただけの線を基準に して記譜 され るようにな った。 この線は,初 糾 まただ記譜家 の助け としてそ こに引かれた ものであ ったが,その後,色が入 った。四線に定 まるまで歴史的に二本線,三本線上に も書かれた。 6 五線でな く, なぜ四線を使用す るのだ ろ うか ?グレゴリオ聖歌は,一般的に音域がそ う 広い ものではな く, 四線 で足 りるか らである。 (N.B.2)補助的に上下 とも一線 を加えるこ とがあるが,例は少ない。 もしも,非常に巾の広 い旋律を使用する場合は,音部記号を変更する必要がある。ほ とん どの グラ ドウア- レ (昇階唱)がその ようになっている。つ いでなが ら言えば,12世紀の ノ ルマンデ ィー地方 の写譜家たちは,当時主流 であ った三線譜 の中にあ って,多 くの音部記号

(9)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について の変更を余儀 な くされていた。 2)音部記号

7

グ レゴリオ聖歌の楽譜には, 91

3

:

- とを使用する.両方 とも短 二度音程 の上に位置 してお り,相互の音程関係 を読み取 るのに好都合な記号である。音部記 号の形状は文字か ら来てお り,-音が

C

,-音が

F

に対応す る。 しか し, アル フ ァべ トの最 初の7文字は, どれ もが音部記号にな り得た。事実古写本 では,特 に12世紀に音部記号 とし て, d (ニ音), a (イ音),そ して変 口音を示す (b)や ロ音 の (ら)が, またベネペ ソ ト には,G (ト音)の音部記号が見 られ る。 ひ とたび音部記号がその高 さに対応す る線上 に設定 されれば,そ こに書かれた音符は問題 な く読める。仮に,音部記号がいろいろあ って も, またそれ らを どこに設定 しよ うとも原理 は同 じである。 8 音部記号の位置設定は,それぞれの楽曲の音域 に よって決 め られ る。高い音域 を使用す る旋律の場合は,第2線 に-音記号を書 き,次いで音域 が低 くなるに従 って第3線,第4線 に 書かれ る。-音記号は第3線に書かれ る。第 4線 に-音記号が使用 されているのは,Liゎer Usualis ではただ一回だけで,それは低 い ト音へ と下が っている曲であるために使われてい る。 a)-音記号 9 グレゴリオ聖歌 の-音記号は,ほ とん ど第3線か第4線に置かれ,時 には第2線上 に も 用 い られ るが,第1線上 に置かれ ることは決 してない。

JAltJLJl♪o rtd a JdLL tiFLbltJLAiDOr▲≠i

÷

-

_

. 三

'

JJIrLt止fLJ。Il▲ADOft

-音記号第2線 の楽曲例 :Comm.EcceDominusveniet(待降節第四週の金曜 日) Intr.Adorate(年間第三主 目)

comm.Passer(年間第十五主 日) -音記号第3線 の楽曲例 :All.Ostende(待降節第一主 日)

Intr.Populus(待降節第二主 日) Grad.ExSion (同 上)

-音記号第4線 の楽曲例 :Intr.AdteLevavi(待降節第一主 日) Comm.Dominusdabit(同 上)

(10)

92 研究紀要 (第4号)

All.Laetatussum (待降節第二主 日)

b)-音記号

10 -音記号は常 に第 3線上 に置かれ る。 ただ し 1曲だけ 第 4線上 に 置かれた 曲がある。 (司教 でない証聖者 の共通 ミサのComm.Veritasmeaがそれである。)

<

_

.

=

I

h l

i

J。 rt t止 臥 sd tA Ji tl i.ltJL Ii l。 Tt hifA Jot

-音記号第3線の楽曲例 :(主 として低い音域の曲で,変格 プロ トウス,つ ま り第2旋法楽曲) Off.Adtelevavi(待降節第一主 日)

Comm.Jerusalem surge(待降節第四主 日) Intr.Venietostende(待降節第四週土曜 日) Intr.Dominusdixit(主の降誕夜半の ミサ) 11 前に述べた よ うに,音域 の広 い楽 曲のために, LiborUsualisでは 2つの音部記号が使 われ る。 しか し一方 の音部記号か ら, も う一方 の音部記号-の珍行は,楽 曲のフ レーズの途 中ではな く,楽曲内部の明確な区分 の所 で行なわれ るO具体的 に言 えば, ブラ ドゥア∼ レは 変化 に富んだ曲で,その構成 も非常に豊かであるので,当然旋律はそれにふさわ しい変化に 富 んだ広が りを要求す るのである。第1の部分,すなわち応唱部分は,だいだい低い音域 で 動 くが, ヴェルスス部は少人数 のカ ン ト-ル (ある時期 には独唱者だけ)がいつ も高い声 で 歌 ったので,非常に発展 して次第に高い音部記号が用 いられ るよ うにな った。 楽 曲例 : Grad.Universi(待降節第一主 日) Grad.Propeest(待降節第四主 日) Grad.Exiit(使徒聖 ヨ-ネの祝 日) Grad.Gloriosus(殉教者共通 ミサ) 3)変位記号

12 グレゴリオ聖歌は, ロ音 の前にある変位記号ただひ とつだけ しか用 いない。bemolleは 文字通 りb音 (ロ音)が molle(よ り少な く広げ られた,つ ま り半音) とい う意味 である。 これは大部分が後代につけ加 え られた もので,将来 の出版 には消失す るものであることを知 ってお くべ きである。変位記号は次に何か新 しい変化が来ない限 り有効 である。 まず,本位記号のある所 まで : HH u- - l (第8旋法ア レルヤの終 りのカデ ンツア,例 えば 主 の降誕夜半の ミサ)

(11)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について 区分線 の所 まで :

e

-go

h6

-あるいは,別 の言葉 の所 まで :

Com

m.

S.

D

U.

Wv

i

- ne-

r

i

t

◆P

a

-

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A

-

c

l

i-t u § 93 (同 じくア レル ヤの Hodie の ところ) (復活節第四主 日 の Comm) 上記 の最後 の2つの場合,お よび譜表の段 が変わ って もなお変 口音を継続 させたければ,改 めて変位記 号をつけなければな らない。 4)ギ ドン

13 ギ ドンとは,次 の段 の開始音 を前 もって知 らせ る印であ る。用 い方 は2つの 場 合 が め る。 まず,各段 の末尾 に。 これは次 の段 の開始音 を前 も って知 らせ る :

D te levA-vi+えーnimam me_am :

同 じ段 の中で も,音譜記 号が変わ る時に : (Intr.待降節第一主 日) (Grad.待降節第一主 日)

.

V

i

-

as いずれ の場合で もギ ドンの印が歌われ ない ことは言 うまで もない。 5)区分線

1

4

ヴァチカ ン版 は, グ レゴ リオ聖歌 の旋律語 melodico-verbaliか らな る楽区 を分 け るた めに区分線 を用 い る。それぞれ の楽区の持つ意味 に よって,長 さの異 な る区分線 を 使 用 す る。 もちろん, これ らのグ レゴ リオ聖歌 に用 い られ る区分線 と一般的 な音楽 に用 い ら れ る 線 (小節線) との間 には, 当然 の ことなが ら何 ら類似性 はない。 グ レゴ リオ聖歌 のそれは言葉

(12)

94 研究紀要 (第 4号) におけ る句読点のごとき印, ;:.と深 い関係がある。 小区分線 中区分線 i 大区分線 ≡ 巨 複 縦 線 壬 (これ旋律語 とな っている所, あるいは純粋に旋律のごく小 さな禁句 inciso がある所 で用い られ る。) (これはフ レーズfraseの中の楽節membroを区切 る。 1つ のフ レーズは2つか 3つの楽節に分かれているので,当該 フ レーズには1つか 2つの中区分線が用 い られ ることになる。) (これはフ レーズ全体の終 りを示す。 しか し必ず しも常 に終 結 とは限 らず,何 らかの重要 な意味を持 った区切 りである。) (これは作品の終止, または当該作品中で歌隊の 移 行 を 示 す。例 えば Kyrie,Gloria, Credo, Graduale, Alleluia, Tractus。しか し歌隊の交替があ って もな くて も示 さ れ て い る。 ヴァチカン版 に見 られ る区分線は,だいたい正 しいものである。ただその内の若干の小 区分線は他の所 に置かれ るべ きもの, またあるものは取 り去 った方が良いものもある。 ----■ -15 ソレムが リズム付加版中に使用許可を求めた区点 は,先に述べた ヴァチカン版 の欠点を補 う目的 を持 っている。 例 えば, Off.Desiderium (聖人 ・聖女共通 ミサ)の depideのあ と, Grad.Osjusti(教会博士共通 ミサ) ヴェルスス中のnonのあ と等。 グ レゴリオ聖歌楽譜 の補助的 な記号 として, さらにつけ加 えるものがある。それは副次的 な もので線に属す るものではない星標 と小 さな十字 の印である。 a)星 標 16 単一星標 は,歌隊 Coroがス コラ (先唱者たち, あるいは場合に よって独唱者)に加わ る所 を示す。 それは, ・楽 曲の開始部分に見 られ, また ・Graduale,Tractus,Alleluia等 の ヴェルススの最後の言葉 に兄い出され る。 9番 のキ リ -の ように,最後のKyrieが2つに分け られ る場合, 最後のeleisonの前で も示 され る。 補足 :詩編唱において, この単一星標 は各 ヴェルススを区分 して前半 と後半 の問の休みを 意味す る。 (N.B.3)

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二重星標 は,キ リ-の最後が

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つ, あるいはそれ以上 の部分に分け られ る場合にだけ用 い られ る。単一星標 ごとに歌隊が交替 し,二重星標では歌隊全員が一緒 に歌 う。

(13)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について 95 b)+ 印 18 この印は,詩編唱の グェルススが非常 に長い場合,前半分にだけ少 しの区切 りをつけ る ために用 い られ る。 B グ レゴ I)オ聖歌の記譜法 1)現行記譜法 19 今 日の ヴァチカ ン版 に見 られ る記譜法は,13-14世紀 に各地で用 い られた角型記譜法 に よっているoそれ らは古 いザ ソク ト ガッ レンの書 き方 と関連性を持ち,そのザ ソク トガッ レン記譜法は,古代あるいは中世 の文章上 に書かれてあるアクセ ン ト記号や句点 な どの諸記 号が起源 とな っている。 まず,最 も単純 な二音節,それは文章 におけるアクセ ン トacuto(記譜法では ヴィルガ と な り,高い音を意味す るもの) と, もうひ とつのアクセ ン トgrave(記譜法では プソク トウ ム とな り,低 い音 を意味す るもの)であ り, この2つが記譜法の基本原理 とな っている。

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Comm.Jerusalem que (年間第三十四主 日) Comm.Dic°vobis(イユズスのみ心) superuno pecca-td・re ヴァチカン版 の角型単音符は

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「高い」 と「低 い」の2つの意味を持 っていることになるが, 譜線 によって旋律の絶対的 な高 さが示 されてい るわけであるか ら, もはや ヴィル ガ とプソク トウムの本来 の意味 の区別 とい うことでの存在理 由はない。

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次 に示す ヴァチカン版 の記譜法は(N.B.4)古 い ザ ソク ト ガ トレン修道院 の 古写本 ネ ウマ と良 く一致 した ものである。 これ らを単純 ネ ウマ と呼ぶ。 (N.B.5) 単音符ネ ウマ トラク トウルス Tractulus

(14)

96 二音符 ネ ウマ ク リヴ ィス Clivis 三音符以上 のネ ウマ ポ ッレク トウス Porrectus ク リマ クス Climacus 研究紀要 (第4号) ペ スあるいは ポダ トウス res,Podatus トノレクルス Torculus ス カ ンデ ィクス ・ Scandicus

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以上 の うち,特 に3つ のネ ウマについて さ らに詳 しく説 明を してお く。 なぜ な ら,それ らは 初心者 に とって多少 むずか しい点 を含 んでい るか らであ る。 21 a)ペスあ るいはポダ トクス ザ ソク ト・ガ ッレンのネ ウマが示す低 いア クセ ン トと高 いア クセ ン トは角型記譜 で も,その まま低 い音か ら高 い音- と続 いている。つ ま りこのネ ウマは下か ら上- と読 まれ る。

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ザ ソク ト・ガ ッレンのネ ウマは,高 い一低 い-高い と続 けて書かれ る。つ ま り, 高い2つ の 音 の間 に1つ の低 い音があ ることを示 してい る。 角型記譜法では,第1音符 と第2音符は正確 な角型 では印 されず に,線 を引 きず った様に 書 きあ らわす。

(15)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について

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ク リマ クス ス ブプンクテ ィス Subpunctis(N.B.7) と呼ばれ る書 き方 と同 じこの ネ ウマ は, ヴ ァ チ カ ン版 では,鳳 点の音 に引 き続 いて菱形 の プソク トウムを用 い る。 この形 は,使用 されたペ ソ とその角度か ら生 じた ものであ る。 2)単純 ネ ウマの展 開 今述べ て来 た単純 ネ ウマは, それ に引 き続 いて, さ らに音 を加 えることに よって展開 され うる。

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a)ス ブプソクテ ィスネ ウマ (N.B.8) 高 く終 ってい るネ ウマのあ とに 2つ以上 の常 に下 向す る菱形 プソク トゥムが続 く場 合, ス ブプソクテ ィス subpunctisと言 う。あ とに続 くネ ウマの数 に よって, さ らにそれ を正確 に ス ブビプ ソク ィス subbipunctisとかス ブ トリプ ソクテ ィス subtripunctisな どと 呼ばれ る が, その よ うな呼び方 は必ず しも必要 な ことではない。

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(16)

98 ポ レク トクス ス ブプ ソクテ ィス Porrectussubpunctis 研究紀要 (第4号)

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25 b)レス ピ ヌス ネ ウマ (N.B.9) 低 く終 ってい るネ ウマのあ とに, も う1つ の高 い音 が続 くこ とに よって展 開 された ネ ウマ を レス ピヌス respinusと言 う。 トル クルス レス ピヌス TorculusresplnuS ノ 〆

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26 C)フ レクスス ネ ウマ (N.B・10)

高 く終 ってい るネ ウマのあ とに, も う1つ の低 い音 がつ け加 え られ た 場 合 フ レ ク ス ス

flexusと呼 ぶ。 ヴァチ カ ン版 では, つ け加 え られた最後 のネ ウマが 角型 ネ ウマで書 かれ て い るので, ス ブプ ソクテ ィス と混 同す るこ とはあ り得 ない。

(17)

ポ レク トゥス フ レクスス Porrectusflexus

スカソデ ィクス フ レクスス Scandicusflexus

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について

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27 展開ネ ウマは,スブプソクテ ィス, レス ピヌス, フ レクススのネ ウマで全部か ? と聞 かれた ら,それは一方 では 「はい」,他方 では 「いいえ」 と言わ ざるを得 ない。 なぜ な ら, これ以外 の展開 ネウマを言 いあ らわすために,何か新 しいネ ウマの名称 を加 えるような必要 性はないのであるが, しか し他方 では,今述べた3つの展開ネ ウマをいろいろに組み合わせ ることに よって, さらに多 くの展開形が可能 とな るのであ る。例 えば,

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その楽 曲例 : All.X .Excita (待降節第三主 目)の pOtentiam の部分.

All.P.LaudateDeum (年間第二主 日)のangeliの部分. また次 の ような展開形 として,

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年卜萱

その楽 曲例 : Grad.Propitiusesto(年間第十主 日)の gentes部分。

(18)

100 研究紀要 (第4号)

Off.Benedictuses- in(年 間第六主 日) の Omni・aの部分。

ここに見 られ るポ レク トゥスが展開 された形 の, あ との方 の実例 は,全体 が1つのネ ウマ と して不可分 のネ ウマであ るこ とを示 してい る。そ のこ とか ら見 る と,昔 の手で書 いた楽譜 の 方 が現代 の楽譜 よ り,は るかに明瞭 であ る.つ ま り /抄イ・の よ うにな ってい る.そ こで先 の 実例 のあ との方 の現代譜 の書 き方 を, それぞれ Mh あ るいは へ 1 の よ うにすれ ば, この ネ ウマが1つ のま とま りであ るこ と, お よび個 々の音価 valoreの同等性 を よ りは っき りさ せ るだ ろ う。

2

8

ヴァチカ ン版 の記譜法 は総 じて良 くで きていて,音群 の全体的 な音程関係 を 読 む の に 紘, さした る問題 はない。 しか し, 3音符以上 の連続的な軽 い上 向音群 の書 き方 には,多少 問題 があ る。26のス カ ソデ ィクス フ レクススにおいて, ヴァチカ ン版 の書 き方 は, ポダ ト ゥス + ク リヴ ィス, ポダ トゥス + トル クルスのネ ウマがあ る よ うに見 える。 また,一連 の上 向音群 として展 開 された場合 もス カソデ ィクス+ トル クルスの よ うに書かれ てい るので あ るが,古写本 の書 き方 は, 4音符, 5音符, そ して 6音符が途中で分け られ ることな く, 連続す る軽 い音符群全体 を, ひ とつづ きのネ ウマ として書 きあ らわ してい る。 この ことか ら 角型記譜法 の音群 の書 き方 は,古写本 に示 された書 き方 を充分 に伝 えてい る とは言 えないの であ る。 これ らの ことは, グ レゴ リオ聖歌 の リズムを理解す る うえでの根本概念であ るこ とが, こ こ15年 間 にセ ミオ ロジーの光 に当て られ ては っき りとして来た。 29 ネ ウマ とは何か ? それは 「1音節 の上 にあ る音符 (秤) の総称 であ る

」 1音節 に1 音符, それが プソク トウムであれ ば,その プンク トゥムほ 1つ のネ ウマである。 また 2音符 が当て られ, ポダ トゥス とか ク リヴ ィス とな っていれば,それぞれが1つのネ ウマなのであ る。同 じよ うに, 4音符, 5音符,lo普符,20音符あるいは,それ以上 であ って も,それぞ れ の音が全体 として,ひ とま とま りにな ってい る1つのネウマなのであ って,その リズムは ネ ウマ内部 の諸音 の結 び方や,切 り離 し方 に よって明 らかな もの とな る。31の実例 でそれが 理解 され るであろ う。 さて, ここに至 ると 「ネ ウマ とは,本質的 に リズムその ものであ る」 と,は っき り断言で きる。 あ る時代 には,ひ とつ の旋 律的音群は小 さなネ ウマの連続か らな り立 ってい るとい うよう に実際 に考 え られていたが,今 日では,かつて考 え られていた, それぞれ の小 さなネ ウマの よ うに見 える,そのネ ウマの最終 音は,実 は1音節上 に,ひ とまとめにして書かれたネウマ 中 にあ って, しば しば重要 な リズムの支 えにな ってい ることが明 らか にな った。 ネ ウマが展 開すればす る程, そのネ ウマを構成 してい る種 々の要 素は当然多 くな って くる わ けであるが, け っして小 さな ネ ウマの連続 ではない ことを特 に注意 しなければな らない。 この こ とは非常 に重要 な こ となのであ るoなぜ な ら, ネ ウマ図形 の実体 entitagriafica,例 えば ポタ トゥス とい うそれが, 1つのネ ウマであるのか,それ ともネ ウマ全体 の中で単に要

(19)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について 101 素 として機能 してい るのか, に よって リズ ム上 の意味 が異 な る とい うことが あ り う る。将 莱, セ ミオ ロジーの 「ネ ウマの分離」stacconeumaticoで, このことを扱 うことになろ う。 単純 ネ ウマの展 開 につ いての本項 を終 るに当 って, ま とめをす るな らば (最 も純粋 な旋律 が作 曲 された時代 には, ネ ウマの名称 な どひ とつ も無か ったわけであ るか ら)展 開 された複 雑 な音群 のネ ウマに名前 をつけ る とい うよ うな こ とは, さほ ど重要 な ことでは な くて,展 開 された音群は, 1. 不可分 に結びついた1つの もの unita として把握す ることO (特 に古写本 の 音 群 中 に, きわ立 った指示 がない限 り) 2. この不可分の統一体は,声 の柔軟 さに よって, また音響の起伏 に よって歌 うことの中 で表現 す るものであること。 3)ネ ウマの修飾

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ネ ウマは, リズムや表情 に よって,書 き方 の明確 な変化 を受 け る

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B.ll) ・まず,展 開 された ネ ウマ音群途中で修飾 され る。 ・次 に付加記号をつけて,例 えば, エ ビゼマ episemaや付点で。 31 a)ネ ウマ音群途中での修飾 実例 :

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の ように修飾O 第1の実例では,ポ レク トクス フ レクスス としてひ と続 きで書 く代わ りに,第1音符 の音 価 が特別 にそ こで強調 されて次 の音符か ら切 り離 されてい る。 第2の実例では,ペス ス ブプソクテ ィスの代わ りに,同 じように第 1音符が切 り離 されて い る。 次 の実例 を見 よう。

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(20)

102 研究紀要 (第4号) ここでべスの図形 に よって書かれた レ-フ ァの 第2音符 フ ァは リズム上 の長 さValoreを強 調 してい る。 これ に対 して, もしも全 ての音が軽 い昔 であるな らば,次 の ように別 々に書か れ るだ ろ う。

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33 エ ビゼマ記号 の意味,つ ま りその解釈 はエ ビゼマの置かれた位置 に よって変わ る。 ヴァ チカン版 では, エ ビゼマのつけ られた ク リヴ ィスが多いので特 に注意 され るべ きである。 ・ まず, エ ビゼマのつけ られた ク リグ ィスが カデ ンツ ァにある場 合, つ ま り, 楽 句, 楽 節, フ レーズ等区切 りの最後 に出て来 た場合, その重要性か らして2音 ともラレンタン ド をすべ きである。 ・ それ に対 して, エ ビゼマのつけ られた ク リヴ ィスが1つの言葉や旋律上 に経過的 に出て 来 た場合,延 ば され るのではな く, む しろ一般的 な1つ の音節上 に置かれた 2音 として, 普通 に歌 って良いのである。いずれ にせ よ, エ ビゼマの有効範囲は,第1音符だけに限 る のではな く,第2音符 にも関与す るものである。

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(21)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について 103 ここに連続す る4つの ク リヴ ィスがあるが, この場合実際 に響 く8つの音は, 8音節分 の 音価 に相当す る。歌詞 の解釈上か ら言 って, この音節が軽 いはず はな く, この よ うにつ け ら れた旋律 に よって歌詞が浮 き彫 りにされ るのであ る。

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(四旬節第 四主 日) には, エ ビゼマのつけ られた ク リグ ィスの他 の実例 を見 つけ る。古写本は次の箇所 にそれを当てている。 C/.J

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」の各 フ レ-ズの カデ ンツア部。

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」 とい う楽句 のカデ ンツア部 〔小区分線〕 で もやは り一 様 にエ ビゼマのつけ られた ク リヴ ィスを当てている。 カデ ンツアの音価 の諸段 階 を 示 す た め に, ソレム版 は, そ こに古写本 の とお りエ ビゼマをつ けてい る。 同 じ く

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」 で もエ ビゼマのつ け られ た ク リヴ ィスを書 いている。

(22)

104 研究紀要 (第 4号) 旋律語の全体的な状況に よってエ ビゼマの解釈が出てこなければな らない。即 ち, ・ 「Laeta-re」上 のェ ピゼマは,「Ierusalem」 とい う逆 の動 きを持 った旋律に入 る語句の小 さなカデ ンツアであ って,ないが しろにはできない。つ ま り,同塵の2つの音符 で は あ る が, 〔カデ ンツアの方 のフ ァ音は〕 次 に続 く部分に生 き生 き と入 るための前段 として, 少 し 引 き延ばされて歌われ る。 ・それに対 して 「Conven-tum」 と 「fa-ci-te」上 にあるク リヴ ィス エ ビゼマは, ひ と続 き の流れ るような旋律線の中にあるものだか ら,音節音価 valoresillabico(N.B.12)の よ う に扱われ るべ きものである。 ェ ピゼマのつけ られた クリヴ ィスは, ミサ通常唱の中に数多 く見 られ るのであるが, (次 の 部分 との明瞭 な区切 りとな っている 1)ズム体 entitaritmicaの最後でない 限 り) エ ビゼマ として書かれていて も,け して引 き延ばすべ きではない。

実例 :GloriaIVの「ho-mi-ni-bus」

,

「Be-ne-dicimuste」,「omni-potens」,「unige・ni・te」

等。 ところで,「Gratiasagi・mus」 あるいは 「Domi-ne」の ク リヴ ィス エ ビゼマは, なるほ ど語尾音節上 にあるが,旋律の全体的 な状況か らしてご くわずかのニ ュアンス程度 しか求め られない。 改 めて, ここで特 に指摘 してお くが, ク リヴ ィスの第2音符を短か くせず に, 2つの音符 とも同 じニ ュアンスを持たせ るべ きである。 34 ここで ヴァチカン リズム記号付加版 で良 く見 られ るエ ビゼマのつけ られたポダ トゥス (付点がついた もの もある)について も言及 してお く。

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この ように示 されたポダ トゥスは,古写本ではペス クワッスス pesquassusと呼ば れ る ネ ウマ (N.B.13)であ って,重要 な音は第2音符なのである。

実例 :Grad.Hodie(主の降誕前晩),gloriam三一iusの最後の 2音符.Manas一望.の小区分 線 のす く、、前にある2音符。

Intr.Adtelevari(待降節第一主 目),Deusmeus等。 付点 付点がつけ られ る と本来 の音価 よ り延 び るわけであるが,それでもやは り旋律語全体 の状況 か ら解釈すべ きである。 35 カデ ンツアの付点 付点が1つの リズム体の最後 (つ ま り終止音)につけ られているな らば, 2倍 にも, また それ以上にも延ば しうるであろ う。 しか し付点のついた終止音は,必ず2倍 にす る必要性が

(23)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について 105 あるわけではない。その長 さは,旋律語か らなる音楽全体の終止 とか次 に続 く旋律語の重要 性 に起因す るものである。実際 には,禁句 とか楽節の途中に置かれた付点 に よって分け られ ている小 さな2つの リズム体は,多 くの場合,その 1つ 1つが互 に, よ り早 く2つ の 楽 節 へ, あるいは2つのフレーズへ と結びつ こ うとす るものである。 この ような異 な った状況 に よって,付点の長 さが常に等 しいものではない ことが解 るだろ う。 さらに指摘 してお きたいことは,先は ど述べ た楽句 とか楽節の途中に出て来 る場合の付点 はエ ビゼマに変 え られた方 が もっとは っき りした意味を持つo また, (語尾音節 に1音符が 当て られている)小 さな語句のカデンツアにある付点は,語尾音 をゆ っく り歌 えばそれで こ と足 りるのであるか ら,略す ことも可能である。 これにつ いて も多 くの実例を示 しうるが, ここでは1例だけをあげてお くO 実例 :Intr.Adtelevavi(待降節第-主 日) の ete-nim・・・-部分.

3

6

カデ ンツア部にない付点 前述の ものは旋律語体 (あるいは旋律だけ)がひ とつのカデ ンツアをな している所 に存在 す る付点であ ったが, こん どは付点音符が新 しい音節の開始部にある場合で, これは次 に続 く音 にも影響をお よば して (N.B.14)そのデ ィナー ミクには充分留意すべ きである。 付点のついた音符が音楽的 な動 きの到達点 であると共 に,同時にまたその昔が次 の動 きの 発端 とな っている場合,その昔は架橋音 nota-perno と呼ばれ る。発端だけの場合,その昔 は発端者 nota-sorgente と呼ばれ る。 架橋音の実例 : Comm.Jerusalem (待降節第二主 日)の Jeusr a-

1

S

E

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i

-

bi,aDe-9_

A

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′ ′1,

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B

,

a

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5

7

4

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3

6

sta in excelso:

Intr.Ocul:(四旬節第三主 目)の Domi ・ヱ聖巳 音節の第1音符,mise一三 一re Intr.Judicame(受難 の主 日) のquia三三 eS,fonti-tu・do

(24)

106 研究紀要 (第4号)

Intr・Nosautem (聖木曜 日)のO-DOE -tet

発端音 の実例 :

Comm.Dominusdabit(待降節第一主 日)の etterranostrada-bit Intr・PopulusSion (待降節第二主 日)の99Iminus

Off・Confitebor(受難の主 日)の丑聖 bum

Comm・Gustate(年間第十五主 目)の虫 sperat 4)融化 ネ ウマ 37 ヴァチカン版 には,通常音符 よ りも小 さい 音符 で終 っている書 き方 がある。 (N.B.15)それは文字通 り溶 けた liquescente ような形 と な っている。 実例 : 融化 トル クルス

融化 スカンデ ィクス

融化 ス ブプンクテ ィス

コ∈

次 の3つは別 の呼び方 がある。 融化 ポダ トゥス

:

はエ ビフ ォヌス epiphonus 融化 ク リヴ ィス

は チ ェフ ァ リクス cephalicus 融化 ク リマ クス

は アンクス ancus, と呼ばれ る。 38 a)融化 ネ ウマの意味 融化は,複雑 な音節をは っき りと発音 しよ うとす ることか ら生ず る声 の現象 である。は っ き りと発音 しようとす る時 の非常 に入 り組 んだ状態, それは発声器官が行 な う音 の, ある種 の減縮, あるいは詰 ま りとい った過度的状態 である。古写本は, この現象 を, ひ と筆 で実 に

(25)

高橋 :「グレゴリオ聖歌入門」について 107

巧妙 に書 きあ らわ している。筆跡 の最後は,丸 くなるか不完全 な ような引 き延ば された小 さ な形 の線 にな -ている。つ ま り,

′ /a / ' ツ ′ の ようにな っているo

メ リスマテ ィクな高揚 の中では,け っして融化 の書 き方 は見当 らない。 (N.B.16)また, 2つ の母音 の間 (Deo)で も,単純 に流れ る音節 (natus, populus)の所 で もそ うである。 融化は, 1つ の音節か ら別 の音節 に移 る発音上 の困難 さがある場合 の確認 を持たせ る所 だけ

に表れ る。

39 b)融化の理 由

発音上 の困難 さは,次 の理 由に よって生ず る。つ ま り,

1. 2つの子音 の出合 い :例 えば,non-con-fun-den・tur。 しか し,mとgは, 単独で も, その前の音 に融化が起 る。

実例 :Intr.Civavit(キ リス トの聖体)の petramelle

p

e

-

t

r

a

,me

H

eソ

Intr.SalveSanctaParens(聖マ リアの共通 ミサ)の quine-git Comm.Quivult(殉教者共通 ミサ) の abne-get 2. 二重母音 の所 で :例 えば,gau-dete,elei-son 3. jと i(N.B.17)が母音 の問にある場合, それは子音 の ように扱 わ れ る。 例 え ば, e-jus,allelu・ia

4

0

C)融化ネ ウマの解釈 セ ミオ ロジーで このネ ウマは詳細 に述べ るので, ここでは ご く簡単 に述べてお く。 ヴ ァ チ カン版は,古写本 に見 られ る2つの図形の うちの, 1つだけ しか表わ していない。つ ま り, 音 を縮小す るdiminutiva とい う意味 を,楽譜では小 さな音符 を使 って表わ している。 しか し,融化,縮小, とい う意味だけにこだわ りす ぎて,その小 さな音符 の解釈をおおげ さに してはな らない。なるほ ど,そ こには発声器官の一時的閉そ くとい う意味 での音響上 の 短縮 とい うことがあ り, まさにそのことが, このネ ウマの名称 とな っているわけであるが, リズムの上 では,融化 ネ ウマは,周辺 の通常 ネ ウマ と同 じ音価 を持つ ものである。同 じく, も う一方 では,実際 には音が延長 され るものではないが,ひ とつ の微妙なニ ュアンスか ら来 る拡大 aumentativa とい う意味を持つ融化ネ ウマ もある。 自由な リズムでは, 弱 い音は縮 小 され,重要 な音は拡大 され る傾向がある。わ ざとらしく短か くしてはな らない。あ くまで も自然 な発音 に素直 にゆだね るべ きである。結局,良 く発音 し,は っき り音節づけす ること で充分である。融化は, 自らそれに よって成 しとげ られ る。 (次号 につづ く)

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