【原 著】
ボード・ゲームが身体活動量に及ぼす影響
―男性職員を対象とした予備的検討―
鈴木 康裕
1,2)田島 敬之
3)村上 史明
2,4)高野 大
5)亀沢 和史
5)青木 航大
6)羽田 康司
2,7) 1)筑波大学附属病院リハビリテーション部 2)つくば糖尿病予防研究会 3)東京都立大学大学院人間健康科学研究科理学療法科学域 4)筑波大学芸術系 5)つくばテーブルゲーム交流協会 6)筑波大学芸術学群 7)筑波大学医学医療系リハビリテーション医学 【要約】目的:本研究の目的は,男性勤労者を対象に我々の作成したボード・ゲーム教材を用いた介入 を行うことで,身体活動量が増加するかどうか,また介入終了後に維持されるかどうかについて予備的 に検討することである。 方法:筑波大学芸術系と共同開発した本教材は,プレーヤーが身体活動量を増やすことで有利に進め ることができる。本研究の対象者は,地域の大学および大学附属病院にて勤務する男性職員11 名[年齢 24~48 歳,中央値(四分位範囲)34.0(33.5,39.5)歳]であった。介入期間は 6 週間,全 4 回(1 回/2 週間, 30 分間/1 回)のゲームを行った。介入開始前に 2 週間,介入終了後に 12 週間を設定し,最初の 2 週間 をベースライン期間,介入終了後の12 週間を介入効果の持越し観察期間とした。対象者は,介入群と対 照群の2 群に無作為に割り付けた。対照群は日常生活における身体活動量の増減をゲームのインセンテ ィブとして与えなかった。身体活動量は対象者全員に3 軸型加速度計を配布し測定を行った。 結果:中高強度活動時間(中央値)の群間比較において,介入期間中の変化量は,対照群+0.2 分/日に 対し介入群+1.6 分/日であった。経時的変化については,ベースライン期間と比べた介入 12 週間後の 変化率は,介入群+48%,対照群+10%であった。 結論:男性勤労者の身体活動量は,我々の作成した教材を用いた介入を行うことで増加し,また介入 後も中期的に維持される可能性がある。 Key words:芸術,行動変容,ゲーミフィケーション1.緒 言
我が国の国民健康・栄養調査では,歩数計を用 いて日常歩数が計測されており,1997 年から 2009 年までのおおよそ10 年間で日本人の歩数(総数, 全体の平均値)は男女ともに約 1,000 歩/日も低下 している1)。健康日本 21(2 次)では,日本人の歩 数を 1,200~1,500 歩/日増大させることが目標と して示されており 2),日本人の歩数を含めた身体 活動量の増大方法を議論することは,我が国の健 康問題を考えるうえで非常に重要なことである。 これは働き盛りの世代においても例外ではなく, 20~64 歳の勤労世代は運動習慣の割合が低く 3), 十分な身体活動量を確保できていないことが指摘 されている 4)。勤労者における身体活動の実践は 生活習慣病やメンタルヘルスの予防対策における 重要な対策となるため,勤労者に対して身体活動 を推進することは必要である5,6)。勤労者にとって 場所や時間を選ばず誰でも行える身体活動の推進 は,健康活動のために簡便に行える有効な手段で あり,例えば,勤務中でも座位時間を減らし歩行 時間を増やすことで身体活動や運動習慣の定着を 促すことができると考えられている7)。 患者教育において,講義形式による従来の方法 では医療者が中心であり,患者が受動的・依存的 になってしまう欠点がみられていたが,近年,「糖 尿病カンバセーション・マップ」8) を用いた技法 が開発され,患者が医療者とともに考え主体的・ 連絡先:鈴木康裕,筑波大学附属病院リハビリテーシ ョン部,〒305-8576 茨城県つくば市天久保 2-1-1, [email protected] 投稿日:2020 年 8 月 20 日,受理日:2020 年 11 月 26 日自立的になることを促進する教育方法として注目 されている。これは,運動習慣を含む生活習慣の 改善を目的とし,糖尿病患者や家族,友人などで 数名のグループを作りワークショップ(work shop; 以下 WS)形式で話し学び合う新しい学習形態で ある。我々は,このカンバセーション・マップに ヒントを得て,児童を対象とした運動習慣の向上 を目指したアート系WS 形式の健康教育教材を開 発した 9)。更に,この教材を用いた健康教育の効 果を検証するため,地域在住の小学生9 名(男児 5 名,女児4 名)を対象とした単群による介入研究を 行った結果,男児にのみ運動習慣が向上する可能 性を確認している 10)。近年では,身体活動量を向 上させるゲーム・デバイスを用いたゲーミフィケ ーションの有効性が注目されており,先行研究 11) ではスマートフォン・アプリ(ポケモン GO)を用 いることで大学生の歩数の増大効果が報告されて いる。ゲーミフィケーションとは,自らの意思で 享楽的な目的の元で行動することで,最終的に有 益な結果として,例えば,学業成績向上,収益向 上,健康増進などに繋がる行動変容に到達するこ とが可能な手法のことである12)。この手法は今日 教育業界でも応用され,ソーシャルゲームのメカ ニズムを活用した言語学習サービスなどに取り入 れられている。これらの背景から現在我々は,身 体活動量の増加を目的とした,ゲーミフィケーシ ョンの応用によるボード・ゲームの教材としての 活用に着目している。ボード・ゲームの効能とし て,多人数が参加しface to face(面談式)でプレー ヤー同士で会話を行うためコミュニケーションが 促進され,教育的および療養的作用を有するなど の長所が指摘されている13)。そのため我々は,ボ ード・ゲーム形式の教材が児童のみならず若年世 代においても教育的な有効性が見込まれることを 想定し,WS 形式の教材 9,10) に改変を加え新たな 教材を開発した14)。更に,この教材を用いて男子 大学生8 名を対象に 6 週間(全 4 回)のランダム化 比較対照研究を行った結果,加速度計を所持する のみであった対照群に比べて介入群の身体活動量 (中高強度活動時間)が増加すること,また,介入 群において介入終了2 週間後においても増加した 身体活動量が維持されることなどを確認してい る14)。このボード・ゲーム形式による教材を用い た介入は,男性若年者に対して「身体活動量の増 加および行動変容」という点から有用である可能 性が示されたが,大学生と勤労者では,年齢層や 日常生活活動の行動様式が異なるため,先行研究 の結果が男性勤労者にそのまま適用できるかどう かは不明である。そこで我々は,男性勤労者を対
象に本教材(ゲーム名:Virus Buster Offline)を用い
た介入を行い,身体活動量の増加について,更に 介入終了後でも身体活動量の増加が維持されるか どうかについて予備的に検討を行うことにした。 また,介入に対する対象者の主観的満足度や階段 使用頻度の変化などについても併せて検討を行っ た。
2.方 法
2-1.対象者 本研究の対象である男性勤労者は,地域の大学 および大学附属病院にて勤務する男性職員であり, A プレイ風景 B キャラクターの進化表 図 1 我々が開発したボード・ゲーム(Virus Buster Offline)獲得および蓄積されたポイントによりキャラクターが進化する(レベル1→2:3 ポイント,レベル 2→3:4 ポイン
2020 年 6~8 月にかけて研究参加者募集のポスタ ー掲示およびチラシ配布を行い,これらを見て応 募した者とした。対象者の除外基準として,①歩 行非自立かつ医師から日常生活活動を制限されて いる者,②運動習慣(1 日 30 分以上の運動を週 2 回以上行い 1 年以上継続している)を有している 者とした。本研究では,サンプルサイズの設計は 行わずゲームシステム(1 卓 6 名参加制)を考慮し, 対象人数を12 名に設定した。応募した対象者を, 介入群および対照群に無作為に割り付け各群1 卓 ずつの参加とした。 本研究内容は,筑波大学附属病院臨床研究倫理 審査委員会の承認を得るとともに(承認番号 H30-167),大学病院医療情報ネットワークによる臨床 試験登録を行った(UMIN000036877)。また本研究 の参加に際し,対象者に研究の趣旨,内容,およ び調査結果の取り扱いなどに関し口頭および文書 で説明を行い文書にて同意を得た。なお,すべて の対象者に対して研究終了時に記念品(大学オリ ジナル文房具など)を贈呈した。 2-2.評価項目 本研究の主要評価項目は中高強度活動時間,副 次的評価項目は歩数,主観的満足度,階段使用頻 度とした。 2-2-1.身体活動量 身体活動量は,3 軸型加速度計(メディウオーク MT-KT02DZ:TERUMO 社製)を用いた。本研究で 用いた加速度計は,3 軸の合成加速度から,あら かじめ設定した活動強度 (metablic equivalents; METs)の単位時間ごとの積算推定が可能であり, また歩数の測定も可能とされている15)。加速度計 は,本研究に参加した対象者全員に対し研究開始 時に配布し就寝時や着替え,風呂などの状況を除 いて腰部に装着してもらった。加速度計の値は, 回収のタイミングでコンピューターに取り込まれ たが,その際,加速度計の非装着基準として少な くとも1 日 10 時間以上の装着が確認できなかっ た日を欠損日,4 日以上/週の装着が確認できなか った週を欠損週とし身体活動量の集計から除外し た。中強度活動は 3~6 METs と定義されている が16),先行研究17) による25~64 歳の男女を対象 とした大規模横断研究において,4 METs 18)以上と とらえた中等度以上の運動強度が男性のメンタル ヘルスに独立して関連することが報告されている。 このことから本研究では,対象者が非高齢者層の 男性であることを勘案し,中高強度活動を4 METs 以上と定義し 24 時間積算時間(分)として測定を 行った。また,対象者個人の代表値として中高強 度活動時間は,装着期間中の1 日当たりの平均中 高強度活動時間(分/日),歩数は,装着期間中の1 日当たりの平均歩数(歩/日)とした。 2-2-2.主観的満足度 主観的満足度は,介入終了2 週間後に対象者に 対して「今回の取り組み(本研究への参加)には満 足しましたか?」とのアンケートによる質問紙法 図 2 本研究の介入デザイン 6 週間の介入期間で全 4 回(1 回/2 週間)のゲームプレイを行い,介入前の 2 週間および介入後の 12 週間は観察期間とした。
で ,VAS(visual analogue scale) に よ る 尺 度 (0 ~ 100%)を用いて評価を行った。 2-2-3.階段使用頻度 階段使用頻度の評価は,介入終了2 週間後およ び介入終了 12 週間後のタイミングで対面式によ る質問紙法を用いて行った。2 週間後の調査は対 象者全員に対して実施した。階段使用頻度に関す る設問は「今回の取り組みが開始されてから,エ レベーターやエスカレーターを使わず階段を使う ようになりましたか?」とし,回答方法は「使う ようにならなかった」,「少し使うようになった」, 「使うようになった」,「とても使うようになった」 の4 件法で実施した。12 週間後の調査は,2 週間 後の調査で階段使用頻度の増加が認められた対象 者のみに対して実施した。この調査における設問 は「研究終了時から比べてください。現在,階段 を使用する頻度は変化しましたか?」とし,回答 方法は「今はかなり減ってしまった」,「今は少し 減ってしまった」,「今も変わらない」,「今は更に 使うようになった」の4 件法にて行った。 2-3.研究デザイン 2-3-1.ボード・ゲームの開発 本研究では,筑波大学芸術系およびつくばテー ブルゲーム交流協会と共同開発を行い,前作教 材9,10,14)から改変した「Virus Buster Offline」(図 1A)
を用いた介入を行った。当初の教材は「すごろく 型人生ゲーム」であったが9,10),次の改変ではプレ ーヤーである男性の競争心をより惹起させるため 「戦闘型ゲーム」に改変した内容とした14)。更に今 回は,より娯楽性を高めるためボード盤や駒を3D プリンターで切り出すことで立体的で彩りの鮮や かなプラスチック素材とし,キャラクターカード は芸術系スタッフによって個別にそれぞれ描画す るなどの改変を加えた。いずれの改変についても 筑波大学芸術系スタッフによる専門的な芸術技法 を駆使して行われ,またゲームルールについては, つくばテーブルゲーム交流協会スタッフによって 設定された。なお,本教材の開発および作成のコ ストとして,材料費は約10 万円,製作のための作 業時間は約300 時間(スタッフ 5 名×60 時間)程度 が費やされた。 2-3-2.介入手順 介入期間は,2019 年 9 月からの 6 週間で,全 4 回(1 回/2 週間,30 分間/回)のゲームを行った。 ゲームは,対象者の勤務時間外である昼休みを利 用し,病院会議室で行われた。介入期間前に2 週 間,介入終了後に12 週間の対照期間を設定し(研 究期間:全20 週間),最初の 2 週間をベースライ ン期間,介入終了後の 12 週間を介入効果の持越 し観察期間とした。加速度計の回収は,介入開始 時,介入開始2 週間後,4 週間後,6 週間後(介入 終了時),介入終了2 週間後,12 週間後(研究終了 時)の全 6 回のタイミングで行い,身体活動量の 測定は,各時点から遡った2 週間分,および介入 期間である6 週間分で行った(図 2)。 2-3-3.ゲームルールについて 本教材は,ボード・ゲームの形式であり競争原 理の仕組みを利用している。ゲームは1 卓につき 6 名で行う卓上対戦型の陣取り方式である。6 名 のプレーヤーは,六角形のゲーム盤の角に1 人ず つ着席し時計回りの順番で1 人 1 分間の持ち時間 内で自らの駒を動かしプレイする。プレーヤーは, 1 人 4 回(4 ターン)のプレイ機会が与えられ,他 プレーヤーとの戦闘や探索行動を行い,より多く の陣地を獲得した場合に勝利となる。本教材にお けるゲーム開始時から終了時までの所要時間は, おおよそ30 分間である。プレーヤーは,ベースラ イン期間(介入開始前の 2 週間)の身体活動量(中 高強度活動時間,歩数)に応じてポイント換算表 のベースライン段階に分類される。介入開始後, ベースライン期間の身体活動量と2 週間おきに開 催されるゲーム間の身体活動量の変化量を元に, 換算表に則ったポイント変換処理(中高強度活動 時間が7 倍,歩数が 3 倍)が施され,ポイントが加 算される(表 1)。獲得および蓄積されたポイント によりキャラクターが進化し(レベル 1→2:3 ポ イント,レベル2→3:4 ポイント,レベル 3→4: 5 ポイント),進化することによってインセンティ ブ(例えば移動能力や戦闘力向上など)が付与され る仕組みである(図1B)。つまり,ゲームを有利に 進めるためには,プレーヤーは日常生活での身体 活動量を増やす必要がある。そのため,加速度計 は装着者によっていつでも身体活動量の確認が可 能な状態に設定した。 本研究では,対象者を介入群と対照群の2 群に 無作為に割り付け,両群とも全4 回のゲームを行 った。ただし対照群は,上述したポイント加算を 行わず,身体活動量の増減をゲームのインセンテ ィブとして反映させなかった。なお,対象者がゲ ームに欠席した場合,スタッフ(研究協力者)が欠 席者の代わりにプレーヤーを務めた。欠席者が介
変化量 歩数 ( 歩 / 日) < 0 0 -199 200 -299 300 -399 400 -599 600 -799 800 -999 1000 -1119 1200 -1399 1400 -1599 1600 -1799 1800 -1999 2000 ≦ 中 高 強 度 活 動 時 間 (分 / 日) < 0 0 . 0 -0 . 4 9 0 . 5 -0 . 9 9 1 .0 -1 . 9 9 2 .0 -2 . 9 9 3 . 0 -3 . 9 9 4 .0 -4 . 9 9 5 .0 -5 . 9 9 6 .0 -6 . 9 9 7 .0 -7 . 9 9 8 .0 -8 . 9 9 9 .0 -9 . 9 9 10 .0 ≦ ベ ー ス ラ イ ン < 4 0 0 0 0 .0 -0 .4 9 0 0 .1 5 0 .3 0 0 .4 5 0 .5 5 0 .6 0 0 .7 0 0 .7 5 0 .8 0 0 .8 5 0 .9 0 0 .9 5 1 .0 0 4 0 0 0 -4 9 9 9 0 .5 -2 .4 9 0 0 .2 0 0 .3 8 0 .5 1 0 .6 1 0 .6 9 0 .7 6 0 .8 2 0 .8 7 0 .9 2 0 .9 6 1 .0 0 1 .0 0 5 0 0 0 -5 9 9 9 2 .5 -4 .9 9 0 0 .2 8 0 .4 5 0 .5 7 0 .6 7 0 .7 4 0 .8 1 0 .8 7 0 .9 2 0 .9 6 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 6 0 0 0 -6 9 9 9 5 .0 -7 .4 9 0 0 .3 6 0 .5 2 0 .6 4 0 .7 2 0 .8 0 0 .8 6 0 .9 1 0 .9 6 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 7 0 0 0 -7 9 9 9 7 .5 -9 .9 0 0 0 .4 4 0 .5 9 0 .7 0 0 .7 8 0 .8 5 0 .9 1 0 .9 6 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 8 0 0 0 -8 9 9 9 1 0 .0 -1 2 .4 9 0 0 .5 2 0 .6 6 0 .7 6 0 .8 4 0 .9 0 0 .9 5 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 9 0 0 0 -9 9 9 9 1 2 .5 -1 4 .9 9 0 0 .6 0 0 .7 3 0 .8 2 0 .8 9 0 .9 5 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 0 0 0 0 -1 0 9 9 9 15 .0 -1 7 .4 9 0 0 .6 8 0 .8 0 0 .8 8 0 .9 5 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 1 0 0 0 -1 1 9 9 9 1 7 .5 -1 9 .9 0 0 .7 6 0 .8 7 0 .9 4 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 2 0 0 0 -1 2 9 9 9 20 .0 -2 2 .4 9 0 0 .8 4 0 .9 3 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 3 0 0 0 -1 3 9 9 9 2 2 .5 -2 4 .9 0 0 .9 2 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 4 0 0 0 ≦ 25 .0 ≦ 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 表 1 キ ャ ラ ク タ ー 進 化 の た め の ポ イ ン ト 換算 表 歩 数 ポ イ ン ト は 3 倍 , 中 高 強 度 活 動 時 間 ポ イ ン ト は 7 倍 さ れ , 双 方 の 合 計 が そ の 期 間 で の 獲 得 ポ イ ン ト と な る 。
入群の場合,欠席者の加速度計を事前に預かりイ ンセンティブは予定どおり付与された。 2-4.統計解析 本研究で採用した変数について,身体活動量 (変化量含む)および主観的満足度として各群の中 央値(四分位範囲),階段使用頻度については各群 のアンケート回答人数に対する各回答の該当人数 の割合(%)を求めた。群間での比較は,ベースラ イン期間と6 週間の介入期間終了後の身体活動量 の変化量,介入終了2 週間後の主観的満足度につ いては,マン・ホイットニーのU 検定を,介入終 了 2 週間後の階段使用頻度,介入終了 12 週間後 の階段使用頻度については,χ2検定を用いて検討 を行った。各群の身体活動量の経時的変化につい ては,ベースライン期間の中高強度活動時間およ び歩数を 0%に設定し,各期間ごとの変化率の比 較を Friedman 検定にて検討を行った。統計解析 は,SPSS バージョン 24.0(IBM Japan)を用い統計 的有意水準は5%に設定した。 なお本研究は,ベースラインと比較して介入後 における対象者個人の身体活動量の低下が著しか った場合,質的調査として該当対象者から各期間 中の行動や心境の特徴を聴取した。
3.結 果
本研究に12 名の対象者が参加したが,1 名の研 究辞退者が発生したため,完遂者は11 名(介入群 6 名,対照群 5 名),年齢の中央値(四分位範囲)は 34.0(33.5,39.5)歳であった。対象者の職種は病院 職員である理学療法士7 名,作業療法士 2 名,言 語聴覚士1 名,医師 1 名であり,10 名は病院リハ ビリテーション部に所属していた。また,理学療 法士による事前の確認において除外基準に該当す る対象者はいなかった。完遂者 11 名のデータに 欠損値はなかった。研究期間中における加速度計 の非装着率は低く全体で 5%未満であり,欠損週 は認められなかった。ゲーム出席率は全体で93% であった(表2)。 主要評価項目である中高強度活動時間の結果 を示す。群間比較では,介入期間中の変化量は, 中央値(四分位範囲)で,対照群+0.2(-1.1,+1.4) 分/日に対し,介入群+1.6(+0.6,+4.8)分/日を 示した(p = 0.361)(図 3A)。経時的変化については, 1~2 週,3~4 週,5~6 週(介入期間)および 7~8 週,17~18 週(介入後の観察期間)の順で各期間ご とのベースライン期間からの変化率を中央値(四 分位範囲)で,介入群+11(-28,+35)%,+24 (+5,+83)%,+68(-8,+98)%,+95(+42, +230)%,+48(+29,+69)%(p = 0.203),対照 群+7(-17,+14)%,+11(-12,+35)%,-2 (-8,+18)%,+13(+2,+15)%,+10(-8, +29)%であることが示された(p = 0.490)(図 4A)。 副次評価項目である歩数の結果を示す。群間比 較では ,介 入期 間中の 変 化量は ,対 照群 -715 (-1,562,0)歩/日に対し,介入群+27(-572, +2,542)歩/日を示した(p = 0.361)(図 3B)。経時 的変化については,介入群+9(-11,+19)%, +4(-9,+34)%,+7(-17,+36)%,+13 (-6,+31)%,+2(-7,+10)%(p = 0.931),対 照群-14(-20,-14)%,-8(-12,+15)%, -7(-13,-2)%,-5(-8,0)%,-4(-10,0)% であることが示された(p = 0.158)(図 4B)。 副次評価項目である,主観的満足度および階段 使用頻度の結果を群間比較にて示す。主観的満足 度は,対照群68(64,77)%に対し,介入群 86(78, 98)%であった(p = 0.065)(図 3C)。また,階段使 用頻度の増加率は,介入終了2 週間後で,対照群 40%(2/5 名)に対し,介入群 100%(6/6 名)を示し (p = 0.061)(表 3A),更に階段使用頻度増加の維持 率は,介入終了12 週間後で,対照群 50%(1/2 名) に 対 し , 介 入 群 100 % (6/6 名 ) を 示 し た (p = 0.143)(表 3B)。 なお,対象者2 名において介入期間中の変化量 (ベースライン期間,介入期間)が極端に大きな低 下を示し,介入群の1 名において-7.4(14.2,6.8) 分/日(図 3A),対照群の 1 名において,-4,418 (14,652,10,234)歩/日であった(図 3B)。この 2 名 を対象に,各期間中の行動や心境の特徴について 聴取した結果,「ベースライン期間中に 4 日間の 学会に参加し,歩行での移動機会が多かった」や 「ベースライン期間中に加速度計を所持したこと で,当初運動意欲が強く沸いた」などのエピソー ドが挙げられた。4.考 察
本研究は,大学および病院に所属する男性職員 (男性勤労者)を対象に,我々の開発した教材を用 いた介入(ゲームプレイ)を行うことで,対象者の 身体活動量および階段使用頻度が増加するかどう表 2 対象の基本情報 全体 介入群 対照群 人数 11 6 5 年齢(歳) 34.0(33.5,39.5) 34.0(33.3,36.3) 38.0(34.0,41.0) 身長(m) 1.73(1.69,1.77) 1.77(1.70,1.78) 1.72(1.70,1.73) 体重(kg) 70.0(64.0,78.7) 69.8(64.6,77.8) 70.0(65.0,77.0) BMI (kg/m2) 22.3(21.8,26.9) 22.2(22.0,24.0) 23.1(21.7,29.3) ベースライン期間の 中央中高強度活動時間(分/日) 8.0(5.5,8.9) 7.5(5.5,8.5) 8.4(6.0,9.1) ベースライン期間の 中央歩数(歩/日) 9074(8556, 10745) 9127(8857, 9811) 8901(8327, 12141) 身体活動量測定全日数 918 503 415 身体活動量測定欠損日数 (欠損率:%)* 42(4.6%) 31(6.2%) 11(2.6%) ゲームプレイ参加率(%)** 93.2 87.5 100
BMI; body mass index 中央値(四分位範囲) *身体活動量測定欠損日数/身体活動量測定全日数 **ゲームプレイ参加日数/(人数×全ゲームプレイ回数(4 回)) 表 3 階段使用頻度の介入群と対照群の比較 A 介入終了 2 週間後の階段使用頻度の変化 階段使用頻度 介入群(6 名) 対照群(5 名) 使うようにならなかった 0 3 少し使うようになった 3 2 使うようになった 1 0 とても使うようになった 2 0 階段使用頻度の増加率(%)* 100% 40% *該当人数/該当群人数(%) B 介入終了 12 週間後の階段使用頻度の変化 階段使用頻度 介入終了 2 週間後の階段使用頻度増加者 介入群(6 名) 対照群(2 名) だいぶ減った 0 0 少し減った 0 1 変わらなかった 6 0 さらに使うようになった 0 1 階段使用頻度増加の維持率* 100% 50% *該当人数/該当群人数(%)
か, また介入終了後の変化について検討を行った。 本研究における統計手法を用いた各変数の比較検 定の結果は,すべてにおいて有意性は認められな かったが,本研究は予備的研究として位置付けら れているため,結果については記述統計による解 釈を行った。対象者の歩数の中央値(四分位範囲) は9,074(8,556,10,745)歩であり,これは先行研究 1)における日本人の身体活動量を調査した疫学研 究である男性30~39 歳の平均歩数約 8,500 歩のデ ータをやや上回っていた。このことから,本研究 の対象者は同年代に比べてやや高い身体活動量を 有する集団であることが推察された。 6 週間で 4 回のゲームプレイを行い,身体活動 量のベースライン期間からの変化を比較した結果, 介入群の中高強度活動時間は対照群と比べて高い 変化率が示され,経時的変化についても介入によ る持越し効果が介入終了 12 週間後まで継続する 可能性が示された。また,階段使用頻度について も同様に,介入群のほうが対照群に比べて増加し, 介入終了 12 週間後まで維持される可能性が示さ れた。更に,介入終了2 週間後に行われた主観的 満足度評価の結果,介入群の本研究に対する満足 度は,対照群より高い可能性が示された。 我々の開発したボード・ゲームによる介入は, 対象の中高強度活動時間および階段使用頻度を中 期的に増加させる可能性が示唆された。更に介入 群は,対照群と比較し主観的満足度も高かった。 江口19) によれば,運動継続者にみられる顕著な特 性として「楽しさ・高揚感」が示唆されており, すなわち,本研究の介入群は,身体活動量を高め るための行動変容を起こしていた可能性がある。 本研究における,介入群の行動変容の1 つ目の 理由として,ゲーミフィケーションによる影響が 挙げられる。ゲーミフィケーションは,行使によ って有益な結果を間接的に得ることができるとさ れている手法であるが,近年,このゲーミフィケ A 介入期間 6 週間における個人の中高強度 活動時間の変化量の比較 B 介入期間 6 週間における個人の歩数の 変化量の比較 C 介入終了 2 週間後における個人の主観的満足度の比較 図 3 身体活動量および主観的満足度における介入群と対照群の比較
ーションの応用により,保健行動を促進する潜在 的作用があることも示されている20)。これらのこ とから,本教材を使用することで対象の行動変容 が促進された可能性が考えられた。 2 つ目は,本教材のゲームルールとして用いた, 競争を促す仕組みが好影響を及ぼした可能性が挙 げられる。先行研究では21),成人肥満者の身体活 動量を増加させることを目的とした介入研究にお いて,ゲーミフィケーションによる3 つの手段を 用いた場合,競争的介入が,他の協同的介入,援 助的介入と比べて最も効果的であったことが報告 されている。本研究の介入群は,ゲームに勝利す るには,他のプレーヤーより自らのキャラクター を進化させる必要があるため,介入期間での身体 活動量の増加に励行したと考えられ,外的動機付 けが強く刺激された可能性がある。 更に本教材は, 男 性 を 対 象 と し て 使 用 す る こ と を 想 定 し , 既 報 9,10,14) による結果を参考に,ボード・ゲームと して起草段階から男性をターゲットとしてプレー ヤーの身体活動量の増加を促す目的で,芸術系に よって専門的な修正デザインを施されていた。つ まり,ゲームルールによる競争的要素は女性より 男性に親和性が高いため,男性のほうがよりゲー ムに没頭する可能性を考えた。本教材は,競争的 要素の強い内容であるため,男性を対象に介入し た場合に,より行動変容を促せる可能性が考えら れる。 3 つ目は,ボード・ゲームによる効能が挙げら れる。先行研究11)では,スマートフォン・アプリ (ポケモン GO)を用いた身体活動量の増加効果が 報告されているが,短期間での急激な歩数の増加 効果がある一方で,急速に興味を失ってしまい数 週間のうちに歩数が低下してしまうことが示され ている。一方,ボード・ゲームは,複数人数で実 際に集まって同時にプレイする必要があるため手 軽には行えずプレイ回数が限られ,更に準備など A 中高強度活動時間の各期間ごとの変化率の中央値(四分位範囲) B 歩数の各期間ごとの変化率の中央値(四分位範囲) 図 4 身体活動量のベースライン期間からの経時的変化 黒:介入群,白:対照群
の手間がかかってしまうなどの欠点があるが,自 閉症児を対象としたボード・ゲームを利用した学 習形態の場合22),参加者同士による相互交流の増 加や社会的スキルの上昇が認められ,その効果が 日常生活のなかまで般化,維持されることが指摘 されている。もし,本研究の結果どおり,本教材 (ボード・ゲーム)による30 分間/回の介入(プレイ) を6 週間で 4 回行うことで参加者の中高強度活動 時間および階段使用頻度の増加および,その後12 週間の維持効果が生じるとすれば,本教材による 介入は,少ない回数かつ短時間で中期間の持越し 効果が期待できる費用対効果に優れた手法と考え ることができる。一方で,本教材による介入は, 複数人数で実際に集まり屋内での密度の高い状態 でプレイすることが前提となるため,感染症流行 下での実施が難しい側面がある。この点を踏まえ, 今後オンラインでも行えるシステムを構築するな どの対策を考え,また教材の有償販売あるいは無 償配布なども想定し誰でも利用できるような教材 のあり方を模索する必要がある。 本研究において,身体活動量の副次的評価項目 である歩数は介入による増加は少なく,また,経 時的変化についても,介入の持越し効果は介入終 了 12 週間後までは維持されない可能性が示され た。中高強度活動時間に比べて,歩数の介入効果 が乏しかった1 つ目の理由として,介入群におけ る身体活動量に対するポイント変換処理の設定が 挙げられる。本研究では,主要評価項目とした中 高強度活動時間を介入群により着目させるため, 介入群のポイント変換処理を中高強度活動時間で 7 倍,歩数で 3 倍に設定し,対象者の身体活動量 に対するインセンティブに差を生じさせた。その ため介入群は,歩数に対して中高強度活動時間に 比べてポイント変換のインセンティブが少ない分, 日常生活活動で軽視した可能性がある。2 つ目の 理由として,身体活動量を向上させる際の時間的 な制約が影響した可能性がある。現在,日本で推 奨されている歩数の増加量は 1,200~1,500 歩/日 程度とされているが2),この場合およそ1 日に 12 ~15 分間の歩行時間の増加が必要となる23)。本研 究の対象者は,働き盛りの男性勤労者であるため 日常生活が多忙であることが推察され,本研究の 介入では12~15 分/日の身体活動量の増加を新た に日常生活に割くほどの時間的余裕や行動変容が 得られなかった可能性がある。一方,全対象者の ベースラインにおける中高強度活動時間の中央値 (四分位範囲)は,8.0(5.5,8.9)分/日程度と元々低 かったため,介入による増加や維持が比較的容易 であったと考えられる。このことから,男性勤労 者を対象とした身体活動量の増加を促す目的での 介入を行う場合,行動変容の指標として,中高強 度活動時間のほうが歩数より鋭敏である可能性が 考えられた。 本研究における限界として 6 つが挙げられる。 1 つ目は,対象者に 2 つの選択性バイアスが生じ た可能性が挙げられる。本研究では,対象者を健 康利益を謳ったポスター掲示およびチラシ配布に て募集したため,健康意識の強い男性職員が参集 し,今回の介入方法以外でも身体活動量が増加し た可能性がある。そのため,ポスター掲示やチラ シ配布に加え,想定している対象集団すべてにア プローチできる広告方法(郵便,電話,訪問,回覧 など)を実施し,そこから漏れなく対象者を集める ための対策として謝金,研究結果の還元,多方面 からの協力を得たうえで対象者からの信頼を高め る,などの方法を行えば,選択性バイアスをある 程度抑えることができる。更に,今回の介入効果 を正確に評価するために,今後は対象者をボー ド・ゲームによる介入群,通常教育(例えば,定期 的な健康講義)による介入群,何もしない対照群 の3 群に分類して比較する必要があると考える。 もう1 つの選択性バイアスとして,本研究による 介入効果は,対象集団が知り合い同士であったた め, よりポジティブに働いた可能性が挙げられる。 本研究の場合,参加した対象者は同一職場の職員 が多く, 知り合い同士で応募したことが予想され, 既に形成されているコミュニティを背景としたボ ード・ゲームのプレイがより会話を成立させ競争 心の惹起に繋がるなどして,対象者の行動変容を 促進した可能性が考えられる。つまり募集する母 集団が,必ずしも知り合い同士とは限らない一般 集団(例えば一般の地域住人)の場合,本研究によ る介入効果が同様に示されるとは言い切れない。 今後,この点を留意し本教材の活用を進める必要 がある。 2 つ目は,対象者の介入期間中の変化量が極端 に低下した2 事例が挙げられる。介入群の 1 名は 中高強度活動時間-7.4 分/日,対照群の 1 名は歩 数-4,418 歩/日と大きく低下したが,彼らは個別 の理由としてベースライン期間に強いホーソン効 果が生じ,身体活動量が大幅に増えてしまったこ とをコメントしている。つまり,この2 名のベー
スライン期間の身体活動量は,イベントに参加し たことや加速度計を所持したことに影響を受け, 通常の身体活動量より高値に修飾されてしまい, その後の介入期間中の極端な身体活動量の低下に 繋がった可能性がある。今後,介入研究において, このような事例をなくすためには,ベースライン 期間の身体活動量の測定について対象者に対し, 通常の生活での身体活動量を記録する必要性を十 分説明(教示)し理解してもらう,行動記録表を併 せて記載してもらい通常の身体活動量とは著しく 異なる日が生じた場合は除外する,などの対応が 必要となる。 3 つ目は,本研究では中高強度活動を 4 METs 以 上と定義し測定を行ったため,3 METs のデータを 取得できていないことである。世界標準として中 強度活動は3~6 METs と定義されているため16), 介入効果として中高強度活動時間の向上を科学的 に提示するのであれば,今後,3 METs 以上の測定 データを用いた解析結果を示す必要がある。 4 つ目は,対象者における属性の未測定の因子 として,例えば,糖尿病などの慢性疾患の有無24), あるいは通勤手段の相違 25) などが対象者の身体 活動量に影響を及ぼした可能性を否定できないこ とである。今後,対象者のリクルート時に身体活 動量に関連する項目について,できる限り聴取す る必要がある。 5 つ目は,副次的評価として行った階段の使用 頻度の評価において質問の方法に不備があった点 である。質問紙にて,対象者自身が認識する階段 の使用頻度の変化量を質問したが,質問の文言と して「減ってしまった」という表現はネガティブ なニュアンスがあり,対象者が選びにくかった可 能性がある。今後,例えば,「最近1 か月間で 1 日 に何回くらい階段を使用していますか? 0 回/1 ~2 回/3~4 回/5 回以上」など,より客観的かつ 定量的に回答できる内容に修正する必要がある。 最後に,予備的検討のため対象人数が少なかっ たことに起因する2 点が挙げられる。1 つ目は, 対象者を介入群と対照群に割り付けた際に偏りを 解消し切れず,対象者の属性に相応の差が生じて しまっていたことである。両群には,中央値で約 4 歳の年齢差が生じており身体活動量の変化に影 響を与えた可能性がある。また介入群は,ベース ライン期間での中高強度活動時間(中央値)で約 1 分間/日少なく,中高強度活動時間の介入による変 化は全体中央値への回帰現象が起こっていた可能 性がある。2 つ目は,統計的に有意性のある結果 が得られなかったことである。次回の検証では, 新たにサンプルサイズを計算し適切な対象人数に 設定(増加)する必要がある。そのうえ,改めて介 入研究を行い,得られた結果を有意性検定によっ て解釈することで,最終的な検証が可能になる。
5.結 論
男性職員を対象に,我々の開発した教材を用い た介入(ゲームプレイ)を予備的に行った結果,中 高強度活動時間は増加を示し,増加した中高強度 活動時間は介入 12 週間後まで維持される可能性 が示された。 謝 辞 本研究遂行にあたり,参加していただいた男性 職員の方々に深く感謝申し上げます。また,本研 究の実施についてサポートしていただいた筑波大 学附属病院リハビリテーション部作業療法士の日 浅健太氏に心より感謝申し上げます。 本研究および本研究で用いたボード・ゲームに 関連し,開示すべき利益相反関係はありません。 文 献1) Miyachi M. Measures of physical activity and exercise for health promotion by the Ministry of Health, Labour and Welfare. J Phys Fitness Sports Med. 2012; 1: 467-72. 2) 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会, 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委 員会.健康日本21(第2 次)の推進に関する参 考資料.2012; 1-151. 3) 厚生労働省.平成 23 年国民健康・栄養調査結 果の概要. http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000 2q1st.html (アクセス日:2020 年 8 月 16 日) 4) 河原賢二,萩裕美子,久保田晃生.男性勤労 者における身体活動と環境要因との関連.厚 生の指標.2015; 62(1): 27-33.
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【Original Article】
Effects of Board Games on Physical Activity:
Preliminary Study of Male Staff Members
Yasuhiro Suzuki
1,2), Takayuki Tajima
3), Fumiaki Murakami
2,4), Masa Takano
5),
Kazufumi Kamezawa
5), Kodai Aoki
6), Yasushi Hada
2,7)Abstract
Objective: The purpose of this study was to examine whether male staff members’ physical activity increased and whether it was maintained by an intervention using the teaching materials we created.
Methods: The teaching material was created by us in collaboration with the Art and Design Department, University of Tsukuba. Players were required to increase the amount of physical activity in order to gain an advantage in a certain game. The subjects were 11 male staff members aged 24 to 48 years, with median age 34.0 years (interquartile range = 33.5, 39.5 years) from the regional university and the regional university hospital. The intervention game was played for six weeks, 4 times (1 time / 2 weeks, 30 minutes / 1 time). The period of two weeks before the intervention was chosen as the baseline period, and the 12 weeks after the intervention as the carry-over observation period for the intervention effect. Subjects were randomly assigned to two groups, an intervention group and a control group, but the effects of changes in physical activity in the control group were not reflected in the game. We distributed a 3-axis accelerometer to all the subjects to measure their physical activity.
Results: In the comparison between the groups with moderate and vigorous intensity activity time (median), the change during the intervention period was +1.6 minutes / day in the intervention group compared with +0.2 minutes / day in the control group. Regarding changes over time, the rate of change 12 weeks after the intervention was +48% in the intervention group and +10% in the control group compared to the baseline period.
Conclusion: Physical activity levels of male staff members can be increased by an intervention using our teaching material and may be maintained over the medium term after the intervention.
Key words: art, behavior change, gamification
1)Department of Rehabilitation Medicine, University of Tsukuba Hospital, Tsukuba, Ibaraki, Japan 2)Tsukuba Therapist Society for Diabetes Mellitus Prevention, Tsukuba, Ibaraki, Japan
3)Department of Physical Therapy, Graduate School of Human Health Sciences, Tokyo Metropolitan University, Arakawa, Tokyo, Japan
4)Faculty of Art and Design, University of Tsukuba, Tsukuba, Ibaraki, Japan 5)Tukuba Tablegame Association, Tsukuba, Ibaraki, Japan
6)School of Art and Design, University of Tsukuba, Tsukuba, Ibaraki, Japan