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更生保護施設建設に対する市民の態度に影響を及ぼす要因

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Jap. J. Crim. Psychol.,Vol. 58, No. 2 (2021)

更生保護施設建設に対する

市民の態度に影響を及ぼす要因

小 俣 謙 二

*

・古 曵 牧 人

*

・川 邉   讓

*

A study on the determinants of public attitude

toward construction of offenders rehabilitation facilities

Kenji Omata, Makito Kobiki and Yuzuru Kawabe

キーワード: 更生保護施設に対する拒否,地域住民,望ましくない土地利用,質問紙調査 わが国の犯罪動向(平成30年版犯罪白書;法 務省法務総合研究所,2018)を見ると,刑法犯 検挙者数は平成16年をピークに漸減しており, 再犯者数も平成18年をピークに漸減している が,検挙人員中の再犯者率は一貫して上昇し,平 成29年では48.7%と,検挙者の約半数を占める までになっている。こうした事情から,再犯の防 止は犯罪研究,保護・矯正研究の中でも重要な問 題となっている。 再犯の背景に仕事や帰住先がないという問題 があることがしばしば指摘されている。再犯者 に関する統計を詳述している平成28年版犯罪白 書(法務省法務総合研究所,2016)は,再入者 では,男女とも,無職者の比率が初入者よりも高 い(70.9%,86.4%)ことを示している。あるい は,出所時に帰住先がない者の6割が1年以内 に再犯を犯しているというデータもある(法務省 大臣官房秘書課政策評価企画室,2017)。また西 村(2009)は,保護観察中の再犯率が有職者に おいて7.6%であるのに対して無職者では40.4% と,無職者ではるかに高いことを指摘している。 また,平成9年から18年までの10年間でみる と,有職者の刑務所再入者数は安定しているのに 対して,無職者の再入者数は増加傾向にあること も指摘している。このほかにも,再犯へと進む重 要な要因として,出所後の就労状況が不安定であ ることはしばしば指摘されている(木村,1994; 弥永,2012)。 このような再犯の現状は,再犯防止において, 満期出所者,仮釈放者,執行猶予者,あるいは保 護観察処分少年,少年院仮退院者の就労確保と安 定した生活場所の確保がいかに重要な問題である かを示しており,国も政策として自立更生促進セ ンターあるいは地域生活定着支援センター等での 生活拠点の提供と就労支援を強化している(法 務省ホームページ,2020a;伊豆丸,2015)。ま た,民間施設である更生保護施設が,同様に生活 拠点の提供と社会生活指導,就労支援を行い,犯 罪歴のある者等の更生の支援に重要な役割を果た していることは既に知られている。しかし,更生 doi: 10.20754/jjcp.58.2_1 原 著

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保護施設の数は充分とは言えない(本論文執筆時 点で103施設,2,369人定員,更生保護連盟 更 生保護ネットワーク,2019)。法務省は更生保護 施設や自立準備ホームなどの設置を行っている が,前述の更生保護施設の定員に対して,出所 受刑者数は平成29年では21,998人であり(法 務省,2019),満期出所者のうち適切な行き場の ない状態にある者は約6,000人にのぼる(法務省 ホームページ,2020b)。こうした状況を考える と,犯罪歴のある者等の社会復帰の準備環境とし て更生保護施設の新たな開設が求められていると 言えよう。 しかし,更生保護施設やこれに類する施設(例 えば薬物依存者の治療更生施設)の開設が地域住 民によって理解,支持されることは極めて難しい (例えば日本経済新聞,2012; 毎日新聞,2018; 西 日本新聞,2018)。このように,社会的必要性が 認められる施設でありながら,当該施設の建設が その危険性や公害などへの危惧から地域住民に拒 否されるという問題は,環境問題の領域において もしばしば取り上げられる。原発施設,ゴミ処理 場,火葬場,精神障害者施設,さらには保育園・ 幼稚園などまでが,時に「迷惑施設」や「望まし くない土地利用」(Locally Undesirable Land Use;

LULU)の問題として扱われ,それに対する住民

の態度に関する研究が行われている。また,環 境研究や社会心理学研究では,類似した問題が 「施設の意義は認めるが私の地域へのその施設の

建設は拒否する」という住民意識を指すNIMBY

(Not In My Back Yard) の 問 題(NIMBYismあ るいはNIMBY syndromeとも表現する;Dear, 1992; Burningham, Barnett, & Thrush, 2006など)

として取り上げられ,NIMBYに関与する要因の 検討が行われてきた(Dear, 1992; 藤井,2003; 加 藤,2013)。したがって,上記の記事などで示さ れている更生保護施設や自立更生促進センターな どへの住民の態度も,「犯罪歴のある者の更生」 という総論での意義は認めるが,個別の事情や問 題により,自分の居住地域に建設することには反 対するという意味で(渡邉,2006),NIMBY問 題に類似した問題であると言える。 とは言え,更生保護施設等の開設と住民意識 の問題をNIMBY研究とするためには,厳密に 言えば,「施設の社会的必要性・意義を認めてい る」住民(調査対象者)に対象を絞り,その中 で「拒否的態度」を取る住民の特徴を分析する 必要があろう(Halstead, Luloff, & Myers, 1993)。 その意味では,更生保護施設や薬物依存者の治 療更生施設に対する住民の反対をNIMBYとと らえることの妥当性への疑問は残る。なぜなら, NIMBYとは「施設の必要性・意義を認め」なが ら「自分の地域に建設することに反対する」とい う態度であるのに対して,ここで論じている住民 の態度には「施設の必要性・意義」の認識は含ま れていない可能性があるからである。極論を言え ば,施設の必要性・意義を認めずに反対する住民 も含まれる。しかし,この問題は厳密性を求めた 場合に問題となるものであり,住民の態度の研究 において決定的に大きな影響を持つとは考えられ ない。再犯防止が喫緊の課題であることを考える なら,当面はこれにこだわる必要はないと思われ る。したがって,本研究では,こうした住民の拒 否的態度をNIMBYと直接結びつけずに議論す る。その意味ではLULUに対する態度の規定要 因の検討と言えるかもしれないということは予め 触れておきたい。 社会的必要性のある施設の建設に対する地域 住民の態度を規定する要因に関する研究は,我が 国ではNIMBY問題の文脈でなされてきた。上 述したように,NIMBY研究と本研究の目的と の間に違いがあるものの,NIMBY研究の知見は 「一般的に」社会的必要性・意義が言われている 施設への拒否的態度の解明することを目的とする 本研究の問題にも有効な示唆を提供すると思われ

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る。これまでの我が国におけるNIMBY研究に よれば(e.g., 大沼・佐藤・北梶・石山,2015; 高 浦・高木・池田,2013; 増田,2013),一般に当 該施設に対する地域住民の受容的態度に負の影響 を及ぼす要因として①リスク認知,②保護価値 (絶対に譲れない価値観)の存在,③当事者性(当 該施設との物理的近さ)などがあることが示され ている。逆に,受容的態度に正の影響を及ぼす要 因として,①手続き的公正の確保,②ベネフィッ ト認知,③行政への信頼,④分配的公正などがあ ることが示されている。 一方,更生保護施設や矯正施設に対する住民 の態度についての研究は,我が国ではまだほとん ど行われていないが,刑務所建設に関しては,ア メリカ合衆国においていくつかの研究がなされて いる。それらの研究によれば,刑務所に対する拒 否的態度には施設との距離と刑務所収容者への訪 問者に対する認知が影響することが示されている (Mayers & Martin, 2004; Martin & Myers, 2005)。

また,住民の拒否的態度の裏には入所者の逃亡へ の恐怖などの主観的要因が影響することを複数の 研究者が指摘している(Rogers & Haimes, 1987; Carlson, 1988)。一方で,刑務所以外の施設では 逆の結果も報告されている。例えば,被災者が

生活するトレーラーの設置用地(FEMA trailer

park/site)の選定に対する住民の態度を検討した

Lee, Weil, & Shihadeh(2007)は,より施設に近 い住民ほど拒否的態度は弱いことを報告してい る。また,刑務所建設に対する住民の態度は必ず しも否定的なものばかりではないという報告も ある(Rogers & Haimes, 1987; Robertson & Ray, 1994; Engel, 2008)。それらは刑務所の建設や拡 大に伴う経済的利益への期待があることを示し, 先に述べたベネフィット認知が受容的態度の形成 に関係するという知見(高浦他,2013)と一致 する。 それに対して,我が国では刑務所建設や先の 新聞記事などに示される更生保護施設に対する住 民の拒否的態度に関する研究は極めて少ない。し かし,既に述べたように,犯罪歴のある者の立ち 直りや再犯防止を考えると,そういった地域住民 の態度がどのような要因に起因するのかを明らか にすることは,この問題への対策を考えるうえで 重要と思われる。 我が国での自立更生促進センターや更生保護 施設に関する数少ない研究としては,渡部・小 俣(2012)が行った犯罪歴のある者の地域への 受け入れに対する意識に関する報告がある。この 調査で渡部らは,更生保護への理解は高い場合で も,更生支援に対する協力を行うには至らないこ と,罪種によって施設の受け入れ許容度は大きく 異なることなどを明らかにした。これは,迷惑施 設に対する住民の態度の研究でしばしば言われ る,不安や恐怖が拒否的態度を高めるという負の 効果(Rogers & Haimes, 1987)と関連するとも 解釈できる。また,犯罪者への思いやり(立ち直 りには厳罰だけでなく情愛も必要であるとする態 度など)の度合いが受容的態度と関連することな ども示された。他の研究として,更生保護会(当 時の名称)の事業再開に対する住民の反対運動に ついて検討した川崎(1978)の研究がある。そ れによれば,反対する住民の意識の一つに,犯罪 者や非行少年の再犯可能性に対する強い不安があ る。このように,住民の拒否的態度の裏には,犯 罪者(犯罪歴のある者)に対する恐怖や不安が存 在することがうかがえる。一方,網走市におけ る行刑施設の受け入れに対する歴史的検討(横 田,2012)では,網走市民が行刑施設受け入れ に至った要因として,受刑者と地域住民の交流, 観光資源としての活用などが示された。とくに後 者の観光資源は高浦他(2013)のベネフィット 認知と関係すると思われる。これは先のRogers

& Haimes(1987)やCarlson(1988)の指摘と 対応するとも言えよう。

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このように,犯罪歴のある者に対して就業機 会,帰住拠点を提供する更生保護施設の設置に対 する地域住民の態度の規定要因の解明は,我が国 の再犯防止に大きく貢献することが期待されるも のの,まだ十分進んではいないと言える。こうし たことを踏まえ,筆者らは,更生保護施設に対す る地域住民の態度に関与する要因を明らかにする 目的で多面的な調査を実施した。その際,住民の 態度を「受容的態度に関与する要因」と「拒否的 態度に関与する要因」の二次元でとらえることが 可能であるが,本研究ではまず,両者を,それぞ れを両端とする一次元の軸としてとらえる解釈を 採用した。そのうえで,NIMBY研究も含めて, 先行研究の多くが「拒否的態度」を扱っているこ と,社会問題としてメディア等で扱われる事象と しても施設に対する住民の「拒否的態度」が取り 上げられていることから,「拒否的態度」に焦点 を当てて検討することとした。本論文では,その 調査で用いた質問項目の中からとくに地域住民の 拒否的態度の規定要因に関連すると考えられた項 目について分析し,結果を報告することとした。 なお,その他の知見については小俣・古曵・川 邉(2019)で報告した。 本論文で検討した要因は以下のとおりである。 まず,更生保護施設のような犯罪歴のある者等の 更生施設に対する地域住民の態度に影響する要因 はその他の施設に対する拒否的態度と関連する可 能性が高いと推測できる。したがって,上に述べ た先行研究結果から,行政や建設主体,あるい は業者に対する調査対象者の認識について検討 することとした。具体的には,i)手続き的公正 への不信感,ii)施設建設に際しての行政や建設 主体などへの不信感,行政機関に対する一般的 不信感である(大沼他,2015; 高浦他,2013; 増 田,2013)。次いで,犯罪動向や被害の可能性に 対する調査対象者の認識として,iii)犯罪認知件 数の増加感,iv)リスク認知(犯罪増加感,自身 や家族,地域での犯罪被害の可能性),v)日本 全体の治安悪化感,vi)犯罪被害への不安を挙げ た。さらに調査対象者の矯正問題への態度とし てvii)厳罰化への支持的態度,viii)保護観察で の更生プログラムや刑務所での矯正プログラムの 有効性に対する否定的態度,ix)更生保護施設に 対する不安感,そしてx)矯正施設の必要性の認 識を挙げた。さらに,入所者に対する認識として xi)犯罪歴のある者の再犯可能性についての認識 を加えた。 また,更生保護施設に対する拒否的態度の背 景に,いわゆる「迷惑施設」建設一般に対する拒 否的態度というものが仮定できる可能性が考えら れた。したがって,xii)更生保護施設への拒否 的態度とそれ以外の迷惑施設に対する拒否的態度 との関係を調べた。その際,比較対象の施設とし て,しばしばNIMBY研究で取り上げられるごみ 焼却場(増田,2013; 宇山・吉野・北野,2013) を用いた。 方 法 (

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) 調査対象者 調査対象者はクロスマーケティング社に登録 されている20歳から69歳までの男女,それぞ れ500名ずつ,合計1,000名であった。各年代の 人数は男女それぞれ100名ずつであった。平均 年齢は44.8歳(SD=13.9)であった(男性45.0 歳,女性44.5歳)。 (

2

)質問項目 今回の調査では,先述した目的から,以下の 27の質問項目について回答を求め,関連する質 問を①から⑭の14変数にまとめた。 なお,調査に当たり,更生保護や更生保護施 設については回答者の理解が十分ではない可能性 を考慮して,それぞれについて次のような説明を 加えた。 更生保護については

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更生保護について,あなたのお考えをお聞き します。 更生保護とは犯罪歴のある者などが「犯して しまった罪をつぐない,社会の一員として立ち 直」るために,「保護司,更生保護施設を始め とする更生保護ボランティア」や「関係機関・ 団体との幅広い連携」を得て進められる政策を いいます。」(「 」は法務省HPより) という一文を加えた。 更生保護施設については 更生保護施設について,あなたのご意見をお 聞きします。 更生保護施設は,犯罪歴のある者などで, 「頼ることのできる人がいなかったり,生活環 境に恵まれなかったり,あるいは,本人に社会 生活上の問題があるなどの理由で,すぐに自立 更生ができない人」たちに対して,宿泊の場や 食事を一定期間提供し,その間に生活指導や職 業補導を行うことで「その円滑な社会復帰を助 け,再犯を防止するということ」を目的とし た,民間施設です。」(「 」は法務省HPより) という一文を加えた。 質問項目では,まず,更生保護施設建設や入所 する犯罪歴のある者に対する態度については次の ような質問を設けた。①「更生保護施設建設への 拒否的態度」:調査対象者の住む地域に更生保護 施設が建設されるとした場合の賛否を尋ねる質問 (5段階評価:1.賛成∼5.反対)で尋ねた。②「入 所者の罪種による更生保護施設建設への態度」: 地域住民の更生保護施設に対する態度ではもう一 つ質問を加えた。それは更生保護施設が建設され るとした場合,入所者の犯罪の種類(罪種)に よって受け入れるか反対かの態度が変わる可能 性を尋ねる質問(3段階評価:3.罪種にかかわら ず反対∼1.罪種にかかわらず受け入れる)であ る。さらにこの罪種による態度の質問では,「罪 種により受け入れる」と回答した調査対象者に, 殺人犯・強盗犯・窃盗犯(空き巣)・窃盗犯(乗 り物盗犯)・成人対象の性犯罪・子どもに対する 犯罪(性犯罪や誘拐)・傷害罪・薬物犯罪・放火 犯・その他の10の罪種を挙げ,受け入れられな い罪種を尋ねた(受け入れられない罪種すべてに 〇をつける)。③「更生保護施設増加の必要性の 認識」:更生保護施設の数(平成29年1月1日現 在)を示したうえで,さらに増やす必要性を認め るかどうかで尋ねた(5段階評価:1.全く不要∼ 5.必要)。④「更生保護施設・入所者に対する否 定的評価」:まず調査対象者の住む地域に更生保 護施設が建設されるとした場合,不安を感じるか 否かを尋ねた(1項目,5段階評価:1.全く不安 を感じない∼5.非常に不安を感じる)。次いで犯 罪歴のある者の再犯の可能性に関する調査対象者 の評価を尋ねた(1項目,5段階評価:1.低い∼ 5.高い)。両項目のPearsonの相関係数を算出す ると,女性でr=.392(p<.001),男性でr=.406 (p<.001)で有意な相関が認められた。したがっ て,この2項目を加算して「矯正施設入所者に対 する否定的評価」得点とした。 次いで,更生保護政策や司法改革に対する態 度を次の質問で尋ねた。⑤「更生保護対策への否 定的評価」:更生保護制度,刑務所での矯正プロ グラム,企業による犯罪歴のある者等の協力雇用 制度の3種類の再犯防止の有効性に対する否定 的評価(5段階評価:1.効果あり∼5.効果なし) で尋ねた。3項目をまとめるにあたり,男女それ ぞれでCronbachのα係数を算出した結果,α係 数は,女性で.844,男性で.819と,十分な信頼 性を認めることができた。そのため3項目の合 計得点を「更生保護対策への否定的評価」の得点 とした。⑥「厳罰化への支持的態度」:刑罰の厳 罰化,死刑制度の維持,地域住民への犯罪歴のあ

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る者の情報の開示,性犯罪者の出所後の所在地把 握の4種類の法的対応・犯罪歴のある者に対す る対策への賛否(5段階評価:1.反対∼5.賛成) で尋ねた。4項目をまとめるにあたり,男女そ れぞれでα係数を算出した結果,α係数は,女性 で.830,男性で.833と,十分な信頼性を認める ことができた。そのため4項目の合計得点を「厳 罰化への支持的態度」の得点とした。 次いで,わが国の犯罪状況に対する評価やリス ク認知,犯罪不安,被害経験について次の質問で 尋ねた。⑦「最近10年間での犯罪動向の評価」: 犯罪全体,殺人事件,窃盗事件の3罪種につい て,最近10年間での増減の判断(5段階評価: 1.非常に減っている∼5.非常に増えている)で 尋ねた。3罪種の判断をまとめるにあたり,男女 それぞれでCronbachのα係数を算出した結果, α係数は,女性で.854,男性で.859と,十分な 信頼性を認めることができた。そのため3項目 を合計し,「最近10年間での犯罪動向の評価」 得点とした。⑧「リスク認知」:調査対象者自身, 家族それぞれの被害に遭う可能性の評価と,地 域での犯罪被害発生の可能性の3項目(5段階 評価:1.低い∼5.高い)で尋ねた。3項目をま とめるにあたり,男女それぞれでα係数を算出し た結果,α係数は,女性で.816,男性で.797と, 十分な信頼性を認めることができた。そのため 3項目の合計得点を,回答者自身か家族が犯罪 被害に遭うか,地域で犯罪が発生する可能性に 対する認知である「リスク認知」の得点とした。 ⑨「日本全体の治安悪化感」:日本全体の治安の 良し悪しを尋ねた(5段階評価:1.非常に良い∼ 5.非常に悪い)。⑩「犯罪被害への不安」:調査対 象者または家族が夜道を一人で歩いている時,自 宅を留守にするとき不安を感じる頻度(5段階 評価:1.全くない∼5.よくある)の2項目で尋 ねた。Pearsonの相関係数を算出すると,女性で r=.566(p<.001),男性でr=.508(p<.001)で 有意な相関が認められた。したがって,この2項 目を加算して「犯罪被害への不安」得点とした。 ⑪「調査対象者・家族・知人のいずれかが最近 3年間で犯罪被害に遭った経験があるかないかと あった場合の被害内容」:最近3年間で,調査対 象者自身,家族,知人で犯罪被害に遭った経験の 有無で尋ねた。同時に,被害内容についても自由 記述で尋ねた。 さらに,更生保護施設の建設を担っている主 体・業者・行政に対する不信感や地域の行政機関 に対する一般的な不信感を尋ねた。⑫「行政や建 設主体への不信感」:調査対象者が住む地域に更 生保護施設が建設されるとした場合,行政や建設 主体,業者などの行う手続きの「公平性に疑問が ある」,あるいは「説明は信頼できない」,ある いは「自分たちの思うままに物事を進める」と いう3種類の意見に対する同意度で尋ねた(5段 階評価:1.全く同意しない∼5.全く同意する)。 3項目をまとめるにあたり,男女それぞれでα係 数を算出した結果,α係数は,女性で.854,男性 で.870と,十分な信頼性を認めることができた。 そのため3項目の合計得点を「行政や建設主体へ の不信感」の得点とした。⑬「居住地の行政機関 への一般的不信感」:調査対象者の住む地域の行 政機関に対する信頼性の有無で尋ねた(5段階評 価:1.非常に信頼する∼5.全く信頼しない)。 ⑭「ごみ焼却場建設に対する拒否的態度」:最 後に,更生保護施設に対する拒否的態度との比 較,関連性の検討の項目として,ごみ焼却場建設 に対する拒否的態度を尋ねた。ここでは,調査対 象者の住む地域にごみ処理施設が建設されるとし た場合の,それへの賛否を尋ねた(1項目,5段 階評価:1.賛成∼5.反対)。 このほか,フェイスシートとして,性別,居住 地(市町村),年齢,主たる就業形態(11項目か ら選択),調査対象者を含む同居人数,最終学歴 (6項目から選択)を尋ねた。

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3

)調査手続き 調査はクロスマーケティング社に委託する形 で行った。調査対象者は同社から受け取ったアン ケートに対しインターネット上で回答した。 アンケート表紙に,回答は匿名で任意である ことを伝える説明を付した。また,研究者の所属 する大学の研究倫理審査委員会の審査を受け,承 認されており,個人情報の保護は厳正に順守する ことを記し,倫理面への配慮を示した。さらに, 本研究が日本学術振興会による科学研究費助成事 業の助成対象研究であることを記し,信頼できる ものであることを明示した。 結果の分析においては,リスク認知や犯罪不 安については性差が指摘されているため(e.g., Warr, 1984; 島田,2011; 小俣,2012など),男女 に分けて分析を行った。そのうえで,上記①を被 説明変数に,③∼⑬の11変数を説明変数にした 重回帰分析(step wise法)を行った。なお,そ の際,⑪「調査対象者・家族・知人の最近3年 間での犯罪被害経験の有無」はダミー変数として 扱った。そして,最後に,更生保護施設建設に対 する拒否的態度と他の迷惑施設であるごみ焼却場 建設に対する拒否的態度の関連性を検討した。 結 果 (

1

)調査対象者について まず,男女全体で見た場合,調査対象者の職 業では常勤正規社(職)員が35.0%で最も多く, 次いでパート・アルバイトが16.9%,主婦・主 夫が16.0%であった。男性のみでは,常勤正規 社(職)員 が48.4% で 最 も 多 く, 次 い で 無 職 の 17.2%,パート・アルバイトが9.6%であった。 女性の場合,主婦が31.6%で最も多く,次いで パート・アルバイトが24.2%であった。次いで 常 勤 正 規 社(職)員 が21.6% で あ っ た。 無 職 は 8.0%であった。 最終学歴を見ると男女全体では4年制大学 卒業が41.6%で最も多く,次いで高等学校卒 が26.3% で あ っ た。 短 期 大 学・ 高 等 専 門 学 校 卒 は22.7% で あ っ た。 一 方, 男 性 の み で み る と,47.6%が4年制大学卒であり,高等学校卒が 24.8%であった。短期大学・高等専門学校卒は 14.6%であった。女性の場合,4年制大学卒が最 も多く,35.6%であった。次いで短期大学・高等 専門学校卒が30.8%と続き,それに高等学校卒 が27.8%と続いた。 一方,同居人数は男女全体では平均2.7人(SD =1.254)であった(男性のみでは平均2.8人, 女性のみでは平均2.7人)。 (

2

)居住地域での更生保護施設の建設への拒否的 態度 まず,調査対象者自身の居住地域に更生保護 施設を建設することに対する拒否的態度を Fig-ure 1に示した。拒否的態度の平均値は女性で 3.44(SD=0.974),男性で3.26(SD=1.025)で あり,居住地域での更生保護施設の建設に対する 拒否は,男女ともにやや拒否が強い方向にあっ た。この傾向は女性の方が男性よりも強く,その 差は有意であった(t(997)=2.827, p<.01)。 (

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)入所者の犯罪の種類によって受け入れるか反 対するか 「罪種にかかわらず受け入れる」,「罪種によっ ては受け入れる」,「罪種にかかわらず反対」の 比率を全体でみると,「罪種にかかわらず受け入 れる」は8.8%,「罪種によっては受け入れる」 Figure1 更生保護施設に対する拒否的態度

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は63.6%,「罪種にかかわらず反対」は27.6%で あった。男女を比較すると,女性ではそれぞれ 6.6%,64.4%,29.0%であり,男性ではそれぞれ 11.0%,62.7%,26.3%であった。χ二乗検定の 結果,女性で拒否的態度が強かった(χ2 (2)=6.188, p<.005)。 Figure2 罪種ごとに見た「受け入れ拒否」と回答した回答者の比率 Table 1 説明変数の男女別平均値と比率の性差 説明変数(スコアの範囲) 女性 男性 性差 更生保護施設増加の必要性の認識(5∼1) 3.35 3.30 n.s. (0.859) (0.917) 更生保護施設・入所者に対する否定的評 価(10∼2) (1.3537.89) (1.5357.56) (972)t =3.550, p<.001 更生保護対策への否定的評価(15∼3) 8.34 8.75 t(985)=2.623, p<.01 (2.404) (2.561) 厳罰化への支持的態度(20∼4) 15.95 16.01 n.s. (3.057) (3.206) 最近10年間での犯罪動向の評価(15∼3) 10.82 10.27 t(967)=3.575, p<.001 (2.306) (2.483) リスク認知(15∼3) 8.79 9.02 n.s. (2.181) (2.067) 日本全体の治安悪化感(5∼1) 2.82 2.79 n.s. (0.827) (0.882) 犯罪被害への不安(10∼2) 6.55 6.08 t(975)=4.102, p<.001 (1.837) (1.735) 回答者・家族・知人のいずれかが最近 3年間で犯罪被害に遭った比率 14.3% 10.2% χ 2 (1)=3.874, p<.05 行政や建設主体への不信感(15∼3) 7.86 7.83 n.s. (2.400) (2.508) 居住地の行政機関への一般的不信 感(5∼1) (0.8962.98) (0.9483.02) n.s. *「回答者・家族・知人のいずれかが最近3年間で犯罪被害に遭った比率」は被害ありの比率 *平均値の下段( )はSD

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「罪種によっては受け入れる」とした回答者に ついて罪種ごとに「受け入れられない」とした回 答者の比率をFigure 2に示した。図から明らか なように,住民の態度は罪種によってかなり異な る(コクランのQ検定で,男女ともp<.05水準 で罪種による受け入れ率が異なることが確認され た)。そのうち,男女で受け入れ率で有意な差が 認められたのは「性犯罪(成人対象)の犯罪歴の ある者」で,女性のほうが有意に拒否する比率が 高かった(χ2 (1)=12.016, p<.005)。また,住民の 拒否率が低いのは男女ともに,傷害の犯罪歴のあ る者,窃盗(空き巣,乗り物盗)の犯罪歴のある 者であり,逆に拒否率が男女ともに高いのは殺人 の犯罪歴のある者,性犯罪(成人対象)の犯罪歴 のある者,子どもに対する犯罪歴のある者などで あった。 (

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)居住地域での更生保護施設の建設への拒否的 態度に関与すると仮定された説明変数の概要 次に,本研究で更生保護施設の居住地域での 建設に対する住民の態度の説明変数として挙げた 諸変数の結果について述べる。結果はTable 1に 示した。 まず,「更生保護施設増加の必要性の認識」に ついては,女性の平均値が3.35,男性の平均値 が3.30で,やや「必要である」の方向にあり, 性差はなかった。 次に,施設建設による犯罪不安の増強と入所 者の再犯可能性から構成された「更生保護施設・ 入所者に対する否定的評価」では,男女ともやや 否定的な評価が強いが,女性のほうが7.89,男 性が7.56と,女性でその評価が強かった(t(972) =3.550, p<.001)。 ま た, 更 生 保 護 制 度 な ど3 項目で構成された「更生保護対策への否定的評 価」については,やや肯定的な評価の方向にある が,ほぼ中間的な評価であった。平均値は女性 が8.34でやや肯定的評価の方向にあるが,男性 では8.75で,男性で「どちらともいえない」と いう評価に近く,肯定的評価が弱いという結果で あった(t(985)=2.623, p<.01)。次に,刑罰の厳 罰化など4項目で構成した「厳罰化への支持的 態度」の平均値を見ると,女性では15.95,男性 では16.01で,厳罰化を支持する態度が男女で強 く,性差も見られなかった。 殺人など3つの罪種に関する「最近10年間で の犯罪動向の評価」では,女性の平均値が10.82, 男性のそれは10.27で,やや「悪化している」と いう方向での評価であった。そして,こうした 「悪化」という評価は女性でより強かった(t(967) =3.575, p<.001)。一方,調査対象者自身や家族 などが被害に遭う可能性に関する3項目の評価 で構成される「リスク認知」については,女性の 平均値が8.79,男性のそれが9.02とほぼ「どち らともいえない」という評価であった。性差は有 意ではなかったが,男性でやや高い傾向にあった (t(973)=1.677, p<.10)。同様に,「日本全体の治安 悪化感」も女性が2.82,男性が2.79で,ほぼ「ど ちらともいえない」という評価に近く,性差も確 認できなかった。夜道を歩く,留守にするなどの 際の犯罪不安については,女性では6.55で不安 を「時々感じる」評価の方向にあるが,男性で は6.08で,「どちらともいえない」という評価で あった。この差は有意で(t(975)=4.102, p<.001), 女性のほうが高かった。また,調査対象者自身, 家族,知人の犯罪被害経験については,被害あり の比率が女性で14.3%,男性で10.2%で,女性 のほうが被害に遭ったという調査対象者が多かっ た(χ2 (1)=3.874, p<.05)。 行政や建設主体,業者に対する不信感につい て,次に述べる。まず,行政や建設主体などへの 不信感や非公正感などの3項目をまとめた「行政 や建設主体への不信感」の平均値を見ると,女性 で7.86,男性で7.83であり,いずれも「信頼で きないという意見」に同意しないという評価に近 かった。そして,その評価に性差はなかった。同

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様に,「居住地の行政機関への一般的不信感」の 平均値も,女性で2.98,男性で3.02であり,い ずれも「どちらともいえない」という評価であり, 有意な性差もなかった。 以上,更生保護施設の必要性は認める方向で ありながら,施設や入所者には厳しい態度がうか がえ,そうした態度は女性で強かった。また,厳 罰化を支持する傾向が強く,これに男女差はな かった。犯罪動向の悪化感やリスク認知はさほど 強くなかったが,犯罪不安では女性に「時々感じ るときがある」傾向がみられ,女性で強かった。 一方,行政に対する一般的不信感,更生保護施設 建設に際しての行政や建設主体などへの不信感は 認められなかった。 (

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)ごみ焼却場の建設への拒否的態度 次に,更生保護施設以外の迷惑施設であるご み焼却場建設に対する住民の拒否的態度をみる と,平均値は女性で3.21,男性で3.05であった。 すなわち,男性では「どちらともいえない」とい う評価であるが,女性では「どちらかといえば反 対」という態度であり,女性で拒否的態度が強い ことが認められた(t(991)=2.681, p<.01)。 (

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)更生保護施設建設に対する地域住民の拒否的 態度に関する重回帰分析結果 本研究の目的である,居住地域内への更生保 護施設の建設に対する住民の拒否的態度に関与す Figure3 重回帰分析の結果 実線は正の関係,破線は負の関係を表す。実線・破線横の数値は標準化係数を表す。標準化係数の右肩に ある*は標準化係数の有意確率を表す。***=p<.001, **=p<.01, *=p<.05

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る要因を明らかにするために,住民の拒否的態度 を被説明変数とした重回帰分析を行った。 その前に,多重共線性の有無を確認するため に,説明変数間の相関係数(Pearson相関)を確 認した。その結果,「犯罪被害への不安」と「リ スク認知」との間で,女性ではr=.558,男性で r=.501というやや高い値が得られたほかは,多 重共線性の可能性を疑う高い相関係数は見られな かった。そこで,11の説明変数を投入する重回 帰分析(step wise法)を実施した。 男女別の重回帰分析の結果をFigure 3に示し た。なお,多重共線性を示すVIFはすべて1.0 台であり,多重共線性の可能性は認められなかっ た。 Figure 3から明らかなように,女性では「更生 保護施設・入所者に対する否定的評価」と「更生 保護対策への否定的評価」が住民の拒否的態度を 高めるように影響することが示された。すなわ ち,質問項目の内容から考えると,更生保護施設 が建設されることで地域の安全が脅かされる危惧 や入所者が再犯を行うことへの危惧が施設建設を 受け入れられなくしていると考えられる。加え て,現在行われている更生保護に関連する諸政策 の有効性に対する疑問が強いほど拒否的態度が高 まると言える。標準化係数とその有意水準をみる と,明らかに「更生保護施設・入所者に対する否 定的態度」が強い影響を持つことが分かる。一 方,「リスク認知」と「更生保護施設増加の必要 性」の評価は,それらが高いほど拒否的態度は弱 いという関係にあることが分かる。そして,これ らのうち「更生保護施設増加の必要性」を認める 態度がより強い影響を持つことがうかがえる。し かしながら,犯罪動向の評価,行政や建築主体な どへの不信,行政一般への不信などは直接関与し ていなかった。 同様に,Figure 3から,男性の場合を見てみ る。まず,施設建設への拒否的態度を強める要因 としては「更生保護施設・入所者に対する否定的 評価」「更生保護対策への否定的評価」が強い影 響をもつことが読み取れる。また,「行政や建設 主体への不信感」も拒否的態度を強めることが示 された。すなわち,建設にあたっての行政や建築 主体との関係が重要であることがうかがえた。そ れに対して,拒否的態度を弱める要因として「更 生保護施設増加の必要性の認識」が認められた。 とは言え,ここでも「犯罪動向」の評価などにつ いては直接的な影響は認められなかった。 このように,更生保護施設建設への拒否的態 度に影響する要因は男女で異なることが認められ た。すなわち,女性では「リスク認知」が低いほ ど拒否的態度が強まるが,男性ではそういった犯 罪一般に対するリスク認知は関与していなかっ た。とは言え,更生保護施設建設に伴う地域の安 全性に対する危惧は,男女とも共通して拒否的態 度を強めることが示された。一方,行政に対する 態度は女性では影響しなかったが,男性の場合, 建設に伴う行政や建設主体への不信感は拒否的態 度を強めることが示され,男女で行政や建設主体 の影響に差があることが示された。 (

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)更生保護施設建設への拒否的態度とごみ焼却 場の建設への拒否的態度の関係 最後に,同じ迷惑施設として挙げられるごみ 焼却場建設に対する拒否的態度との関係を確認し た。 その結果,女性では二つの拒否的態度の相関 係数(Pearsonの相関)はr=.301, p<.01水準で, 有意な正の相関が認められた。男性でもr=.335, p<.01で有意な正の相関が確認された。このよ うに,二つの異なる迷惑施設の建設に対する住民 の態度はやや低い値ではあるが,一貫しているこ とが確認された。 討 論 犯罪歴のある者の矯正や再犯に関する従来の

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研究は,再犯を生み出す要因として就業困難, 生活拠点の不安定性などを挙げてきた(木村, 1994; 西村,2009; 弥永,2012; 伊豆丸,2015な ど)。そして,犯罪歴のある者らの社会復帰を促 すために,就業機会や生活拠点の提供として重要 な役割を担う更生保護施設や自立更生促進セン ターなどの重要性がしばしば指摘されている(法 務省ホームページ,2020b)。しかし,そういっ た施設の建設に対しては地域住民が拒否的態度を 示すこともよく知られている。そこで本研究は, 再犯防止という視点から,そういった地域住民の 拒否的態度に関与する心理的要因を明らかにする ことを目的として調査を行った。 本研究の結果は,まず,住民の拒否的態度と直 接関連する要因は,男女で共通するものと異なる ものがあることを明らかにした。 まず男女ともに共通して拒否的態度を強める 要因として「更生保護施設・入所者に対する否定 的評価」ある。これは更生保護施設建設に伴う不 安と犯罪歴のある者の再犯への危惧が強いと拒否 的態度は強まることを意味している。類似した結 果は,合衆国での刑務所建設に対する住民の態 度の研究でも得られている。Carlson(1988)や Robertson & Ray(1994)は,既存の研究結果か ら,受刑者の逃亡などに対する恐怖が拒否的態度 の重要な要因であることを指摘している。同様 に,Carlson(1991)も,安全性という主観的要 素が拒否的態度にかかわっていることを指摘して いる。このように,司法関係の施設の建設に対す る住民の態度に影響する要因としては,入所者や 施設自体への主観的安全性の確保が重要であるこ とが言えよう。それと関連して,本研究では扱わ なかったが,入所者への訪問者に対する住民の認 知も重要かもしれない(Mayers & Martin, 2004; Martin & Myers, 2005)。

施設や入所者に対する住民の認知と関連して, 本研究結果は入所者の罪種の影響も強いことを示 している。殺人の犯罪歴のある者,性犯罪(成人 対象)の犯罪歴のある者,子どもに対する犯罪歴 のある者への拒否的態度が男女とも強く,放火の 犯罪歴のある者や強盗の犯罪歴のある者も半数の 調査対象者が拒否していた。特に性犯罪(成人対 象)の犯罪歴のある者に対する拒否は女性で強 く,これは被害者となる可能性の差で理解でき る。こうした,いわゆる「凶悪犯罪」や「性犯罪」 「子どもに対する犯罪者」に対する厳しい態度は 渡部・小俣(2012)でも認められている。これ も,入所者に対する「恐怖や不安」が関連してい ると思われる。その意味では,施設がいかに地域 住民に対して「安全性」を示すことができるかの 重要性がここでも認められる。 こうした施設や入所者に対する住民の不安を 解消するにはどうすればよいのか。この点につい てRobertson & Ray(1994)は,施設が地域から 孤立せず,地域コミュニティの要素として地域社 会に統合されることで住民の信頼が得られること を指摘している。この問題と関連して,本報告で は触れなかったが,今回の調査においても,更生 保護施設に対する住民の利用あるいは施設行事へ の参加意志の有無を尋ねる項目を含めていた。こ れは,施設利用に対する住民の態度という意味 で,施設と住民の関係を確認するためのもので あった。この結果については小俣他(2019)で 報告したが,地域住民の利用や参加希望は強くな かった。その意味では,我が国の場合,更生保護 施設の地域・コミュニティへの統合が十分なされ ていない可能性があると言える。したがって,今 後,こうした地域やコミュニティと施設のより良 い関係の形成のための課題についての研究が必要 であろう。 このように,施設に伴う不安や入所者の再犯 可能性といった特定の対象に対する否定的評価が 住民の施設建設に対する拒否的態度をもたらすこ とが男女で共通して示されたが,本研究の結果

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は,本人・家族が犯罪被害に遭う可能性,そして 地域のリスク認知の影響においては性差があるこ とを明らかにした。すなわち,リスク認知の影響 は女性においてのみ認められ,しかも,リスク認 知と施設建設に対する拒否的態度との関係は,施 設・入所者という特定の対象に対する否定的評価 と拒否的態度との関係とは逆であり,負の関係に あることを明らかにした。換言すれば,更生保護 施設建設に対する態度に及ぼす影響は,リスク認 知とは異なっており,しかも,そこには性差が認 められるということになる。この二つの問題につ いて検討してみる。 まず,施設や犯罪歴のある者のように対象が 特定された場合の情緒レベルでの反応(不安)と, 被害に遭遇する一般的な可能性の認知レベルでの 反応(リスク認知)では,施設建設に対する態度 への影響のメカニズムが異なる可能性が考えられ る。すなわち,特定対象に対する不安は対象に対 する態度と直接的に関係するのに対して,リスク 認知は対象に対する態度との間に「犯罪対策の必 要性の認識」が介在する可能性である。本研究結 果をみると,「更生保護施設増加の必要性」を認 める調査対象者ほど「拒否的態度」は低いとい う,両者の間に負の関係が存在することが分かる (Figure 3)。したがって,高いリスク認知は犯罪 対策が必要であるという認知を生む可能性が考え られる。そして,更生保護施設の増加は犯罪対策 の一つと考えることができるため,高いリスク認 知は更生保護施設の増加が必要であるという認知 をもたらすことは十分考えられる。このように考 えるなら,更生保護施設増加の必要性を介して, 高いリスク認知が施設建設に肯定的な態度をもた らしているというパス図が考えられる。これにつ いては,今後の研究において確認する必要があろ う。 一方,「リスク認知」と拒否的態度との関係に 認められた性差をどのように説明するかも,今 後の課題として残される。一つの可能性は犯罪 不安やリスク認知における性差である。一般に, 犯罪不安や犯罪被害リスク評価は女性のほうが 男性よりも高いと言われている(Warr, 1984; 島 田,2011)。これについて,本研究結果はリスク 認知では性差が認められなかったが,犯罪被害へ の不安では女性のほうが高いという性差を示し た。これは,状況の認知・評価において,犯罪被 害への不安が女性において,より大きな意味を持 つ可能性を示していると考えられる。しかも,更 生保護施設建設に伴う不安や入所者の再犯可能性 などの施設に対する否定的評価でも女性のほうが 高かった。そして,犯罪被害への不安はリスク認 知と高い相関関係にあった(女性でr=.558と男 性でr=.501)。これらを考え合わせると,女性で のみリスク認知が更生保護施設建設への拒否的態 度に関与するという本研究の結果は,女性におけ る「不安」の高さの反映である可能性が考えられ る。この点についても,今後,より明確な要因間 のパス関係を仮定してさらに検討する必要があ る。 男女に共通する要因としてもう一つ見出され たのが「更生保護施設増加の必要性の認識」であ る。Figure 3に示されるように,これは「更生保 護施設建設への拒否的態度」と負の関係にある。 すなわち,この認識が高いほど,更生保護施設建 設に対する拒否的態度は弱くなることを意味して いるが,これは当然と言えよう。必要と認識する 施設の建設を拒否するというのは認知的に矛盾す る。今後は,こうした必要性の認識を高める要 因・条件を明らかにすることで,更生保護施設に 対する地域住民の認識を高める対策を検討する必 要があろう。 3つ目に男女で共通する要因として挙げられる のが「更生保護対策への否定的評価」である。こ れは,更生保護制度,刑務所での矯正プログラ ム,企業による犯罪歴のある者等の協力雇用制度

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の3種類の再犯防止の有効性に対する否定的評 価であるが,これが「更生保護施設建設への拒否 的態度」と正の関係にあることが示された。この ように,更生保護対策の有効性を認めない調査対 象者は地域内に更生保護施設の建設を認めない傾 向にあるが,これも当然と言えよう。さまざまな 更生保護対策は効果がないと考えるなら,当然, その一つである更生保護施設の建設にも,再犯防 止,犯罪抑止効果がないと考えると推測でき,そ のような無駄な,しかも再犯するかもしれない犯 罪歴のある者が入居する施設の建設を受け入れる のは難しいと考えるのは極めて自然である。した がって,施設側が住民の拒否的態度を変えようと するのであれば,住民に「更生保護対策の有効 性」を示すことが求められる。 このように,男女に共通する要因が認められ たが,いずれかの性でのみ住民の拒否的態度と関 係が確認された要因もあった。その一つは「リス ク認知」である。これについては「更生保護施 設・入所者に対する否定的評価」の議論との関連 で既に論じた。性差の認められたもう一つの要因 が「行政や事業主体に対する不信感」で,これは 男性においてのみ「更生保護施設建設への拒否的 態度」と関連することが示された。そこで,次に この点について検討する。 従来の我が国のNIMBY研究が原子力発電や 放射性廃棄物処分場に対する住民の施設のリスク 評価や建設への拒否的態度を規定する要因として 挙げているのが「事業主体や行政に対する信頼 感」である(角田,1999; 高浦他,2013)。これ に対応する要因として本研究では「行政や事業主 体に対する不信感」を測定した。その結果,既に 述べたように,男性でのみこれが「更生保護施設 建設への拒否的態度」と正の関係にある,すなわ ち,不信感が強いほど施設建設に対する拒否的態 度が強いことが確認された。行政や事業主体に対 する信頼性が得られなければ,更生保護施設建設 の必要性や安全性について行政や事業主が説明を 試みても,その説明は住民に受け入れられないで あろうということは十分推測できる。しかも,施 設の必要性や安全性の確保は施設に対する住民の 拒否的態度を緩和することを本研究結果は示して いる。したがって,更生保護施設建設側や行政へ の住民の信頼感の醸成をいかに進めるかが,更生 保護施設建設に対する地域住民の理解を得る際の ポイントとなろう。 では,ここで確認された性差はどのように説明 されるのであろうか。残念ながら,先行研究では 性差を検討していないため,この結果が,本研究 が対象とした更生保護施設建設に特有のものか, いわゆる「迷惑施設」一般に該当するのかは明ら かではない。しかし,これについては次のような 解釈が可能かもしれない。すなわち,男女雇用機 会均等法など,ジェンダー差別の解消が言われて いるものの,一般に,会社や行政における役割に は男女差が厳然として残されているのが我が国の 現状である(e.g., 内閣府男女共同参画局,2013)。 こうした,男女の性役割の違いが行政や事業主体 などに対する関心の差を生み出し,この要因の影 響力に性差をもたらした,という可能性である。 とは言え,これについては今後の検証が必要であ る。 以上の議論から,更生保護施設のような,犯 罪歴のある者の更生に重要な役割を果たす施設を 新たに建設するにあたり,施設や行政側が留意す べき点を纏めると以下のようになろう。 本研究結果から更生保護施設の建設に当たっ ては,逃亡防止などの施設の安全性,受刑者の再 犯の可能性を地域住民にきちんと説明することが 重要であることが示されると言えよう。地域住民 とすれば,刑期を終えたとしても未知の「犯罪歴 のある者」を身近に置くわけであり,漠然とした 不安を感じるのは当然であろう。特に女性の場 合,性犯罪など自身の被害への不安や子ども・家

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族への被害の不安は強いのは当然である。した がって,施設側あるいは行政は,こうした住民の 不安解消のために丁寧かつ具体的に説明する姿勢 が求められよう。同時に,更生保護政策の有効性 に関する諸研究の結果を根拠として示しつつ,更 生保護施設が再犯防止に果たす役割や社会の安全 性の向上にどのように貢献するかを,地域住民に 説明することも重要であると言える。今後は,こ うした施設側の努力をより効果のあるものとする 方法の検討が必要であろう。 また,今後の研究課題として次のような問題 も考えられよう。例えば,McShane, Williams, & Wagoner(1992)やMartin(2000)は,NIMBY 研究や本研究のような迷惑施設建設に対する拒否 的態度の研究とは別に,建設されたことにより住 民の態度がどのように変化したかを検討してい る。こうした研究は,更生保護施設を受け入れた ことの住民の意識や態度への影響の解明という興 味深い問題を提起すると思われる。したがって, わが国においても今後,再犯防止や犯罪抑止との 関連において検討されることが期待される問題と 思われる。 最後に,本研究の結果は,更生保護施設に対 する拒否的態度と,それとはまったく異なる性格 のごみ焼却炉に対する拒否的態度が相関すること を明らかにした。この結果は,いわゆる「迷惑施 設一般」に対する拒否的態度の背景に,共通の態 度,たとえばNIMBYに共通する背景要因,のよ うなものが存在する可能性を示唆している。しか しながら本研究で研究した要因は,この問題に対 する回答を提出するには不十分と思われる。むし ろ,この可能性を検討する目的から計画された別 の研究が必要と思われる。その意味では,これも 今後の検討課題の一つと言えるかもしれない。 謝 辞 本研究は2018年度–2020年度科学研究費補助 金(基 盤 研 究C(一 般 ), 課 題 番 号18K03111, 研究代表者 小俣謙二)の助成を受けたものであ る。 付 記 本研究は駿河台大学研究倫理審査委員会の審 査を受け,承認(平成30年8月1日付)を得た ものである。 引 用 文 献

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Abstract

Although it is well known that offenders rehabilitation facilities play an important role in the preven-tion of second offense, community residents often oppose the construcpreven-tion of new facility in their neigh-borhood. Present study carried out questionnaire research on 1000 male and female subjects to clarify the factors which affect the rejective attitude. A multiple regression analysis revealed followings. 1) Both males and females understood the importance of the facility but tended to oppose the construction of new facility in their community. 2) This rejective attitude was stronger in females than males. 3) The negative view of the facility and inmates strengthened rejective attitude in both sexes. 4) The recognition that more offender rehabilitation facilities were necessary weakened the rejective attitude in both sexes. However, sex differences were also found. 5) Risk perception weakened rejective attitude in females but not in males. 6) Distrust of government and/or the owner of the facility strengthened the rejective attitude in males, but not in females. Based on these findings, the conditions under which the community residents accept the new facility were discussed.

Key words

: opposition to offenders rehabilitation facility, opposition movement, community residents, LULU (Locally Undesirable Land Use), questionnaire

参照

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