JAXAにおける国内防災の取り組みについて
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(2) JAXA における国内防災の取り組みについて. Fig. 2 Fig. 1. 2019 年徳島県における防災訓練の様子. 防災利用実証における協定の枠組み. 取り組みを行っており,リモートセンシングの理解と利用 の拡大に努めている。その他,県や地整の防災訓練におい 強度が低下した場合は赤色もしくは増加した場合は青色. ては,訓練内容や被害域を主催者側に確認し,訓練用のダ. (シアン)で表現される。そのため,災害による被害域だけ. ミープロダクトを作成し,実災害時に要請や利用でトラブ. でなく,経年変化による土地利用変化または植物や農作物. ルなく対応できるように支援を行っている(Fig. 2)。 2.4 ワーキンググループ. の季節変化も捉えることになる。防災ユーザは,それらの. 防災関連省庁や自治体との連携の他,防災関連研究機関. 変化の中から実際の災害域を解析・判読することになる。 なお,現在は実証実験期間中であり,JAXA から観測から. や大学と連携したワーキングクループ(WG)等を災害種. 5 時間後を目途に「被害区域図」の提供を実証実験の一環. 別に設置し,衛星画像を防災関連機関が実利用できる仕組. として行っている。被害区域図とは,災害速報図や対象地. み作りを進めている。火山 WG(事務局:気象庁)と地震. 域の災害情報や入手可能な光学衛星画像などを基に判読を. WG(事務局:国土地理院)はそれぞれ火山噴火予知連絡会. 行い,被害域の可能性のある箇所のみ選定したポリゴン. と地震予知連絡会の衛星画像解析ワーキンググループとし. データである。これらの衛星プロダクトは, 「防災インタ. て編成され,火山噴火や地震発生時の状況把握に加え,活. フェースシステム」を通して防災ユーザに提供している。. 火山監視等での衛星利用の定着化を推進する。土砂 WG. 災害速報図は,ラスターデータのため,座標情報を付与し. および水害 WG は,国土交通省との共催で今後の土砂災害. た GeoTiff や KMZ 形式で提供しているが,その他,災害速. や洪水災害時におけるマニュアル整備や衛星解析の精度技. 報図に道路や河川,重要施設の情報などを重ねた GeoPDF. 術などを議論している。その他,大規模災害衛星画像支援. や JPG も作成し,すぐに印刷可能な状態で提供している。. チーム(大規模チーム)は,内閣府との共催で大規模チー. 被害区域図は,Shapefile や KML のベクター形式で提供し. ムに委嘱頂いた大学や研究機関のメンバーに大規模災害が. ている。また,実ファイル形式以外にも,WMS や WFS と. 発生した時に JAXA だけで解析の手が回らない国際災害. いったサービスでの提供を行っている。. チャーター画像の解析支援をお願いし,昨年の令和元年東. 緊急観測後,JAXA は,緊急観測要請者に対しては,衛 星プロダクト等の利用方法についてフィードバックをお願. 日本台風や今年の令和 2 年 7 月豪雨等で画像解析の支援を 頂いた。. いしている。このフィードバックを受けて防災における新 たな衛星開発の参考情報あるいは解析技術の向上,災害に. 3. 防災インタフェースシステム. 関する課題解決に利用していきたいと考えている。 2.3. 研修等. JAXA では,地球観測衛星を用いた防災利用実証実験に. JAXA は,防災利用ユーザのリモートセンシングの理解. おける情報共有のため利用していた「だいち防災 WEB. 向上を目的に防災機関に光学や SAR の基礎講座や応用講. ポータル」の運用を 9 月末で停止し,10 月から「防災イン. 座を設け,年に数回程度無償で研修を行っている。内容は. タフェースシステム(防災 IF)」の運用を開始した。防災. 座学から QGIS などのフリー GIS ソフトを用いながら光学. IF は,防災・災害対応のため防災ユーザから緊急観測要求. 画像あるいは SAR 画像を用いた簡易な画像処理を実践し. の受付およびユーザへの衛星プロダクトの提供をワンス. てもらっている。その他,TEC-FORCE 研修や省庁で主催. トップサービスで実現したシステムである。防災関連ユー. する勉強会でもリモセンの基礎の紹介もしくは JAXA に. ザにアカウントを発行し,標準プロダクト画像および標準. おける防災利用実証実験について紹介の場を設けてもらう. プロダクト画像を基に作成される防災対応用プロダクトの. ─ 22 ─.
(3) 日本リモートセンシング学会誌. Vol. 41. No. 1 (2021). 左)災害速報図(R: 2018/05/30 G&B: 2020/07/08) 右)国土交通省(北陸地方整備局) Fig. 3. 国土交通省における土砂移動に係るヘリ調査結果の一部抜粋(長野県伊那市). 左)災害速報図(R: 2020/06/08 G&B: 2020/07/06) 右)林野庁(九州森林管理局)によるヘリ調査結果(撮影:2020/07/08) Fig. 4. 林野庁における土砂移動に係るヘリ調査結果の一部抜粋(熊本県芦北町). ダウンロードが可能となっている。また,GIS ソフトを保. 野庁から要請を受け,7 月初旬は九州地方,7 月中旬は中部. 有しないユーザがいることを考慮し,衛星プロダクトを. 地方,7 月下旬は東北地方を観測し,計 10 回の緊急観測を. WebGIS で閲覧できる機能を用意している。その他,今後. 実施した(Table 1)。その他,緊急観測画像を用いて土砂崩. 打ち上げ予定の ALOS-3 や ALOS-4 においても,災害時に. れの状況を把握の依頼を受け,干渉解析を行うなど状況把. おいて緊急観測した場合,このシステムを通して衛星プロ. 握の支援を行った。 7 月 6 日に「大規模災害画像解析支援チーム」のメンバー. ダクト等を提供する予定である。. に解析の協力を依頼し,同日センチネルアジアを発動と同 4. 令和 2 年 7 月豪雨の対応. 時に国際災害チャータへエスカレーションを行った。その 結果,海外の宇宙機関から新規撮影 56 シーン,過去画像. 令和 2 年 7 月豪雨は,7 月 3 日から 7 月 31 日にかけて日. 156 シーンの計 212 シーンを提供いただいた。これらの中. 本の広範囲において長期間にわたる大雨が発生し,西日本. から,大規模チームが地図化また画像解析を行い,これら. から東日本にかけて多くの災害が発生した。JAXA は,7. の情報を国土交通省などに提供を行った。. 月 4 日から 29 日の期間で国土交通省および農林水産省林 ─ 23 ─. 今回の豪雨では,長期間における大雨が続いた。ALOS-.
(4) JAXA における国内防災の取り組みについて. Table 1 令和 2 年 7 月豪雨における緊急観測リスト. 2 衛星は SAR センサーの特性である雲を透過し,地表面の. で,効率的に調査を実施することができたとの報告を頂い. 状況を把握できるおかげで,夜間や天候の悪い観測時にお. た(Fig. 4) 。. いても早期状況把握に貢献できた。国土交通省および地方 整備局からの報告によると,広範囲にわたって被災状況を. 5. ま. と. め. 調査する必要があることから,SAR 判読結果を活用して防 災ヘリの飛行ルートを選定し,調査の効率化が図れたとの. 日本では毎年のように自然災害が発生する。JAXA は,. ことだった(Fig. 3) 。また,国土交通省統合災害情報シス. ALOS-2 における防災利用実証を省庁および自治体との災. テム(DiMAPS)と被害区域図を自動送信していることか. 害協定を通し,災害時の早期状況把握やリモートセンシン. ら,DiMAPS を通して防災ヘリ調査のルート検討が効率的. グ分野の利用拡大に貢献できるように取り組んできた。今. に実施できたとの報告を頂いた。林野庁からの報告による. 後も,ALOS-3 や ALOS-4 の打ち上げ予定が計画されてい. と,大雨の影響による山崩れの把握のため緊急観測要請を. るため,更なる防災分野における衛星の利用および理解の. 行った。林野庁から九州および中部森林管理局に衛星プロ. 拡大に繋がるように努めていきたい。. ダクトを共有され,山地災害の発生箇所の推定やヘリコプ 引用文献. ター調査の飛行計画に活用するとともに,地方公共団体に も情報を共有した。その後,山地災害の被害状況を確認す るために各森林管理局と被災県が合同で実施したヘリコプ ター調査においても,JAXA から得た情報を活用すること. 1)防災インタフェースシステム,https : //daichi-bousai.dpif. jaxa.jp/static/html/pre_top.html(2020. 12. 22). 〔著者紹介〕 ●有安 恵美子(アリヤス エミコ) 所属:宇宙航空研究開発機構 衛星利用運用センター E-mail:[email protected]. ●中川 宣隆(ナカガワ ノブタカ) 所属:宇宙航空研究開発機構 衛星利用運用センター E-mail:[email protected]. ●新井. ●桐谷. 史也(アライ フミヤ) 所属:宇宙航空研究開発機構 衛星利用運用センター E-mail:[email protected]. 浩太郎(キリタニ コウタロウ) 所属:宇宙航空研究開発機構 衛星利用運用センター E-mail:[email protected]. ─ 24 ─.
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