第3学年 道徳科学習指導案 1 主題名 相手を思いやる心 教材「バスの中で」(日本文教出版) 【B 親切 思いやり】 2 主題設定の理由 〇 本学級の子ども達に「親切にすることは大切か」尋ねたところ、全員が「大切だ」と答えた。 これは、友達や自分の知っている身近な人が困っていると、「大丈夫?手伝うよ。」と声をかけた り、学習中、分からない問題がある友達と、一緒に問題を解いたりする姿によく表れている。し かし、知らない人に対して親切にしたことがあるかを尋ねてみると、「ある」と答えた子どもは 半分以下であった。親切にすることは大切だと分かっているが、相手が知らない人になると何か 行動することには躊躇している。これは、対象が知らない他者になると、相手の状況や気持ちを 推し量ったり、自分が手助けをしなかったら相手がどうなるかと先のことを想像したりするこ とが十分にできていないためである。そこで、知らない他者に対しても、相手の状況や気持ちを 想像し、より深く気持ちを理解することができるようになるこの期に、本主題を設定する。そし て、自分の体験から問題意識をもって、登場人物の気持ちや行動を交流によって考え、自分自身 を見つめ直すことにより、相手の気持ちや状況を考え、この先、相手がどうなるか想像して相手 のために何かをせずにはいられないという心情をもとに、進んで行動することの大切さをとら えさせる。このことは、思いやりの心をもって親切な行動をする道徳的実践力をもった子どもを 育てる上からも意義深い。 〇 思いやりとは、相手の気持ちや立場を自分のことに置き換えて、それを自分のことのように受 け止める心、相手の立場や気持ちを理解しようという心のことである。親切とは、相手の苦しみ や悲しみを自分のこととして置き換えて相手に対してよかれと思う気持ちを相手に向け、何と かせずにはいられないという心情をもとに、実際に相手を慰め、励ましたり、助けたりすること である。本主題に関しては、低学年において、幼い人や高齢者など身近にいる人に温かい心で接 し、親切にすることを学習している。これを受けて、本主題では、相手の現在の状況や気持ちを 考えたり、この先相手がどうなるかを想像したりして、相手のために手助けをすると、自分も相 手も温かい気持ちになることをとらえさせる。これらの学習は、高学年の誰に対しても思いやり の心をもち、相手の立場に立って親切にするという内容へと発展していく。 〇 本資料は、主人公が満員のバスに乗った際、バスが揺れるたびによろよろしているおばあさん のことが気になり、席を譲りたいがなかなか声をかけることができずに葛藤するという話であ る。本時学習の指導にあたっては、資料「バスの中で」を通して、満員のバスの中で、おばあさ んに近くの人が誰も席を譲らない状況で、自分はどうするか葛藤している時の主人公の気持ち を考える。このことを通して、葛藤していた主人公がついにおばあさんに声をかけることができ た場面を中心に取り上げ、相手の状況や気持ち、自分が手助けをしなかったら相手はこの先どう なるのかといった先のことを想像し、進んで手助けをすることの大切さをとらえることができ るようにする。そのために、席を譲りたい気持ちでいっぱいになったが、声が止まってしまうと いう主人公の気持ちに共感させることで、主人公がついに声をかけることができた時の理由に ついて深く考えさせる学習活動を仕組む。 まず、導入段階では、アンケート結果を提示し、知らない人への親切な行いの場面や気持ちを 想起させ、学習のめあてをもたせる。次に、展開段階では、主人公の声をかけて席を譲りたいが、 声がどうしても止まってしまうという理由について考えさせる。主人公は、なぜおばあさんに声 をかけたいと思っているのかを全体で考えさせた後、それなのに、どうして声が止まってしまう のかについて個人で考えさせる。そして、葛藤していた主人公がついにおばあさんに声をかける ことができた理由を問いかけ、どうすれば親切にできるのかについて考えを深めさせる。最後に、 終末段階では、今日気がついたこと、これからどういう自分でいたいかという観点で振り返らせ、 相手のことを思って親切にすることができるよう、実践への意識を高めさせる。
3 ねらい 目の前で困っている人の気持ちや状況を考えたり、自分が手助けをしなかったら、この先どうなる のかを想像したりして、相手のために手助けする大切さに気付き、進んで行動しようとする意欲を高 めることができるようにする。 4 準備 挿絵 道徳ノート 5 過程 段 階 主な学習活動と内容 教師の支援 導 入 展 開 終 末 1 アンケートの結果を提示し、本時学習のめあてに ついて話し合う。 2 資料「バスの中で」を通して、相手の状況や気持 ちを考えたり、この先どうなるかを想像したりして 親切な行いをすることの大切さについて話し合う。 (1)「心の中で、二人のわたしがあらそいはじめた。」 ときのわたしの気持ちについて、話し合う。 (2)どうしておばあさんに声をかけることができた のかを考え、話し合う。 (3)声をかけることができた理由を基に、親切にす るために大切な心について話し合う。 3 学習を通して、これからどのような自分になりた いか考え、紹介し合う。 ○ 本主題に対する課題意識がもて るように、知らない人に親切にで きた経験と、できなかった経験を 提示して、「どちらの自分でいたい ですか。」と問い、本時のめあてへ と導く。 ○ 主人公の迷っている気持ちを深 くとらえさせるために、おばあさ んに「声をかけたい」理由を全体で 考え、その後にそれでも「声が止ま ってしまう」理由について個人で 考えさせる。 ○ 葛藤していた主人公が声をかけ ることができた理由を考えさせる ために、バスが大きく揺れ、おばあ さんが前の方へよろめく様子を動 作化する。 ○ 親切にするために大切な心は何 かについて考えるために、主人公 がおばあさんに声をかけることが できた理由を振り返る。 ○ 実践への意欲をもたせるように するために、「気付いた心」「今後の 自分」という視点を与えて振り返 りを記述させる。 【知らない人に親切に できた】 ・迷っている人に道案内 をした。 ・きつそうな人にバスの 席を譲った。 【知らない人に親切にで きなかった】 ・荷物が重そうだったが 声をかけられなかった。 ・落とし物を届けられな かった。 知らない人にも親切にするにはどんな心が大切な のか考えよう。 席をゆずってあげたい気持ち ・わたしが声をかけなければおばあさんは転んでしまう。 ・このままほうってはおけない。 目の前のこまっている人の様子や、自分が手助け をしなかったらこの先どうなるのかを考え、進んで 手助けをしようとする心。 声が止まってしまう ・おばあさんは、困っている だろう。 ・おばあさんが転んでけがを したら大変だ。 ・もう少ししたら誰かが声 をかけるかもしれない。 ・声をかけたいけど、声を 出すのが恥ずかしい。 ・断られたら嫌だ。 おばあさんのことを考えている 自分のことを考えてしまう 知らない人にも親切にするには、この先どうなるのかを考 えることが大切だと分かった。よく考えて行動したい。