文字言語を対象とした「読解・続密」という行為は、 人間の脳 機能活動の中でも倣も忘次な能力が要求される活動だと考えられ る。箪者は391例と 6 例の聴党隙害児を研究対象と した先行研究で、 聴党椋害児が 9 歳以後高度な「読解読柑能力」(以下読也能力) を獲得し、 言諾を媒介とした形式的論理的思考を確立していくた めには、 6 歳頃における音声酋語能力がその鎚となることを明ら (2)(3)-g かにした。 この理論は、 成人の失語症患者の「映解・説笞」の過 程にもあてはめられるのであろうか。 で) でJ ) Yamadori {一九七八)やAlbert (一九八一)は、 文字言語 の 理解は音声言語の理解に対応す るという知見を上げてい る。 De, ko) mark他(-九八二)は、 失語 症者 に 「Reading Comprehension Battery for Aphasia」を実施し、 失語症者の読解力は聴理解 力 や失語症の瓜症度と有意な相関が見られることを報告している。 残念にも日本では、 失語症患者の読苦能力に関するこうした研究
研究の目的
ー失語症患者を対象とした研究ー
一九七九年四月1一九九0年九月までに川崎病院耳界科言語治 燎室(以下当科)で指禅を行った 31 (男24.
77%、 女7 .23%) 例の失語症息者を検討の対象とした。 31 例の失語症を生じた原因 疾息は脳血管防害28例(90%) .碩部外侶3例(10%)、 平均年 Il 対 象症例 は現時点では皆無であり、 失語症思者がどの程度の読書能力を有 しているのか、 その実態すらも把握されてはいない。 そこで本 研究では、 正常な言語機能(間く・話す•読む・ 琲く全ての機能 を含む)を獲得した後、 脳血管熙害等の疾病によって後天的に言 語機能 に異常が生じた失語症患者を検討の対象とし て、 失語症息 者の読掛 能力の実態をまとめ ると共に、「読解•読也」に必要と される言語・心理•生物学的基礎、 およぴ読解読柑のための内的 心理的過程の解明を試み、 読舟能力の獲得で果たす音声言語能力 の役割、 発達期にある聴党障害児と成熟を完了した失紐症者の統 也能力獲得過程での相述点について 、 検 討と考察を加えた。森
読解•読書能力を高めるための言語・
心理·生物学的基礎
寿
子
147-皿
研
究課題と研究方法
齢は52歳5ヵ月、 本研究で用いた初回検査実施時期における発症 後の平均経過月 数は 4年2ヵ月(股短4ヵ月1飛長16年6ヵ月)、 平均訓練期間は2年9ヵ月(最短2ヵ月ー最長n
年3ヵ月)で あった。 本研究で は次の5点の研究謀姐を設定した。 l. 31例の読柑能力はどの程度のレペルにあり、,餃牡能力と音 匹、言栢能力(本研究では失誦指数で 算出)とはどのような関係が あるのか 2. 読密能力と知能(動作性・首語性)とはどのような関係が あるのか。 3. 失語指数と言語性知能とはどのような関係があるのか。 4. 続柑能力を改善するためには、 言詣指源においてどのよう な諸点が留意されねばならないのか。読世能力検査の下位項目間 . の得点率の相関を検 討し 、 留 意点を明らかにする 。 5. 発達期にある庇党閃喜児と成熟を完了した成人失語症者の 読柑能力獲得過程での根本的相述点は何か。今回は便宜上年齢に 焦点をあて、 読店能力と年齢、 失胚指数と年齢の相関関係を検討 し、 相述点を鮒明する。 以上の謀題を遂行するため、 一九八九年三月!一九九0年九月 にかけて当科で必要な諸検査を行 った。 用いた検査は次のような もので あった。 続柑能力の評価には金子柑房版幼児・児童読柑カテスト(適用 範囲3歳8ヵ月17歳7ヵ月)、 小学校低学年用(適用範囲6歳 19歳)お よぴ高学年用(適用範囲9歳112歳)全国標辿版統 解•読世能力診断検査、 中学校用能力別診断式餃由力検査(適用 範囲12115寂)のいずれかを実能し、 読術年齢を坑出した。用い たこれらの検査は31例では適用年齢を過ぎており、様地化された 方法で説柑年齢を算出することは不可能であった。 このため、 実 柿した検査の総得点(or総計点)が読掛力偏差佗で50となる学 年(年齢)を便宜上算出し、 読徘年齢とした。音声言語能力の評 価には、 医学柑院(-九八六年)版Western Aphasia Battery (以下Wと)を用い` 失諾指数(Aphasia Quotient以 下 AQ) を筏出すると共に、 AQによって失語のタイプ分類(他忘失語、 ウェルニッケ失語、 プローカ失語、 全失栢の4型)を行った。知 能の評価に は、 日本文化科学社版Wechsler Adult Intelli gen ce Scale (以 下 WAIS) と Wechsler Intelligence S ca le for Children ー Revised (以下 WISC -R) を 用 い 、 動作性知 能 (P erformance Intelligence Quotient以下PIQ) と哲罪 性知 能 ( Verbal Intellig ence Quotient以 下 VIQ) を 鉗出した。 これらの 結果より、 失語のタイプ別に見た説密能力とA Q、 読甚能力と PIQ およぴ VIQ 、 AQ と VIQ、 読書能力と年齢、AQと年齢の相 関係数を算出し、 課図にそって結果をまとめた。-148-N 結 果 また、読柑能力検査の下位項目問の関係は、本研究では便宜上 ・音節の分解や抽出力と文の理解力、語の理解力と文脈・文章の理 解力の各得点率から相関係数を算出した。相関関係は「無相関」 (r11o ·ー廿0 .2)、「弱い相閲あり J (r11片0 .2ー廿o ·.4)、「かな りの相関あり」(r=±0,4ー廿0 . 7) 、「強い相関あり」(r=± 0 .7ー廿1.0)の4段階で判定した。' ,. 1.31例の観書年齢、観書能力と音声言語能力との関係 ,31例の読柑年齢は3政8ヵ月111歳9ヵ月の範囲にあり、平均 読柑年齢は6歳11ヵ月であった。失話のタイプ別に見た平均読術 年齢は、健忘失話(11例)9歳3ヵ月、ウェルニッケ失語(3 例)6歳0ヵ月、プローカ失蹄(13例)5歳11ヵ月、全失語(4 例)4歳7ヵ月であった 9 一方、31例のAQはui99.2 (満点 は100)の範囲にあり、平均失開指数(AQ)は59.4であった。 失語のタイプ別に見た平均AQは、 • 他忘失栢88 . 8、ウェルニッ ケ失語75.2、プローカ失語45·-0、全失語13.6であった。総 合すると、隙柑年齢と失語指数とのmJには「強い正の相IIO」(r 11o . 78) を認めた(図1)。 . . 2.貌書能力と知能の関係 い 諌 書能力と動作性知能(PIO ) ‘ 31例のPIQは40ilOSの範囲にあり、平均PIQは81.8 (普通 S13 12 11 10 9 8 ? 沢 ● 鰻 力
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△ 兌 △ 図1 失 a m 直 失屈指数と観書能力 100(Ml)の下)であった。 失語のタイプ別で見た平均PIQは、健忘失語 94. 6(普通)、 ウェ ・ルニ'ッケ失語79(境界線)、 プローカ失語 71.9(境界線)、 全失llig68(軽度痴呆)であった。 全体で見る と、 餃咎能力とPIQの間にも「かなりの正の相関」(r110 .62) を認めた(図2)0 . 切 観 書能力と言語性知能(VIQ) 24例(7例は測定不能)のVIQは341108の範囲にあり、 平均 VIQは73(境界線).であった。 失栢のタイプ別で見た平均VIQ .. は、 他忘失語89.7(音通)、 ウェルニッケ失話79.3(境界線〉、 プロー カ失語52. 8(軽度痴呆)、全失語測定不能であった。全 体で見ると、 読杏能力とVIQの間にも「かなりの正の相関」(『 110 .62)を認めた(図3)。 • 3. 失語指数(AQ)と言 語性 知能(VIQ)の関係 31例の失語指数と言語性知能の間には「強い正の相関 J (r11 0 .83)を認めた。 但し、 31例中VIQを測定しえたものは24例の みで、 全失語とプローカ失語の総
nt17
例中7例は測定不能であっ た。 失栢のクイプ別で見ると、 健忘失距では「弱い負の相閲」 • (r11 ,0 .26)を、 ウェルニッケ失語とプローカ失話では「強い .正の相関」(r110 .91、 r110 .86)を認めた。 全失語はVIQが全 例で測定不能のため、 AQとの相関関係は検討不能であった(図 4 )。
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図4 50 失 Ill P 紋 失匝指数と言語性知能 (24例のデータ、 1例はVIQ測定不能 ll)ため比較不能) 100 (,IQ) 図3 50 ti UI 性 知 償 貌書能力と言語性知能 (24例のデーク、 7例はVIQを測定不能) 100 (VIQJ 150-4. 既書能力検査の下位項目間の関係 い 音 節の分解・抽出力と文の理解力 この項目は幼児・兒派用読招説害能 力診断検査を行った19例 (徒忘失餅2例、 ウェルニッケ失語2例、 プローカ失語11例、 全 失語4例)のデータで検討した。 19例の音節の分附と抽出力の平 均得点率は25.8%、 文の理陪力の平均得点率は23.9%で、 こ の間に「弛い正の相関 J (r110 .85)を認めた(図5)。 切 語 の理解力と文脈・文章の理解力の閲係 この項目は小学校低学年用読肝読壱能力診断検査を行った5例 (他忘失語3例、 ウェルニッケ失語1例、 プローカ失語1例)、 高学年用読招読柑能力診断検査を行った5例(健忘失栢4例、 プ ローカ失語1例)、 計10例のデータで検討した。 10例の栢の理妍力の平均得点率は35.5%、 文脈・文立の理解 カの平均得点部は29. 3%で、 この間に「かなりの正の相関」 (r110.48)を認めた(図6)。 5. 年齢との関係 31例の年齢は13ー75袋の範mlにあり、 平均年齢は52ilsヵ月で あった。失節のタイプ別に見る と、 最も平均年齢が硲かったのは ウェルニッケ失語(63歳8ヵ月)、 ついで全失甜(58袋6ヵ月)、 プローカ失栢(52歳9ヵ月)、 他忘失語(46歳6ヵ月)の則で あった。 X l00 文 烏
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6. 結果のまとめ m31例の失梢症息者の説術年齢は3歳8ヵ月111哉9ヵ月の範 囲にあり、 読咎年齢の平均は6瓶11ヵ月であった。 失研指数で測定した音jli-Ii語能力は、 他忘失栢、 ウェルニッケ 失照、 プローカ失語、 全失腑の顛に高く、 読牲能力と音芹酋賭能 カ (AQ)との間には弛い正の相関を認めた。 ②31例のPIQは401限の範佃にあり、 平均PIQは81. 8(噛 通の下)であった。 また、 V 【 Q は341108の範囲にあり、 平均 g。
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152-ー. 貌解筏書能力を高めるために必妻とされる言語・心理•生物 学的基礎 い音声言語能力(言語学的基礎) 図1に示されるように 、 9歳レペル以上の説掛能力を猥褐する ためには、 失栢指数が70ー80以上あることが必要と考えられた。 今回の 31 例ではそのレペルに述してい たものは8例(26%)のみ であった。 WABのAQは音声首語能力を失語指数として数"爪化
>
考
察
• V IQは73であった。説宙能力と知能(PIQ•VIQ とも)と の間に も、 かなりの正の相関を認め、 読宙能力が9歳レペル以上になる ためにはPIQ•VIQともにほぼ80(普通)以上必要であった。 ③AQとVIQの間にも「強い正の相llo」を認め、 読柑能力が9 歳レペル以上になるためには、 AQ•VIQともにほぼ 80以上必要 であった。 ④幕能力検査の下位項目間の得点率から節出した相関係数か ら、 音節の分肝・抽出力と文の理解力の間には「怖い正の相関」 を、 語の理解力と文採・文章の理解力 の間には「かなりの正の相 関」を認めた。 固読柑能力と年齢の間には「かなりのれの相関 」を、 失絣指数 と年齢の間にも「弱い共の相関」を認め、 読籾能力に加齢の影特 があることが示唆された。 したもの であるが、 AQ 70180 が生活年齢でいうと何歳レペルに 相当す る の か は AQ の み で は⑪出不iif 能 で あ る 。 ただ、 -7-Geschwindは幼兄では音JII-i日附力が516磁レペルに述した頃よ り「読む」 という学習が可能となること を あげており` 既述した -4) -'‘ 》 YamadoriやAlbertも文字貨訴の理招は脊W’酋罪の理解に対応す no) ることを認めている。 また、Piagetは幼児では音戸酋誦を媒介と して617歳で「スビーチの内酋化」が始まり、 9殺をすぎると 純枠に音芦甘語のみで「論理的形式的息考」が可能となり、 12波 頃には 「酋諾による思考の論理性が完成」することを認めており、 これらの知見から次のことが類雅される。すなわち、 今回説得能 力が9歳レベル以上であった8例(26%)ではその甚礎となる音 声酋餅能力も9政レベル以上にあり、 反対に読梢能力が9歳レペ ル以下であった23例(74%)では音和肯絣能力も9歳レペル以下 であったと考えられる。 しかも23例中4例(13%)は719歳 未滴の読術能力であった が、 残り19例(61%)は317栽未沿の読杏能力であったことか ら 、 失而症患者の6割程度は非霜に低いレペルの音戸酋栢能力し か布していなかったことが 拙澗さ れる。 この ことよ り、「読陪・ 盗杏」という内的心理的行為が9哉レベル以上で行われるために は、 その行為の粘礎となる音W酋稲能力がま ず9救レペル以上 に 到述していなければならないことが確認されたといえる。 153-切 知 能(心理学的基礎) ー動作性知能、嘉性知能の意味するものI ' 図 2.3に示されるように、 読繁能力が9戟レペル以上であっ た8例(26%)の知能は、 P IQ•VIQ共にほぽ80(並 LI 通)以上で あった。 反対にPIQ•VIQともに知能が80(普通)以下であった 14例(45%)の読粛能力は、 全例が9歳レペル以下であった。 こ のことより、「説解•読柑」という内的心理的行為が9歳レペル 以上で行われるためには、 PIQ•VIQともに「普通以上」にあ る ' こ とが心理学的 基礎となると考えられた。 では、「知能」とはど のようなものであ ろう か。本研究で問逍としたPIQとVIQにつ いて考えてみたい。 ①PI Q 人間の 脳は左右2つに分かれていることは周知で あるが、 PIQ は右脳の機能の評価であると一般的にいわれている。PIQの検究 項目から類推して、口動作性知能とは視党的に与えられた課題を 主として右脳の 中枢レベルでどのように弁別・理解し、 運動行為 として朋決しうるかという能力の評価である」と要約できる。 こ で 9I" ) のため、 視機能の影押を強く受け、 半百・視野狭窄・複視・視野 欠損・眼球運動の制限などがある と、 PIQは低く雑出される。今 回PIQが80以下であった14例中11例(79%)では 視機能の株前 が確認されており、 残り3例(21%)も窃齢などの影秤を受けて視 党的梢報が正しく脳内に伝逹されず、 低いPIQが筑出されたの ではないかと考えられる。 ②VI Q PIQに対してVIQは言語中枢のある左脳の概能の評価である と一般的に考えられている。 このた め、「哲語性知能とは聴採的 に与えられた課題を主として左底の中枢レペルで弁別・理招し、 それに対する答えを音声言語として表出しうる能力の評価であ る」と要約できる。今回検討したAQとVIQには強い正の相関 が見られたが、 これはAQもVIQ も左脳が分担する音声酋甜能 力を別々のテストで評価した結梨であり、 本質的に同一の機能を 評価したという点では当然の帰結であろ う。 ただAQとVIQの 各テストの下位項目には質的・レペル的差汎があり、 その差異が 得点苺として現れたものと思われる。 固 年 齢(生物学的碁礎) 図7に示されるように、 読杏能力が9歳レベル以上であった8 例の 年齢は10代150代の範囲にあった。 しか も、 8例中4例 (50%)はすべて30代までであった。 これに対して、 読書能力が 9歳レペル以下であった23例の年齢は40代以上で、 しかも60代・ 70代では全例が説柑能力は9歳レペル以下であった。 失甜症患者では習語訓線によって損彬された脳機能の回復・改 将を図るわけであるが、 今回の結果から10代130代では訓練によ る回復や改将の可能性が高く、 40代を過ぎると少数のもの(今同 は4例・ 15%)ではし"四い改将を得て も、 多くのもの(今回は23
-154-例函%)では訓純によって改善する可能性が加齢の影特を受け て低くなることが明らかとなった。. 先行研究で発表した聴裳閃害児で は、 言語狼得のための生物学 的適期を過ぎると訓錬効果を上げることは困難であったが、 発述 の適期に即した酋梧指洋が適切に行われれば訓純効呆は仮大とな り、 読杏能力の獲得が加齢の影褥を受けることはなかった。 しか .し、 成人失開症患者では高齢になる程餃柑能力は加齢の影特を受 けて低くなることが今回の結果で明らかとなり 、 こ の点が発達期 にある稔従節害児との根本的相述点であると考えられた。指浮効 栄の判定や予後予測においては、 読柑能力の挫得にかかわる乳幼 児と成人の生物学的基盤の相述を十分留意する必要があろう。 2.「既解・貌書」とはどのような内的心理的過程なのかー言語 指導上の留意点ー ' 読也能力を高めるためには、 音JlT言語能力(酋甜学的基礎) . 知能(心理学的茄礎) ・年齢(生物学的甚礎)の条件が考硲され ねばならないことがIYJらかとなった。 では「読解•読術」とはど のような内的心理的沿程といえ、 首話指埒上何を留意すればいい のであろう か 。 物井は仮名単師の読み牲き過程として図9に上げるような図式 を設定しているが、 節者は今回の結果から図10に示すような図式 が説解・脱柑の過程として想定されるのではないかと考える。説 肝•読也のためのこの一述の作業が支悴なく行われるためには、
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文字口語(単話・文・文章)の再合成 と意味理解 音声酋語(音韻)と文字言語(単話・ 文・文章)の対応こ_ー亨声!
と ば 文字酋語 語に変換 {単語 ・文・文章)を音声言 音節の分解・抽出) 文字首請(単語・文・文章)の視·此的 認知・弁別・理解 図10 筆者の想定する既解・貌書の過程 図9 「視党的に与えられた文字言話梢報(課罰によっては絵や即形) をどれだけ正確に弁別・理解·統合し(以上PIQ•右脳の機能)、 それ を音声言詣記号に招号・理解するか(以上く[Q• 左脳の機 能)」という極めて複雑で商度な能力が辿絞的・反復的に要求さ れると考えられる。 このため、「読別•読曹」は「脳の最も科次l
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-碑 155-なレベルで、 左右2つの脳の全ての能力を総動貝して初めて遂行 されうる行為(活動)である」と要約で き、 この連統的・反復的行 為藷動)が脳に損但のある失語症息者にとってどんなに困難な ことであるかは容易に想像できる。 ' この理由から、 失語症息者の7割余のものの読柑能力は、 9歳 レ ペル以下であったという結呆が出たのではあるまいか。 では、 どうすれば少しでも読掛能力を高めうるのであろうか。 節ーには、 図10に示したような一連の読解•読術作業が容易とな りうるような、 言語訓練プログラムが工夫されねばならないであ ろう。音節の分解・抽出力が 文の理解力に影押し(図5)、 語の 理解力が文脈・文章の理解力に影堀した(図6)今回の結果は、 「読解•読牲能力」を高めるための具体的言語訓練プログラムの あり方を、 示唆しているのではないだろうか。 第2には、 日本語の特殊性に留意した言語 指涼を行うことが必 -IG118) 要であろう。 日本語の特殊性としては主に次の2点があげられる。 1つは「かな」と「淡字」を持つことによって生じた読解過程の 複雑さである。 日本語では文字を読解するために形態処理・音韻 処理·意味処理の3つの処理がなされ、 これはアルファペットを 主体とする言語圏では見られない複雑な処理過程だといわれる。 もう1つは日本語には「かな」と「淡字」の二通りの読字経路が あることである。 日本語のこの特殊性の故に、 形態•音韻処理の -19M8) 過程では「かな j が読みやすく、 意味処理の過程では「漢字」が -21-読みやすいこと、「かな」も 「渓字」もその理解の過程では字数 ~a121] や両数の影判を受けることが、 失語症俎者から得られた知見とし てあげられている。従って、 酋語指祁において日本語のこうした 特殊性に留意した訓練プログラムが紐まれる ならば、「読解•読 牲」能力はより高まるのではないだろうか。 31例の失語症患者の読vf能力の分析結果か ら、 次のことが明ら かとなった。 l. 31例の平均読也年齢は6歳11ヵ月であった。 このうち、 8 例(26%)の読密能力は9歳レベル以上であったが、 残りの23例 (74%)の読也能力は9歳レペル以下であった。 読術能力は音声酋 語能力(AQやVIQ)と弛い正の相OOを有し、 読柑能力を高める ためには音声言語能力を麻めることが基本的に必要であった。一 方、「読解•読梱」が成立するために は、 脳内において視此的梢 報(文字言語)が正しく処理される必要があり、 このために動作 性知能が「普通」以上にあることが重要であっ た。 さらに、 成人 失語症患者では読柑能力やAQは加齢の影岬を受けやす く、 この 点にも注意する必要があった。 2. 「読解•読世」は人間にとって最も高次なレペルで行われ る総合的脳機能活動であり、 それは左右の脳の全ての能力を総動 貝して初めて遂行されうる行為であることが示唆された。 このた
w
結
語
156-め、 酋語指祁においては「読解•読也」が成立するための言語・ 心理•生物学的碁礎に注意するとともに、「読解•読掛」のため の内的心理的過程と日本語の特殊性に十分留意する必要があると 考えられた。 辞 随んで拙船を恩師故江実名脊教授の御裳前に捧げます。今から 約26年前、 江先生が言語学の御講義中に話された ,aphemia " (江 先生はaphasiaよりもこのことばを好んで使われました)の話は、 学問的魅力に満ち、 未熟な学徒であった私に街党を与えました。 その御講雑が端絣となり、 私は言語病理学(聴党言語欠陥学)を 専門とする逍へ進みました。 お陰さまで言語治扱士を志す学生の ために、 川的医根福祉大学感銘嬌正学科の中に、 日本で初めての 医燎言語聴党専攻コースが四年制課程として設悛され、 一九九一 年(平成三年)四月より開学の運ぴとな りました。 この追へお禅き 下さいました江先生に心よりの感謝と共に御報告させていただき ます。 先生のお教えは日本で初の大学における「言語病理学講 芭としてここに確かに結実しまし た。 先生が御存命であればど んなに喜んで下さったことでしょうか。先生の御存命中に御報告 できなかったことが残念でたまりませ ん。 先生のお教えを守り、. 私なりにこれからもこの近の発展のために努力するつもりでおり ます。 江先生、 本当に有難うございました。 どうぞ安らかにお眠 参考文献ならびに引用文献 ]a苫nica .32:553 ,1978 . (1)山鳥瓜ぶお問と文字系列化能力。神経心理学、 6ぶgi32、 一九九 0 。 (2)森ガ子江唸 f丸 筍も児の音 5 ザ甘語桟得に関する研究ー9歳の限を打般 する教脊理論開発の試みー。音和甘柄医学、 31ー2は平鴎、 一九 九0 。 (3)森寿子:ろう・窃度煤聴児の歯瓶発遠ー9政の搬打破のための目叩皿 発達上の必姿条件の肝叩ー岡大国文論枡、 18品3ー92、一九九0。 (4)Yamadori, A .. et al. : Dissoniation of visual and Auditory langu age comprehension capacity in aphas ia. Folia Psychia lory . Neurology . (5)Albert . M . L ., et al•る[inical aspects of dysphasia. Springer1Verlag . Wien , 1981. (6 )Demark , A. A. V., et al.: Measurment o[ reading comprehension in aphasia with The RCBA .Journal of Speech an d Hearing Disorders .288-291 , 1982 . (7)Geschwi nd . N. : Anatomical foundation of language and domingce . 図ucation and Welfare , 145-157 .1979 . (8) Piage
こ.
tnguage and thought of the child . Routledge and Kegan Paul , 1959 . (9 )Nielsen . J•M . : The unsolved problems in aphasia .1Alexia resulting [rom a te mpora l lesion . Bull . La. Neurol. Soc . , 5:168 ,1939 . り下さい。 江先生の御冥福を心よりお祈り巾し上げます。 157-(10)Wernicke , C・うhe apha s ia symptom complex psychologic al st ud y o n an anat0mic basis . Translated by G . H . Eg唸r~[n Eggert. G . H . : \Ver • nicke's works on aphasia . Mouton . The Hague ;1977 . {ll)Benson , D • • F. : Aphasia . alexia , and agraphia . lsted ,Ch u rc hill Li vi n g , stone•New York .1979 . (12 ) Bub . D. N . :Word Recognition and Ortho gr ahic C o n t e x t Effe c t s i n a Letter ー by1Lette; Re ade r . B ra in a n d L a n gn a ge , 36 ;357 ,376 . 1 9 8 9 . (13)Be n ton , A . L. : Signi(icance of nonverbal cognitive abiliti es i n ap ha s i c • • p a t i e n t s •第7回日本屈卒・中学会講演抄録、 4 ;153 , 161 , 1982 . (M)Rein, •aog. I. : Patter _ ns of restitution in aphasia,1981(Benton , A . L. : Signific a nce of nonverbal cogniti_;e abilities in aphasic patients . �7 回日本脳半中学会講演抄仕、 4"1531161、 一九八二。 より引用) (15)物井寿子ぶ大船症の説み紺さ閃也の訓純—仮名世干訓紬を中心にー。 神経心理学、 6"33140、 一九九0。 (16)井上追夫他蕊字の特性にかんする心理学的研究—形態・む韻処理 と意味の抽出ー。心理学評論、 22品や油 、 一九 七 九 。 (17)井村恒郎泣^梱。 日本師における特性。精神神紆学誌、 17