有機廃棄物の水熱反応資源化で生成した有用物質の
超臨界二酸化炭素による分離
著者
木下 睦
有機廃棄物の水勲反応資源化で生成した有用物質の
超臨界二酸化炭素による分離
(研究課題番号14350530)
平成15年度 科学研究費補助金(基盤研究B(2))
研究成果報告書
平成17年3月
研究代表者 木下 睦 (東北大学大学院 環境科学研究科)′ はじめに 高温高圧の水を反応場として利用する水熱反応は、水を反応媒体として用いるため、生成物 のうち水溶性の成分はその濃度が小さく、水溶性の生成物を利用することを目的とする場合に は、その生成物を濃縮分離する必要がある。 具体的な例としては、現在植物バイオマスである籾殻の湿式酸化によって比較的安定に生成 する酢酸を選択的に生成し、水産廃棄物であるカキ殻などと反応させ、環境融和型の路面凍結 防止剤であるCMA(酢酸カルシウム・酢酸マグネシウム)を安価に製造するプロセスの開発に 関する研究が行われている。その中でCMAを生成するコストのうち約2/3が濃縮・精製のため に水を蒸発させるのに費やされる。そのため、コスト低下のために蒸留以外の方法が求められ ている。蒸留以外の方法として、溶媒抽出があるが、有機溶媒を用いることはその毒性や環境 負荷を考えると、グリーンケミストリーの観点から好ましくない。 `そこで、有機溶媒に替わる 抽出溶媒として、超臨界二酸化炭素に注目し、超臨界二酸化炭素を用いた抽出について検討し た。本研究は日本学術振興会科学研究費補助金によって行われた。 研究組織 木下 睦 (東北大学大学院工学研究科・助手) 榎本 兵治(東北大学大学院工学研究科・教授) 菅井 裕一(東北大学大学院工学研究科・助手) 研究費 直接経費 平成14年度 5,800千円 平成15年度 8,300千円 総 計 14,100千円 間接経費 合計 0千円 5,800千円 0千円 8,300千円 0千円 14,100千円 研究発表 口頭発表*)
・菊池俊介、壷王堕、金放鳴、榎本兵治
超臨界C02を利用したバイオマス廃棄物の水熱プロセスからの有用生成物の抽出 平成16年度資源・素材学会盛岡大会 平成16年11月10日 *)付録として添付 1′ 1.概要 超臨界流体は密度が液体に近づくと溶解力を有するようになり、溶媒として利用することが できる。超臨界状態、特に臨界点近傍では、若干の温度・圧力の変化により密度が大きく変化す る。流体の物性は分子間距離すなわち密度に大きく依存するので超臨界流体を抽出溶媒として _用いると、圧力や温度の操作により溶解度や分離係数を制御することができる。 二酸化炭素の臨界点は温度が31.2℃、圧力が7.38肝aである。超臨界二酸化炭素を抽出溶媒 として用いた実用例としては、コーヒーからの脱カフェインや,麦からのホップエキスの抽臥 たばこからの脱ニコチンなどが挙げられる。以下に超臨界二酸化炭素を抽出溶媒として用いる 利点をいくつか挙げる。 ・ _超臨界流体中での物質の移動速度は液体中よりも速いため、短時間での抽出が可能。 。 有害な有機溶媒をほとんど利用しない。二酸化炭素自身は毒性が無く、不燃で腐食性も無 いなど利用しやすい。また、安価で入手もしやすい。 ・ 常温常圧で気体のため、溶媒の除去の操作が省略できる。 。 比較的低温で抽出できるため、熱に不安定な化合物の抽出も可能である。 ・ 温度や圧力の制御によって溶解力が調整できるため、分別抽出が可能である。 ・水魚反応による生成液からの超臨界二酸化炭素抽出プロセス 図1-1に超臨界二酸化炭素を用いた、有機廃棄物の水熱反応によって生成する有用物質の抽 出プロセスの概念図を示す。有機廃棄物を高温高圧水中で水熱反応させると水溶性の有機物を 含む水溶液が得られる。このとき,非水溶性の有機物や気体も得られることがあるが、その場 合分離は難しくないのでここでは省略する。得られた水溶液に超臨界二酸化炭素を加え、水溶 液から有機物を抽出する。その後、超臨界二酸化炭素相と水相とを分離し、超臨界二酸化炭素 相を減圧すると、二酸化炭素は気化し、水溶性の有機物が高濃度で得られるというプロセスで ある。溶媒である二酸化炭素は比較的回収が容易であるので溶媒を回収し、リサイクルするこ とが望ましい。また、残った水相の方も高温高圧水に再利用できるようにするために、抽出か ら分離にいたる作業はなるべく高温で行われることが望ましい。
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I---有用生成物
図1 -1有機廃棄物の水熟反応によって生成する有用物質の抽出プロセスの概念図
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2.起鯨界二敢化炭素向流連続抽出装置
2.1はじめに 抽出とは、液体または固体原料を液体溶剤で処理して、原料中に含まれる、溶剤に可溶性の 成分を,溶剤に不溶または難溶性の成分と分離する操作である。液体原料を処理する場合を液 液抽出、固体原料を処理する場合には固液抽出とよぶが、ここでは液液抽出についてのみ述べ る。原料を抽料、抽料中の可溶成分を抽質、液体抽料中の溶媒(溶剤に不溶または難溶な成分) を原溶媒、抽質の抽出に用いる液体溶媒を抽剤とよぶ。抽出して得られる溶液を抽出液、抽出 残液を抽残液とよぶ。 抽出操作は、 ①抽料と抽剤の混合接触による抽質の抽剤への移動、 ②抽出液と抽残液のこ相 の分離、 ③二相からの抽剤の回収と抽質の分離、の基本操作からなる。また、抽出液と抽残液 の流れの様式によって、回分操作、半回分操作、多回操作、向流多段操作、向流微分操作など に分類される。 液液抽出では②は重力分離による操作が最も簡単で、本研究においては、 ①と同時に②が行 われる縦型の向流微分式の装置を採用した。 ③の操作は超臨界二酸化炭素抽出では省略できる。 2.2 実験装置 図2-1に製作した超臨界二酸化炭素向流連続抽出装置の概略図を、仕様を表2-1に示す。 抽料と液化炭酸ガスはともに高圧定量ポンプで配管中に送液され、恒温槽内に垂直に立てら れた抽出塔の上部から抽料が、下部から超臨界状態となった二酸化炭素が送り込まれるように なっている。抽出塔手前では十分に恒温槽内に予熱ラインを設けており、抽出塔に達するまで には各流体は所定温度になっている。抽出塔の内部では、抽料は重力にしたがって下降し、超 臨界二酸化炭素は抽料よりも軽いため上昇し、抽料中の抽質が超臨界二酸化炭素側に移動する。 抽出塔の塔頂部から抽出液を含む超臨界二酸化炭素相が、底部から抽残液が出てくるようにな っている。背圧弁の保護を目的としたウオーターバスを経由して、背圧弁1及び2にて圧力を 開放され、採集口に到る。抽料と超臨界二酸化炭素との接触面積を増やす目的で、抽出塔内に は粒径が約6m皿のガラス球が充填されている。詳細を図2-2に示す。抽出塔はガラス球を充填 した状態で空隙率が約45%であり、その空隙体積は約28.5mlとなっている。後にガラス球の 粒径を約2mmに変えた実験を行っているが、そのときの空隙率は約40%であり、その空隙体積 は約25.3mlである。′
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表2-1突放装置の仕様の概要
図中番号 丼Iwb ① ゥ{ ② H峪%伜 7ク987 ③ ネ987c ・4 Dヤ 瀦・Tト2ヨト Izノ│ゥ ル.鵜リ胡 モR モ ヨ夜 C ユ ㊨ 鎚7ネ987c#ゥ?ゥgケZィマU44bヤtUIzノ│ゥ ル.鵜リ胡 モR モ ヨ夜 3 ユ ⑤ x6(7h6 8ク7R网藏 $ イ ⑥ 俔 孳 R 88ク6 5s・7D・33 I ク5 84鶇5h8ィ5(984 88イ リ葎嶌ァxヤ鮎i エエbモ田R咤 断熱材、ヒーター、温度コントp-ラー -.@ ィ 83ィ、 ニ 2 F匁6蟹?xマ」 リ,ナ5U33 I ク6 8X ク7Y> , ク8 虻X/ ケ5X+R たもの.詳細は図2-2参照 ⑧ X4 ク5 ク6 5Κ7h8 X4(6(4 ケvXョレI Y; R ⑨ 僭x ] ゥ?ゥgケZィマU44bヤ' r リ゙ノ:鞋Y X │モS ユ ⑩ 僭x ] ・DU44 bモ s 6W&妨2 ⑪ ィ 幽ワネ xマイ ⑳ ィ レリワネ xマイ その他、配管はすべて外径1/16imch、内径0.5mmのSUS316製チューブ(ジーエルサイエンス 株式会社製)を用いたr+抽出液+超臨界C鎚
)鞄, 呈臨界 02.ラ [コ ■■■■■■■■■- 300mm○ \巾 /エ 残液 」与 SUS304製チューブ 外径3/4inch、 肉厚1.1 mm sus31 6製チューブ 外径1 /1 6inGh 内径o_5mm ガラス球 (粒径約6mm) 陰体積:約28.5mI 図2-2 抽出塔の詳細ノ` 2.3 実験手順 2.3.1流量の設定 実験開始の前に流量の設定を行う。超臨界二酸化炭素は温度・圧力条件によって密度が大き く変動するので、流量設定には注意が必要である。抽出塔の空隙体積と滞留時間、両相の流 量比から抽出塔内での流量を決め、それにポンプ送液時の密度と抽出塔内での密度の比をか けることによってポンプの送液流量を決める。例えば、 320K、 10MPaの条件では、抽出塔内 での超臨界二酸化炭素はポンプ送液時の液化炭酸ガスの2. 17倍に熱膨張するので、抽出塔内 での超臨界二酸化炭素流量が1.0m1/minであったとするとポンプ2の設定流量は0.461ml/ minにする、という具合である。 2.3.2 実験手順 実験は以下に示す手順で行った。 ① ストップバルブを閉めた状態でポンプ1を作動させ、配管中を抽料で満たす。 ② 背圧弁1及び2で系全体に圧力をかける。 ③ 液化炭酸ボンベを開き,ポンプ2を作動させるとほぼ同時にストップバルブを開き、 超臨界二酸化炭素を抽出塔に送り込む。 ④ 抽出液採集口から二酸化炭素が出てきたら、安定するのを待ってサンプリングを開 始する。 2.4 分析方法 サンプルをメタノールで希釈した後、ガスクロマトグラフ(GC、 Heylett Packard社製、 5890seriesⅡ)を用いて定量分析を行った。検出器には水素炎イオン化検出器(FID)を用いた。 カラムはHP-INNOYAX(全長30m、内径0.25mm、膜厚0.50JLm)、カラム流量は1.Oml/min、注 入口温度230℃、検出器温度230℃、オーブンの昇温パターンは、 50℃(1分)-10℃/min-230℃ (2分)で、一回の分析にかかる時間は21分である。 2.5 評価パラメータ 抽出液濃度(二酸化炭素を除去した後の抽出液に含まれる抽質の濃度) 、次式で定義する抽出 率の2つのパラメータによって実験結果を評価した。
抽出液流量×抽出液濃度
抽出率 -試料流量×試料濃度
7 ×100 (%)2.6 1-ブタノールの抽出実験 制作した実験装置に抽出基本性能があるか確認するために、比較的抽出のしやすい水溶性有 機物としてトブタノールを抽質として用いた抽出実験を行った。実験条件を表2-2に示す。 流量比は抽出塔内における抽剤の流量/抽料の流量である。 表2-2 実験条件 抽料濃度 唯Rr 温度 # イ 圧力 ユ 滞留時間 Z「 -流量比 実験は数回行ったが再現性は比較的認められた。その結果は、抽出液濃度が90-100%、抽 出率が平均で25%であり・抽出基本性能があると言える。抽出液濃度は十分高い値が得られた ものの、抽出率はまだ十分とは言えず・次章で抽出率の向上を目指し、工学的パラメータを変 えての抽出実験を行い、その影響を調べる。
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3.抽出率に与える工学的パラメータの影響
3.1ガラス球粒径の影響 ガラス球の粒径を約6mmのものと約2mmのものに変えて実験を行った。両相の接触面積、 すなわちガラス球の表面積は6mmのものを2mmのものに変えるとおよそ3倍になる。結果を 表3-1に示す。尚、条件の内、抽料濃度、温度、圧力、流量比は表2-2と同様である。 既に述べたように、ガラス球の粒径を2mmにすると空隙率が変わり、抽出塔の内容積が25.3 m lになるので同じ滞留時間でもポンプ流量が変わってくる。滞留時間13.3分と言うのはガラ ス球の粒径が6mmの時の滞留時間15分と同じポンプ流量で行った実験である。 表3-1接触面横の影響 滞留時間(分) ク8 虻Y{ ニ 抽出液濃度(%) ィ zb3 抽残液濃度(%) 10 吐ヨメ 100 "綯 1.5 10 ヨメ 93 B繧 0.9 13.3 ヨメ 99 2綯 0.8 15 吐ヨメ 100 b繧 1.1 15 ヨメ 96 R縒 1.0 抽出液濃度、抽出率にガラス球粒径の違いによる大きな差異はみられなかった。今回の実 験では接触面積の影響は見られなかったといえる。 9′ 3.2 滞留時間の影響 表2-2の実験条件の内、滞留時間を10分と15分に変えての実験を行った。結果を表3-2 に示す。また、ガラス球の粒径を2mmに変えた時の実験結果を表3-3に示す。 表3-2 粁留時間の影曹(ガラス球6mm) 滞留時間(分) ィ 悠Eゥ7bR 抽出率(%) ィ 悠Eゥ7bR 10 22.6 絣 15 26.8 表3-3 滞留時間の影響(ガラス球2mm) 滞留時間(分) ィ 悠Eゥ7bR 抽出率(%) ィ 悠Eゥ7bR 10 涛2 24.8 纈 13.3 涛 23.6 繧 15 涛b 25.7 表3-2及び表3-3より滞留時間の影響も今回の実験では見られなかったといえる。 水相・超臨界二酸化炭素相両相の接触面積および接触時間が、抽出率に影響を及ぼさないとす れば、今回行った実験の条件においては両相が十分に接触しており、十分な抽出が成されてい るものと考えることができる。そこで、抽出率の向上のためには抽料に対する油剤の量を大き くすればよいと考え、抽料と抽剤の流量比を変えての実験を行った。 3.3 流量比の影苧 実験条件を表3-4に示す。結果を図3-1及び3-2に示す。ガラス球粒径は2mmである。 表3-4 実験条件 抽料濃度 wBR 温度 # イ 圧力 ユ 滞留時間 Z「 流量比 モ
ノ` 0 0 0 0 0 0 8 6 4 2 ■l.■■ ヽノ 抽出液濃度% ′ ー ・.◆_.◆. 劔劔 ・◆十 I i l I 抽出液濃度はいずれも十分な値が得られた。抽出率は、抽料に対し4倍の抽剤を流したとき はっきりと増大が見られたが、更に大きく、 8倍にすると抽出率が小さくなってしまった。前 節で述べたように、十分な抽出がなされているとすれば、流量比と共に抽出率は増大し、抽出 率最大となった所で一定になると考えられるので、何か別の要素が働いているのではないかと 考えられる。 水相・超臨界二酸化炭素相両相の接触時間・接触面積による抽出率への影響が見られなかった ことと、実験の再現性が比較的認められらことから、有機物の超臨界二酸化炭素への移動は十 分に行われていると推測した。しかし、超臨界二酸化炭素と抽料の流量比を大きくしていって も、そのことを証明する結果にはならなかった。これは、抽出塔内での両相の流れが均一にな っていないのではないかと考えられる。抽出塔への抽料および超臨界二酸化炭素の注入の仕方 は単純な構造になっており(図2-2参照),そのため、超臨界二酸化炭素相の通り道的なものが 塔内にできてしまい、党全体で両相の接触が行われていないのではないかと考えられるのであ る。本来、それを防ぐ目的でガラス球を充填していたのであるが、十分でなかった可能性があ 11
′ る。防止策としては、抽料および超臨界二酸化炭素の入り口を、もっと均等に広がるような構 造、例えば四方から注入されるようにする、ガラス球の粒系をより小さくする,また、ガラス 球は超二酸化炭素より水によく濡れると思われ、最初水相で満たした後で超臨界二酸化炭素を 流し始めるのでこのような状態になることが考えられるので,超臨界二酸化炭素によく滞れる ものに変える、または両方を混合した状態で用いる、などが考えられる。 製作した超臨界二酸化炭素向流連続抽出装置の抽出性能を知るためには以上の検討が必要で ある。
4.有機廃棄物の水魚反応によって生成する有用物質の抽出の検討
4.1酢散の抽出実験 実験条件を表4-1に示す。 表4-1実験条件 抽料濃度 wBR 温度 c テC テCC イ 圧力 テ#Tユ 滞留時間 YZ「 流量比 ガラス球粒径 吐ヨメ 抽出液濃度の温度依存性を図4-1に、抽出率の温度依存性を図4-2に、抽出液濃度の圧力 依存性を図4-3に、抽出率の圧力依存性を図4-4に示す。 抽出液濃度は最大でも12.8%、抽出率は1.1%であった。良好な結果は得られなかったが、実 験によって見えた温度・圧力依存性について述べる。 温度依存性-・温度を高くすると抽出液濃度が小さくなり、抽出率が大きくなった。温度が高く なると、抽出液流量が大きくなったため、抽出液濃度が小さくなったが、抽出率が大きくなっ たのである。これは、温度が高くなると、水の超臨界二酸化炭素への溶解度が大きくなるので はないかと考えられる。 圧力依存性・-圧力を大きくすると抽出液濃度・抽出率ともに良好な方向に向かった。圧力が大 きいと超臨界二酸化炭素への酢酸の溶解度が大きくなったためと考えられる。H-○ 劔劔劔劔劔劔劔 -I.:A20 劔劔劔劔劔劔劔剩メ ヨ( ■▲_■. 劔劔劔劔 ■? 劔 劔 ≡_-や…... 劔 剪 4 2 0 8 6 rl r.ト ー L 抽出率濃 + +㍗ =* や…
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参考文献
・ 高橋勝六、 "最近の化学工学"、化学工学会編、化学工業社(1995) ・ "化学工学便覧 改訂六版"、化学工学会編、丸善株式会社(1999)
・ …超臨界流体の環境利用技術"、エヌ・ティー・エス(1999)
・ Laitinen、 J.Kaunisto、 "Supereritical fluid extraction of I-butanol from aqueous
solutions… 、 Journal or Supercritical Fluids 15 (1999) 245?252
・ R.M.Dooleyet al.、 "Supercritical fluidextractionofaceticacid,alcoholsandother
amphiphiles from acid-Water mixtures" 、 Journal of Supercritical Fluids ll (1997)
81-89
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超臨界C02を利用したバイオマス廃棄物の水熱プロセスからの有用生成物の抽出
東北大学大学院・環境科学 菊池俊介、木下睦、金放鳴、榎本兵治 1.緒宮 水熱反応によって有機廃棄物を有用な物質に転換する研究において、水を反応媒体として用いるた め、反応後の目的生成物が水溶性でかつその濃度が小さい場合には、その生成物を濃縮分離する必要 がある。 濃縮分離の方法としては一般的には蒸留と溶媒抽 出が用いられる。しかし、蒸留の場合その水溶液濃度が小さいと水を蒸発させるのに大きなエネルギ ーを必要とし、有機溶媒を用いることはその毒性や環境負荷を考えると好ましくない。そこで,有機 溶媒に替わる抽出溶媒として、超臨界C02に注目し、超臨界C02を用いた抽出について検討した。 図1に本研究で提案する超臨界C02を利用したバイオマス廃棄物の水熱反応によって生成した有用 物質の抽出プロセスの概念図を示す。有機廃棄物を、例えば300℃, 12MPa程度の高温高圧水中で水 熱反応させ、水溶性の有機物を含む水溶液を得たとき,得られた水溶液を高温高圧下でCO2相と接触 させ有機物を抽出する。その後、超鯨界CO2相と水相とを分離し、超臨界CO2相を減圧してC02を 気化させると、抽出された目的の生成物が高濃度で得られるというプロセスである。本プロセスでは 残った水相の方も高温高圧水に再利用することを考えており、エネルギーの効率を考えると、抽出か ら分離にいたる過程はなるべく水熱反応の反応条件に近い条件で行われることが望ましい。そこで, 比較的高温の条件下で超臨界C 02を用いて水溶液から連続的に有機物を抽出す 図1超臨界002を利用したバイオマス廃棄物の 水熟反応によって生成した有用物責の抽出プロセス ることのできる装置を開発し、 1・ブタノール及び 酢酸を試料として抽出実験を行った。 2.装置 図2に制作した超騒界C O2対向流連続抽出装置の概略図を示す。この装置の抽出塔及び配管はステ ンレス鋼SUS304およびsUs316製である。試料水溶液と液化C02はともに高圧定量ポンプで配管 中に送液され、恒温槽内に垂直に設置された抽出塔の上部から試料が、下部から超臨界状態となった C02が送り込まれる。抽出塔の内部では、試料水溶液は下降し、超臨界C02は試料水溶液よりも軽ノー いため上昇し、超臨界CO2相と水相とが対向流的に接触し、試料中の目的物質が超臨界CO2側に移 動する。抽出塔の塔頂部から抽出液を含む超臨界CO2相が、底部から抽残液が産出される。抽出液及 び抽算液はウオーターバスを経由して、背庄弁にて圧力が開放され、採集される。試料と超臨界C02 との接触面積を増やす目的で、抽出塔内にはガラスビーズを充填した。今回は2種類の径のビ-ズを それぞれ充填した場合について実験しており、 6mm径のガラスビーズを充填した状態での抽出塔の空 隙容積は約28.5m1、 2mm径のガラスビーズを充填した状態では25.3mlとなっている。また、塔内の ビーズの全表面積すなわち水相とC O2相の接触面積は2mm径の方が6mm径よりおよそ3倍大きい。 ◎ (9 侏韭驅 ⑦ ィ 82 @ H峪%伜 7ク92 7 ⑧ 凭)YY R ③ 倩驅 w 7ネ987b ⑨ ) ゥw Gx ] ㊨ )w 7ネ987b ⑳ Y ゥw Gx ] ⑤ x6(7h6 8イ 7R ⑳ ィ 幽ワネ xマイ ⑥ 俔 孳 R 88イ 6 5r ⑫ ィ 幽ワネ xマイ 図2 実験装置概略図 17
ノー 3.括果 実験結果は抽出液の濃度(%)と次式で示す抽出率(%)の2つのパラメータで評価した。 軸.V.査= 抽出液流量×抽出液濃 F# 3-1水溶性有機物の抽出 まず、水溶性有機物として1・ブタノールの抽出実験を行った。反応条件は、試料が1・ブタノール 2wt%溶液、温度50℃、圧力10MPa、滞留時間10分,試料とC02の抽出塔内での流量比が1:1で行 った。結果は、抽出液濃度が90-100%、抽出率が平均で25%であり、作製した装置に抽出の基本的 な性能があることを確認すると共に、 1・ブタノールの抽出は可能であることが分かった。 次に1・ブタノールに比べて極性が強い酢酸の抽出実験を比較的高温の条件下で行った。結果を表1 に示す。温度圧力以外の実験条件は試料が酢酸2wt%溶液、滞留時間15分、ガラスビーズの粒径2mm、 流量比1:1である。抽出液濃度は最大で12.8%、抽出率は最大で1%程度であった。温度を大きくす ると抽出液濃度が小さくなり、抽出率が大きくなった。これは水の超臨界C02への溶解度が大きくな ったためと考えられる。すなわち、温度が大きくなると抽出液中の水の量が増え、抽出液中の水に酢 酸が溶け込むことで酢酸の抽出率が大きくなったと考えられる。圧力は大きい方が抽出液濃度・抽出率 ともには大きくなる傾向にあった。圧力が大きい方が酢酸のC02への溶解度が大きくなると考えられ る。 表1酢酸実験結果 温度 9│メ 抽出液濃度 ィ zb (℃) 嫡ユ (%) 窒R 90 4.0 B 90 R 12.8 紊 130 10.0 紊" 130 R 8.7 經2 170 3.9 繝2 170 R 4.i b 3・2 工学的パラメータの影響 抽出率の向上を目指し、水相・超臨界CO2相両相の接触面積による影響としてガラス球の粒径を、 両相の接触時間による影響として滞留時間を、試料に対するC 02の量比の影響として試料水溶液とC 02の抽出塔内での流量比をそれぞれパラメータとして実験を行った。試料は1・ブタノール2wt%溶液 を用いた。実験結果をそれぞれ表2-4に示す。 今回の実験ではガラス球粒径の違いによる大きな差異はみられず、滞留時間を10分∼15分で変え た実験でも影響はみられなかったことから抽出塔内での抽出が十分に行われており, C02の流量を大 きくすれば抽出率が改善することが期待された。しかし、試料:CO2=1:4のとき抽出率は増大したが、 1:8では逆に減少した。このことは、 CO2相の比率が卓越したことにより両相の流れが充填層内で均
′ 一になっていなかったためと考えられる。 表2 ガラスビーズ粒径 粒径(m ィ 悠Eゥ7 抽出率 m) 窒R (%) 6 26.8 2 涛b 25.7 ※ガラスビーズ粒径以外の条件:温度50℃、圧力10MPa、滞留時間15分、流量比1:1。 表3 滞留時間 滞留時間 ィ 悠Eゥ7 抽出率 (分) 窒R (%) 10 涛2 24.8 15 涛b 25.7 ※滞留時間以外の条件:温度50℃、圧力10MPa、ガラスビーズ粒径2mm、流量比1:1。 表4 流量比 試料:CO皇 ィ 悠Eゥ7 抽出率 (%) 窒R 1:1 涛 24.8 1:2 塔b 25.9 1:4 涛b 58.0 1:8 涛 35.5 ※試料とC02の流量比以外の実験条件:温度50℃、圧力10MPa,滞留時間15分、ガラスビーズの 粒径2mm。 4.結青 超臨界C02を利用した有機物の抽出を、バイオマスの水熱プロセスによる生成物の濃縮技術へ適用 するプロセスを提案し、低濃度の水溶性有機物水溶液から有機物を抽出する実験を行った。 2wt%溶液 を試料として実験を行い、微極性の1・ブタノールはほぼ100%の抽出液濃度と,最大で60%の抽出率 が得られた。極性の強い酢酸は最大で12%の抽出液濃度と、 1%の抽出率が得られ、それぞれ濃縮効 果が得られることが分かった。これらの実験によって、超臨界C02を用いてバイオマス廃棄物の水熱 プロセスからの有用生成物を抽出するプロセスの可能性が示された。 19
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