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リン脂質-ステロール間相互作用における分子構造の効果

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Academic year: 2021

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リン脂質−ステロール間相互作用における分子構造

の効果

著者

三好 翼

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2009 年度 修士論文要旨

リン脂質-ステロール間相互作用における分子構造の効果

関西学院大学大学院理工学研究科

物理学専攻 加藤研究室 三好 翼

生体膜は脂質,タンパク質などを主成分とする二分子層膜を基本構造とする。これまで,Singer とNicolsonによって提唱された流動モザイクモデル[1]では,脂質分子が均一かつ,流動的に二分子 層膜を形成していると考えられてきたが,近年,様々な研究から脂質分子は均一ではなく,ある特 定の脂質分子がドメインを形成しているということが報告されている。そのドメインは「脂質ラフ ト」と呼ばれ,スフィンゴミエリン(SM)や糖脂質,コレステロールに富むマイクロドメインで ある[2]。このラフトは細胞内での物質輸送や膜を介するシグナル伝達だけでなく,細菌やウイルス の感染にも関与していると考えられているため,注目されているドメインでもある。コレステロー ルは脂質間のすき間に入ることで炭化水素鎖の凝集や結晶化を妨げたりすることで,膜の流動性の 調節に関与していると考えられている。コレステロールと脂質分子の相互作用に関して、わずかに 分子構造の異なるコレステロール類似体(エルゴステロール、スティグマステロールなど)間で, 膜物性に対する効果が大きく異なることが知られており、ステロールの分子構造と膜物性との関係 は明らかになっていない。ラフトドメインの形成機構についても、ドメイン形成過程でSMとコレ ステロールが分子構造レベルでどのように相互作用するのか未解明な部分が多く残されている。 そこで,本研究ではリン脂質-コレステロール間における相互作用の仕組みについて,SM膜と 代表的グリセロリン脂質であるジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)膜に対してコレス テロールおよび5種類のコレステロール類似体を添加して、膜中の分子の充填状態にたいする効果 を調べることにより検討した。 実験では、気水界面に作製した脂質/ステロール二成分系単分子層 膜の表面圧-面積 (

π

A

)等温測定を行い、分子の充填密度や膜弾性率のステロール濃度依存性を 解析した。さらに、生体膜と同じ構造をもつ二分子層膜についても分子の充填状態を評価するため、 二分子層膜ベシクルを用いて浮遊密度測定を行った。軽水と重水の比率を変えて密度を調節した溶 媒中で遠心し、試料の浮沈からリン脂質/ステロール二成分系二分子層膜の密度を見積もった。

A

π

測定では分子占有面積に対する、また浮遊密度測定では分子体積に対するステロールの効果 を評価できる。得られた結果は、ステロールのわずかな分子構造の違いによって分子の充填密度が 大きくことなること、またステロールが与える効果はSM膜とDPPC膜で異なることを示唆した。さ らに、各実験データを総合的に比較検討し、分子構造の異なるステロールが脂質に与える影響の度 合いを評価した。

[1] S. J. Singer and G. L. Nicolson, Science 175, 720-731 (1972). [2] K. Simons and E. Ikonen, Nature 387, 569-572 (1997).

参照

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