東日本大震災 危機発生時の対応について考える:12.東日本大震災時の東北大学工学研究科の対応
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(2) を行った.このページでは,学生・教職員の安否確 認 CGI と,工学研究科災害対策本部および各学科・ 専攻からの連絡事項が掲載された.このとき,緊急. Web ページに対して各学科・専攻から寄せられる掲 載依頼を少ない人数でさばくため,情報を掲載する 係や学科などが自分で情報を掲載できる掲示板のよ うな仕組みを用意する必要があった.そのため,要望 に応じてそのつど CGI を作成するという状況であった.. 学生・教職員の安否確認 被災した研究室の例. 学生・教職員の安否の確認は,災害時に最優先で 行うべき情報収集である.今回のような災害に対処 するため,工学研究科独自の安否確認 CGI が用意 してあったので,Web サーバ復活後に CGI を利用. 今後に向けて. した安否情報収集を行った.東北大学には,工学研. 今回の震災対応で問題だったのは,建物が利用不. 究科のほかに全学の安否確認システムもあり,この. 可能になることが想定されていなかったことである.. 2 つのシステムをどう使い分けるかが問題となった.. そのために,物理的なサーバの移設に膨大な手間が. 最終的に,1・2 年生は全学のシステム,3・4 年生. かかり,それと同時に情報収集・発信も必要なた. および院生・教職員は工学研究科のシステムを使い. め,すべての要求にリアルタイムに応えることがで. 分けることになった.ただ,研究室に所属していな. きなかった.人的資源は限られているので,次に同. い短期留学生などを誰がどう調べるのかについては. じような状況が起きたときには,現状の人員で作業. 結局はっきりせず,課題が残った.. がパンクしないような方法を考えなければならない.. 安否確認は,Web 経由で入力されるものだけで. 1 つの方法は,情報システムのバックアップを地理. なく,電話で連絡されるもの,対策本部で口頭で連. 的に離れた場所に置いておくことであろう.Web. 絡されるものなど,さまざまなルートで寄せられて. サーバやその他の情報システムを厳重にケアされた. いる.また,一口に学生・教職員といっても非正規. サーバに集中し,それを多重化することでダウンを. 生や派遣職員もおり,元々どの組織に誰がいたのか. 防ぐ必要がある.また,情報の流れを学内で一元化. の一覧を作ること自体も手間がかかる作業であった.. しておくことが必要である.. これらを電子的に一括管理する体制を短期間に整え. 今回の震災により,情報システムにおける多くの. ることができず,結局最後の整理は人力で行うこと. 課題が明らかになった.いつ来るか分からない次の. になった.各学科で当番を決め,Web 経由とその. 災害に向けて,次は慌てずに情報サービスが継続で. 他経由の安否情報を統合してスプレッドシートに入. きる体制を作っていきたい.. 力するという作業を行った.これもうまくシステム を作れば自動化することができたであろうが,災害 時の情報の流れを事前に想定できていなかったこと, 災害後にシステムを作るにはマンパワーが足りなか ったことなどが反省点として挙げられる. なお,工学部・工学研究科では 3 月 31 日に学生・ 教職員全員の無事が確認された.死亡者がいなかっ たことは不幸中の幸いであったが,全員の安否確認 に 20 日かかったことになる.. (2011 年 5 月 30 日受付). 伊藤彰則(正会員)■ [email protected] 1986 年東北大学工学部卒業.2010 年より東北大学大学院工学研究 科教授.専門は音声言語・マルチメディア情報処理.工学博士.. 馬場博子 ■ [email protected]. 1992 年青山学院大学理工学部卒業.1997 年より東北大学大学院工 学研究科情報広報室助手.. 安斎浩一 ■ [email protected]. 1978 年東北大学工学部卒業.2003 年より東北大学大学院工学研究 科教授.専門は,金属工学.工学博士.. 情報処理 Vol.52 No.9 Sep. 2011. 1085.
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