花粉の生理形態学的研究(第32報) : 花粉の貯蔵中における発芽力の変化
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(2) . 第23巻 第2号. 8年3月 昭和4. 北海道教育大学紀要 (第2部 B). 花粉の生理・形態学的研究 第32報. 沢. 花粉の貯蔵中に おける発芽力の変化. 田. 康・湊. 義. 知. 興葵. 北海道教育大学旭川分校生物学教室. Yoshiyasu SAWADA and Tomook land N【 I i M・NATO: Phys i i ol og ca orphol ogi ca. Studi l l es on the po en grain i i Part32 f Pol l he variat on ・at on of Ger eo 1ninat en grains , ont. t ed at Di昼erenttemperature, whi ch wasi ncuba. Summary l The present investigation i ththe variation ofthe germination rate ofpol s concerned wi en Th b d d 什 i l l h i t t t i f s〆 〆# gγqc i Z i i e po en g e e a rent empera ures rans o s”” c were ncu at . grains wh Mi ’物‘粥 ブαPの吻 粥7 2 Decne cqγP“sた 貌 伽s Nutt ‐ s ed as materials ,and Eγ“”γo . were u q , ,S8朔ぬγo t ・gat ・ on, thoughout the present inves. Z Z Z z i ined a capabi l l l i 1 s ty to germinate f nt a en grain of sqZ鳶 gγαC yな Mi or g . ma . The po l t ow temperature, the pol 20 days when incuba ed at room temperature, By sto工ing atl en grain ly l i th the control one had a capabi ty to germinate for a long period as compared wi al . Especi 0 l i i d i C h d h t i t 2 0 t b l l l s i i t s e v e me a s o n e rm n a v e t o r e a n a capa ty as e control gg the po en gra n s one , i f sgmか の 解か‘ l i l i t 2 ty to germinate for 40 s たβ#α那 Nut . had acapab . Thepolen gla n o days when i t ed at room temperature. ncuba l l l i ing at -20oC, THE po By s ty to germinate f tor en grain had a capabi or 165 days, in o f E i 鰯 l 庵 m D l i ion cabi l l i t Th t ブ α t 力 o r γ γ o 3 ty wi i “ “粥 α ” ” s e rm a n a e e c n o s th o e n g e g n p , , b ter harves ing at t at room temperature/ However a very short range as lo days af , y incubat o o h d l l l i h b l i C i d o C or -20 , t s po en gra n s owe a c ty to germ nate as ong a perio as in the a ii r Z Z Z d f sq彦匁 gγαc α Mi z s Nutt sかZ z ‘ cases o q .and sの”ゑγααγ斜嬬 ′oB委 . .. 1 .. 言. 緒. 前報において, 植物の花粉は薦糖寒天培地上で発芽容易な種と発芽困難な種に分類されることを 2 ) ’ みた1. そこで本実験においては, 比較的早春に開花する植物で薦糖寒天培地上で花粉発芽の容易なネコ ヤナギ及びカタクリと花粉発芽に長期間を要するザゼソソウの花粉の貯蔵について調べ, ネコヤナ ギ, カ タ ク リ 及 ザ ゼ ソソウ の 花 粉 を 室 温, ooC. 及び -2. 興味ある結果を得たのでここに報告する. 北海道教育大学旭川分校生物学教室研究生 . C で貯蔵 し発芽力の 消長について調べ.
(3) . Ma rch l973. i i ido Uni ion (Sect IB Journalof Hokka t ) rs on l ve y of Educat. I VO .23 ,2 , No. 本研究に際 して ご指導な らびに論文の ご校閲を賜った北海道大学名誉教授田川隆先生に対し深謝 の意を表する, また実験にあたり北海道教育大学旭川分校生物学教室清治けい子氏, 桶爪早苗氏, 長瀬久美子氏より御協力を頂いた, 2 . 実. 験. 方. 法. 1 ) 供試材料 Z Z ’ s (ネ コ ヤ ナ ギ) α Mi Sね 実験材料と しては融雪期か ら早春に開花する S郷潔 gγααZ g . ,Sの”汐γ偏 僻郷‘ t z ‘ ’ ” Decen. (カ タ ク リ) の 荊 裂 開直 後 の f o鑑幻那 Nut . (ザ ゼ ソソ ウ) 及 び β“ 劫 知れ”〃” 魚かの綿c 2 8 4 1 9 7 1 年 月 日旭川市鷹栖町片面山にて切花と して採集 し, 4月 29 日 花粉を用いた. 本実験は,. 北海道教育大学旭川教育大学旭川分校生物学教室にて豹裂した個体について行な った. 2 ) 実験方法 花粉の貯蔵に関しては, ネコヤナギ, ザゼソソウ及びカタクリの菊裂開直後の花粉を北海道教育 o 3 大 学旭川分校低温室内のA室 (ー20oC) , 同 B 室 (o C) 及び対照と して生物学教室 (室温) の 箇所に貯蔵した. 貯蔵期間中における花粉の発芽力の測定にあた っては, 花粉の発芽培地として最 濃度1%, 最適 sucrose 濃 度 ネ コ ヤ ナ ギ 10%, ザ ゼ ソソ ウ 7 % 及 び カ タ ク リ 8 % で あ る 25oC で ネ コ ヤ ナ ギ 1 時 間, ザ ゼ ソソ ことを確め, 本実験を通 じこの培地に花粉を散布播種 した,, 5時間培養後それぞれ花粉 300個体について発芽力を求めた, ウ 4時間及びカタクリ1 .. 適. agar. 3 . 実験結果及び考察 1 ) ネコヤナギの花粉の 貯蔵中における発芽力の変化 ネコヤナギは融雪期の早春の低温期に開花する植物である. 本実験では, ネ ,コヤナギの花粉を- ooC 及び研究室 (室温) の3箇所に貯蔵 し, 貯蔵中の発芽力の消長について調べた (第1. 20oC,. 図, 第 1表参照) , 第1表 花粉の貯蔵中における発芽力の変化. 趨墓ド, そぎ ′ * 。 。 ooC. 年月日. 1971 .4 .28. 63 0% .. ー20oC. ザ. ネ コ ヤ ナ ギ rol Cont. OCo. -20Co. rol Cont. O 58 .. 68 3 ,. 64 6 ,. 73 O .. 6 72 .. 31 3 .. 66 O .. 72 6 .. 59 O .. 3 72 ,. 86 0% ,. 62 7% ,. 72 O ,. 0 73 , O 75 .. 52 O ,. O 69 .. 0 70 .. 49 O .. 55 O ,. 52 O ,. 0 0 .. O 78 ,. 36 7 ,. 29 O .. 42 3 .. -20Co. 42 3 ,. 86 0% .. O 6 ,. OC。. ウ. 40 6 .. 86 0% .. 5 0 .. ソ. 62 7% .. 0% 63 .. 5 ,2 5 ,6. ソ. 62 7% .. 0% 63 .. 4 .30. ゼ. 5 .8 5 .13. 76 O .. 18 3 ,. 26 O .. 54 O .. 30 6 .. 54 O .. 5 O ,. 18 O ,. 50 0 ,. 54 3 .. 43 O ,. 0 0 .. 7 7 ,. 0 42 .. 11 0 , 10 2 .. 53 O ,. 5 .18 5 ,28. 26 O .. 48 O ,. O 3 ,. 10 3 .. 47 3 ,. 0 0 ,. 0 0 ,. 42 0 .. 31 O , 30 O .. 6 .7 6 ,14 7 ,13 7 ,30 9 .20 lo ,11. 35 9 ,. 0 0 ,. 15 0 . 1 4 0 ‐ ,. 0 0 .. 40 0 , 20 O .. 36 7 . 33 O , 11 0 .. 0 0 .. 0 0 , 0 0 ..
(4) . 第23巻 第2号. 昭和48年3月. 北海道教育大学紀要 (第2部 B). まず, ネコヤナ ギの豹裂 開当日の発 芽率は86%であ った, 研 究室内 で貯 9% を示 し 蔵 した場合では4月 30 日6. % O Oカ タ ク リ O--Oネコヤナギ ● ÷÷→ ザゼンソウ. 5月 8 日 に は 発 芽 力 を 失 っ た, こ の こ とか ら, ネコヤナ ギの花粉は豹 裂開当 日では極めて高い発芽力を示 したが,. 貯蔵後短期間内に急激に発芽力が減退 した,. これは貯蔵中に 顕著な物質 代 謝が起 こることによって, 貯蔵物質 が急減し 花粉は極めて短期 間内に発芽力を失う ものと思われる. 次に温度を 低下させ. 第1図. た ooC 貯蔵では, 貯 蔵後発芽力は減 退 したが, 研究室で貯蔵 した場合に比. 室温貯蔵における花粉の発芽力の変化. して発芽力の減退度は僅少であった. 7%の発芽率を示 した. 6月 4 日 すなわち, 研究室で貯蔵した場合発芽力を失っ合5月 18日では7 , 発芽力を失った, ooC・貯蔵では研究室で貯蔵した場合に比 して 約2倍の期間発芽力を保持した. こ の こ と は, ooC では室温に比して物質代謝速度が低下するため, 貯蔵物質の消費が抑制される o o ことによる ものと思われる, さらに温度を低下させた -20 C 貯蔵では, 研究室及び o C で貯蔵 45日間発芽力を保持 した場合に比 して貯蔵日数が 顕著に増加 した, すなわち, 9月 20 日に至る1 o こ れ は -20 C では物質代謝に関与する酵素の作用力の急激な 低下が起こるため, 研究室及 した ,. びooC貯蔵に比 して極めて長期間発芽力を保持した ものと思われる. 2 ) ザゼンソウの花粉の貯蔵中における発芽力の変化 7 % の 発 芽 率 を 示 した 第 2 図, 第 1 表 参 ザ ゼ ソソ ウ の 花粉 に つ い て み る と, 豹 裂 開 当 日 で は, 62 , 照) 研究室内で貯蔵 した場合では 貯蔵後顕著な 発芽力の減退 が起こり6月 7 日には発芽力を失. , . 質代 った, すなわち研究室内で貯蔵した場合40日間発芽力を保持 した. これは室温では顕著な物 謝によって貯蔵物質の急激な消費が起こるため短期間内に 発芽力を失うものと思われる, ま た ネコ ヤ ナ ギで も 室 温 で 貯 蔵 した 場 合 同様 の 傾 向 を み た. しか し, ザ ゼ ソソ. % 9 O Q. ウの貯蔵日数まネコヤナギの約2倍でぁ. 測\. っ た事 か ら, ネ コ ヤ ナ ギ と ザ ゼ ソソ ウ の. 7 0. 花粉では物質代謝の適温に著 しい相違が 発6 0 あるものと思われる. すなわち, 風媒花 芽 5 0 の ネ コ ヤ ナ ギ に 比 して 虫 媒 花 の ザ ゼ ソソ. ウ の 開 花 期 の 気 温 が 著 しく 高 い こ と と 密. 率 4 0. 接 な 関 係 が あ る も の の如 く 思 わ れ る. ま. 0 3. た ネ コ ヤ ナ ギは 薦 糖 寒 天 培 地 で 発 芽 容 易. 0 2. で ある の に 比 して ザ ゼ ソソ ウ で は 発 芽 に. 1 0. 長時 間 を 要 す る 種 類 で あ る こ と か ら, ネ コ・ヤ ナ ギと ザ ゼ ソソ ウ で は 窒 素 化 合 物 の 2 8 ) ’ ’ 含量 に 顕著 な 相 違 が あ る こ と を 報 告1. ぎみ; 。に 瀞 ← 一 ザゼンソゥ. ・ 、 も. \ \ 、 q ・ \ 、 ・ 口 、、 、 。 \ \. o2 8 , 4 5. 5. 第2図 (65). - 0. b一一一h一 一一~--- 0セ 5 5 3 o 2 , 5 2 6 月 日. 0 1. C 貯蔵における花粉の発芽力の変化. 1 5.
(5) . VO1 ,23 .2 , No. ido Un ive i Journalof Hokka i ion l 工 B) t rs t on (Sec y of Educat. March l973. した が, このことか らネコヤナギとザゼソソウ花粉の貯蔵物質の生理的特性による発芽力の消長の 相違も予 想される. つぎに ooC 貯蔵では, 研究室内で貯蔵 した場合と発芽力保持日数は同値であ った. このことか ら, ザゼ ソソウでは比較的温度の高い研究室内と本実験 ooC における貯蔵物質 の消費度には大差ないものの如く思われる さ らに温度を低下させた -20oC 貯蔵では 研究室及 , , び ooC 貯蔵に比 して貯蔵中の発芽力の 減退度は著 しくノ 0月11日に至 低下 した. 花粉は発芽力を1 る 165 日 間 保 持 した す で に ネ コ ヤ ナ ギ で も 同 様 の 傾 向 結 果 を 得 た こ れ らの こ と か ら-200C で . . ,. は酵素作用 の顕著な低下が起こ らないことと密接な 関係があるものの如く思われる , 3 ) カタクリの花粉の貯蔵中における発芽力の変化 , カタクリの花粉についてみると, 豹裂開当日では 6 3 0 %の発芽 率を示 した (第3図, 第 1表参 , 照) , 研究室内で貯蔵した 場 合 では 4 5% を示 し貯 月 30 日 6 %, 5 月 2 日 0 , O Oカタ クリ 〇--o ネコヤナギ 0 0ザゼンソウ. 蔵後極めて短期間内に発芽力 は急減し た. 5月 8 日発芽力を失った. これは. 室温では顕著な物質代謝によって貯 蔵 物質の急減が 起こるために発芽力を 失 うためではないかと思われる. すでに 研究室内で貯蔵 した場合ネコヤナギ で は 20日 間, ザ ゼ ソソ ウ で は 40 日間発 芽力を保持することをみた. 本実 験か らカ タ ク・リ の 発 芽 力 保 持 日 数 は ネ コ ヤ. ナギ及びザゼソソウに比 して極 めて短 月 第 3図. 日. oC 貯蔵における花粉の発芽力の変 -20 にお 化. 期間であった, これは室温 におけるカ タクリの貯蔵物質の消費度がネ コヤナ. ギ及びザゼソソウ に比して極めて大で あることを推察させる. つぎに ooC 貯蔵では発芽力保持日数は 4 7 日 間 で あ っ た. す な わ ち, ooC では室温で貯蔵された場合に比 して貯蔵中の発芽力減退度が著 しく低下 し, 室温貯蔵の約4倍の期. 間発芽力を保持 した, これは ooC では, 物質代謝速度が著 しく低下 したためではないかと 思われ る, またネコヤナギ及びザゼ ソソウの発芽力保持日数は, 室温ではカタクリに比 して著 しく長期間. で あ っ た が, ooC ではカタクリの 発芽力保持日数はネコヤナギ及びザゼソソウと 大差ない値であ っ た, こ の こと か ら, カ タ ク リ の 発 芽 力 は ネ コ ヤ ナ ギ 及 び ザ ゼ ソソ ウ に 比 して 著 しく 温 度 の 影 響 を. 受けるものと思われる. さ らに温度を低下させた -20oC 貯 蔵 で は, 9 月 20 日 に 至 る 145 日間発芽 力 を 保 持 した. す な わ ち, ー20oC. 貯蔵では室温及び ooC 貯蔵に比 して貯蔵中の発芽力減退度が. 顕著に低下 し, 研究室で貯蔵 した場合の約1 4 倍の期間発芽力を保持 した. これは, ー20oC では酵 素作用力の顕著な減退が起こる ことによって貯蔵物質の消費度が抑制されることと密 接な関係があ るものの如く思 われる. 以上の事柄か ら, 早春開花する ネコヤナギ, ザゼ ソソウ及びカタクリでは 貯蔵温度 の低下に伴 , って発芽力は長 期間保持される に至るものであることをみた. これは貯蔵温度 の低下に伴う物質代 謝の不活性化と密接な 関係があるものの如く思われる . 参 考 文 献 1 956 ) 沢田義康 1 , 花粉の生理・形態学的研究 第2報花粉の人工培養基における発芽の可否とその貯蔵物質の (66).
(6) . 第23巻. 第2号. .北海道教育大学紀要 (第2部 B). 昭和48年3月. 1 07-1 1 2 IB, 7( 関係について, 北・学・大・紀要1 ):1 . 957 2 ) 沢田義康 1 . 花粉の生理・形態学的研究 第4報ザゼソソウの花粉の発芽に及ぼすアミノ酸の影響につい 86 2 IB, 8( て, 北・学・大紀要1 ):78‐ , 1 9 8 6 花粉の生理・形態学的研究第8報ネコヤナギの花粉の発芽に及ぼすアミノ酸の影響に 3 ) 沢田義康・塩田惇 , 1 05 1 0 IB, 9( ):1 -1 ついて 北・学・大・紀要1 , 958 4 ) 沢田義康 1 , 花粉の生理・形態学的研究第12報ザゼソソウの花粉発芽にお よ ぼす種ならびに3種複合ア 2 9- 57 ミノ酸の影響について 北・学・大・紀要亘B, 9( ):4 , 1 9 5 9 7報ネコヤナギの開花前後における 花 序内アミノ 花粉の生理・形態学的研究第1 5 ) 沢田義康・長崎悟留 , 1 0( 78 ):70‐ 酸含量について 北・学・大・紀要DB, 1 . 9報カタクリの開花 時 におけ 96 5 花粉の生理・形態学的研究第2 6 ) 沢田義康・綿谷秀男・榊原勝三・南考延 1 , l i 含量の消長について 北・学・大・紀要1 2 26 turalgibberel IB, 15( ):15‐ る na ,.
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