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特別支援学校における知的障害児の自己決定に関する研究

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(1)平成23年度 修士論文. 特別支援学校における知的障害児の 自己決定に関する研究. 兵庫教育大学大学院 特別支援教育学専攻. M10100D. 学校教育研究科 心身障害コース 下地 あかね.

(2) 目次. 第1章 問題の所在と日的 1. 第1節 問題の所在 ・・・・・・・・・…  1.知的障害者の自己決定  2.自己決定の定義.  3.アメリカ合衆国における知的障害児の自己決定  4.日本における知的障害児の自己決定.  第2節 研究の目的 ・・・・・・・・・…. ・ ・ ・ ・ …       16. 第2章 研究方法  第1節 対象. 20.  第2節 調査方法. 21. 第3章 結果  第1節 知的障害児・者の「自己決定」に対するイメージ・・…   23  1.知的障害者の「自己決定」に対するイメージ.  2.知的障害児のr自己決定」に対する教師の考え方・捉え方.  第2節 学校現場における自己決定力に繋がる支援・指導の現状…   28  1.学校現場の現状.  2.自己決定力に繋がる支援・指導の実態.  第3節 自己決定力を育む難しさ ・・・・・・・・・・・・…   39  第4節 自己決定力を育む際に教師に求められること・・・・…   41  第5節 学校現場で自己決定力を育むために求められること・…   46. 第4章 考察  第1節 知的障害児・者の「自己決定」に対するイメージ ・・…  48  1.知的障害者の「自己決定」に対するイメージ.  2.知的障害児の「自己決定」に対する教師の考え方・捉え方.  第2節 学校現場における自己決定力に繋がる支援・指導の現状…   53.

(3) 1.学校現場の現状. 2.自己決定力に繋がる支援・指導の実態. 第3節 自己決定力を育む難しさ ・・・…  .’’・.・…. 59. 第4節 自己決定力を育む際に教師に求められること・・・・…. 63. 第5節 学校現場で自己決定力を育むために求められること・…. 67. 引用・参考文献 ・・・・・…. 謝辞. ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …        70.

(4) 第1章. 問題の所在と目的. 第1節  問題の所在.  1.知的障害者の自己決定の展開.  知的障害者の自己決定は、ノーマライゼーションの原理に 導かれるかたちで主張されてきた。ノーマライゼーションの 原理は、「知的障害者ができる限りノーマルに近い生活を獲得. できるための法則を与えるもの」とし1959年デンマーク「精 神遅滞者ケア法」内閣行政令に規定された。その後、スウェ. ーデンのニリエがアメリカ大統領諮間委員会からアメリカの 障害者施設に対する評価の依頼を受け、1969年に発表した論 文において、ノーマライゼーションの原理が定式化された。. ノーマライゼーションの原理はr社会の主流となっている規 範や形態にできるだけ近い、日常生活の条件を知的障害者が 得られるようにすること」であるとしている(手島,2003)。. また、ニリエ(1972)は、ノーマライゼーションの原理の8つ. の側面を①一目のノーマルなリズム、②ノーマルな一週間の リズム、③一年間のノーマルなリズム、④ライフサイクルを 通してのノーマルな発達経験、⑤知的障害者の選択や願い、. 要望をできる限り考慮すること、⑥男女が共に住む世界での 生活、⑦ノーマルな経済水準、⑧物理的設備基準がノーマル であり、一般市民を対象とする施設と同等なものであるとし ている。その中の⑤において「知的障害者の選択や願い、要 望をできる限り考慮すること」とし知的障害者の意思を尊重 1.

(5) することを指摘している。さらにニリエ(1972)は、rノーマラ. イゼーションの原理の重要なポイントの一つは、障害をもつ 人々が、全ての人間に権利として与えられているあたり前の. 尊厳を受け入れられるような条件を創りだすことである。従 って、彼らに影響を及ぼす活動を行うにあたっては、彼らの 選択、希望、願望、志等に、可能な限り配慮しなければなら ない。」とし、自己決定が障害のある人のあたり前の尊厳であ ると主張している。.  このような自己決定概念の導入の背景には、知的障害者の 本人の発言や活動がある。知的障害者の本人の発言や活動は、. 1968年スウェーデンで開催された知的障害者の親の会のも とで、初めて本人議会が持たれたことを境に、1970年r北欧 知的障害者会議(マルメ)」への本人の参加、1982年の「育成 会世界大会(ナイロビ)」において本人の意見発表を行うなど. が行われてきた。また、FUBの1984年の全国大会では、オ ーケー・ヨハソンが当事者として初めて全国理事となり「本 人活動」のリーダーとして活躍した。1990年には、「国際育 成連盟の世界大会(ILSMH)」がパリで開催され、日本から初. めて5名の当事者が参加している。さらに、1998年「育成会 世界大会(オランダのノルドバイク)」の本人の事前大会には、. 日本から30人の当事者が参加し、2人のメンバーが日本の本 人活動の報告を行った。日本における当事者の主体的活動は、 1980年に神奈川県小日ヨ原市精神薄弱者育成会で、知的障害者. が正会員として初めて受け入れられたという記録が残ってい る(手島,2003)。また、1980年の岡山県精神薄弱育成大会に.

(6) おいてはじめて知的ハンディを持つ本人の声に耳が傾けられ たとしている(保積,2007)。さらに、1994年11月に徳島で 開かれた第43回全日本育成会全国大会では、本部会で話し合 った内容は「本人決議」としてもとまられ、その申に「私た ちに関.することは、私たちを交えてきめていくようにしてく. だい」という言葉が盛り込まれていた。これは、表現は控え めながら、我が国の知的障害のある人たちが公式の場で初め. て自己決定権について自己主張したものであるとしている (平岡,2003)。.  我が国における自己決定は、日本国憲法第13条の規定を根 拠としている。.  日本国憲法第13条「すべての国民は、個人として尊重され る。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、. 公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大 の尊重を必要とする。」.  これは「包括的基本権」と呼ばれる中の「幸福追求権」と いわれるもので、「自己決定棲」はその内容の一つとされてい る(上困,2002)。また、我が国では、1980年代に入り、1960. 年代からアメリカ合衆国で始まった重度障害者が健常者と同. 様の生活保障を求める運動である自立生活運動 (Independent Living Movemen亡)や知的障害者本人の発言や. 活動により自己決定が注目され始めた。自立生活運動の理念 には、どんなに重度の障害を抱えていても自らの主体性を獲. 得するというユンパワメントのプロセスを軸としている特徴 がある(原目ヨ,2000)。このような理念に基づく活動により、 3.

(7) 従来の自立の考え方である経済的自立、身辺自立、精神的自 立を中核とする自立観から、「障害者がたとえ日常生活で介助. 者のケアを必要とするとしても、自らの人生や生活のあり方 を自らの責任において決定し、また自らが望む生活目標や生 活様式を選択して生きる行為を自立とする」自己決定を自立 の中核とする自立観へと変化した。.  さらに、平成5年の障害者基本法の改正をはじめとして、 障害の有無にかかわらず、国民のだれもが相互に人格と個性 を尊重し支えあう共生社会を目指した施策が推進され、平成. 15年度を初年度としたr障害者基本計画」により、障害者本 人の自己選択と自己決定の下に、社会参加を一層促す施策が 積極的に進められてきている。そして現在、福祉や教育にお いて、r自己選択・自己決定」が大きなキーワードとなってき. ている。しかし、知的障害者の「自己決定」は、成人の知的 障害者の本人活動が発端であり、成人の知的障害者を中心に. 福祉の分野において知的障害者の「自己決定」を尊重し支援 を行う動きは強いが、教育の分野において知的障害児の「自. 己決定」を尊重し支援を行うといった動きは弱いのが現状で ある。我が国において、知的障害者の「自己決定」が注目さ. れ始めたここ20年間の、知的障害児・者のr自己決定」をテ ーマとした論文数を見ても、福祉の分野では約70本、教育の 分野では約40本と、福祉の分野で取り上げられることが多い ことが分かる。では、現在、知的障害児の自己決定はどのよ うに定義されているのかについて見ていきたい。. 4.

(8)  2.自己決定の定義.  自己決定はこれまで多くの研究者達が定義付けを行ってお りいくつかの定義がある。その申で、アメリカ合衆国の障害 児教育において自己決定が議論され始めたころの定義として は、Ward(1988)による 「自分自身で目標を設定する態度と、. その目標を達成するためにイニシアチブをとる能力」と、 Wehmeyer(2000)による、自己決定とは、「自分の生活や生き. 方において大切なことを実現できるように、自分が主体とな って行動すること。他からの不当な影響や干渉に縛られるこ. となく、自分のQ0Lに関して自分の意思で選択したり、決定 したりすること」があり、この2つが中心的な定義として受 け入れられている。また、Weh蛆ey帥(1992)は自己決定の本質. 的な特徴として、自律性、自己制御、心理的エンバワメント された状態での行為、自己実現の4つを示している(古屋・三 谷,2004)。.  日本における知的障害教育における自己決定の定義では、 長澤(2001)「自己決定は目標となる行動を自らが決定する行. 動で、自己選択を含む広義の決定行動である」と、小島・石 橋(2008)の、「自己決定とは「自らの意志や判断に基づいて、. 自らの生活や人生を方向づけるべく、選択や決定をすること」. であると考えられます。この定義のポイントは、二つありま. す。一つ目は、QOLの向上、自己実現といった方向性をもつ 選択・決定であることです。二つ目は、他者からの「過干渉」. や「言い含め」の結果としてではなく、r自分の意志や考え」 に基づいた選択・決定であることです」が挙げられる。さら 5.

(9) に、自己決定力の定義として、和日ヨ(2008)の「知的障害教育. における自己決定力とは、主体的に行動する力における、具. 体的な活動を選択・決定したり児童生徒が自分の意思で判断 して行動したりする力である」が挙げられる。.  これまで、アメリカ合衆国や胃本において1980年代から 知的障害児・者の自己決定に関する研究が行われ、様々な研 究者が自己決定の定義付けや支援モデル、カリキュラムの開 発などが行われてきている。次に具体的往内容を見ていく。.  3.アメリカ合衆国における知的障害児の自己決定  自己決定は当初「移行」にともなう課題として認識され、. アメリカ連邦政府の財政的支援の下で1990年代に急速に研 究・実践が発展した(手島,2003)。自己決定が認識されるよ. うになった背景には、①1975年全障害児教育法[現在は障害 のある個人教育法(IDEA)1に削った教育を受けた生徒たちの 追跡調査によって、学校を卒業し社会へと巣立つ頃になって、. 就職や一人暮らしなど大人としての社会生活に必要なスキル、. 特に自分自身の生活における大事なことを決定する力が弱い ということが明らかになったこと、②障害者が人生において 「コントロール」や選択を行うことを求める要求が高まった. こと、⑤障害者がよりよい成果を収めることに、自己決定が. 寄与しているということが証明されてきたこと、④連邦政府 が障害者の自己決定の推進に向けたイニシアチブをとったこ とがある(手島,2003;斉藤,2006)。.  また、IDEAの申にも自己決定の基本方針が盛り込まれ、 6.

(10) 生徒の関心や好みを移行プランに反映させること、生徒本人. がIEPミーティングに参加することが明記されている。さら に、アメリカ合衆国では自己決定を目指す教育実践を進める 手がかりとして自己決定モデルやカリキュラム、指導方法の 開発が行われてきた。自己決定モデルの中心的なモデルとし. て3つが取り上げられるく手島,2003)。その3つを以下に示 す。. 1)FieId.and1ミ【off皿anモデル(1994,Fig.1).  Fie1dandHoffmanモデルでは、自己決定を、①自分自身 を知る、②自分自身を尊重する、③計画する、④行動する、. ⑤成果を経験する・学習する、という一連のプロセスとして 捉えている。①②は、自己決定的な方法で行動するための基 礎となるプロセスであり、③④は①②に基づいて行動するた めに必要なスキルを示している。⑤は、①∼④のプロセスを 経て獲得された成果を実感すること、および一連のプロセス で用いたスキルや知識を再度確認し学習の定着をはかる二と である。. 2)Abe町モデル(1994,Fig.2).   Aberyモデルでは、自己決定を個人と環境との相互作用 の副産物であるととらえている。自己決定の個人的な要因は スキル(例:選択、問題解決)、知識(例:行政支援に関する知 識、自己認識)、モチベーション(例:自己尊重、自己効力感). である。そして、このような自己決定のプロセスを取り巻い ていて、次のような環境が階層的に示されている。それは、 家、学校等のもっとも身近な環境(mi㎝oSyStem)、コミュニテ 7.

(11) イーレベルの環境(eXOSySte㎜)、制度やイデオロギー (maCroSyStem)等である。このモデルは、自己決定が環境に. 大きく作用されることを示しており、自己決定の実現に向け て、それぞれの層の環境を整備することの必要性を強調して いる。. 環境. 自分自身を. 自分自身を 尊重する. 知る. 計画する. 行動する. 成果を経験する.  学習する 環境. Fig.1. Fie1a&亘。ffmanモデル 8.

(12) 晩㎝町晩㎜ (イデオiコギー).     瓦岬晩㎜ (障害者アドボカシーグループ). 自己決定 スキノレベース. ㎜㎜閑y晩m. Mloo準y娩皿. (雇用).  く家族).  自己決定 モチベーション   ベース. MeS0町晩血. 自己決定. (学校一家族)一. プロセス. M1co町晩m  (学校). Mesosysteコ1 (雇用一件闘). M1㎝sys偽㎜ (仲間). 自己決定. 知識べ一ス. 自己決定の環境的要因 Fig.2. Ab帥yモデル.

(13) 3)Wemey師モデル(1999,Fig.3).  Wemeyerモデルでは、自己決定の育成に向けた教師の役割 を明確にするために作成されている。このモデルでは、自主 性、自己制御、心理的エンバワメント、自己理解という自己. 決定を支える4つの行動基盤を獲得させるために、次のよう な取り組みをする必要があるとしている。教師は、①生徒の 能力を高めるような教育の機会を提供すること、②生徒にrコ. ントロール」や選択といった経験を積む機会を提供できるよ うな環境を設定すること、③生徒が障害等に起因するバリア を乗り越えるための支援を計画し、便宜を図ることが求めら. れる。このモデルでは、障害者の自己決定を保障するための 前一提的な取り組みの重要性が示されている。.  アメリカ合衆国での矢口的障害児の自己決定に関する研究の. 初期には、青年期から大人社会や地域への移行に焦点を当て た実践や研究が盛んであったが、近年では、自己決定の力を 発達的に捉える観点から、幼児や児童への取り組みも始まっ ている(斉藤,2006)。このように、アメリカ合衆国では自己 決定を教育の中心的課題と位置づけ支援・指導を行っている。. 10.

(14) 環境. 発達. ↓. 認識  __⇒. 学  能力 ;==. 信念  一. 習. 支援. 自己制御. 自主性. 心望的エンパ. 自己理解. ワーメント. 適切な自己決定. Fig.3  W曲meyerモデル. 11.       経. 機会  験.

(15)  4.日本における知的障害児の自己決定.  わが国の知的障害教育において1990年代以降から自己決 定にかかわる研究が行われるようになってきた。手島(2004). によると、1996年の「21世紀を展望した我が国の教育の在 り方について(中央教育審議会答申)」の中で示された「生き. るカ」における「自分で課題を見つけ、自ら学び自ら考え、 主体的に判断し行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」. が自己決定に通底する力であると指摘し、学校教育において も自己決定を重視する動きがみられる。また、1990年代以降 から実践研究(Tab1e1)が進められ、自己決定支援パッケージ (坂本ら,2003)や自己選択行動ア.セスメントマニュアル(長澤,. 2002,Tab1e2)、自己決定支援パッケージ(小島・石橋, 2008,Tab1e3)などの開発がなされてきた。その代表的な1つ として小島・石橋(2008)が挙げられる。小島・石橋(2008)は、. r自己決定力を育む学校教育のポイントとして、①自己決定 を教育目標として設定する、②多様な自己決定の機会を提供 する、③共同決定という形態において自己決定力を育む、④ 一つひとつの自己決定を丁寧に行う」こととしている。その 申の、③共同決定という形態において自己決定力を育むとい うことにおいては、r子どもが自己決定を行うことを教師が支. 援するという形態や、子どもと教師が決定をともにする共同 決定、あるいは子ども同士が話し合い決定し、それを教師が 支援する共同決定という形態をとりながら、子どもが自己決 定力を獲得することができるよう、教師の指導性が発揮され ることが望まれる」としている。この場合、重度の知的障害 12.

(16) のある子どもの場合でも適応でき、学校教育の中でも取り組 める方法であると考えられる。     TabIe1 知的障害児の自己決定に関する実践研究 実践者(年). ①鯨井 (1994). 対象制度) 高等部 (中軽度). 1繊授業1・授業内容 1作業学習1. 作業班の選択を実施した。1年生の作業学習では、作業班の所属を決めるに あたって、まず2.3年生の作業学習を見学する。見学しながら教師の説明を闘 いたり、先輩に質問したり、…緒に作業に参加しながら自分の所属.したい作業 を考える。. ②志村 (1994). 高等部 (軽度). 【学校祭(年忘れお楽しみ会・お別れ会)】. 年忘れお楽しみ会に行う活動内容を生徒に選択させることを実施した。実行 委員会を中心に話し合いを設定したり、準備を行ったりした。お別れ会も同様 に、実行委員会を中心に活動内容の選択から準備までを生徒に任せた。. ③関(1999). 小学校. 養護学級中 (軽度). 磯会学習1 総合学習「クリスマス会」では、クリスマス会に行う劇の物語や役の選択を 行った。クリスマス会に向けて、様々なおはなしの読み濁かせを行い、その中. から児童が『やってみたいjという声が一番多かった物語について実際に劇遊 びを行い、物語を決定した。配役は、自分自身のやってみたい役をさせること とした。. ④宮地. 高等部. 黒鮒9991. (重中軽度). 性渚実践学習1 生活実践学習において単元「自己決定を促寺学級農園活動」において育てた い野菜を選択する。授業の流れは、①何を育てたいか、考えるくスーパーや農 園のようすを見学する〉、②実際に畑作り、野菜作りを行ってみるく道具の扱い、. 畝作り、手入れ、収穫、販売、貯金、消費>、③失敗や成功について考えてみ る<つまずいた点、問題点、良い点について考える>、④再度活動するく自分の 課題を意識し、直そうとしているか>、⑤振り返るく自己評価、自己反省してみ る>である。. ⑤松田ら (2007). 中学部 (重度). 【総合的な学習の時間、作薬学習】. 複数の選択肢の中から出番欲するものを明確な自己の意思に基づいて選択 できるための選択肢の提示方法、そして、選択・決定後の活動に向けてどのよ. うな支援が生徒の主律性を引き出すことができるのかを考察するために実施 した。①総合的な学習の時間「やってみようjという単元の中で体育グループ・. 料理グループ・ゲームグループの3つの選択肢を提示、②作業学習(農耕勘で 2つの作業内容を提示の2場面を設定した。. 13.

(17) 実践者(年). ①渡辺ら (2006). 対象①皿渡). 高等部 (中軽度). 附象授業】・授業内容. 腱路学習1 生徒が自分の適性を知り、主体的に選択できるカや自己決定できる態度を身 につけられるように、2技の養護学校で計画酌な進路学習を実施した。. A養護学校:高等部1年生を対象とした単元職く人をめざして」では、1学 期の『初めての校内集中作業」の中の小単元「社会の仕事に挑戦しよう」で、 3つの作業工程の中から自分が取り組む工程を自分で選択するようにした。. B養護学校:高等部2年生を対象とした単元「見つけよう自分に合う仕事」を 設定し、現場実習や進路先で取り組む可能性が高いと予想される、物を作る仕 事懐造業)と、きれいにする仕事(サービス業)の2つの職種について、どんな. 仕事なのかを理解すること、やってみたい仕事を自分なりの理由を持って選択 できることをねらいとした。. ②松井 (2010). 高等部 1軽度). 礎路学習1 単元『職場見学jを題材とした授業を実施した(全11回)。自己決定とそのプ ロセスを知るために、『菓子選ぴ」や『職場見学に向けての取材班選び」で白 己決定を体験する授業を行った。菓子選び①では、選択肢が菓子であることの みを情報として伝え、3つの中から選ぶ。菓子選び②では、それぞれの中身に ついての情報を提供し選ばせた。. 職場見学に向けての取材班選びでは、行き先取材班、行き方取材班、服装・ マナー取材班の3つの班から選ぶ学習を行った。. ③早川ら (2010). 中学部 (中軽度). 瞬外学習1 生徒が自分の思いを発し、それを教師が捉えて受け止めることから始める授 業、そして、生徒と教師が共に授業(生活)を楽しむ授業として、生徒の自己選. 択・自己決定を重視し、自分で選んで、決めて、参加する授業「つくろう!あ. そぼう!たべよう1」を設定した。13:30下校の貝に『学校生渚の過ごし方 を生徒自身が選んで、決めて、そこに参加する同」として、指導着が設定した 4つの活動グループ(竹ジャンプ、かまどの屋根、雑木伐採、栗ごはんなど)か ら参加したいグループを選んで、その日一日の学校生活を過ごす。全6回・22 時間を行った。. 14.

(18) Tab1e2. 自己選択行動アセスメントマニュアル. アセスメント項目. 結果の語入. ユ,あなたが抱肖するお子さんは、. ◇いつも選んだり決めたりする場面をアセ. いつもどん雄ときに(どんな場面. スメントの「選択場面jに書いて下さい。. で)自分の好意なものややりたい. 当てはまる場面をすべて書いて下さい。. 活動を選んだり決めたりします. ○陽えられる対応』の①を読みましょう。. か。あるいは、子どもが選んだ濫. ●誰採場面がないと書いた方は、②を読み. ②自分で選んだり決めたりする法がいいと思. うがよいと墨静)示しる甥1流はあり. まし、童う。. われる場繭はありませんか?. 2.あなたが拙当するお子さんは、. ◇1.で答えた蟻繭ごとに予殿を調べて「選. ③その手段で選んだと判断したなら、その後の. 考えられる対応 ⑪舷に考えられる錫面はありませんか?. ますか。健猟場面). どん匁手段で選びますか市1.で答. 択手段」に書いて1ζさい。. 子どもぼ)様子を観察し葉しょう.ヨ選んだものに. えた場面ごとに調べて下さい(蟻. ○蟻沢できる(手段). 溝雄してい藍すカ㌔本部こその手段で選んだと. 被李殴)岨. オことばで訴える. 見なして良いですか。. b)身振りサインや絵吻一ドで離える. c臓器を使って訴える. ④本劉こ自分で選ぶことはできませんか。{jう. 砂微しい物をつかむ. 一一. e}与えると受け入札る. 違う手段では艦ぺませんか。. 舳分から接近していく. x子どもの様子を注意深く観察しましょう。. 手ともの気に入ると思われるものを二つ期. 劫鰯わっている頻度が高い. 煮し、rどもにかかわサやすいように提示して. h)その池(視線、発声). 様子を見て下さい。どうやって選ぶのでしょう. O『考えられる対応」の③を読みましょう。. か。. ●選択することはできないと蕃いた方は、 ④を読みましょう山. 3一向分で選べるために、あ松たは. ◇穣挑できたかでき海かったか、『結梁』の. ⑥向分で選べるための工爽. どんな工夫や支援をしています. 欄に書いて下さい。. ●罷示の仕方の工夫. か。(提示方法・支鐵. ①気に入ると恩矛)れる選択肢をいくつか剛意 ◎譲択できるよう支援したと勘’た方は、. します. 文援σ)内容を「工夫』の欄に欝いてドさい。. ②順番に与えられたり体験させたりします ③その中の2つを提示し、選択させたりします. ●一人で選択できないと蕃いた方は、「考え. ⑳どちらも穣換し猿がったペアは片方を変え. られる対応」の⑤を読みましょう。. て罎示します。あるいは別の機会にもう一座試 しましょう。「どちらも局じぐらい好きえ「どち らも嫌い一の場合が考えられます。 ●支援の二1二夫. ①指さして教える ②選択肢を見やすくする ③自分で選ぶまで数秒持っ 4.自分で遺んだときは、選択した. ◇選んだときの自分の対応を見て下さい。. ⑥選択できたときはすぐに要求に応じてあげ. ときに選択したものを与えてい. ●確認の意味でもう ’度選択するように提. ましょう。. ますか。(対応). 示している方は、「考えら机る対応」の⑥を 読みましょう。. ◇錐示してみたがどちらも選択しなかったと. ○醐塵にせんたくしたものを与えたり、蟹. きは、曜示の仕方の工剣の④を試してみま. 求をかなえている。. し生う皿. 15.

(19) Tab1e3自己決定支援ガイドモデル 項目. 自己決定プ1コセス. 煎提:本人主体. (1)議論への参カ皿. 1. 何を決定するのかを難解しているか. 2. 決定する事柄に関心があるか. 3. 自分の決定を反映させたい対象を決定しているか. 4. 自分について肯定酌に諾識しているか. 5. 自己管理があるか. 6. 決定する事柄についての百分の考えを勉者に話しているか. 7. 決定する事師についての他者の考えを聞いているか. 8. 議論に基づいて決定する事柄についての自分なりの考えをもってい るか. (2)情報とその吟味. (3)選択権の行使. 9. 複数の選択肢をあげているか. 10. 選択を実行した場合の結果を予想しているか. 11. 選択肢の長所および短所を理解しているか. 12. 何を選択するかを決定しているか. 13. 各々の趨択肢を自分の価値判断に基づいて重み付けしているか. 14. 自己理解を選択に反映させているか. 15. 自分が向上したいと願う方向性が反映されているか. 16. これまでの鋤識や経験を反映させているか. 17. 選択した事柄を成功裡に爽行することができると信じているか. 日本における知的障害児の自己決定は、アメリカ合衆国に比 べ学校現場に浸透していなのが現状である。小島・・石橋(2008). は、大人は子どもの意志を尊重せず、どんどん決めているこ とが多いことを指摘している。特に、知的障害のある子ども に対しては、「自己決定することができないだろう」という誤. った思いこみから本人の意思を無視した支援に陥っているこ とがあるとしている。自己決定は、本人の能力だけでなく、. 周りの人のかかわり方や物理的環境によっても多大な影響を 及ぼすとし、周りの大人は子どもの自己決定の機会を奪って いないか見つめ直すことが大切と言えるとしている。また、 これまでの知的障害教育における児童・生徒の自己決定は、 16.

(20) 教師側に「生徒の自己決定は重要である」という認識があり. ながらその機会がほとんど設定されてこなかったことが指摘 されている。その理由のひとつとして坂本ら(2003)は、生徒. が自己決定したとしてもその責任まで負うことができないと. いうような先入観から、教師が本人に関することを決定して しまうという状況があることを挙げることができるとしてい る。さらに、斐・渡部(2011)は、これまで知的障害のある生. 徒に対して教師の指示により活動に参加させることが多かっ たこともあり、知的障害のある生徒に対する選択決定のため. の指導は系統的に行われてこなかったと指摘している。この ように、日本における知的障害児の自己決定場面が学校現場 において設定されてこなかった背景や自己決定場面を取り入 れる難しさが指摘されている。. 17.

(21) 第2節 研究の目的  アメリカでは、個別の指導計画に生徒が自己決定の力を獲 得するための教育的手立てを組み込むなど、自己決定は基本 的な権利のひとつとして認識されている。そして、多くの研 究者が障害のある子どもの自己決定を促進させることは、教 育や移行計画などにおいて重要な要素であると主張している (田崎・小島,2008)。また、自己選択や自己決定を行うこと. の重要性としてBambaraandKoger(2005)は、選択するとい うことは、個人の満足や生活の質(QOL)を高めること、学習. 者が「自立すること」に向けての準備となること、学習への 動機付けを高めることができること、問題行動の予防になる 場合があるとしている。日本においても小島(2010)が、r指導. 者は、意欲が低下している、あるいは自信を失っていると感. じる子どもたちには、その子どもにとってrできる」課題を 設定し、本人の意思とは関係なく「させる」取り組みをしが. ちである。こうしたr他者主導型」の指導だけでなく、子ど も本人から課題を選択し、自らの責任でおこなってみる自己. 決定機会の保障こそ、子どもの学習意欲とも直結する取り組 みであることを忘れてはな’ 轤ネい。」とするなど、子どもの自. 己決定機会の保障の必要性を述べている。また、アメリカ合 衆国のみならず、日本においても自己決定の支援パッケージ. や支援ガイドモデル、自己選択行動アセスメントマニュアル が開発が行われている。.  知的障害教育における知的障害児の自己決定への支援・指 導方法についての研究が始められて約20年近くになる。しか 18.

(22) し、現在でも知的障害児の自己決定への理解は不十分であり、. 自己決定に繋がる支援・指導を行っている特別支援学校は少 ないと考えられるが、その実態は明らかになっていない。ま. た、実際の学校現場で知的障害児の自己決定がどのように意 識されているのかにっいての研究は見られない。.  そこで本研究では、知的障害児の自己決定を特別支援学校 ではどのように捉えられどのような支援・指導を取り入れて いるのか学校現場の現状を明らかにし、今後どのような取り 組みが求められるのか考察することを目的とする。なお研究 は、以下の5点に焦点を当て進めていく。.  ①特別支援学校に勤務する教師は知的障害児の自己決定を どのように意識しているのか.  ②自己決定は学校現場で知的障害児のどのような力と関連 して扱われているのか.  ③これまでの学校現場で自己決定に繋がる支援・指導がな ぜ困難であったのか.  ④現在学校現場で自己決定に繋がる支援・指導方法どのよ うに行っているのか.  ⑤今後学校現場においてどのような取り組みが求められる のか. 19.

(23) 第2章 研究方法 第1節対象  対象は、P県内の特別支援学校5校に勤務する教師8名(教 師A∼H,Tab1e4参照)である。これまでの実践研究では、中 学部と高等部を対象とした研究が多いため、知的障害児の自 己決定を比較的意識しやすいと考えられる中学部と高等部の 教師を対象とした。. Tab1e4 対象者 勤務校. 教師名. 所属校種. 担当. 教師A. 中学部. 自立活動. 教師B. 中学部. 教師C. 高等部. 教師D. 高等部. 教師E. 高等部. 支援部長. 教師F. 中学部. 支援部長. X特別支援学校. 教師G. 高等部. コーディネーター. Y特別支援学校. 教師H. 中学部. U特別支援学校 寸特別支援学校. W特別支援学校. 20.

(24) 第2節調査方法  2011年7月∼8月の期間に、30分∼40分程度の半構造化 面接を実施した。研究の主旨と調査の内容の説明を行い、自 己決定に関する考えや用意した質問碩目に」関連したエピソー. ドについて語ってもらった。なお質問項目は、特別支援学校 の教員の助言を得て作成した。質問項目を以下に示す。.  ①知的障害児・者の自己決定について  ②実際に行っている自己決定の支援・指導場面について.  ③現在学校現場で使用されている用語の中で自己決定と関 連する用語について.  ⑤校教育の中で自己決定力を育む難しさについて  ⑥自己決定力を育むために学校や教師に必要なことについ て.  また、今回のインタビュー調査では、自己決定の定義とし て、小島・石橋(2008)の「自己決定とは、自らの意志や判断. に基づいて、自らの生活や人生を方向づけるべく、選択や決 定をすること」を使用した。.  さらに、自己決定カの定義として、和田(2008)の「知的障. 害教育における自己決定力とは、主体的に行動する力におけ る、具体的な活動を選択・決定したり児童生徒が自分の意思 で判断して行動したりする力である」の二つの定義をインタ ビュー時に提示し、筆者の考えを伝えインタビュー調査を打 つだ。.  分析は、まず得られたデータにラベル付(く >で表示)を行 21.

(25) い、それらを類似あるは関連したもの同士に分類し、それぞ れのまとまりごとに名称をつけた(1∼5)。また、ラベル村を. 行う際には、筆者と大学院生1名で行った。.  結果については、各教師の発言を例えば教師Aの場合、 【A101】というように表示する。. 22.

(26) 第3章 結果 第1節. 自己決定に対するイメージ.  1、知的障害者のr自己決定」に対するイメージ.  現在特別支援学校で勤務する教師の知的障害者の自己決定 に対するイメージとして、「自己決定という言葉は硬くて難し. く、また強いイメージを受ける」や、r知的障害児の意思や意 図を引き出す難しさ」、「知的障害児の自己決定に対する理解 の不十分さ」などの意見が挙がった。 〈自己決定という言葉から取られるイメージ>. 【C101】ことばから取られるイメージは硬くて難しいと思う。. 【G1O1】ことばから受けるイメージはr決定」ということぱ がついているので強いイメージを受けるし、障害のある子に 決定させていいのかという考えがある。 く意思や意図を引き出す難しさ>. 【G102】うちの学校は、軽度の子が多いのでもっともっとで. きるはずなんですけど、じゃあ障害が重い子の多い特別支援 学校ではなかなか意思を引き出すのは困難なこともあったり して賛成というか良いと思っている人は少な=いと思う。. 【E101】知的障害のある生徒の自己決定は、生徒の意図を引 き出したりくみ取ることが難しいと思う。. <知的障害者の自己決定に対する理解の不十分さ>. 【C102】知的障害が軽度だろうが重度だろうが、選択肢の幅. が二者択一かもしれないし、もっと広いかもしれない、それ 23.

(27) はいつも頭の中に置いて生徒と接している。しかし、このよ うに考えている人は少ないかもしれ一ない。. 【B101】なかなか教師の中でも、この子は選べないからと固 定観念で入っていかれる方が多いです。. 【G103】知的障害者の自己決定については理解も不十分だと. 思うし、意識も低いと思う。判断能力が弱いということで教 師が青写真を描いていたり、レールを敷いていてそこへの促 し・誘導がある。また、その促し・誘導に対して素直と言う か、そういうところがあるので、そこに上手く乗っかってい っているところがある。. 【G104】自己決定は良いことだと捉える教員は少ないと思う。. それより「その後のフォローが大変だよ!」とか「誰が間違 うと分かっているのに選ばせるのか」と、デメリットがいっ ぱいある申で、後の処理を誰がするのだというところはある と思う。. 【亘101】「自己決定」の定義が抽象的で、私たち実際に現場. で子どもたちと常に一緒にいる者には理解しにくい用語です。. 2.知的障害児のr自己決定」に対する教師の考え方・捉え方.  現在学校現場で知的障害児と接する教師が自己決定r自ら の意志や判断に基づいて、自らの生活や人生を方向づけるべ く、選択や決定をすること(小島・石橋,2008)」についてど. のように考えどのように捉えているのかについてでは、r自己 選択・自己決定の必要性」や、「子どもたちの意思の尊重」、. r選択・決定場面の保障について」意見が挙がった。 24.

(28) 〈自分で選択・決定することの必要性>. 【C201】自己決定ということばに当てはまらないかもしれな いが、したいこととか選択肢がある中から自分で決めること は絶対に必要だと思う。. 【F201】大体の人がある程度制限はあるものの自己決定を行 っていると思う。ということを考えると、知的障害があるな しに関係なくしてくべきだと思う。ただ、知的障害があるた めに自己決定がしにくいということがあったらそれがしやす いように条件や環境を整えていって、決定する経験を積ませ ていってあげることを学校でしていくのも必要だと思う。. 【G201】個人的な意見として、白已決定を支えていくように. なってこそ、彼らの自尊感情も高くなるし、自信や失敗も含 めて生きている実感とか、いろんな意味での責任感や創造性、 対人関係能力にしても伸びていくと思う。. 【G202】選ぶことが生きていることだと思う。選ぶというこ. とは、何かを自己責任においてやめるというか、何かを捨て るということでもあるので辛いことでもある。現実に触れて. いくことが必要だし、選んだからこそ責任を持ってやってい けるし、何を間違ったかも分かる、また次に何を選ぶかの土 台にもなるし、生きている実感に繋がると思う。. 【A201】選択することによって、自分の選択の幅を持たせて あげると、自分の頭の中で選択をして自分の思いを表現でき るようになってくる(自己表現力が広がる)。それで一歩、一. 段階成長していることになる。そうなると、自己決定カは自. 己表現力に繋がるという風になってくると思う。自分で選ば 25.

(29) すということは全ての教育の根本だと、特に特別支援教育で はね。. く意思の尊重>. 【A202】障害の程度はいろいろあるが、たとえ重度の子であ っても、自分でこうしたい、ああしたいというのは必ず持っ. ていると思う。そういうところを吸い上げるようなアンテナ を持っておくことが大事だと思う。知的障害のある子が何か 行う時に「嫌」と意思表示をしても、わがままとかそういう. 風に捉えている場合があるが、わがままも一つの自分の意思 の表出だと思う。. 【lB201】ついダメダメと言ってしまうが、障害があるなしに. 関わらずダメダメと言われると誰でも嫌である。周りが決め てしまうのではなく、本人が決めたことを大切にすることが 重要である。. 【G203】いつも思うのが、バザーの売上金をどう使うかを職 員会議で決めることが腋に落ちないのだけれども、r寄付した い」という子もいるだろうし、「せっかく働いたのだから少し でも自分たちに報酬を欲しい(一人にクッキー一枚とか)」と 思う子もおれば、「何か違うものを買いたい」という子もいる と思うので、生徒の意見を聞いてみたいと思う。 く精神的安定>. 【B202】自己選択することで、(特に自閉症の子には)一つ の安定に繋がる。. く選択・決定場面の保障>. 【D201】ある一場面を取り上げるのではなくて、日常生活の 26.

(30) 中で意図的に選択・決定する場面を多く作っていくことが大 事だと思う。. 27.

(31) 第2節 学校現場における自己決定力に繋がる支援・指導の 現状.  1.学校現場の現状.  現在の学校現場での自己決定力に繋がる支援・指導の現状 としては、「自己決定場面の少なさ」や「自己決定の概念が受. け入れられていないことや自己決定という言葉を教師間で使 用することがないことから意識されにくい」という学校の現 状とr学校の変化」などの意見が挙げられた。 〈自己決定場面の少なさ>. 【G301】生徒外活動にしても、彼らが意見を出し合ってどん. な文化祭を行いたい、どういったバザーをやりたいとかバザ ー収益金を何に使いたいとかそういうことは、生徒会担当の 教師の促しや考えが大きく関係している。その生徒会担当の 教師は、会議で出た意見や学校としてのいろんなことを考え た上でこうした方が良いのではないかという考え方を反映し ていると思うので、生徒の主体的な活動や取り組みをできる だけ尊重しようとしているけど、彼らの自己決定というとこ ろは弱いと思います。. くアメリカの考え方をそのまま日本に取り入れることへの反 発〉. 【H301】アメリカの特別支援教育(障害児教育)に触れたこ とがなく、またアメリカの文化的背景も知らないのですが、. アメリカでの考え方が日本の実情に合っているのか、あるい はその考え方をそのまま日本の特別支援教育にも取り入れな 28.

(32) ければならないのか、という部分ではある種の反抗心さえ覚 えます。. く自己決定と関連付けられる用語>. 【D301】主体性、自主性と関連付けられると思う。 【H301】自己選択、意思表示(言語・非言語)だと思う。. 【A301】選択することによって、自分の選択の幅を持たせて あげると、自分の頭の中で選択をして自分の思いを表現でき るようになってくる(自己表現力が広がる)。それで一歩、一. 段階成長していることになる。そうなると、自己決定力は自 己表現力に繋がるという風になってくると思う。. 【C301】教師聞で話している中では、自分で決める力、自分 で選択する力という言葉はよく使っている。 〈主体的に行動する=自己決定?>. 【C3021主体的に行動するというのと自己決定は改めて考え ると一緒なのかと思う。しかし、主体的に行動するという言 葉を聞いて、「何で主体的に行動しないといけないの?」と思. ってしまう。ことばが先行してしまっている。現場の先生は 言葉が先行するのではなくて、生徒自身がどこに目標を置い て学校生活を送るべきかというよりも、どう送る方がより良 いのかを常に考えているから、自己決定とか主体的に行動す るどい言葉は立ち位置が違うと思います。現場の先生は、生. 徒の目線に立って言葉を発しているので、生徒の立場に立っ たら主体性とか自主性という言葉は出てこない。それはあく までも教師が生徒を見た時に出てくる言葉だと思うんですね。. だから、日常的な会話の中では出てこない。むしろ生徒の立 29.

(33) 場に立って言葉を発しているから、自分で決める、自分とい うは生徒のことですよね、自分で決める、自分で好きなこと. を好きだと言えるようになるとか自分でこれが好きだ、これ をしたいという気持ちになるとか。今質問されて改めて思う. のが、私は、生徒の目線で物事を考えようとしている、また それをことばに置き換えようとしているから日常生活の中で r自主性や主体性」ということばが出てこないのではないか と思う。でも、確かに生徒が帰った後、すごく多くの資料を 書いたりまとめたりしている中ではよく使うことばです。 く自主性・主体性≠自己決定>. 【G302】自己決定と言葉は似ているが、自主性は積極性と混 同される部分がある。先生が促したことにすぐに行動できる というニュアンスが含まれていると思う。r掃除をします」と. 言った時に今何が必要がな、ここに雑巾ないな雑巾持って来 よう、バケツが無いなというように自分で気づいて持って来 ることができる、そういうのが自主性や主体性。でも、掃除 をすることは決まっているので、決まっていることの中で状 況を判断して自ら動く力のような使い方なので、学校の中で 自己決定する場面が無くても自主性や主体性という言葉は使 えると思う。自主性や主体性というのは、障害がある人たち に否定的に思う人は居ないと思うね。そういった点で、自己 決定とはニュアンス的にだいぶ違うと思う。 〈学校の変化>. 【D302】学校自体も昔と比べると、選択・決定の場面を多く. 作っていこうというように変わってきているように感じる。 30.

(34) 難しいところはある。. 【F301】音一は社会見学など学外で食事をする時みんな同じ物. を食べていたが、現在は好きなものを選んで食べたりするこ とがあるので変わってきていると思う. 2.自己決定力に繋がる支援・指導の実態.  インタビュー調査を行っていく申で、いくつかの個別、集 団支援・指導における具体例を聞き取ることができた。そこ では、「判断力の育成」や「自分自身で意思表示ができるよう になってほしい」、r他者と関わろうとする思いを育てたい(コ ミュニケーションカの育成)」、「教師の想い」、「好きなこと(趣. 味)を持つことの必要性」など、教師が担当の生徒に対してど. のような想いを持って接しているのかを読み取ることができ た。また、具体例では、【B401】の失敗体験を減少させるこ とで、自信を付けていくという自己信頼感の向上に向けての 支援、【G401】【D401】の生徒の意思をできるだけ尊重する ことと、生徒が自分のできること、できないことを理解でき るようするなどの自己理解に繋がる支援、【F401】の進路選. 択における自立に向けての支援、【G401】の自己肯定感を高. めるための支援、【C401】の余暇活動選択の支援の5つの支 援に分類された。 〈判断力の育成>. 縦401】自己決定というか本人の判断力をつける場合に、本 人にして良いことか悪いことかの判断を任せる場合がある。. 最初、自分で判断することが難しい生徒や重度の生徒の場合 31.

(35) は、こっちが(先生)してはいけないと決まり的に枠組みを. することはある。そういうところから、容易に本当に自分が それをして良いのかを振り返らせるというところの判断力は 育てていかないといけないと思う。それが社会に出ても自分 が振る舞う上で他の人に迷惑をかけないであるとか、これが 集団生活で守らないといけないことなのだということは意識 できるように、本人に時間をかけて、こちらがこうだ!と言 ってしまうばかりではなくて、本人が意識できるようにする ことは心掛けている。. 〈自分自身で意思表示ができるようになってほしい〉 【A401】私たちは、生徒の細かい二一ズにまでは答えること. ができないので、それを相手に伝えるためには本人からこう して欲しい、ああして欲しいというのを言っていかないとい けないので、どうしても言葉は増えるよね。「公園行きたい」 とかね。. 〈コミュニケーションカの育成>. 【A402】いろんな人にいろんな自分のこの部分の関わりを求 めたいと思うことを育てていくことは大事だと思う。 〈教師の想い>. 【皿401】失敗体験を多く経験しているため、失敗体験をでき. るだけ減らしてあげたいという思いから個別支援を行った (そのエピソードをTab1e5に示す)。. 【G401】できるだけ本人(生徒)の意見を尊重してあげたいと. いう思いから集団支援を行った(そのエピソードをTab1e6に 示す)。. 32.

(36) Ta阯e5教師Bのエピソード 対象児(A君). ダウン症・輕度知的障害(中学部).  普段会頭は結構できる子だが、身の回りの管理を自分で行 うことが苦手な予. 選択場面・内容. 給食の配膳の時に使うマスクの管理についての選択  給食の配膳の時に使用するマスクを毎日忘れてくるので、 保護者と協力して持たせてもらうが忘れてくることが多い。 教師:「持ってきたマスクを先生が預かりますか?それとも学 校で自分で保管しますか?」と選ばせた。 A君:「先生が預かってほしい。」と答えたため、. 教師:rA君専用のかご(普段連絡帳などを入れるのに使ってい る)の中に入れておくので、ここから取って行って、終わった らここに戻します。」というようにした。. そうすることで、忘れ物もなくなるし周りから叱られること もなくなり、逆に持ってきていることに対して褒められるこ とが増えた。. Tab1e6教師Gのエピソード 対象児. 高等部2年生(クラス全員). 選択場面・内容. 文化察での劇の役決め  生徒のやりたいという思いを尊重してやった。主役が多か ったため衣装は一緒だけど途中から主役が代わる。上手な子 も屠ればそうでない子も居る。. 先生が演技指導を担当して劇をやったのは6年前のこと。. 第1場面から第4場面まで役者が代わる。裏方は居なくて、 劇に参加することに意味があるという考えから。どんなに重 度の子でも演技者になるから、全員舞台に上がる。その時の 生徒は、劇の練習をとっても楽しんでいた。発表会当日に、 rもう今日で終わりなの?」と言うほどだった。. 33.

(37) 旧402】集団生活の中の輪を乱さずに支援していきたいとい う思いから個別支援を行った(そのエピソードをTab1e7に示 す)。.          Tab1e7教師Bのエピソード 児(Bさん). 自閉症児・中等度畑的障害(中学部). 場面・内容. 余暇活動の選択(休み時間の過ごし方の選択).  日々選択であるが、全てその・子のぺ一スに合わせてしまう. と、集団生活からはみ出てしまうので、集団体活の中の輪を 乱さずに、内分の意思で避べるように支援している。 休み時間に、. 教師:rプリントをしますか?ぬりえをしますか?」 →災体物を提示し選択させる。. この時閥だとどっちを選んでもできる。次の授葉には遅れな いな。など胴りの状況を考えながら選択肢を箏えている。避 択することで、牝添の流れがスムーズになる。. 【D401】教師が決めるのではなく、生徒がやりたいという作 業をさせたいという思いから集団支援を行った(そのエピソ ードをTab1e8に示す)。. 【F401】多くの選択肢を用意してあげたいという思いから集 団支援を行った(そのエピソードをTab1e9に示す)。. 【G401】自己肯定できるようになってほしいという思いから 個別支援を行った(そのエピソードをTab1e1Oに示す)。. 34.

(38) Tab1e8教師Dのエピソード 対象児. 高等部1年生. 選択場面・内容. 作業学習(総合作業クリーンサービス班) 環境整備、空き缶漬し  作業の開始時には必ず一旦教室に集合して、外掃除の仕事 と空き缶潰しの仕事のどちらをしたいかを選択させる。 空き缶作業では、工程を5つぐらいに分け(空き缶を洗う、 洗った空き缶を空き缶漬し機に入れる、入れた空き缶を踏み 込んで潰す、潰れたものを取り出す、取り出したものを所定 の場所に運ぶ)生徒のしたい作業・できる作業を選択させて いる。重度の生徒においては選択が難しいため、こちらが意 図的にこの作業を選択させるようにしている。OO君はこの 作業でいいかな?などの質問を行っている。(意思表示とし て、うなずくや手を挙げる、鈴を鳴らすなど). Tab1e9教師Fのエピソード 対象児. 高等部1年生. 選択場面・内容. 進路選択 卒業後の進路選択(自己選択) 率葉後の進路選択(自己選択)→自己決定 う 最終的に繭11並に繋がる。. 向己選沢を行う際に、こちら側が 向己選沢を行う際に、こちら側がいくつか選択肢を用意して. あげる(これだけしかないというσ)は避けなければならな あげる(これだけしかないとい い)。選択肢も選びたくなるような選択股を用意する。木人 い)。選択肢も選びたくなるよう がグλ.か4・卜鮒州1.ナ・し、ン’一実.ろr工 がどんな仕事がしたいと嵩うことができれば一括良いが、疏. 度の手の場合は、学校生活や家庭での生活の様子からどのよ うな{土媒が合うのかを考えて選択肢を用意して炎際に現場. 実習を繰り返して選択できるような状況を整えていくこと を行っている、,意識できる子には、自分で選んだからやるの. だと意識させる(自分で誘った0)だから、選んだのだから3 年は我慢しなさいと書う)。. 35.

(39) Tab1e1O教師Gのエピソード 対象児. アスペルカー:家庭環境が複雑(お母さんが精神疾患)で、叔. (Eさん). 母に育てられている。. 選択場面・内容.  Eさんは、入学してきて、学年集会で全体に注意しても自 分だけが叱られていると思い、休み時間になっても「私のせ いです。すみませんでした。私なんて生きていても何の取り 得もないです。」と言うのがよくあった。そんな理さんに対 して、. 教師:「そんなことない。凄く良い所もいっぱいあるし、そ. ういう良くないところがあったとしても全然ダメじゃない しいいよ。そんな価値のない人なんて誰もいないんだよ。み んな同じなんだよ。人間はみんな価値があるから、出来るこ と出来ないことで自分の価値を測ったらいかんよ。」と言葉 かけを行っていた。その後、言葉かけを行うだけではなく、. 文字で自己肯定できるようになってほしいと思い交換ノー トを始めた。それから1年間かけて自己肯定できるように支 援してきた。言葉は、視覚に親和性が高いのでとても有効で. あったため、文字で自己肯定できる言葉がいっぱいになっ た。.  一年生の時に、夕鶴の劇をした。その台本は先生が書いた。. 大阪バージョンを吉本新喜劇の様なギャグをふんだんに盛 り込んだ、笑いあり涙ありの劇を作った。Eさんは、空想の 物語を描くのが好きな子であったこともあり、その劇が終わ. った後、その劇を気に入ってわずか1・2ヵ月で夕鶴2を書 き上げた。鶴を探して世界中を旅する物語を描いた。その物. 語を先生が劇になるように少し修正をして、2年生の劇にし た。先生と一緒に彼女も演技指導を行い、劇を完成させた。 その時の配役も、’人一人の希望どおりに行った。終了後、. みんなが自分たちの劇は最高だったととても楽しそうに話 していた。. 36.

(40) く好きなこと(趣味)を持つことの必要性>. 【C401】何か好きなことを一つ自分の申で持った時に、これ がしたいから今はこれを頑張るとか、これがしたいからこう. いう手順を踏んでしたいことに結びつけるとか、そういう風 な物事を考える道筋みたいなものを作っていくことが自己決 定力につながっていくのではなかと思っている。それには、. 趣味を持つということはすごく大切なことだと思っていると. いう思いから個別支援を行った(そのエピソードを Tab1e11,12に示す)。.        Tab1e11教師Cのエピソード. 1    1                 l l(Dさん) 1「1分ψ)舳やしたい二とにと1ポとで舳できない一一 1 砂攻由∵^余^如榊の洲休み舳の鰯ごしカの洲)  一’一「. ミ 1と.亨∵ll㌫続11ユ1∵∵㌫11続∵∴重1        11.ストジでMシスをや一,てい似舳がいる、  1. 1 1舳一…小・一や一て一11が…/・ 1. 1 11∴続11二1る人がいる・  1.        1舳j:1川に舳舳ど二に行/・   ….        1ットのところ舳か・l1分’榊出樹えない舳こllつて1        』 一ミそE一たら、1.1分でその畔σ)気分に.ヒ・ジ(、ポi分からそ… 、川、..、..、…....、..1㍗千二千㍗㍗…千行二Ψ予、…..、、...」止.、..、、....1. 37.

(41) Tab1e12教師Cのエピソード 対象児(C君). 就労を目標にしている軽度の知的障害児(高讐翻). 選択場面・内容. 余暇活動の選択(休日の過ごし方) よくする会話の中で、. 教師:r昨日はどうやって家で過ごした?」. という話しをあえてする。その中である生徒は、「昨日は友 だちと一緒にカラオケに行った」という話をする。. C君:r昨日も何もせずにずっと家に居ました。犬の骸歩に は行きました。後は何もしませんでした」 という彼に対して、. 教師:「何かしたいことないの?」. C君:rいや… 別に」 教師:「じゃあ、何もしないで家に居るのが好きなん?」 C君:rいや、別に」. 教師:rそれではあかん。好きなことを作りなさい」r人に尋 ねられたりしたときに、自分はこういうことを過ごしている 時間が好きだということを作りなさい」. C君:「体を動かすことが全く動かさないよりも好きだ」. 教師:「じゃあ部活動に入ろうよ。今3つ部活動あるけれど も、3つの中だったらどこで頑張れそう?」 C君:「サッカー部」. 教師:「じゃあサッカー部で頑張ろうよ。サッカーで頑張っ. ていく中で、どんなことを頑張ったらもっとサッカーが上手 になると思う?」. C君:r15分間の試合の間申ずっと走れる体力をつけること が必要だと思う。」. 教師:rじゃあ走る力ってどうやってつけたら良いと思う?」 C君:「休みの目に、近くの大きな公園(ランニングコースも ある)で走ることができる。」. 38.

(42) 第3節 自己決定力を育む難しさ  学校現場で自己決定力を育む難しさでは、「保護者や教師聞. での連携の難しさ」やr自己決定支援の難しさ」、r教師負担 の増加」による自己決定支援を行う難しさ、「教師の価値判断 と子どもの意思の両方を尊重することの難しさ」、「教師の専 門性の低さ」な.どの意見が挙げられた。. <保護者理解の難しさ〉. 【A501】家庭と連携していきたのだが保護者理解の難しさが ある。. 〈教師間の温度差〉. 【B501】教員の中でも温度差がある。 く決めたことに対して最後まで付き合う難しさ>. 【C501】自分自身も厳しくないといけないし、子どもが選択 したことに対してとことん付き合わないといけない。生徒に. 対してあなたが決めたことだから、それを私たちはバックア ップしていくよ、支援していくよというスタンスでこっちは. 構えているわけだから、決めたことに対して大幅な路線変更 はできないため慎重になるし、支援者として根性のいるとこ ろだと思う。. く教師の負担〉. 【D501】選択・決定させる場面を作ろうと思うと、教師にと っての負担は増えると思う。. 【眺01】選択・決定させる場面を多く設定するには、教師も. 多くの選択肢を用意しなければいけないため、それが面倒く 39.

(43) さいし準備する時間がない。. 【F501】好きなものを選ぶのにも時間がかかるし、選択させ るためには文字だけでは分からないので具体物を見せなくて はいけない。そのための視覚支援を行うことも大変である。 〈学校生活の中でのジレンマ>. 【眺02】学校生活の中でのジンレンマと言うものがある。学. 校でクラスがあって、重度の子から軽度の子とある程度幅が あるなかで指導していくと、どうしても重度の子に合わせて、. ここでは軽度の子は我慢してねというような設定をしてしま うことが割とある。そこで、選ばす場面を変えたら良いと思 うけれども、重度の子が選んでそれに周りが合わせるという ことが多い。. 〈教師の価値判断>. 【D502】教師の思いもあるため、子どもの思いだけを取り入 れようということが少なくなると思う。 <教師の専門性の低さ>. 【E503】軽度の子もこの場面では選びなさいということが必. 要だと改めて思うのだけれども、自己決定というのは教師が 高い能力を持って、手間暇かけていか往ければいけないなと 思う。. 【A502】職員の中で、どう工夫したら良いかで議論するので あれば良いのだけれども、できない理由を並べて議論するの はとても不毛だと思う。これは、特別支援教育の教師の専門. 性が不十分だからだと思う。特別支援教育の勉強をもっと教 員がしていかなくてはいけないなと思う。 40.

(44) 第4節. 自己決定力を育む際に支援者(教師)に求められるこ. と.  自己決定力を育むために教員を含め支援者に必要なことと して、「自己決定に必要な環境の設定」や、「わがままも自己 表現の一つであるという意識」、「子どもの実態把握の必要性」、. r自己決定支援の方法で求められること」についての意見が 挙がった。 〈環境設定>. 【腕01】全て頭ごなしにするのではなくて、学校現場なので. 周りとの調和もとりながら、その申で困り感を与えつつ自分 で言える(助けを求める)環境をつくる。良い意味のほってお く環境を作ることが必要です。 〈わがままも自己表現の一つ>. 【A601】重度の子の場合でも、嫌な時は嫌な顔をする。ある. 生徒にしてもわがままだわがままだという風に言うけど、そ れは自己表現というか自分のしたいことしたくないことの表 現で、したくない申でもじゃあこの申でこっちとこっちどっ ちだったら頑張れるかなという選びは、こっちとの駆け引き だと思う。. く子どもの実態把握の必要性>. 【亘601】子どもたちをよく観ること、待つこと、教師が考え ること、に尽きると思います。. 【E601】重度の子の場合は、好きなものに向ける時の本人の. 視線や顔つきなどを参考にその子が何をしようとしているの 41.

(45) かを他の場面でも、本人の態度や表情を探っていくようなこ.. とをしている。自分の意思を表現できるような軽度の子の場. 合は、先生の意図が入らないように本当に自分がしたいとい うものが表現できているかというのを気にしながら問いかけ を発したりしていっている。. く自己決定支援の方法で求められること〉 1)選択にめりはりをつける. 【A602】選択を行う時には、より高いねらいに到達するため に行う選択と、一人一人の子どもの要求を表現させる選択が. あると思う。学校の授業というか作業や学習はある程度高い 次元に持って行ってあげるように、選択肢を用意しないとい けなレ、と思う。.  例えば作業学習を行うときでも、割り箸の袋詰めと洗濯バ サミのパック詰めとなると、この子は指先不器用で、洗濯バ サミをつまむのが苦手だから、洗濯バサミの方が楽だからと 思って割り箸の袋詰めを選ばせたいけど、洗濯バサミのパッ. ク詰めを選ぶ。その時に、教師が「今日は2つの作業をしま しょうね、どれからする?」、生徒rこれする」と1つの作業 を選択して、「じゃあその作業が終わったら次はこれね」とい う風になる。それは、教師(指導者)との折り合いになる。こ. いつ!と思いながらも、まあまあここは我慢してと折り合い をつけている。そういう1つの場面を設定することで、「これ. できたし、これもできるじゃん」となる。すると子どもたち は「こっちも挑戦してみよう」、「昨日は10個だったのに今日. は11個もできた!」という風になると、「自分はこれもでき 42.

(46) るんだ。じゃあ次はこれをチョイスしよう」ということにな る。.  このような、高いねらいにするような選択の場面の設定と、. もう一つは、フードコートや自販機で飲み物を買う場面など では、「炭酸は体に悪いから違うのにしなさい」ではなく好き. なものは飲ませてあげたら良いと思う。選択についてもめり はりを付けると良いと思う。. 2)ある程度レールを敷いた中での選択・決定 【A603】知的障害のある子は、ある程度線路がある方が良い。. しかし、その線路はガチガチの型にはまった線路ではなくて、. だいたいこういう道だよというサポートがあったらできる。 私たちだったら、「今日はこれをして、次に向こうであれをし. て今度はこっちで」とできるけど、知的障害のある子の場合 なかなか鳥蹴図、鳥歓的というような上から見たようにでき ない。平面的な取り組みになってしまう。そういう意味では、. 線路をしっかり敷いてあげて今日の作業はこれとこれだよと 示してあげる。そのためには、これをするのだけれど、どっ ちの方法が良い?というのがある方が作業はスーツとできる。. 【D601】もし選んだことを行うことが難しい場合は、生徒が. 得意とするような活動は教師側が見出しながら、ある程度レ ールを(道を示してあげながら)敷いてあげながら支援して く。しかし、生徒がレールに乗せられたと思うのではなく、. 自分でこのレールに乗ってみるのも良いのかな?と思えるよ うな支援を行うことが大事だと思う。. 43.

参照

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