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円管内流・層流乱流遷移はサイエンスの問題か (乱流現象と力学系的縮約)

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円管内流・層流乱流遷移はサイエンスの問題か

会津大学・コンピュータ理工 神田 英貞

Computer Science and Engineering, University of Aizu

1. はじめに

この題目の問題はむずかしい。最初にレイノルズの問題を定義する: 「$\mathrm{O}\mathrm{s}\mathrm{b}\mathrm{o}\mathrm{r}\mathrm{n}\mathrm{e}$Reynolds

(1883) の発見した円管内流の 2つの層流乱流遷移臨界値 (i) 色素流入実験装置(図 1戸こよ

る Rc $\approx 13,000$ と (ii) 圧力差法による最小臨界値 Rc(min) $\approx 2000$ を理論的に解明する」 私は長年にわたり、 円管流の層流乱流遷移の問題はサイエンスに属し、 レイノルズの 発見した約 13000 と 2000 の臨界値はサイエンス上の定数として一定であると信じてその 理論的解明を試みてきた。 ところが、

2003

年からレイノルズの臨界値を図 1 に似た実験 装置で検証実験しているが不明な点が多く、この講究録に疑問点を整理し、 問題提起とす る: 「理論解明の対象とする臨界値の真の数値はいくらか」 この問題がサイエンスに属す るならば、時代を超えて誰が実験しても臨界値の再現性を得るのは必須であろう。

Fig. 1 Reynolds’ color-dye experiment (1883).

2. レイノルズの問題への疑問点 光速度や電磁気関係の諸定数はかなりの精度で正しいものとされている。ある定数の 精度を 1 桁上げるのに数年以上かけたと自然科学史は教えている。したがって、 自然科学

関係の教科書に記載されていることは正しいものと信じてきたが、流体力学はかなり精度

に幅があるようにみえる。 ここに、 素朴な疑問点を提示する。 (i) レイノルズの発見した Rc $\approx 13,000$ は再現可能か。 また、その時の実験条件は何か。 数理解析研究所講究録 1434 巻 2005 年 1-2

(2)

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(ii) Ekman (1910) はレイノルズの実験装置 (図1) を使って、$\mathrm{R}\mathrm{c}\approx 13,000,21,000,38,000$,

44,000, $51_{7}000$ 等の臨界値を得たが何故なのか。次の (iii) Van Dyke の「時代と撹乱の大

きさ」 の説に矛盾しないのか。

(iii) Van Dyke (1982) のレイノルズの実験装置 (図

1 戸こよる

Rc に関する次の説明は正し

いのだろうか。また、 レイノルズの実験装置を使っての現在の Rc 値はいくらなのか。

「$\mathrm{M}\mathrm{o}\mathrm{d}\mathrm{e}\mathrm{r}\mathrm{n}$ traffic in the streets of Manchester made the critical Reynolds number lower

than the value 13,000 found by ReynoldsJ

(iv) レイノルズの発見した Rc(min)\approx 2000 は再現可能か。その時の実験条件は何か。 (v) Rc(min) $=2030$ (Lamb, 1975) と Rc(min) $=2300$ (Schlichting, 1979), どちらが正し

いのか。誤差の約15% は流体力学では許容範囲以内であり、 精度向上は望めないのか。 (vi) 図 1 と類似の色素流入装置を使って Rc(min)\approx 2000 を得ることは可能か。 (vii) 実験値 Rc は何故研究者毎に異なるのか。原因を実験装置自体と流体中の撹乱とに 分けた場合、 どちらが主なのか。それとも他に主原因はあるのか。 (viii) 遷移の原因とされる撹乱の種 (disturbances) とは何か。人工撹乱でない自然の静か な環境下での撹乱は観察、識別可能であり、 撹乱の数式化・定量化は可能か。 (ix) 撹乱は流入する流体の中に最初から存在するのか。それとも、 円管内の流れの中で発 生するのか。後者の場合、 それは壁面近傍で発生するのか、 中心近くで発生するのか。 (x) 実験装置と遷移を発生させる撹乱には強い因果関係があるのか。数式化可能か。 (xi) 実験値 Rc の異なる主原因は実験装置が異なるからでないのか。つまり、主原因は流 体の中にあるのではなく、 装置、特に円管入口に取付けられたベルマウス壁面が作りだし ているのではないのか。 (xii) 遷移発生の場所は予測可能か。 実験によると遷移は助走区間内で発生するが、 何故 助走区間に注目した理論研究は少なく、十分発達した流れの中での理論研究は多いのか。 (xiii) 層流から乱流への遷移は、 助走区間で発生しなくても、 十分発達した流れの中で発 生するのか。発生するとすれば、その理由は何か。 参考文献

Ekman, V.W., 1910, Fys., $\mathrm{b}\mathrm{d}$. $6$, no. i2, pp. 1-16.

Lamb, H., 1975, Hydrodynamics (6th ed.), pp.

664-665.

Reynolds, O., 1883, Trans. Roy. Soc. Lond., 174, pp. 935-982.

Schlichting, H., 1979, Boundary-Layer Theory (7th ed.), p. 451.

Fig. 1 Reynolds’ color-dye experiment (1883).

参照

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