ブロードバンド時代と通信料金:日本におけるCATVインターネットの現状とその通信料金
4
0
0
全文
(2) 1.0 というバージョンに加え,昨年(2000 年)末に,QoS. 1.5Mbps という,より高速なサービスを提供している影. (Quality of Service)機能を使用することにより,デー. 響もあって,1 ∼ 2Mbps へ増速する CATV 会社が増えてき. タ/音声/ビデオの各トラフィックをそれぞれの特性. ている.この場合,CATV のネットワークが LAN などと. に即した優先通信制御によって,通信品質の確保を可. 同様に共有型であることから,1 台のセンター装置で処. 能とすることや,ケーブル・モデム認証などのセキュ. 理する契約者(ケーブル・モデム)の数を減らすことに. リティ機能を強化するなど,今後のマルチメディア化. より,1 契約者当たりの通信速度を上げるという方法が. に対応するためのさまざまな規定を盛り込んだバージ. とられる.DOCSIS の仕様では,CATV センター装置の. ョン 1.1 がほぼ標準化され,今年(2001 年)春から DOC-. 1 つの下りポート当たりの通信速度が 30 ∼ 40Mbps(変調. SIS 標準の機器認定機関である CableLabs にて,DOCSIS. 方式により差がある)であることから,たとえば 1 契約. 1.1 の認定作業が開始された.. 者当たり 1Mbps の通信速度を割り当てる場合の 1 下りポ ート当たりの契約者数は,次の計算式によって算出可能 となる.. CATV. 30Mbps /ポート÷ 1Mbps /契約者÷ 0.1(同時アク セス率☆ 1)= 300 契約者/ポート. 現時点で各 CATV 会社が提供しているサービスとして. ただし,この計算式は,最低保証速度を算出するものと. は,次の 3 つのものが挙げられる.. なっていることから,最大伝送速度としてアナウンスさ. ①インターネット・サービス(データ・サービス). れている ADSL の 1.5Mbps と同等の数値を出すためには,. ②電話サービス. 最大伝送速度と最低保証速度との関連性について,それ. ③テレビ映像再配信サービス. ぞれの CATV 会社において決められた値で計算しなおす. 上記のうち③のサービスは,CATV 各社本来のサービス. 必要がある.. であり,すべての事業社で提供しているものとなって. たとえば,1 契約者当たりの最低保証速度を最大伝送. いる.それ以外の 2 つのサービスについては,前述の第. 速度の 50% と想定した場合には,上述の倍の 600 契約者. 一種通信事業としてのサービスである①のインターネ. が 1 下りポートにぶら下がることができる(接続できる). ット・サービス(データ・サービス)と,一部の事業社. 計算となる.. で提供されている②の電話サービスに大別される. このように,インターネット・サービスを CATV 会社 が提供する場合,ADSL が. CATV. ①インフラ部分(NTT) , 根本的なインターネット料金の問題などについては,. ② ADSL サービス部分(ADSL 事業者) , ③ ISP 部分(インターネット・サービス事業者). これまで本コラムの中で述べられているので,ここでは. の 3 つに分かれているのに対して,第一種通信事業者と. CATV 会社が直面している料金問題を中心に解説する.. してインフラから ISP まですべての事業サービスをまと. 日本国内の CATV 会社で現在問題となっているのは競. めて CATV 会社が契約者へ提供する形が主流となってい. 合事業者である ADSL のインターネット・サービス料金. る.このため,インターネット接続用設備を NTT 局舎. の相次ぐ値下げへの対抗策である.前述した通り,. へコロケーション(配置)するなどの必要がなく,管理. CATV 各社は通信速度面での劣勢を盛り返すために,. 面や柔軟性などの面では優位性を持っている.これは. CATV のセンター設備を増強し体制を立て直したばかり. CATV の使用するインフラが NTT の回線にまったく依存. であるが,その矢先のこのような追加対抗措置の要求は,. していないことが大きな特長であり,それが故に早く. CATV 会社の経営基盤そのものをも揺るがす問題となっ. からブロードバンドのインターネット・サービス提供. てきている.さらに,ADSL 提供事業者のほとんどが第. が可能となった背景がある.さらに,今後のサービス. 二種電気通信事業者であり,サービス料金の変更に対す. 内容の変化に柔軟に対応していくことができる可能性. る総務省側の事後の審査が第一種事業者に比べて厳しく. を持っている. 次にインターネット・サービスの内容としては,デ ータ通信速度については,従来は下りが 512kbps 前後と いうものがほとんどであったが,最近の ADSL が 42巻11号 情報処理 2001年11月. ☆1. 同時アクセス率は,一度に同時にデータ・トラフィックを流してい る契約者の比率であり,CATV 会社が提供するアプリケーション・サ ービス内容に依存する.たとえば,VoD(Video on Demand)などのよ うな常時データが流れるようなアプリケーショを提供する場合には, このアクセス率は高めの設定が必要となる..
(3) VoD NOC. Web. IP. -1. CATV. ないことから,料金変更のしやすさという面でも CATV. このような点を冷静に判断すれば,現在沸騰している. 会社側としては慎重にならざるを得ないという裏事情. 通信料金の値下げの渦に巻き込まれ厳しい淘汰の洗礼を. もある.. 受ける前に,提供しているインフラ上で契約者が別料金. これとは逆に,サービスを受けている契約者側とし. を払ってでも契約したくなるような,魅力的なコンテン. ては,料金が下がることはメリットであり,その結果. ツの提供とその仕組み作りに議論を移していくことが重. としてブロードバンド・インターネットの人口を増加. 要となってくるのは自明の理であろう.. させることにつながるため,全体としてはよい方向に 進展している. しかし,ここで注意しなくてはならないこととして,. CATV. 現在料金が下がっているのはあくまで通信するための インフラの料金であり,本来のサービス料金ではない. ここで「インターネット・サービス」と書いている自. という点である.例えていえば,高速道路の通行料,. 体がそもそも間違いかもしれないが,前述した通り今後. 車の値段,そしてガソリン代が下がっているのであっ. のサービスの中心はコンテンツ提供を軸にしたマルチメ. て,その先にある目的地での観光代金については議論. ディア化がキーになってくるのは間違いない状況になっ. の外に置かれているということである.. てきている.CATV 会社自体がコンテンツの提供までを. すでにこのことに気づいて,目的本位のビジネス・. 行うかどうかは別問題として,とにかく CATV ネットワ. モデルを形成しはじめている事業者の代表格としては,. ーク上でのそのようなアプリケーションを,ストレスな. 有線ブロードネットが挙げられる.. く利用できるインフラの提供が CATV 各社に課せられた. -1 に示すように,今後のインターネット・サービス. 最低限の成功条件であることは間違いない.また,今後. 提供事業者のビジネス・モデルとしては,従来のイン. のディジタル TV 化を視野に入れた放送の仕組みを通し. フラ提供費を主な収入源としていたものから,そのイ. てのコンテンツ提供も可能であることから,この CATV. ンフラ上で提供する各種コンテンツ・サービスの提供. ネットワークの将来的可能性には明るいものがある.. 費で収益を上げていく構造へと変化していくことが予. 次回は,CATV ネットワークの将来像について,CATV. 測され,その構造が十二分に機能を発揮するようにな. 先進国である北米での事例などを紹介しながら,解説し. ってくれば,極端な話としてはインフラ費用は無料と. ていく.. いうような提供形態も可能となってくる.. (平成13 年9月4日受付). IPSJ Magazine Vol.42 No.11 Nov. 2001.
(4) 42巻11号 情報処理 2001年11月.
(5)
関連したドキュメント
を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に
・私は小さい頃は人見知りの激しい子どもでした。しかし、当時の担任の先生が遊びを
「2008 年 4 月から 1
今年は、目標を昨年の参加率を上回る 45%以上と設定し実施 いたしました。2 年続けての勝利ということにはなりませんでし