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回復期リハビリテーション病棟を退棟した脳卒中患者の分析 : 失語症の有無が治療効果と転帰先へ及ぼす影響

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全文

(1)

―失語症の有無が治療効果と転帰先へ及ぼす影響―

谷 哲夫

1, 2)

,田島 香苗

2)

,山岸 賢太郎

2) 1)聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部言語聴覚学科 2)医療法人社団日高会日高病院リハビリテーションセンター

E-mail: [email protected]

Analysis of Stroke Patients who were Discharged from the

Convalescent Rehabilitation Ward

– Influence of the Presence of Aphasia on Treatment Effect, and Discharge Home –

Tetsuo Tani 1),2),Kanae Tajima 2),Kentaro Yamagishi 2)

1) Department of Speech and Hearing Sciences, Seirei Christopher University        2) Department of Rehabilitation, Hidaka Hospital

要旨 本研究の目的は,失語症の有無が訓練効果と在宅復帰に与える影響を明らかにすることである.回 復期リハ病棟を退棟した脳卒中患者を対象にした.対象患者を失語症群と非失語症群に分け,患者の 個人的因子や社会的因子,FIM をはじめとした諸検査の検査結果,入院期間,および転帰先などを 比較した.その結果,失語症群は非失語症群に比して,入院時と退院時両方の FIM 成績が有意に低 いこと,しかしながら失語症が在宅復帰へ及ぼす影響は確認できなかった.言語聴覚士は,理学療法 士,作業療法士と連携して患者の日常生活機能の改善をコミュニケーションの側面から促進させる介 入を積極的に実施する必要があると考えられた. キーワード:回復期リハビリテーション病棟,失語症,在宅復帰

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 はじめに

脳卒中患者の医療費は総医療費の 8%,高齢 者医療費の 13%とされ社会的負荷の極めて大 きな疾患と言える(島村,ほか,2006).厚生 労働省が打ち出している「2025 年モデル」は 高齢者や障害を持った方を家族や地域でサポー トする形を明確にしている.すでに 2014 年度 から「病床機能情報の報告制度」が導入され, 病床機能分化が進められている(村上,ほか, 2015).これらの改革は入院患者の早期退院の 方向性が明示され,病院以外の在宅系施設ある いは在宅により,住み慣れた地域で暮らしてい くことをサポートする「地域包括ケアシステム」 と連動している. 地域包括ケアの中で,回復期リハビリテー ション病棟(以下,回復期リハ病棟)は急性期 病院および,診療所や居宅支援サービスとの連 携の強化が求められている.回復期リハ病棟の 使命は以下の 3 つであると述べられている(岡 本,ほか,2012).すなわち,1)急性期病院 からの迅速な受け入れ,2)必要かつ十分な集 中的リハ医療サービスの提供,そして 3)可能 な限り在宅復帰を推進すること,である.これ らの施策は,患者の日常生活動作(Activities of Daily Living:以下,ADL)を短期的に改 善させることで入院期間の短縮と在宅復帰率の 向上を狙いとしている. このような背景の中,回復期リハ病棟より 在宅復帰が可能であった患者の特徴を捉えよ うとする後ろ向き研究が散見される.在宅復 帰した患者と在宅以外へ退院した患者の比較 研究では,在宅復帰群は入院時および退院時 の Functional Independence Measure(以下, FIM)が高いと報告されている(岡本,ほか, 2012).しかし,在宅を含めた転帰先の決定は, 家族背景,家屋構造,社会的背景,病態など様々 な因子が影響を及ぼすとされている(糸谷,ほ か,2015).本邦での先行研究では,回復期リ ハ病棟からの在宅復帰へ影響を及ぼす因子につ いて,患者を取り巻く多数の因子を考慮した包 括的な検討報告は数少ない.特に,失語症は言 語障害の中でも重要な存在であるにもかかわら ず,転帰先に関する研究に分析対象となること が少ない(稲富,2015;小林,ほか,1979). それ故,失語症の存在が失語症リハにとどまら ず理学療法や作業療法を含めた訓練効果や転帰 先にどのように影響するのか明らかにされてい ない. 本研究の目的は,回復期リハ病棟に入棟し訓 練を行った患者を対象に,失語症の有無が運動・ 認知機能や訓練効果,さらに在宅復帰へどのよ うに影響するのかを明らかにすることである. 本研究は,失語症の有無が在宅復帰に与える影 響を明らかにするために、個人因子・社会因子・ FIM・入院因子など多面的に検討する点で意 義があると考える.

方法

1.対象 2012 年 3 月から 2013 年 6 月までに回復期リ ハ病棟を退棟した脳血管疾患等リハ料の対象患 者 126 名のうち病前から認知症の診断を受け ていた者と脊髄損傷患者を除いた 107 名を対 象とした(表 1).失語症を伴う患者は 29 名含 まれた. 2.分析資料 先行研究の調査から,個人的・社会的因子 として①性別,②発症時年齢,③回復期リハ 病棟入棟までの発症経過,④急性期病棟入棟

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期間,⑤回復期リハ病棟入棟日数,⑥配偶者 の有無,⑦子供の同居の有無,⑧同居者人数, ⑨転帰先(在宅復帰,非在宅復帰),疾患因子 として⑩原因疾患(脳出血,脳梗塞,その他) など.ADL 能力の指標として⑪ Functional Independence Measure(以下,FIM)の各項 目の入棟時得点,⑫ FIM の各項目の退棟時得 点,⑬経管栄養の入棟時の有無,⑭経管栄養の 退棟時の有無,さらにリハ効果の指標として⑮ FIM 効率,などを設定した.FIM 効率とは, 退棟時合計得点から入棟時合計得点を引いた数 値(FIM 利得)を治療日数で割った数値で,1 日当たりのリハ効果の指標とされている.本研 究では,運動項目(セルフケア,排泄コントロー 失語症群(29) 非失語症群(78) 項目 U検定 p値 8 0 8 5 . 0 ) 7 9 ~ 5 3 ( 2 7 ) 0 9 ~ 9 3 ( 1 7 ) 歳 ( 齢 年 症 発 回復期リハ病棟入棟までの発症経過(日) 27(8~53) 24(6~95) 0.375 5 3 0 0 . 0 ) 4 8 1 ~ 3 1 ( 6 5 ) 7 4 1 ~ 8 3 ( 3 8 ) 日 ( 間 期 棟 入 棟 病 ハ リ 期 復 回 1 3 5 9 . 0 ) 7 4 ~ 0 ( 0 ) 8 2 ~ 0 ( 0 ) 日 ( 間 期 棟 入 棟 病 期 性 急 8 3 4 4 . 0 ) 4 ~ 0 ( 1 ) 3 ~ 0 ( 1 ) 人 ( 数 人 居 同 性別 0.8151 男性 16 45 女性 13 33 原因疾患 0.2923 脳梗塞 18 40 脳出血 8 20 その他 3 18 配偶者の有無 0.2402 有 15 47 無 14 26 2 6 2 7 . 0 無 有 の 居 同 の も ど 子 有 11 25 無 18 48 4 2 0 0 . 0 時 棟 入 法 方 取 摂 養 栄 経管 10 7 経口 19 71 5 1 5 1 . 0 時 棟 退 経管 4 4 経口 24 74 転帰先 0.1688 在宅復帰 22 68 非在宅復帰 7 10 * :p<0.05 原因疾患の「その他」には,頭部外傷,くも膜下出血,脳腫瘍などが含まれる. 中央値(最小~最大) 人 数 χ2検定 p値 欠損値 2 * 5 5 5 * 1 表1 対象者の個人・社会的因子に関する基本属性の比較

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ル,移乗,および移動項目)と,認知項目(コ ミュニケーションと社会認知項目)に分類して FIM 効率を求めた.これら 14 の因子に関して は病棟診療録およびリハカルテから調査し算出 した. リハ効果を示す 1 つの基準として ADL が ある.ADL を評価検討するにあたり,妥当性 が検証されている評価法を用いる必要がある. Barthel Index(以下,BI)はかつて妥当性の ある評価法として普及していたが,採点の粗大 さなどの問題があった.一方,介護量を 7 段階 で評価する FIM は,BI との高い相関を持って おり ADL 評価として妥当であるとされている (園田,ほか,1992).さらに FIM はセルフケア , 移動 , 排泄など従来より評価されてきた項目だ けでなく , コミュニケーションや社会的認知能 力などの項目を含んだ ADL 評価法であり(辻, ほか,1996),診療報酬の算定基準にも使用さ れている.したがって本研究では妥当性の証明 されている FIM を用いる.なお本研究では, 個人因子・社会因子・FIM(ADL)・入院因子 などをメインアウトカムとした. 3.統計方法 言語聴覚士が WAB 検査を実施し失語症の存 在が認められた対象者 29 名を失語症群として, それ以外の失語症を認めなかった対象者を非失 語症群として分類した.両群間の各因子の比較 を行い,性別,病名,配偶者の有無,子どもと の同居の有無,転帰先,経管栄養の有無などの 質的因子についてはχ2検定を,FIM の入棟時 及び退棟時の各項目得点,発症時年齢,急性期 病棟入棟期間,回復期リハ病棟入棟期間,同居 人数など量的因子については Mann-Whitney U 検定を実施した.統計ソフトは JMP ver. 10.0.2(日本語版)を用いた. 本研究は筆頭著者および連名研究者らが所属 する病院の医療倫理審査会において承認され実 施した研究の一部である(承認番号 41 番).

結果

表 1 に群別の個人的・社会的因子,および摂 食方法に関する各評価の結果を示す.発症年齢, 性別,発症から回復期リハ病棟入棟までの日数, 配偶者の有無,子どもの同居の有無,同居人数, 転帰先では 2 群間で有意差を示さなかった.回 復期リハ病棟入棟期間は失語症群が有意に延長 した.栄養摂取方法に関しては,入棟時は経管 栄養が失語症群に有意に多かったが,退棟時は 2 群間に有意差は示さなかった.表 2 に群別の ADL 能力とリハ効果に関する各評価結果を示 す.FIM 運動 13 下位項目のうち失語症群より も非失語症群の得点が有意に高かった項目は入 棟時で 10 項目,退棟時では 6 項目であった. FIM 認知 5 項目はすべて入退棟時ともに失語 症群よりも非失語症群の得点が有意に高かっ た.歩行車椅子移動,階段移動では入退棟時と もに有意差を示さなかった.FIM 効率は運動 項目で失語症群が有意に低い値を示した.

考察

失語症は認知症とともに自立歩行獲得の阻害 因子の一つとされている(加辺,ほか,2012; 三木,ほか,2015).Akosile, et al.(2013)も Stroke Impact Scale を用いた調査において, 脳卒中後の失語症合併群は失語症非合併群に比 して身体機能と歩行能力が低下することを明ら かにしている.優位半球損傷では失語症のみな らず,観念・観念運動失行が,劣位半球損傷 では半側無視のみならず,病態失認,着衣失

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表2 2 群間の ADL,およびリハ効果に関する評価結果の比較表2 2群間のADL,およびリハ効果に関する評価結果の比較 項目 失語症群(29) 非失語症群(78) U検定 p値 FIM 運動項目 入棟時 25(13~88) 51.5(13~86) 0.0037* 退棟時 66(13~90) 78.5(13~91) 0.05 内訳 食事 入棟時 5(1~7) 5(1~7) 0.004* 退棟時 5(1~7) 7(1~7) 0.0238* 整容 入棟時 3(1~7) 5(1~7) 0.005* 退棟時 5(1~7) 7(1~7) 0.0249* 清拭 入棟時 2(1~7) 3(1~7) 0.0108* 退棟時 4(1~7) 5(1~7) 0.0379* 更衣上 入棟時 2(1~7) 4(1~7) 0.0083* 退棟時 6(1~7) 6(1~7) 0.2569 更衣下 入棟時 2(1~7) 4(1~7) 0.0437* 退棟時 6(1~7) 6(1~7) 0.1453 トイレ 入棟時 1(1~7) 4.5(1~7) 0.0327* 退棟時 5(1~7) 6(1~7) 0.0819 排尿管理 入棟時 1(1~7) 5(1~7) 0.0036* 退棟時 5(1~7) 7(1~7) 0.0495* 排便管理 入棟時 1(1~7) 5(1~7) 0.0006* 退棟時 1(1~7) 6(1~7) 0.0207* ベッド椅子移乗 入棟時 3(1~7) 5(1~7) 0.0172* 退棟時 5(1~7) 6(1~7) 0.0897 トイレ移乗 入棟時 1(1~7) 5(1~7) 0.0106* 退棟時 5(1~7) 6(1~7) 0.0533 浴槽移乗 入棟時 1(1~6) 1(1~6) 0.6438 退棟時 4(1~7) 5(1~7) 0.0197* 歩行車椅子移動 入棟時 1(1~7) 4(1~7) 0.0627 退棟時 5(1~7) 6(1~7) 0.3011 階段移動 入棟時 1(1~6) 1(1~6) 0.8629 退棟時 1(1~7) 5(1~7) 0.1458 認知項目 入棟時 9(5~35) 24.5(5~35) <.0001* 退棟時 16(5~35) 30(5~35) <.0001* 内訳 理解 入棟時 2(1~7) 5(1~7) <.0001* 退棟時 3(1~7) 6(1~7) <.0001* 表出 入棟時 2(1~7) 5(1~7) <.0001* 退棟時 3(1~7) 6(1~7) <.0001* 社会的交流 入棟時 3(1~7) 5(1~7) <.0001* 退棟時 4(1~7) 7(1~7) 0.0002* 問題解決 入棟時 1(1~7) 5(1~7) <.0001* 退棟時 2(1~7) 6(1~7) <.0001* 記憶 入棟時 2(1~7) 4(1~7) <.0001* 退棟時 2(1~7) 6(1~7) <.0001* FIM効率 運動項目 0.15(0~1.016) 0.37(-0.48~0.8) 0.045* 認知項目 0.04(0~0.23) 0.05(0~0.35) 0.423 * :p<0.05 FIM効率:回復期リハ病棟退棟時得点から入棟時得点を引いた得点差(FIM利得)を治療日数で割った数値. 回復期リハ病棟入棟時と退棟時は,回復期リハ開始日と終了日と対応する. 中央値(最小~最大)

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行,motor impersistence などが ADL 獲得の 阻害因子となりうる(前島,ほか,1999).失 語症者と非失語症者との比較研究では,失語症 の合併が運動機能の治療効果に負の影響を与 えるという結果でほぼ一致しているようであ る(Gialanella, et al. 2016).ADL に関しては, 失語症患者と非失語症者に対して一般的なリ ハを実施した後の ADL の獲得を Fugl-Meyer score および trunk control test を用いて調査 したところ,失語症者は更衣(上衣),更衣(下 衣),トイレ動作,および社会的交流の項目で 改善が乏しかった(Gialanella, et al. 2016). このように失語症合併群の評価結果が低い理由 として,失語症の患者は運動機能障害の重症度 がより重く,ADL が制限される(Akosile, et al. 2013)ことに加え,教示理解の困難さが挙 げられている(加辺,ほか,2012;三木,ほか, 2015). 本研究で失語症群に FIM の入退棟時の多 くの下位項目で有意な低下が観られたことは, Akosile, et al.(2013)の報告を支持する結果 と考えられた.また,リハ効果についても失 語症群の FIM 運動項目効率が有意な低下を 示したことは先行研究(Akosile, et al. 2013; Gialanella. et al. 2016;加辺,ほか,2012;三木, ほか,2015)と一致した.すなわち失語症群 の運動項目の有意な低下は重症な運動機能障害 を示唆した. FIM の運動項目では多くの項目で有意差が みられ FIM 効率も有意差がみられた一方,認 知項目では多くの項目で有意差がみられたにも 関わらず,FIM 効率に有意差がみられなかっ た.この点について若干の考察を加える.失 語症群と非失語症群の入棟時および退棟時の FIM 値の比較には回復期リハ病棟入棟期間は 考慮されていない.FIM 効率は在院日数を分 母として FIM 利得を割ることで算出される. したがって,FIM 値が見かけ上有意に高い場 合でも,在院期間が長くなるほど 1 日あたりの リハ効果は減少することになる.本研究では, 回復期リハ病棟入棟期間の比較では失語症群の ほうが有意に長期であったことを加味したこと で,運動項目効率と認知項目効率に,失語症群 と非失語症群の間で異なる結果が導かれたと考 えられた. FIM 認知項目はその評価に言語機能の影響 を受けているという指摘がある(渡邉,ほか, 2016)が、本研究において FIM 認知項目効率 において失語症群と非失語症群の間に有意差が みられず,FIM 認知項目の評価に関する失語 症の影響は確認できなかった.ただし本研究で は失語症の重症度や失語症以外の言語障害,高 次脳機能障害については分析しておらず,今後 の検討ではこれらの因子を加味する必要があろ う. 転帰先については,失語症群が非失語症群に 比して在宅復帰に不利であるという結果にはな らなかった.この結果は,失語症が自宅退院困 難あるいは転帰先決定の独立因子にはならない とした報告(稲富,2015;伊藤,ほか,2010; Nguyen,et al.2015)と合致した.脳卒中患 者の在宅復帰を規定する要因として,FIM 運 動項目合計点が 40 点を超えると自宅復帰の 可能性が高まるとする報告があり(辻,ほか, 1996),さらに谷,ほか(2016)は FIM で評 価される運動機能が最重要であることを明ら かにし,FIM 運動項目の得点 44 点以上が約 90%の確率で在宅復帰を可能にすることを示 した.前述したように,失語症群の運動項目の 有意な低下は重症な運動機能障害を示唆してい る.本研究結果から,失語症患者に対する在宅 復帰に向けたアプローチとしては,日常生活に

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応じた運動能力の改善が重要であることを認識 し,言語聴覚士としての支援方法を検討する必 要があろう.その意味では,失語症患者の失禁 に対して言語聴覚士が介入し効果を得た森田, ほか,(2005)の取り組みが注目される. 本研究の限界として,本研究では対象者を 2 群に分ける基準を失語症の有無としており,訓 練効果や転帰先の要因検討に失語症の重症度や 高次脳機能障害の有無を考慮していない点があ げられる.稲富(2015)は,転帰先に失語症 重症度との関連を指摘し,健忘失語など軽度な 失語症患者に比して全失語の患者の在宅復帰率 が低かったと報告している.失語症重症度因子 を分析対象に加えることで,さらに詳細な結果 が得られる可能性がある.伊藤,ほか(2010) は失語症に認知機能低下、観念運動失行、観念 失行が合併すると歩行が自立しにくいことを明 らかにしている. 今後は分析要因をさらに加えつつ分析対象者 も増やし,さらに詳細な分析結果を得ながら, 失語症患者の ADL 向上および在宅復帰の促進 因子を検討したい.

 引用文献

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− Influence of the Presence of Aphasia on Treatment Effect, and Discharge Home− Tetsuo Tani 1),Kanae Tajima 2),Kentaro Yamagishi 2)

1) Department of Speech and Hearing Sciences, Seirei Christopher University        2) Department of Rehabilitation, Hidaka Hospital

Abstract

The purpose of this study is to investigate the effect of the presence or absence of aphasia on the treatment effect, discharge home, and the period of admission to the convalescent rehabilitation ward. We targeted stroke patients who left the convalescent rehabilitation ward. The patients were divided into aphasic group and non-aphasic group, and patient’s personal factors, social factors, examination results of various examination including FIM, hospitalization period, and discharge home were compared. As a result, it was shown that the aphasia group has significantly lower FIM score at hospitalization and discharging compared to non - aphasia group, but the presence of aphasia did not affect discharge home. Speech therapists seemed to need to actively intervene in order to promote improvements of daily living functions of patients from the aspect of communication in collaboration with physiotherapists and occupational therapists.

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