Guillain-Barre 症候群と自律神経障害
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(2) 自律神経 47巻3号 2010年. AMANでは自律神経の障害のされ方が異なり, AIDP. 4)GBSにおける自律神経障害と抗ガンダリオ シド抗体. では心臓交感神経系の充進がみられるが,AMANは 著明ではないとの報告がある1),AMANは東アジアに. 多く,欧米では少ない.欧米におけるGBSの検討は AIDPについてのものが大多数であり,自律神経障害. GBSでは約6割程度に抗ガンダリオシド抗体がみ. についてもAMANについてはまだ解析が十分でない. ことが示されているが,これまでのところ,自律神経. ことから,今後の我が国での検討がとくに重要と考え. 障害と特異的に関連する抗体は報告されていない.当. られる.. 科にGBSあるいはGBS疑いとして,抗体測定の依頼. 近年,protein gene product 9.5(PGP 9.5)に対する. があった症例510例において,検査時のアンケートに. 抗体を用いた免疫染色による皮内神経の解析が進歩し. 自律神経障害ありと記載されていた例が88例あった.. られ,診断に用いられるとともに,病態にも関与する. ており,糖尿病性ニューロパチーなどの小径線維の障. 自律神経障害は,特別に注意しないと見落とすことも. 害を主体とするニューロパチーで,表皮の神経密度. あるため,実際にはこれよりも症例数は多いと想定さ. (END, epidermal nerve density)が低下することや,. れるが,この88例について抗体測定結果を検討したと. その低下が温痛覚障害や発汗低下に対応することがわ. ころ,21例になんらかのIgG抗ガンダリオシド抗体が. かっている.この方法でGBSについても検討した報告. みとめられた.内容を検討すると,抗GQlb抗体が10 例でもっとも多く,一般にGBSでもっとも頻度の高い. がある.それによると下腿遠位外側の皮膚生検を行い,. においても高率に,ENDが低下し,神経の変性してい. 抗GM1抗体が6例でそれに続いた.次に抗体ごとに 自律神経障害の頻度を検討すると,抗GQlb抗体陽性. 表皮の神経を抗PGP9.5抗体で染色したところ, GBS. る所見が得られ,また温度覚の閾値の上昇とENDの. 例では35例中10例(29%)に自律神経障害がみられ,. 低下に相関が得られている.そして発汗障害との関連. 抗GM1抗体の41例中6例(15%)と比較して高いこ. では,GBSの約3こ口汗腺を取り巻く神経線維の変性. とがわかった.. さらにGBSにおいて定量的軸索反射性発汗検査. がみられることも明らかにされた10).. (QSART)を行い,抗ガンダリオシド抗体測定の結果. 3)自律神経障害をきたす急性自己免疫性. と対比した.その結果抗GQIb抗体陽性とQSART. ニューロパチー. スコアの高さ(障害の程度の強さ)に相関が認められ た8).ただし,QSARTスコアが高い例でも,発汗障害. 急性の経過で自律神経障害をきたすニューロパチー として,acute autonomic neuropathy, acute autonomic. を自覚する例は少なかった.抗GQlb抗体は,眼球運. sensory neuropathy, acute autonomic sensory and. 動障害に強く関連する.GQlb抗原は眼球運動を支配. motor neuropathy, autoimmune autonomic gangliono-. する脳神経の傍絞輪部に高濃度に存在するため,そこ. pathy(AAG)などとよばれる一群の疾患がある.先行. に結合して眼球運動麻痺をきたすと考えられる2).一. 感染後に,急性あるいは亜急性に発症し,髄液で蛋白. 方,マウスの横隔膜における神経筋接合部の伝達阻害. 細胞解離がみられるなどの,GBSと類似する特徴を示. も示され9),GBSにおける呼吸筋麻痺との関連も報告. すが,GBSは運動麻痺が症状の主体であるのに対し て,自律神経障害が前景に立つ点が異なる.通常の. ツリヌムトキシンはGQlbに結合することが知られて. GBSと比べて改善があまりよくない例が多い.. おり,ボツリヌムトキシンを局所注射すると発汗過多. され4),神経末端への作用も注目されている.さらにボ. 自律神経障害と関連する自己抗体として,gangli-. を抑制するとの報告がある.これらの報告と,抗GQ. onic acetylcholine receptorに対する抗体が注目され. lb抗体陽性例で節後性の発汗機能低下が高率にみら. ているIl).自律神経の神経節におけるnicotinic acetyl-. れるという上記の結果を合わせると,抗GQlb抗体は,. choline receptorsに対する抗体である.急性発症の. コリン作動性の発汗線維の神経終末にも働いて,機能. AAGや傍腫瘍性AAGにおいてみられ,通常のGBS. 障害をきたす可能性があると考えられる.抗GQIb抗. やCIDPでは陰性である,抗体価と自律神経障害の程. 体が陽性で,重篤な自律神経障害を呈したGBSの一例. 度は関連すると報告されている.. も報告されている3).. 最近われわれは,GBSの一部の患者の血中に,単独 のガンダリオシドではなく,二種類のガンダリオシド (196). Presented by Medical*Online.
(3) Guillain-Barr6症候群と自律神経障害. の糖鎖が形成するエピトープ(ガンダリオシド複合体). 害を合併したGuillain-Barr6症候群の1例.臨床. を特異的に認識する抗体の存在を報告しだ}.とくに. 神経学 2002:42:13-17, 4) Kaida K, Kusunoki S, Kanzaki M, et al. Anti-GQIb. GDlaとGDlbの複合体(GDIa/GDlb)に特異性をも. antibody as a factor predictive of mechanical ven-. つ抗体は,重症のGBSに有意に高頻度にみられる.最. tilation in Guillain-Barre syndrome. Neurology. 近の抗GDla/GDlb複合体抗体陽性GBS 30例につい. 2004; 62: 821-824.. てしらべたところ,12例(40%)が人工呼吸器使用の. 5) Kaida K, Morita D, Kanzaki M, et aL Ganglioside. 必要な重症度5の症例であり,同抗体と重症GBSとの. complexes as new target antigens in Guillain-. 関連が再確認された.また上記のようにアンケートの. Barre syndrome. Ann Neurol 2004; 56: 567-571. 6) Kanda T, Hayashi H, Tanabe H, et al. A fulminant. 記載を調査したところ,6例で自律神経障害があり,そ. case of Guillain-Barre syndrome: topographic and. の6例は全て重症度が5であった.抗GDla/GDlb陽. fibre size related analysis of demyelinating. 性の重症GBSにおいて自律神.経障害をきたす頻度が. changes, J Neurol Neurosurg Psychiatry 1989; 52:. 高い可能性も考えられ,今後さらに症例を増やして検. 857-864. 7) Kusunoki S, Kaida K, Ueda M. Antibodies against. 討する必要がある.. gangliosides and ganglioside complexes in. 5)おわりに. Guillain-Barr6 syndrome: New aspects of re- search. Biochim Biophys Acta 2008; 1780: 441-. GBSにおいて自律神経障害は,予後を左右する重要. 444.. な症状である.しかしその病態の解析はまだ十分では. 8) Kuzumoto Y, Shioyama M, Kihara M, et aL Abnor-. ない.今後抗ガンダリオシド抗体と自律神経障害の. mal sudornotQr axon refiex and antiganglioside antibodies. Muscle Nerve 2006; 33: 828’829.. 関連についても,詳細な検討を行うことが必要と考え. 9) O’Hanlon GM, Plomp JJ, Chakrabarti M, et aL. られる.. Anti-GQIb ganglioside antibodies mediate complement-dependent destruction of the motor. 文 献. nerve terminal. Brain 2001; 124: 893-906.. 1) Asahina M, Kuwabara S, Suzuki A, et al Auto-. 10) Pan C-L, Tseng T-J, Lin Y-H, et aL Cutaneous in-. nomic function in demyelinating and axonal $ub-. nervation in Guillain-Barre syndrome: pathology. types of Guillain-Barre syndrome. Aeta Neurol. and clinical correlations. Brain 2003; 126: 386-397.. Scand 2002; 105: 44-50.. 11) Vernino S, Low PA, Fealey RD, et al. Autoanti-. 2) Chiba A, Kusunoki S, Obata H, et al. Serum anti-. bodies to ganglionic acetylcholine receptors in. GQIb lgG antibody is a$sociated with ophthalmo-. autoimmune autonomic neuropathies. N Engl J. plegia in Miller Fisher syndrome and Guillain-. Med 2000; 343: 847-855.. Barre syndrome: clinical and immunohistochemi-. 12) Winer JB, Hughes RAC. ldentification of patients. cal studies. Neurology 1993; 43: 1911-1917.. at risk of arrhythmia in the Guillain-Barr6 syn-. 3)井上健.郡山達男,池田順子ら.抗GDlb抗体お よび抗GQlb抗体の上昇を認め重篤な自律神経障. drome. Q J Med 1988; 257: 735’739.. (197). Presented by Medical*Online.
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