都 市 型 準 限 界 集 落 の 高 齢 者 に お け る フ レ イ ル 発 生 と 健 康 課 題
小 川 宣 子 1 ) 田 中 真 佐 恵 1 ) 山 本 十 三 代 1 )
菊 田 真 穂 2 ) 高 田 雅 弘 2 ) 小 堀 栄 子 1 )
摂 南 大 学 看 護 学 部 1 ) 薬 学 部 2 )
Prevalence of frailty occurrence and related health issues in elderly population in an
urban sub-limit settlements
Noriko OGAWA1 ) Masae TANAKA1 ) Tomiyo YAMAMOTO1 ) Maho KIKUTA2 ) Masahiro TAKADA2 ) Eiko KOBORI1 )
Setsunan University Faculty of Nursing1 ) Faculty of Pharmacy2 )
【 要 旨 】 都 市 型 準 限 界 集 落 で の 住 民 参 加 型 健 康 づ く り を 目 指 し て 、 住 民 の フ レ イ ル 発 生 を 評 価 し 、 予 防 の た め の 健 康 課 題 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 に 調 査 研 究 を 行 っ た 。 A 地 区 の 65 歳 以 上 の 住 民 を 対 象 に 、 留 め 置 き 法 に よ る 質 問 紙 調 査 を 行 っ た 。 調 査 項 目 は 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト に よ る フ レ イ ル 評 価 と 生 活 状 況 で 、 フ レ イ ル 区 分 ご と に 記 述 統 計 を 行 っ た 。 回 収 率 は 54.2% で そ の う ち 252 票 を 分 析 対 象 と し た 。 分 析 対 象 者 の 平 均 年 齢 は 76.7±0.4 歳 で 女 性 が 139 人 ( 55.6%) で あ っ た 。 プ レ フ レ イ ル 82 人 ( 32.5%)、 フ レ イ ル の 発 生 は 82 人 (32.5%)で あ っ た 。 健 康 課 題 は 、 抑 う つ 気 分 が 最 も 多 く 、 次 い で 認 知 機 能 低 下 で あ っ た 。 都 市 型 準 限 界 集 落 で は 高 齢 化 を 反 映 し て フ レ イ ル 割 合 が 高 く 、 抑 う つ や 認 知 機 能 の 低 下 は 、 さ ら に 外 出 行 動 を 抑 制 し 、 人 と の 交 流 を 減 少 さ せ る 可 能 性 が あ る 。 抑 う つ の 予 防 や 認 知 機 能 低 下 を 予 防 す る よ う な 働 き か け を 地 域 全 体 に 提 案 し 、 住 民 参 加 型 の 健 康 づ く り を し て い く こ と が 重 要 で あ る 。
1 課 題 我 が 国 の 高 齢 化 は 年 々 進 行 し 、令 和 元 年 高 齢 者 白 書 に よ る と 2018 年 の 高 齢 化 率 は 28.1% で あ る 1 )。 将 来 推 計 で も さ ら な る 増 加 が 予 測 さ れ る こ と か ら 、 高 齢 者 が 住 み 慣 れ た 地 域 で 自 分 ら し い 生 活 を 最 後 ま で 続 け ら れ る よ う 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム が 重 要 視 さ れ て い る 2 )。 高 齢 社 会 対 策 と し て 、 主 体 的 な 社 会 参 加 活 動 の 推 進 3 )や 地 域 の つ な が り の 強 化 を 目 指 す 4 ) な ど 様 々 な 政 策 が 展 開 さ れ て お り 高 齢 者 が 地 域 活 動 の 中 で 健 康 維 持 が で き る よ う 方 策 を 検 討 す る こ と が 求 め ら れ て い る 。 後 期 高 齢 者 の 増 加 に 対 応 し て 、厚 生 労 働 省 は 平 成 30 年 に「 高 齢 者 の 特 性 を 踏 ま え た 保 健 事 業 ガ イ ド ラ イ ン 」 を 提 示 し た 3)。 こ の ガ イ ド ラ イ ン で は 、 広 域 連 合 が 実 施 す る こ と が 望 ま し い 保 健 事 業 の 内 容 や 手 順 と 、 広 域 連 合 と 市 町 村 が 協 働 し 高 齢 者 の 健 康 づ く り や 介 護 予 防 等 の 事 業 と 連 携 し 実 施 す る 場 合 の 役 割 分 担 や 留 意 点 が 示 さ れ て い る 。 そ し て 、 高 齢 者 の 保 健 事 業 の 目 標 に は 、 在 宅 で 自 立 し た 生 活 を 送 れ る 高 齢 者 の 増 加 を 目 指 し 、 生 活 習 慣 病 等 の 重 症 化 予 防 と 高 齢 に よ る 心 身 機 能 の 低 下 防 止 に よ り フ レ イ ル ( 虚 弱 ) の 進 行 を 防 止 す る こ と が 明 記 さ れ 、 フ レ イ ル が 注 目 さ れ て い る 。 「 フ レ イ ル 」と は 、『 フ レ イ ル 診 療 ガ イ ド 2018 年 版 』5 )に よ る と「 加 齢 に 伴 う 予 備 能 力 低 下 の た め 、ス ト レ ス に 対 す る 回 復 力 が 低 下 し た 状 態 」を 表 す “frailty”の 日 本 語 訳 と し て 日 本 老 年 医 学 会 が 提 唱 し た 用 語 で あ る 。フ レ イ ル は 、「 要 介 護 状 態 に 至 る 前 段 階 と し て 位 置 づ け ら れ る が 、 身 体 的 脆 弱 性 の み な ら ず 精 神 ・ 心 理 的 脆 弱 性 や 社 会 的 脆 弱 性 な ど の 多 面 的 な 問 題 を 抱 え や す く 、自 立 障 害 や 死 亡 を 含 む 健 康 障 害 を 招 き や す い ハ イ リ ス ク 状 態 を 意 味 す る 。」 と 定 義 さ れ て い る 6 )。 フ レ イ ル は 、 身 体 活 動 低 下 や 抑 う つ 、 低 栄 養 な ど 様 々 な 要 因 が 影 響 し 悪 循 環 を 起 こ し や す い 7 )( 図 1)が 、可 逆 的 で 身 体 活 動 な ど の 適 切 な 介 入 に よ っ て 優 位 な 改 善 が み ら れ る こ と か ら そ の 効 果 的 な 介 入 の 検 討 が 求 め ら れ て い る 。日 本 で は 、2012 年 か ら 千 葉 県 柏 市 の 地 域 在 住 高 齢 者 ( 自 立 ~ 要 支 援 ) を 対 象 と し た コ ホ ー ト 研 究 と し て 「 大 規 模 長 期 縦 断 追 跡 健 康 調 査 ( 柏 ス タ デ ィ )」 が 実 施 さ れ て い る 。 飯 島 は そ の 成 果 と し て 、 フ レ イ ル ( 虚 弱 ) に は 身 体 的 な 虚 弱( フ ィ ジ カ ル・フ レ イ ル )だ け で は な く 、精 神 心 理 的 な 虚 弱( メ ン タ ル・フ レ イ ル )や 社 会 的 な 虚 弱( ソ ー シ ャ ル・フ レ イ ル )が 複 雑 に 関 連 し て い る こ と 、健 康 長 寿 の た め に 大 切 な ポ イ ン ト と し て 「 栄 養 ( 食 ・ 口 腔 機 能 )」「 運 動 」「 社 会 参 加 」 と い う 3 つ の 柱 が あ る こ と 、3 つ の 柱 は 相 互 に 影 響 し て お り 身 体 が 衰 え る 最 初 の 入 り 口 に な り や す い の は「 社 会 参 加 」 の 機 会 の 低 下 で あ る こ と 等 を 明 ら か に し て い る 8 )。 下 方 ら は 、 国 内 の 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の う ち 、 フ レ イ ル の 有 病 率 は 男 性 で 5.2 パ ー セ ン ト 、 女 性 で 12.0 パ ー セ ン ト で あ り 、 年 代 ご と に 増 加 し て お り 、 フ レ イ ル の 前 段 階 に あ た る プ レ フ レ イ ル の 有 病 者 は 高 齢 者 の 半 数 以 上 い た と 報 告 し て い る 9 )。し た が っ て 、高 齢 化 に 伴 い フ レ イ ル の 発 生 は 避 け ら れ ず 、相 当 数 の 高 齢 者 が 該 当 す る こ と か ら 早 期 の 段 階 か ら 無 理 な く 予 防 や 改 善 で き る よ う に 対 策 や 支 援 を 実 施 す る こ と が 重 要 で あ る 。
筆 者 ら は 都 市 型 準 限 界 集 落 で あ る A 地 区 の 健 康 プ ロ ジ ェ ク ト を 2017 年 よ り 展 開 し て き た 。 限 界 集 落 と は 、 大 野 に よ っ て 「 65 歳 以 上 の 高 齢 者 が 集 落 人 口 の 半 数 を 超 え , 冠 婚 葬 祭 を は じ め 田 役 , 道 役 な ど の 社 会 的 共 同 生 活 の 維 持 が 困 難 な 状 態 に 置 か れ て い る 集 落 」 と 定 義 さ れ て お り 1 0 )、 過 疎 が 進 行 し た 農 村 ・ 山 間 地 域 だ け で は な く 都 市 部 の 郊 外 住 宅 で 増 加 し て い る 。 限 界 集 落 の 前 段 階 と し て 、「 準 限 界 集 落 」 は 55 歳 以 上 の 人 口 比 率 が 50%を 超 え て い る 場 合 と さ れ 、 現 在 は 共 同 体 の 機 能 を 維 持 し て い る が 、 跡 継 ぎ の 確 保 が 難 し く な っ て お り 、 限 界 集 落 の 予 備 軍 と な っ て い る 状 態 で あ る 1 0 )。 都 市 型 準 限 界 集 落 で は 、 世 代 を 超 え た 住 民 相 互 の つ な が り が 少 な く 、高 齢 者 の 閉 じ こ も り が 増 加 す る と い う 健 康 課 題 が あ る た め 、 住 民 の 役 割 意 識 を 醸 成 し 、 世 代 間 の 交 流 が で き る 多 様 な 活 躍 の 場 を 提 供 す る ま ち づ く り の 仕 掛 け が 重 要 で あ る こ と が 明 ら か に な っ て い る 11 )こ と か ら 、 住 民 の 役 割 や 交 流 を 大 切 に し た 住 民 参 加 型 の 健 康 づ く り を 提 案 し て い く こ と が 重 要 で あ る 。 そ こ で 、本 研 究 で は 、都 市 型 準 限 界 集 落 で の 住 民 参 加 型 健 康 づ く り を 目 指 し て 、住 民 の フ レ イ ル 発 生 を 評 価 し 、 予 防 の た め の 健 康 課 題 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と す る 。 今 後 さ ら に 進 行 す る 都 市 部 で の 超 高 齢 社 会 に お い て 、 フ レ イ ル 予 防 に 関 す る 健 康 課 題 を 具 体 的 に 把 握 す る こ と は 支 援 方 法 を 探 る こ と に つ な が る 。 2 方 法 2 . 1 対 象 地 域 の 概 況 A 地 区 は 、大 阪 府 の 北 東 に 位 置 す る 市 の 北 西 部 に あ る 平 坦 な 台 地 地 域 で 、川 と 鉄 道 に 隣 接 す る 面 積 約 2.3ha の 地 区 で あ る 。人 口 1,494 人( 742 世 帯 )、高 齢 化 率 は 48.1%( 前 期 高 齢 者 の 割 合 17.5% 、 後 期 高 齢 者 の 割 合 30.5% ) で あ り 、 55 歳 以 上 人 口 が 59.8% に 達 し て い る( 2019 年 7 月 現 在 )。50 年 ほ ど 前 か ら 団 地 や 戸 建 て が 立 ち 並 び 、人 口 増 と 市 図 1 フ レ イ ル ・ サ イ ク ル ( 文 献 7 ) よ り 改 変 )
街 化 が 進 ん で い っ た 。地 域 内 に は 郵 便 局 、約 200 床 の 病 院 、公 園 、数 件 の 飲 食 店 な ど が あ る が 、食 料 品 や 日 用 品 の 買 い 物 が で き る 店 舗 は な い 。自 治 会 加 入 率 は 約 88% で あ り 、 10 を 超 え る 地 域 の サ ー ク ル 活 動 が 盛 ん に 行 わ れ て い る 。 筆 者 ら は 、 2017 年 度 よ り A 地 区 健 康 プ ロ ジ ェ ク ト と し て 地 域 の 連 絡 協 議 会 と 連 携 し て 夏 祭 り で の 健 康 チ ェ ッ ク を 、 2018 年 度 か ら は 防 災 訓 練 で の 出 張 講 座 な ど を 行 い 、 薬 学 部・看 護 学 部 学 生 の ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 支 援 や 地 域 の 健 康 課 題 を 検 討 す る 演 習 科 目 の 授 業 展 開 を 行 う な ど し て 健 康 プ ロ ジ ェ ク ト を 実 施 し て い る 。 2 . 2 対 象 A 地 区 に 居 住 す る 40 歳 以 上 の 住 民 へ 質 問 紙 を 配 布 し 回 答 を 依 頼 し た 。 そ の う ち 、 65 歳 以 上 の 高 齢 者 で 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト 、年 齢 、性 別 、世 帯 構 成 、治 療 が 必 要 な 病 気 の 有 無 、主 観 的 健 康 感 、主 観 的 経 済 状 況 に お い て 欠 損 値 の な い も の 、複 数 回 答 な ど 誤 っ た 記 入 の な い も の を 分 析 対 象 と し た 。 2 . 3 調 査 方 法 お よ び 期 間 A 地 区 の 自 治 会 活 動 の 決 定 機 関 で あ る 地 区 連 絡 協 議 会 へ 研 究 協 力 の 依 頼 を 口 頭 と 文 書 で 行 い 、無 記 名 自 記 式 質 問 紙 に て 調 査 を 行 っ た 。調 査 期 間 は 、2019 年 7 月 か ら 同 年 8 月 で あ っ た 。 2 . 4 デ ー タ 収 集 方 法 質 問 紙 は 自 治 会 へ 協 力 を 依 頼 し 、自 治 会 に 加 入 し て い る 全 戸( 653 世 帯 )へ 回 覧 に て 配 布 し た 。質 問 紙 の 回 答 は 無 記 名 と し 、回 答 済 み 質 問 紙 は 各 自 厳 封 の 上 、地 区 内 に 設 置 し た ポ ス ト へ の 投 函 を 依 頼 し た 。 ポ ス ト は 鍵 付 き で 、 地 区 内 の 自 治 会 館 や 役 員 自 宅 な ど 10 か 所 に 設 置 し 、 調 査 期 間 中 2 日 お き に 研 究 者 が 回 収 し た 。 2 . 5 調 査 項 目 ( 1) 基 本 属 性 対 象 者 の 基 本 的 属 性 と し て 、 年 齢 ・ 性 別 ・ 身 長 ・ 体 重 ・ BMI・ 世 帯 構 成 ( 2) 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト 2006 年 に 介 護 保 険 に よ る 二 次 予 防 事 業 対 象 者 ( 近 い 将 来 介 護 が 必 要 と な る 危 険 の 高 い 高 齢 者 )を 抽 出 す る た め に 厚 生 労 働 省 に よ り 開 発 さ れ た 指 標 で あ る ( 表 1)。 最 近 で は 介 護 予 防 相 談 者 の 状 況 を 評 価 す る ツ ー ル と し て 用 い ら れ て い る 。25 項 目 の 2 件 法( は い ・ い い え )で 構 成 さ れ 、全 般 的 な 生 活 機 能( № 1-5)、運 動 機 能( № 6-10)、低 栄 養 状 態( № 11-12)、口 腔 機 能( № 13-15)、閉 じ こ も り( № 16-17)、認 知 機 能( № 18-20)、抑 う つ 気 分( № 21-25)の 7 領 域 を 評 価 す る こ と が で き る 。領 域 ご と に お い て 二 次 予 防 事 業 対 象 者 の 選 定 基 準 が 決 め ら れ て お り 、 地 域 在 住 高 齢 者 を 対 象 と し た 疫 学 調 査 に よ っ て 25 項 目 の う ち 7~ 8 項 目 以 上 に 該 当 す る 場 合 に は 要 介 護 認 定 や 死 亡 の リ ス ク が 有 意 に 高 く 、妥 当
性 が 検 証 さ れ て い る 1 2)。 近 年 、 フ レ イ ル 診 断 に 有 効 な 指 標 と し て 活 用 さ れ て い る 。
表 1 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト
( 3) 健 康 ・ 生 活 状 況 主 観 的 健 康 感 ・ 主 観 的 経 済 状 況 は 2019 年 度 国 民 生 活 基 礎 調 査 で 使 用 さ れ た 項 目 で 、「 あ な た の 現 在 の 健 康 状 態 は い か が で す か 」「 現 在 の 暮 ら し の 経 済 的 な 状 況 を ど う 感 じ て い ま す か 」 を 3 件 法 ( よ い ・ 普 通 ・ よ く な い /苦 し い ) で 設 定 し た 。治 療 中 の 病 気 の 有 無 は 、あ り・な し で 選 択 を 求 め た 。日 常 生 活 動 作 は 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト の № 1「 バ ス や 電 車 で 一 人 で 外 出 し て い ま す か 」、 № 2「 日 用 品 の 買 い 物 を し て い ま す か 」の 2 項 目 の 回 答 内 容 を 用 い た 。社 会 活 動 は 平 成 29 年 度 国 民 健 康 ・ 栄 養 調 査 で 使 用 さ れ た 項 目 で 、 個 人 的 活 動 の 1 項 目 ( 趣 味 や 稽 古 ご と へ の 参 加 )と 地 域 的 活 動 の 3 項 目( 地 域 行 事 の 参 加 、老 人 ク ラ ブ へ の 参 加 、ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 )の 計 4 項 目 を 2 件 法( す る ・ ほ と ん ど し な い )で 設 定 し た 。 運 動 習 慣 と し て 一 週 間 の 運 動 日 数 の 記 載 を 求 め た 。 2 . 6 分 析 方 法 フ レ イ ル の 評 価 は 、Satake ら の 報 告 1 2 )に 従 っ て 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト 25 項 目 の 合 計 得 点 が 3 点 以 下 を 非 フ レ イ ル 、 4~ 7 点 を フ レ イ ル 予 備 群 ( 以 下 プ レ フ レ イ ル )、 8 点 以 上 が フ レ イ ル と し た 。 年 齢 、 性 別 ご と に 各 フ レ イ ル に 区 分 ( 非 フ レ イ ル ・ プ レ フ レ イ ル ・ フ レ イ ル )し 、割 合 を 算 出 し た 。基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト の 回 答 か ら 、二 次 予 防 事 業 対 象 者 の 選 定 基 準 ( 表 1) を 用 い て 評 価 し 、 全 般 的 な 生 活 機 能 の 低 下 ・ 運 動 機 能 低 下 ・ 低 栄 養 状 態 ・ 口 腔 機 能 低 下 ・閉 じ こ も り ・ 認 知 機 能 低 下 ・ 抑 う つ 気 分 の 7 つ の 健 康 課 題 に つ い て 、フ レ イ ル 区 分 ご と に 集 計 し 割 合 を 算 出 し た 。さ ら に 、フ レ イ ル 区 分 ご と に 基 本 属 性 と 健 康 ・ 生 活 状 況 、 日 常 生 活 関 連 動 作 に つ い て 記 述 統 計 を 行 っ た 。 統 計 解 析 に は IBM SPSS Statistics ver.25 を 用 い た 。 2 . 7 倫 理 的 配 慮 本 研 究 は 、A 大 学 人 を 対 象 と す る 研 究 倫 理 審 査 委 員 会 で の 審 査 お よ び 承 認( 2019-019)を 得 て か ら 実 施 し た 。対 象 者 へ は 、書 面 に 研 究 の 目 的 と 方 法 、研 究 へ の 協 力 は 自 由 意 志 で あ り 、プ ラ イ バ シ ー の 保 護 や 個 人 が 特 定 さ れ な い よ う に 匿 名 性 を 守 る こ と な ど を 記 載 し 、協 力 の 依 頼 を 行 っ た 。な お 、研 究 へ の 協 力 は 調 査 票 の 提 出 を も っ て 同 意 を 得 た も の と し た 。 3 結 果 A 地 区 40 歳 以 上 人 口 1150 人 ( 2019 年 7 月 現 在 ) の う ち 、 65 歳 以 上 の 高 齢 者 は 718 人 で 、 そ の う ち 389 人 ( 回 収 率 54.2% ) か ら 回 答 が 得 ら れ た 。 こ の う ち 欠 損 値 等 の あ る も の を 除 い た の は 252 人 ( 有 効 回 答 率 64.8% ) で あ っ た 。 3 . 1 基 本 属 性 と フ レ イ ル 区 分 ご と の 生 活 状 況 表 2 に 基 本 属 性 と フ レ イ ル 区 分 ご と の 生 活 状 況 を 示 し た 。分 析 対 象 者 全 体 の 平 均 年 齢 は 76.7±0.4 歳 で 女 性 が 139 人 ( 55.6%) で あ っ た 。 フ レ イ ル に 該 当 す る 対 象 者 ( 82 人 )
表 2 基 本 属 性 と フ レ イ ル 区 分 ご と の 生 活 状 況
年齢,歳(SD) 76.7 ± 0.4 73.7 ± 0.5 77.0 ± 0.7 79.6 ± 0.7 性別,女性(%)
身長,㎝(SD) 158 ± 0.5 158.5 ± 0.9 158.3 ± 0.8 157.2 ± 0.9
体重,㎏(SD) 56.2 ± 0.6 56.4 ± 1.2 57.0 ± 0.9 55.1 ± 1.0
BMI(body mass index), (SD) 22.4 ± 0.2 22.3 ± 0.3 22.7 ± 0.30 22.3 ± 0.3
世帯構成,独居(%) 主観的健康観,(%) よい 普通 よくない 治療中の病気の有無,(%) あり なし 主観的経済状況,(%) ゆとりがある 普通 苦しい バスや電車で一人で外出,(%) はい いいえ 日用品の買い物,(%) はい いいえ 趣味やお稽古事の参加,(%) あり なし 町内会の活動,(%) あり なし 老人クラブの参加,(%) あり なし ボランティア活動の参加,(%) あり なし 一週間の運動日数,日(SD) 3.4 ± 0.2 3.7 ± 0.3 3.7 ± 0.3 2.8 ± 0.3 項目 全体 非フレイル プレフレイル フレイル n=252 n=88 n=82 n=82 139 (55.6) 52(59.1) 44(53.7) 43(52.4) 35(14.0) 12(13.6) 10(12.3) 13(16.0) 116(46.2) 39(44.3) 42(51.5) 35(42.7) 51(20.3) 4(4.5) 9(11.1) 38(46.3) 84(33.5) 45(51.1) 30(37.0) 9(11.0) 49(19.4) 19(21.6) 20(24.4) 20(24.4) 161(63.9) 59(67.0) 48(58.5) 54(65.9) 186(74.4) 58(66.7) 56(68.3) 72(88.9) 64(25.6) 29(33.3) 26(31.7) 9(11.1) 200(79.4) 87(98.9) 67(81.7) 46(56.1) 42(16.7) 10(11.4) 14(17.1) 18(22.0) 30(11.9) 1(1.1) 4(4.9) 24(30.5) 157(68.0) 67(81.7) 55(73.3) 35(47.3) 52(20.6) 1(1.1) 15(18.3) 36(43.9) 222(88.1) 87(98.9) 78(95.1) 57(69.5) 129(55.8) 40(48.8) 41(56.2) 48(63.2) 42(18.5) 15(19.0) 15(20.5) 12(16.0) 73(31.6) 15(18.3) 19(25.3) 39(52.7) 102(44.2) 42(47.7) 32(43.8) 28(34.1) 172(75.1) 51(62.2) 58(78.4) 63(86.3) 185(81.5) 64(81.0) 58(79.5) 63(84.0) 57(24.9) 31(37.8) 16(21.6) 10(13.7)
に 注 目 す る と 、平 均 年 齢 が 80 歳 で 非 フ レ イ ル よ り も 高 く 、男 女 数 は ほ ぼ 同 数 で あ っ た 。 ま た 、 BMI は 22.3±0.3( SD) で 非 フ レ イ ル の 平 均 と 同 様 の 結 果 で あ り 、 独 居 の 割 合 は 非 フ レ イ ル と 変 わ ら な か っ た 。主 観 的 健 康 感 で は 、82 人 中 38 人( 46.3%)と 半 数 近 く が 「 よ く な い 」 を 選 択 し て お り 、 治 療 中 の 病 気 が あ る 対 象 者 が 8 割 を 超 え て い た 。 主 観 的 経 済 状 況 で は 、「 苦 し い 」 が 非 フ レ イ ル よ り 2 倍 多 い 割 合 で あ っ た 。 日 常 生 活 動 作 は 、 「 バ ス や 電 車 で 一 人 で 外 出 」「 日 用 品 の 買 い 物 」 が 非 フ レ イ ル や プ レ フ レ イ ル に 比 べ る と 少 な い 割 合 で は あ る が 、半 数 が 実 施 し て い た 。社 会 活 動 の う ち 、「 趣 味 や お 稽 古 事 の 参 加 」 の 個 人 的 活 動 は 4 割 程 度 あ っ た 。 地 域 的 活 動 は 「 地 域 行 事 の 参 加 」 が 非 フ レ イ ル で も 88 人 中 42 人 ( 47.7%) と 半 数 に 満 た な い 結 果 で あ っ た が 、 フ レ イ ル で は 82 人 中 28 人( 34.1%)と さ ら に 低 い 割 合 で あ っ た 。ま た 、「 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 参 加 」「 老 人 ク ラ ブ の 参 加 」 は 2 割 に 満 た な か っ た 。 運 動 習 慣 で は 1 週 間 の 運 動 日 数 が 平 均 で 2.8 日 で あ っ た 。 3 . 2 年 齢 階 級 別 に お け る フ レ イ ル 区 分 表 3 に 年 齢 階 級 別 に お け る フ レ イ ル 割 合 を 示 し た 。 対 象 者 の う ち 、 非 フ レ イ ル 88 人 ( 34.9%)、 プ レ フ レ イ ル 82 人 ( 32.5%)、 フ レ イ ル の 発 生 は 82 人 ( 32.5%) で あ っ た 。 フ レ イ ル の 発 生 を 年 齢 階 級 別 で 見 て み る と 、 65~ 69 歳 が 30 人 中 4 人 ( 13.3%) と 最 も 少 な く 、 年 齢 ご と に 増 加 し 、 85 歳 以 上 で は 34 人 中 21 人( 61.8%)と 最 も 多 か っ た 。 男 女 と も 同 じ 傾 向 で 、 男 性 と 女 性 で 割 合 の 違 い は な か っ た 。 対 象 者 全 体 か ら 75 歳 以 上 の 後 期 高 齢 者 の フ レ イ ル 発 生 割 合 を 求 め る と 155 人 中 67 人( 43.2%)で あ っ た 。プ レ フ レ イ ル も 年 齢 階 級 が 高 く な る ほ ど 、人 数 が 増 加 し て い た 。非 フ レ イ ル は 、年 齢 階 級 が 高 く な る ほ ど 人 数 が 減 少 し て お り 、 85 歳 以 上 で は 34 人 中 3 人 ( 8.8%)と 少 な か っ た 。 表 3 年 齢 区 分 別 の フ レ イ ル 有 病 率 全体,n(%) 年齢区分別, n (%) 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 85歳以上 再掲 75歳以上 36(23.2) 16(10.3) 20(12.9) 52(33.5) 27(17.4) 25(16.1) 67(43.2) 34(21.9) 33(21.3) 全体 n=252 男性 n=113 女性 n=139 155(100) 77(49.7) 78(50.3) 9(20.0) 3(8.8) 2(5.9) 1(2.9) 10(29.4) 5(14.7) 5(14.7) 21(61.8) 13(38.2) 18(23.6) 9(20.0) 7(15.6) 2(4.4) 18(40.0) 10(22.2) 11(16.4) 2(3.0) 8(17.8) 18(40.0) 9(20.0) 9(13.4) 24(31.6) 7(9.2) 17(22.4) 24(31.6) 12(15.8) 12(15.8) 28(36.8) 12(15.8) 16(21.0) 35(52.2) 14(20.9) 21(31.3) 21(31.3) 8(11.9) 13(19.4) n=44 n=82 n=39 n=43 17(56.7) 6(20.0) 11(36.7) 9(30.0) 3(10.0) 6(20.0) 4(13.3) 3(10.0) 1(3.3) n=88 n=36 n=52 n=82 n=38 全体 男性 女性 全体 男性 女性 フレイル 全体 男性 女性 82(32.5) 非フレイル プレフレイル 12(40.0) 18(60.0) 67(100) 24(35.8) 43(64.2) 88(34.9) 82(32.5) 34(100) 20(58.8) 14(41.2) 76(100) 31(40.8) 45(59.2) 45(100) 26(57.8) 19(42.2) 30(100)
3 . 3 フ レ イ ル 区 分 と 健 康 課 題 表 4 に フ レ イ ル 区 分 ご と に 、 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト 7 領 域 の 健 康 課 題 に そ れ ぞ れ に 該 当 し た 人 数 を 集 計 し た 。全 体 で は 抑 う つ 気 分 が 252 人 中 97 人( 38.5%)で 最 も 多 く 、次 い で 認 知 機 能 低 下 が 92 人 ( 36.5%)、 口 腔 機 能 低 下 が 66 人 ( 26.2%) で あ っ た 。 低 栄 養 は 5 人( 2%)と 少 数 で あ っ た 。プ レ フ レ イ ル で は 、認 知 機 能 低 下 に 82 人 中 30 人( 36.6%)、 抑 う つ 気 分 に 28 人( 34.1%)が 該 当 し て い た 。フ レ イ ル で は プ レ フ レ イ ル 同 様 に 、認 知 機 能 低 下 と 抑 う つ 気 分 が よ り 高 い 割 合 で 該 当 し て い た 。 加 え て 、 運 動 機 能 低 下 が 82 人 中 47 人 ( 57.3%)、 口 腔 機 能 低 下 が 43 人 ( 52.4%)、 全 般 的 な 生 活 機 能 の 低 下 が 31 人 ( 37.8%) に 生 じ て い た 。 表 4 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト に よ る 健 康 課 題 と フ レ イ ル 区 分 4 考 察 都 市 型 準 限 界 集 落 の 65 歳 以 上 の 高 齢 者 に お け る フ レ イ ル は ほ ぼ 3 分 の 1 に お よ び 、プ レ フ レ イ ル も 同 割 合 で あ っ た 。 健 康 課 題 は 抑 う つ 気 分 が 最 も 多 く 、 認 知 機 能 の 低 下 、 口 腔 機 能 の 低 下 が 続 い て い た 。 フ レ イ ル に 該 当 す る 対 象 者 は 治 療 中 の 病 気 を 有 し 、 自 己 の 健 康 状 態 を 「 よ く な い 」 と 感 じ て い る 割 合 が 多 か っ た 。 ま た 生 活 行 動 で は 外 出 や 買 い 物 を 半 数 以 上 で 実 施 し て い た が 非 フ レ イ ル や プ レ フ レ イ ル と 比 べ る と 明 ら か に 低 く 、 地 域 活 動 は 非 フ レ イ ル に 比 べ て 低 い こ と が 明 ら か に な っ た 。 4 . 1 都 市 型 準 限 界 集 落 に お け る フ レ イ ル 発 生 の 実 態 都 市 型 準 限 界 集 落 で あ る A 地 区 の 65 歳 以 上 の 対 象 者 に お い て 、3 割 を 超 え る 高 齢 者 が フ レ イ ル で あ っ た こ と は 、高 齢 化 率( 48.1%)を 反 映 し て 平 均 年 齢 が 高 い こ と と フ レ 項目 全般的な生活機能の低下,n(%) 運動機能低下, n(%) 低栄養状態, n(%) 口腔機能低下, n(%) 閉じこもり, n(%) 認知機能低下, n(%) 抑うつ気分, n(%) 31(12.3) 0(0.0) 0(0.0) 31(37.8) 92(36.5) 7(8.0) 30(36.6) 55(67.1) 62(24.6) 0(0.0) 15(18.3) 47(57.3) 18(7.1) 97(38.5) 2(2.3) 28(34.1) 67(81.7) 5(2.0) 0(0.0) 1(1.2) 4(4.9) 66(26.2) 4(4.5) 19(23.2) 43(52.4) 2(2.3) 1(1.2) 15(18.3) 全体 n=252 非フレイル n=88 プレフレイル n=82 フレイル n=82
イ ル 評 価 に 用 い た 指 標 の 影 響 が あ る 。 フ レ イ ル の 高 齢 者 の 割 合 は 加 齢 と と も に 増 加 し 男 性 に 比 較 し て 女 性 が 多 い と 報 告 さ れ て い る 1 3 )1 4 )。 日 本 の 地 域 在 住 高 齢 者 を 対 象 に 行 っ た 調 査 の メ タ 解 析 に よ る と 、 フ レ イ ル 発 生 は 7.4% で あ り 1 4 )、今 回 の 調 査 で 使 用 し た 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト を 用 い た 最 近 の 報 告 で は 、 吉 澤 ら が 、 要 介 護 認 定 を 受 け て い な い 地 域 在 住 高 齢 者 ( 平 均 年 齢 71.8 歳 ) を 対 象 と し た 調 査 で フ レ イ ル 割 合 が 12.8%で あ っ た と 報 告 し て い る 1 5 )。 本 研 究 の 対 象 者 の 平 均 年 齢 76.7 歳 で あ り 、 比 較 す る と 今 回 の 調 査 結 果 は 年 代 ご と に 増 加 す る 点 は 同 様 で あ る が 、 フ レ イ ル の 割 合 は 2 倍 以 上 高 い 。 A 地 区 の 高 齢 化 率 は 48.1% と 公 表 さ れ て お り 、 調 査 対 象 者 の 平 均 年 齢 も 高 い こ と が 影 響 し た と 考 え ら れ る が そ れ 以 外 の 要 因 も 関 連 し て い る 可 能 性 が あ る 。フ レ イ ル の 危 険 因 子 に は 、生 活 習 慣 や 身 体 的 因 子・環 境 因 子 が あ る と 報 告 さ れ て お り 、 今 回 の 対 象 者 の フ レ イ ル 発 生 に 関 連 し て い る 要 因 の 特 性 は な に か 今 後 検 討 す る 必 要 が あ る 。 さ ら に 、 75 歳 以 上 の 対 象 者 の フ レ イ ル 発 生 割 合 は 155 人 中 67 名 ( 43.2%) で あ り 、 高 齢 化 が 今 後 進 行 し た 際 に は 地 域 の フ レ イ ル 高 齢 者 が 一 層 増 加 す る こ と が 懸 念 さ れ る 。 国 内 外 に お い て フ レ イ ル 診 断 方 法 に は 統 一 し た 基 準 は な く 、 用 い る 指 標 に よ っ て 発 生 率 の 高 低 は 異 な る 。 Collard ら は 、 海 外 の 文 献 レ ビ ュ ー に よ り 、 フ レ イ ル 評 価 法 の 違 い を 考 慮 し な い 場 合 、フ レ イ ル 高 齢 者 の 割 合 は ば ら つ き が 大 き く 、4.0~ 59.1%で あ っ た と 報 告 し て い る 1 3 )。 Fried ら に よ る Cardiovascular Health Study 基 準 ( CHS 基 準 ) は ① 体 重 減 少 、 ② 倦 怠 感 ( 疲 れ や す さ )、 ③ 活 動 性 低 下 、 ④ 筋 力 低 下 、 ⑤ 歩 行 速 度 低 下 の 5 つ の 徴 候 の う ち 3 つ 以 上 に 該 当 す る 場 合 を「 フ レ イ ル 」、1~ 2 つ に 該 当 す る 場 合 を「 プ レ フ レ イ ル 」、 い ず れ も 該 当 し な い 場 合 を 「 ロ バ ス ト ( 健 常 )」 と 分 類 し て い る 1 6 )。 こ の CHS 基 準 は 「 身 体 的 フ レ イ ル 」 の 代 表 的 な 診 断 法 で 多 く の フ レ イ ル の 調 査 で 使 用 さ れ て い る が 、 握 力 や 歩 行 速 度 の 測 定 と い っ た 実 測 を 会 場 で 実 施 す る た め 、 質 問 紙 等 で 行 う 評 価 に 比 べ 有 症 率 が 低 い 傾 向 に あ る 。 今 回 の 調 査 で 用 い た 基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト は 「 身 体 的 フ レ イ ル 」だ け で な く「 心 理・社 会 的 フ レ イ ル 」も 評 価 で き 総 合 的 な フ レ イ ル を 評 価 す る た め に 有 用 で あ る が 、 フ レ イ ル の 発 生 は CHS 基 準 に よ る 評 価 に 比 べ 高 い 割 合 を 示 し て い る 可 能 性 が あ る 。 以 上 よ り 、基 本 チ ェ ッ ク リ ス ト を 使 用 し た 評 価 の 影 響 は あ る も の の 、都 市 型 準 限 界 集 落 で は フ レ イ ル 高 齢 者 の 割 合 が 高 く 、 プ レ フ レ イ ル の 割 合 も 同 様 で あ る こ と か ら 今 後 も フ レ イ ル が 増 加 す る 可 能 性 が 高 い と い え る 。 4 . 2 都 市 型 準 限 界 集 落 に お け る 健 康 課 題 対 象 者 の 健 康 課 題 の 評 価 で 特 に 多 か っ た の は 抑 う つ 気 分( 38.5%)と 認 知 機 能 の 低 下 ( 36.5%)で あ っ た 。抑 う つ は フ レ イ ル の 危 険 因 子 の 一 つ で あ り( Vaughan 2015)、フ レ イ ル は 身 体 的 、心 理・認 知 、社 会 的 側 面 が 相 互 に 関 連 し て い る と さ れ る こ と か ら 、抑 う つ は 身 体 活 動 や 社 会 活 動 に 影 響 を 及 ぼ す と い え る 。 高 齢 者 に 抑 う つ が 起 こ る 原 因 に は 認 知 症 や 脳 血 管 疾 患 な ど の 疾 患 や 薬 以 外 に 、 家 族 や 友 人 と の 死 別 な ど 、 環 境 の 大 き な
変 化 や 、定 年 退 職 な ど の 社 会 的 役 割 の 喪 失 、老 化 に よ る 身 体・認 知 機 能 の 低 下 な ど 多 く の 因 子 が あ る 。 今 回 の 対 象 者 も 7 割 以 上 が 治 療 中 の 病 気 が あ り 、 健 康 上 の 不 安 や 不 調 を 感 じ る こ と が 抑 う つ に 影 響 し て い る と 考 え ら れ る 。 ま た 、 本 研 究 の 対 象 者 で は 独 居 が 14% で あ り 、令 和 元 年 高 齢 社 会 白 書( 内 閣 府 )1 )に よ る 高 齢 者 の 単 独 世 帯 割 合( 26.4% ) よ り も 低 い 結 果 で あ っ た 。 夫 婦 や 子 供 と の 同 居 な ど は 多 い が 、 同 居 家 族 の 就 労 等 に よ り 日 中 は 高 齢 者 が 一 人 で 過 ご す こ と が あ る な ど 、 生 活 面 で の 不 安 が 抑 う つ に 影 響 し て い る 可 能 性 が あ る 。 趣 味 や お 稽 古 事 の 参 加 や 地 域 行 事 の 参 加 と い っ た 社 会 参 加 は 、 非 フ レ イ ル と 比 較 す る と プ レ フ レ イ ル や フ レ イ ル で は 低 い 割 合 で あ っ た 。 家 族 だ け で な く 、 友 人 や 地 域 の 人 と の 交 流 の 減 少 も 抑 う つ の 一 因 と な っ て い る 可 能 性 も あ る 。 一 方 、加 齢 に 伴 う 認 知 機 能 の 低 下 は 、様 々 な 因 子 に よ り 個 人 差 が 大 き く 生 じ る 。国 際 老 年 学 老 年 医 学 会 に よ り 、 身 体 的 フ レ イ ル と 認 知 機 能 障 害 は 共 存 す る と 提 唱 さ れ て お り 1 7 )、 認 知 症 の 段 階 に 至 っ て い な く て も 身 体 機 能 の 低 下 に 伴 っ て 認 知 機 能 が 低 下 す る と 日 常 生 活 行 動 に 影 響 が 生 じ る 。 今 回 の 調 査 で 行 っ た 認 知 機 能 の 低 下 の 評 価 は 質 問 紙 に よ る 自 覚 的 な 物 忘 れ の 有 無 の チ ェ ッ ク で あ る 。「 周 り の 人 か ら『 い つ も 同 じ こ と を 聞 く 』と い わ れ る 」や「 今 日 の 日 付 が わ か ら な い 」な ど の 項 目 で「 は い 」を 選 択 し て い る と い う こ と は 、 日 ご ろ の 生 活 の 中 で 不 安 を 感 じ る こ と が あ り 、 ま た 生 活 行 動 の 円 滑 な 実 施 が 妨 げ ら れ て い る 可 能 性 が あ る 。 生 活 行 動 の 縮 小 は さ ら な る 認 知 機 能 の 低 下 を 招 く 危 険 性 が あ り 、 対 象 者 の 日 常 生 活 行 動 に 注 目 す る 必 要 が あ る 。 フ レ イ ル に 該 当 し た 対 象 者 は 、 バ ス や 電 車 を 使 っ た 外 出 や 日 用 品 の 買 い 物 は 半 数 以 上 で 実 施 し て い た が 、 地 域 活 動 は 非 フ レ イ ル に 比 べ て 少 な い 割 合 で あ っ た 。 い わ ゆ る 食 事 ・ 排 泄 と い っ た 基 本 的 日 常 生 活 動 作( ADL)よ り も 、交 通 機 関 を 使 っ て の 外 出 や 日 常 の 買 い 物 、地 域 の 人 と の 交 流 な ど の 手 段 的 ADL は よ り 複 雑 で 多 く の 労 作 が 求 め ら れ る た め 、加 齢 や 認 知 機 能 の 低 下 に 伴 い 低 下 し や す い 。 認 知 機 能 の 低 下 に よ り 生 じ る 生 活 行 動 の 変 化 に 注 目 し て 行 く 必 要 が あ る 。 都 市 型 準 限 界 集 落 は 、都 市 部 に お い て 55 歳 以 上 の 人 口 比 率 が 50%を 超 え て い る 場 合 と さ れ 、 限 界 集 落 の 予 備 軍 と な っ て い る 状 態 1 0 )で あ る 。 こ の よ う な 地 域 で は 、 世 代 を 超 え た 住 民 相 互 の つ な が り が 少 な く 、 高 齢 者 の 閉 じ こ も り が 増 加 す る と い う 健 康 課 題 が あ る と 先 行 研 究 で 指 摘 さ れ て い る 11 )。 A 地 区 高 齢 者 に 生 じ て い る 抑 う つ や 認 知 機 能 の 低 下 は 、今 後 さ ら に 外 出 行 動 を 抑 制 し 、人 と の 交 流 を 減 少 さ せ る 可 能 性 が あ る 。準 限 界 集 落 で は 、 地 域 活 動 の 継 続 や 参 加 が 困 難 に な り や す く 、 地 域 住 民 同 士 の 会 話 や 心 の 交 流 の 機 会 が 普 段 の 生 活 の 場 で 減 少 す る 可 能 性 が あ る 。 以 上 よ り 抑 う つ の 予 防 や 認 知 機 能 低 下 を 予 防 す る よ う な 働 き か け を 地 域 全 体 に 提 案 し 、 住 民 参 加 型 の 健 康 づ く り を し て い く こ と が 都 市 型 準 限 界 集 落 に お け る 健 康 課 題 を 解 決 す る う え で 重 要 と 考 え る 。 4 . 3 研 究 の 限 界 と 課 題 本 研 究 で は 、回 収 率 54.2%で あ っ た が 、質 問 紙 の 未 記 入 や 欠 損 値 等 の あ る も の が 多 く 有 効 回 答 率 が 低 か っ た 。 今 後 は 高 齢 者 が 回 答 し や す い よ う に 文 字 の 大 き さ や 質 問 項 目
の わ か り や す さ な ど を 工 夫 す る と と も に 、 未 記 入 や 欠 損 値 と な っ た 対 象 者 も 含 め た 分 析 に よ っ て 結 果 の 妥 当 性 を 高 め る こ と が 課 題 で あ る 。
謝 辞
調 査 に ご 協 力 い た だ い た 方 々 に 心 か ら 感 謝 申 し 上 げ ま す 。 本 研 究 は 、 2019 年 度 摂 南 大 学 研 究 助 成「 Smart and Human 研 究 助 成 金 」の 助 成 を 受 け て 行 っ た 。本 研 究 に 関 し て 開 示 す べ き 利 益 相 反 は あ り ま せ ん 。 引 用 ・ 参 考 文 献 1) 総 務 省 , 2019 , 令 和 元 年 高 齢 社 会 白 書 , https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf( 2020 年 2 月 16 日 閲 覧 ) 2) 厚 生 労 働 省 , 2016 , 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム , https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/( 2020 年 2 月 16 日 閲 覧 ) 3) 厚 生 労 働 省 , 2018 , 高 齢 社 会 対 策 大 綱 , https://www8.cao.go.jp/kourei/ measure/taikou/pdf/p_honbun_h29.pdf ( 2020 年 2 月 16 日 閲 覧 ) 4) 厚 生 労 働 省 , 2013 , 健 康 日 本 21 概 要 , http://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/intro/index_menu1.ht ml( 2020 年 2 月 16 日 閲 覧 ) 5) 日 本 老 年 医 学 会 / 国 立 長 寿 医 療 研 究 セ ン タ ー , 2018, フ レ イ ル 診 療 ガ イ ド 2018 年 版 . 6) 日 本 老 年 医 学 会 , 2014 フ レ イ ル に 関 す る 日 本 老 年 医 学 会 か ら の ス テ ー ト メ ン ト .; 7) Xue Q. L., Bandeen-Roche K., Varadhan R., 2008, Initial manifestations of frailty criteria
and the development of frailty phenotype in the Wo men's Health and Aging Study II. J Gerontol A Biol Sci Med Sci; 63: 984-990.
8) 飯 島 勝 也 ,2016,口 腔 機 能 ・ 栄 養 ・ 運 動 ・ 社 会 参 加 を 総 合 化 し た 複 合 型 健 康 増 進 プ ロ グ ラ ム を 用 い て の 新 た な 健 康 づ く り 市 民 サ ポ ー タ ー 養 成 研 修 マ ニ ュ ア ル の 考 案 と 検 証 ( 地 域 サ ロ ン を 活 用 し た モ デ ル 構 築 )を 目 的 と し た 研 究 事 業 ,平 成 2 7 年 度 老 人 保 健 健 康 増 進 事 業 実 施 報 告 書 ; 9) 下 方 浩 史 , 安 藤 富 士 子 , 幸 篤 武 , 2017, サ ル コ ペ ニ ア ・ フ レ イ ル の 長 期 縦 断 疫 学 研 究 , 体 力 科 学 , 66: 33-33. 10) 大 野 晃 , 2008, 限 界 集 落 と 地 域 再 生 . 北 海 道 新 聞 社 313. 11) 眞 崎 直 子 , 松 原 み ゆ き , 林 真 二 , 他 . 都 市 型 準 限 界 集 落 の 地 域 づ く り を 目 指 し た 取 り 組 み : 阿 品 台 い き い き プ ロ ジ ェ ク ト の 経 緯 と 今 後 の 課 題 . 日 本 公 衆 衛 生 雑 誌 2016; 63: 750-757.
and outpatients in Japan as defined by the Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria. Geriatr Gerontol Int 2017, 17:2629-2634.
13) Collard R. M., Boter H., Schoevers R. A., 2012, Prevalence of frailty in community-dwelling older persons: a syste matic review, J Am Geriatr Soc, 60:1487-1492.
14) Koji ma G.,Iliffe S.,Taniguchi Y.,2017,Prevalence of frailty in Japan: A syste matic review and meta-analysis, J Epidemiol, 27:347-353.
15) 吉 澤 裕 世 , 田 中 友 規 , 高 橋 競 , 2019, 地 域 在 住 高 齢 者 に お け る 身 体 ・ 文 化 ・ 地 域 活 動 の 重 複 実 施 と フ レ イ ル と の 関 係 , 日 本 公 衆 衛 生 雑 誌 , 66:306-316.
16) Fried L. P.,Tangen C. M.,Walston J., 2001,Frailty in older adults: evidence for a phenotype, J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 56: M146-156.
17) Kelaiditi E., Cesari M., Canevelli M.,2013, Cognitive frailty: rational and definition from an (I.A.N.A./I.A.G.G.) international consensus group, J Nutr Health Aging, 17: 726-734.