高齢者夫婦間介護のリスクに関する研究 : その構 成要因と支援の方法について
著者 張 梦瑶
著者別名 ZHANG Mengyao
その他のタイトル A Mixed‑Methods Study of the Risk Factors of Elderly Spousal Caregiving and the Methods of Supporting for Caregivers
ページ 1‑148
発行年 2020‑03‑24
学位授与番号 32675甲第492号
学位授与年月日 2020‑03‑24
学位名 博士(人間福祉)
学位授与機関 法政大学 (Hosei University)
URL http://doi.org/10.15002/00023031
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博士学位論文
論文内容の要旨および審査結果の要旨
氏名 張 梦瑶
学位の種類 博士(人間福祉)
学位記番号 第737号
学位授与の日付 2020年 3月24日
学位授与の要件 本学学位規則第5条第1項(1)該当者(甲) 論文審査委員 主査 教授 宮城 孝
副査 教授 石井 享子
副査 大正大学 教授 神山 裕美
高齢者夫婦間介護のリスクに関する研究
-その構成要因と支援の方法について-
Ⅰ 本論文の受理および審査の経過
張 梦瑶氏より、2019年9月27日に博士学位請求論文が提出された。同年10月2 日の人間社会研究科教授会において受理審査委員会(委員:宮城 孝、石井享子、眞保 智子、土肥将敦)が設置され、同年 10 月16 日に論文受理審査委員会を開催し、協議 した結果、学位請求の要件を満たしていることを確認し、受理することを決定した。な おその際、一部関連する近年の欧米の先行研究のレビューの追加、文章表現の加筆・修 正を検討されたい等の要望がだされ、指導教員より伝えることとし、その受理審査委員 会審査報告が、同年10 月 23 日の本研究科教授会にて承認され、同時に、審査小委員 会が設置され同論文の審査が委託された。
本審査小委員会は、同年12月10日の19:00~20:15に法政大学市ヶ谷キャンパス現 代福祉学部実習指導室にて、張 梦瑶氏の学位請求論文についての口頭試問を実施した。
その結果、字句や図表の一部加筆・修正を条件に3名の審査小委員会全員が博士(人間 福祉)の学位授与が妥当であると判断した。主査・副査は、指摘された内容の加筆・修 正について確認したので、ここに博士論文審査委員会(研究科教授会)に報告いたした い。
以下は、本論文の概要とそのコメント、審査結果である。
Ⅱ 本論文の概要 1.研究の背景と目的
筆者は、本研究の社会的、学術的背景として以下のように述べている。
2019(令和元)年現在、日本の高齢化率(65 歳以上人口は総人口に占める割合)は歴史
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最高の 28.4%と推計されており、さらに、今後も上昇し続ける見込みである。深刻な高齢 化が進展していく中、介護に関するニーズが増大しており、介護の期間が長期化する傾向 がみられ、高齢者の介護は重要な社会問題として取り上げられてきている。
高齢者の介護問題を解決するために、2000(平成 12)年に、「高齢者の介護を社会全体で 支え合う仕組みを創設」を目的として、介護保険制度が導入され、それ以来、要介護・要 支援認定者数が年々増加しており、2017(平成 29)年には 633.1 万人にも達している。
ところが、在宅介護の現状を見てみると、現在、在宅で介護を受けている者の主介護者 の続柄では、同居家族は 58.7%、別居の家族は 12.2%となっており、家族に依存する在宅 介護の現状が見えてきた。そして、介護者と同居している主な介護者の続柄の年次推移を みると、配偶者が最も多く、全体の 25%程度を占め、2004(平成 16)年から少しずつ増加 している。つまり、実際に要介護状態になってから在宅生活を送る場合、家族介護者、特 に配偶者が介護の担い手となる可能性が高くなっている。このように、社会全体の高齢化 と核家族化の進行に伴い、今後、高齢者夫婦間介護がさらに増加する見込みである。
高齢者夫婦間介護に関する先行研究を概観すると、在宅介護を継続している高齢者夫婦 間介護の介護者について、介護役割に対する認識や介護に対する認知的評価である介護負 担感尺度を用いた研究が散見される。また、介護継続の意思に関する促進要因および阻害 要因を論じる研究などもある。これらの研究は、介護者の介護に対する主観的認識に基づ いて分析するものであり、支援の視点からは、介護者と要介護者の良好な関係性の維持や、
介護者の介護負担感の軽減などを通して、在宅介護の継続を支える方法について提言して いる。
その一方、高齢者夫婦間介護を継続していくなか、要介護者の重度化や介護者の高齢化 の進行により、外部との交流を維持する余力がなくなり、在宅介護が閉鎖化する傾向がみ られる。そして、家族内部においての囲い込み介護は、本人たちが不適切な点の存在を認 識できていない可能性があり、在宅介護を継続すると介護者または要介護者の心身の健康 を害する可能性が生じうる。このようなリスクを回避するために、外部からの専門的視点 を取り入れ、高齢者夫婦間介護の現状を分析していく支援が必要であると考えられる。
このような社会的、学術的背景のもと、筆者は、本研究の目的について以下のように述 べている。
本研究は、高齢者夫婦間介護におけるリスクの存在を仮説として設定し、調査および分 析により新たな知見を導くという仮説探索型研究である。そのため、まず、高齢者夫婦間 介護の要介護者と介護者本人を対象に、現在進行中の在宅介護の実態について調査し、リ スクに関する内容を明らかにするとしている。その上で、高齢者夫婦本人たちが自覚して いないリスクの存在について、在宅介護のケアプランを作成する介護支援専門員にインタ ビュー調査を行い、その結果を分析し介護者および要介護者の生活の質を低下させる要因 としてのリスクの構成内容について明らかにすることとしている。
以上の点から本研究の目的を、以下の四つに整理している。先ず、従来の介護者研究を
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概観した上で、第一に、在宅生活している要介護者と介護者双方の状況を調査し、高齢者 夫婦間介護の特徴を明らかにする。第二に、介護支援専門員の視点から高齢者夫婦間介護 におけるリスクの構成内容とその関連について明らかにする、第三に、高齢者夫婦間介護 のリスクに対する支援方法について考察する。最後に、現行制度下での介護システム全体 から、介護者支援の位置づけについて検討し、第一から第三の結果に基づいて、今後の介 護者支援に関する制度改革の方向性と課題を提言するとしている。
2.本論文の構成と内容
本論文は、以下の通り 6 つの章で構成されている。
第1章 研究の概要
第 1 節 在宅介護における介護者の変化と介護者支援に関する問題提起 第 2 節 介護者支援に関する制度の歴史と現状
第 3 節 研究の目的と方法 第 4 節 用語の定義 第 5 節 論文の構成
第2章 高齢者夫婦間介護に関する先行研究と本研究の位置づけ 第 1 節 続柄別からみる高齢者夫婦間介護の特徴と支援のあり方 第 2 節 高齢者夫婦間介護に関する先行研究
第3章 高齢者夫婦間介護の特徴および介護者の主観的介護負担感に関する量的分析 第 1 節 調査の概要
第 2 節 調査の結果
第 3 節 高齢者夫婦間介護の介護者の特徴 第 4 節 介護負担感に影響を及ぼす要因
第 5 節 従来の介護負担感尺度の限界性に関する考察
第4章 高齢者夫婦間介護におけるリスクの構成要因に関する質的分析 第 1 節 介護支援専門員を対象としたインタビュー調査の概要 第 2 節 分析対象とするケースの基本状況
第 3 節 高齢者夫婦間介護におけるリスクを構成する要因についての分析結果 第4節 高齢者夫婦間介護のリスクの発生要因と相互の関連性についての分析 第 5 節 小括
第5章 高齢者夫婦間介護への介護支援専門員のケアマネジメント支援の展開 第 1 節 高齢者夫婦間介護における夫婦の関係性をめぐる支援の展開
第 2 節 高齢者夫婦間介護における介護保険サービス利用上の課題に対する支援 第 3 節 高齢者夫婦間介護における加齢によるリスクに対する支援の展開 第 4 節 小括
終章 今後の高齢者夫婦間介護のあり方について
4 第 1 節 高齢者夫婦間介護への支援の方策
第 2 節 介護者支援の国際的動向からみる介護者支援の制度化の必要性 第 3 節 本研究の意義と課題
文献
以下、各章の内容の概略について述べることとする。
第 1 章では、上記に示したように本研究の背景を述べ、用語の定義および研究の目的を 示している。さらに、在宅介護における介護者の実態と課題を踏まえて、本研究の目的で ある高齢者夫婦間の在宅介護のリスクを分析するための研究方法と理論枠組みを示してい る。
第 2 章では、高齢者夫婦間介護に関する先行研究を概観し、その問題点について指摘し た上で、本研究の問題関心とオリジナリティを示している。従来の研究は、高齢者夫婦の 関係性を中心に調査・分析したものが多く、関係性の内容の解明と関係性を維持・改善す る支援方法を検討している。一方、高齢者夫婦間介護の場合、良好な関係性を築き維持す ることだけでは、在宅介護の限界性が顕在化すると推測され、高齢者夫婦間介護の特徴を 把握するために、専門職の視点から夫婦間の関係性による在宅介護のリスクをアセスメン トし、在宅介護への支援方法のあり方について実証的研究を行う本研究の意義について論 述している。
第 3 章では、在宅生活する要介護高齢者とその家族介護者双方の状況について、実際に 高齢者夫婦間介護を行っている 249 件を対象としたアンケート調査の結果を分析している。
その際、高齢者夫婦間介護の介護者とその他の介護者との比較分析を行い、高齢者夫婦間 介護の特徴に焦点をあてて多角的に分析し、高齢者夫婦間介護に潜むリスクの存在を明確 化している。また、従来の介護研究で多く認知的評価として用いられてきた介護負担感尺 度では、高齢者夫婦間介護において、介護者の主観的健康感の悪化や長時間に及ぶ介護時 間にも関わらず、介護者の負担感は必ずしも高い結果を示さず、方法の限界性が明らかと なっている。これらの結果から、高齢者夫婦間介護のリスクと支援のあり方について、専 門職による客観的な視点を取り入れた質的調査とその結果の分析の必要性を述べている。
第 4 章では、量的調査の結果をもとに、高齢者夫婦間介護におけるリスク要因を分析す ることを目的とし、8 人の経験豊富な介護支援専門員が関わった 26 件の高齢者夫婦間の介 護の状況についてインタビュー調査を行い、その結果について、定性的コ―ディング法に よって、そのリスクの構成要因および相互の関連性について分析を行っている。その結果、
リスクの構成要因に関するカテゴリーとして 6 つがあげられ、それらの関連性について、
まず、高齢者夫婦間介護は<親密な夫婦関係によって在宅介護に対する執着>により、<
公的支援の利用に対する抵抗>が生じ、それで<不適切な介護状態>の発生につながるこ とになるとしている。また、<親密な夫婦関係による在宅介護に対する執着>と、<イン フォーマルサポートの不足>が、<介護者の健康状態への不安>につながっているのであ
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り、そして、<介護者の健康状態への不安>は<不適切な介護状態>に影響を及ぼすリス クが示されたとしている。最後に、高齢者夫婦の関係性は、一定不変のものではなく、介 護における様々な出来事によって、関係性は緊張感が強まったり、時間が経つとまた緩和 したり、<親密な夫婦関係による在宅介護に対する執着>と<介護における夫婦間の緊張 的な関係性>の間を繰り返すことについて考察している。
第 5 章では、第 4 章で抽出されたリスクを取り上げ、介護支援専門員がどのような支援 を展開しているのかを検討している。まず、高齢者夫婦間介護における緊密な夫婦関係が もたらすリスクに対する支援の内容を分析した結果、<夫婦の関係性に配慮する支援>お よび<介護者に対する支援>を展開していることが明らかにされている。また、公的支援 の利用上の課題として、<介護保険サービス利用に至らない理由>と<介護保険サービ スの利用のしづらさ>のカテゴリーが抽出され、介護支援専門員は、これらの課題を踏ま えて、<サービス利用につながる支援の工夫>を通して支援を展開する。最後に、介護支 援専門員が、高齢者夫婦の現在の生活及び介護の状況をアセスメントした上で、今後発生 する可能性があるリスクを予測し、事前に支援の環境整備を行い、<加齢によるリスクの 予測に基づく支援>を展開することについて考察している。
終章では、第 3 章から第 5 章の結果を踏まえて、高齢者夫婦間介護に対する支援の展開 には、夫婦の関係性に介入する支援の重要性、夫婦の意識を変える支援の重要性、および 早期介入の重要性の 3 つの角度から考察を行っている。そして、従来の高齢者夫婦間介護 の支援システムから、要介護者・介護者双方に対し、無理のない在宅介護を支える支援シ ステムへの転換を検討している。さらに、現行制度下の介護システム全体から、今後家族 介護の位置づけを考え、諸外国における介護者支援の制度・政策、また近年の介護者への トレーニングなどの実践などを踏まえた上で、今後の制度改革の課題について提言してい る。最後に、本研究における社会的意義、研究上の課題、および課題に基づく今後の研究 の方向性について検討している。
筆者は、 本研究における学術的・社会的意義として、以下の三点をあげている。
第一に、本研究の結果から、高齢者夫婦間介護の介護者にとって、主観的な介護負担 感と、客観的に存在している介護がもたらす負担の間に、ギャップがあることが明らか になった。従来の主観的な介護負担感を量化する結果に基づいて、在宅介護による介護 者の負担を把握する研究方法には限界性があると明らかにした点である。
第二に、従来の介護負担感を測定する調査・研究の限界性が判明したことから、高齢 者夫婦間介護の問題状況について客観的に捉えるために、本研究では、身近に支援を行 う介護支援専門員を対象に調査を行い、第三者の視点から在宅介護におけるリスクの存 在について、具体的には、質的調査を通して、介護支援専門員の語りから高齢者夫婦間 介護のリスクを抽出した。先行研究で示されることが少なかった在宅介護におけるリス クの存在を、エビデンスに基づいて分析・考察を行ったことで、今後の在宅介護の支援 現場にとって重要な示唆を提示することができたとしている。
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第三に、本研究の独自性として、調査を通して、一般化する高齢者夫婦間介護の特性 について総合的に分析したことである。量的および質的データの収集・分析によって、
混合的な研究手法に用いた総合的研究として、方法論における先行研究との差別化を図 ったことに意義があるとしている。
また、本研究の限界性として、本研究では、高齢者夫婦間介護におけるリスクとリス クに対する支援のあり方について、専門職の視点から捉えることを試みた。今回のイン タビュー調査の対象者は、介護支援専門員のみに限定したが、今後、他の専門職の視点 から、調査することを課題としている。加えて、本研究の対象として、要介護認定を受 けている高齢者夫婦間介護のケースに限定されており、今後、要介護認定を受けていな いケースの存在を考慮しておく必要があるとし、このような潜在化なケースに対しも、
アウトリーチ支援のあり方について検討する必要性があると述べている。最後に、本研 究では、量的調査と質的調査を用いて、高齢者夫婦間介護におけるリスクの存在と支援 のあり方についての探索的な研究を行ったが、今後、支援の手法について、介入研究を 通して、効果的な支援システムを検討する必要性があるとのべている。たとえば、追跡 調査を通して、在宅介護における時系列の変化を追って、介入支援による介護リスクの 軽減について検証する必要性があるとし、それらの検証の結果から具体的な支援方法を 提示し、また、支援の効果について検証する方法を開発して、綜合的な介護者支援シス テムの構築を目指すこととしている。
Ⅲ 審査結果
本研究は、超高齢社会が進展するわが国において、核家族化によって今後益々増える と推測される在宅における高齢者夫婦間介護の現状と特徴を明らかにするとともに、そ のリスク要因と相互関連性について分析し、それらのリスクを軽減する支援のあり方を 探求したものである。
本研究が有する社会的・学術的意義と独自性として、以下の三点があげられる。
第一には、今後の超高齢社会における在宅介護において主流となるであろう高齢者夫 婦間介護に着目し、量的・質的調査の分析から、そのリスクの内容を体系的に明らかに した点である。わが国の介護保険制度の運用においては、要介護者の心身の要介護度か ら介護等のサービスの必要度をアセスメントし、サービスを提供する仕組みとなってい る。本研究では、高齢者夫婦間介護において、介護者が置かれた状況に焦点を当て、海 外の制度や実践なども踏まえ、あらためて在宅介護におけるケアラー(介護者)支援の 制度化や実践の必要性について、エビデンスをもとに提起した点にあると言える。わが 国においても介護者支援についての事業が実施されているが充分に体系化されておら ず、その効果も十分に検証されていない。また、介護者支援の法制度化についても一部 の民間団体による提起にとどまっている現状にある。本研究が、わが国における介護者 支援の促進に一石を投じることを期待したい。
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第二に、在宅介護に関する研究方法として、わが国の介護研究において、1990 代か ら今日まで多く用いられている介護の認知的評価としての介護負担感尺度による研究 の限界性について、明らかにした点である。
本研究の結果では、高齢者夫婦間介護の介護者にとって、主観的な介護負担感と、客 観的に存在している介護がもたらす負担の間に、ギャップがあることを明らかにし、従 来の主観的な介護負担感を量化する研究方法には限界性があることを明らかにしてい る。その上で、高齢者夫婦間介護の問題状況について客観的に捉えるために、身近に支 援を行う介護支援専門員を対象にインタビュー調査を行い、第三者の視点から在宅介護 におけるリスクの内容とそれらの関連性について明らかにしている。先行研究で示され ることが少なかった在宅介護におけるリスクの内容を、エビデンスに基づいて分析・考 察を行っており、本研究の独自性として、高齢者夫婦間介護の特性について、量的およ び質的データを収集・分析する混合的な研究手法を用いた総合的研究として、方法論に おいて先行研究との差別化を図ったことに学術的な意義があると言える。
第三に、本研究では、高齢者夫婦間介護における単なる客観的な分析だけでなく、こ れらの結果の分析に基づいて、介護支援専門員のケアマネジメント支援の具体的なあり 方について論究している点である。それらは、具体的に夫婦の関係性に介入する支援の 重要性、夫婦の意識を変える支援の重要性、および早期介入の重要性の 3 つの角度から考 察を行っている。今後の在宅介護の支援現場にとって、高齢者夫婦間介護を支援する上 で、重要な示唆を提示しており、その普及・展開可能性において高い意義を有すると言 える。
本研究の限界や課題について、筆者も先に述べているが、特にここでは、本研究で得 られた知見をもとに、実験的な介入による縦断的研究によって、高齢者夫婦間介護にお ける介護者支援の方法についてエビデンスを抽出し、効果的な支援方法や制度化が促進 されることを期待したい。
以上の残された課題はあるものの、本論文は、一連の分析方法や文章表現は適切であ り、十分に学術的な価値と体系性を有していると言える。
以上の点から、本学位請求論文は、法政大学大学院人間社会研究科人間福祉専攻の学 位 博士(人間福祉)の基準を満たしているものと判断される。