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小郡市寺福童遺跡4より 出土した銅戈の保存修理

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Academic year: 2021

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1 はじめに

平成16年6月、福岡県小郡市寺福童で、宅地開発に伴 う道路・水道整備事業に先立つ埋蔵文化財発掘調査によ り、中広形銅戈9本が埋納されている状態で出土した。

埋納遺構は、南北60!、東西18!(残存幅)の不整長方形 で、深さは12〜15!であり、その中に鋒先を南に向けて 7本、北に向けて2本、合計9本の銅戈が埋納されてい た。銅戈の埋納遺構が検出された例は全国的にも珍し く、9本もの銅戈が一括で確認された例は全国でも初め てのことである。この銅戈と埋納遺構は、埋納の工程を 復元でき、埋納という行為のもつ意味や意図を考える上 でも重要な資料になると位置づけられている。

保存修復科学研究室では、平成16年度に発掘現場にお ける検出状況での一時的な仮強化処置と遺構の切り取り をおこなった。その後、平成17年度と18年度の2ヵ年に わたり、小郡市教育委員会との共同研究として、銅戈の 保存修理をおこなってきた。以下に共同研究の概要を報 告する。

2 遺構の切り取り

検出された銅戈はその刃部の腐食が著しく、そのまま では遺構の切り取りにおいて損傷を与える恐れがあった ことから、まず刃部にアクリルエマルジョンを用いて紙

を貼りこむことによる一時的な仮強化をおこなった。そ の後、切り取る範囲の周囲を掘り下げ、紙による遺構表 面の保護、ウレタンテープによる周囲の固定をおこない、

硬質発泡ウレタン樹脂を用いて梱包した。遺構下部はハ ンドオーガーで穿孔し、硬質発泡ウレタン樹脂を充填し た。この作業を繰り返しおこない、全体をウレタン樹脂 で包んだ。下部には一部鋼製単管を挿入してウレタン樹 脂を充填した。その後、全体を鋼製単管で枠構造を組み 上げ、重機で吊り上げて切り取りを終了した。切り取ら れた遺構は小郡市埋蔵文化財調査センターに搬入した。

3 銅戈の保存修理

切り取り遺構から、銅戈の埋納状況を調査しながら一 点ずつ慎重に取り上げをおこなった。取り上げた銅戈は 奈良文化財研究所に搬送し、保存修理をおこなった。保 存修理は、写真撮影、実体顕微鏡観察およびX線透過撮 影などの事前調査の後、クリーニング、ベンゾトリアゾ ールによる安定化処置、アクリル樹脂による強化処置を おこない、破片の接合をおこなった。クリーニングは基 本的には面相筆および綿棒とエチルアルコールを用いて 付着した土を除去するのに留めた。

保存修理中の詳細な観察と記録から、銅戈の劣化状態 について多くの知見を得ることができ、それらを基に銅 戈を良好な保存状態に移行させることができたことは意 義深いものといえる。

(高妻洋成・肥塚隆保・降幡順子・山崎頼人/小郡市教育委員会)

小郡市寺福童遺跡4より 出土した銅戈の保存修理

図50 銅戈の保存修理(クリーニング)

図49 銅戈の検出状況(遺構切り取りの直前)

34 奈文研紀要 2

参照

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