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本学学生の体力の推移について

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Academic year: 2021

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本学学生の体力の推移について

-2005 年度と 2009 年度の新体力テスト結果の比較-

真鍋 求

1. 研究目的

2. 対象者と測定項目およびデータの取り扱い 3. 結果と考察

4. まとめ

1. 研究目的

本学ではスポーツ・身体運動基礎科目において継続的に体力テストまたは新体力テストを実 施してきた。4 月当初、具体的には1学期の授業開始第2週を中心に履修者全員を対象として 屋内で実施可能な測定種目の測定を行い、スポーツ種目や体力づくりの授業では屋外で実施す る測定種目の測定も行ってきた。

体力テストは旧文部省が昭和 39 年に始めたテストであり、筋力や持久力などの体力要素と

「走る」「投げる」等の運動能力の測定を含めて全国的に実施されてきた。一方新体力テストは 現文部科学省が平成11年度以降に導入したテストであり、8つの基本的な体力要素を測定する ものである。8つの体力要素とはスピード、全身持久力、筋パワー、巧緻性、筋力、筋持久力、

柔軟性および敏捷性であり、これらを測定する種目として、握力(筋力)、上体起こし(筋力・筋 持久力)、長座体前屈(柔軟性)、反復横とび(敏捷性)、20mシャトルラン・持久走※1(全身持 久力) 50m走(スピード)、立ち幅とび(筋パワー)、ソフトボール投げ・ハンドボール投げ※2 (巧緻性、筋パワー)などが設定されている。平成11年以降本学ではこれらのうち20mシャト ルランを除く8種目と、旧体力テストからの継続で背筋力、踏み台昇降運動を加えた10種目 について測定を行ってきた。

とりわけ本年2009年(平成21年度)は2005年(平成16年度)につづき文部科学省からの 依頼を受け、スポーツ身体運動基礎科目の全履修者全員を対象に、新体力テストを実施し同省 スポーツ・青少年局に報告をした。

本稿の目的は報告を行った2005年および2009年の本学学生の測定結果を比較して体力の推 移を把握すること、また体力要素ごとに違いがあるかを検討することである。

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384 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

※1 持久走と20mシャトルランは選択項目

※2 ソフトボール投げは小学校実施項目、ハンドボール投げは中高校実施項目

2. 対象者と測定項目およびデータの取り扱い 2.1. 対象者

スポーツ・身体運動履修者には新入生を含め第4年次まで、さまざまな学年・年齢の学生が 含まれている。2005年1学期に定時コースを履修した学生のうち、のべ739名が測定を行った。

2009年1学期に定時コースを履修した学生のうち、のべ620名が測定を実施した。(表1)

本稿では2005年と2009年データを比較するため測定実施者の特性を絞り込み、得られたデ ータのうち当該年度の4月1日現在で年齢が18歳であった新入生に限定して集計を行った。従 って集計の対象となった学生は2005年が485名で、うち男子が141名、女子が344名であった。

一方2009年は427名が測定を行い、うち112名が男子、315名が女子であった。

表1 新体力テスト実施者

2.2. 測定項目

測定を行った種目は、文部科学省の新体力テスト項目として持久走(男子:1,500m、女子:

1,000m)、ハンドボール投げ、50m走、握力、反復横とび、長座体前屈、上体起こし及び立ち

幅とびの8種目に加え、従来から継続して測定している踏み台昇降運動及び背筋力を加えた1 0種目である。踏み台昇降運動は有酸素能力の指標とされ特に心肺の持久性を示すとされてい る。また背筋力は静的筋力であるが同時に瞬発性にも関連する測定項目である。

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2.3. データの取り扱い

集計したデータで±3SD を超え、かつ文部科学省新体力テストの得点表から大きく外れた データに関しては測定ミスや誤記入の可能性が高いことから、集計からは除外した。

また同学期に2コマを超えて実技授業を履修する受講生もいるので、データの重複を避けるた めに、このような場合はコード番号が小さい授業のデータを採用し、それ以外は除外した。な お得点や階級は新体力テストの階級区分に従って行った。ただし踏み台昇降運動と背筋力につ いては新体力テストの項目にはないため、旧体力テストの5段階の得点表をもとに均等割して 10段階の階級区分とした。

3. 結果と考察

3.1. 測定項目ごとのヒストグラム

図1から図6に男女別に測定項目ごとの度数分布を示した。棒グラフで示すのが一般的であ るが、2005年と2009年を比較するため、同じグラフ上にプロットして区別しやすいように折 れ線グラフで示した。すべての図において、横軸は文部科学省新体力テスト得点表の階級区分 にしたがった階級分けを示している。縦軸はそれぞれの階級の度数(人数)を示している。

3.1.1. 男子のヒストグラム

図1から図3に18歳男子のデータを示した。図1には持久力の指標である持久走1,500m(全 身持久力)と踏み台昇降運動(心肺の持久力)、筋パワーと巧緻性の指標であるハンドボール投 げおよび柔軟性の指標である長座体前屈のヒストグラムを示した。

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386 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

図1 階級ごとの度数分布(1)

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図2 階級ごとの度数分布(2)

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388 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

図3 階級ごとの度数分布(3)

図1-1の持久走の度数分布に着目すると、2009年は2005年に比べて全体的に低い階級の 方に度数の偏りがみられる。同様に図1-3のハンドボール投げでも2005年の分布のピークが

#7の階級にあるのに対して、2009年は中央値である#5と#6の階級を中心とした分布にな っている。これらは2005年と比較して2009年は体力水準の低下を示唆しているものと考えら れる。踏み台昇降運動(図1-2)と長座体前屈(図1-4)に関しては、両年とも偏りのな い分布状況を示している。

図2には筋力系の指標である握力と背筋力(静的筋力)および上体起こし(筋持久力)のヒ

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ストグラムを示した。握力と背筋力についてはいわゆるベルカーブに近い分布を示しており、

中央付近の階級(#5~#6)に度数のピークがあって両裾に行くほど度数は少なくなってい る。これに対して上体起こしは特徴的な分布を示している。具体的には#8から#10の高い 階級にピークがあり、低い階級になるほど分布が少なくなっている。2005年2009年とも同様 の分布を示しており、本学の特徴と言えるかもしれない。

図3にはスピードや瞬発力・敏捷性の指標とされる、50m走と立ち幅とびおよび反復横と びのヒストグラムを示した。50m走と立ち幅とびについては正規分布に近いが、これに対し て反復横とびは上体起こしと同様に特徴的な分布を示している。これに関しても2005年2009 年とも同様の分布を示しており、本学を特徴付けるものと思われる。文部科学省の集計を待っ て、全国の平均や度数分布と比較する必要があると考えられる。

3.1.2. 女子のヒストグラム

図4から図6に18歳女子のデータを示した。図4には持久力の指標である持久走(全身持 久力)と踏み台昇降運動(心肺の持久力)、筋パワーと巧緻性の指標であるハンドボール投げお よび柔軟性の指標である長座体前屈のヒストグラムを示した。

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390 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

図4 階級ごとの度数分布(4)

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図5 階級ごとの度数分布(5)

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392 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

図6 階級ごとの度数分布(6)

図4-1の持久走の度数の分布に着目すると、男子と同様に2009年は2005年に比べて全体 的に低い階級の方に偏りがみられる。これらは2005年と比較して2009年は体力水準の低下を 示唆しているものと考えられる。また長座体前屈(図4-4)に関しては、中央値付近に度数 のピークがあるものの、高い階級の裾の方に低い階級に比べより多くの分布が見られる。

図5には筋力系の指標である握力と背筋力(静的筋力)および上体起こし(筋持久力)のヒ ストグラムを示した。上体起こしの分布は男子の上体起こしほど顕著ではないが、やはり#7 から#9の高い階級に度数の偏りが見られる。

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図6にはスピードや瞬発力敏捷性の指標とされる、50m走と立ち幅とびおよび反復横とび のヒストグラムを示した。50m走と立ち幅とびについては正規分布に近い分布になっている が、反復横とびについては男子と同様に#7から#9の高い階級に度数の偏りが見られる。こ れに関しても2005年2009年とも同様の分布を示しており、本学を特徴付けるものと思われる。

3.2. 平均値および差の検定

次に2005年と2009年の測定データを集計して、表2-1に男子そして2-2に女子を示し た。左側が2005年度、右側が2009年度の集計で、左から標本数、平均、標準偏差を示してい る。

表2(1/2) 測定種目ごとの集計結果

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394 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

表2(2/2) 測定種目ごとの集計結果

次に2005年と2009年を比較するために、種目ごとの平均と偏差をグラフに示した。(図7)

なお「**」印は1%水準、「*」印は5%水準で有意差が有ることを示している。

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図7 平均値の比較

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396 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

図7-1と7-2にそれぞれ男女の「持久走」の平均値を示した。平均値の差を検定したと ころ、両者とも2009年に入学した学生の方がゴールするまでに時間を要しており、平均タイム が遅くなったことを示している(P<0.01)。図7-3と7-4に男女の「踏み台昇降運動」の 平均値を示した。これによると指数は両方とも2009年が2005年を上回っており、とりわけ女 子においては逆に2009年に入学した学生の方が2005年の学生より、循環系の能力が高いこと を示している。これは持久力を示す持久走と踏み台昇降運動において、相反する結果がでたこ とを示している。これは踏み台昇降運動が、走るという運動に比べて運動経験や技術的な差が 出にくいこととの関連性が考えられる。またこれらの結果は、持久走のみで有酸素能力を測る ことの問題点を指摘しているかもしれない。

図7-5から10にはそれぞれ「握力」「背筋力」「上体起こし」の筋力に関する測定項目を 示した。女子の「上体起こし」を除けば、その他すべての項目で2009年は下回っている。とり わけ女子の握力(P<0.05)と背筋力(P<0.01)で有意に低下したことが示された。唯一平均値が 上回った女子の上体起こしも、統計的には有意と認められなかった。

図7-11から16にはそれぞれ「50m走」「立ち幅とび」「反復横とび」の瞬発力や俊敏性 に関する測定項目を示した。50m走では男女とも2005年と2009年には有意な差は見られなか ったが、立ち幅とびでは2009年の女子は2005年に比べて有意(P<0.05)に低いことが示され た。唯一女子の反復横とびでは2009年のほうが有意(p<0.01)に高い値を示していることが 明らかになった。

4. まとめ

本学において2005年度と2009年度に文部科学省新体力テストを実施した。18歳(当該年度 の4月1日時点)男子および女子の新入生について測定データの比較を行った。その結果、以 下の2点が明らかになった。

(1)女子においては、2009年度入学の学生は2005年度に入学した学生と比較して、持久走

(1,000m)と背筋力で低い値を示した(p<0.01)。同様に握力と立ち幅とびでも低下が 見られた(p<0.05)。逆に反復横とびと踏み台昇降運動では高い値を示した(p<0.01)。 ハンドボール投げ、50m走、上体起こし、長座体前屈については統計的に有意な差は見 られなかった。

(2)男子においては、2009年度入学の学生は、2005年度に入学した学生よりも、持久走(1,500 m)において、低い値を示した(p<0.01)。その他の測定項目では有意な差は見られな かった。

以上の2005年と2009年入学者を比較した結果、2009年入学した女子の新入生は、2005年の

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新入生に比べて敏捷性と心肺機能は統計的に高い値を示したが、全身持久力、静的筋力、瞬発 力など多くの能力において低下が見られた。一方男子では2009年度に入学した学生は、持久力 に低下が見られた。柔軟性には男女とも差は見られなかった。概して2009年に入学した学生は、

多くの体力要素において2005年度の記録より下回っており、とりわけ女子学生の体力低下が強 く示唆された。

今回は本学学生の体力水準の変化について明らかにするため、2005年入学者と2009年入学 者に絞って比較を行った。2005年に関しては文部科学省が結果をまとめHP上で公開している。

2009年の結果についても順次公開される。これら全国のデータと本学学生を比較することは重 要である。また新体力テストにはアンケート項目があり、年齢や性別の他、過去の運動経験や 日常の運動習慣などについて回答することになっている。阿保らによる本学学生における体力 の予測において、過去の運動経験と体力水準には関連性があることが示唆されてきた。今回の データについても同様の関連性があるか興味深いところである。これらの項目については今後 の課題として分析を加えていきたい。

謝辞

新体力テストの実施においては、非常勤講師の皆様に長年にわたり多大なご協力を頂きました。

末筆ではありますが、皆様に御礼を申し上げます。

参考文献

阿保 雅行・川辺 光・甲斐美和子(1989)「本学学生の体力に及ぼす要因の構造」『東京外国語大学論集』第3 9号、pp.198-213

阿保 雅行(1990)『本学学生における体力の予測(その1)-測定値を中心に』『東京外国語大学論集』第40 号、pp.193-216

阿保 雅行(1990a)『本学学生における体力の予測(その1)-測定値を中心に』『東京外国語大学論集』第42 号、pp.241-263

下田 政博・百鬼 史訓・植竹 照雄、田中 幸夫・田中 秀幸 (2008)

『大学生の健康関連体力向上に対する教養科目『スポーツ・健康科学実技』の役割と大学体育におけるその 意義』『大学体育学』5 pp 13-26

八田秀雄(2002)『大学生の体力の年次推移~東京大学~』 『体育の科学』52(1) pp39-42 松元剛(2002) 『大学生の体力の年次推移~筑波大学~』 『体育の科学』52(1) pp 48-51

文 部 科 学 省 『 「 平 成 19 年 度 体 力 ・ 運 動 能 力 調 査 」 の 概 要 』http://www.mext.go.jp/b menu/houdou/20/11/08100803htm

文部科学省スポーツ・青少年局(2002) 『新体力テスト実施要項』

文部科学省スポーツ・青少年局(2008 ) 『平成20年度体力・運動能力調査報告書』

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398 本学学生の体力の推移について-2005年度と2009年度の新体力テスト結果の比較-:真鍋 求

The change of the physical strength of TUFS students

- The comparison between the physical fitness test results of 2005 and 2009 - MANABE Motomu

In 2005 and 2009, the MEXT(Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology-Japan) fitness test was enforced at Tokyo University of Foreign Studies. A comparison of data collected from males and females aged 18 (as of 1st of April) was compiled.

From the data, the following results were found.

1) In comparison to the results of 2005, females in 2009 scored lower in long distance running, and back strength(p<0.01). Similarly, there was also a decline seen in the scores for grip power and standing long jump(p<0.05). On the other hand, there was an incline in scores of repetitive side-steps and aerobic step exercises(p<0.01). There was no apparent change seen in scores for ball throwing, 50m sprint, sit-ups or sit-and-reach.

(2) In comparison to 2005, males in 2009 scored lower in long distance running(p<0.01). There was no apparent decline shown in other results.

From the comparison of 2005 and 2009, the results of females in 2009 showed high scores for agility, but there was an apparent decline in the scores in many areas such as stamina, strength, and reflexes. On the other hand, the males in 2009 showed a decline in stamina. There was no decline in flexibility for both males and females.

Overall, there was an apparent decline shown in the fitness of students who entered university in 2009, with a particularly steep decline in the fitness of female students.

図 2  階級ごとの度数分布(2)
図 4  階級ごとの度数分布(4)
図 5  階級ごとの度数分布(5)
図 7  平均値の比較

参照

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