第 2 松本市の現況と都市づくりの課題
1
自然や歴史的資源の保全と活用
本市は、東部に標高 2 ,0 0 0 mの美ヶ原高原を臨み、西部には穂高岳、乗鞍岳などの標高 3 ,0 0 0 m級の北アルプスの山岳が広がり、これら山地に囲まれた平地部は、松本平と呼ばれ るのどかな田園景観を形成しています。
市域の中心部である松本平は、梓川、奈良井川、田川、女鳥羽川などの河川や、市内随所に 見られる湧水やせせらぎなどの水辺環境にも恵まれています。
しかし、梓川地域を中心に、田園地帯での都市化が進行しており、松本平の特徴的な田園景 観が損なわれつつあります。
一方、松本城を中心とした城下町として発展した市街地には、重要文化財旧開智学校や、上 土通り周辺に見られる洋風建築、中町通りに代表される蔵のある街並みなど、個性的な歴史文 化資源が数多く残されています。
これら歴史文化資源の活用を目的に、まち全体を屋根のない博物館として、自然、歴史文化、 生活に係わる全てのものを博物館の資料としてとらえた「松本まるごと博物館」構想を立ち上 げ、市内各所に、博物館を整備しています。
しかし、これら歴史文化資源を活かしたまちの魅力づくりや、各資源を結ぶ道路や公共交通 などネットワーク
※
づくりが遅れています。
このような状況に対して、次のような取組みが必要です。
■
自然や歴史的資源の保全と
活用
○
松本市の貴重な自然資源の保全と
こ
れら資源を
活かし
た魅力づく
り
2
超少子高齢型人口減少社会に対応したまちづくり
本市の平成 1 7 年国勢調査人口は、2 4 2 ,5 4 1 人であり、平成 1 2 年の 2 4 3 ,4 6 5 人をピー クに減少傾向に転じました。全国的に少子高齢化
※
の急速な進行と人口減少傾向が続く中、総 合計画における将来人口推計においても平成 3 2 年に2 3 3 ,0 0 0 人と約1万人の人口減が見 込まれています。
また、平成 1 7 年の高齢化率(全人口に占める 6 5 歳以上の人口の割合)は約 2 1 .2 %であ り、全国平均値の 2 0 .2 %より若干高い状況にあります。
地区別人口をみると、中心市街地では人口減少が顕著で、市街化が進展した市街地南部の地 区や梓川倭地区、松本都市計画区域
※
に隣接する市町村においては、人口増加が続いています が、中山間地域の集落では、人口減少及び高齢化が顕著です。
このような地区による人口や年齢構成の偏在化は、地域コミュニティ
※
の崩壊、地域産業の 担い手の減少など、都市的活力の低下を招く恐れがあります。
このような状況に対して、次のような取組みが必要です。
◆ 松本市の年齢別人口の推移
資料:実績値:国勢調査(総務省)、推計値:国立社会保障人口問題研究所の推計
■
超少子高齢型人口減少社会に
0 5 000
10 000 15 000
20 000
男性
平成37年(推計) 平成17年(実績)
0 5 000 10 000 15 000 20 000 0∼9歳
10∼19歳 20∼29歳 30∼39歳 40∼49歳 50∼59歳 60∼69歳 70∼79歳 80歳以上
女性
3
集約型都市構造への転換
本市の中心市街地である松本駅周辺地区は、中央西土地区画整理事業
※
等の実施により、中 心市街地にふさわしい街並み整備が進んでいます。
しかし、中心市街地における人口減少や郊外部への大規模商業施設の立地などにより、中心 市街地の活力の低下が問題となっています。
また、本市は糸魚川−静岡構造線
※
断層帯をはじめ多くの活断層が存在し、3 0 年以内に起 きる確率が 1 4 % と言われている大規模な直下型地震の発生が危惧されているなか、老朽建物 の密集地域など中心市街地には、防災上の課題地区が存在しています。
これからの超少子高齢化
※
への対応や地球環境への負荷の低減を図るため、集約型のまちづ くりが求められており、駅周辺などの拠点に都市機能を集中させ、利便性が高く効率的なまち づくりが求められています。
このような状況に対して、次のような取組みが必要です。
■
集約型都市構造への転換
○
中心市街地の定住人口確保を
図る居住環境の整備
○
中心市街地周辺の木造密集市街地における防災性向上
○
中心市街地における商業の活性化
○
既存工場等の集約や新たな産業立地を
誘導する産業団地の整備
4
安全で利便性の高い交通体系への改善
本市の幹線道路は、広域幹線道路である国道 1 9 号が市街地の南北を縦貫し、松本駅を中心 とした放射状に分岐する道路網構成となっているため、市街地中心部に通過交通と都市内交通 が集中し、その容量不足と相まって交通混雑が発生しています。
このため環状道路の整備や、パークアンドライド
※
駐車場の整備などによる交通集中の解消 を図っていますが、今後さらに増やしていく必要があります。
また、中山間地の幹線道路が交通安全及び災害に弱い構造にあることから、整備を進める必 要があります。
鉄道は、JR篠ノ井線、JR大糸線及びアルピコ交通上高地線の3系統がありますが、JR 篠ノ井線と比べてJR大糸線及びアルピコ交通上高地線は運行本数が少ない状況にあります。
バスは、中心市街地でコミュニティバス
※
「タウンスニーカー」が運行されておりサービス 水準は比較的高いですが、郊外部ではバスサービスの水準が低い状況にあります。特に中山間 地域ではバスの運行本数が少なく、自動車を運転できないお年寄りなどにやさしい公共交通の 充実が求められます。
信州まつもと空港は、県内唯一の空港として利用促進が図られていますが、一層の利便性確 保が課題となっています。
また、交通結節点では、松本駅や平田駅などの駅前広場整備が進められていますが、南松本 駅など未整備の駅前広場もあります。
このような状況に対して、次のような取組みが必要です。
■
安全で利便性の高い交通体系への改善
○
道路の特性に応じ
た交通ネッ
ト
ワークの再編
5
安全で快適な生活環境施設の整備充実
本市は、「花いっぱい運動発祥の地」であり、都市の緑化や緑の維持管理に対し多様な取組 みが行われています。
本市の都市計画公園の整備進捗率は、約 8 割程度と比較的高い整備状況ですが、これは、 大規模な広域公園によるもので、特に中心部の木造家屋密集地区では、身近な生活圏内に必要 な住区基幹公園
※
は少ない状況にあります。
また、市内を流れる数多くの河川が本市の自然環境の骨格を形成していますが、そのほとん どが市街地内を流下しているため、河川本来の機能である治水機能の向上に加え、身近な安ら ぎの場、あるいは自然との共生空間としての活用が求められます。
このような状況に対して、次のような取組みが必要です。