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2 1 ds 2 = a 2 (η) ( dη 2 + γ ij dx i dx j ) (1.2) ( dt ) conformal time η η = a(t) a(t) (scale factor) t =const (3) R ijkl = K a 2 (t) (γ ikγ jl γ il

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(1)

1

一様等方宇宙

1.1

一様等方宇宙の計量 Robertson-Walker 計量 ds2 = −dt2+ a2(t)[ dr 2 1− Kr2+ r 2(dθ2+ sin2θdφ2)] (1.1) = −dt2+ a2(t)   dχ2 +    sin2χ χ2 sinh2χ    (dθ2 + sin2θdφ2)    = −dt2+ a 2(t) ( 1 +K 4 ˜r 2) [d˜r 2+ ˜r (dθ2+ sin2θdφ2)] = −dt2+ a2(t) [ dx2+ dy2+ dz2−K(xdx + ydy + zdz) 2 1− K(x2+ y2+ z2) ] = −dt2+ a2(t)γijdxidxj とかける。ただし、˜r≡ 2r 1 +1− Kr2 であり、また K =      +1 閉じた 0 平坦 −1 開いた と規格化できる。尚

(2)

ds2= a2(η) (−dη2+ γijdxidxj) (1.2) とかいて conformal time η で表すこともある ( η =dt a(t) ) 。 a(t) が唯一のダイナミカルな自由度であり、スケールファクター (scale factor) という。t =const 面の3次元空間曲率テンソルは (3)R ijkl= K a2(t)(γikγjl− γilγjk) (1.3) となり、3次元スカラー曲率 (3)R = 6K a2(t) (1.4) で K =±1 のときは a(t) は宇宙空間の曲率半径 Rcurv(t) に等しくなる。 演習問題 1  一様等方宇宙の計量が (1.1) のようにかけることを導け。

1.2

ハッブルの法則と赤方偏移 原点にいる観測者と座標点 (χ1, 0, 0) にある天体との固有距離は d(t) =χ1 0 g χχdχ = a(t)χ1 (1.5) であり、この時間変化 v(t)≡ ˙d(t) = ˙a(t)χ = ˙a(t) a(t)d(t)≡ H(t)d(t) (1.6) から v = Hd というハッブルの法則が出る。a(t) の対数変化率 H をハッ ブルパラメタという。 H0−1が宇宙年齢の目安を与える。 H0= 100h km/s/Mpc という単位で与えられ、h≈ 0.7 であることがわかっている。1Mpc は 1pc = 3.26 光年の百万倍である(銀河間距離は数 Mpc くらい)。

(3)

1.3 宇宙論的距離 3 光は null geodesic に沿って進むから、ds2= 0 で (χ 1, 0, 0) にある銀河 から、t1に出た光が t0に地球に届くとすると、ds2=−dt2+ a2(t)dχ2= 0 より、 ∫ t0 t1 dt a(t) = ∫ χ1 0 dχ = χ1 t1+ δt1に出た光が t0+ δt0に着いたとする。 ∫ t0+δt0 t1+δt1 dt a(t) = χ1 辺辺ひいて、 ∫ t0+δt0 t0 dt a(t) = ∫ t1+δt1 t1 dt a(t)δt0 a(t0) = δt1 a(t1) λ0 λ1 = δt0 δt1 = a(t0 a(t1) > 1 if H > 0 (1.7) 膨張宇宙では波長が長くなる = 赤方偏移 z1 λ0− λ1 λ1 =a(t0) a(t1)− 1 1 + z = a(t0) a(t) (1.8) 1 + z は a(t) の逆数を与える。 z = a(t0)− a(t1) a(t1) ˙a(t0) a(t0) (t0− t1)≃ ˙a(t0)χ = v(t0) = H0d(t0) (1.9) という関係もそれほど遠くなければ成り立つ。

1.3

宇宙論的距離 遠方の天体までの距離を観測によって決定するときには、観測が光と いう有限の速度をもったものを介して行われること、その間にも宇宙が膨 張しているということに注意しなければならない。

(4)

1.3.1 光度距離 (luminosity distance) 絶対光度 Ls(単位時間に放出する energy erg/s)の天体を距離 d で観 測すると、そこに届く flux は F = Ls 4πd2 となる。これは Minkowski 時空の場合。 光度距離 dLは絶対光度 Lsのわかっている天体から受ける flux を F0 として、 d2L Ls 4πF0 (1.10) によって定義される距離である。 光源で δts に光源から放出された全エネルギーを δEs 光源の座標 (rs, 0, 0)(今度は χ ではなく r の表示で metric をかく)を中心として観 測者を含む球面を、δtsに対応する δt0時間に通過するエネルギーを δE0 をすると、赤方偏移の考察と同様、 δE0= δEs 1 + z , δt0= (1 + z)δts (1.11) であるから、絶対光度 Ls= δEs/δtsに対して、観測者を含む球面を通過 する全光度 L0は L0= δE0 δt0 = Ls (1 + z)2 (1.12) という関係をみたす。 t = t0での球面の面積は 4π(a0r)2である(全立体角は今の座標表示で は 4π である。なぜならば、その metric は ds2=−dt2+ a2(t) [ dr2 1− Kr2+ r 2dΩ2 | {z } ここは通常と同じ ] と与えられるから)。よって、観測する flux は F0= L0 4π(a0r)2 = Ls 4π(a0r)2(1 + z)2 = Ls 4πd2 L

(5)

1.3 宇宙論的距離 5

より

dL= a0r(1 + z) (1.13) luminosity distance

となる。

1.3.2 角径距離 (angular diameter distance)

真の大きさ(差しわたし)D のわかっている天体の見込む角が θ だっ たとすると、角径距離は dA≡ D θ (1.14) によって定義される。 D は、光が出た時刻 tsでの座標半径 r の円周上にあると考えてよい から、 θ = D 2πasr が成り立つ。従って dA= asr = a0r 1 + z (1.15) つまり dA= dL (1 + z)2 (1.16) という関係が成り立つ。 ハッブルの法則は通常 luminosity distance を使って表される。(1.9) より、最低次では dL= z/H0であったが、次のオーダーまで求めると dL= 1 H0 [ z +1 2(1− q0)z 2+ O(z3)] (1.17) となる。ここで q0≡ − aa0 ˙a2 0

(6)

であり、減速パラメタ (deceleraton parameter) と呼ばれる。 演習問題 2  式 (1.17) を導け。 解答 z = a0 a(t)− 1 = a0 a0+ ˙a0(t− t0) + ¨ a0 2 (t− t0) 2 − 1 = ˙a0 a0 (t0− t) − ¨ a0 2a0 (t0− t)2+ ˙a0 a0 2(t 0− t)2+· · · = H0(t0− t) + H02(1 + 1 2q0)(t0− t) 2+· · ·t0 t dt′ a(t′) = ∫ r 0 dr 1− Kr2 =      sin−1r r sinh−1r =          r +r 3 6 r r−r 3 6 = ∫ t0 t 1 a0 [ 1 ˙a0 a0 (t′− t0) ] dt′ = 1 a0 (t0− t) + ˙a0 2a2 0 (t0− t)2= r (としてよい) ∴ a0r = t0− t + 1 2 ˙a0 a0 (t0− t)2= t0− t + 1 2H0(t0− t) 2 dL = a0r(1 + z) = [ z H0 1 H0 ( 1 + q0 2 ) z2+ 1 2H0 z2 ] (1 + z) = 1 H0 [ z +1 2(1− q0)z 2+· · ·] となる。 q0< 0 の加速膨張宇宙では、同じ z にある天体がより遠くにあるので、 より暗く見えることになる。 (予想より暗く見えたので加速膨張がわかった。)

(7)

1.4 一様等方宇宙のアインシュタイン方程式 7

1.4

一様等方宇宙のアインシュタイン方程式 空間的に一様等方宇宙ではエネルギー運動量テンソルは 2 つの時間の 関数 ρ(t) と p(t) だけで特徴づけられる。 T00=−ρ , Ti0= 0 (ベクトル的な特定の方向はないから) Tji= pδji (これも方向をもたないから) (1.18) 完全流体の EM テンソル Tµν = pgµν+ (p + ρ)uµuν (1.19) と同じ形である。四元速度 uµ= (1, 0, 0, 0)(物質の静止系で見て一様等 方ということだから)より、Tνµ= diag(−ρ, p, p, p) が得られる。非等方 ストレスや粘性項がないのは、特定の方向への流れがそもそも禁止される からであって、完全流体だけが存在を許されているというわけではない。 実際に完全流体が宇宙をみたしているときは、ρ はエネルギー密度、p は圧力という意味をもつ。 演習問題 3   R-W 計量でリーマンテンソルを書き出し、アインシュタ イン方程式を求めよ。 スカラー曲率は R = 6 [ ¨ a a+ (˙a a )2 +K a2 ] (1.20) である。 アインシュタイン方程式は、00 成分より (˙a a )2 +K a2 = 8πG 3 ρ (1.21) ii 成分よりa a+ (˙a a )2 +K a2 =−8πGp (1.22) (1.22)−(1.21) より

(8)

¨ a a = 4πG 3 (ρ + 3p) (1.23) ρ+3p { > 0 < 0 で 減速 (decelerate)−→ 常にこれをみたしていると有限の時間で特異点にもどる 加速 (accelerate) ビアンキの恒等式よりエネルギー運動量保存をかくと、Tµν = 0 より ˙ ρ =−3(ρ + p)H (1.24) dρa3 dt =−p da3 dt これは dE =−pdV の形であり、ρ, p がエネルギー密度、圧力としての熱力学的な意味を明確 に持っている場合には dE = T dS− pdV (+µidNi) との比較により dS = 0 (1.25) とかけ、宇宙は孤立系として断熱膨張をすることになる。宇宙進化の殆ん どの時代はこのようなとり扱いが正当だが、時に大きな非平衡現象(相転 移や対消滅など)がおこり、重要な役割を果たす。 状態方程式 P = P (ρ) が与えられれば (1.24) から ρ の a 依存性がわ かり、それを (1.21) に代入すれば a(t) が解ける。とくに p = wρ (w = const) とかけるとき、(1.24) より ρ∝ a−3(1+w) (1.26) となる。代表的な例は w = 1 3 相対論的放射 ρ∝ a −4 ρ r (massless 粒子) w = 0 非相対論的物質 ρ∝ a−3 ρm (dust) w =−1 真空のエネルギー ρ = const ρV

(9)

1.5 宇宙論的パラメタ 9 (˙a a )2 +K a2 = 8πG 3 ρ で、K = 0 として (1.26) を代入すると a(t)∝ t 2 3(1+w) w̸= −1 eHVt w =−1 (1.27) となることがわかる (HV = √ 8πGρV/3)。 実際にはいろんな種類の物質が共存している。

1.5

宇宙論的パラメタ (1.21) に H = ˙a/a を用いて K a2 = 8πG 3 ρ− H 2≡ (Ω − 1)H2 (1.28) 密度パラメタ Ω≡ 8πG 3H2ρ≡ ρ ρcr ρcr= 3H2 9πG(臨界密度) ρcr0= 3H02 8πG = 2× 10 −29h2g/cm3 各 成 分 毎 に Ωi = ρi pcr が 定 義 さ れ る 。Ωr, Ωm = Ωc(CDM) + Ωb(baryon), ΩΛ = λ と も か く。真 空 の エ ネ ル ギ ー 密 度 ρV は ア イ ンシュタインの宇宙項 Λ があるのと同じである。 Λ = 8πGρV (1.29) という対応関係が成り立つ。 ∑ i ΩiT 1 が K T 0 に対応する。更に ΩK≡ − K a2H2 (1.30) と定義すると

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Ωm+ Ωr+ Ω|{z}Λ λ = Λ 3H2 +ΩK = 1 (1.31) が成り立つ。これらの値を決めることは観測的宇宙論の一大テーマである。 宇宙年齢 (1.27) より、もし ΩK = ΩΛ = Ωr = 0, Ωm= 1 という Einstein de Sitter 宇宙を考えると a(t)∝ t 2 3 なので H = 2/3t であるから、宇宙年 齢は t0= 2 3H0 ≈ 66 億年 (1.32) 程度にしかならない。 (1.21) より一般の場合は t(z) =a 0 dt dada = z dz (1 + z)H(z) = 1 H0 ∫ z dz (1 + z) [Ωm0(1 + z)3+ Ωr0(1 + z)4+ ΩK0(1 + z)2+ ΩΛ0] 1/2 (1.33) となり、z = 0 とすれば t0が求まる。 実際には放射優勢であった時間はごく短いので Ωr= 0 としてよく、初 期宇宙のインフレーションからも、観測からも ΩK = 0 でよいと考えら れるので t0= 1 H0 ∫ 0 dx (1 + z)√1| {z }− Ωm0 ΩΛ0 +Ωm0(1 + z)3 (1.34) が成り立つと考えられる。 ΩΛがあると、Einstein de Sitter 宇宙よりも宇宙年齢がのびることが わかる(現在加速しているということは昔の膨張率は思ったほど大きくな かったということで、その逆数であるタイムスケール=年齢はのびるので ある)。

(11)

1.6 宇宙論パラメタの測定結果 11 距離についても ∫ r 0 dr 1− Kr2 | {z } −K sinh−1(−Kr) = ∫ t0 ts dt a(t)= ∫ da a ˙a = ∫ z 0 dz H(z)a0 = 1 a0H0 ∫ z 0 dz [Ωm0(1 + z)3+ Ωr0(1 + z)4+ ΩK0(1 + z)2+ ΩΛ0] 1/2 (1.35) とかける。ただし ts:光源を出た時刻である。よって a0r = 1 H0 ΩK sinh{√ΩKz 0 dz [Ωm0(1 + z)3+ Ωr0(1 + z)4+ ΩK0(1 + z)2+ ΩΛ0] 1/2 } 1 H0 SK(z) (1.36) とすると dL(z) = 1 H0 SK(z)(1 + z), dA(z) = SK(z) H0(1 + z) (1.37) となる。

1.6

宇宙論パラメタの測定結果 CMB の章でのべるが、今のところ、 Ωr0= Ωγ0+ Ων0= 8.00× 10−5 Ωm0= 0.27 なので、 aeq a = 1 3375 zeq = 3374 T > Teq= 9197K = 0.7925eV

(12)

1.7

初期宇宙の熱力学 現在の宇宙はダークエネルギー優勢だが、z = (ρV/ρm0) 1 3 − 1 = 0.47 より前は物質優勢、更に zeq = 3233+184−210より前は放射優勢で温度も高 かった。 高温高密度の熱平衡状態にあったとして、膨張宇宙の熱力学を考える。 温度 T ≡ β−1の平衡状態における粒子の諸量を書き下す。 fB F(ω) = 1 eβ(ω−µ)∓ 1 (1.38) 粒子数密度 n とエネルギー密度 ρ は(B, F 省略して) n = gd3q (2π)3f (ω) = q 2 ∫ m dEf (E)E(E2− m2) 1 2 (1.39) ρ = gd3q (2π)3ωf (ω) = g 2 ∫ m dEf (E)E2(E2− m2) 1 2(1.40) E = ω =m2+ q2 qは運動量 圧力は x =const において仮想的な壁に速度 vx= qx/ω で左辺からぶつ かると壁に力積 2qxを与えるので p = gqx>0 d3 (2π)3 2qx2 ω f (ω) = gq2 3ωf (ω) = g 2 ∫ m dEf (E)(E2− m2) 3 2 (1.41) 又は大分配関数 Ξ(β, µ) から得られる熱力学ポテンシャル Ω =−T ln Ξ = −pV = −T V gd3q (2π)3ln [1∓ e −β(ω−µ)]∓1 より p = ±gTd3q (2π)3ln[1± f(ω)] (1.42) = ±g β(E2− m2) 1 2E ln [1∓ e−β(E−µ)] dE = ± g ∫ [ (E2− m2) 3 2 ] ln [1∓ e−β(E−µ)] dE

(13)

1.7 初期宇宙の熱力学 13 = g 3 ∫ (E2− m2)32 e −β(E−µ) 1∓ e−β(E−µ)dE = (1.41) Gibbs の自由エネルギーの2つの表式 G = E− T S + P V = µN (1.43) エントロピー密度は s = β(ρ + p− µn) (1.44) で与えられる。µ = 0 でもこれは正しい。 別の導出も考えてみる。 T dS = dE + pdV = d(ρV ) + pdV = ρdV + V dρpdV = (ρ + p)dV + V dprho ρ = ρ(T ) とすると dS =ρ + p T dV + V T dTdT∂S ∂V = ρ + p T , ∂S ∂T = 1 T dT 可積分条件より ∂T (ρ + p T ) = ∂V (V T dT ) = 1 T 左辺 = 1 T dT + 1 T dp dT ρ + p T2 ∴ dp dT = ρ + p T これより、S = V T(ρ + p) とすると dS = ρ + p T dV − V ρ + p T2 dT + V T ( dT + dp dT ) dT = ρ + p T dV − V ρ + p T2 dT + −1 T (ρ + p) dV dTdT + V T2(ρ + p)dT

(14)

= 0 になり OK。 V = a3の領域に対し熱力学第1法則をかく。 d′Q = dE + pdV = V dρ + 3V ρda a + 3V p da a = 0 (1.45) (1.24) dt =−3(ρ + p) da dt 1 aより (1.46) 準平衡なら d′Q = T dS だから断熱膨張ということ。 非相対論的なら f (ω) = e−β(−µ) このとき n = g(mT )3 2 e−β(m−µ) (1.47) ρ = (m +3 2T ) n (1.48) P = nT ≪ ρ (1.49) ε = ρ n = m + 3 2T (1.50) s = (m− µ T + 5 2 ) n ∼= m− µ T n (1.51) 初期宇宙では、粒子の質量にくらべて温度が高く (kBT ≫ mc2) 相対論 的な場合で更に µ≪ T のとき nB = ζ(3) π2 gT 3, n F = 3 4 ζ(3) π2 gT 3 (1.52) ρB= π2 30gT 4, ρ F = π2 30 7 8gT 4 (1.53) ρ n ≡ εB= π4 30ζ(3)T ≃ 2.70T, εF = 4 180ζ(3)T ≃ 3.15T(1.54) P = 1 3ρ (1.55) s = ρ + P T = 3T (1.56)

(15)

1.7 初期宇宙の熱力学 15 B はボソン、F はフェルミオン、ζ(3) = 1 2 ∫ 0 x2dx ex− 1 = 1.202057· · · = n=1 n−3。 全放射のエネルギー ρr= π2 30g∗(T )T 4, g ∗(T ) =i∈boson gi+ 7 8 ∑ j∈ferumion gj(1.57) s = 2 90 g∗(T )T 3 (1.58) 演習問題 3  標準模型では、全ての自由度が相対論的なとき (T 100GeV)、g∗= 106.75 になることを示せ。 一部の粒子の相互作用が相対的に弱まり、熱的な平衡からずれると、こ れらは他と異なる温度の熱分布になっている場合もある。その温度を Ti とすると ρr= π2 30g∗(T )T 4 g ∗(T ) =i∈b gi (Ti T )4 +∑ j∈f gj (Tj T )4 (1.59) s = 2 90 g∗s(T )T 3 g ∗s(T ) =i∈b gi (Ti T )3 +∑ j∈f gj (Tj T )4 (1.60) gと g∗sは一般に異なる。 T ≫ Teqでは ρtot= ρr= π2g 30 T 4, a(t)∼ t12 なので H2= (1 2t )2 =8πG 3 ρr= 3g ∗(T ) 90M2 pl T4 Mpl= 1.2× 1019GeV より t = ( 90 32π3g )1 2 Mpl T2 ( T 1MeV )−2 sec (1.61) となる。 Mpl=~ 1 2c 5 2G 1 2 = G 1 2 = 1.2211× 1019GeV = 2.1768× 10−5g

(16)

tpl=~ 1 2G12c−52 = 5.3904× 10−44sec lpl=~ 1 2G 1 2c 3 2 = 1.6160× 10−33cm ρpl= c5~−1G−2= 5.1584× 1093g/cm 3 = Mpl4 (1.62)

1.8

宇宙の温度 完全な熱平衡状態は系が巨視的にみて静的でないと成立たない。これ まで宇宙には温度がずっとあると思ってきたが、宇宙膨張のタイムスケー ルで十分平衡化の反応がおこらないといけない。 Γ ≫ H(ガモフの条件) (1.63) これは1回の反応がおこる時間が宇宙年令より十分短いということ τ≪ 2t (1.64) 例えば、比較的反応率の大きいゲージ粒子との2体反応を考えると、反 応率 Γ2=⟨nσc⟩ ≃ N T3 π2 α2 T2 (1.65) N は反応するモード数、Γ2∝ T である。 一方放射優勢期を考えているので H ∝ T2であり、T ↗ でどこかで Γ2< H となる。つまり Γ≫ H という条件は宇宙の温度に対して上限を 与えることになる。 T ≪ 1015( α 0.05 )2(N 10 ) ( g 200 )12 GeV (1.66) これ以前の宇宙はどんなに密度が高くても、一般に非平衡状態であったと 考えるべきである。 膨張宇宙ではさまざまな反応がさまざまなタイムスケールで起こるた め、どのような反応が活発におこるかによって「平衡状態」は3種に大別 できる。

(17)

1.8 宇宙の温度 17

(i) 運動学的平衡 (kinetic equilibrium) 反応の前後で粒子の種類の変 わらない弾性散乱のみが活発におこっている状態 (eγ→ eγ とか)。 位相空間での分布は Boson は Bose 分布、Fermion は Fermi 分布

f (ω) = 1

e(ω−µ)/T ∓ 1 (1.67)

各成分 i の化学ポテンシャル µiの間には特段の関係は存在しない。

(ii) 化学平衡 (chemical equilibrium) 上記の反応に加え、反応前後で 粒子の種類が変わるようなある種の反応も十分活発におこってい る場合 abc· · · →ijk· · · がおこっているとき µa+ µb+ µc+· · · = µi+ µj+ µk+· · · が成り立つ。反応の数だけ式がたつ(独立な式の数が粒子の種類 の数を超えることはない) f (ω) = 1 e(ω−µi)/T ∓ 1 の形は同じ(バリオン数保存しているような場合)。

(iii) 熱平衡 (Thermal equilibrium) 最上位の平衡状態。考え得る全て の反応が宇宙膨張のタイムスケールより十分速く起こっている状 態。エントロピーが最大になるのは化学ポテンシャルが全て 0 に なる場合だから、非保存量に対応した化学ポテンシャルは全て 0 になる。従って分布関数は f (ω) = 1 eω/T ∓ 1 (1.68) なお、非対称性 (asymmetry)(µ + ¯µ = 0 q ¯q↔ γγ が十分速くおこっ ているとき)は fermion の粒子数− 反粒子数  で定義され、 nq− nq¯ = g 2 ∫ m E(E2− m2) 1 2dE [ 1 e(E− µ)/T + 1− 1 e(E + µ)/T + 1 ]

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=      gT2 2 [ π2µ T + (µ T )3] (T ≫ m のとき) 2g (mT )3 2 e− m T sinh (m T ) (T ≪ m のとき) (1.69) となる。

1.9

膨張宇宙における粒子数の発展方程式 位相空間での分布関数 f (pµ, xµ) = f (E, t) = f (p, t)(一様等方宇宙) に対する Boltzmann eq. ˆ L[f ] = C[f ] (1.70) を考える。 ˆL:Liouville 演算子 非相対論的粒子なら ˆ LN R = D Dt = ∂t+ dx dt · ∇ + dp dt · ∂p = ∂t+ v· ∇ + F ∂v 相対論的なら ˆ LR = dxα ∂xα+ dpα ∂pα τ : Affine parameter = ∂xα − Γ α βγp β ∂pα = E ∂t− Hp 2 ∂E E =m2+ p2 (1.71) になる。これより数密度 n(t) = gd3p (2π)3f (p) は、 1 EL[f ] = 1 EC[f ] を積分して

(19)

1.9 膨張宇宙における粒子数の発展方程式 19 dn dt + 3Hn = gd3p (2π)3EC[f ] (1.72) をみたす。 演習問題 5  式 (1.71)、(1.72) を導け。 衝突項を考える。ψ という粒子を念頭におき ψ + a + b +· · · + d ↔ i + j + · · · + l という反応を考える。 (1.72) の右辺は gd3p ψ (2π)3E ψ C[f ] =−dΠψdΠa· · · dΠddΠi· · · dΠl ×(2π)4δ4(p ψ+ pa+· · · + pd− pi− pj− · · · − pl) ×[|M|2 →fψfafb· · · fd(1± fi)(1± fj)· · · (1 ± fl) −|M|2 ←fifj· · · fl(1± fψ)· · · (1 ± fd) ] (1.73) |M|2

は各方向の transition amplitude’s matrix element(Tinvariance |M|2 = |M|2)、(1± fs) は 生 成 さ れ る 粒 子 に 対 す る a†s|n >= 1± ns|ns+ 1 > に由来する(誘導放出 induced emission、パウリ禁則 Pauli blocking)。 dΠs= g d4 (2π)4 × 2πδ(p 2 s− m 2 s) = g d3p (2π)3 1 2Ep (1.74) 各粒子は運動学的平衡にあるとすると fs(Es) = 1 eβ(Es−µs)/T ∓ 1 つまり 1± fs= fse β(Es−µs) とかける。 (1.72)、(1.73) は ˙nψ+ 3Hnψ = ∫ dΠψdΠa· · · dΠddΠidΠl|M|2fψfa· · · fdfi· · · fl ×(2π)4 δ4(pψpa+· · · − pi− · · · − pl)

(20)

−eβ(Ei−µi)· · · eβ(El−µl) ] (1.75) エネルギー保存より Eψ+ Ea+· · · + Ed= Ei+· · · + El もしµψ+ µa+· · · µd= µi+ µj+· · · + µlならこの項は消える フェルミ縮退もボース縮退もない場合はもう少し簡単化した解析が可能で ある。1± fiのファクターを無視すればよいから。Boltsmann eq. は ˙nψ+ 3Hnψ = dΠψdΠa· · · dΠddΠidΠj· · · dΠl ×(2π)4δ(p ψ+ pa+· · · + pd− pi− · · · − pl) ×|M|2[f ψfafb· · · fd− fifj· · · fl] (1.76) となる。

(21)

1.10 対消滅の凍結による粒子数密度の決定 Freeze out of pair annihiration Decoupling 21

1.10

対消滅の凍結による粒子数密度の決定

Freeze out of pair annihiration Decoupling

応用として、比較的弱い相互作用しかせず超寿命で、粒子・反粒子の対 消滅でのみ粒子数の変化する場合を考える ψ ¯ψ→ χ¯χ χ ¯χ はより強い相互作用 (e.g. 電磁相互作用) もし、熱平行分布なら feq χ = fχeq = 1 eβEx∓ 1 に従うとする (CPT 不変性より粒子と反粒子は同じ質量を持つ) (例)ψ: neutrino χ: charged lepton がそれにあたる (1.84) より ˙ nψ+ 3Hnψ = dΠψdΠ ¯ψdΠχdΠ ¯χ(2π)4δ4(pψ+ pψ¯− pχ− pχ¯) ×|M|2[f ψfψ(1± fχeq)(1± f eq ¯ χ )− fχeqf eq ¯ χ (1± fψ)(1± fψ¯)] (1.77) ψ と ¯ψ は kinematic equilibrium にあるとすると dΠ 積分は熱分布に 関する平均ということになり (1.87) より ψ と ¯ψ は kinetic equilibrium にあるとすると  dΠ 積分は熱分布に関する平均ということになり (1.87) より dnψ dt + 3Hnψ=−⟨σψ ¯ψ→χ ¯χ|v|⟩(n 2 ψ− n eq2 ψ ) (1.78) 但し  ⟨σψ ¯ψ→χ ¯χ|v|⟩ = 1 neqψ dΠψdΠψ¯dπχΠχ¯(2π) 4 δ4(pψ+ pψ¯− pχ− pχ¯) ×|M|2e−Eψ/Te−Eψ¯/E 断面積を全消滅断面積⟨σann|v|⟩ におきかえると nψの正しい発展方程式 が出る

(22)

dnψ dt + 3Hnψ=−⟨σann|v|⟩(n 2 ψ− n eq2 ψ ) (1.79) 従属変数をエントロピーとの比 Yψ ≡ nψ/s、独立変数を温度と質量の比 x≡ mψ/T にとると (1.78) は x Yeq dYψ dx = Γann H [( Yeq )2− 1] (1.80) Γann ≡ neqψ < σann|v| > となる 平衡分布は Yeq(x) =        45ξ(3) 4 g g∗∫ × ( 1 3/4 ) Boson Fermion T ≫ mψ 45 4( π 8) 1 2 g g∗∫x 2 3e−x T ≪ mψ (1.81) とかける •T ≫ mψのとき neqψ ∝ T 3 であり、もし⟨σann|v|⟩ が T−1より大きいと Γannは T2より強く T に依存し, 相互作用が弱くて軽い粒子は、まだ相 対論的である間に Γann/H < 1 となる。→ 相対論的であるうちに粒子数 が凍結する hot dark matter,   ν など

• 相対論的な間ずっと Γann> H を保った粒子は、freeze out することな く温度の低下とともに非相対論的になる。

すると neqψ は指数関数的に減少するので Γannも小さくなり Γann< H と なって凍結する。⟨σann|v|⟩ が大きいほど freeze out は遅れ、指数関数的 に小さな粒子数密度しか残らない。しかし < σ|v| > が適度に小さいと ちょうど良い量残り、CDM になる。

(例)SUSY dark matter

これらを実例とともに詳しくみていく Γ = H となった時の x を xfとする。

(23)

1.10 対消滅の凍結による粒子数密度の決定 Freeze out of pair annihiration Decoupling 23 x. xfでは熱平衡値 Yeq を保つが x& xf では Yeq(xf) に凍結する。そ の後エントロピー生成があると分母が減少する。 (1) 熱い残存物 hot relics xf . z に対応し、凍結時に相対論的だった粒子。 Y ≡ Y (x → ∞) ≃ Yeq(xf) = 0.278 g g∗s× ( 1 Boson 3/4 Fermion ) 現在の数密度は s0= 2.9× 103cm−3(後出) なので nψ0 = s0Y∞= 8.1× 102 g g∗s × ( 1 3/4 ) cm−3 ρψ0 = 8.1× g g∗s× ( 1 3/4 ) ×( m 1eV ) eVcm−3 Ωψ0 = 0.15× g g∗s(xf)× ( 1 3/4 ) ( m 1eV ) (1.82) ということである。 3 世代のニュートリノについては Ων0h2= ∑ i mνi 94.1eV (2) 冷たい残存物 cold relics xf & 3 に対応し、凍結時に非相対論的であった粒子。 ⟨σann|v|⟩ が温度に依らない場合 (通常の低エネルギー反応ではそ う) を考える。 x = xfΓann= neqψ⟨σann|v|⟩ = H = ( 3M2 pl π2 90g∗T 4 f )1 2 (1.83)

(24)

より Y (xf) = neqψ(xf) s(xf) = 90 4πg∗sT3 f H ⟨σann|v|⟩ = (45g π )1 2 xf g∗s⟨σann|v|⟩Mplmψ (1.84) xf は (1.92) より近似的に xf = ln[0.038 g g1/2 Mplmψ⟨σann|v|⟩] +1 2ln{ln[0.038 g f1/2 Mplmψ⟨σann|v|⟩]} と求まる。このとき nψ0 = 11.1× 104 g1/2xf g∗sMplmψ⟨σ ann|v|⟩cm−3 ρcro = 5.5× 103eVcm−3なので ( ρ cro= 0.97× 10−29g/cm3 1eV = 1.78× 10−33g Ωψ0 = mψnψ0 ρcro = 2.0g 1/2 xf gMpl⟨σann|v|⟩ eV−1 = g 1/2 xf g∗s ( ⟨σann|v|⟩ 2.0× 10−27cm3/s )−1 (1.85) これは断面積だけで決まり mψによらない!

1.11

脱結合後の分布

Distribution function after

decou-pling

はじめ Γ ≫ H:熱平衡分布

Γ < H になると、そのときに持っていた運動量を初期値とし、宇宙膨張 によって運動量を減じながら自由に伝播する自由粒子の運動を表す測地線

(25)

1.11 脱結合後の分布 Distribution function after decoupling 25 方程式を RW 計量の下で表すと、四元速度の空間成分の大きさ u は du dt =−Hu を満たすことが分かる。つまり粒子の運動量 p はスケールファクターに 反比例して減少する。

•massless 粒子は脱結合時 Tdec 。Tdecに f (p, tdec) = 1 ep/Tdec∓1という分布をしており、 その後各粒子の運動量は p(t) = p(tdec) a(tdec) a(t) のように減少する また消滅反応はもうおこらないので粒子数密度は m∝ a−3と単純に減少 する。 ∴ f(p, t) = d3n dp3 = f (p a adec , tdec) = 1 exp( pa Tdecadec )∓ 1 (1.86) T = Tdec adec a の熱分布に従う。 この温度は分布関数の温度を形を決めるパラメタとしての意味しかもたな い。(例) 宇宙マイクロ波背景輻射 • 脱結合時に非相対論的でボルツマン分布 f (E)∝ exp ( −E− µdec Tdec ) (1.87) に従う。粒子の運動エネルギーは a−2に、数密度は a−3に比例して減少 する。よって温度パラメタは T (t) = ( a adec )−2 Tdec, (1.88) 化学ポテンシャルは、 µ(t) = m + (µdec− m) ( a adec )−2 (1.89)

(26)

のように変化しながら (1.87) を保つと考えればよい。

1.12

ニュートリノの脱結合 •decoupling の実例を述べる ν は電荷を持たないため Z0ボソンで媒介される弱い相互作用の中性カレ ントを通じてのみ対消滅する。 • その反応率はフェルミ定数 GF = 1.17× 10−5GeV−2 と関係し Γ G2FT5と表される。これとその時の H = 5.4 T 2 Mpl との比をとると Γ H = ( T 1.5MeV )3 (1.90) となり T < 1.5MeV では ν は decooupling し、(1.86) の分布に従って進 化することになる。 • その後 T . 0.5MeV(= 511keV) になると e+eは非相対論的になり、 その存在量は指数関数的に減少する。 その時相対論的自由度は e±× ( L R ) ×9 8 = 2× 2 × 9 8 = 3.5 だけ減少 する。 その前後での体積 a3内のエントロピー保存から (before)10.75Tνa3 a3= (after)2Tγa3 a3+21

4 T 3

νa

3

Tνb= Tνaで ν はもう decouple しているので e±で heat up されない。

Tνb3a3 = Tνa3 a3 ∴ Tνa = ( 4 11 )1 3 Tγa (1.91) 現在も成り立つと Tν0= (4 11 )1 3 × 2.73 = 1.95K 現在

(27)

1.13 宇宙の晴れ上がり 27 g∗0 = 2 +7 8 × 3 × 2 × (4 11 )4 3 = 3.36 (1.92) g∗s0 = 2 +9 8 × 3 × 2 × 4 11 = 3.91 (1.93) となっている ((1.59),(1.60) の実例である。)

1.13

宇宙の晴れ上がり はじめ水素原子は陽子と電子に電離したプラズマ状態にあった。温度の 低下とともに中性水素原子になる (recombination) イオン化エネルギー は 13.6eV≃ 16 万 K だが実際にこれが起こるのはもっとずっと低い温度 である。nγ≫ nBだから まずは p + e↔ H + γ という化学平衡を考える T < miの平衡状態では (1.47) より ni = gi (miTi )3 2 e− mi−µi T i = p, e, H によって µp+ µe= µψを書くと nH = gH gpge npne (meT )32 eBT B = mp+ me− mH = 13.6eV (1.94) となるが 電荷保存より np= ne、バリオン数保存より np+ nh= nb nb = ηnγ (η∼ 10−10と前にやった) より、イオン化率 Xe≡ np/nbは 1− Xe X2 e =4 2ζ(3) π η ( T me )3 2 eBT (1.95) となる。これをサハの式という。実際にはこのように化学平衡を保ったま ま decoupling するわけではなく、もっと複雑である。 そこでボルツマン方程式 (1.72) や (1.78) のような式を考える

(28)

˙ ne+ 3Hne = ⟨σv⟩ ( nHnγ neq e neqp neqHnrqγ − n enp )

という式になる。⟨σv⟩ は recombination cross section p + e → H + γ の 熱平均 (右辺( )の第 2 項は⟨σv⟩ の定義からそのまま出る 第 1 項は ( ) が平衡状態で 0 になるということから出る) = ⟨σv⟩ ( nH neq e neqp neqH − n 2 e ) = nb⟨σv⟩[(1 − Xe) (meT )3 2 e−BT − Xe2nb] (1.96) これより dxe dt = β(1− Xe)− α (2)n bXe2 (1.97) β ≡ ⟨σv⟩(meT )3 2 e−BT イオン化率 ionization rate α(2) ≡ ⟨σv⟩ 再結合率 recombination rate α(2):基底状態 (n = 1) 以外への再結合を表す。 n = 1 に再結合すると 13.6eV の γ が出てそれは他の電子をすぐイオン化 してしまうから 従って再結合は励起状態 (excited state) の水素原子を介しておこる α(2) = 9.78α 2 m2 e (B T )1 2 ln (B T ) (1.98) と表される。その解は数値的に求めるしかなく decoupling したかどうか は γ の散乱率と H の比率で決まる γ の散乱率 : neσT = XenbσT σ = 6.65× 10−25cm2 Thomson 散乱断面積 neσT = 7.48× 10−30XeΩbh2 (a a0 )−3 cm−1

(29)

1.13 宇宙の晴れ上がり 29 neσT H = 113Xe (bh2 0.02 ) (mh2 0.15 )12(1 + z 1000 )3 2 [1 + 0.28(1 + z 1000 ) (mh2 0.15 )−1 ]12 (1.99) Xe. 10−2になると decoupling することが分かる zdec= 1090.79+0.94−0.92 (WMAP7) (1.100) cf(1.99) で Xe= 1 としたまま neσe H < 1 になる z を求めると 1 + z = 43 (0.02 Ωbh2 )2 3(Ωmh2 0.15 )1 3 (1.101) になる。これ以降に宇宙が再イオン化したとしても γ は散乱されない。

(30)

インフレーション宇宙論

2.14

宇宙の地平線 1) 粒子の地平線 particle horizon dh(t) 宇宙創世以来、時刻 t までに因果関係をもちえた (光が到達できた) 距離 (その座標距離を rH とする) ds2 = −dt2+ a2(t) dr 2 1− Kr2 = 0 (null) dH(t) |{z} 固有距離の定義より ∫ rH 0 grrdr = a(t)rH 0 dr 1− Kr2 = a(t)t ti dt′ a(t′) (2.1) a(t)∝ tmとすると dH(t) = t 1− m [ 1 (ti t )1−m] = t 1− m (m < 1 なら) (2.2) 2) ハッブルホライズン (ハッブル長) 時刻 t 頃に宇宙膨張時間 H−1に因果関係を持てる距離 H−1=a ˙a = t m f or a(t)∝ t m (2.3) m < 1 であるとどちらも t に比例して増大する 宇 宙 膨 張 a(t) ∝ tm の 方 が 遅 い の で 時 間 が た つ に つ れ 、

(31)

2.15 平坦性問題 (長寿命問題) 31 今まで見えなかった座標距離にある点がどんどん見えてくる−→ど れもよく似ている!: 地平線問題

2.15

平坦性問題

(長寿命問題)

(˙a a ) + K a2 |{z} ∼a−2 = 8πG 3 ρ = 3M2 pl ( ργ |{z} ∼a−4 + ρ|{z}m ∼a−3 + ρ|{z}Λ ∼a0 ) 現在のダークエネルギー優勢時代はともかくとして z > 0.47 では MD か RM だったので a↗ とともに ρ よりも K/a2が相対的に大きくなる。 つまりK/a 2 ρ ∝ a or a 2 しかし現在 Ω = 1.0023+0.0056−0.0054(WMAP7+BAO+H0) でありK a2 = H 2(Ω− 1) (1.28) はきわめて小さい。 Rcurv = a(t) K = H −1 0 |Ωtot− 1|−1& 103H0−1 と曲率半は極めて大きい これは a の小さかった頃の宇宙から曲率項が非常に小さかったことを意 味する。 Ωtot(t)− 1 = 1 8πGρ 3 / K a2 − 1 0 a↘0 ( 1 a(t) aeq )2( aeq am ) (a0 am )2 − 1 (2.4) amは物質優勢 (DM) からダークエネルギー優勢 (ΛD) になったときの値。 プランク時刻まで断熱膨張でさかのぼると |Ω(tpl)− 1| . 10−60 (2.5)

(32)

でないと現在のように平坦な宇宙ができない。

Rcurv(tpl)& 1030lpl ということであり到底容認できない。

2.16

高温時の対称性の回復と相転移

High temperature symmetry restoration and phase

transitons

素粒子の標準理論 SU (3)× SU(2) × U(1) では、Higgs 場が期待値を 持つことによって SU (2) 対称性が破れるとともに、クォーク、レプトン が質量を持つ。 宇宙におけるスカラー場の挙動を調べるため次の実スカラー ϕ モデルを 考える。 L = −1 2(∂ϕ) 2 | {z }−V [ϕ] (2.6) = gµν∂µϕ∂νϕ =|{z} RW − ˙ϕ2 + 1 a2(∇ϕ) 2 = |{z} 宇宙膨張なければ − ˙ϕ2+ (∇ϕ)2 V [ϕ] =λ 4 2µ2 λ) 2 =λ 4ϕ 41 2µ 2ϕ2+µ4 当面宇宙膨張を無視して考える。 運動方程式 δL δϕ = 0 よりϕ− V [ϕ] | {z }= 0 (2.7) = λϕ3− µ2ϕ において ϕ をある量子状態|∗⟩(真空とは限らない)での期待値 σ ≡ ⟨∗|ϕ|∗⟩ とそのまわりの揺らぎ φ の和として書く ϕ = σ + φ ⟨∗|φ|∗⟩ = 0 (2.8)

(33)

2.16 高温時の対称性の回復と相転移High temperature symmetry restoration and phase transitons 33 すると⟨∗|δL δϕ|∗⟩ = 0 は −σ + µ2σ− λ⟨(σ + φ)3⟩ = −σ + µ2σ− λ⟨(σ3+ 3σ2φ + 3σφ2+ φ3) =−σ − (λσ2− µ2)σ− 3λ⟨φ2⟩σ − 3⟨φ3 = 0 (2.9) となる φ(x, t) は通常の量子場として φ(x, t) =d3k (2π3/2) 1 2ωk [

akeikx−iωkt+ a†ke−ikx+iωkt

] (2.10) [ ak, a†k ] = δ(k− k), ωk = √ k2+ m2 ϕ と展開される。(mϕ; ϕ = σ での mass) φ3は operator 3ヶの積だから最低次では無視する

(例えば coherent state ではこれは正しくないが今は coherent 成分は 除いてある) ⟨∗|φ2|∗⟩ =d3k (2π)3 1 2ωk (2⟨∗|a†kak|∗⟩ | {z } occupation ♯ +1) (2.11) |∗⟩ = |0⟩(vacuum) なら occupation ♯ は 0 で、残る項は ∞ で質量の繰り 込みで吸収できる。 従って|∗⟩ = |0⟩ のときは ⟨φ2⟩ も ⟨φ3⟩ もないのと同じで、質量項はくり こまれたものに置き換えられていると考えればよい。

σ =const として真空の translational invariance を respect した解を探 すと σ = 0, ±√µ λだが、σ = 0 は不安定なので σ =± µ λの基底状態 におちつく。 一方初期宇宙のある時期熱平衡状態が成り立っていたことを念頭に有限温 度状態|∗⟩ = |β⟩ (β = T−1) を考えると (相互作用による反応が宇宙膨張より十分速く起こる状態を考えている

(34)

ので宇宙膨張の影響は無視してよい) ⟨β|a†kak|β⟩ = 1 eβωk− 1 (2.12) となる (ボゾン) T≫ mϕでは ⟨β|φ2|β⟩ =d3k (2π)3 1 2ωk 2 eβωk− 1 T2 12 (2.13) になる。つまり (2.9) は −σ − (λσ2+λ 4T 2− µ2)σ = o (2.14) これから分かるように T >√sµ λのときは σ =const という解は σ = 0 し かない: 有限温度での対称性| {z } ここではϕ↔−ϕ の回復 このモデルでは有限温度ではポテンシャルはλ 8T 2ϕ2 のような補正項が加 わったものと同様である。(T4の項も生じるが ϕ の挙動には関係ない) 温度の低下とともに⟨ϕ⟩ = 0 は不安定になり ⟨ϕ⟩ = σ = ±√µ λにむけて 相転移 が起こる。しかしこの相転移は現在観測できる宇宙全体で一様に おこるわけだはなく相転移時のスカラー場のコヒーレント長 (相関距離) を超えたスケールではランダムに起こる。とくに T ≃√2µ λ ≡   Tcでの 宇宙の地平線 Hc−1 (8πG 3 π2 30g∗T 4 c )12 を超えたスケールでは⟨ϕ⟩ = ±√µ λの値をランダムにとることになる ϕ(x, t) は連続的に変化するから ϕ = +√µ λ µ λの点の間には ϕ = 0 の点 (V (ϕ = 0) = µ 4 というポテンシャルエネルギーを持つ) が必ず存在 する。これが位相的欠陥の一種、ドメインウォールである。 高いエネル

(35)

2.16 高温時の対称性の回復と相転移High temperature symmetry restoration and phase transitons 35 ギー密度を持っているがトポロジカルに安定である。 このモデルは、相転移後の真空が±√µ λ という離散的な値を持つのでド メインウォールができる。 複素スカラー場の相転移のように真空が U(1) 対称性を持つ場合(相転移 によって U (1) が破れる) には、位相角が一周する周りにストリング (宇 宙ひも) ができる。U(1) 対称性が生じる場合には点状の位相的欠陥であ るモノポールができる。 コア ドメインウォール 面状 離散的対称性の破れ Π0(M) ̸= 1 過剰生成 ストリング ひも状 U(1) 対称性の破れ Π1(M) ̸= 1 スケール解 モノポール 点状 U(1) 対称性が生じるとき Π2(M) ̸= 1 過剰生成 テクスチャー なし 大域的 SU(2) 対称性の破れ Π3(M) ̸= 1 スケール解 ホモトピークラス Πn(M), n = 0:点から、1:円周から、2:球面から M へ の写像。M は相転移後の真空多様体。 スケール解:宇宙のエネルギー密度に比例しながら減っていくのでわる さをしない

特に最終的に SU(3)× SU(2) × U(1) にいかねばならない。

大統一理論は必然的にモノポールの生成を予言する。これをうすめるのが インフレーション宇宙論の大きな動機になった。 cf  標準理論のフェルミオン質量生成 ヒッグス場 H = ( h+ h0 ) が期待値を持つことでおこる。 電磁相転移の前は⟨H⟩ = 0 なので、クォーク、レプトンは質量をもた ない。 V [H] = µ2H+H + λ(H+H)2+ const µ2< 0 LHiggs = ( ∂µ− ig2Waµ σa 2 − ig1 ) 2 − V [H] + ∑ i,j=e,µ,τ fijlL¯iHlj+ ∑ i.j=d,s,b fijDQ¯iHqj

(36)

+ ∑ i,j=u,c,t fijUQ¯iHq˜ j ˜ H = 2H∗ L = ( ν e ) L · · · , Q = ( u d ) L · · · , (2.15) 相転移後 ⟨h0⟩ =−M2 ,⟨h ⟩ = 0 という値を持つ 注2)初期宇宙に熱的相転移を考えるのは誤りである。 m = f⟨h0⟩, Mw= g2 2⟨h 0⟩, M 2= 1 2 √ g2 1+ g22⟨h 2

2.17

インフレーション宇宙論の原理 その他の問題 ◦ 宇宙の大規模構造 · 階層構造のたねになった密度 · 曲率ゆらぎの起源 ◦ そもそもなぜ宇宙は膨張しているのか? 時代的背景 (historical background) 1970 年代の素粒子の大統一理論が提唱され MGUT= 1015−16GeV とい うプラクスケール Mpl= 1.2× 1019GeV まであと一歩に迫る理論ができ た。 §3 で考えた相転移がゆっくり起こると原点のポテンシャルエネルギー密 度が宇宙を支配するような時代が続く。ρ = V [0] =const とすると (˙a a )2 + K a2 8πG 3 ρ = 8πG 3 V (0) = H 2 inf (2.16) となり a∝ eHinftに漸近する。K a は指数関数的に小さくなる。すると平 坦性問題が解決する。粒子の地平線もこのとき

(37)

2.17 インフレーション宇宙論の原理 37 dH(t) = a(t)t ti dt′ a(t′) = 1 He H(t−ti) (2.17) と指数関数的に増大する。 実際には ρ =const である必要はない。 ρ∝ a−n のとき a(t)∝ tn2 だったが (1.27) より n = 3(1 + w) であり、 n < 2 ならアインシュタイン方程式のエネルギー項より曲率項の方が早く 減少するので平坦性問題が解決する。地平線も (2.2) より a(t) に比例し て拡大 ρtotal= ρinf(t) + ρm(t) + ργ+· · · (2.18) → ρinf(t) これしかない宇宙 ↓ このエネルギーを十分なインンフレーションののち ↓ 放射に転換しなければならない ργ(t): Fiedmann 宇宙へ • インフレーション宇宙論 宇宙が膨張してもエネルギー密度があまり減らない (a−2よりゆっくり) 『物質』ρinf(t) が宇宙を支配して加速的膨張を起こし平坦性、地平線問題 を解決し、その後エントロピー生成によって Hot Big Bang Cosmology の初期状態を物理的に実現する。 インフレーション=加速的膨張+再加熱 • インフレーション宇宙における各種スケールの進化 座標スケール r = k はインフレーション中とその後のフリードマン時代 の 2 回ハッブルホライズンを横切ることになる。 t′kでスケール k まで見えてくるがそのスケールはインフレーション中の tk以前に『見えていた』ので自分と似ていても不思議ではない。 どれだけインフレーションが続けばよいか簡単な場合に見積もってみる。 インフレーション中、宇宙のエネルギー密度は ρinfという一定値をとる ものとする。そして時刻 tsから tf までインフレーションが続いたあと、 インフレーションを起こすスカラー場 (インフラトンと呼ぼう) のエネル

(38)

ギー ρinfが全て放射のエネルギーに転化するとする。( 実際にはこの再加 熱には有限の時間がかかり、その間にインフラトンのエネルギー密度はう すまってしまう。) そのときの放射の温度 TRρinf= ρr= π2 30g∗T 4 R≃ 60 ( g 200 ) TR4 (2.19) で決まる。 その後宇宙はずっと断熱膨張したとすると、エントロピー保存より g∗T3a3 は一定に保たれる。g∗s0= 3.91, TCMBO= 2.735K より インフレーション後宇宙は a0 aR = TR TCMB ( g 3.91 )1 3 = 3.7 ( g 200 )1 3 TR TCMB (2.20) だけ膨張したことになる。したがってインフレーションが始まったときの ハッブル長 Hinf−1は、現在 L0≡ Hinf−1e Hinf(tf−ts)a0 aR = 1.1× 1017 ( g 200 )14( Hinf 1013GeV )12 eHinf(tf−ts)GeV−1 = 7.3× 10−22 (g 200 )14( Hinf 1013GeV )12 eHinf(tf−ts)Mpc (2.21) までひきのばされている。但し Hinf= (8πGρinf 3 )1 2 である。 インフレーションが始まった時の宇宙がハッブル長に 1 程度の非一様性 をもっていたとすると、それが充分ひきのばされ、現在の地平線に 10−5 程度のゆらぎしかないようにするためには L0 & 500H0−1 でなければな らないのでインフレーションが eN 続いたとすると N は N ≡ Hinf(tf − ts) > 65 + 1 2ln ( Hinf 1013GeV ) ≡ Nmin (2.22) をみたさなければならないことが分かる。

(39)

2.17 インフレーション宇宙論の原理 39 平坦性問題については (1.28)K a2 = H 2(Ω− 1) より Ω(t0)− 1 Ω(ts)− 1 = (a(ts)Hinf a0H0 )2 = 1 (L0H0)2 (2.23) < 500−2 |Ω(t0)− 1| < 4 × 10−6|Ω(ts)− 1| (2.24) であり Ω(ts) が 1 のオーダーなら現在の Ω は少なくとも 5 桁の精度で 1 に等しいことが結論される。 こうして地平、平坦性問題を同時に解決しようとするインフレーション宇 宙論は実質的に実質的に平坦な宇宙を予言する。 インフレーション宇宙論の研究は大きく分けて 1 宇宙進化を無矛盾に記述する ρinf(t) と→ ργ についての素粒子物 理的研究 2 ρinf(t) あるいは正の宇宙項があったとして一般の非一様、非等方宇 宙から出発してインフレーションが起こり宇宙の一様等方化が実現 できるかという一般相対論的研究 3 インフレーション時に生成する密度、曲率揺らぎの進化を CMB の 非等方性や大規模構造の観測データと比較する観測的宇宙論の研究 (揺らぎ宇宙論) 2については宇宙無毛化仮説というものがあり「正の実効的宇宙項があ れば、一般的な初期条件の下で、その宇宙項の決めるタイムスケールでイ ンフレーションが始まる」ということが主張されている。反例はあるが、 例えば、空間曲率が至るところ負であればこれが成り立つ。 一般に曲率が正であってもあまり大きすぎないこと、初期のハッブル 地平線の数倍程度までのスケールで非一様性が 1 程度以下にとどまって いることが要請される。 それがみたされれば宇宙はハッブル時間で一様等方化されるので、その後 は背景時空としては平坦まロバートソンウォーカー時空で考えればよい。

(40)

2.18

スカラー場のダイナミクス 何が ρinf(t) を担うかということが重要だが、最も標準的なのは、ある スカラー場 ϕ のポテンシャルエネルギー密度 V (ϕ) である。これは ϕ の 値だけで決まり、方向を持たず宇宙が膨張しても薄まらないからである。 スカラー場としては (i) ゲージ場やクォークレプトンに質量を与える Higgs 場 (ii) 超対称性理論に出てくるフェルミオンのスーパーパートナーのスカ ラー場 (iii) スカラーテンソル理論、高階微分理論、高次元理論、超弦理論等の 一般化された重力理論からスカラーモード(幾何学的意味を持つこ とも)として取り出されたスカラー場 があげられる。最初は一次相転移型のモデルも考えられたがうまくインフ レーションが終わらないので、現在はインフレーション中も場の値が進化 するスローロールモデルのみが考えられている。 作用 S =d4x√−gLϕ= ∫ d4x√−g ( 1 2g µν ∂µϕ∂νϕ− V [ϕ] ) (2.25) として、平坦な RW 計量の下で場の方程式を書くと、ϕ は t のみにより −ϕ + V′(ϕ) = ϕ + 3H ˙¨ ϕ + V(ϕ) = 0 (2.26) 但しϕ = 1−g∂µ(gµν −g∂νϕ) (2.27) アインシュタイン方程式 (00 成分つまりフリードマン方程式) は (˙a a )2 = H2= ρϕ 3M2 G , ρϕ= 1 2 ˙ ϕ2+ V (ϕ). (2.28) 但し ρϕはエネルギー運動量テンソル Tµν = 2 −g δS δgµν = ∂µϕ∂νϕ− gµν (1 2g αβ αϕ∂βϕ + V [ϕ] ) (2.29)

(41)

2.18 スカラー場のダイナミクス 41 (δg = ggµνδgµν となることを使うから) (2.30) からみちびかれ ρϕ = −T00= ˙ϕ 2+(1 2 ˙ ϕ2+ V [ϕ] ) =1 2 ˙ ϕ2+ V [ϕ] (2.31) Pϕδij = Tji =−δij ( 1 2 ˙ ϕ2+ V [ϕ] ) =1 2 ˙ ϕ2− V [ϕ] (2.32) Tµν = P gµν+ (ρ + P )uµuν uµuν=−1 が完全流体系 T0 0 =−ρ Tji= P δji uµ= (1, 0, 0, 0)cf(1.19) Tνµ= diag(−ρ, P, P, P ) である cf (2.26) は d(PϕV ) =−PϕdV (V = a3) からもだせる ( ¨ϕ ˙ϕ + V′(ϕ) ˙ϕ)a3+ 3a2˙a(1 2 ˙ ϕ2+ V ) = −3a2˙a(1 2 ˙ ϕ2− V ) ¨ ϕ + 3H ˙ϕ + V′(ϕ) = 0 (1.23) より ˙a a = 4πa 3 (ρ + 3P ) =− 1 6M2 G (1 2 ˙ ϕ2+ V +3 2 ˙ ϕ2− 3V ) = 1 3M2 G (V (ϕ)− ˙ϕ2) (2.33) V (ϕ) > ˙ϕ2なら加速膨張=インフレーションが可能 つまり ϕ がゆっくり変化するときオンフレーションがおこる (2.26) で ¨ϕ が (2.28) で1 2 ˙ ϕ2 が他の項に比べて無視できる時 3H ˙ϕ + V′(ϕ) = 0 (2.34) (˙a a )2 = H2=V (ϕ) 3M2 G (2.35) スローロール近似した方程式という これが正当化されるには、スローロールパラメタ ε≡ M 2 G 2 (V(ϕ) V (ϕ) )2 と η≡ MG2 V′′(ϕ) V (ϕ) (2.36)

(42)

の大きさが 1 より (充分) 小さいことが必要である。 逆にこれが充分広い ϕ の範囲でみたされていればはじめの ˙ϕ が大きくて もインフレーション解におちつく 具体的なシナリオをいくつかみていく (i)New inflation 歴史的には GUT の相互作用の分化を Coleman-Weinberg 型のポテン シャル (1 loop の radiative correction で symmetry breaking を起こす というモデル) VCW[ϕ] = Aϕ4 [ ln (ϕ2 v2 ) 1 2 ] + B(T )ϕ2+A 2v 4+ C(T ) (2.37) で起こすというというモデルにもとづく。 温度補正で ϕ = 0 がはじめ実現したとしてその付近では VCW[ϕ]≃ A 2v 4− Aϕ4 (A> 0) (2.38) と近似できるので、A′ϕ4≪ Av4のところではスローロール近似が成り 立つ。 3H ˙ϕ + VCW [ϕ] = 0 H2 = 1 3M2 G ×A 2v 4 となる これは ϕ(t)2= [ 1 ϕ2 i− 4A′ 3H(t− ti) ]−1 と解ける。 (2.39) (tiで ϕiとする) ϕ が大きくなるとスローロール近似は破綻し、インフレーションは終わ り、場の振動が宇宙を支配することになる。

しかしこのシナリオは small field model の先駆けだったが、初期宇宙で の有限温度補正に立脚しているので正しくない。(ゆらぎもできすぎる) (ii) カオティックインフレーション large field model

mass term だけある単純なポテンシャル V (ϕ) = 1 2m

2ϕ2

(43)

2.18 スカラー場のダイナミクス 43 ラー場を考えてみる。 ¨ ϕ+ 3 H ˙ϕ + m2ϕ = 0 (2.40) ↑ H =[ 1 3M2 G (1 2 ˙ ϕ2+1 2m 2ϕ2)] 1/2 > √mϕ 6MG ↑ この friction term がなかったら角振動数 m の (2.41) 単振動の式である (2.42) もし ϕ&√6MGになると宇宙膨張のタイムスケールの方が振動のタイム スケールより短くなる。 つまり宇宙膨張時間でみると ϕ は殆ど変化しない状況が実現できる。 スローロール近似が成り立つ。 3H ˙ϕ + m2ϕ = 0, H2≃m 2ϕ2 6M2 G . (2.43) これは解けて、 ϕ(t) = ϕi− √ 2 3mMG(t− ti) (2.44) a(t) = aiexp [ i 6MG (t− ti) m2 6 (t− ti) 2] (2.45) = aiexp [ 1 4M2 G 2i − ϕ2(t)) ] ϕ の変化率| ˙ ϕ ϕ| が宇宙膨張率 ˙a a = H と同程度になると slow-roll 近似が 破れる ˙ ϕ| = √ 2 3 mMG ϕ = 6MG = H より ϕ =√2MG = ϕf でインフレー ション終わり N = 1 4MG2 2 s− ϕ2f) = ϕ2 s 4MG2 1 2 なので ϕs& 3.4 8πMG= 3.4Mplなら N& 70 になる この初期条件は自然か? t = tpl= Mpl−1の宇宙は大きな量子揺らぎに支配されていただろう

(44)

= 1 2(∂ϕ) 2− V [ϕ] どちらも |∂ϕ|2. M4 pl, V [ϕ]. Mpl4 で揺らいでいたはず V [ϕs]∼ Mpl4 なら ϕs∼ Mpl2/m まで可能。 coherent な domain の大きさ L は、 |∂ϕ|2 ϕ 2 s L2 Mpl4 m2L2 ∼ M 4 plより L∼ 1 m ≫ lpl という訳で horizon  より充分広く ϕ が大きな値を持っていることが可 能である。 宇宙の始まりは熱平衡状態ではなくこのようなランダムな揺らぎに支配さ れていたと考えられる。 (iii) トポロジカルインフレーション このようなランダムな初期条件の下で small-field inflation を起こす方法。 = 1 2(∂ϕ) 2− V [ϕ], V [ϕ] = λ 4 2− v2)2 (2.46) ((2.6) で v2= M 2 λ としたもの) ϕ =±v が真空である §16 でみたようにその間に domain wall ができる。 重力を無視して ϕ =±v をつなぐ面対称解を求めると、例えば ϕ(x) = v tanh (√ λ 2vz ) (2.47) がえられる。その厚さは d0 √ 2 λ 1 v ∼ vV −1/2 c ,   Vc= λ 4v 4 ((∂ϕ)2(v d0 )2 と Vcのつりあいで決まる) 一方 V0に対応するハッブル長は Hc−1= ( Vc 3M2 G )12 = MG (3 Vc )1/2 なので v& MGだと d0& Hc−1になり V ∼ Vcの領域がハッブル長を超 えて存在する。というインフレーションをおこす条件を満たしていること が分かる。

参照

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