「 東 京 電 力 ( 株 ) 福 島 第 一 、 第 二 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ る 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判 定 等 に 関 す る 第 二 次 指 針 」 平 成 2 3 年 5 月 3 1 日 原 子 力 損 害 賠 償 紛 争 審 査 会 第 1 は じ め に 1 平 成 2 3 年 4 月 2 8 日 に 「 東 京 電 力 ( 株 ) 福 島 第 一 、 第 二 原 子 力 発 電 所 事 故 に よ る 原 子 力 損 害 の 範 囲 の 判 定 等 に 関 す る 第 一 次 指 針 」 ( 以 下 「 第 一 次 指 針 」 と い う 。 ) を 決 定 ・ 公 表 し た 。 第 一 次 指 針 に お い て は 、 そ の 対 象 と さ れ な か っ た 損 害 項 目 や そ の 範 囲 、 具 体 的 な 損 害 額 算 定 方 法 等 に つ い て 、 今 後 検 討 す る こ と と さ れ た 。 2 こ れ を 受 け て 、 こ の た び の 指 針 ( 以 下 「 第 二 次 指 針 」 と い う 。 ) に お い て は 、 第 一 次 指 針 の 対 象 と さ れ な か っ た 損 害 項 目 や 範 囲 の う ち 現 時 点 で 追 加 的 に 提 示 す る こ と が 可 能 な 事 項 に つ き 、 基 本 的 な 考 え 方 を 明 ら か に す る と と も に 、 同 指 針 の 対 象 と さ れ た 損 害 項 目 の 一 部 に つ き 具 体 的 な 損 害 額 算 定 方 法 の 考 え 方 を 明 ら か に す る 。 具 体 的 に は 、 ① 「 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 に 係 る 損 害 」 と し て 、 「 一 時 立 入 費 用 」 、 「 帰 宅 費 用 」 、 「 精 神 的 損 害 ( 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 ) 」 、 「 避 難 費 用 の 損 害 額 算 定 方 法 」 、 「 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 の 損 害 額 算 定 方 法 」 、 ② 「 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に 係 る 損 害 」 と し て 、 「 出 荷 制 限 指 示 等 の 対 象 品 目 の 作 付 断 念 に 係 る 損 害 」 、 「 出 荷 制 限 指 示 等 の 解 除 後 の 損 害 」 、 ③ 「 政 府 等 に よ る 作 付 制 限 指 示 等 に 係 る 損 害 」 及 び ④ 「 い わ ゆ る 風 評 被 害 」 を 対 象 と し た 。 3 な お 、 第 一 次 指 針 及 び 第 二 次 指 針 で 対 象 と さ れ な か っ た も の が 賠 償 す べ き 損 害 か ら 除 外 さ れ る も の で な い こ と は 、 第 一
次 指 針 の 「 第 1 は じ め に 」 の 2 で 述 べ た と お り で あ り 、 こ れ ら に つ い て も 、 今 後 検 討 す る 。 第 2 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 に 係 る 損 害 [ 損 害 項 目 ] 1 一 時 立 入 費 用 ( 指 針 ) 政 府 の 指 示 に よ り 避 難 等 し た 者 の う ち 、 警 戒 区 域 ( 避 難 区 域 で も あ る 。 以 下 同 じ 。 ) 内 に 住 居 を 有 す る 者 が 、 市 町 村 が 政 府 及 び 県 の 支 援 を 得 て 実 施 す る 「 一 時 立 入 り 」 に 参 加 す る た め に 自 己 負 担 し た 交 通 費 、 家 財 道 具 移 動 費 用 、 除 染 費 用 等 ( 前 泊 や 後 泊 が 不 可 欠 な 場 合 の 宿 泊 費 等 も 含 む 。 以 下 同 じ 。 ) は 、 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 賠 償 の 対 象 と な る 。 ( 備 考 ) 1 ) 政 府 に よ る 避 難 等 の 指 示 を 受 け て 対 象 区 域 に 係 る 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た 者 の う ち 、 原 則 と し て 立 入 り が 禁 止 さ れ て い る 警 戒 区 域 ( 東 京 電 力 ( 株 ) 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 か ら 半 径 2 0 k m 圏 内 ) の 中 に 住 居 を 有 し て い る 者 ( 但 し 、 同 発 電 所 か ら 半 径 3 k m 圏 内 に 住 居 を 有 し て い る 者 な ど を 除 く 。 ) は 、 平 成 2 3 年 5 月 1 0 日 以 降 、 当 面 の 生 活 に 必 要 な 物 品 の 持 ち 出 し 等 を 行 う こ と を 目 的 と し て 市 町 村 が 政 府 及 び 県 の 支 援 を 得 て 実 施 す る 「 一 時 立 入 り 」 に 参 加 し て 一 時 的 に 住 居 に 戻 る こ と が 可 能 と な っ た 。 そ の「 一 時 立 入 り 」の 方 法 は 、参 加 者 が「 一 時 立 入 り 」 の 出 発 点 と な る 集 合 場 所 ( 中 継 基 地 ) に 集 合 し 、 地 区 ご と に 専 用 バ ス で 住 居 地 区 ま で 移 動 す る こ と と な っ て い る 。
2 ) し か し な が ら 、 対 象 区 域 外 滞 在 を し て い る 場 所 か ら 上 記 集 合 場 所 ま で の 移 動 に 際 し て 、 そ の 往 復 の 交 通 費 等 の 自 己 負 担 が 発 生 す る 場 合 、 ま た 、 上 記 集 合 場 所 か ら 住 居 地 区 ま で の 交 通 費 、 人 及 び 物 に 対 す る 除 染 費 用 、 家 財 道 具 ( 自 動 車 等 を 含 む 。 ) の 移 動 費 用 等 に つ い て 、 自 己 負 担 が 発 生 す る 場 合 も 否 定 で き な い 。 こ の よ う な 「 一 時 立 入 り 」 へ の 参 加 に 要 す る 費 用 に つ い て も 、 本 件 事 故 に よ り 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た 者 が 、 同 事 故 に よ る 放 射 性 物 質 の 放 出 に よ り 住 居 を 含 む 警 戒 区 域 内 へ の 立 入 り が 原 則 と し て 禁 止 さ れ た こ と に 伴 い 、 住 居 か ら 当 面 の 生 活 に 必 要 な 物 品 の 持 ち 出 し 等 を 行 う た め に 必 要 な 費 用 で あ る か ら 、本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 認 め る こ と が で き る 。 し た が っ て 、 上 記 の よ う に 「 一 時 立 入 り 」 に 参 加 す る た め に 参 加 者 が 自 己 負 担 し た 交 通 費 、 家 財 道 具 移 動 費 用 、 除 染 費 用 等 ( 前 泊 や 後 泊 が 不 可 欠 な 場 合 の 宿 泊 費 等 も 含 む 。 以 下 同 じ 。 ) に つ い て は 、 そ れ が 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 賠 償 の 対 象 と な る 。 3 ) な お 、 そ の 際 の 交 通 費 等 の 算 定 方 法 に つ い て は 、 後 記 [ 損 害 額 算 定 方 法 ] の 1 に 同 じ 。 2 帰 宅 費 用 ( 指 針 ) 本 件 事 故 に よ り 避 難 等 を 余 儀 な く さ れ た 者 が 、 対 象 区 域 内 の 住 居 に 戻 る た め に 負 担 し た 交 通 費 、 家 財 道 具 の 移 動 費 用 は 、 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 賠 償 す べ き 損 害 と な る 。 ( 備 考 ) 1 ) 平 成 2 3 年 4 月 2 2 日 に 屋 内 退 避 区 域 の 指 定 が 解 除 さ れ た こ と に 伴 い 、対 象 区 域 外 滞 在 を し て い た 者 の 一 部 は 、 同 区 域 内 に あ る 住 居 に 戻 る こ と が 可 能 と な っ た 。
そ し て 、こ の よ う に 帰 宅 す る た め に 負 担 し た 交 通 費 や 家 財 道 具 の 移 動 費 用 に つ い て は 、第 一 次 指 針 の 第 3 の 2 で 述 べ た 避 難 費 用 と 同 様 、そ れ が 必 要 か つ 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 賠 償 す べ き 損 害 と な る 。 2 ) な お 、 そ の 際 の 交 通 費 、 家 財 道 具 移 動 費 用 の 算 定 方 法 に つ い て は 、 後 記 [ 損 害 額 算 定 方 法 ] の 1 に 同 じ 。 3 精 神 的 損 害( 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 ) ( 指 針 ) Ⅰ ) 本 件 事 故 に よ り 避 難 及 び こ れ に 引 き 続 く 対 象 区 域 外 滞 在 を 余 儀 な く さ れ た 者 が 、 自 宅 以 外 で の 生 活 を 長 期 間 余 儀 な く さ れ 、 正 常 な 日 常 生 活 の 維 持 ・ 継 続 が 長 期 間 に わ た り 著 し く 阻 害 さ れ た た め に 生 じ た 精 神 的 苦 痛 の 部 分 に つ い て は 、 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅱ ) 同 様 に 、 本 件 事 故 に よ り 屋 内 退 避 を 余 儀 な く さ れ た 者 が 、 行 動 の 自 由 の 制 限 等 を 余 儀 な く さ れ 、 正 常 な 日 常 生 活 の 維 持 ・ 継 続 が 長 期 間 に わ た り 著 し く 阻 害 さ れ た た め に 生 じ た 精 神 的 苦 痛 の 部 分 に つ い て は 、 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 第 一 次 指 針 の 第 3 の 4 の ( 備 考 ) の 2 ) で 述 べ た よ う に 、 本 件 事 故 に よ る 精 神 的 苦 痛 の う ち 、 少 な く と も 避 難 等 対 象 者 の 相 当 数 は 、 そ の 状 況 に 応 じ て 、 ① 避 難 及 び こ れ に 引 き 続 く 対 象 区 域 外 滞 在 を 余 儀 な く さ れ た こ と に 伴 い 、 自 宅 以 外 で の 生 活 を 長 期 間 余 儀 な く さ れ 、 あ る い は 、 ② 屋 内 退 避 を 余 儀 な く さ れ た こ と に 伴 い 、 行 動 の 自 由 の 制 限 等 を 長 期 間 余 儀 な く さ れ る な ど 、 避 難 等 に よ る 長 期 間 の 精 神 的 苦 痛 ( 以 下 、 併 せ て 「 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 」 と い う 。 ) を 被 っ て お り 、 少 な く と も こ
れ に つ い て は 賠 償 す べ き 損 害 と 観 念 す る こ と が 可 能 で あ る 。 し た が っ て 、 こ の 精 神 的 損 害 に つ い て は 、 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 賠 償 の 対 象 と な る 。 な お 、 こ の 精 神 的 損 害 の 算 定 方 法 に つ い て は 、 後 記 [ 損 害 額 算 定 方 法 ] の 2 に 記 載 す る 。 2 ) そ の 他 の 本 件 事 故 に よ る 精 神 的 苦 痛 と し て 、 例 え ば 相 当 量 の 放 射 線 に 曝 露 し た た め 健 康 状 態 に 対 す る 具 体 的 な 不 安 感 を 抱 く こ と に よ る 精 神 的 苦 痛 な ど 、 様 々 な も の が 考 え ら れ る が 、 こ れ ら が 賠 償 の 対 象 と な る 損 害 に 該 当 す る か 否 か を 含 め 、 今 後 、 引 き 続 き 検 討 す る 。 [ 損 害 額 算 定 方 法 ] 1 避 難 費 用 の 損 害 額 算 定 方 法 ( 指 針 ) Ⅰ ) 避 難 費 用 の う ち 「 交 通 費 」 、 「 家 財 道 具 移 動 費 用 」 、 「 宿 泊 費 等 」 に つ い て は 、 避 難 等 し た 者 が 現 実 に 自 己 負 担 し た 費 用 が 賠 償 の 対 象 と な り 、 そ の 実 費 を 損 害 額 と す る の が 合 理 的 な 算 定 方 法 と 認 め ら れ る 。 但 し 、領 収 証 等 に よ る 損 害 額 の 立 証 が 困 難 な 場 合 に は 、 客 観 的 な 統 計 デ ー タ 等 を 用 い て 推 計 す る こ と に よ り 損 害 額 を 立 証 す る こ と も 認 め ら れ る べ き で あ る 。 Ⅱ ) 他 方 、 避 難 費 用 の う ち 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」 に つ い て は 、 原 則 と し て 、 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 の 額 に 加 算 し 、 そ の 加 算 後 の 一 定 額 を も っ て 両 者 の 損 害 額 と す る の が 合 理 的 な 算 定 方 法 と 認 め ら れ る 。 そ の 具 体 的 な 方 法 に つ い て は 、後 記[ 損 害 額 算 定 方 法 ] の 2 の と お り で あ る 。
( 備 考 ) 1 ) 第 一 次 指 針 に お い て は 、 避 難 費 用 の う ち 「 交 通 費 」 及 び 「 家 財 道 具 移 動 費 用 」 に つ い て は 、 実 費 を 賠 償 す る 方 法 が 原 則 で あ る が 、 被 害 者 の 早 期 の 救 済 の た め 一 定 金 額 を 平 均 的 な 損 害 額 と 算 定 し た 上 、 対 象 者 全 員 に 一 律 に 支 払 う こ と が 考 え ら れ る と し 、 そ の 平 均 的 損 害 額 に つ い て は 今 後 早 急 に 検 討 す る と し て い た ( 第 一 次 指 針 の 第 3 の 2 ( 備 考 ) 2 ) 参 照 ) 。 ま た 、 避 難 費 用 の う ち 「 宿 泊 費 等 」 に つ い て も 、 宿 泊 場 所 等 に よ っ て 正 義 に 反 し 公 平 さ を 欠 く 結 果 と な ら な い よ う 、① 実 際 に 宿 泊 費 等 を 負 担 し た か 否 か に か か わ ら ず 、 避 難 生 活 を 送 っ て い る 者 全 員 に 平 均 的 な 宿 泊 費 等 を 一 律 に 賠 償 す る こ と と す る か 、あ る い は 、② 体 育 館 、公 民 館 、 避 難 所 等 に 宿 泊 す る 場 合 に は 、 精 神 的 苦 痛 が よ り 大 き い と し て 慰 謝 料 の 金 額 を 増 額 す る な ど 、 一 定 の 調 整 を す る 方 法 が 考 え ら れ る が 、 こ れ ら に つ い て で き る だ け 早 急 に 検 討 す る と し て い た( 第 一 次 指 針 の 第 3 の 2( 備 考 )4 ) 参 照 ) 。 2 ) し か し な が ら 、 そ の 後 に 避 難 等 し た 者 ら の 避 難 状 況 及 び 支 出 状 況 等 を 一 定 程 度 調 査 し た と こ ろ に よ れ ば 、 一 回 的 な 支 出 で あ る 「 交 通 費 」 及 び 「 家 財 道 具 移 動 費 」 に つ い て は 、 こ れ ら を 自 己 で は 負 担 し て い な い 者 も 少 な く な く 、 ま た 、 最 終 避 難 先 が 全 国 に 及 び 、 そ の 交 通 手 段 が 多 様 化 し て い る こ と か ら 、 自 己 負 担 し て い る 者 の 間 で も そ の 金 額 に は 相 当 の 差 異 が あ る と 推 定 さ れ た 。 ま た 、 「 宿 泊 費 等 」 に つ い て も 、 地 方 公 共 団 体 等 が 負 担 し て い る 場 合 が 多 く 、 継 続 し て 自 己 負 担 し て い る 者 は 比 較 的 少 数 に 止 ま る と 認 め ら れ る 上 、 自 己 負 担 し た 金 額 も 宿 泊 場 所 に 応 じ て 相 当 の 差 異 が あ る と 推 定 さ れ た 。 し た が っ て 、 こ れ ら の 損 害 項 目 に つ き 、 一 定 額 を 「 平 均 的 損 害 額 」 と し て 避 難 等 し た 者 全 員 に 賠 償 す る と い う 方 法 は 、 必 ず し も 実 態 に 即 し て お ら ず 、ま た 、公 平 で も な い と 考 え ら れ る 。
ま た 、 原 則 ど お り 実 費 賠 償 と し た 場 合 、 費 用 の 立 証 が 問 題 に な る が 、 仮 に 領 収 証 等 で そ の 金 額 を 立 証 す る こ と が で き な い 場 合 に は 、 客 観 的 な 統 計 デ ー タ 等 に よ り 損 害 額 を 推 計 す る 方 法 、 例 え ば 自 己 所 有 車 両 で 避 難 し た 場 合 の 「 交 通 費 」 で あ れ ば 、 避 難 先 ま で の 移 動 距 離 か ら そ れ に 要 し た ガ ソ リ ン 代 等 を 算 出 し 、 ま た 、 「 宿 泊 費 等 」 で あ れ ば 、 当 該 宿 泊 場 所 周 辺 に お け る 平 均 的 な 宿 泊 費 等 を 算 出 し て こ れ を 損 害 額 と 推 計 す る な ど の 方 法 で 立 証 す る こ と も 認 め ら れ る べ き で あ る 。 こ う し た 対 応 に よ り 、 こ れ ら の 費 用 に つ き 、原 則 ど お り 実 費 賠 償 と し た と し て も 、 被 害 者 に 特 段 の 不 利 益 を 生 じ さ せ る と ま で は 認 め 難 い 。 以 上 の こ と か ら 、 避 難 費 用 の う ち 「 交 通 費 」 、 「 家 財 道 具 移 動 費 」 、 「 宿 泊 費 等 」 に つ い て は 、 対 象 者 が 全 員 同 一 の 平 均 的 損 害 額 を 被 っ た 、 あ る い は 、 平 均 的 費 用 を 負 担 し た と 仮 定 し て 金 額 を 算 定 す る と の 方 法 を 採 る こ と な く 、 原 則 ど お り 、 上 記 各 損 害 項 目 を 自 己 負 担 し た 者 の み が 、 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 そ の 実 費 の 賠 償 を 受 け る の が 公 平 か つ 合 理 的 で あ る 。 3 ) 他 方 、 避 難 費 用 の う ち 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」 に つ い て は 、 第 一 次 指 針 に お い て 、 避 難 等 に よ り 増 加 し た 食 費 等 は 賠 償 の 対 象 と な り 得 る と し て い た ( 第 一 次 指 針 の 第 3 の 2 ( 備 考 ) 3 ) 参 照 ) 。 し か し な が ら 、 避 難 等 に よ り 生 ず る 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」は 、避 難 等 し た 者 の 大 多 数 に 発 生 す る と 思 わ れ る 上 、 通 常 は さ ほ ど 高 額 と な る も の で は な く 、 個 人 ご と の 差 異 も 少 な い 反 面 、 そ の 実 費 を 厳 密 に 算 定 す る こ と は 実 際 上 極 め て 困 難 で あ り 、 そ の 立 証 を 強 い る こ と は 被 害 者 に 酷 で あ る 。 ま た 、 こ の 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」 は 、 避 難 等 及 び こ れ に 引 き 続 く 対 象 区 域 外 滞 在 又 は 屋 内 退 避 に お け る 生 活 状 況 等 と 密 接 に 結 び つ く も の で あ る こ と か ら 、 「 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 」に 加 算 し て 、
両 者 を 一 括 し て 一 定 額 を 算 定 す る こ と が 、 公 平 か つ 合 理 的 で あ る と 判 断 し た 。 但 し 、 上 記 の よ う に 「 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 」 の 加 算 要 素 と し て 一 括 し て 算 定 す る 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」 は 、 あ く ま で 通 常 の 範 囲 の 費 用 を 想 定 し た も の で あ る か ら 、 避 難 等 し た 者 の 中 で 、 特 に 高 額 の 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」 の 負 担 を 余 儀 な く さ れ た 者 が い た 場 合 に は 、 そ の よ う な 高 額 な 費 用 を 負 担 せ ざ る を 得 な か っ た 特 別 の 事 情 が あ る 場 合 に の み 、 別 途 、 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 そ の 実 費 の 賠 償 が 認 め ら れ る 。 2 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 の 損 害 額 算 定 方 法 ( 指 針 ) Ⅰ ) 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 の 損 害 額 に つ い て は 、 前 記 [ 損 害 額 算 定 方 法 ] の 1 の 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」 と 合 算 し た 一 定 の 金 額 を も っ て 両 者 の 損 害 額 と 算 定 す る の が 合 理 的 な 算 定 方 法 と 認 め ら れ る 。 Ⅱ ) ま た 、 具 体 的 な 算 定 に 当 た っ て は 、 宿 泊 場 所 等 に よ っ て 、 生 活 環 境 、 利 便 性 、 プ ラ イ バ シ ー 確 保 等 の 点 か ら み て 精 神 的 苦 痛 の 程 度 は 異 な る と 考 え ら れ る た め 、 以 下 の 順 序 で 段 階 的 に 金 額 の 差 を 設 け る こ と が 考 え ら れ る が 、 な お 引 き 続 き 検 討 す る 。 ① 避 難 所 ・ 体 育 館 ・ 公 民 館 等 ② ア パ ー ト ・ 借 家 ・ 公 営 住 宅 ・ 仮 設 住 宅 ・ 実 家 ・ 親 戚 方 ・ 知 人 方 等 ③ ホ テ ル ・ 旅 館 等 Ⅲ ) ま た 、 ④ 屋 内 退 避 を 長 期 間 余 儀 な く さ れ た 者 に つ い て は 、 自 宅 で 生 活 し て い る と い う 点 で は 上 記 ① な い し ③ の よ う な 精 神 的 苦 痛 は 観 念 で き な い が 、 他 方 で 、 外 出 等 行 動 の 自 由 を 制 限 さ れ て い る こ と な ど を 考 慮 し 、 上 記 ③ の
金 額 を 超 え な い 範 囲 で 損 害 額 を 算 定 す る こ と が 考 え ら れ る が 、 な お 引 き 続 き 検 討 す る 。 ( 備 考 ) 1 ) 第 一 次 指 針 に お い て は 、 「 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 」 に つ い て は 、 ① 避 難 等 に お け る 生 活 状 況 等 に 応 じ て 避 難 等 対 象 者 を 類 型 化 し た 上 、 段 階 的 か つ 合 理 的 な 差 を 設 け る な ど し て 、 類 型 化 さ れ た 対 象 者 ご と に 共 通 す る 一 定 の 精 神 的 損 害 及 び こ れ に 対 す る 賠 償 額 を 認 め る こ と や 、 ② 宿 泊 場 所 に か か わ ら ず 一 定 額 を 算 定 し て 、 こ れ を も っ て 両 者 を 併 せ た 損 害 額 と 認 定 す る こ と な ど が 考 え ら れ 、 あ わ せ て 今 後 検 討 す る と し て い た ( 第 一 次 指 針 の 第 3 の 4 ( 備 考 ) 3 ) 参 照 ) 。 し か し な が ら 、 前 記 [ 損 害 項 目 ] の 1 の ( 備 考 ) 2 ) の と お り 、 「 宿 泊 費 等 」 に つ い て は 、 避 難 等 を し た 者 の 避 難 状 況 及 び 支 出 状 況 に 照 ら せ ば 、 実 際 に 負 担 し た 実 費 を 賠 償 さ せ る こ と と し て も 被 害 者 の 速 や か な 救 済 に と っ て 必 ず し も 支 障 と は な ら ず 、 か え っ て 公 平 か つ 合 理 的 で あ る と 判 断 し た 。 し た が っ て 、 上 記 ① の 手 法 が 合 理 的 で あ る と 判 断 す る に 至 っ た 。 2 ) ま た 、 前 記 [ 損 害 項 目 ] の 1 の ( 備 考 ) 3 ) で 述 べ た と お り 、 避 難 費 用 の う ち 「 生 活 費 の 増 加 費 用 」 は 、 原 則 と し て 、 「 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 」 に 加 算 し て 、 両 者 を 一 括 し て 一 定 額 を 算 定 す る こ と が 、 公 平 か つ 合 理 的 で あ る と 判 断 し た 。 そ し て 、 避 難 生 活 等 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る 精 神 的 損 害 に つ い て は 、 少 な く と も 一 定 期 間 の 対 象 区 域 外 滞 在 又 は 屋 内 退 避 を 余 儀 な く さ れ た こ と に よ る も の に 限 り 、 賠 償 の 対 象 と す べ き で あ る こ と か ら す れ ば 、 損 害 額 の 算 定 方 法 と し て も 、 例 え ば 1 か 月 当 た り の 金 額 で 算 定 す る 方 法 が 考 え ら れ る が 、 な お 引 き 続 き 検 討 す る 。
第 3 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に 係 る 損 害 1 出 荷 制 限 指 示 等 の 対 象 品 目 の 作 付 断 念 に 係 る 損 害 ( 指 針 ) Ⅰ ) 農 林 業 者 が 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 ( 第 一 次 指 針 第 5 の 「 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 」 を い う 。 以 下 同 じ 。 ) に よ り 、 同 指 示 等 に 係 る 対 象 品 目 の 作 付 け の 全 部 又 は 一 部 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ 、 こ れ に よ っ て 減 収 が 生 じ た 場 合 に は 、 そ の 減 収 分 が 賠 償 す べ き 損 害 ( 営 業 損 害 ) と 認 め ら れ る 。 ま た 、 上 記 作 付 け の 断 念 に よ り 生 じ た 追 加 的 費 用 ( 苗 の 廃 棄 費 用 等 ) も 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 賠 償 す べ き 損 害 ( 営 業 損 害 ) と 認 め ら れ る 。 Ⅱ ) 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 、 同 指 示 等 に 係 る 対 象 品 目 の 作 付 け の 全 部 又 は 一 部 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ 、 こ れ に よ り 農 林 業 者 の 経 営 状 態 が 悪 化 し た た め 、 そ こ で 勤 務 し て い た 勤 労 者 が 就 労 不 能 等 を 余 儀 な く さ れ た 場 合 に は 、 か か る 勤 労 者 に つ い て 、 給 与 等 の 減 収 が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 第 一 次 指 針 の 第 5 の 1 で 述 べ た と お り 、農 林 漁 業 者 が 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 、 同 指 示 等 に 係 る 対 象 品 目 の 出 荷 又 は 操 業 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ 、 こ れ に よ っ て 減 収 が 生 じ た 場 合 に は 、 そ の 減 収 分 及 び 追 加 的 費 用 は 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 こ れ に 加 え 、 農 林 業 者 の 場 合 に は 、 農 林 産 物 の 作 付 け か ら 出 荷 ま で 相 当 期 間 を 要 す る と い う 特 徴 が あ る こ と か
ら 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 作 付 け 自 体 が 制 限 さ れ る わ け で は な い も の の 、 現 に 出 荷 制 限 指 示 等 が 出 さ れ 、 そ の 解 除 の 見 通 し が 立 た な い 状 況 下 で あ れ ば 、 そ の 作 付 け の 全 部 又 は 一 部 を 断 念 す る こ と も や む を 得 な い 場 合 が 多 い と 思 わ れ る こ と か ら 、 そ の 判 断 が 不 合 理 で あ る 場 合 を 除 き 、 作 付 け の 断 念 に よ っ て 生 じ た 減 収 分 及 び 追 加 的 費 用 並 び に 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 も 、 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 2 ) 減 収 分 の 算 定 方 法 は 、 第 一 次 指 針 の 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。 ま た 、 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 に つ い て は 、第 一 次 指 針 の 第 3 の 6 の( 備 考 )の 1 )な い し 5 ) に 同 じ ( 但 し 、 避 難 等 に 特 有 の 通 勤 困 難 等 の 部 分 は 除 く 。 ) 。 2 出 荷 制 限 指 示 等 の 解 除 後 の 損 害 ( 指 針 ) Ⅰ ) 農 林 漁 業 者 が 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 に よ り 、 同 指 示 等 に 係 る 対 象 品 目 の 出 荷 、 操 業 又 は 作 付 け の 断 念 を 余 儀 な く さ れ 、 同 指 示 等 の 解 除 後 に お い て も 、 こ れ に よ っ て 減 収 が 生 じ た 場 合 に は 、 そ の 減 収 分 も 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅱ ) ま た 、 同 指 示 等 の 解 除 後 に お い て 、 上 記 の 出 荷 、 操 業 又 は 作 付 け の 再 開 の た め に 必 要 な 追 加 的 費 用 ( 農 地 や 機 械 の 再 整 備 費 等 ) も 、 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 、 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 減 収 分 の 算 定 方 法 は 、 第 一 次 指 針 の 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。
第 4 政 府 等 に よ る 作 付 制 限 指 示 等 に 係 る 損 害 [ 対 象 区 域 及 び 品 目 ] 政 府 に よ る 作 付 制 限 指 示 、 放 牧 及 び 牧 草 等 の 給 与 制 限 指 導 等 又 は 地 方 公 共 団 体 が 本 件 事 故 に 関 し 合 理 的 理 由 に 基 づ き 行 う 作 付 け そ の 他 の 営 農 に 係 る 自 粛 要 請 等 ( 生 産 者 団 体 が 政 府 又 は 地 方 公 共 団 体 の 関 与 の 下 で 本 件 事 故 に 関 し 合 理 的 理 由 に 基 づ き 行 う 場 合 を 含 む 。以 下「 政 府 等 に よ る 作 付 制 限 指 示 等 」と い う 。) が あ っ た 区 域 及 び そ の 対 象 品 目 に 係 る 損 害 を 対 象 と す る 。 [ 損 害 項 目 ] 1 営 業 損 害 ( 指 針 ) Ⅰ ) 農 業 者 が 、 政 府 等 に よ る 作 付 制 限 指 示 等 に よ り 、 同 指 示 等 に 係 る 対 象 品 目 の 作 付 け 、 放 牧 、 牧 草 等 の 給 与 そ の 他 の 営 農 に 関 す る 行 為 ( 以 下 「 作 付 け 等 」 と い う 。 ) の 全 部 又 は 一 部 の 断 念 を 余 儀 な く さ れ 、 こ れ に よ っ て 減 収 が 生 じ た 場 合 に は 、 そ の 減 収 分 が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 Ⅱ ) ま た 、 作 付 け 等 の 断 念 に よ り 生 じ た 追 加 的 費 用 ( 代 替 飼 料 の 購 入 費 用 等 ) も 合 理 的 な 範 囲 内 に お い て 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 減 収 分 の 算 定 方 法 は 、 第 一 次 指 針 の 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。 2 ) な お 、 政 府 等 に よ る 作 付 制 限 指 示 等 が な さ れ る 前 に 、 当 該 指 示 等 の 対 象 品 目 に つ き 、 自 主 的 に 作 付 け 等 を 断 念 し て い た も の に つ い て は 、 こ れ も 本 件 事 故 の 発 生 に よ り 合 理 的 な 判 断 に 基 づ い て 実 施 さ れ た も の と 推 認 で き 、 こ
れ を 賠 償 対 象 か ら 除 外 す べ き 合 理 的 な 理 由 は な い か ら 、 本 件 事 故 日 以 降 の も の が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 2 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 ( 指 針 ) 政 府 等 に よ る 作 付 制 限 指 示 等 に よ り 、 対 象 品 目 を 生 産 す る 農 業 者 の 経 営 状 態 が 悪 化 し た た め 、 そ こ で 勤 務 し て い た 勤 労 者 が 就 労 不 能 等 を 余 儀 な く さ れ た 場 合 に は 、か か る 勤 労 者 に つ い て 、 給 与 等 の 減 収 が 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 第 一 次 指 針 の 第 3 の 6 の( 備 考 )の 1 )な い し 5 )に 同 じ( 但 し 、 避 難 等 に 特 有 の 通 勤 困 難 等 の 部 分 は 除 く 。 ) 。 第 5 い わ ゆ る 風 評 被 害 1 一 般 的 基 準 ( 指 針 ) Ⅰ ) い わ ゆ る 風 評 被 害 に つ い て は 確 立 し た 定 義 は な い も の の 、 こ の 指 針 で 「 風 評 被 害 」 と は 、 報 道 等 に よ り 広 く 知 ら さ れ た 事 実 に よ っ て 、 商 品 又 は サ ー ビ ス に 関 す る 放 射 性 物 質 に よ る 汚 染 の 危 険 性 を 懸 念 し 、 消 費 者 又 は 取 引 先 が 当 該 商 品 又は サ ー ビ ス の 買 い 控 え 、取 引 停 止 等 を 行 っ た た め に 生 じ た 被 害 を 意 味 す る も の と す る 。 Ⅱ )「 風 評 被 害 」 に つ い て も 、 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る も の で あ れ ば 賠 償 の 対 象 と す る 。 そ の 一 般 的 な 基 準 と し て は 、 消 費 者 又 は 取 引 先 が 、 商 品 又 は サ ー ビ ス に つ い て 、 本 件 事 故 に よ る 放 射 性 物 質 に よ る 汚 染 の 危 険 性 を 懸 念 し 、 敬 遠 し た く な る 心 理 が 、 平 均 的 ・ 一 般 的 な 人 を 基 準 と し て 合 理 性 を 有 し て い る と 認 め ら れ る 場 合 と す る 。
Ⅲ ) 具 体 的 に ど の よ う な 「 風 評 被 害 」 が 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 認 め ら れ る か は 、 業 種 毎 の 特 徴 等 を 踏 ま え 、 営 業 や 品 目 の 内 容 、 地 域 、 損 害 項 目 等 に よ り 類 型 化 し た 上 で 、 次 の よ う に 考 え る も の と す る 。 ① 一 定 の 範 囲 の 類 型 に つ い て は 、 本 件 事 故 以 降 に 現 実 に 生 じ た 買 い 控 え 等 に よ る 被 害 ( Ⅳ ) に 相 当 す る 被 害 を い う 。 以 下 同 じ 。) は 、 原 則 と し て 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 が 認 め ら れ る も の と す る 。 ② ① 以 外 の 類 型 に つ い て は 、 本 件 事 故 以 降 に 現 実 に 生 じ た 買 い 控 え 等 に よ る 被 害 を 個 別 に 検 証 し 、 Ⅱ ) の 一 般 的 な 基 準 に 照 ら し て 、 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 を 判 断 す る も の と す る 。 そ の 判 断 の 際 に 考 慮 す べ き 事 項 に つ い て は 、 こ の 指 針 又 は 今 後 作 成 さ れ る 指 針 に お い て 示 す こ と と す る 。 Ⅳ ) 損 害 項 目 と し て は 、 消 費 者 又 は 取 引 先 が 商 品 又 は サ ー ビ ス の 買 い 控 え 、取 引 停 止 等 を 行 っ た た め に 生 じ た 次 の も の と す る 。 ① 営 業 損 害 取 引 数 量 の 減 少 又 は 取 引 価 格 の 低 下 に よ る 減 収 分 及 び 合 理 的 な 範 囲 の 追 加 的 費 用 ( 商 品 の 返 品 費 用 、 廃 棄 費 用 等 ) ② 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 ① の 減 収 に よ り 、 事 業 者 の 経 営 状 態 が 悪 化 し た た め 、 そ こ で 勤 務 し て い た 勤 労 者 が 就 労 不 能 等 を 余 儀 な く さ れ た 場 合 の 給 与 等 の 減 収 ③ 検 査 費 用 ( 物 ) 取 引 先 の 要 求 等 に よ り 実 施 を 余 儀 な く さ れ た 検 査 の 費 用 ( 備 考 ) 1 ) い わ ゆ る 風 評 被 害 と い う 表 現 は 、 人 に よ っ て 様 々 な 意 味 に 解 釈 さ れ て お り 、 放 射 性 物 質 等 に よ る 危 険 が 全 く な
い の に 消 費 者 や 取 引 先 が 危 険 性 を 心 配 し て 商 品 や サ ー ビ ス の 購 入 ・ 取 引 を 回 避 す る 不 安 心 理 に 起 因 す る 損 害 と い う 意 味 で 使 わ れ る こ と も あ る 。 し か し な が ら 、 少 な く と も 本 件 事 故 の よ う な 原 子 力 事 故 に 関 し て い え ば 、 む し ろ 必 ず し も 科 学 的 に 明 確 で な い 放 射 性 物 質 に よ る 汚 染 の 危 険 を 回 避 す る た め の 市 場 の 拒 絶 反 応 に よ る も の と 考 え る べ き で あ り 、 し た が っ て 、 こ の よ う な 回 避 行 動 が 合 理 的 と い え る 場 合 に は 、原 子 力 損 害 と し て 賠 償 の 対 象 と な る 。 こ の よ う な 理 解 を す る な ら ば 、 そ も そ も 風 評 被 害 と い う 表 現 自 体 を 避 け る こ と が 本 来 望 ま し い が 、 現 時 点 で こ れ に 代 わ る 適 切 な 表 現 は 、 裁 判 実 務 上 も い ま だ 示 さ れ て い な い 。 ま た 、 こ の 種 の 被 害 は 、 避 難 等 に 伴 い 営 業 を 断 念 し た 場 合 の 営 業 損 害 と は 異 な り 、 報 道 機 関 や 消 費 者 ・ 取 引 先 等 の 第 三 者 の 意 思 ・ 判 断 ・ 行 動 等 が 介 在 す る と い う 点 に 特 徴 が あ り 、 一 定 の 特 殊 な 類 型 の 被 害 で あ る こ と は 否 定 で き な い 。 し た が っ て 、 上 記 の よ う な 誤 解 を 招 き か ね な い 点 に 注 意 し つ つ 、 Ⅰ ) で 定 義 し た 「 風 評 被 害 」 と い う 表 現 を 用 い る こ と と す る。 2 ) 「 風 評 被 害 」 に は 、 農 林 水 産 物 等 の 食 料 に 限 ら ず 、 商 品 一 般 、 あ る い は 、 商 品 以 外 の 無 形 の サ ー ビ ス ( 例 え ば 観 光 業 に お い て 提 供 さ れ る 各 種 サ ー ビ ス 等 ) に 係 る も の も 含 ま れ る 。 3 ) そ も そ も 「 風 評 被 害 」 は 、 そ の 外 延 が 必 ず し も 明 確 で は な く 、 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 は 最 終 的 に は 個 々 の 事 案 毎 に 判 断 す る べ き も の で あ る が 、 こ の よ う な 被 害 に つ い て も 、 相 当 因 果 関 係 が 認 め ら れ る 蓋 然 性 が 特 に 高 い 類 型 や 、 相 当 因 果 関 係 を 判 断 す る に 当 た っ て 考 慮 す べ き 事 項 を 示 す こ と は 、 本 件 事 故 に 係 る 紛 争 解 決 に 当 た っ て の 有 効 な 指 針 と な る と 考 え る 。 Ⅲ ) ① の 類 型 に 該 当 す る 損 害 に つ い て は 、 そ れ が 本 件 事 故 後 に 生 じ た 買 い 控 え 等 に よ る 被 害 で あ る 場 合 に は 、
そ れ だ け で 原 則 と し て 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 推 認 さ れ る も の と す る 。 第 二 次 指 針 に お い て は 、 差 し 当 た っ て 、 現 時 点 に お い て Ⅲ ) ① の 類 型 に 該 当 す る と 判 断 で き た も の に 限 っ て 提 示 す る こ と と し 、 そ れ 以 外 の も の に つ い て も 、 今 後 、 原 則 と し て 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 を 認 め 得 る 類 型 と 判 断 で き た も の を Ⅲ ) ① の 類 型 と し て 追 加 し て 提 示 す る こ と を 検 討 す る 。 そ し て 、 上 記 判 断 に 当 た っ て は 、 商 品 ・ サ ー ビ ス の 取 扱 量 、 価 格 等 の 市 場 動 向 の 推 移 が 重 要 な 要 素 と な る が 、 そ れ 以 外 に も 、 風 評 被 害 を 防 止 す る た め の 各 種 対 策 の 状 況 ( 例 え ば 、 製 造 業 等 に 関 す る 平 成 2 3 年 4 月 2 2 日 の 経 済 産 業 大 臣 に よ る 下 請 中 小 企 業 と の 取 引 に 関 す る 配 慮 の 要 請 等 ) が 講 じ ら れ て い る こ と な ど も 要 素 と な る 。 4 ) Ⅲ )① の 類 型 の 範 囲 は 、損 害 項 目 に よ っ て 異 な り 得 る 。 5 ) な お 、 上 記 の よ う に 、 第 二 次 指 針 及 び 今 後 の 指 針 に お い て Ⅲ ) ① の 類 型 と し て 提 示 す る も の は 、 原 則 と し て 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 を 肯 定 し 得 る 類 型 と 判 断 し た も の で あ る が 、本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る「 風 評 被 害 」 は こ れ ら に 限 定 さ れ な い 。 Ⅲ ) ① の 類 型 に 該 当 し な か っ た 「 風 評 被 害 」 ( Ⅲ ) ② の 「 風 評 被 害 」 ) に つ い て も 、 別 途 、 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 が あ る 損 害 で あ る こ と が 立 証 さ れ た 場 合 に は 、 賠 償 の 対 象 と な る 。 そ の 場 合 の 立 証 の 方 法 と し て は 、 例 え ば 、 客 観 的 な 統 計 デ ー タ 等 に よ る 合 理 的 な 立 証 方 法 を 用 い る こ と が 考 え ら れ る 。 6 ) 本 件 事 故 と 他 原 因 ( 例 え ば 、 東 日 本 大 震 災 自 体 に よ る 消 費 マ イ ン ド の 落 ち 込 み 等 ) と の 双 方 の 影 響 が 認 め ら れ る 場 合 に は 、 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 範 囲 で 賠 償 す べ き 損 害 と 認 め ら れ る 。 7 ) な お 、 「 風 評 被 害 」 は 、 上 記 の よ う に 当 該 商 品 等 に 対 す る 危 険 性 を 懸 念 し 敬 遠 す る と い う 消 費 者 ・ 取 引 先 等 の
心 理 的 状 態 に 基 づ く も の で あ る 以 上 、 そ こ に は 一 定 の 時 間 的 限 界 が あ る 。 但 し 、 い ま だ 本 件 事 故 が 終 息 し て い な い 現 状 に お い て は 、 具 体 的 に そ の 終 期 を 示 す こ と は 困 難 で あ り 、 今 後 の 状 況 を 踏 ま え て 引 き 続 き 検 討 す る 。 8 ) 「 風 評 被 害 」 に お け る 減 収 分 の 算 定 方 法 は 、 第 一 次 指 針 の 第 3 の 5 ( 営 業 損 害 ) と 同 じ で あ る 。 9 ) 就 労 不 能 等 に 伴 う 損 害 は 、第 一 次 指 針 の 第 3 の 6 の( 備 考 ) の 1 ) な い し 5 ) と 同 じ ( 但 し 、 避 難 等 に 特 有 の 通 勤 困 難 等 の 部 分 は 除 く 。 ) で あ る 。 2 農 林 漁 業 の 「 風 評 被 害 」 ( 指 針 ) Ⅰ ) 農 林 漁 業 に お い て 、本 件 事 故 以 降 、現 実 に 生 じ た 買 い 控 え 等 に よ る 被 害 の う ち 、少 な く と も 次 に 掲 げ る 産 品 に 係 る も の に つ い て は 、 1 Ⅲ ) ① の 類 型 と し て 、 原 則 と し て 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 が 認 め ら れ る 。 ① 農 林 産 物 ( 畜 産 物 を 除 く 。 ) に 係 る 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等( 平 成 2 3 年 4 月 ま で の も の に 限 る 。)が 出 さ れ た こ と が あ る 区 域 ( 県 又 は 市 町 村 単 位 。 以 下 同 じ 。)に お い て 産 出 さ れ た 全 て の 農 林 産 物( 畜 産 物 を 除 き 、 食 用 に 限 る 。 ) ② 畜 産 物 に 係 る 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 ( 同 年 4 月 ま で の も の に 限 る 。 ) が 出 さ れ た こ と が あ る 区 域 に お い て 産 出 さ れ た 全 て の 畜 産 物 ( 食 用 に 限 る 。 ) ③ 水 産 物 に 係 る 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 ( 同 年 4 月 ま で の も の に 限 る 。)が 出 さ れ た こ と が あ る 区 域 に お い て 産 出 さ れ た 全 て の 水 産 物 ( 食 用 に 限 る 。 ) Ⅱ ) Ⅰ ) の 産 品 に つ い て 、 農 林 漁 業 者 が 買 い 控 え 等 に よ る 被 害 を 懸 念 し 、事 前 に 自 ら 出 荷 、操 業 又 は 作 付 け の 全 部 又 は 一 部 を 断 念 し た こ と に よ っ て 生 じ た 被 害 も 、か か る 判 断 が
や む を 得 な い も の と 認 め ら れ る 場 合 に は 、原 則 と し て 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 が 認 め ら れ る 。 ( 備 考 ) 1 ) 食 品 で あ る 農 林 水 産 物 に つ い て は 、 以 下 の 特 徴 が 認 め ら れ る 。 ① 消 費 者 が 摂 取 に よ り 体 内 に 取 り 入 れ る も の で あ る こ と か ら 、 放 射 性 物 質 に よ る 内 部 被 曝 を 恐 れ 、 特 に 敏 感 に 敬 遠 す る 傾 向 が あ る 。 ② 農 地 、 漁 場 等 で 生 育 す る 動 植 物 で あ り 、 放 射 性 物 質 に よ る 土 地 や 水 域 の 汚 染 の 危 険 性 へ の 懸 念 が 、こ れ ら 農 林 水 産 物 へ の 懸 念 に 直 結 す る 傾 向 が あ る 。 ③ あ る 地 域 に 関 し て 一 部 の 対 象 品 目 に つ き 暫 定 基 準 値 を 超 え る 放 射 性 物 質 が 検 出 さ れ た た め 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 が あ っ た 場 合 に は 、 同 じ 地 域 に あ る 同 一 類 型 ( 農 林 産 物 ・ 畜 産 物 ・ 水 産 物 ) の 別 の 品 目 に つ い て も 同 様 の 量 の 放 射 性 物 質 が 付 着 し た の で は な い か と の 懸 念 が 生 じ や す い 。 ④ 食 品 で あ る 農 林 水 産 物 は 、 日 常 生 活 に 不 可 欠 な も の で あ り 、ま た 、通 常 は さ ほ ど 高 価 な も の で は な い か ら 、 東 日 本 大 震 災 自 体 に よ る 消 費 マ イ ン ド の 落 ち 込 み と い う 原 因 で 買 い 控 え 、 取 引 停 止 等 に 至 る こ と は 通 常 は 考 え に く い 。 他 方 、 代 替 品 と し て 他 の 生 産 地 の 物 を 比 較 的 容 易 に 入 手 で き る の で 、そ れ に 対 応 し て 、買 い 控 え 、 取 引 停 止 等 も 比 較 的 容 易 に 起 こ り や す い 。 2 ) 食 品 で あ る 農 林 水 産 物 に つ い て は 、 上 記 の よ う な 特 徴 が あ る た め 、 政 府 等 に よ る 出 荷 制 限 指 示 等 が あ っ た 区 域 に お い て は 、 出 荷 制 限 指 示 等 が 解 除 さ れ た と し て も 、 一 定 期 間 は 、 そ の 対 象 品 目 に 限 ら ず 、 同 区 域 内 で 生 育 し た 同 一 の 類 型 ( 農 林 産 物 ・ 畜 産 物 ・ 水 産 物 ) の 農 林 水 産 物 に つ き 、 消 費 者 や 取 引 先 が 放 射 性 物 質 の 付 着 及 び こ れ に よ る 内 部 被 曝 等 を 懸 念 し 、 取 引 等 を 敬 遠 す る と い う 心 情
に 至 っ た と し て も 、 平 均 的 ・ 一 般 的 な 人 を 基 準 と し て 合 理 性 が あ る と 認 め ら れ る 。 3 ) な お 、農 林 漁 業 に お け る「 風 評 被 害 」の 実 態 が 必 ず し も 判 明 し て い な い 現 時 点 に お い て は 、 差 し 当 た っ て 本 件 事 故 と の 相 当 因 果 関 係 が 認 め ら れ る 蓋 然 性 が 高 い Ⅰ ) の 産 品 を 類 型 化 し 提 示 す る こ と と し た 。 Ⅰ ) 以 外 の 産 品 に つ い て は 、 引 き 続 き 市 場 動 向 等 の 調 査 、 分 析 等 を 行 っ た 上 で 、 今 後 検 討 す る 。 3 観 光 業 の 「 風 評 被 害 」 ( 指 針 ) 本 件 事 故 以 降 、 現 実 に 生 じ た 観 光 業 に 関 す る 解 約 ・ 予 約 控 え 等 に よ る 被 害 の う ち 、 少 な く と も 本 件 事 故 発 生 県 に 営 業 の 拠 点 が あ る 観 光 業 に つ い て は 、 本 件 事 故 及 び そ の 後 の 広 範 囲 に わ た る 放 射 性 物 質 の 放 出 が 原 因 で 、 消 費 者 等 に よ る 解 約 ・ 予 約 控 え 等 が あ っ た 蓋 然 性 が 高 い こ と か ら 、 本 件 事 故 後 に 観 光 業 に 関 す る 解 約 ・ 予 約 控 え 等 に よ る 減 収 が 生 じ て い た 事 実 が 認 め ら れ れ ば 、 1 Ⅲ ) ① の 類 型 と し て 、 原 則 と し て 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 認 め ら れ る 。 但 し 、 観 光 業 に お け る 減 収 に つ い て は 、 東 日 本 大 震 災 自 体 に よ る 消 費 マ イ ン ド の 落 ち 込 み と い う 理 由 に よ る 蓋 然 性 も 相 当 程 度 認 め ら れ る か ら 、 損 害 の 有 無 の 認 定 及 び 損 害 額 の 算 定 に 当 た っ て は そ の 点 に つ い て の 検 討 も 必 要 で あ る 。 ( 備 考 ) 1 ) い わ ゆ る 「 観 光 業 」 は 、 ホ テ ル 、 旅 館 、 旅 行 業 等 の 宿 泊 関 連 産 業 か ら 、 レ ジ ャ ー 施 設 、 旅 客 船 等 の 観 光 産 業 や バ ス 、 タ ク シ ー 等 の 交 通 産 業 、 観 光 地 で の 飲 食 業 や 小 売 業 等 ま で も 含 み 得 る が 、 こ れ ら の 業 種 に 関 し て 観 光 客 が 売 上 に 寄 与 し て い る 程 度 は 様 々 で あ り 、 個 別 具 体 的 な 損 害 額 の 算 定 に 当 た っ て は 、 こ れ ら の 事 情 も 十 分 検 討 す る
必 要 が あ る 。 2 ) 但 し 、 一 般 的 に は 、 こ れ ら 観 光 業 に つ い て 、 以 下 の 特 徴 が 認 め ら れ る 。 ① 観 光 業 は 、 観 光 客 が 当 該 地 域 に 足 を 運 ぶ こ と を 前 提 と す る も の で あ る か ら 、 放 射 性 物 質 に よ る 土 地 や 水 域 の 汚 染 の 危 険 性 へ の 懸 念 が 、 こ れ ら 地 域 に お け る 観 光 へ の 懸 念 に 直 結 す る 傾 向 が あ る 。 ② 観 光 業 に お け る 各 種 サ ー ビ ス は 、 日 々 消 費 す る 食 品 等 と は 異 な り 、 日 常 的 な 消 費 を 必 要 と す る 物 で は な い た め 、 ひ と た び 「 風 評 被 害 」 が 生 じ る と 、 各 種 サ ー ビ ス の 利 用 は 一 気 に 落 ち 込 む こ と に な り や す く 、さ ら に 、 観 光 業 は 、 観 光 地 域 の 食 品 や 観 光 資 源 を 目 的 に 観 光 を 行 う 消 費 者 に 複 合 的 な サ ー ビ ス を 提 供 す る 産 業 で あ る か ら 、 ひ と た び 「 風 評 被 害 」 が 生 ず る と 、 個 別 サ ー ビ ス の 利 用 が 低 下 す る だ け で な く 、 サ ー ビ ス 全 体 、 す な わ ち 当 該 地 域 の 観 光 産 業 全 体 に 影 響 を 与 え る 傾 向 が 認 め ら れ る 。 3 ) 観 光 業 に つ い て は 、 上 記 の よ う な 特 徴 が あ る た め 、 特 に 本 件 事 故 発 生 県 全 域 に お い て は 、 消 費 者 等 が 放 射 性 物 質 に よ る 被 曝 を 懸 念 し 、 観 光 を 敬 遠 す る と い う 心 情 に 至 っ た と し て も 、 平 均 的 ・ 一 般 的 な 人 を 基 準 と し て 合 理 性 が あ る と 認 め ら れ る 上 、 そ の 影 響 は 当 該 地 域 の 観 光 産 業 全 体 に 影 響 を 与 え 得 る と 認 め ら れ る 。 し た が っ て 、 当 該 県 内 に 営 業 拠 点 を 有 す る 観 光 業 に お い て 、 本 件 事 故 後 、 解 約 ・ 予 約 控 え 等 に よ る 減 収 分 が 認 め ら れ た 場 合 に は 、 そ の 減 収 分 が 他 の 原 因 に よ る も の で あ る と の 合 理 的 な 疑 い が な い 限 り 、 こ れ ら に よ る 減 収 分 及 び 追 加 的 費 用 ( 廃 棄 費 用 等 ) は 、 原 則 と し て 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 損 害 と 認 め ら れ る 。 な お 、 本 件 事 故 の 影 響 に よ り 観 光 業 に 関 す る 解 約 ・ 予 約 控 え 等 に よ る 減 収 が 生 じ た の は 、 必 ず し も 本 件 事 故 発 生 県 に 営 業 拠 点 を 有 す る 観 光 業 に 限 ら れ ず 、 同 県 以 外 に
営 業 拠 点 を 有 す る 同 県 に 関 す る 観 光 業 や 、 同 県 の 近 辺 に お け る 観 光 業 に お い て も 生 じ た 可 能 性 は 十 分 認 め ら れ る 。 し か し 、 必 ず し も 「 風 評 被 害 」 の 実 態 が 判 明 し て い な い 現 時 点 に お い て は 、 差 し 当 た っ て 、 本 件 事 故 発 生 県 に 営 業 拠 点 を 有 す る 観 光 業 と い う 類 型 を 提 示 す る こ と と し 、 こ れ 以 外 の も の に つ い て は 、 引 き 続 き 市 場 動 向 等 の 調 査 、 分 析 等 を 行 っ た 上 で 、 今 後 検 討 す る こ と と し た 。 4 ) と こ ろ で 、 観 光 業 に つ い て は 、 東 日 本 大 震 災 自 体 に よ る 消 費 マ イ ン ド の 落 ち 込 み と い う 理 由 か ら 観 光 業 に 関 す る 解 約 ・ 予 約 控 え 等 に 至 っ た 蓋 然 性 も 相 当 程 度 認 め ら れ る 、 と い う 点 に 特 徴 が あ る 。 し た が っ て 、 本 件 事 故 発 生 県 内 に 営 業 拠 点 を 有 す る 観 光 業 に 関 し て 解 約 ・ 予 約 控 え 等 が 生 じ た 場 合 に は 、 上 記 の と お り 、 一 応 は 本 件 事 故 と 相 当 因 果 関 係 の あ る 「 風 評 被 害 」 に よ る も の と 推 認 す る こ と が 可 能 で あ る が 、 上 記 の よ う な 他 原 因 ( 東 日 本 大 震 災 自 体 に よ る 交 通 イ ン フ ラ の 損 壊 や 消 費 マ イ ン ド の 落 ち 込 み に よ る 解 約 ・ 予 約 控 え 等 )が 影 響 を 与 え て い る 蓋 然 性 も 相 当 程 度 あ る こ と か ら 、 そ の 損 害 の 有 無 の 認 定 及 び 具 体 的 な 損 害 額 の 算 定 等 に 当 た っ て は 、 他 地 域 と の 比 較 を 行 う な ど の 検 討 が 必 要 で あ る 。 ( 以 上 )