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第6章 非国家行為体と地域形成 ―

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(1)

第6章  非国家行為体と地域形成 

― 東北アジア都市交流の定量分析―

  序

第1節  問題の所在:中央地方関係と友好都市   1−1  課題の設定

  1−2  中国・中央地方関係との制度的非対称性   1−3  分析の視点と方法

第2節

  1−1  現況把握   1−2  相関分析   1−3  分類・比較

小括 

(2)

 

中央・地方関係の国家間格差は、国境を越えた都市間交流による地域形成にどのような影 響を及ぼしてきたのか。非国家行為体としての都市の越境交流が、第2章で考察した経済的 利益や場の占有を前提としない「他者肯定から自者肯定へ」という時間的な関係に裏付けら れた「協生」空間の実現に向かっているのか。都市間交流の定量分析を通じて、非国家行為 体による地域形成の実態について考察する。

グローバリズムが浸透し国際秩序が変容を遂げる中、一方で東北アジアの地域主義の後進 性が、東アジア地域形成のマイナス要因のひとつに指摘され、他方では、東南アジアに例の 少ない都市間交流を媒介にした、東北アジアに独自の地域秩序の構築が期待されてきた。市 民同士の交流という非国家主体による地域形成への期待である。 

友好都市提携(以下、都市提携)は、「個人および地域という小さい単位から出発し国内・

国際レベルに向かって解決策を探求する試み」1である。国家間レベルでは冷戦期のバウンダ リー(境界)が固定され、地域を横断する政治・安全保障の国際制度が不在の中で、都市が 国家を超えて新たなフロンティアと境域を創造するのか。こうした「内発的発展論」型とも いえる地域形成に、先導的役割が都市同士の提携と交流に求められている。 

冒頭の一文に集約される問題認識に対し、東北アジアの中央(国)・地方関係の制度面の格 差に注目しながら、日中韓三カ国間の都市交流の因果関係(実態・動機・目的)を考察する。

東北アジアでは、中央・地方関係の制度内容で国家ごとに大きな差異が存在し、都市交流の 意義・目的が一義的に定まらないのが現況である。とくに社会主義体制下の中国の中央・地 方関係の制度的実態に注目し、都市を交流主体とするサブ・リージョナリズム2の実相との関 連について、定量分析する。 

  中国の中央・地方関係は

1980

年代以降、緩やかな分権化が進展しながら、国境貿易、経 済特区(部分開放)、全面的開放へと段階的な改革・開放政策をとってきた経緯がある3。と

1 鶴見和子 2003. 「内発的発展論」『国際政治経済学辞典』東京書籍、561頁。西川潤 2007.「はじめに―

私の研究遍歴」西川潤、八木尚志、清水知己編『社会科学を再構築する  地域平和と内発的発展』明石書店、

5−17

頁を参照。西川によれば、「内発的発展論」は、「発展が特定方向に向かう」という西欧出自の「近代 化論」の仮説に対し、「歴史的には一回限りの不可逆的現象」として否定している。「多様性」がキーワード に据えられ、それぞれの(地域)社会の実情への適応を強調する。多様性を強調するがゆえに、「内発的発 展」を単一のモデルとして昇華しにくいという問題がある。本稿でも、鶴見、西川の主張に依拠し、「内発 的発展」型とはせずに、「内発的発展論」型との呼称を用いた。 

2 国家を単位とする東アジアなどのリージョン、東北アジアなどの下位地域のサブ・リージョンと、自治体 などローカル間の連携による地域形成の特殊性に着目し、マイクロ・リージョンとして追加的に分類する場 合がある。本章では、地方自治体連携を中心にした地域も、サブ・リージョンの分類に位置づけ考察した。

3

 中居良文 2000.

「対外経済関係における中央と地方」、天児慧編『現代中国の構造変動4』東京大学出版会、

(3)

くに

89

年の天安門事件が転機となり、鄧小平が「南巡講和」を発出する

92

年以降は、

ASEAN

(東南アジア諸国連合)主要国および韓国と国交を樹立するなど、善隣外交の展開と歩調を 合わせるように、開放政策が加速した。中国のアジア地域外交への傾斜と軌を一にして、都 市交流数も累増する傾向をたどってきた。

中国に限らず、都市提携の動機が経済交流に偏重する傾向は、経済的グローバリズムと表 裏一体となったサブ・リージョナリズムの一般的傾向としてみなすことが可能であろう4。市 場経済の地球大の浸透によって、個人、地方自治体をはじめとする非経済主体が、擬似的な

「市場参加者」としての性格を強め、非市場的な活動の多くが、市場経済の文脈に包摂され つつある5。第6章では、中国の中央・地方関係を基準に、東北アジア地域(中国・日本・韓 国)における都市提携を定量的な傾向を分析する。第1節では、中国の「友好城市工作管理 規定」から、中国の中央・地方関係の中での都市提携の位置づけを考察し、東北アジア都市 交流の分析の視点を明らかにする。第2節では、中国を基点にした日中韓の都市提携につい て現況と政治経済的要因を定量分析する。以上の記述・分析を通じて非経済主体である東北 アジア諸都市が、市場経済の文脈と不可分な関係を築きながら、越境交流を拡大してきた構 図を明らかにし、非国家主体による空間創造の実態と課題について検討したい。 

 

第1節 問題の所在:中央・地方関係と友好都市 

1−1  課題の設定

アジアの国境を越える都市提携第一号は、冷戦初期の

1955

年の長崎市−米セントポール が第一号である。都市交流の世界的潮流の中で、地域形成に対し先駆的な役割と発揮してき たのが、欧州のタウン・ツィニング(town twining)である。1940 年代後半から今日まで の欧州統合プロセスに並行して、地方自治体同士の越境協力が模索されてきた。タウン・ツ ィニングは現在、統合後の

EU

における新たな役割が期待されている6。第一に「市民の自発 性」である。市民の自発的コミットメントに依拠しながら、交流の地理的拡大を遂げていく。

91-130

頁を参照。 

4 多賀秀敏 2005.「東アジアの地域主義に関する一考察」山本武彦編『地域主義の国際比較』早稲田大学出 版部

83-101

頁を参照。

5 「市場」についての定義および現代の性格規定については、MacMillan, John. 2002.

Reinventing the Bazaar: A Natural History of Market s. New York: W.W. Norton & Company Inc(邦訳、瀧澤弘和・木村

友二訳 2007.『市場を創る』NTT出版)を参照。本章においても、市場を実体の伴う売買の場所や、制度・

ルールとしての市場ではなく、実体とは乖離した、社会構成的な仮想空間を想定した。

6

Europe for citizens program 2007-2013

<http://ec.europa.eu/citizenship/action1/measure1_en.html>

(2007

3

20

日取得)

(4)

地方自治体の交流を、欧州市民意識の醸成に結び付ける考え方である。第二に、欧州域内に おける共通利益と問題関心の収斂への効果である。交流によって、欧州レベルで直面する問 題の解決策を見出すために共通意識を覚醒する。第三が、欧州市民の日常的な相互理解のた めの機会提供である。これらの役割の追求により、EU 域内の都市ネットワークが、国境を 越えるイッシューごとに対応する。こうした都市同士の交流を媒介にして、国境を越えた新 たな市民関係の創出が眼目となっている。世界の都市提携では、市民同士の文化交流の比重 が相対的に低下する趨勢にある。たとえば、

1970

年代後半の米国では、米連邦政府の地方予 算削減と米国産業の国際競争力低下が都市交流にも影響してくる。初期の文化交流を目的と する交流から貿易・投資促進・開発援助へとシフトしながら、経済政策と政治の領域の実益 志向の提携に目的と動機が多様化していった7

  では、東北アジアの都市提携は、市民の交流を媒介する新たな空間創造で役割を発揮して きたのか。これが本論の第一の問題である。第二の問題は、経済のグローバル化との関連で ある。

90

年代以降、市場経済の世界大の拡大に伴い、貿易・投資の域内相互依存関係がアジ アでも拡大した。経済領域を中心に浸透したグローバリズムと交錯しながら、東北アジアサ ブ・リージョンと非国家主体のネットワークである都市提携はどのような関わりを持つのか である。

1−2 中国・中央地方関係との制度的非対称性

上記の

2

つの問題に対し、中国を中心に中央・地方制度の特殊性に着目し、分析枠組みを 検討したい。中央・地方の制度的配置が、国家主導で政策的に誘導されてきたことは、日本・

中国・韓国の共通の特徴である。その根底には、国家管理の前提に、効率化を意図した側面 がある。以下、東北アジアの都市提携の定義の差異に投影されている、地方自治の制度的配 置に後れをとる中国の中央・地方関係を中心に概観し、定量研究の課題を整理したい。

(1)地方政府

  都市提携について従来、日本、中国、韓国の間に統一的な定義がないままに、交流関係が 量的に拡大してきた。日本側(日本 CLAIR)の定義8は、中国中央政府の方針に沿った「友好

7

Hobbs, Heidi H. 1993. City Hall Goes Abroad: the foreign policy of local politics . California: SAGE Publications.,

国際協力事業団国際協力総合研修所 2001.『地方自治体の国際協力事業への参加  第二フェ ーズ  報告書』国際協力事業団を参照。ホッブズ(Hobbs)は、国際社会の変容によって、アクターが多様 化した点に着目すると同時に、連邦制の伝統を継承する米国各州・都市の首長が、地方の利害関心と密接不 可分な国際的イッシューをアジェンダとして採用し、他方で市民団体・利益団体がこうしたアジェンダを支 持する動きを、90年代初頭の米国地方政治の変容の中に読み取っている。

8 自治体国際化協会(CLAIR)の姉妹都市提携の定義は、「①両首長による提携書があること、②交流分野が 特定のものに限られていないこと、③交流にあたって、なんらかの予算措置が考えられることから、議会の

(5)

城市」一般に適用することが難しい。日中韓3カ国間の都市交流の定義のバラつきの背景に は、各国の地方行政制度の差が存在する。日本では、都道府県と市町村という二種類の普通 地方公共団体の「地方自治」について憲法上表記され、保障されている。韓国は、数次の地 方自治法改正を経て

1988

年の民主化で「官治自治」の制限を撤廃した。地方自治が法制度 によって保障されている日韓に対し、中国は中央政府・共産党に「民主集中の原則」が採用 され、「地方自治」が原則、否定されてきた(『1982年憲法』第三条第一項、『地方各級人民 代表大会および地方各級人民政府組織法』第一〇〇、一一五条、以下『地方組織法』)。 

すなわち、中国と日本、韓国の間の友好都市提携は制度上、非対称の構造の上に成り立っ ている。とりわけ、中国の中央政府・党中央は、①国家総体外交、②経済発展志向、③統一 性維持の3つを、都市提携の目的に掲げ、地方政府の独自外交ではなく、国家目標に掲げる 経済発展を重視した国家主導の「民間外交」の一手段として性格づけている。日韓の地方自 治では、中央政府からの分権が一定程度、法的に保障されているが、中国の場合、地方が中 央政府と党の双方に従属する構図が明らかにされている。こうした「二重の従属性(双重従 属9)」[國谷

1994:90]に特徴づけられた中央・地方関係は、分権と改革開放路線が急速に

浸透した現在も継承されている。

2004

年改正憲法の上でも、地方政府に対する「共産党の指導」が引き続き明記されている。

「「党政不分(共産党と政府の未分離)」、「以党代政(党をもって政にかえる)」の弊害」[王、

石塚 

2001:81]

10が指摘される中国の中央地方関係は、都市交流の経緯にも明確に現れて いる。中国の都市提携は、72年の日中国交回復以降、とくに

78

年の改革・開放以降、加速 度的に増加した(図6−2)。その背景には、先述したように、中央・地方一体の経済開発政 策がある。「富強」を基本戦略に掲げ、国際貿易の拡大と直接投資の誘引を両軸に据えた経済 成長を、国家の優先課題にしてきた。では、中国都市交流の現在も、国家主導の経済外交と 調和した「民間外交」の性格を継承しているのか。この問いに対し、まず中国の中央・地方 関係を規定する法制度から検討する。 

日本、韓国の都市提携先となる中国「地方政府」は、権力機関としての「地方各級人民代

承認を得ること」である(「姉妹都市以外の交流形態による国際交流の実態報告書  2005」1 頁)。 

9 最高意思決定機関の全国人民代表者大会(全人代)・常務委員会−地方各級人代と、執行機関の中央政府−

地方各政府の構造をとる。この2系統の段階的な統治構造の下で、地方政府は上級政府の指導・監督下に置 かれる一方、他方で同級人代に責任を負う。姉妹都市提携も「二重の従属」下にある。「二重の従属」につ いては、國谷知史 2002.「中国の地方分権化」羽貝正美・大津浩編『自治体外交の挑戦』有信堂、78−98 頁を参照。 

10 王景、石塚迅 2001.「現代中国憲法の利益・構造に対する調整」『中国

21』第 12

69−86

頁、愛知大学。

王、石塚によれば、「党と政府の未分離」こそ、各階層の利益間の協議と、憲政に対する信頼を欠乏させて いるという。

(6)

表大会」と、その執行機関である「地方各級人民政府」という2つの機構が存在する。本章 では、中国の「地方政府」を、行政機関である「地方各級政府」の意味で用いることにする。 

  中国を基点とする、日本、韓国との都市交流の特性を理解するための重要な手がかりにな る制度とその根拠法として、「地方行政組織法」11(1979年7月公布、

2000

年改正)と、中 国国際友好城市聨合会の「友好城市工作管理規定」12(2005 年5月、以下「管理規定」)を 取りあげておきたい。中国の憲法では、省、自治区、直轄市の人民大会および常務委員会の 地方的法規制定権を規定している。「地方行政組織法」ではさらに、「省・自治区」の各人民 政府所在地と、国務院の批准を経た規模の大きい「市」の人民代表大会、常務委員会に、「地 方的法規」の制定権をそれぞれ与えている(地方行政組織法第7条第2項)。加えて、「省・

自治区・直轄市」の人民政府、「省・自治区」の人民政府所在地の「市」および国務院に「地 方政府規章」の制定権を付与している。 

このように地方的法規・地方政府規章の制定権が国務院を筆頭に階統的に認められ、地方 政府には個別的行政管理事項の決定権が、制度的に保障されている。しかし、中央・地方の 権威配分の実態については、不明瞭な部分も少なくない。主に、法制度の不完全性に起因す るものと思われる。この不完全性は、行政組織と共産党の二重の統治機能の中に、地方政府 が位置づけられる「双重従属」によって、さらに複雑の度を増している。

(2)「管理規定」

中国国際友好城市聨合会は「管理規定」の中で、「双重従属」下の都市提携の性格と交流 目的を提示している。海外諸都市との交流促進を目的にした社団の中国国際友好城市聨合会

13が

2005

年、各市外事弁公室に発出した「管理規定」には、3つの目的が明記されている14

①国家外交(国家総体外交)の一部である、②改革開放・経済発展を主眼とする、③中国全

11「中華人民共和国地方各級人民代表大会和地方各級人民政府組織法」(1979

7

1

日制定、2004

10

27

日改正)<

http://chainacourt.org/flwk/show1.php?file_id=97073

>(

2006

7

1

日取得)

12「中国国際友好城市聯合会   友好城市工作管理規定  総則第一条」2005

5

27

日制定

http://www.bdwaiban.net

>(中国保定市外事弁公室ホームページ、

2006

7

1

日取得)

13 中国人民対外友好協会の規定では、中国国際友好城市聨合会について次のように明記されている。

「中国人民対外友好協会の姉妹組織として(中略)主要な任務は、国内都市と国外とのパイプ役、情報提供、

管理への協力などとして、外国との交流、協力に補助と指導を提供する。本会の規定により、中国国際友好 都市連合会は

300

名近くの全国理事、

200

名の各都市と人民対外友好協会の派遣した代表により構成する」

(筆者訳)<http://www.cifca.org.cn/ziye/jj.asp>(2006

7

1

日取得)     中国国際友好城市聨合会の概略は以下のとおり。 

1992

年、中国人民対外友好協会によって設立。中国の

30

の省、自治区、直轄市内の

200

余の会員都市によ り構成(香港、マカオ、台湾は含まない)。中国国際友好都市聯合会の会長、副会長、秘書長等の職務は、

人民代表友好協会現職の会長、副会長、一部の都市の代表により任されている。会長(現北京市副市長) 副会長、秘書長はいずれも、党員で構成。事業内容は国家行政の一部を担当する

民間

である。

14 次のように明記されている。「わが国友好城市管理を改善する規範とするため、友好城市を、わが国総体、、

外交、、

、改革開放、、、、

、経済社会発展および平和統一、、、、、、、、、、、、、

の業務とする」(前掲「友好城市工作管理規定」、傍点は筆者)

(7)

体の統一性を重視する、の3点である。これら3つの目標を追求する都市提携を、「民間外交」

15と性格づけている。中国の「民間外交」は、「政府公式外交」(官方外交)、「半官公式外交」

とともに、「社会主義外交」(国家外交)の「主要な構成要素」である(2004年4月の陳蘇昊・

中国対外友好協会会長・発言16)。すなわち、中国にとって都市提携は、国家外交の有力な手 段であることを、「管理規定」は明示している。 

さらに「管理規定」に関する地方政府に配布した「情況説明」資料17には、中央による管 理強化の傾向が読みとれる。「質的管理の強化」の記述がそれである。「情況説明」第二項の 中で、地方各級政府による友好城市の「量的管理」18によって、「実効性(効率)の追求」19を 強調している。 

 

1−3 分析の視点と方法

  以上の中国の中央・地方関係の制度的概要の整理をもとに、提携・交流の定量分析の視点 として、以下の3点を指摘しておきたい。 

(1)中国の都市交流では、「改革開放」、「経済成長」の方針が中央・地方に共通の目 的となっている。 

(2)都市交流が国家間外交と連動し、国内経済を活性化するための手段として活用す るという国家の政治的意図が存在する。 

(3)行政管理上の「地方分権」が浸透する一方、他方では都市交流に対し、中央によ る「管理」体制は従来の方針が踏襲されている。管理のポイントとしては、「成長」

のための「効率」の重視である。 

日本の自治体を主体とする外交およびその初歩的形態の都市交流についての先行研究

15「民間の外交範疇に属し、わが国の都市(包括省、自治区、直轄市)と外国都市間の理解と友好、国家外 交全体の需要と都市間関係の発展を組み合わせ、(中略)双方が経済的繁栄と社会進歩を推進し、世界平和 の維持を宗旨とする」(前掲「友好城市工作管理規定」第三条)

16 新華網「陳蘇昊談民外交」<http://www.xinhuanet.com/classed/top.htm>(2006

7

1

日取得)

1957

年、周恩来総理の政治論文「民間外交論」から引用し、社会主義外交の「部分的組成」としての「民間

外交」「友好城市交流」の役割を強調している。

17 中国国際友好城市連合会 「友好城市工作管理規定的情況説明」

2005

6

月1日実施。<http://www.bdwai

ban.net>(2006

7

1

日取得)

18

「数量は原則として束縛されず、実効を重視して執行に注力しなければならない。

(中略)友好協会は即、

措置をとり、全国の友好城市の数量の増長と発展を調節する」「情況説明」第二項)「今後、相手都市に制 限を設けず、わが国は(1地方政府につき)2箇所あるいは2箇所以上の友好都市については上級政府の主 管部門の指導下で検討し、1個の都市と良好な提携の可能性について研究する。(中略)同時に過多の(中 国側)都市が(相手国の)同一都市と締結することを避けるのは当然である」(同上「情況説明」第五項) 以上のように、「情況説明」では質的管理を通じて、量的にも管理を強化する方針を打ち出している。

19 具体的内容として、第六項に、城市交流の年限を5年とし、満期到来時に、交流目的に対し「実効性」を 検証し、交流の停止・延期について判断し、上級政府への報告を指導している(同上「情況説明」第六項)

(8)

には、多くの優れた論考が蓄積されている。その代表的著作として羽貝・大津[1994]20が あげられる。その中でも、中国の中央・地方関係との関連について詳述した、國谷[1994]

の論考がある。東北アジア地域の都市交流の量的実績は順調に蓄積されていると思われる が、自治体主体の地域主義が経済中心に陥りがちな動向と将来の懸念はこれまでにも指摘 されてきた21。先行研究での問題認識を継承しつつ、定量的な実証研究を試みることで、

地方外交の現状を明らかにし、将来の課題を抽出してみたい。

中国−日本、中国―韓国の国家間関係と友好都市交流の相関を明らかにするために、異 なる統計解析手法を組み合わせ、①現況把握22(量的傾向、三部門構成比23)、②相関分析24

(偏相関25)、③分類・比較分析(変数の分解・比較:主成分分析、クラスター分析)の3 段階の分析結果を総合し考察する。第三段階の「変数の分解・総合」では、2つの分析を 行う。そのひとつが、対外経済関係と都市規模による友好都市提携の分類(主成分分析)。 第二の手法が、この分類を基準にして、中国国内の地域格差と友好都市提携の比較である。

これらの分析を通じて、中国と日本、韓国の都市提携と、地方に固有の資源を活用した独 自の発展シナリオを目指す「内発的発展論」型の空間創造との関係を検証する。 

 

20

 羽貝・大津 前掲書。

21 多賀 前掲書を参照。

22 姉妹都市提携データは、早稲田大学

21

世紀

COE

「現代アジア学の創生」

COE-CAS

2002

2006

年度)

傘下の「東アジア共同体の構築研究グループ

D」

(EACRG・D)の地方自治体交流班(金燦錫、峯田史郎、

中山賢司、中村香代子、森川裕二)集計データを二次分析した。日本については市町村以上、中国は区・市、

韓国は市・郡をそれぞれ集計し、日本の都道府県、中国の省、韓国の道の各レベルに再集計した。

23 三部門構成比グラフ(三角グラフ)は、三次元立体グラフで本来、表す構成比を、平面状の三角図に表現 する。これによって、構成比の特徴を平易に視覚的に理解しやすく配置できるようになる。図7、8、9は、

日本(都道府県別)、中国(省別)、韓国(道別)が締結した友好都市累計数を分母にして、東北アジア(日 本、中国、韓国、モンゴル、ロシア)、東南アジア(ASEAN諸国)、米国・豪州・ニュージーランドの3地 域との提携数を分子にして、比率を求めてグラフに表現した。座標軸は時計回りに配置し、各頂点で東南ア ジア比率が

100%、米・豪・Nz

比率が

100%になる。三角形の中央に行くほど、三部門の構成比が3分の

1ずつ均等の配分に近づく。図7が顕著であるが、3つの三角形はいずれも底辺(下方)に点の配置が集中 する傾向が見られる。これは東南アジア諸国の都市との提携が少ないことを示している。

24 第二段階では、中国、日本、韓国の都市交流数と、対内・対外政治経済関係指標との偏相関を求め、東北 アジアの姉妹都市提携を拡大してきた要因を分析する。とくに、中国の中央・地方関係の特殊要因と都市提 携の量的な相関を中心に分析する。対外経済指標としては、省別統計 の実質

GDP(国内総生産)

、輸出入 合計額、対内直接投資(2000年度執行額ベース)を変数に用いた。中央政府の対外関係指標としては、国 家間政治交流(条約締結・首脳交流回数)データ(COE−CASデータ)を用いた。相関分析の対象とする 都市交流は、中国‐日本間、中国‐韓国間の友好都市提携数とした。都市交流の動機として想定される変数 には、上記の実質

GDP

のほかに、輸出入合計額、対内直接投資に加え、都市規模(人口)、沿岸都市(ダ ミー変数:沿岸都市・1、内陸都市・0)の偏相関係数を試算した。なお、中国省別

GDP、貿易額、対内直

接投資(実行額)など中国各省別経済データについては、米国

Thomson

社のデータベース「CEIC ASIA」

を使用した。

25 変数同士の相関を示す代表的係数が偏相関係数。

Y (被説明変数)と、二つの説明変数 X1

X2

の相関を求 めるとき、Y‐X1の関係にも

Y‐X2、X1

X2

の関係が影響し、相関の把握を難しくする。このため、X 2を固定し、Y‐X1の相関を分析する手法が偏相関分析である。河口至商 1993.『多変量解析入門』森北 出版

17-18

頁を参照。

(9)

第2節  定量分析 

2−1現況把握

(1)日本(図6−1、6−4、表6−1−②) 

・1972年の日中国交正常化と同時に、神戸市と天津市で始まった日中都市交流は、90 年 代半ばに第2のピークを迎えた。

2005

4

月現在、友好都市提携総数

1,522

件のうち、

米国

28%、中国 20%、この 2

カ国で半数を占める(図6−1)。 

・日本の国家外交は、対米関係重視と日本の自主性を発揮できる東南アジア諸国の比重が 高いが、友好都市提携の分布は、米国、中国に偏重している(図6−1)。後述する中国、

韓国と比較しても、東南アジア比率が極端に低いのが特徴である。米国、東北アジア(中 国、韓国、北朝鮮、ロシア、モンゴル)比率が高い。国内地域ブロックごとに傾向が分 かれ、日本海側、九州で、とくに東北アジア比率が高い(図6−4、表6−1-②)。 

(2)中国(図6−2、6−5、表6−1−①) 

・1978年「改革・開放」以降、日本、米国諸都市との交流を中心に、友好都市提携が急増 した。90年代に、韓国、ロシア、豪州、

ASEAN

諸国へと提携先が拡大した。とくに韓 国との提携は、92 年国交正常化を機に増加し、90 年代後半に新規締結数では日本を上 回った。89年中ソ和解後、ロシアとの都市交流が増加している。他方、

ASEAN

諸国と は、2001、02年に新規締結総数の

20%を超えたが、東アジア全般の累計では、低水準

にとどまっている(図6−2)。東南アジア地域との交流関係が大きな比重を占めている が、東北アジア志向が顕著である。

92

年を境に近隣外交に傾斜した中央政府の政治交流 と、友好都市提携の推移が歩調をあわせるように推移している。

・日本の三部門構成比グラフ(図6−4、図6−5)と比較し、米豪ニュージーランドの 比率が相対的に低い。また、雲南省、海南省、湖南省といった中国南部の省は、距離的 に近い東南アジア比率が相対的に高く、開発が進んだ沿岸部ほど東北アジア比率が高い

(表6−1②)。 

(3)韓国(図3、6、表6−1−③) 

92

年の中韓国交正常化を機に急増した中国との交流は、比率・累計数でも米国・日本を 上回っている。ロシアとの交流も

90

年国交樹立以来、漸増している。ASEAN 諸国と の交流は、90年代半ばに増加したが、通貨危機以降は停滞している(図6−3)。 

・日本と中国との友好都市提携が占める比重が高いため、東北アジア比率が相対的に大き くなっている。構成比の散らばりも、日本、中国と比べて少なく、米国・豪・NZ の比率

(10)

が大きいが、日中同様に東北アジア志向が歴然である(図6、 表1−③)。   

  以上、日中韓に共通する現象は、国家レベルの政治交流が、

1990

年代に東南アジア地域に 拡大し、その結果、東アジア全域に政治交流のネットワークを形成していったのに対し、友 好都市提携は東北アジアの比重が高く、地区別の詳細でも距離の近接性が鮮明に表れている。

 

2−2相関分析(表6−2〜6)

(1)中国−日本(表6−2、6−3) 

  日本との友好都市提携では、

GDP

成長率と相関を確認できる。80〜2004年の結果と比較 して、

90

年代以降の

GDP

成長率との相関係数が高くなっている。政府レベルの二国間条約、

首脳交流との相関は低く、日中貿易(「合計」:対日輸出入合計額)では、統計上有意な結果 は得られていないが、負の相関が現れている。

(2)中国−韓国(表6−4) 

友好都市提携がスタートする

90

年代のみの相関分析を行った。単純推移グラフでも、中 国、韓国の条約、首脳交流の推移と友好都市提携の傾向は近似していたが、相関分析結果で も、中韓の友好都市提携は、条約、首脳交流と正の相関が確認でき、対外経済関係を示す貿 易・投資、経済成長の尺度である

GDP

とは相関関係は得られない。二国間の交流の歴史が 浅い中韓の友好都市提携は、二国間の政治交流の制度的、人的交流と並行し、友好都市交流 が進んできたとみることができる。

(3)日本−韓国(表6−5) 

  中国を基点にした中国‐日本、中国‐韓国の相関分析の参考値として、日韓友好都市の相 関分析結果を示した。日韓の友好都市提携は、中国‐日本、中国‐韓国のいずれとも異なる 結果が得られた。首脳交流との有意なプラスの相関が確認できる。 

  貿易、条約ともに正の相関関係にあるが統計的に有意ではない。日韓の友好都市提携は、

政府レベルの良好な関係が影響しながら量の拡大を実現してきたことがうかがえる。 

(4)中国友好都市提携と経済要因(表6―6 ①②) 

中国の友好都市提携と対外経済要因の関係については、96 年から

2000

年、91〜95年の 各

5

年間を比較した。表6−6の分析結果が示すように、96〜2000 年では、省の規模(人口、

GDP)を含め、すべての経済変数と高い相関係数が得られた。とくに、対外経済関係を示す

貿易と対内直接投資の2つの変数と友好都市の間に、高い相関係数がでている。日韓のみの 友好都市の相関係数にも、同様の傾向がでており、GDPと高い相関が得られた。

(11)

 

91〜95

年の分析結果との対比によって、さらに経済変数と友好都市の相関が

90

年代後半 に強まったことがうかがえる。90年代前半では、貿易との相関はない。 

2−3 分類・比較

  友好都市提携累計数に加えて、前節で中国の対日韓友好都市との有意な相関関係を確認し た対外経済指標と都市規模(人口、

GDP)の諸変数から、主成分分析を試み、第1主成分と

第2主成分(表6−7)を抽出した。表が示すとおり、第1成分は各変数を総合した成分を 構成し、垂直軸(y)方向に得点が分布される。第2成分は水平(x)軸に沿ってマイナス方 向に人口、GDP、友好都市累計数といった規模要因が作用している。それに対し、水平軸に沿 ってプラスの方向に対内直接投資と貿易額という対外経済要因が表れている。寄与率は第1 成分が

69.23%、第2成分は 20.21%、十分な説明力を示す数値が示されている。

  これらの主成分得点から中国各省の属性を概観し、さらにクラスター分析を試みることで、

属性の類似する省をグループに分類した(図6−8)。  分析結果は以下の通り。 

(1)主成分分析(96〜2000 年) 

図6−7でも明らかな通り、分析結果は2点に特徴づけられる。第一に、友好都市提携累 計数を含む総合成分で二極分化が進む傾向にあること。第二に、対外経済依存度の高い省が 一群を形成している点である。 

中国諸都市(各省)は、グラフの垂直軸に沿って二極分化に向かう傾向が表れている。具 体的には、直交軸によって区切られる第一象限は、各指標を総合化した第一主成分と、対外 経済要因で代表される第二成分が、ともにプラスの数値で特徴づけられる(図6−7の円内)。 北京、上海、天津各市のほか、広東、江蘇、河北、浙江、遼寧、福建との沿岸部各省がこれ に該当する。貿易・対内直接投資を両輪にして、対外依存度を拡大しながら、急速に開発が 進行した地域である。 

一方、中央の方針で開発戦略が進行し始めた東北振興地域が中間に位置し、内陸部の発展 後発地域は、総合成分、対外経済依存ともにマイナスで表現される。本稿の焦点に据える、

中央・地方関係、対外依存、友好都市交流の相関関係に注視すると、経済発展段階の濃淡と、

各省分布が、友好都市提携と密接な関係を持ち、二極分化の傾向が、再確認できる。 

(2)クラスター分析 

2000 年時点の中国諸都市をクラスター分析し分類しグラフ(デンドログラム:階層グラフ)

化したのが、図6−8である。主成分分析結果の二極分化傾向は、クラスター分析でさらに、

(12)

詳細に示されている。中国の改革・開放政策がたどった「部分開放から全面開放」の経緯を 如実に反映し、対外依存格差をより鮮明に表している。開放政策によっていち早く経済がテ ークオフした広東が、さらに上海、北京、天津各市と沿海部各省がクラスターを形成してい る。それに対し、他の各省はクラスターが未形成になっている。沿海部を中心に対外関係が 固定した状況を示唆している。 

小括 

  都市交流は、国際社会の変容と関わりをもちながら、交流の範囲と内容の両面で、拡大を 遂げてきた。東北アジアも例外ではなく、国家間関係との相関を持ちながらの都市交流量を 増大させてきた実態を、分析結果が示している。地方自治の確立と市民社会の形成が途上に あり、地域内に中央地方関係の制度的な差が存在する日中韓

3

カ国の都市交流には、国家が 志向する対外経済依存型の成長路線を反映している。この傾向は

1990

年代後半から

2000

年代突入後さらに顕著になってきたことを、定量研究の結果が示している。

  友好都市提携の定量分析結果から、東北アジア地域形成の要点を、①経済志向、②地域格 差の拡大(中国)、③国家(中央)の対外政策との相関の

3

点をもとに総括したい。

 

① 友好都市交流と経済変数との間の強い相関関係は、80 年代以降の共通する現象であ るが、90年代後半にその傾向を強めている。

② 中国の改革・開放が全面化する

92

年以降、中国を基点に集計した日本、韓国との友 好都市提携数が拡大を遂げる。その過程で、中国国内に、都市交流の量的分布と経済成 長の域内格差が顕在化してきたことが確認できる。 

③ 国家間関係と友好都市交流との関係では、中国―日本、中国−韓国、日本−韓国の間 に、共通の傾向は読みとれない。ただし、それぞれの友好都市交流のパターンには、国 家間の政治的・歴史的経緯が投影されている。「国家総体外交」の主要部品(「部分組成」

26[陳 2004])として友好都市交流を位置づけ、経済と国家外交の一体性を目的に掲げ る、中国の「管理規定」の骨子でも明らかである。地方の「二重の従属」関係による影 響が、経済交流を主目的に据えた友好都市交流の推移に現れている。 

 

  東北アジア・サブ・リージョナリズムの一断面ともいえる、都市交流にみる経済偏重の傾

26 脚注

16

参照。

(13)

向は、グローバリズムの浸透と表裏一体の現象としてとらえることが可能であろう。サブ・

リージョンの形成と国家戦略が調和する状況を、①―③に見てとれる。中国の中央・地方関 係に着目すれば、国家戦略と個の選択の収斂という現象に置き換えて解釈できる。 

グローバリズムの諸相では、経済主体の企業だけではなく、個人、地方、国家というさま ざま行為体が市場に関与し、社会・文化領域における非市場的な活動の中にも経済的尺度が 価値基準として浸透してきている。東北アジアの都市交流も例外ではなく、市場経済の文脈 の中で繰り広げられている。そうした中で、東北アジアの友好都市等の地方外交、越境協力 の制度的な交流路が形成されつつある。 

分析結果の要点②が指摘するとおり、中国の友好都市提携では、経済成長の追求が進む一 方で、他方では地方間格差がより鮮明になりつつある。ここにも、東北アジア都市交流の視 点でとらえたグローバル化と地域化の現実を見出すことができる。域内都市間の競争が進む 一方で、他方では対外経済関係の対応を図る中で域内経済格差を拡大させおり、中国内の都 市が締結した都市提携数の分布と相関していた。本来、非市場領域で活動する行為体とされ る地方政府・地方自治体が擬似的な市場参加者と化し、国境を越えて相互依存を深めている 構図としても解釈できる。中国を基点に変動する東北アジアにおける政治経済のダイナミズ ムの中に、グローバル化の歪みとして地域内格差が固定されつつあるといえよう。 

換言すれば、東北アジア地域の友好都市交流は、域内の潜在的能力と個性を拡張するため の「内発的発展論」の発想から結実したものは少なく、域外資源とノウハウの導入を主眼と した「外向的経済発展」への関心を動機とする越境交流といえるだろう。その根柢には、中 央・地方政府主導の貿易・投資両面における対外依存による成長戦略があり、地域内格差の 分布を常態化させる可能性を分析結果は示唆している。 

本章では、都市提携を通じた交流よって市民が共通の地域意識を醸成するという、友好都 市の役割観の下に、友好都市提携を市民交流の媒介手段と位置づけた分析枠組みを設定した。

つまり、空間形成の装置として都市提携を制度的なインフラに位置づけ、都市の交流量(低 係数)と対外的、対内的な政治経済要因との関連を分析した。とくに中央の地方に対する指 導が拡大する傾向をとる中国の中央・地方関係に着目し、各国の対外経済政策、経済的属性 といった各国の政治経済を変数に定量分析を試み、非国家レベルの地域空間創造を考察して きた。しかし、対外経済依存の拡大を主要な目的とする中国と、日本、韓国との都市提携は、

国境を越えて自治体交流路を接合する初期段階にとどまっており、交流路を通じた市民交流 と地域認識の醸成の後れを、分析結果は物語っている。加えて、90 年代初期の先行研究と比 較しても、国家と一体となった中国諸都市との交流が一段と経済領域に傾斜する動きが確認

(14)

できる。 

国家の対外政策に同調しながら、経済領域と相関した都市交流が拡大する傾向は、日本・

韓国の都市交流にも確認でき、中国側の国家要因のみで東北アジアの都市交流が特徴づけら れているのではない。国家の対外政策と市場経済の文脈に都市交流が連動する現状は、グロ ーバリズムとの相克を繰り返す国家中心の地域形成の実相でもあり、東北アジアに共通する 空間再構築の特徴でもある。 

こうした東北アジアの都市交流の現状と傾向は、新しいサブ・リージョンの形成にとって 2つの含意を読みることができる。まず、国家の対外政策に強い影響を受けていても、確実 に都市交流の経路と制度的インフラが蓄積されてきたことである。日中韓3カ国の東南アジ ア地域への国家間外交が東アジア地域形成の原動力として作用してきたが、東北アジアの地 域枠組みは不在の状態が続き、事実上の地域主義の空白地帯となっている。都市という非国 家主体に着目すれば、東アジアの都市交流ネットワークの重心は東南アジアにではなく、日 中韓の都市間交流を中心に形成されてきた。都市間の提携関係を介してフロンティアが徐々 に、東北アジアに拡大しているといえよう。 

第二に、中央・地方関係の制約についての課題である。都市ネットワークの形成とフロン ティアの変動が、国家とは異なる新しい関係性の空間(時空の中の時間的関係)としてのサ ブ・リージョンの形成につながっていくためには、各国の中央・地方関係の制約をいかに克 服していくかが大きな課題となる。その意味では、問題の所在は、都市提携の経済的動機自 体にあるのではなく、既存の中央・地方関係の制約を離れて、個人(市民)の自発的な交流 を促す都市提携像をいかに探求するかに絞られてくる。場の占有を前提としない非国家行為 体ならではの交流を媒介にして、協生の思想に基づく地域認識を醸成してくことが、東北ア ジア都市交流によるサブ・リージョン形成の要件であるといえよう。言い換えれば、都市提 携という地域形成のインフラが、モノからヒトそして異なる思想の交流へと結びついていく かである。 

             

(15)

                                           

   

        出典  前掲書

177

図6―1  日本友好都市提携数の推移(累計) 

図6−2  中国友好都市提携数の推移(累計) 

出典:毛里和子、拙編著『東アジア共同体の構築4: ネットワーク解析』 177 頁。 

図6−3  韓国友好都市提携数の推移(累計) 

(16)

図6−6  韓国友好都市提携地域別比率 

出典: COE-CASデータより作成(値は表1参照)

図6−4 日本友好都市提携地域別比率 

図6−5  中国友好都市提携地域別比率 

(17)

       

① 中国 ② 日本

東北アジア 東南アジア 米国・豪州・Nz 東北アジア 東南アジア 米国・豪州・Nz

黒龍江省 0.80 0.00 0.20 北海道 0.48 0.02 0.50 北海道

吉林省 0.69 0.00 0.31 青森県 0.33 0.05 0.62

遼寧省 0.73 0.06 0.21 岩手県 0.21 0.07 0.71

内蒙古自治区 0.69 0.00 0.31 宮城県 0.40 0.00 0.60

北京市 0.53 0.20 0.27 秋田県 0.64 0.00 0.36

天津市 0.50 0.13 0.38 山形県 0.52 0.12 0.36

河北省 0.68 0.00 0.32 福島県 0.33 0.00 0.67

山西省 0.58 0.00 0.42 茨城県 0.23 0.05 0.73

山東省 0.53 0.07 0.40 栃木県 0.38 0.00 0.62

河南省 0.67 0.08 0.25 群馬県 0.22 0.04 0.74

江蘇省 0.57 0.02 0.41 埼玉県 0.37 0.05 0.59

上海市 0.60 0.20 0.20 千葉県 0.21 0.08 0.71

安徽省 0.62 0.05 0.33 東京都 0.44 0.03 0.53

淅江省 0.68 0.03 0.29 神奈川県 0.38 0.03 0.56

江西省 0.55 0.00 0.45 新潟県 0.63 0.00 0.38

湖北省 0.44 0.06 0.50 富山県 0.41 0.06 0.53

陝西省 0.76 0.00 0.24 石川県 0.61 0.06 0.33

甘粛省 0.55 0.00 0.45 福井県 0.67 0.00 0.33

チベット自治区 0.00 0.00 1.00 山梨県 0.35 0.00 0.65

福建省 0.30 0.19 0.52 長野県 0.39 0.00 0.61

広東省 0.31 0.07 0.62 岐阜県 0.47 0.06 0.47

湖南省 0.50 0.18 0.32 静岡県 0.19 0.03 0.78

貴州省 0.00 0.00 1.00 愛知県 0.28 0.00 0.72

四川省 0.55 0.05 0.40 三重県 0.56 0.00 0.44

広西チワン族自治区 0.38 0.08 0.54 滋賀県 0.42 0.00 0.58

海南省 0.33 0.22 0.44 京都府 0.50 0.08 0.42

雲南省 0.17 0.42 0.42 大阪府 0.40 0.04 0.56

平均 0.57 0.07 0.37 兵庫県 0.31 0.00 0.69

③ 韓国 奈良県 0.67 0.00 0.33

東北アジア 東南アジア 米国・豪州・Nz 和歌山県 0.24 0.00 0.76

京畿道 0.49 0.09 0.42 鳥取県 0.82 0.00 0.18

江原道 0.81 0.00 0.19 島根県 0.75 0.05 0.20

忠清北道 0.80 0.00 0.20 岡山県 0.45 0.00 0.55

忠清南道 0.75 0.00 0.25 広島県 0.58 0.05 0.37

全羅北道 0.53 0.00 0.47 山口県 0.63 0.00 0.37

全羅南道 0.67 0.06 0.28 徳島県 0.20 0.00 0.80

慶尚北道 0.70 0.07 0.22 香川県 0.46 0.08 0.46

慶尚南道 0.63 0.14 0.23 愛媛県 0.50 0.00 0.50

済州道 0.71 0.07 0.21 高知県 0.27 0.18 0.55

ソウル特別市 0.72 0.05 0.23 福岡県 0.54 0.04 0.42

釜山広域市 0.63 0.16 0.21 佐賀県 0.75 0.00 0.25

テグ広域市 0.50 0.00 0.50 長崎県 0.56 0.00 0.44

仁川広域市 0.42 0.17 0.25 熊本県 0.52 0.00 0.48

光州広域市 0.71 0.14 0.14 大分県 0.63 0.00 0.37

大田広域市 0.75 0.13 0.13 宮崎県 0.50 0.00 0.50

蔚山広域市 0.40 0.20 0.40 鹿児島県 0.58 0.05 0.37

平均 0.65 0.07 0.28 沖縄県 0.40 0.00 0.60

平均 0.43 0.03 0.54

近畿

中国

四国

九州/沖縄 東北

関東

北陸

中部

表6−1  友好都市提携地域比率 

注:2004年度末時点の累計。地域別(東北アジア、東南アジア、米・豪州・ニュージーランド)の友好都市数を、提携の合計数 で除した構成比。COE-CASデータから試算。筆者作成。

(18)

表6−2 中国ー日本友好都市提携 (1980-2004年)

条約数 首脳交流回数 実質GDP成長率 日中貿易額 友好都市提携

-0.18 0.05 0.41 -0.51

有意確率

0.39 0.81 0.04 0.02

条約数

0.17 -0.13 0.38

有意確率

0.41 0.52 0.89

首脳交流回数

0.19 0.45

有意確率

0.38 0.34

実質GDP

-0.01

有意確率

0.98

表6−3 中国ー日本友好都市提携 (1990-2004年)

条約数 首脳交流回数 実質GDP成長率 日中貿易額 友好都市提携

-0.29 0.09 0.58 -0.78

有意確率

0.31 0.76 0.04 0.00

条約数

0.38 -0.02 0.30

有意確率

0.18 0.45 0.30

首脳交流回数

-0.34 -0.18

有意確率

0.24 0.55

実質GDP

-0.16

有意確率

0.60

表6−4 中国 - 韓国友好都市提携 (1990-2004年)

条約数 首脳交流回数 実質GDP成長率 中韓貿易額 友好都市提携

0.48 0.60 0.16 -0.06

有意確率

0.02 0.00 0.44 0.80

条約数

0.74 0.42 -0.06

有意確率

0.00 0.04 0.54

首脳交流回数

0.32 0.30

有意確率

0.12 0.23

実質GDP成長率

0.10

有意確率

0.68

表6−5 日本- 韓国友好都市提携 (1990-2004年)

条約数 首脳交流回数 日韓貿易額 実質GDP(日本) 実質GDP(韓国)

友好都市提携

0.19 0.44 0.32 -0.18 0.03

有意確率

0.35 0.03 0.12 0.38 0.88

条約数

0.20 -0.12 0.13 -0.13

有意確率

0.34 0.56 0.55 0.54

首脳交流回数

0.68 -0.48 -0.23

有意確率

0.00 0.02 0.28

日韓貿易額

0.10 0.06

有意確率

0.68 0.77

実質GDP(日本)

0.43

有意確率

0.03

表6−6 ① 中国友好都市・経済相関(1996-2000年)

人口 実質GDP 貿易額 対内直接投資 沿岸地域 中国友好都市総計

0.69 0.82 0.70 0.84 0.48

有意確率

0.00 0.00 0.00 0.00 0.01

対日韓友好都市合計

0.50 0.61 0.48 0.49 0.40

有意確率

0.02 0.00 0.03 0.08 0.00

表6−6 ② 中国友好都市・経済相関(1991-95年)

実質GDP 貿易額 沿岸地域 中国友好都市総計

0.63 0.18 0.42

有意確率

0.01 0.33 0.02

対日韓友好都市合計

0.70 0.02 0.42

有意確率

0.00 0.91 0.02

 

     

注:各表ともに、網掛けは統計的に有意な相関関係(有意確率1%未満)、マイナスは負の相関。

(19)

                                                       

 

図10  主成分分析

  中国姉妹都市関係クラスター分析結果 

      0         5        10        15        20        25         +---+---+---+---+---+ 

 

  チベット自治区              青海省            甘粛省            寧夏回族自治区              貴州省            黒龍江省            安徽省                      河北省                      四川省                      吉林省                      河南省                      湖南省                      広西壮族自治区                        湖北省                   

  山西省                   

  内蒙古自治区                              新疆ウイグル自治区                            江西省                              雲南省                              重慶市                              陝西省                              海南省                              上海市                              江蘇省                            北京市                      遼寧省                      天津市                  山東省                  福建省                  浙江省               

図6−7  主成分分析結果 

図6―8  中国友好都市関連クラスター 

参照

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