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光る斜面崩壊センサ杭の開発

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Academic year: 2022

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光る斜面崩壊センサ杭の開発

清水建設(株) 正会員 ○宮田 和 清水建設(株) 正会員 芳岡 良一 長谷川 悦央

(株)リプロ 伊藤 栄 小西 哲也

(株)テスコム 佐藤 隆秀 永井 一郎

1.はじめに

斜面の変状を知らせるシステムは数多くあるが,

計器自体が判断してその場で警報を知らせる仕組み は数が少ない.既存のシステム 1)は一度データを転 送後サーバー等で管理値を超えているかどうか判断 し,超えた場合は現場にフィードバックして警報を 鳴らす仕組みになっている.短時間で崩壊が生じる 斜面災害では,現場の作業員にすぐに避難ができる ようにリアルタイムで警報を知らせる必要がある.

そこで,設置直後から計器で捉えた変状をその場で 視覚的に知らせる仕組みを開発した.本報文では光 る斜面崩壊センサ杭の概要と試験導入を行った結果 について報告する.

2.光る斜面崩壊センサ杭の概要

光る斜面崩壊センサ杭は無線センサ端末とLED 回 転灯とその電源をプラスチック杭と一体化した構造

(図-1参照)となっている.杭の傾きを無線センサ 端末で連続的に計測し,ある閾値以上の変化があっ た場合,杭の頭部に設置した回転灯が図-2の通り作 動する.光る斜面崩壊センサ杭の特徴は以下の通り であり,急斜面地や急勾配切土での現場作業の安全 性の向上を図ることができる.

①杭に無線センサ端末,回転灯(警報装置),電源が 一体となっているため,特別な配線工事や設置工 事が不要である.図-3の通り視認性を向上させる ために回転灯を分離すること(分離型)もできる.

②「変状発生時(閾値を超えた場合)」の判定は4秒 間に1回行う.

③斜面の変状を視覚でリアルタイムに作業員に知ら せることができる.

④杭の設置は岩の場合削孔し杭を建て込みモルタル で固定する.土砂の場合は掛矢による打ち込みだ けで,すぐに計測を開始できる.

⑤複数本配置した場合,どこで変状が発生している かすぐに分かる.

⑥電池を交換することで,何度でも,長期間にわた り使用できる.

⑦無線センサ端末の電源は2年間以上連続稼働する.

キーワード 斜面崩壊,警報システム,リアルタイム,加速度センサ,無線通信

連絡先 〒541-8520 大阪府大阪市中央区本町3丁目5-7 清水建設(株)関西事業本部土木技術部 TEL06-6263-2814 図-3 光る斜面崩壊センサ杭(分離型)

図-2 LED回転灯点灯の仕組み 図-1 光る斜面崩壊センサ杭(一体型)

LED回転灯

無線センサ端末 充電式乾電池

90cm角プラスチック杭

40cm

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

‑673‑

Ⅵ‑337

(2)

⑧回転灯用の電池は充電可能で繰返し使用できる.

(~6ヶ月連続稼働)

⑨無線センサ端末は加速度センサ,温度センサを内 蔵し,角度,温度を測定する.

⑩閾値の判定はX方向とY方向の合成角度で行い,

閾値を超えた場合,信号を送り回転灯を点灯する.

⑪上部にφ90mmの回転灯を設置し,視野角360度・

視認距離50mを確保している.

⑫無線センサ端末に 511 個の計測データを保存可能 である.

⑬モバイル受信機とパソコンで,無線センサ端末の データを無線で収集できる.

⑭閾値の変更や回転灯のON OFFはモバイル受信機と パソコンでいつでも行える.

⑮温度の影響受け難くするためにプラスチック杭の 表面に断熱セラミック塗装2)を行っている.

3.閾値の設定例

道路土工切土工・斜面安定工指針 3)より,表層崩 壊は平均崩壊斜面長=17.9m,平均崩壊幅=16.8m,平 均崩壊の深さ=1.3m,平均崩壊土量=463m3,全体の95%

が勾配30度以上の斜面で発生している.

平均崩壊の深さ+杭の地上高=1.3+0.4=1.7mとなり,

不動点より1.7m上で角度を測ることになる.

θを閾値とすると,図-4に示すとおり杭の変位量 の計算は 1.7m×sinθ,地盤の変位量の計算は 1.3m

×sin θとなる.θ=1.0 度の場合,杭の変位量は 3.0cm,地盤の変位量は2.3cmとなる.

ただし,無線センサ端末は温度変化による影響の 他,地盤の揺れ(常時微動),周辺からの揺れを受け て,変状が発生していない場合も微少な値を感知す る.

そこで,バラツキ1.0度を考慮した閾値は1.0度 +1.0度=2.0度と設定する.

4.試験導入

四国地方整備局山鳥坂ダム工事事務所鹿野川ダム トンネル洪水吐新設工事においてトンネル坑口上方 の小段に一体型 2 本,法面上方の斜面上に分離型 3 本の計 5 本の光る斜面崩壊センサ杭の試験導入を行 った.その中の一体型の1本の設置状況を写真-1に,

平成25年1月末からの1ヶ月間に得られたデータを 図-5に示す.温度による影響が若干見られるが,閾 値2.0度の対し0~0.5度内のほぼ安定した値を示し ている.これはその横に設置したターゲットでトー タルステーションにより地山変位を観測しているデ ータと比較しても崩壊を示すような兆候が現れてい ないことと一致する.

5.おわりに

試験導入により改良を重ねた結果貴重なデータが 取得できたので,本格導入に向けて今後展開してい きたいと考える.

参考文献

1)例えば斜面崩壊センサ:http://www.ripro.co.

jp/newtech.html

2)断熱セラミック:http://gaina.ecocoro.biz/

3)(社)日本道路協会:道路土工切土工・斜面安定 工指針(平成21年度版),p.313,2009.6.30.

写真-1 坑口法肩に設置した光る斜面崩壊センサ杭(一体型)

-30 -10 10 30 50 70

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

2013/01/22 2013/01/27 2013/02/01 2013/02/06 2013/02/11 2013/02/16 2013/02/21

温度(℃)

角度(度)

日時

角度

▼閾値2.0度 温度

図-5 写真-1の一体型の計測データ(平成25年1~2月) 図-4 表層崩壊深さによる角度と変位の関係

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

‑674‑

Ⅵ‑337

参照

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