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TMSO Chofu Series 都響 調布シリーズ No.17 モーツァルト & メンデルスゾーン名曲選 TMSO Chofu Series No.17 佐伯茂樹 SAEKI Shigeki メンデルスゾーン : 序曲 フィンガルの洞窟 op. 19 世紀ドイツの作曲家フェリックス メンデルスゾ

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5 プログラム T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26 C o nc er t Pr o gr am s お願い−演奏中は携帯電話、アラーム付き時計、 補聴器などの音が鳴らないように ご注意ください。 写真撮影、 録音、 録画はお断りいたします。 音楽の余韻を楽しむ拍手をお願いいたします。

都響・調布シリーズNo.17

モーツァルト&メンデルスゾーン名曲選

TMSO Chofu Series No.17

2015年

12

6

日(日) 14:00開演 調布市グリーンホール大ホール

Sun. 6 December 2015, 14:00 at Chofu Green Hall

指揮&クラリネット ●

ポール・メイエ

 Paul MEYER, Conductor and Clarinet

コンサートマスター ●

山本友重

 YAMAMOTO Tomoshige, Concertmaster

メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》

op.26 (11分) Mendelssohn: Overture “Fingal’s Cave”, op.26

モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調

K.622 (30分) Mozart: Clarinet Concerto in A major, K.622

Ⅰ Allegro Ⅱ Adagio Ⅲ Rondo. Allegro

◉ 休憩 / Intermission (20分)

メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調

op.90

《イタリア》

(30分) Mendelssohn: Symphony No.4 in A major, op.90, “Italian”

Ⅰ Allegro vivace Ⅱ Andante con moto Ⅲ Con moto moderato Ⅳ Saltarello. Presto 曲目解説(本文P.18 ~ 20をご覧ください。) 演奏時間と休憩時間は予定の時間です。 主催:公益財団法人東京都交響楽団 提携:公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団 後援:調布市教育委員会、府中市教育委員会、    多摩市教育委員会、稲城市教育委員会

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TMSO Chofu Series

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6 12 18 都響・調布シリーズ No.17 C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 25 26

メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》op.26

19世紀ドイツの作曲家フェリックス・メンデルスゾーン(1809 ~ 47)が、1830年に作曲した管弦楽作品です(初演は1832年)。「序 曲」と名付けられていますが、オペラや劇のために作曲されたわけで はなく、序曲のように、短い曲の中に風景を描いたというイメージで とらえるといいかもしれません。 タイトルにある《フィンガルの洞窟》は、スコットランド西岸に点在す るヘブリディーズ諸島のスタファ島にある洞窟のことで、観光地とし て有名で絵画や小説にも描かれています。メンデルスゾーンは、こ の曲を作曲する前年の1829年に、ヘブリディーズ諸島を訪れ、フィ ンガルの洞窟の神秘的な美しさに心を奪われ、ここで受けた印象を 曲にしようと決意しました。実際、冒頭でヴィオラ、チェロ、ファゴッ トが奏でる、どこか民謡調の主題は、洞窟に押し寄せる波を連想させ、 音だけで目の前に風景が浮かびます。 しかしメンデルスゾーンは、フィンガルの洞窟に行く前の晩にスタ ファ島の東10キロに位置するマル島に宿泊、姉ファニー(1805 ~ 47)に宛てた手紙の中で、この主題のスケッチを書き付けています。 彼は実際に洞窟を見る前に、ヘブリディーズ諸島から受けたイメージ を音符にしたのでしょう。いずれにしても、絵画のような風景を音で 描いてみせたという意味では、画期的な作品であることは間違いあ りません。 曲は、4分の4拍子、ロ短調で書かれており、冒頭のさざ波のよう な第1主題と、チェロとファゴットで出てくる歌心に溢れた優しい第2 主題が展開するソナタ形式で書かれています。具体的に物語を描い たわけではないので、音楽の美しい流れに身を任せ、風景を思い浮 べながら鑑賞するといいでしょう。 なおこの曲は、メンデルスゾーン自身が初演や改訂などの度にタイ トルを変更。1835年の出版時に《ヘブリディーズ諸島》に落ち着い たものの、それはパート譜にのみ印刷され、スコアの題名は《フィン ガルの洞窟》でした。日本では《フィンガルの洞窟》の通称で親しまれ ています。

都響・調布シリーズNo.17

モーツァルト&メンデルスゾーン名曲選

TMSO Chofu Series No.17

佐伯 茂樹

SAEKI Shigeki

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TMSO Chofu Series

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19 都響・調布シリーズ No.17 C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26

モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756 ~ 91)が、友人 のクラリネット奏者アントン・シュタードラー(1753 ~ 1812)のために 作曲した協奏曲です。モーツァルトが亡くなる2ヵ月前の1791年10 月に完成・初演されており、これがモーツァルト最後の協奏曲になり ました。作曲家自身、これが最後の協奏曲になると意識していたかど うかは分かりませんが、その美しさから「白鳥の歌」と評されることも 多く、クラリネット協奏曲を代表する名曲として親しまれています。  この曲を初演したアントン・シュタードラーは、弟ヨハンと共にウィー ン宮廷楽団初のクラリネットの正規メンバーとして入団した名手で、 モーツァルトは、この協奏曲以外に「クラリネット五重奏曲K.581」や 「ピアノ、クラリネット、ヴィオラのための三重奏曲K.498 《ケーゲル シュタット・トリオ》」などを彼のために作曲しました。 クラリネットはとても音域が広く、「ほの暗い低音域」「地声のよう な中音域」「明るく輝かしい高音域」という風に、音域によって音色 が変化するところもこの楽器の魅力です。モーツァルトは、この特性 を最大限に活かす形で協奏曲を書きました。クラリネット奏者が、一 人芝居のように「高音と低音」「明るい音と暗い音」の対話をするの が聴きどころになっています。 なお、この曲で使われるクラリネットは、吹奏楽やジャズなどで使 われるB管(変ロ調管)よりも半音低い、A管(イ調管)です。わずか な違いですが、B管クラリネットよりも甘い音がするので、その違いに 注意して聴くと面白いかもしれません。初演したシュタードラーは、こ のA管クラリネットの長さを延長して、さらに低い音が出る特別な楽 器を使用していました。最近ではこの楽器を復元して、モーツァルト がシュタードラーのために本来書いたと思われる形にした演奏も増え てきています(復元時に、低い音が出るクラリネットという意味で 「バセットクラリネット」と名付けられました)。 第1楽章(アレグロ)は4分の4拍子、ソナタ形式で書かれていて、 冒頭でヴァイオリンなどで提示された爽やかな主題をクラリネット独奏 が引き継いで展開されます。第2楽章(アダージョ)は4分の3拍子、 3部形式。冒頭からクラリネット独奏が美しいメロディをしみじみと歌 います。第3楽章(ロンド/アレグロ)は8分の6拍子。騎馬のリズム に乗ってクラリネット独奏が活き活きと自由に広い音域を駆け巡り ます。

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20 都響・調布シリーズNo.17 12 6 C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 25 26

メンデルスゾーン:交響曲第 4 番 イ長調 op.90

《イタリア》

序曲《フィンガルの洞窟》と並んでメンデルスゾーンの代表的な管 弦楽作品として知られる交響曲です。メンデルスゾーンには番号付 きの交響曲が5曲ありますが、この第4番は3番目に作曲されました。 出版された順序で第4番という番号が付けられたのです。 メンデルスゾーンは、スコットランド旅行の翌年の1830年から 1831年にかけてイタリアに旅行をしており、《イタリア》という愛称で 親しまれているこの交響曲第4番は、そのときの体験から書き始めら れたと言われています。作曲は途中、中断されたものの、1833年 に完成しロンドンで初演されました。 しかし、この時の出来に不満を持っていたメンデルスゾーンは、翌 1834年に第2楽章から第4楽章までを新たに書き直しますが、第1 楽章には手をつけずに亡くなってしまい、死後の1851年にロンドン初 演の際の楽譜を元にしたものが出版されます。現在、一般に演奏さ れているのはこの版の楽譜を使ったものですが、最近になって、 1834年に書き直した版と1833年に書いた第1楽章を組み合わせた 演奏も行われるようになりました。 この曲は、《イタリア》という愛称が付いているとおり、曲全体が 明るい雰囲気に満ち溢れていて、第4楽章には、ローマの民俗舞踊 である「サルタレロ」のリズムも使われています。スコットランドの自然 を描いた《フィンガルの洞窟》とは対照的に、全曲を通して南国的な 情熱が感じられる作品に仕上がっています。 第1楽章(アレグロ・ヴィヴァーチェ)は8分の6拍子、ソナタ形式で 書かれていて、冒頭から躍動感のある主題で開始し、ぐいぐいと引っ 張られるように展開していきます。第2楽章(アンダンテ・コン・モート) は4分の4拍子のロンド形式。哀愁に満ちたメロディが切なく歌われま す。第3楽章(コン・モート・モデラート)は4分の3拍子のメヌエットで、 再び明るい雰囲気になります。中間部では、ホルンとファゴットがファ ンファーレのような音型を奏でます。最後の第4楽章(サルタレロ/プ レスト)は4分の4拍子、ひたすら情熱的に踊り狂うような感じで突き 進んでいき終わります。

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12 6 6 プログラム T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 25 26 C o nc er t Pr o gr am s お願い−演奏中は携帯電話、アラーム付き時計、 補聴器などの音が鳴らないように ご注意ください。 写真撮影、 録音、 録画はお断りいたします。 音楽の余韻を楽しむ拍手をお願いいたします。

第798回 定期演奏会Aシリーズ

Subscription Concert No.798 A Series

2015年

12

10

日(木) 19:00開演 東京文化会館

Thu. 10 December 2015, 19:00 at Tokyo Bunka Kaikan

指揮 ●

ミヒャエル・ザンデルリンク

 Michael SANDERLING, Conductor

チェロ ●

アレクセイ・スタドレル

 Alexey STADLER, Violoncello

コンサートマスター ●

山本友重

 YAMAMOTO Tomoshige, Concertmaster

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番 変ホ長調

op.107 (30分) Shostakovich: Cello Concerto No.1 in E-flat major, op.107

Ⅰ Allegretto Ⅱ Moderato Ⅲ Cadenza

Ⅳ Allegro con moto

◉ 休憩 / Intermission (20分)

チャイコフスキー:交響曲第1番 ト短調

op.13

  《冬の日の幻想》

(43分) Tchaikovsky: Symphony No.1 in G minor, op.13, “Winter Daydreams”

Ⅰ Allegro tranquillo (Dreams of a Winter Journey)

Ⅱ Adagio cantabile ma non tanto (Land of Desolation, Land of Mists) Ⅲ Scherzo. Allegro scherzando giocoso

Ⅳ Finale. Andante lugubre - Allegro maestoso

曲目解説(本文P.21 ~ 24をご覧ください。) 演奏時間と休憩時間は予定の時間です。

A

Series 主催:公益財団法人東京都交響楽団 後援:東京都、東京都教育委員会 助成:文化庁文化芸術振興費補助金   (トップレベルの舞台芸術創造事業)

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21 第798回 定期演奏会Aシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 op.107

ソ連時代に活躍した作曲家ショスタコーヴィチ(1906 ~ 75)は、ヴァ イオリン、チェロ、ピアノのために、それぞれ2曲ずつの協奏曲を書 いている。このうち、2曲のチェロ協奏曲は、どちらも、20世紀を代 表するチェリストであったムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927 ~ 2007)のために作曲された。この第1番は特に人気が高く、現在では ドヴォルザークやエルガーの作品とともに、最も演奏機会の多いチェ ロ協奏曲となっている。 作曲者自身の語るところによると、作曲を思い立ったきっかけは、 プロコフィエフ(1891 ~ 1953)の《チェロと管弦楽のための交響的協 奏曲》 (1938年/ 1952年改作)を聴き、自分もこのジャンルで力を試 してみたいと思ったことだったという。 作曲は、ショスタコーヴィチが52歳だった1959年の春から夏にか けて行われたと思われるが、少なくとも同年6月6日には第1楽章がで きあがっており、7月20日には全曲が完成した。8月2日、ショスタコー ヴィチはロストロポーヴィチを呼び、ピアノで弾いて聴かせ(第2楽章 を弾くときは涙ぐんでいたという)、楽譜を渡した。ロストロポーヴィチ は翌朝から3日間、計28時間練習して、8月6日に行われた最初のリ ハーサルではすべて暗譜で演奏し、作曲者を驚かせた。この曲は、 プロコフィエフの協奏曲と同様、ロストロポーヴィチに献呈され、彼に よって初演された。 4つの楽章があるが、第3楽章はカデンツァなので、急-緩-急の 3楽章という伝統的な協奏曲の形式に従っていると言える。ソ連の 最高指導者スターリン(1878 ~ 1953)死後の数年間、ショスタコー ヴィチは、ピアノ協奏曲第2番、弦楽四重奏曲第6番、喜歌劇『モス クワ・チェリョームシキ』など、比較的平易で明るい作品をたてつづけ に書いている。一見、内容に晦かい渋じゅうなところのないチェロ協奏曲第1番 もその一つとして位置づけることが可能かもしれない。 ただ、ショスタコーヴィチは、第1楽章第2主題や第2楽章の2つの 主題などにユダヤ音楽風の語法を忍び込ませたり、スターリンの愛 唱歌だった民謡《スリコー》の旋律を第4楽章に引用したりしている。 それがどの程度のものだったのかはともかく、この曲にもまた、表面

第798回 定期演奏会Aシリーズ

Subscription Concert No.798 A Series

増田 良介

MASUDA Ryosuke

(7)

12 6 22 第798回 定期演奏会Aシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 25 26 上のわかりやすさとは異なったレベルの含意があった可能性はあるだ ろう。 第1楽章 アレグレット ソナタ形式。序奏はなく、軽快な行進曲 風の第1主題で始まる。この主題は映画音楽『若き親衛隊』中の「処 刑への行進」から取られている。ティンパニの一撃のあと登場する第 2主題は、ユダヤ的な響きをもつ。なお、この協奏曲ではホルンがも う1つの独奏楽器のように扱われており、展開部はホルンの吹く第1 主題によって始まる。再現部でも第1、第2主題の再示はホルンが担 当する。 第2楽章 モデラート 3部形式だが、3つの部分それぞれの前に 共通の導入部が付くのが特徴的だ。最初の部分では、導入部のあと、 独奏チェロが民謡風の哀愁を帯びた旋律を歌い、これをクラリネット が繰り返す。中間部では、導入部の音型から導かれた主題が高揚し、 頂点でティンパニが一発鳴ったあと、みたび導入部が繰り返され、 再現部となる。ここでは最初の民謡風の主題を、チェロのフラジオレッ トとチェレスタが交互に引き継ぎながら歌う。 第3楽章 カデンツァ 長大なカデンツァを独立した楽章としてい る。前後の楽章とは切れ目なしにつながり、両楽章を接続する。第 2楽章の2つの主題に基づいて様々な技巧が凝らされ、第1楽章第 1主題を交えてテンポを上げ、フィナーレに突入する。 第4楽章 アレグロ・コン・モート 変則的なロンド形式。勢いよ く下降する音型を裸のティンパニが止めるという騒々しい主題で始ま るが、これはチャイコフスキーの交響曲第4番フィナーレのパロディの ようでもある。また、弦が「ミ♭-ミ♭-ド-レ♭-ミ♭」、木管が「ラ ♭-ファ-ソ」という音型で応答する箇所があるが、これはスターリン の愛唱歌《スリコー》の変形である。その後、様々な旋律が現れ、 《スリコー》も交えて展開したあと、第1楽章第1主題が再登場し、ホ ルンと木管が全曲冒頭の4音を雄渾に吹き鳴らし、全曲を閉じる。 作曲年代: 1959年春~ 7月20日 初  演: 1959年10月4日 レニングラード(現サンクトペテルブルグ) ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ) エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル 楽器編成: フルート2(第2はピッコロ持替)、オーボエ2、クラリネット2、ファ ゴット2(第2はコントラファゴット持替)、ホルン、ティンパニ、チェ レスタ、弦楽5部、独奏チェロ ※フラジオレット 弦を正確に分割して 指で軽く押さえ、弓で 軽く弾く特 殊 奏 法。 非常に高く透明な音 がする。 ハーモニク ス。

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23 第798回 定期演奏会Aシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26

チャイコフスキー:交響曲第1番 ト短調 op.13

        《冬の日の幻想》

ロシアの作曲家チャイコフスキー(1840 ~ 93)は、《マンフレッド》 交響曲を含めると、全部で7つの交響曲を完成した。このうち、彼 の最初の交響曲である第1番は、第4~6番に比べて演奏機会はずっ と少ないが、若きチャイコフスキーの旋律美と抒情性、そしてロシア 情緒に満ちた魅力的な作品だ。 1862年、偉大なピアニストで作曲家であったアントン・ルビンシテ イン(1829 ~ 94)が、当時ロシアの首都であったサンクトペテルブル グに音楽院を創設する。この音楽院は後に綺羅星のごとき優れた音 楽家を輩出するが、チャイコフスキーはこの学校の最初の学生の1 人だった。1865年12月、同音楽院を卒業したチャイコフスキーは、 アントンの弟で、やはり名ピアニストだったニコライ・ルビンシテイン (1835 ~ 81)に招かれ、1866年9月、彼が創設したモスクワ音楽院 の教師となる。 交響曲第1番が作曲されたのはこの時期である。着手は1866年 3月ころで、当時チャイコフスキーは25歳だった。作曲は非常に難航 したようで、弟モデストによると、作曲者は不眠に悩まされ、ついに は幻覚を見るほどだったという。ともあれ、その夏、チャイコフスキー はできあがった交響曲(まだ完成していなかったという説もある)を、 サンクトペテルブルグ時代の2人の師、アントン・ルビンシテインとニ コライ・ザレンバ(1821 ~ 79)に見せた。しかし彼らの反応は芳しくな く、チャイコフスキーはいくらかの修正を行う。 一方、モスクワのニコライ・ルビンシテインは彼らと逆にこの曲を 高く評価し、まず1866年12月に第3楽章、翌年2月に第2、3楽章 を演奏、そして1868年2月には全曲初演を行い、成功を収めた。 作曲者はこの曲をニコライ・ルビンシテインに献呈した。 1874年、チャイコフスキーは第1楽章の第2主題を新しくしたのを はじめ、全曲に手を加える。このとき、初めて出版も行われた。こ の改訂版の初演は1883年に行われたが、このとき楽譜を見直した 彼は、出版譜に多くの間違いがあることに気づき、さらに手直しを行っ た。現在演奏されているのはこの版である。 チャイコフスキーは自己批判の強い作曲家だったが、苦心して完成 したこの最初の交響曲には愛着があったようだ。1883年の演奏の 際、彼は友人カール・アルブレヒト(1836 ~ 93)に「多くの欠点にも かかわらず、私はこの曲が大好きです。これは私の甘き青春の罪だ からです」と書いた。また、彼に多額の援助を与えたパトロンであっ たフォン・メック夫人(1831 ~ 94)には「いろいろな意味で未熟ですが、

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12 6 24 第798回 定期演奏会Aシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 25 26 基本的には私のより成熟した作品の多くよりも豊かな内容を持ってい ます」と書き送っている。 なお、《冬の日の幻想》という全曲の副題、そして第1楽章と第2 楽章の副題はチャイコフスキー自身によるものであるが、これらの副 題について、作曲者は何も説明を残していないので、詳しいことは わからない。 第1楽章「冬の旅の夢想」 アレグロ・トランクィロ ト短調 4分の 2拍子 ソナタ形式。冒頭のフルートとファゴットによる寒々とした第1 主題に続いて、クラリネット独奏による人懐こい第2主題が現れる。 展開部は主に第1主題が扱われる。 第2楽章「陰鬱な土地、霧深き土地」 アダージョ・カンタービレ・マ・ ノン・タント 変ホ長調 4分の4拍子 ロンド形式。チャイコフスキー 特有の哀愁を帯びた旋律が切々と歌われる。1866年、作曲者がサ ンクトペテルブルグ北方のラドガ湖を旅行したときの印象が反映して いると言われる。なお、この楽章は1868年の全曲初演の際には特 に評判が良かった。 第3楽章 スケルツォ/アレグロ・スケルツァンド・ジョコーソ ハ 短調 8分の3拍子 3部形式のスケルツォ。主部の繊細な旋律は、 1865年、音楽院時代の最後の年に、《ピアノ・ソナタ嬰ハ短調》の ために作曲していたものの転用である。中間部はおだやかなワルツ 風で、チャイコフスキーのワルツに対する偏愛が早くも現れている。 第4楽章 フィナーレ/アンダンテ・ルグーブレ~アレグロ・マエス トーソ ト短調 4分の4拍子 ~ ト長調 2分の2拍子 ルグーブレ とは「悲しい」の意味。陰鬱な序奏ではファゴットが、民謡《小さな花 よ咲け》の主題による旋律を吹く。主部はソナタ形式で、一転、輝 かしくエネルギッシュな音楽となる。序奏の主題も主要主題の1つと して現れ、対位法も用いつつ高揚し、力強いコーダへと到達する。 作曲年代: 1866年3月~秋 改訂/ 1866年、1874年、1883 ~ 84年 初  演: 初稿全曲/ 1868年2月15日(ロシア旧暦2月3日)モスクワ       ニコライ・ルビンシテイン指揮 改訂稿全曲/ 1883年12月1日(ロシア旧暦11月19日)モスクワ マックス・エルドマンスデルファー指揮 楽器編成: ピッコロ、 フルート2、 オーボエ2、クラリネット2、 ファゴット2、 ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、 テューバ、 ティンパニ、 シンバル、大太鼓、 弦楽5部

(10)

7 プログラム T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26 C o nc er t Pr o gr am s お願い−演奏中は携帯電話、アラーム付き時計、 補聴器などの音が鳴らないように ご注意ください。 写真撮影、 録音、 録画はお断りいたします。 音楽の余韻を楽しむ拍手をお願いいたします。

第799回 定期演奏会Bシリーズ

Subscription Concert No.799 B Series

2015年

12

15

日(火) 19:00開演 サントリーホール

Tue. 15 December 2015, 19:00 at Suntory Hall

指揮 ●

マルク・ミンコフスキ

 Marc MINKOWSKI, Conductor

コンサートマスター ●

矢部達哉

 YABE Tatsuya, Concertmaster

ルーセル:バレエ音楽《バッカスとアリアーヌ》

op.43

Roussel: Bacchus et Ariane, op.43

第1組曲

(18分) Suite No.1 導入 ~ 迷宮の踊り ~ バッカスの登場 ~ バッカスの踊り

第2組曲

(18分) Suite No.2 導入 ~ アリアーヌの目覚め ~ 夢の踊り ~ バッカスの踊り ~ 接吻 ~ バッカス信者たちの行進 ~ アリアーヌの踊り ~ バッカナール ~ アリアーヌの戴冠 ◉ 休憩 / Intermission (20分)

ブルックナー:交響曲第0番 ニ短調

WAB100

(ノヴァーク版)

(43分) Bruckner: Symphony No.0 (Nullte) in D minor, WAB100(Nowak edition)

Ⅰ Allegro Ⅱ Andante Ⅲ Scherzo. Presto

Ⅳ Finale. Moderato - Allegro vivace

曲目解説(本文P.25 ~ 28をご覧ください。) 演奏時間と休憩時間は予定の時間です。

B

Series 主  催:公益財団法人東京都交響楽団 後  援:東京都、東京都教育委員会 特別支援: 助  成:文化庁文化芸術振興費補助金     (トップレベルの舞台芸術創造事業)

(11)

25 第799回 定期演奏会Bシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26

ルーセル:バレエ音楽《バッカスとアリアーヌ》op.43

第1組曲&第2組曲

アルベール・ルーセル(1869 ~ 1937)はドビュッシーやラヴェルと 同時代の近代フランスの作曲家である。音楽家としてのスタートは 比較的遅く、25歳までは海軍の軍人として活動、インドシナにも赴 いている。その後本格的に作曲を志し、1898年にスコラ・カントー ルムに入学、この音楽院の創設者である作曲家ヴァンサン・ダンデ ィ(1851 ~ 1931)のもとで勉強した。師のダンディや、当時の印象 主義風の潮流などから影響を受けて出発した彼は、その後ロシア出 身のイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882 ~ 1971)のいわゆる原始主 義的な大胆な響きや、インドの音楽など、様々な傾向を吸収同化し ながら、新古典主義的な様式に到達した。その作風は、今世紀前 半のフランスの多彩な音楽的動きの中にあって独自の位置を占める ものといえよう。 バレエ音楽《バッカスとアリアーヌ》は後期の所産で、代表作とし て知られる交響曲第3番完成後の1930年後半に書かれた。当時ま だ若かったウクライナ生まれのフランスの舞踏家セルジュ・リファール (1905 ~ 86)の企画によるバレエで、パリのオペラ座監督ジャック・ ルーシェ(1862 ~ 1957)から作曲を委嘱されている。 題材となったのはギリシャ神話のアリアドネの有名なエピソード。ア テネ王子テーセウスに恋をしたクレタの王女アリアドネは、結婚を条 件に、彼がクレタの迷宮に棲む怪物を退治して迷宮から脱出するの を、糸を使って手助けする。故国を捨てて彼とともにナクソス島に逃 れたアリアドネだったが、島の支配者バッカス神が彼女をものにしよう とし、テーセウスは彼女を捨てて島を去るという物語で(伝承によっ て異同がある)、劇作家・詩人・小説家のアベル・エルマン(1862 ~ 1950)がこれを翻案してバレエ用台本を仕立て上げた。 ルーセルの書き上げた音楽は、力感と繊細さを併せ持つリズム、 豊かな表情を持つ旋律、洗練味と野性味とが巧みに融合された鮮 やかな和声法、色彩感溢れる管弦楽法等々、様々な点で後期の彼 らしい円熟した書法が如実に現れたものとなっている。初演はリファ

第799回 定期演奏会Bシリーズ

Subscription Concert No.799 B Series

寺西 基之

TERANISHI Motoyuki

(12)

12 6 26 第799回 定期演奏会Bシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 26 25 ール自身が振付とバッカス役を受け持ち、形而上絵画で知られるイタ リアの革新的な画家ジョルジョ・デ・キリコ(1888 ~ 1978)が舞台美 術を担当、そしてフルート奏者・作曲家としても有名なフィリップ・ゴ ーベール(1879 ~ 1941)の指揮といった豪華な顔触れで行われた。 全体は2幕でなり、演奏会用としては第1幕全体が第1組曲、第2幕 全体が第2組曲に当てられている。本日は2つの組曲、つまりこのバレ エ全曲が演奏される(筆者注:登場人物について、フランス語に準じ れば「バキュス」「アリアーヌ」「テセ」となるが、以下の本稿では都 響の表記法に従って「バキュス」のみ「バッカス」を優先して使用する)。 第1幕(第1組曲)はダイナミックな導入で開始される。舞台はナク ソス島。王子テセ(テーセウス)の怪物退治によって生贄にならずに すんだ青年たちや乙女たちが喜び満ちて戯れる華やかな踊りが展開 する。これが突然止んで厳かな一節を挟んだ後、テセが怪物退治を 再現した迷宮の踊りを踊る。アリアーヌ(アリアドネ)の糸を表すヴァイ オリンの高音を背景とした不気味な軽快さを持つ音楽で、中間部で は勢いを加える。 続いてバキュス(バッカス)が登場(木管のトレモロ)、アリアーヌを 眠らせ、テセたちに海を指さして島を離れるよう命じると雲が立ち込 める。テセらが去ると雲は消えて日の光が降り注ぎ、力強いバッカス の踊りの後、アリアーヌは眠ったままバッカスと軽やかに踊る。バッカ スが彼女を岩上に寝かせる静かな終結。 第2幕(第2組曲)は、まず穏やかな導入で、弦のシンコペーション とたゆたうような木管を背景に独奏ヴィオラ、続いて独奏ヴァイオリン が彼女のまどろみを表し出す。アリアーヌは目が覚め、テセに置き去 りにされたことを知って心乱れ絶望し(不安定な半音階、拍子の頻繁 な交替、アッチェレランドとクレッシェンド)、海に身を投げる(下行グリ ッサンド)。 隠れていたバッカスが彼女を抱きとめ、2人で夢の踊り(第1幕の踊 りの音楽の回帰)を踊る。快活なバッカスの踊りを挟んで、甘美な音 楽とともに2人は接吻する。バッカスの魔法が繊細な筆致で幻想的に 表現された後、荒々しい原始主義風の書法(ストラヴィンスキーの《春 の祭典》を思わせる)でバッカス信者たちの行進が短く描かれる。 続いてヴァイオリン独奏に始まる艶めかしいアリアーヌの踊りとな り、これが情熱的に高まるとバッカスも加わり、2人のバーバリスティ ックな力強い踊りが繰り広げられる。それは興奮に満ちた華麗なバッ カナールに発展、アリアーヌの戴冠で頂点を築く。

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27 第799回 定期演奏会Bシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26 作曲年代: 1930年 初  演: 1931年5月22日 パリ・オペラ座 楽器編成: ピッコロ、フルート2(第2はピッコロ持替)、オーボエ2、イングリッ シュホルン、クラリネット2、 バスクラリネット、ファゴット2、コント ラファゴット、ホルン4、トランペット4、トロンボーン3、テューバ、ティ ンパニ、大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングル、タンブリン、 タムタム、チェレスタ、ハープ2、弦楽5部

ブルックナー:交響曲第0番 ニ短調 WAB100

(ノヴァーク版) オーストリアの作曲家アントン・ブルックナー(1824 ~ 96)は何より 交響曲の作曲家として有名だが、前半生に手掛けたジャンルはほと んどオルガン曲や合唱曲(大部分が宗教的なもの)で、その他には若 干のピアノ曲があるくらいである。一般に知られる “交響曲作家” と しての彼の経歴は、やっと40歳目前の1863年の所産であるヘ短調 交響曲(番号は付されていない)から始まり、1866年の第1番ハ短 調がそれに続くことになる。 本日演奏される第0番はその3年後の1869年に作曲された。第0 番といういささか奇妙な番号付けからみれば、第1番より先に書かれ たように思えるかもしれない。実際かつてはこの作品は、上述の番 号のないヘ短調交響曲を書き上げた後、1863年秋から翌年にかけ て生み出されたと考えられていた。しかしブルックナーは自筆スコア の最初の頁に “交響曲第2番” と記しており、さらに “1869年1月 24日/ 6月23日” という日付も明記していることから、今日ではこの ニ短調交響曲が第1番ハ短調に続く第2番の交響曲として書かれたこ とはほぼ間違いないと考えられている。 しかし結局、彼は本来第2番となるはずだったこの交響曲をお蔵入 りにし、その後1871年から翌年にかけて書いたハ短調交響曲に第2 番という番号を与える。彼がニ短調交響曲を没にしたのは、ウィーン の指揮者オットー・デッソフ(1835 ~ 92)から第1楽章について「主題 はどこにあるのか」と問い詰められたことで怖気づいたからともいわれ るが、真相はわからない。こうしてこの作品は日の目を見ぬまま、四 半世紀あまり放っておかれることになる。 そして最晩年の1895年、ブルックナーは若い時の作品を整理して いた折に改めて若き日のこの交響曲の自筆譜を手にし、かつて記した “第2番” の文字を消すとともに、“annulliert(無効)” などと書き 加え、遺言によってリンツの博物館に “第0番” の交響曲として寄贈 することとした。この “0” は番号というより “無価値” あるいは “無

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12 6 28 第 799 回 定期演奏会Bシリーズ C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 25 26 効” を意味する “0(Null)” を指すものとも見なせるが、ブルックナ ーが必ずしもこの作品を無価値と考えていたとは思えない。というの も、この時期にブルックナーは初期の多くの作品を破棄しているのだ が、それにもかかわらず、このニ短調交響曲は処分せず博物館に遺 贈したからだ。おそらく彼は本心では初期のこの力作に強い愛着を 抱いていたのではないだろうか。 実際この交響曲は、以後のブルックナーの交響曲特有の独特の スタイルはまだ充分には確立されていないものの、書法の面でも性 格の面でもすでに彼独自の個性が様々な形ではっきり現れた魅力溢 れる作品となっている。また第4楽章の構造に従来のソナタ形式の 枠を超えようとする実験的な書法も窺えるなど、若き彼の意欲的な 姿勢も示されている。前年(1868年)に完成されたヘ短調ミサ曲をは じめとするそれまでの自作の宗教作品との主題的・性格的な関連が 見られる点も興味深く、さらにこの時期に彼がとりわけ惹かれていた ベートーヴェンの交響曲第9番の影響も感じられる。 第1楽章 アレグロ ニ短調 中低弦の歩みの上で、16分音符 の分散和音を中心とした第1主題をヴァイオリンが示す。第2主題は 叙情的な性格が際立つ。さらに宗教的な気分を持ったコラール風の 性格の主題が示され、この主題が展開部では大きな役割を果たす。 第2楽章 アンダンテ 変ロ長調 ソナタ形式の緩徐楽章で、 静 せい 謐 ひつ な叙情美を湛えた敬虔な第1主題に始まる。程なくヴァイオリン に現れる第2主題も憧憬の気分に満ちていて実に魅惑的だ。 第3楽章 スケルツォ プレスト ニ短調 ダイナミックなスケルツ ォ。伸びやかさのうちにロマン的な雰囲気を感じさせるトリオがコント ラストをなす。 第4楽章 フィナーレ モデラート~アレグロ・ヴィヴァーチェ ニ 短調 思いに沈むような序奏が置かれた後、テンポを速めて激しい 第1主題が示される。第2主題は3連音の刻みによったエピソード風 の性格のもの。提示部の終わりに1861年に書かれた合唱曲《アヴェ・ マリア》が引用された後、再度序奏が回帰して展開部に移る。対位法 手法が活用されたフィナーレで、最後はニ長調の明るい終結に至る。 作曲年代: 1869 年 初  演: 第3・第4楽章のみ/ 1924 年5月 17 日  クロスターノイブルク フランツ・モイスル指揮 全曲/ 1924 年 10 月 12 日  クロスターノイブルク フランツ・モイスル指揮 楽器編成: フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、ト ランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、 弦楽5部

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都響スペシャル「第九」

TMSO Special “Beethoven’s 9th” 2015年

12

23

日(水・祝) 14:00開演 東京芸術劇場コンサートホール

Wed. 23 December 2015, 14:00 at Tokyo Metropolitan Theatre

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25

日(金) 19:00開演 東京文化会館

Fri. 25 December 2015, 19:00 at Tokyo Bunka Kaikan

12

26

日(土) 14:00開演 サントリーホール

Sat. 26 December 2015, 14:00 at Suntory Hall

指揮 ●

エリアフ・インバル

 Eliahu INBAL, Conductor

ソプラノ ●

安藤赴美子

 ANDO Fumiko, Soprano

アルト ●

中島郁子

 NAKAJIMA Ikuko, Alto

テノール ●

大槻孝志

 OTSUKI Takashi, Tenor

バリトン ●

甲斐栄次郎

 KAI Eijiro, Baritone

合唱 ●

二期会合唱団

 Nikikai Chorus Group, Chorus

合唱指揮 ●

藤本淳也

 FUJIMOTO Junya, Chorus Master

コンサートマスター ●

矢部達哉

 YABE Tatsuya, Concertmaster

ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調

op.125

《合唱付》

(65分) Beethoven: Symphony No. 9 in D minor, op.125, “Choral”

Ⅰ Allegro ma non troppo, un poco maestoso Ⅱ Molto vivace – Presto

Ⅲ Adagio molto e cantabile Ⅳ Presto – Allegro assai

演奏時間は予定の時間です。 曲目解説(本文P.29~31をご覧ください。) 歌詞対訳(本文P.33をご覧ください。) 本公演に休憩はございません。

S

Special 主催:公益財団法人東京都交響楽団 後援:東京都、東京都教育委員会 協賛:              (23日)     (25日)           (26日)     (26日) 9 プログラム T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26 C o nc er t Pr o gr am s お願い−演奏中は携帯電話、アラーム付き時計、 補聴器などの音が鳴らないように ご注意ください。 写真撮影、 録音、 録画はお断りいたします。 音楽の余韻を楽しむ拍手をお願いいたします。

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29 都響スペシャル「第九」 C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26

ベートーヴェン:交響曲第 9 番 ニ短調 op.125《合唱付》

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770 ~ 1827)の交響曲第9 番は、ドイツ古典派を代表する詩人フリードリヒ・フォン・シラー(1759 ~ 1805)の詩『歓喜に寄す』に基づく独唱・合唱が終楽章に導入され ていることで広く知られる。特にベートーヴェンが詩に付した旋律は 「歓喜の歌」と呼ばれ、EUが加盟国全体としての国歌に相当する 《欧州の歌(European Anthem)》に採択するなど、西欧文明を代 表するシンボルのひとつとして、広く全世界の人々に親しまれている といっていい。しかし、その作曲・完成には様々な紆余曲折があった。 1792年、20代前半のベートーヴェンは『歓喜に寄す』を読んで感 銘を受け、その詩への作曲を試みている。翌93年1月、シラー夫妻 の友人であったボン大学の法学教授バルトロモイス・フィシェニヒ (1768 ~ 1831)がシラー夫人にあてて書いた手紙に「ベートーヴェン という当地の作曲家が『歓喜に寄す』に音楽をつけたいと言っている」 との文面がある。しかしこの作品は完成には至らなかった。 1812年、交響曲第7番と第8番を作曲中であったベートーヴェン は、出版社に「今、私は交響曲を3曲作曲中です」と書き送っている が、第9番となるべき3作目の交響曲については、調性がニ短調とな るという以外のことは何も定まっていなかったらしい。それどころか交 響曲第8番を世に送り出してから、本来、多作家であった彼の筆は 突然鈍ってしまい、以後数年間にわたってめぼしい新作をほとんど発 表していない(その間に完成されたのは、ピアノ・ソナタ第27番と第 28番、チェロ・ソナタ第4番と第5番、歌曲集《はるかな恋人に》くら いであった)。 このスランプをようやく脱すると、今度はピアノ・ソナタ第29番《ハ ンマークラヴィーア》や《ディアベリ変奏曲》《ミサ・ソレムニス》とい った、当時としては破格の規模を持った大作の作曲が相次いだため に、新作交響曲の作曲にはなかなか取り組むことができなかった。 1822年、ようやく《ミサ・ソレムニス》の作曲をほぼ終えた7月に、 彼は音楽雑誌の編集者に対して「次の作品は2つの大きな交響曲で

都響スペシャル「第九」

TMSO Special “Beethoven’s 9th”

相場 ひろ

AIBA Hiro

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12 6 30 都響スペシャル「第九」 C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 10 12 15 12 12 12 23 25 26 あり、そのどちらもが私の旧作交響曲のどれとも似ていない音楽とな る」と宣言している。おそらくそのうち1作は純粋な管弦楽作品として 構想され、もう1作は《ドイツ交響曲》の名で、作曲者自身のメモに よれば「合唱付きの変奏曲、あるいは変奏曲にはしないかもしれない。 最後はトルコ風の行進曲と合唱の歌で締めくくる」ものとして計画が 進められていた。 合唱を交響曲のような大規模管弦楽作品に導入しようというのは、 このとき初めて着想されたわけではない。ベートーヴェンは常々、交 響曲や協奏曲、宗教曲といった既存のジャンルに当てはまらない作品 を書こうと考えていた。例えば1808年に書かれたピアノ独奏と合唱・ 管弦楽のための《合唱幻想曲》ハ短調op.80は、その編成などにお いて交響曲第9番の先駆けを成す試みとみなすことができる。また 1818年、作曲中だったピアノ・ソナタ《ハンマークラヴィーア》のス ケッチに《アダージョ・カンティーク》と題されたメモが書き留められて おり、そこには構想していた「2つめの交響曲」について「終楽章で、 あるいはアダージョ楽章から声楽が加わる。ヴァイオリンは10倍に増 強する」といった作品の概要が記されていた。これが前述の《ドイツ 交響曲》へと発展したのだろう。 新作交響曲は、1822年末にシラーの詩を歌詞とすることが確定 すると、以後一気に具体化していった。管弦楽のみの交響曲として 進められていた当初の第9番の終楽章は破棄されて(素材の一部は 弦楽四重奏曲第15番の終楽章に転用された)、2曲予定していた新 作は1曲にまとめられた。10年前に予告された交響曲は、ようやく現 在私たちの知る形に近づき始めたのであった。 ベートーヴェンはこの作曲に1823年の1年を費やし、翌24年2月 に全曲を完成させる。交響曲第9番ニ短調op.125は同年5月7日に ウィーンで初演された。耳の聞こえないベートーヴェンは指揮を友人 のミヒャエル・ウムラウフ(1781 ~ 1842)に委ねた。演奏会の間、終 始演奏者の側を向いていたベートーヴェンは終演後の万雷の拍手に 気づかず、メゾソプラノ歌手のカロリーネ・ウンガー(1803 ~ 77)に 手を引かれて、ようやく聴衆の熱狂的な反応を目にしたという。 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ウン・ポコ・マエストーソ 2つの主題によるソナタ形式を採る。序奏は調性の定かならぬ響き

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31 都響スペシャル「第九」 C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26 の中、短く鋭い音形が繰り返され、緊張を高めていった先に全強奏 で第1主題前半が登場する。この小さなドラマがもう一度繰り返され ると、ようやく第1主題が後半まで奏され、続けて流麗な第2主題が 木管楽器から歌い出される。みたび序奏の神秘的な響きが登場して 展開部に入り、第1主題を成す音形がそれぞれに展開されていく。 クライマックスへ達するとともに再現部となり、その後第1主題を中 心とする長大なコーダによって締めくくられる。 第2楽章 モルト・ヴィヴァーチェ~プレスト 第9番において、ベ ートーヴェンは初めて交響曲の第2楽章にスケルツォを置いた。スケ ルツォ主部がソナタ形式を採る上に、中間部を成すトリオも大きく拡 張されているために、非常に長大なスケルツォとなっている。トリオ の後、主部が回帰し、最後に短くトリオの主題を引用して終わる。 第3楽章 アダージョ・モルト・エ・カンタービレ ベートーヴェン の書いた音楽の中でも最も崇高なものの一つとされる。2つの主題 を持つ変奏曲という体裁をとり、第1主題の変奏を中心に進められて いく。やがて美しく静穏な雰囲気は2度のファンファーレによって打ち 破られ、名残惜しげに幕を閉じる。 第4楽章 プレスト~アレグロ・アッサイ けたたましい全強奏で幕 を開けると、すぐさま低弦が決然とした調子で語りかける。ここまで の3楽章を順に回想するが、それらすべてを否定して、「歓喜の歌」 の旋律を奏で始める。主題が変奏されつつ4度繰り返されると、再 び冒頭が戻ってくる。バリトン独唱が「おお友よ、こんな音ではない! (O Freunde, nicht dise Töne!)」と先導し「歓喜の歌」を歌い出

す。合唱や重唱がこれに加わり、旋律をいくども繰り返していく。 いったん静まると軍楽風のリズムに乗ってテノール独唱が「歓喜の 歌」の変奏を歌い、さらに管弦楽による大きなフガートも登場する。 その後新たに、合唱に荘重で力強い主題があらわれ、「歓喜の歌」 の旋律と共にスケールの大きな二重フーガを成す。テンポは次第に 速くなり、熱狂のうちに突如終わる。 作曲年代: 1822 年 10 月~ 1824 年2月 初  演: 1824 年5月7日 ウィーン ケルントナートーア劇場 楽器編成: ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コ ントラファゴット、 ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティン パニ、トライアングル、シンバル、 大太鼓、 弦楽5部、 独唱(ソプ ラノ、アルト、テノール、バリトン)、混声四部合唱

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33 歌詞対訳 C o nc er t Pr o gr am s T O PI C S fr o m T M SO 12 12 10 6 12 15 12 12 12 23 25 26 O Freunde, nicht diese Töne! Sondern laßt uns angenehmere anstimmen, und freudenvollere! (Beethoven) Freude, schöner Götterfunken, Tochter aus Elysium, Wir betreten feuertrunken, Himmlische, dein Heiligtum. Deine Zauber binden wieder, Was die Mode streng geteilt; Alle Menschen werden Brüder, Wo dein sanfter Flügel weilt. Wem der große Wurf gelungen, Eines Freundes Freund zu sein, Wer ein holdes Weib errungen, Mische seinen Jubel ein! Ja, wer auch nur eine Seele Sein nennt auf dem Erdenrund! Und wer's nie gekonnt, der stehle Weinend sich aus diesem Bund! Freude trinken alle Wesen An den Brüsten der Natur; Alle Guten, alle Bösen Folgen ihrer Rosenspur. Küsse gab sie uns und Reben, Einen Freund, geprüft im Tod; Wollust ward dem Wurm gegeben, Und der Cherub steht vor Gott. Froh, wie seine Sonnen fliegen, Durch des Himmels prächt'gen Plan, Laufet, Brüder, eure Bahn, Freudig wie ein Held zum Siegen. Seid umschlungen Millionen! Diesen Kuß der ganzen Welt! Brüder! überm Sternenzelt Muß ein lieber Vater wohnen. Ihr stürzt nieder, Millionen? Ahnest du den Schöpfer, Welt? Such’ ihn überm Sternenzelt! Über Sternen muß er wohnen. (Schiller „An die Freude“) おお友よ、こんな音ではない! もっと心地よく、喜びに満ちて 歌い始めようではないか! (ベートーヴェン作) 歓喜よ、神々の美しい火花よ、 楽園からきた娘たちよ、 私たちはいま火花に酔いしれて、 天の上なる者よ、あなたの聖域に入ってゆく。 世の流れに厳しく分けられていたものを あなたの魔法が再び一つに結び合わせ、 あなたが柔らかな羽を休ませているところで すべての人は兄弟となる。 一人の友の友になるという 大きな成功を手にした者よ、 やさしい妻を勝ちえた者よ、 諸君の歓喜の声をここに交えよ! そう、この地上で誰か一人だけでも 友の魂を、自分のものと呼べる人なら! そしてついぞそれを成し得なかった者は 泣きながらこの集いから立ち去るがよい。 すべてこの世に在るものは、 自然の乳房から喜びを飲む。 善き者も、悪しき者もすべて 自然が作ってくれたバラの道を進んでゆく。 自然は私たちに口づけとぶどう酒を与え、 死の試練にも揺るがない友を授けてくれた。 肉体の快楽は虫けらに投げ与えられ、 そしていま神の御み前まえに立っているのは智天使ケルビムだ。 喜べ、天上なる方の太陽が 輝かしい大空の広場を飛んでゆくように、 兄弟たちよ、凱旋する英雄のごとく 喜びに満ちて自分の道を進むがよい。 抱き合うがよい、幾百万の者たちよ。 この口づけを全世界に広めよ。 兄弟たちよ、あの星空の天幕の上に 愛しい父が住んでいるに違いないではないか。 幾百万の者たちよ、跪ひざまずいているか? 世界よ、創造主を感じているか? 星空の天幕のさらなる上に彼を探し求めよ。 彼は星々のかなたに住んでいるに違いないのだから。 (シラー『歓喜に寄す』による) ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付」より第4楽章 歌詞対訳 訳/三ヶ尻 正

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Apply the specified amount of Orthene Turf, Tree & Ornamental WSP in 100 gals water with a hydraulic sprayer as a full coverage spray. Do not exceed 1 1/3 oz of product

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従って,今後設計する機器等については,JSME 規格に限定するものではなく,日本産業 規格(JIS)等の国内外の民間規格に適合した工業用品の採用,或いは American