Komazawa University
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Dharmasamgraha
和
訳
(
1
)
袴 谷 憲
昭
ま
ず 最
初に お断
り して お か ね ば な らない が, 本稿
は , い わ ゆ る純
学術
的 意図 の 下 に そ の 成 果を公 けに し よ うとす る もの で は ない 。 筆 者は , 本 年た ま た ま, 本 学部開
講 科目中の 「仏 教語解 説」 を 担 当す る こ とに な り, その 副読木 とし て , こ のDharmaSai
?igraha を選
ん だ が, ど うや ら本学年度
中に は 読 了で きそ うもない の で, こ こ に そ の 全文 の 和 訳を掲載
し,講義
の 不備 を あらか じめ 補っ て お きた い と 考 えた ま で に 過ぎ な い 。Dharmasai
?zgraha に は , 以 下 の ご と き二 様 の 出版 本が ある。(1)
The
1
)harma
−sa ηtgraha
:An
/1
π鷹 班Collection
ofBuddhist
Technical
Terms
,
prepared
for
publicationby
Kenjiu
Kasawara
and afterhis
deatb
editedby
F
.
Max
Mtiller
andH
.Wenzel
, Oxford , 1885
(2) 跏 餉 め・δ欄 ・su”tra−saingraha
,
Part
I
(Buddhist
Sanskrit
Texts ,No
.17
), editedby P .
L
Vaidya
, Darbhanga , 1961, pp .329
−339
, nQ .20
,1
)harmasa
解graha後 者 (以下
V
本)は , その序文
に も述べ られ てい る よ うに , 大 乗 諸 経 典を こ の 一 冊に 集 録 す るに 当 り, 前 者を 全 くそ の ま ま転 載 し た だけ の もの で あ る。 しか も, 前 者に 付さ れて い る, 写木 問の 異 同 に 関する詳 細な註記 、 各 項 目に 関 連 する典 拠 もしく
は参考
文 献, あるい は 漢 訳 との 異同 に関
す る対
照 表な どは全 て 割 愛さ れ て い る。 従 っ て, 我々 は , そ の 最初
の 出版
か らほ ぼ 一世 紀 近 くを経た今
日に お い て す ら,Dharmasa7
?zgraha の 講 読に際 して は , 前者
を最
も基 本的
な テ キス トとし な け れ ぽな ら ない 1)。前
者 (以下K
本)は , 上所 引の記 載
どお り, 我が 国 の 笠原研寿氏が,1879 年
か ら 1) 副 読 本 とし て 実際に採 用 し たのは 後者で あ る が,そ れは, 後 者が頁 数 も少な くコ ピーするの に廉価で あっ た こ と , お よ び, 各術語 を コ ソ マ で 区 切 り多 くの場 合 連 声を無
視 して い る の で 初学 者向 きで ある と判 断 し た こ と, 以上二 点の,極め て便宜 的な理由 に よ る もの である か ら, 理 想的に は あ くまで も前者を使用 すべ きで ある。 古い 出版で
入手 困 難か もし れ ない が大 学 図 書 館 に所蔵 さ れて い る 。 本稿に お ける底 本 は, 勿論 後 者で ある。 一
298
一 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
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Dharmasant9
アaha 和 訳 (D
(袴谷)(
3
) もの で あ っ た し, 一般 の 仏教辞典
に よ っ て も検索 の か な わ ない もの で あ っ た 。 そ こ で まず
, 以下に , こ の 項 日の サ ン ス ク リ ツ ト原文
と対 応 漢訳 を列 挙 して み る こ とに し た い 。saptavidhanuttara ・ptija/tadyatha
/
/va 中dan
蠢ptijana
pfipadeSanfinumodanadhy ・
e§apa
bOdhicittotpada
りpari孕amana c6ti //5)
云何七種 最上供 養。 所 謂, 禮 拜 供 養 懺 悔 隨喜勸 請 發 願 廻 向。6)
勿
論, 箇々 の 単 語の意
味がわか らない わ けで はない。 し か し, こ の七種が ど う い う意図 の 下 に 列 挙さ れて い る か を知る た め に は , こ の背
景を なす 文 献を知ら な け れ ぽ ど う し よ うもな い の で ある。 こ の点が気に な っ て い る とこ ろへ , た ま た ま あ る献
本を添 うす る こ と と な り, そ の 書 中に お け る津田 真 一 氏のr
四 十 華 厳 』 に 対 す る記述
7) に よっ て, いわ ゆる 「十 大 願」 なる もの の存
在を知 っ た 8)。 た と え 「七」 と 「十 」 とい う列挙 の 仕 方 に 相 違は ある もの の , 両者
が 極め て 酷 似 し た 文脈
に ある こ とは一一見 し て 明 らか で ある。 しか る に , こ の 「 卜大 願」 の 散 文箇
所は ,r
四 十華 厳』 の み に し か な い こ と が 既 に知 られ て い る 9)か ら,他 本 中に も相当 文 献を有 する偈
文 中に こ の箇
所を求め る と次 の ご と くで あ る。 所 有禮讃 供養佛* 請 佛住世轉法輪 隨 喜 懺悔 諸 善 根 廻 向衆生 及 佛 道 10)さ らに こ れ と
対 応
するサ ン ス ク リ ツ ト , チ ベ ッ ト訳 , お よ び別な漢 訳 を 列 挙す れ ば次 の ご と くで あ る。vandana pttjana
d6sanataya
modanadhye $a4ayacanataya /yac ca 6ubha 単 mayl salpcitu kjtPcid
bodhayi
namayarni ahu sarvam 11)〃/
Pkyag
btshal
ba
dah
mckod ciibSags
pa
dah
//7ゴθε su
yid
dah
bshal
shiigsot
ba
ori
//
dge
ba
cuft 2adbdag
gis cigsags
pa
//
thams
cadbdag
gis
byah
chttbPhyir
bs
加 加12)/禮 拜 供 養 及陳罪
隨 喜功徳及勸 請
我 所積集諸功徳
悉皆廻 向於菩提13)
5
) K 本, p .3
,IL
9
−11
:V
本 , p ,329
,11
.27 − 28 .6
) 大 正, 17巻,660
頁中。 こ の 漢 訳に つ い て は 以 下の 本 文で 言及。7
) 中村元編 著r
仏 教 経典 散 策』(東 書選 書37
),194
−6
頁 。 8 ) 『大 方 広 仏 華 厳 経』, 大 正,10
巻,844
頁 中 一846
頁 下。9
)『西蔵大蔵 経 甘殊 爾勘同目録 』,
266
頁, お よび, 月輪 賢 隆 「普 賢行 願 讃に就て」『仏 典の批 判 的研 究 』, 487頁参 照。10
)大正,
10
巻,847
頁上。 * の箇 所は 「福」 と あるを脚註に従っ て 「仏」 と訂正。11
)D
.T
.Suzuki
andH
.Idsumi
,
The
Gandavyuha
Sutra
, p .544
,IL
5
−
6
.原 文 ど お り 転写。12
) P .ed., No .761, 瑁【i,250bi
_ 2.13
) 『普賢 菩薩 行願 讃』, 大正,10
巻, 880頁 上 。 一296
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4
)Dharmasa
i?tgraha 和訳 (1
)(袴 谷)筆 者は , 『
華
厳経』 の 成 立史 的 観 点に 疎い が , 『四 一 卜華
厳 』の 散文 中
に 示 される 「十 大願」 が最 も整っ た 形態 とす れ ば, −L
に 示 し た ご とき偈 文が徐々 に 整え られ て い く過程 の うち で , こ こ で 問 題 と し た 「七種 最上供 養 (saptavidhanuttarapaja )」 な どが 言 わ れる よ うに なっ た の で は ない か と推測 し うる 14)。 あ らか じ め断 っ た よ うに , 上 述の ご と き推 測 は と うて い 充分 な もの とは 言 え な い が, か か る考 察の 方 向は , 当 然の こ と な が ら本 書 自体の成立史的
問 題へ と連な っ てい か ざ る を え ない 。 本 蹲の サ ン ス ク リ ッ ト本に 相当
す る文 献 と し て, 既 に 以 下 の ご とき漢 訳 の 存 する こ とが知 られて い る。 『佛説 法 集 名數経 』, 施護訳, 大 正,No
.764
,Vol
,17
,660b
−662b
こ の
漢
訳 者 施 護は980
年
来攴
と伝
え られるか ら, それ だ けで もこ の 文 献 の 成 立 が新 しい こ と を推 察 させ る が , こ れ とサ ン ス ク リ ヅ ト木と を対
比 す る と,後
者が 更 に 新 しい 成 立で ある との 予 測は 動か し難い もの と な る。 両 者の 項 目の詳 細な対 照はK
本末 尾 に 付さ れ て い るが, サ ン /ス ク リッ ト本の項 目総 数140
に 対 し, 漢訳 は わずか54
項 目 を有
する に す ぎない 15)。 こ の54
項 目中
, 漢 訳に あ っ て し か もサ ソ ス ク リ ヅ ト本に な い もの とし て は5
項 目 を数え うるに すぎ
な い 16)が , そ の 逆に , 14 ) 「七 種最 上 供養」 につ い て は , 本稿和 訳中のNo
,14 を参照 された い 。 先に ,註番 号 10,11
,12
, 13 を付し た 偈文の意 味は, 「私 に よっ て積 ま れ た, 崇拝 (vandana )や献 供 (p 両ana ) や告白 (de§ana ) や共感 (modana ) や懇 願 (adhyeSapa ) や懇 請
(yacana ) に よ る善業 (9ubha ) の, い か なる もの で あろ う と も,その すべ て を, 私 は 覚 り (
bodhi
) の た め に転 化 す る (namayami )」 (サ ン ス ク リ ッ ト は註 11の もの に ょ る) とい う もので ある。 前の 五 つ は 七種 中の 前五 つ と全 く同 じ, 第五 と意 味上 同 じ 偈中の yacana は その結 果 消え るこ とに な り,「覚 りの ため に」 とい う決 意が形を変 えて七 種 中の bodhi ¢ittotpada
とな り, 同様に 「転 化する」 と.い う動詞が 七 種 中の parirpamana として数え挙げ ら れる こ とに なっ た と思われ る。 なお, 本 偈 文は, 全体 の中では第 12 偈 と な っ て い る が, これ と密接な 関係を有 する第1 一 第 11 偈に っ い て は, 月輪 前 掲 論 文,
490
−1
頁 , お よ び495
−8
頁参照 。 な お, 補註1
)を見 よ。 15)K
本, PP .74
−75
.漢訳54
項 目の 数え 方は こ れ に よ る。 た だ し, こ の 分類は, サ ン ス ク リ ッ ト本に適 用さ れた もの とは多 少 異る点があるの で注意を要 する。 サ ソ ス ク リ ッ ト本 の場 合は, 「三 十七菩提分法」 を, その総挙の項 も細 目の項も, それ ぞれすべ て を数え挙げて い るが, 漢訳に つ い て は, 一括 して1
項 目 と して扱 っ て い る。 従 っ て , サ ソ ス ク リ ッ ト本と同 じ数え 方を漢 訳に適用 すれ ば, 細 目の 分, すなわ ち 7 項目 を 加 え, 計61
項 目 と し なけ れ ば な ら ない 。 16)K
本, 同上箇所の 指 摘に よれ ぽ,8
項 日 (漢訳 ,Nos
,21
,23
,24
,38
,41
,42
,45, 46,) とするが, こ の うち,Nos
.38
,45
, 46は, そ れ ぞ れ, サ ン ス ク リッ ト本,Nos
.61
,80
, 57に対応 する か ら, 漢 訳の み に ある もの とし て は この 3 項 目 を除 くべ ぎである。 また , 漢 訳Nos
.23 ,24
も,サ ン ス ク リ ッ ト本No
.58
に部 分 的に対 応 す るの で, 厳 密な意 味 で は, これ らも漢訳の み に 存 す とは い えない。 一295
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Dharmasamgraha
和訳 (1
) (袴谷 ) (5
) サ ン ス ク リ ッ ト木 の み が所 有 す る項 目は82
もの 多 きに 及ぶ 17)。 しか も, その 多 く が後
の 増 広 を思わせ る。 例 え ば , 漢 訳の 項H
「三 乗」 と, 先 に 問題と し た 「七種
最上 供 養」 と の 問 に , サ ン ス ク リ ッ ト本は11
の 項 目を 介在させ るが, その 大半が密
教的
な守 護 神
に 類 す る が ご ときで ある。 そ して , そ こ に 介 在 し た 諸項 目の直後
に連
な る 「七種 最E
供 養」 自体がr
華 厳Komazawa University
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6
)Dharmasarpgraha
和 訳 (1
) (袴 谷 ) 水 野 弘元 著
『仏
教 要 語の基
礎知識』19)の 当該 頁数
を 示 し , 全 て 説 明を そ れに 譲っ た こ とを諒と された い 。さて , 本稿 の よ うに 単 調で 非
創
造 的な仕 事は , 一気 呵 成に 片付
け るに 限 る と思 つ て い た が , 実 際 腰を 上 げてみ る と, 締め 切 り と原稿 枚 数 の 関 係で 半分 ほ ど しか掲載
でき
ない こ と がわ か っ た 。 そ こ で , 今回は, 全 く単純
に , 総項 目の ち ょ うど 半 分, す なわ ちNo
.70
ま でを採 り 上 る こ とに し た。急
に 予定
を変
更 し た こ とを お 許 し願 い た い 。 和 訳三宝 (ratna −traya )に 帰 依 し
奉
る。す べ て の生 きと し生 け るもの (sattVa ,有情 )に 利 益 (
hita
) を もた らす三 宝に 帰依 し
奉
り,無 知 蒙 昧 (avidya , 無 明) を打 破 す る た め に ,
〔こ の 〕 教 法 要 集 (
dharma
・sara ・samuccaya )が説か れ る 20)
。
1
)
そ こ で , ま
ず 最
初に , 三 つ の 宝 (tripi ratnani ) とは, す な わ ち,覚
老(buddha ,仏) と, 教 法 (
dharma
, 法) と, 教 団 (samgha , 僧 ) とで ある21)。2
) 三 つ の 道 程 (tripi
yanani ,三乗) とは ,教 え を 墨 守 す る も の の 道 程(9ravaka ・y2na , 声聞乗 ) と, 孤 高に 覚 りすま した もの の道 程 (pratyekabuddha −yana ,
独覚乗) と, 偉 大な道 程 (maha ・yana ,大乗 ) とで あ る。
3
)
五 人 の覚
者 (pamcabuddhab
,五仏 ) とは , すな わ ち, ヴ ァ イ P 一チ ャ ナ (Vairocana
,毘盧遮 那, 大 日) と, ア ク シ ョ ー ビ ヤ (Ak
$obhya , 阿 閥 ) と, ラ トナ サ ム バ ヴ ァ (Ratnasanyibhava
, 宝 生 ) と, ア ミ タ ーバ (Amitabha
,阿弥 陀 ) と, ア モ ー19
) 春秋社, 昭和 47年初 版。 以 下, 水野 と 略 す。20
)K
本, p .1
, n.1
お よび p .35
に註 される ご とく,Cambridge
断 片 のみ が, 全 く異 っ た 帰 敬 偈を有 し, しか も, 漢 訳は む しろ こ の断片の方に大略一致す る。Cambridge
断片に は “
tath夏gata単 namaskrtya
dharma
−kaya
−prabhfisvararP /analpta −buddha
−virapam ucyate dharma −sarpgraharp 〃” とあ り, 漢訳 に は 「帰 命 頂 礼一切仏 一切
智智 天人師 無辺無 数仏 説法 略 集 所 説正法 名」 とある。
21
)「三 宝」に つ い て は, 水 野 ,56 −61頁, 77 頁, 98 −
113
頁参照。 なお, 特に 「法」に っ い て は, 金倉 圓照 「仏教に おける法の 語の 原 意 と変 転」お よ び 「仏教に お ける法の意味」 『イ ソ ド哲学仏教学 研 究 』〔
1
〕,81
−104
頁,105
−122
頁参照。 一293
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Dharmasa
」?tgraha 和 訳 (1
)(袴谷) (7) ガシ ッ ダ (Amoghasiddha
, 不 空成 就 ) とで あ る22)。4
) 四 人の 天 女 (devi
) と は , す なわ ち, ロ ーチ ャ ニ ー (Rocani
) と , マ ーマ キ ー (Mamaki
) と, パ ー ン ド ゥ ラ ー (Palpdura
) と, タ ー ラー (Tara
) とで ある 23) 。5
)
五 人 の 守 護神
(rak $a ) とは , す なわ ち, プ ラ テ ィ サ ラ ー (Pratisara
) と, サ ーハ ス ラ プ ラ マ ル ダ ニ ー (Sahasrapramardani
) と , マ ー リーチ ー (Marici )と , マ ン トラー ヌ サ ー リニ ー (Mantranusaritpi
) と , シ ー タ ヴ ァ テ ィ ー (Sitavati
) と で ある 24) 。6
) 七 人の 真 実 の体現者
(tathagata , 如 来 ) とは , す な わ ち , ヴ ィ パ シ ン(
VipaSin
,毘婆尸 ) と, シ キ ン (Sikhin
,尸棄 ) と, ヴ ィ シ ュ ヴ ァ ブー (ViSvabha
,毘舎 浮 ) と, ク ラ ク ッ チ ャ ン ダ (
Krakucchanda
, 倶 留孫 ) と, カ ナ カ ム ニ (Kanaka
・ muni , 拘 那含牟尼 ) と, カ ー シ ャ パ (Kfigyapa
, 迦葉) と, シ ャ ーキ ャ ム ニ (Sakya
− muni , 釈 迦 牟尼) とで ある 25) 。7
) 四人 の 世 界 守 護 神 (lokapala
) と は, す な わ ち, ドゥ リタ ラ ー シ ュ ト ラ (Dhrtara
$tra
, 持国) と, ヴ ィ ル ーパ ー ク シ ャ (VirttpakSa
, 広目) と, ヴ ィ ル ー ダカ (Vir 弱 haka ,増 長 ) と, ク ヴ ェ ー ラ (Kuvera , 倶 毘羅 ) と で あ る
26) 。
22
) 以 下 ,No
.13
ま で漢 訳に 欠 く。 この項は , い わ ゆる 「金 剛 界 曼 茶羅 (Vajradhatu
・ma 鱒 ala)」の中心 を なす 「五 仏 」 を指 す。 『金 剛 頂経 』, 大正,
18
巻,362
頁下 を参照 の こ と。 カ ッ コ 内に補 っ た 漢訳 名は これに よ るが,た だ し , 第4
のAmitabha
に相 当 す る箇所は 「無量 寿 (Amitayus )」 と な っ て い るの で , 一応両 者を兼ね う るもの と し て 「阿弥陀 」 を 補 っ た。 な お, 「阿 弥 陀 」 の原語 に つ い て は, 藤田宏 達 「再 び 阿弥陀 仏の原語につ い て 」『仏 教学 』第
7
号,1
−45頁参 照。 さ らに, 「阿 弥陀」は, 密教に お い て は,Loke
§vararaja とも呼 ばれる。 この点, 並びに 「五 仏 」 展 開の 背景につ いて は , 中 村元編 著, 前掲, 268 − 271 頁, お よび,
S
. Tsuda , “ ACritical
Tantrism ” ,ル
femoirs
Of
theResarch
I
)epartment of theToye
Bunko
,No
.36
, p .203
を参 照。23 ) 四 人 の devi に つ い て は筆者未詳。
Mvpt
.Nos
.4278,4275
,4279
,4280
に それぞれ 対応する。 た ま た ま気づい た ,『方広 大荘 厳経 』, 大正,
3
巻,550
頁 中に は, 厂復 有 四天女, 一名 郎 怯梨,二 名 偉 怯梨 , 三 名 幢至, 四名 有 光」 とある が, 関 係が ある か ど うか未 確 認。 なお .補 註2
)を 見 よ。24
) rak 頭 に つ い て は,F
・Edgerton
,Bnddhist
Hybrid
Sanslerit
DiLctionar
ツ (以 下,
BHSD
), p .449
の 同項 参 照。 筆 者は, そこ に指 摘 された典 拠 , あるい は,K
本, p,36
に挙 げられた 文 献を確 認 し て い ない 。 『大毘 盧遮 那 成 仏 経 疏』, 大正,39
巻,673
頁下 に 「鑼乞 叉即擁 護 義」 とある。25
)「過 去七仏」 に 同 じ。 水野,
61
−62
頁 参照 。 なお, 「七仏」 の語 義, お よび思 想史 的 意義 につ いて は , 宮 坂 宥勝r
仏 教の 起源』, 291−332頁参 照。26
) 「四 天 王 」 に 同 じ。 宮 坂 , 前掲書, 336 −47 頁 参 照。 第四 は , 一般に ,VaiSravana
(毘沙 門, 多 聞 ) で あ る が, こ こで はKuvera
と な っ て い る。 両 者の 関 係につ い て は, 特に 同 書, 341 頁 参照。 一292
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8
)Dharm
αSafltgraha 和訳 (1
) (袴 谷 )8
) 八 人 の 世界
守 護 神 とは , イ ン ドラ (Indra
, 因陀 羅) と, ヤ マ (Yama
, 焔 摩 羅 ) と, ヴ ァ ル ナ (Varupa
, 囀 喰拏 ) と, ク ヴ ェ ー ラ (Kuvera
) と , イ ー シ ャ ーナ (i6
訌na , 伊 舎那 ) と, ア グ ニ (Agni
)と , ナ イ ル リッ タ (Nair
;ta, 南涅哩底) と, ヴ ァ ーユ (Vayu
, 囀庚) とで あ る 27) 。9
) 十 人の 世 界守 護
神とは, 八 人の 世 界 守 護 神に 加え て, 上 方に い るブ ラ フ マ ン (Brahman
) と, 下方に い る ク リ シ ュ ナ (Kr $pa) とで ある 28) 。10
) 十四 人の 世界 守 護 神と は , す なわ ち, 十人の 世 界 守 護 神す べ て に 〔加え て〕, チ ャ ソ ドラ (Candra
,月 天) と,ス ー リ ヤ (
Stirya
, 日天) と,プ リ テ ィ ヴ ィ ー (
Prthvi
, 地 天) と, ア ス ラ (Asura
, 阿 修羅) とで ある 29)。11
)
十 人の 忿 怒 神 (kr・dha ) とは , すな わ ち, ヤ マ ー ン タ カ (Yamarptaka
) と,プ ラ ジ ュ ニ ャ ー ン タ カ (
Prajfiarptaka
) と ,パ ドマ ー ン タ カ
(
Padmamtaka
) と, ヴ ィ グ ナ ー ソ タ カ (Vighnarptaka
) と , ア チ ャ ラ タル キ ラ ー ジ ャ (Acaratarki
・ raja ) と, ニ ー ラ ダ ン ダ (Niladarpda
) と,マ ハ ーバ ラ (
Mahabala
) と ,ウ シ ュ ニ ーシ ャ (
U
靱 i串a) と, チ ャ ク ラ ヴ ァ ル テ ィ ン (Cakravartin
) と, サ ム ヴ ァ ラ ー ジ ャ (Sarpbharaja
)とで ある 30)。12
) 八人 の精 神
的勇者 (bodhisattva
, 菩 薩) とは, マ イ トレ ーヤ (Maitreya
, 慈 氏 ,弥 勒 )と, ガ ガ ナ ガ ン ジ ャ (Gaganagarpja
, 虚 空蔵 )と, サ マ ン タ バ ドラ (Samam
. tabhadra , 普賢 ) と,ヴ ァ ジ ラ パ ー二 (
Vajrapapi
, 金 剛手)と,マ ン ジ ュ シ ュ リー (MarPjuSri , 文 殊 ) と, サ ル ヴ ァ ニ ヴ ァ ラ ナ ヴィ シ ュ カ ン ビ ン (
SarvanivarapaviS
−karPbhin
, 除蓋障) と, ク シ テ ィ ガ ル バ (KSitigarbha
, 地蔵) と, カ ガ ル ヴ ァ (Kha
・27
)「護世八 方 天」に 同 じ。 宮坂,前 掲書, 332 −335 頁 参照。 同,
333
頁に指摘 さ れる『大 日経疏』(大 正, 39巻, 630 頁下 ) の 列 挙に 同 じ。 カ ッ コ 内に補っ た漢訳名は そ れ に ょ る。 あ えて補わ なか っ た
KUVera
は,上註の ご とく 「毘沙 門」 と関 係 し,Agni
は 「護摩 (
Homa
)」 の別 名で あ ろ う。28
) 上註 指摘の 『大 日経 疏 』に い う 「上謂空皆, 下 謂地 居 也 」に文 脈上 合 致 す る。 宮坂,前掲書, 334頁で 言及さ れ る よ うに , これ が方 角 、
L
, PraSastaPa − dabhasya の ‘brahmi
nagi ’に対応す る とす れ ぽ,上方の
Brahman
は これに よっ て説 明 し う る。 た だ ,Krspa
とNaga
が関連 しあ うか ど うか につ い て, 筆者は 今の とこ ろ なん の 知識も有 さない。2g
)十四人の 匱界守護神を記 載 する仏典に つ い て筆者は全 く未 詳。 密 教の 「十二 天」は 「八方天」に 「梵天」 「地 天 」 「日 天 」 「月天」を加え た もの と され る が (宮坂, 前 掲
書,
335
頁), これ らの うち, 「梵天 (Brahman
)」は 前の項 目 (No
.9
)で加え ら れてしまっ た か ら, それに か わっ て, こ こ に
Asura
が登 場 した と考え うる。30
)この項 目, 筆 者全 く無 知。 K 本, p .
37
お よびBHSI
), p .197
,Krodha
, p .422
,Ma
・hakrodha
の項で 指摘さ れ る文 献も 未確認。 な お ,補 註3
)を見 よ。 一291
一 N工 工一Eleotronio LibraryKomazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 University 1)harmasaPtgraha 和訳 (
1
) (袴谷) (9
)garbha
, 虚空蔵) とで ある3エ)。13
) 六 人の ヨ ーギ ニ ー (yogini ) とは , すな わ ち, ヴ ァ ジ ラ ヴ ァ ー ラー ヒ ー (Vajravarahi )と, ヤ ー ミニ ー (Yamini
) と , 〔モ ーハ = 一 (Mohani ) と〕 , サ ン チ ャ ー ラ ニ ー (Sarpcarapi
) と , サ ン トラ ーサ ニ ー (Sa
叩trasani ) と, チ ャ ー ン デ ィ カ ー (Carpdika
) とで ある32)。14
)七種 の 無上 の
尊
崇 (pitja, 供 養)とは , す なわ ち,崇拝
(varpdan 盃, 礼拝)と,献 供 (pajana ,供養) と, 罪 の
告
白 (papfi−degana33
), 懺 悔) と, 共感 (anumodana , 随喜 ) と, 懇願 (adhye $靱
a
, 勧 請 ) と, 覚 りに 対 す る決意 (bOdhicitt6tpada
,発願 ,発菩 提心) と,
〔
功 徳 の 他者
へ の 〕転
化 (parinamana , 廻 向) とで ある 34)。15
) 三 つ の 善 〔な る行 為 〕 の 根底
を なす もの (ku§alamitla , 善根) とは, 覚 り
に 対 す る決 意 (
bodhicitt6tpada
) と, 清 らか な志向
(agaya −viguddhi ) と, 自己欲や 自己所 有 欲の 放 棄 (ahamkara −mamakara ・pratyaga ) とで あ る 35)
。
16
)四 つ の 高 潔 な宗 教 的 態 度 (brahma −vihara , 梵 住 ) と は, 〔他人 に 楽を与え る〕い つ く し み (rnaitri , 慈) と , 〔他 人の 苦 を 除 く〕 あわ れみ (
karu
頃 , 悲)と, 〔他人 の喜
び に 共 感す る〕 よ ろ こ び (mudita , 喜 ) と,〔周 囲 の 評 価 に無 関心 な〕31
)「八 菩薩」に つ い て は,『八 大菩 薩曼 茶羅 経』(大 正,
No
.1167
;1168A , B), 大正,20
巻 ,675
−−677
頁 参照。 漢 訳 名は No .1168A
に よ る。 た だ し, こ れ ら漢訳 文 献に おいて は, 「観 自在 (
Avalokite
§vara )」 が最 初に 置か れ るの に, こ のSkt
.本で は 「観 自在」 が省か れて い る。 ところで ,
Skt
.本に お けるGaganagarpja
もKhagarbha
も共に漢 訳で は 「虚 空蔵」 と訳され る。
Sile5a
“ samteccaya , p .127
,L
l
の ‘Gaganagafija
’に対 応 する漢訳, 大 正,
32
巻,99
頁 下6
行に は 「虚空蔵」 とあ り, 大正,No
.1167
,U68A
,B
に お ける 「虚 空蔵」 は 1168B の悉 曇 (677 頁 6 行) に よ り ‘Aka
§agarbha ’の よ うに 読め る か ら, こ の 場合は
Akaga
= Kha でKhagarbha
の こ とで ある。 とす
れば, 「観自在」 に とっ て 代 っ た の は,
Gaganagarpja
だ とい うこ とに なる。 し か し ,漢 訳が 同名に訳 す よ うに, も し
Gaganagarpja
がKhagarbha
の 単な る異 名だ とすれ ぽ, このSkt
.本は 重複 した 「菩薩」 を別 に数え挙 げた こ とに な る。 32 )この 項 も末 詳。 K 本が 注 意 する よ うに , 原 文の ままで は 六人で は な く五人 と なる。
Mohani
を 補 つ た の は ,S
・
Tsuda
・The
Sai
?tvarodaya −tantra,
Selected
chapters .P
.118
,1L
8
−10
に “oth vaih vajravairocani /hath yoth yamini /hrith
moth mohani /hrethhri
益 sa甲c盃lini/h蚤ihh
昼孟 sa甲trasini /phat phat canaikaya 血 sarva 自ge爭v astram/
/” と あ る に よ る。33
) BHSD , p .217,deSana
の項, (2)参照。34
) 前 註14
参 照の こ と。 通 常 「懺 悔 文」 と して 読誦 される 「我 昔所 造諸悪業皆由無始
貪 瞋痴
従 身 口 意之所 生
一切 我 今 皆 懺 悔」 とは,こ の うち の第三 を指 す。
35
)こ の 項 , 漢訳 と少 しく相違す る。 漢 訳は 「云何三 根本。 所 謂, 発菩 提心, 清浄心 , 自性 空 断 我見 」 で あるが, 「自性空 」 が よ くわか らない。 一 290 一 N工 工一Eleotronio Library
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(
10
)DharmasaPtgraha
和 訳 (1
)(袴谷) や す らか さ (upek 頒,捨) とで ある36)。
17
) 六 つ の 完 成 (paramita ,波羅 密) とは, 施与
(dana , 布 施 )の完
成 と, 品 性(9ila, 持 戒 ) の
完
成 と, 忍 耐 (ksanti , 忍 辱)の完
成と,努
力 (virya , 精進 )の 完成と, 瞑 想 (
dhyana
, 禅 定 )の 完 成 と, 智 慧 (praj五a )の 完 成 とで あ る37)
。
18
) 十 の完
成 とは , 六 つ の 完 成 すべ て に 〔加 え て〕, 手 段 (upftya , 方便 ) と,誓
願 (prarpidhi, 願) と, 力 量 (bala
, 力) と, 明智
(jfiana
,智)とで あ る38)
。
19
) 四 つ の 〔他人 を〕掌 握す る た め の基 本 的 事柄
(sarpgraha −vastu , 摂法) とは , 〔他 人 に 対 す る〕施 与 (
dana
, 布施 ) と, 〔他人 に 対 す る〕愛 情 深い 言 葉 (priya ・vacana , 愛語) と, 〔他 人に 対す る
〕
利 益 の実
行 (artha −carya , 利行) と, 〔他 人 と〕目
的
を等 しくす る こ と (samanarthat 五, 同事)とで ある39)
。
20
)
五つ の 超 能 力 (abhijfia ,Xa
,神 通 ) とは,神
秘的
な眼 力 (divya
・cak §us , 天 眼)
と, 神 秘 的な
聴
力 (divya
・§rotra ,天耳 ) と, 他 人 の心 を見 抜 く洞察 力 (para℃itta
−
jfiana
, 他心) と,前
世を想
起 す る能
力 (pttrva
・nivasanusmrti , 宿命 ) と, 変 現自
在 な能
力 (rddhi
, 神境) とで ある 40) 。21
)四 つ の
神
聖 な真 実 (catvaryarya
−satyani , 四聖 諦 ) とは, す な わ ち ,〔人生 が
〕苦悩
で あ る とい うこ と (dubkha
, 苦 ) と, 〔苦 悩 の 由 来す る〕起 因 (samudaya ・集 ) と,
〔
苦 悩 の 〕 消滅
(nirodha , 滅)と, 〔その消滅
に至 る〕 実践
(marga ,道) とで ある 41)。
22
)
五 つ の 範疇 (parpca skamdhab , 五蘊) とは , 物 体 も しくは 肉 体 (rtipa , 色 )と, 感 受 (vedana , 受 ) と, 表 象 (sarpjfiii, 想 ) と,
意
欲 (sarpskara , 行 ) と, 認 識(vijfiAna , 識 ) とで あ る42)
。
23
)超
俗 的 な 五 つ の範
疇 (1
・kottara
−parpca −skarpdha , 出 世五蘊 ) とは , 品 性(
Sila
,戒 )と, 集 中 (samadhi , 定 ) と,智
慧 (prajfiti, 慧 ) と, 解 放 (vimukti , 解 脱 )と, 解放 を洞察 す る知 見 (virnukti −
jfiAna
−dargana
, 解脱 知 見 ) とい う, 〔五 つ の 〕 範疇
で あ る 43)。 36 )37
)38
) 39 ) 40) 41 )42
)43
) 漢訳は順序を変えて 「四 無 量 」 と して 出づ。 内容的に は同 じこ と。 水野,204
頁参 照。 漢 訳は 厂六 波 羅 蜜」 を項 目 と して立てず 「十波 羅蜜」 と し て扱 う。 前項 と合わせ て , 水野,30
−31
頁参照 。 水 野,31
頁 参 照。 水 野,205
頁参照。 水 野,175
−183
頁参照 。 水 野,116
−125
頁参照 。 「五分法 身」 ともい う。 水 野,67
頁 参 照。 一 289 一 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
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Dharmasa
ηpgraha 和 訳 (1
) (袴谷 ) (11)24
) 十 二 の 領 域 (dv
巨da
醢 yatanani , 十二処) と は , 視 覚 (cakSus , 眼) と, 聴覚
(9r
。tra, 耳) と, 嗅 覚 (ghrana
, 鼻) と, 味 覚 (jihvE
, 舌) と,身覚
(kaya
,身 )と, 意 覚 (manas , 意 ) とい う
〔
六 つ の〕
領 域 と,物 体
(rtipa , 色)と,音
声 (9abda
,声) と, 香
臭
(garpdha
, 香 )44) と, 風 味 (rasa , 味 ) と, 感 触 (sparSa , 触) と, 存在
(dharma
, 法) とい う 〔六 つ の〕領域
とであ る 45)
。
25
) 十八 の 要素
(a§tadaSa
dhatavab
,十八 界 )とは , 視覚
(cakSus )と聴 覚 (Srotra )と嗅 覚 (ghraqa ) と味 覚 (
jihva
) と身 覚 (kaya ) と意 覚 (manas )と物 体
(rapa ) と音 声 (§abda ) と香
臭
(garpdha )46)と風 味 (rasa ) と感
触 (sparSa ) と存
在 (dharma
) とい う 〔十二 の 〕 要 素 と, 視 覚に よ る認 識 (cak $ur ・vijfiana ,眼識 )と聴覚
に よ る認 識 (§rotra ・ , 耳識) と嗅 覚 に よ る認 識 (ghrapa ・, 鼻識)と味覚
に よ る認
識 (jihvao
, 舌識 ) と身 覚に よ る認 識 (kayaO , 身 識 ) と意覚
に よ る認 識
(mano ° , 意 識) とい う 〔六 つ の 〕 要 素 と であ る 47) 。26
)そ こ で,
物 体
も しくは肉
体 の 範 疇 (rttpa ・skamdha , 色蘊 )とは 十 一で ある。〔
す な わ ち〕
, 視覚
と, 聴 覚 と, 嗅 覚 と,味 覚
と, 身 覚 と, 肉 体 (もし くは物 体) と, 音声
と, 香臭
と, 風味
と,感 触
と,体 内
に残存
す る無
形 の 習慣 力
(avijfiapti , 48》 無 表 ) と で あ る。27
)
感 受 (vedana , 受 ) とは 三 種で あ る。〔
すな わ ち〕, 快 感 (sukha , 楽 ) と, 苦痛
(duhkha
, 苦 ) と, 苦痛
で もな く快感
で もない もの (adabkhasukha , 不苦不 楽) とで あ る49) 。28
) 表 象 (sarpjna ,想)の 範 疇 とは , 形 相 の 把握 (nimitt6dgraha4a ) を 本質 と44
) 原 文は, ‘ garpdha ・9abda
’ の 順で あるが, 「十二 処」 として は,§rotra −ghrapa に対 応 して, 9abda −gamdha
となるぺ ぎと考え , 通常の ご とき順序に 改め た 。45
) こ の 項以下,No
.40
まで漢訳に欠 く。 いず れ も,いわ ゆ るAbhidharma
系統の 法 数で あ る。 「十二 処 」に つ いて は, 水野, 125 −130
頁 参照。46
) 語順に 関 し, 前註44
と事情は全 く同じ。 47 ) 水野, 134 −136
頁 参照。 なお, 「五 蘊」 「十二 処 」「十八 界 」の 相互関係お よ び付随 的 問題な どに つ い て は,水 野,138
頁 , 桜 部 建 『倶 舎論 の研 究』(以下, 桜 部 『倶 舎』),167
−190
頁 参 照。 48 ) 原文は ‘ vijfiapti ’ と あ る が,恐 ら く誤 り。 rUpa と して 扱わ れて い る以E
avijfiapti で な け れ ぽ な らない 。 avijfiapti の 定 義は, .肋乃’4
勿 r吻 々o鋤 兢5y
α (Pradhan
ed.,以 下,AKBh
)に よれ ぽ, “paraM na vijfiapayatlty avi 匝aptih ” (p .
8
,L
8
): 「非表示令他了 知, 故名無表」(大正,
29
巻,3
頁上)とある。 な お, avijfiapti につ い て は, 水 野,130
− 1 頁 ;桜部 『倶 舎』,154
−5
頁 ;桜 部建 『仏 教 語の研 究』 (以 下, 桜部 『仏 教 語 』), 131 −3
頁 参 照。49
) 水野,118
頁 ;桜 部 『仏教語 』,136
頁 参照。 一 288 一 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Unlverslty
(
12
)Dharmasaptgraha
和訳 (1
) (袴谷)す る もの で ある50)
。
29
)意 欲 もし くは作 用 (sarpskara , 行 ) とは 二 種で あ る。 〔すなわ ち
〕
, 心 と併合 し て い る作用 (citta−sa・PPrayukta −sarPskara , 心相 応行) と, 心 と併 合 し て い な
い 作用 (citta −viprayukta .samskara , 心 不 相応 行 ) とで ある 51)。
30
)そ こ で 52), 心 と
併 合
し て い る作
用 とは 四十で ある53)
。 す なわ ち, 感 受
(vedana , 受)と, 表 象 (sa 両 ia ,想 ) と, 意 思 (cetana , 思 ) と,
願 望 (chanda ,
欲) と, 感 触 (Sparga , 触 ) と, 理解 (mati , 慧 ) と, 記 憶 (Smrti , 念 ) と,
注 意 (manaskEra , 作意 ) と, 碓
i
信 (adhim ・k
駒 , 勝解) と,集 中
(samadhi ,三昧)54) と
,
信 服 (§raddha , 信) と,
粗 忽で ない こ と (apramada , 不放逸 ) と,
安
静 (pragrabdhi , 軽 安) と, 無 関心 (upek 頭,捨) と, 慚愧 (hri
,慚 )と,羞恥 (apatrapya , 愧) と,
貪
欲の な い こ と (alobha ,無貪 ) と, 憎 悪の ないこ と (adve $a, 無 瞋) と,
危
害
を 加 え な い こ と (ahirpsa , 不害 ) と, 努 力 (virya ,精進)55) と
,
蒙
昧 (moha , 痴 ) と,粗
忽 (pramada , 放逸 ) と,怠
惰
(kausidya
,懈 怠) と, 信 服 しない こ と (aSraddhya ,不 信 ) と, 鬱状 態 (styana , 悟 沈 ) と・
躁状 態 (auddhatya , 掉 挙 )56) と,
慚
愧の な い こ と (ahrikata , 無 慚 ) と,羞 恥
の ない こ と (anapatrapa , 無愧)57)と,
憤 怒 (
krodha
, 忿) と,怨
念
(upanaha ,恨 ) と, 欺
瞞
(蛾 hya ,諂) と, 嫉妬 (irSya ,嫉) と , 罵倒 (pradasa58),悩 )
50
) 原 文は “sarpjfia −skamdhab //nimitt6dgrahapatmika ”
とあるが, 正 しくは ‘ skarp −
dhab
’ を除 去 するか , 末尾の ‘° atmika ’ を Gatmakab と改め るべ きであろ う 。AKBh
,p
.10
,k
.14 に は “ salpj 齬 nimitt6dgraha4atrnika ” と ある。 水野,118
−9
頁 ;桜部『倶舎』,
166
頁 ;桜 部 『仏 教 語』,137
頁参照。51
)K 本の註 に よれ ぽ,
Cambridge
写本は, “citta−sarpprayukta −sarpskarAb citta −
viprayukta −sarpskaraS ceti ”
の 箇 所を欠い て い る とい う。 「行」に 関 し, こ の よ うに
二 分 する点に つ い て は , 水 野, 120 頁 ;桜 部 『仏 教 語 』, 137頁参照。
52
) 原文で は , ‘ tatra’が,前項の「二 種 で あ る(dviv
三dh
勘 )」 の直後に 置か れて い るか ,こ こ に移 動 し た。 そ うするこ とに よっ て, 『入阿毘達 磨 論』 (桜部同 上参照) と全 く 同 じ文脈 となる。
53
)い わ ゆる 「心所法 (caitta −
dharma
, caitasika −dharma
)」 と同 じで, 本 来46
が数え挙 げ ら れ ね ば な ら ない が,これは ,「不定地 (aniyata −bhgmika )」の
8
の う ち 6 が 欠除した ため ,全体で46 −
6
=40
と なっ て い る ため で ある。 以 下列挙順序はAbhidharma
の 伝統の ご とく, 「大 地 法」 「大善地法」「大煩 悩 地 法」 「大 不善地 法 」「小 煩悩 法」 「不
定地法」の 順で 整然 と配 列されて い る。 水 野, 131 頁 参 照。
54
)以 上, 「大地 法 」の
10
。 桜 部 『倶 舎』,281
−3
頁参照 。55
)以 上, 「大 善地 法 」の 10。 桜 部 『倶 舎』,
283
−5
参照 。56
)以 上,「大煩悩地 法 」の 6 。 桜部 『倶 舎』,
286
−8
頁参照 。57
)以上, 「大不善地 法」の
2
。 桜部 『倶 舎』,288
頁参 照。 58)K
本, お よ び そ れ をその ま ま踏 襲 し た V 本 と も‘ pradana ’ と す る が, pradasa に
改め る。 こ の 語につ い て は, 桜 部
r
仏 教 語』,150
− 1頁 , 註1
参 照。 一287
一 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
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1
)harmasa
ηzgraha 和訳 (1
) (袴 谷 ) (13
)と,
隠
蔽
(mrakSa , 覆 ) と,悋
嗇
(matsarya ,慳) と, 虚 偽 (maya , 誑 ) と,驕
慢
(mada , 僑 ) と,危 害 (vihirPsa , 害 )59)と,
推
察
(vitarka , 尋) と,考 察 (vicara , 伺 )60)とで ある。
31
)
心 と併
合 して い ない 作 用 とは十 三 で あ る。 〔す な わ ち〕,獲
得 (prapti,得 ) と , 非 獲 得 (aprapti , 非 得 ) と, 概 念 の 内包 (sabhagat 五, 同分) と,
心
お よびその 作 用が全 くない 状態に 生 存 して い る もの (asarpjfiika , 無 想 果 ) と,
〔心 お よび そ の 作 用 が全 く な い か , あるい は 完 全 に 滅 し て しま っ た 〕
精 神集
中(samapatti6i ), 定)と ,
生
命
(jivita
, 命)と, 出生 (jati
, 生) と, 老衰
(jara
,老) と,
存 続 (sthiti, 住) と,
非 恒久性 (anityata , 無常) と,
単 語 (namakaya ,
名 身 ) と,
文 章 (padakaya , 句 身) と, 音 節 (vya 輌 anakaya , 文 身)62) とで ある。
32
) 三 つ の無
制 約 的 な 状 態 (asarpskrta , 無為) とは ,す なわ ち ,空 間 (akasa ,虚 空) と, 徹 底 した洞 察 力に よ っ て 〔煩 悩の 〕 消滅 した 状 態 (pratisamkhya ・nirodha , 択 滅) と, 徹 底 した洞 察 力 とは 関 係な く 〔諸 条 件が欠 除し た た め に 起る こ と な く〕 消 滅 した状 態 (apratisarpkhya −nirodha , 非択 滅 ) とで あ る 63) 。33
)
六 つ の 対 象 (vi §aya , 境)とは , す な わ ち,物
体 (rifpa ,色 ) と, 音 声(§abda , 声) と, 香 臭 (
garPdha
, 香 ) と, 風 味 (rasa , 味 ) と, 感 触 (sparga 触) と,存 在 (
dharma
, 法 ) とであ る 64)
。
34
)そ の うち,
物
体 (rifpa, 色 ) とは , 〔次 の よ うな〕 対象
を本 質 と し て い る。〔
すな わ ち〕
,青
色 (nila ) と,黄
色 (pita) と,赤
色 (1
。hita
) と,白 色
(avadata ) と, 褐 色 (
harita
) と, 長 形 (dirgha
) と, 短形 (hrasva )と,円形 (parimarpdala ) と,
隆 起 状 (unnata ) と,
陥 没 状 (avanata ) と,
均
衡
の とれ た 形 (sata ) と,
不均
衡
な形 (visata )と,透明性 (accha ) と,
煙
(dharna ) と, 塵 (rajas ) と, 霧 (mahika ) と, 影 (chaya ) と, 光 (atapa )
59
) 以上 , 「小 煩 悩地法」 の10。 桜部 『倶 舎』, 288 −9頁 参 照。 た だ し, そ の 詳 細は , 「随眠品 」に 譲 ら れる。 特に ,池 田練太郎 「『倶 舎 論 』随 眠品に お ける煩 悩 論の特 質」 『仏
教 学』第 7号, 123頁, お よ び, 137頁,註
17
で 指摘 さ れ るIIC
,IICa
,IICb
の箇所を
AKBh
ない し対 応 諸 訳に つ い て参照 された い 。 各 語義につ い て は, 桜 部 『仏 教語』,150
−2
頁 中よ り対 応 する説明を選べ 。60
) 以上, 「不定 地 法」8
中の2
を挙 げた もの 。 桜 部 『倶 舎』,297−8頁 参照。61
)K
本,V
本 とも ‘ samapti ’とするが, samapatti (し か もdu
.で あるこ とが望ま し い )の 誤 りで あろ う。62
) 水 野,131
頁 ;桜 部 『仏 教語 』,138
頁 ;桜 部 『倶舎』,301
−52
頁 参照 。13
と数える の は,14
とするAbhidharma
の伝 統 と 一致 しな いが , 内 容的に は 同 じ。63
) 水 野,132
頁 ;桜 部r
仏教 語』,172
−5頁 ;桜部r
倶 舎』, 142− 5頁参照。64
) 「十二 処」中, 後 の6
を vi$aya として 別 出 し た もの。 一286
一 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Unlverslty (
14
)Dharmasarpg
・raha 和訳 (1
)(袴谷) と, 明 (aloka ) と, 闇 (amdhakara ) とで あ る 65 ) 。35
) 音声 (9abda
, 声 ) と は 八 種で あ る。 〔す な わ ち〕, 有 機 的で し か も人 間の 言語 に よる音
声 と, 有機 的
で し か も人間 〔の 言 語 〕 とは 無 関 係 な 手 な どに よる音
声 〔とい うよ うに 四 種 と な る が〕, こ の よ うに して, こ れ らが〔
さ らに〕
快 ・ 不 快の 区分 に よ つ て 八 種 と な る の で あ る 66)。36
)
風 味 (rasa , 味 )は 六 種で ある。 す な わ ち, 廿さ (madhura ) と, 酸ぽ さ(amla ) と, 塩
辛
さ (!ava ηa)と,辛
さ (katu
) と,苦
さ (tikta) と,渋
さ (kaSaya
)とで ある67)
。
37
) 香臭
(gatpdha , 香 )は 四種で ある。 すな わ ち , 好 い 香 り (sugarpdha ) と,不 快な
臭
い (durgamdha
) と,均
衡の と れた香 り (samagamdha ) と, 不 均 衡な 香り (visama −ga甲
dha
) とで ある68)。
38
)感 触に よっ て知
覚
さ れ る もの (sprastavya , 所触,触)と は 十一 で あ る
。〔す
なわ ち〕,
地 質 (prthvi , 地 ) と,
水
質
(ap ,水)と,火
質
(tejas,火 ) と,風
質
(vayu , 風) と, 滑 らか さ (91akSpatva ,滑性) と,粗さ (
karkaSatva
, 渋65
) 桜部r
仏 教 語 』, 129 −30
頁 ;桜部r
倶舎』, 150 −1頁参照。 た だ し, の ‘harita
’ , の ‘accha ’ に 当る語は,AKBh
,r
入 阿毘 達 磨論』に は ない 。20
とい う数は 同 じ であるか ら, 後二 者に あっ て 木書に ない ‘ vrtta ’ と‘ abhra ’ が と に変っ た と思われ る。
66
)K
本 ,V
本 と も “aStavirpSatividhah
Sabdab
//壁puru
§a・vak −6abdab
鎚puru $a・
hastadi
−Sabdab /eta evaM manojfia −bhedenfiStavirpSatib
/
/
” , (音 声 とは
二 十八種で ある。 〔す なわ ち〕, 七つ の人 間の言 語に よる音 声と, 七つ の人 間の手な ど に よ る音 声 とで ある。 こ れ ら 〔十 四〕が, こ の よ うに, 快 さの 区別に よっ て, 二 十八 〔と なる ので〕 ある)” とし, 一応の 意 味は通 るが , ‘ sapta (七 つ )’ とい う教え方は,
恐 ら くい か な る典籍に も見出 しえない ので はない か と思わ れ る。 しか も, 註記に よれ
ぽ, 三 つ の写 本 中, 二 つ ま で は ‘ sapta ’ で は な く, ‘ satya (
rp
)’を 伝 え る。 校 訂 者は これ を sapta とし た上 で, (7 + 7 ) × 2 =28
と解 し , 写 本の ‘ aStavidha ’ を ‘ asta − vimSati ’ と読み か えた とするが, 音声の分類につ い て は, a$tavidha
(八 種 )の 方こ そ根拠がある。
AKBh
, p ,6
,11
.22
−
23
に は “upattanupata −mahfibhtita ・hetukah
sattva −
sattv 直
khya
§ c邑ti caturvidhab /sa punar manojfiirnanojfia −bhed
亘d
aStavidhobhavati/
”とある。 なお,
Mvyut
.,Nos
.1892
−
3
参 照。 充 分な訂正は で きない が, 和
訳は, 引用 し た
K
本,V
本の 下線 部 分を 順次に, a§tavidhah
., upatta ・, mano 預alna−noj 五a・に改め て訳 した。 こ の項 に つ い て は, 桜部 『仏教 語』,
130
頁 ;桜部 『倶 舎 』, 151 −2
頁参照。67
)AKBh
玄 奘 訳 は 順次 に 「甘 醋 醵辛 苦淡 」。 ka頭 ya につ い て は,L
註 所 掲 の桜部, 順次に,134
頁, 註13 ;157 − 8頁, 註5
参 照。68
)「四種」 と する の は,
AKBh
と 一致 する 。 「三 種」 と す る 場 合につ い て は , 桜部『仏教 語』, 130 頁 (133 頁, 註 12 ), お よび, 桜 部 『倶 舎』,
153
頁 (158
頁 ,註6
) 参 照。 一285
一一 N工 工一Eleotronlo LlbraryKomazawa University
NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Unlverslty
DharmaSai
?tgraha 和訳 (D
(袴谷) (15
)性 ) と, 軽さ (
laghutva
, 軽性) と,重 さ (gurutva ,重性) と,
冷た さ (
9ita
,冷) と, ひ も じさ (
jighatsa
, 飢 ) と,渇 き (pipasa ) とで あ る 69 ) 。
39
)
五 つ の基 本的
な構
成要 素 (mahabhttta ,大 種 ) とは , 地 質 と,水 質 と, 火質
と, 風 質 と, 空 間 (akaSa ,虚 空 ) とで ある 70 ) 。40
)五 つ の被 構成要 素 (
bhautika
,所造) とは , 物 体 (rapa ) と, 音 声 (Sabda
)と, 香 臭 (garpdha ) と, 風 味 (rasa ) と, 感 触 (sparSa ) とで あ る 71
) 。
41
) 二 十の 空 性 (9itnyata) とは, 内 的な 〔感 覚 器 官の 〕空 性 (adhyatma − 9tinyata ,内空 ) と,外 的な
〔
感覚
対 象の 〕空性 (bahirdha ° ,外 空 ) と, 内的か つ 外 的 両 面を備 えた 〔身体
の 〕 空 性 (adhyatma ・bahirdha
°,内外空) と ,空 性 自 体 の 空 性 (§anyata ° , 空 空) と, 広 大な 〔環
境
世 界 の 〕 空 性 (maha ° , 大空 ) と, 勝れた 対 象の 空1
生 (paramarthaD ,勝義空) と,制 約
的存
在の 空 性 (sarpskrta ° , 有為空 ) と,無 制 約 的 存 在 の 空性 (asarpskrta °,無為空) と,
究 極 的あ り方の 空 性 (atyarptaD , 畢竟空) と,
無 始 無 終の 〔流転的 生存の 〕 空性 (anavaragrae , 無際空 ) と,
無 消 去 の 空 性 (anavakara ° , 無散 空) と,
本 性 の 空性 (prakrti ° , 本 性 空 ) と, 〔覚 者 の 〕 す べ て の 徳性 の 空性 (sarva −dharma ° , 一切 法空) と ,
〔偉 人の 〕 特
質
の 空 性 (lakSapa
° ,相空) と,無
特質
の 空 性 (alakSaOa ° , 無 相 空)69
) 桜 部r
仏 教 語』,131
頁 ;桜部 『倶 舎』,153
−4
頁参 照 。 これ らで は, が と配 列 され る。 ま た, 『入 阿毘 達 磨 論』で は, 「四大種」 を別に 立て な い た め, 11 − 4 = 7 となる。 70) 「虚空 (aka6a )」 を除 く「四 大種」につ い て は, 桜部 『仏教語 』, 129 頁 ;桜部 『倶 舎』,159
−60
頁参照。 そこ で は , なぜ 「虚空 」 を含まない か の 理 由 が 示され て い る。 従っ て, こ の 項 目が , 「虚空 」を含む 「五 大 種」と する の は,Abhidharma
的で は な く む し ろ密教的で ある。71
) 桜 部 『仏 教 語』, 129 頁 参照。Abhidharma
で はbhautika
は11
と さ れ るが, 本 書 で は, そ れ らか ら 「無表」 と 「五 根」計6
を 除い た 「五境」の み がbhautika
とされ て い る。72
) 今, 「二二十 空」を 扱っ て い る文 献を調べ る余 裕が な い 。 漢 訳は 「i 卜空 」で は な く 「十 八 空」 とする。Mv
) ,ut . ,Nos
.934
−51
も 「十八 空 」 である 。 本 書の 「二 十 空」か ら み る と,漢 訳 (「散空 」 とある を 「無 散 空 」 と み な す ) は と を 欠ぎ,Mvyut
. (No
,947
==No
.948 = とみ なす )は と を欠 くよ うで あ る。Madhya
“ ntavibha ・gabha5ya
(Nagao
ed. , 以下,MAVBh
と略 す ), p .24
,11
.15
−20
}こは 「十六 空」 が 説か れ るが,これ を基 準 とし て み る と, 本書は , を余 分に所有し, さ らに と お よび と が そ れぞれ逆に な っ て い る こ とが わ か る。 和訳にあた っ て は ,MAVBh
, p .24
,L
22 − p .26
,L
l6 :長 尾雅人 和 訳r
大 乗仏典 』15 (以 下, 長 尾和訳 と 略す),236
−41
頁 を参照 した 。 従 っ て,MAVBh
に は ない に つ い て は, 内容的な規 定筆者 末詳 , 特に 本 書に し か ない につ い て は 全 く検討がつ か ない 。 一
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