自己復原型骨組に関する解析的研究 [ PDF
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(2) 21600. 3600×6. 8000 9000. 26000. 9000. 2000. 図4 解析対象建物軸組図. 6000×6. 寸法単位:m m. 36000. 耐力負担率を増加させると残留変形は大きくなり,. 図3 解析対象建物梁伏図. 80W モデルにおいては SC モデルと RC モデルの差異は. 表1 解析モデル一覧 フレーム部分 自己復原型 骨組. RC骨組. ベースシア係数 全体 制振壁 0 0.06 0.30 0.12 0.18 0.24 0 0.06 0.30 0.12 0.18 0.24. 制振壁の 耐力負担率 0% 20% 40% 60% 80% 0% 20% 40% 60% 80%. 図5 制振壁構面軸組図. 殆どみられなくなる. モデル名称 6- SC- MRF 6- SC- 20W 6- SC- 40W 6- SC- 60W 6- SC- 80W 6- RC- MRF 6- RC- 20W 6- RC- 40W 6- RC- 60W 6- RC- 80W. 5 動的解析 動的解析は Newmark のβ法(β= 1/4)によって行っ た.入力地震波は表2に示す観測波 5 波と模擬波 5 波 の計 10 波の最大地動速度を 50kine および 100kine に基 準化したものとした. 5.1 最大応答層間変形角. 4 静的解析. 各モデルの最大応答層間変形角の分布を図8に示す. 1層 2層 3層 4層 5層 6層 Rave=0.005rad時 Rave=0.01rad時. 図6には純フレームモデル(MRF モデル)と制振壁 の耐力負担率が 20%および 80%のモデルの各層のせん. 0.60. 断力と層間変形角の関係を示す.図中には平均層間変 の各層の耐力も併せてプロットしている.なお,グラ. 0.40. Qi/∑W. 形角 Rave = 0.005(rad)時および Rave = 0.01(rad)時 フの縦軸は各層の水平力 Qi を建物自重∑ W で除して 無次元化した値で表している.. 0.20. 0.0. SC 骨組においてはその構造上,最上層および最下層. 0. 0.5. 1. 1.5. においてのみ P C 鋼棒が曲げに抵抗する.そのため,. (a) 6-SC-MRF. 2. 2.5. 0. MRF モデル同士を比較すると,SC モデルにおいて大. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 層間変形角(×10-2rad.). 層間変形角(×10-2rad.). (b) 6-RC-MRF. 0.60. 変形時に中間層の変形が卓越する現象がみられる.一 モデルともに各層の層間変形角が一様化されているこ. 0.40. Qi/∑W. 方で,制振壁を組み込んだ場合は,SC モデルおよび RC とがわかる.特に,制振壁の耐力負担率の大きな 80W モデルにおいては制振壁の挙動が支配的となるため,. 0.20. 0.0. 各層の層間変形が一様化され,SC モデルと RC モデル. 0. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 0. 層間変形角(×10-2rad.). との間に挙動の差は殆どみられなくなっている.. (c) 6-SC-20W. 図7には静的繰返し解析から得られた履歴曲線を示. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 層間変形角(×10-2rad.). (d) 6-RC-20W. 0.60. す.MRF モデル同士を比較すると,除荷時に残留変形 残留変形が非常に小さく収まっており,SC 骨組のセル フセンタリング効果が明確に現れていることが確認で きる.. 0.40. Qi/∑W. がみられる RC モデルに対して,SC モデルにおいては. 0.20. 0.0. 制振壁を組み込んだ場合は SC モデルにおいてもや. 0. や残留変形がみられる.これは,早期に降伏する繋梁. (e) 6-SC-80W. を有する制振壁の影響であると考えられる.制振壁の 59-2. 0.5. 1. 1.5. 2. 層間変形角(×10-2rad.). 2.5. 0. 0.5. 1. 1.5. 2. 層間変形角(×10-2rad.). (f) 6-RC-80W. 図6 各層の荷重−変形関係. 2.5.
(3) は SC 骨組も従来の RC 骨組に比して不利な崩壊形式と ベースシア係数. 0.4. はならないと考えられる.. 0.2. また,制振壁の耐力負担率が増加するとともに最大. 0. 応答量が減少している現象が見て取れる.最大応答を. -0.2. 制御するためには,優れたエネルギー吸収性能を有す る制振壁の耐力負担率を大きくすれば良いといえる.. -0.4 -1.5 -1 -0.5. 0. 0.5. 1. 1.5. -1.5 -1 -0.5. 平均層間変形角(×10-2rad.). 0. 0.5. 1. 1.5. 平均層間変形角(×10-2rad.). (a) 6-SC-MRF. 5.2 残留変形. (b) 6-RC-MRF. 各モデルの最大残留層間変形角を図9に示す.図に ベースシア係数. 0.4. は参考のため,各モデルの最大応答層間変形角を 1/10. 0.2. 倍したものも併せて示している.. 0. SC モデルにおいては,制振壁の耐力負担率の増加に. -0.2. 伴って最大応答量は減少するものの残留変形量は増加. -0.4. するという結果が得られた.これは,フレームの耐力. -1.5 -1 -0.5. 0. 0.5. 1. 1.5. -1.5 -1 -0.5. 平均層間変形角(×10-2rad.). 0. 0.5. 1. 1.5. 負担率が小さくなり,提案骨組のセルフセンタリング. 平均層間変形角(×10-2rad.). (c) 6-SC-20W. 効果が機能しにくくなるためである.一方で,RC モデ. (d) 6-RC-20W. ルにおいては概ね制振壁の耐力負担率の増加に伴って ベースシア係数. 0.4. 残留変形量が減少している.. 0.2. PGV = 50(kine)とした場合には,制振壁耐力負担. 0. 率が小さい領域においては SC モデルは RC モデルに比. -0.2. して残留変形が著しく小さく収まっていることがわか る.しかしながら,制振壁耐力負担率が 60%になると. -0.4 -1.5 -1 -0.5. 0. 0.5. 1. 1.5. -1.5 -1 -0.5. 平均層間変形角(×10-2rad.). 0. 0.5. 1. 1.5. SC モデルと RC モデルの残留変形に大きな差がみられ. 平均層間変形角(×10-2rad.). なくなる.. (e) 6-SC-80W (f) 6-RC-80W 図7 ベースシア係数−層間変形角関係. PGV = 100(kine)とした場合には,制振壁耐力負担. 図には入力地震波 10 波による解析結果の平均値を示し. 率が大きい領域においても SC モデルの残留変形は RC. ている.純フレームモデルにおいては,SC モデルにお. モデルよりも小さく収まっており,提案骨組のセルフ. いて2層∼3層の変形が卓越しており,PGV = 100kine. センタリング効果が有効に発揮されているといえる.. とした場合には RC モデルよりも最大応答量がやや大. 5. おいては各層の層間変形角を一様化する機能を有する. 4. 層. 要素が必要となることがわかる.一方で,有壁モデル. RC-MRF RC-20W RC-40W RC-60W RC-80W. SC-MRF SC-20W SC-40W SC-60W SC-80W. 6. きくなっている.静的解析の結果と同様に,SC 骨組に. 3. においては概して SC モデルと RC モデルとの間に応答. 2. 値の大きな差は見られず,制振壁を組み込んだ場合に. 1 0.0. 0.50. 1.0. 1.5. 2.0. 2.5. 0.0. 表2 動的解析に用いた地震波一覧. 模 擬 波. PGV (cm/sec) 38.2 40.7 37.3 92.6 18.3 56.2 80.7 52.1 56.8 58.7. 1.0. 1.5. 2.0. 2.5. (a) SC モデル(50kine) (b) RC モデル(50kine). 継続時間 (s) 53.7 36.0 41.0 50.0 54.4 40.0 120 60.0 60.0 60.0. RC-MRF RC-20W RC-40W RC-60W RC-80W. SC-MRF SC-20W SC-40W SC-60W SC-80W. 6 5 4. 層. 観 測 波. PGA 地震波名 (cm/sec2) El Centro NS 342 八戸湾港 NS 225 東北大学 NS 258 JMA 神戸 NS 821 Taft N021E 153 313 横浜 BCJ-L2 356 JSCA 八戸 (EW) 438 JSCA 東北 (NS) 350 JSCA 神戸 (NS) 470. 0.50. 層間変形角(×10-2rad.). 層間変形角(×10-2rad.). 3 2 1 0.0. 1.0. 2.0. 3.0. 4.0. 層間変形角(×10-2rad.). 5.0. 0.0. 1.0. 2.0. 3.0. 4.0. 5.0. 層間変形角(×10-2rad.). (c) SC モデル(100kine) (d) RC モデル(100kine) 図8 最大応答層間変形角の分布. ※PGA,PGVは原波の値を示している. 59-3.
(4) 残留層間変形角(×10-2rad.). 力度は断面の諸量(例えば,PC 鋼棒プレストレス値や. 0.2 ※最大応答変形角は 1/10倍表示としている. ※最大応答変形角は 1/10倍表示としている. 配置形状)に影響されるため,本解析の結果のみによっ. 残留変形角 最大応答変形角. 残留変形角 最大応答変形角. て一概に骨組の許容応答量等を設定することはできな. 0.15 0.1. いが,提案骨組は設計時において PC 鋼棒に作用する引 張応力度に対して十分注意する必要があるといえる.. 0.05 0. 0. 20. 40. 60. 80. 制振壁耐力負担割合(%). 0. 20. 40. 60. 6 結論. 80. 制振壁耐力負担割合(%). 本論では,フレームを自己復原型骨組および従来の. 残留層間変形角(×10-2rad.). (a) SC モデル(50kine) (b) RC モデル(50kine). RC 骨組の2通りで設計した制振壁を有する建物モデル. 0.8 0.7. ※最大応答変形角は 1/10倍表示としている. ※最大応答変形角は 1/10倍表示としている. 残留変形角 最大応答変形角. 残留変形角 最大応答変形角. 0.6 0.5. の数値解析を行い,両者の比較検討を行った.得られた 結論を以下に列記する.. 0.4. 1) 自己復原型骨組は,制振壁と組み合わせることによ. 0.3 0.2. り各層の変形が一様化され,従来の RC 骨組と同程. 0.1. 度の応答を示す.. 0. 0. 20. 40. 60. 80. 制振壁耐力負担割合(%). 0. 20. 40. 60. 2) 自己復原型骨組は,従来の RC 骨組と比して残留変. 80. 制振壁耐力負担割合(%). 形が小さく収まる.. (c) SC モデル(100kine) (d) RC モデル(100kine) 図9 最大残留層間変形角の推移. 3) 制振壁の耐力負担率を増加させた場合,地震時の最 大応答量は自己復原型骨組および従来の RC 骨組と. 5.3 P C 鋼棒に作用する最大引張応力度. もに減少する.. SC モデルの PC 鋼棒に作用する最大引張応力度を図. 4) 制振壁の耐力負担率を増加させた場合,地震後の残. 10に示す.図には参考のため,JIS 規格による PC 鋼. 留変形量は自己復原型骨組においては増加し,従来. 棒(C 種)の降伏点下限値 1080(MPa)および引張強. の RC 骨組においては概ね減少する.. 度の下限値 1230(MPa)も併せて示している.. 5) 制振壁の耐力負担率が小さい場合,PGV=100(kine). 制振壁の耐力負担率の増大に伴い,PC 鋼棒に作用す. の極大地震時には提案骨組の PC 鋼棒に作用する引. る引張応力が減少していることがわかる.これは,高. 張応力度が降伏点に近くなる場合がある.. いエネルギー吸収能力を有する制振壁の耐力負担率が. <参考文献>. 増加することによって,建物の最大応答量が抑えられ. 1) 崎野健治,上枝豊,日高桃子:転倒降伏耐震壁に関す る実験的研究,日本建築学会構造系論文集,No.584,. るためであると考えられる.PGV = 50(kine)程度の 地震時には PC 鋼棒の挙動は弾性範囲内に収まってい るが,PGV = 100(kine)の極大地震時には,制振壁の. pp.177-184,2004.10. 2) 日高桃子,崎野健治:転倒降伏耐震壁の 1 層部におけ るせん断性状に関する実験的研究,日本建築学会構造 系論文集,No.586,pp.163-170,2004.12.. 耐力負担率が小さい領域において PC 鋼棒に作用する 引張応力度が降伏点に近くなっている.. 3). 損傷制御とセルフセンタリング機能に特化した提案 骨組においては PC 鋼棒の破断は勿論のこと,降伏につ いても許容すべきではない.PC 鋼棒に作用する引張応. PC鋼棒引張応力度(MPa). 築学会構造系論文集,No613, pp81-87, 2007.3. 4) Kawano, A, Griffith M. C., Joshi, H.R. and Warner, R.F,: Analysis of the Behavior and Collapse of Concrete Frames Subjected to Severe Ground Motion, Research Report. JIS G 3109による PC鋼棒( C種) の 引張強度下限値. 1500. No.R163, Department of Civil and Environmental Engineering, The University of Adelaide, Australia, 1998.11.. 1250. 5). 1000 750 500. 0. 0. 20. 40. 60. 80. 制振壁耐力負担割合(%). (a) 50kine. 0. 20. 40. 孟令樺,大井謙一,高梨晃一:鉄骨骨組地震応答解析 のための耐力劣化を伴う簡易部材モデル,日本建築学. 会構造系論文集,第 437 号,pp.115-124,2002.8 6) Popovics, S.,: Numerical Approach to Complete Stress-. JIS G 3109による PC鋼棒( C種) の 降伏点下限値. 250. 日高桃子,二木秀也,崎野健治:制振壁フレームの必 要変形能力と設計用応力に関する解析的研究,日本建. 60. Strain Curve of Concrete, Cement and Concrete Research, Vol. 3, pp.583-599, 1973.. 80. 制振壁耐力負担割合(%). 7). (b) 100kine. 図10 P C 鋼棒に作用する最大引張応力度 59-4. 日本建築学会:鉄筋コンクリート造建物の終局強度型 耐震設計指針・同解説,1990.
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