科 学 技 術 動 向
2009 年 2 月号6
中国ではスーパーコンピュータの導入と開発が強化されている。2008 年11月発表のTOP500リストには、
中国初の 100 テラ FLOPS 級のスーパーコンピュータ「曙光 5000A」が 10 位にランクインした。TOP500 リ ストの性能合計の推移をみると、2008 年 11 月には我が国の性能合計値に近づくまでに伸びている。ま た、中国製スーパーコンピュータに初めて自国製 CPU チップを採用するペタ FLOPS 級スーパーコンピュー タの開発計画も発表された。スーパーコンピュータが国の安全と経済に果たす役割は大きいとの認識から、
2008 年 12 月18 日にこの分野の自主革新の支援を目的とする中国高性能計算機産業連盟が設立された。
トピックス 2 中国におけるスーパーコンピュータの自主開発への動き
参 考
1) http://www.top500.org
2) http://jp.eastday.com/node2/node3/node187/userobject1ai42068.html
中国では、スーパーコンピュータの導入と開発が強
化されている。2008 年 11 月に発表された TOP500 リスト
注 1)には、中国初の 100 テラ FLOPS
注 2)級のス ーパーコンピュータ「曙光 5000A( 英語名:Dawning 5000A)」が 10 位にランクインしている。また、初めて 自国製の CPU チップを採用するペタ FLOPS 級のスー パーコンピュータの開発計画も発表している。
中国におけるスーパーコンピュータへの取り組みを TOP500 リストに登場したシステム数と性能合計(テラ FLOPS)の推移でみると右図のように表される。シス テム数では、1999 年 11 月に初めて TOP500 リスト上 に現れている。その後、徐々に増加し、2006 年 6 月 には 28 システムにまで伸びた。一時減少したが、最 近は再度増加している。性能合計でみると、2008 年 6 月まで緩やかな伸びを示した後、2008 年 11 月には我 が国の性能合計値に近づくまでになっている。しかし、
今まで TOP500リストに登場した中国のシステムをみる と、中国製は 2 システムのみで、それらには米国製の CPU チップが採用されていた。
しかし、この状況にも変化が見られる。2008 年 12 月 3 日に中国企業の曙光信息産業有限公司は、中国科 学院計算技術研究所と共同開発中のペタ FLOPS 級ス ーパーコンピュータ「曙光 6000」に、中国製の CPU チ ップ(名称は「龍芯」 、英語名:Loongson)を採用する 計画を明らかにした。中国製のスーパーコンピュータに 初めて自国製の CPU チップが採用されることになる。
この CPU チップは、65 ナノメートルの微細化プロセス ルールで製造した 4 つのコアを内蔵するもので、すでに チップは完成し、近く量産に入るとのことである。この CPU チップに関しては、2008 年 8 月に開催された国 際会議「HOT CHIPS 20」において、アーキテクチャに 関する論文が中国科学院計算技術研究所から発表され ている。
以上の動きに続いて、2008 年 12 月 18 日には、中
情報通信分野 TOPICS Information & Communication
国内の 10 社が発起機関となる中国高性能計算機産業 連盟が設立された。国の安全と経済にスーパーコンピ ュータが果たす役割は大きいとの認識から、スーパーコ ンピュータ分野の自主革新を支援することを目的として いる。連盟の設立の背景としては、国防・情報セキュリ ティー・石油探鉱・天気予報・バイオ製薬・科学計算・
商業計算などの分野で、スーパーコンピュータを使用す る要望が多いが、中国のスーパーコンピュータ市場の大 半は外国企業に占められている現状がある(工業・情 報化部局(工業和信息化部科技司)による報道) 。今後 の中国の動きに注目したい。
中国ではスーパーコンピュータの導入と開発が強化されている。2008 年 11 月発表の TOP500 リストには、中国初の 100 テラ FLOPS 級のスーパーコンピュータ「曙光 5000A」が 10 位にランクインした。TOP500 リストの性能合計の推 移をみると、2008 年 11 月には我が国の性能合計値に近づくまでに伸びている。また、中国製スーパーコンピュータ に初めて自国製 CPU チップを採用するペタ FLOPS 級スーパーコンピュータの開発計画も発表された。スーパーコンピ ュータが国の安全と経済に果たす役割は大きいとの認識から、2008 年 12 月 18 日にこの分野の自主革新の支援を目 的とする中国高性能計算機産業連盟が設立された。
中国では、 スーパーコンピュータの導入と開発が強化 されている。 2008 年11 月に発表されたTOP500 リスト
(注1)
には、中国初の 100 テラ FLOPS
(注2)級のスーパーコン ピュータ「曙光 5000A(英語名: Dawning 5000A )」が
10 位にランクインしている。また、初めて自国製の CPU チップを採用するペタ FLOPS 級のスーパーコンピュー タの開発計画も発表している。
中国におけるスーパーコンピュータへの取り組みを TOP500 リストに登場したシステム数と性能合計(テラ FLOPS)の推移でみると右図のように表される。システ ム数では、1999 年 11 月に初めて TOP500 リスト上に現 れている。その後、徐々に増加し、2006 年 6 月には 28 システムにまで伸びた。一時減少したが、最近は再度増 加している。性能合計でみると、2008 年 6 月まで緩や かな伸びを示した後、2008 年 11 月には我が国の性能合 計値に近づくまでになっている。しかし、今まで TOP500 リストに登場した中国のシステムをみると、中国製は 2 システムのみで、 それらには米国製の CPU チップが採用 されていた。
しかし、この状況にも変化が見られる。2008 年 12 月 3 日に中国企業の曙光信息産業有限公司は、中国科学院 計算技術研究所と共同開発中のペタ FLOPS 級スーパー コンピュータ「曙光 6000」に、中国製の CPU チップ(名 称は「龍芯」 、英語名:Loongson)を採用する計画を明 らかにした。 中国製のスーパーコンピュータに初めて自 国製の CPU チップが採用されることになる。この CPU チップは、65 ナノメートルの微細化プロセスルールで 製造した4つのコアを内蔵するもので、 すでにチップは 完成し、近く量産に入るとのことである。この CPU チッ プに関しては、2008 年 8 月に開催された国際会議「HOT CHIPS 20」において、アーキテクチャに関する論文が中 国科学院計算技術研究所から発表されている。
以上の動きに続いて、2008 年 12 月 18 日には、中国 内の 10 社が発起機関となる中国高性能計算機産業連盟 が設立された。 国の安全と経済にスーパーコンピュータ
が果たす役割は大きいとの認識から、 スーパーコンピュ ータ分野の自主革新を支援することを目的としている。
連盟の設立の背景としては、国防・情報セキュリティ ー・石油探鉱・天気予報・バイオ製薬・科学計算・商業 計算などの分野で、 スーパーコンピュータを使用する要 望が多いが、 中国のスーパーコンピュータ市場の大半は 外国企業に占められている現状がある(工業・情報化部 局(工業和信息化部科技司)による報道) 。今後の中国 の動きに注目したい。
中国のシステム数と性能合計の推移
(TOP500 リストから)性能合計:TOP500 リストに掲載されている中国(また日本)のシス テムのLINPACK 性能を合計したもの。LINPACK(LINear equations software PACKage)とは、ベンチマークプログラムであり、主に浮 動小数点演算のための連立一次方程式の解法プログラムである。
測定結果は1秒あたりの浮動小数点演算数として表示される。
(注 1)TOP500 リスト:1993 年から毎年、6、11 月に発表されており、世 界の高性能なコンピュータの動向を知るものとして多用されている。
(注 2) FLOPS(フロップス):コンピュータの処理速度を表す単位であ り、ペタ FLOPS(フロップス)は 1 秒間に 1 千兆回の浮動小数点演算 を行うコンピュータ能力。同様に、テラは、1 兆回を示す。
(資料)
1)http://www.top500.org
2) http://jp.eastday.com/node2/node3/node187/userobject1ai42068.html
トピックス 0 中国におけるスーパーコンピュータの自主開発への動き
(参考:日本)
中国
中国のシステム数と性能合計の推移
出典:参考文献
1)性能合計: TOP500 リストに掲載されている中国 ( ま た日本 ) のシステムの LINPACK 性能を合計したもの。
LINPACK(LINear equations software PACKage) と は、ベンチマークプログラムであり、主に浮動小数点演算 のための連立一次方程式の解法プログラムである。測定結 果は 1 秒あたりの浮動小数点演算数として表示される。
注1 TOP500リスト: 1993年から毎年、 6、 11月に発 表されており、 世界の高性能なコンピュータの動向を知 るものとして多用されている。
注2 FLOPS (フロップス) : コンピュータの処理速度 を表す単位であり、 ペタFLOPS (フロップス) は1秒間に 1千兆回の浮動小数点演算を行うコンピュータ能力。 同 様に、 テラは、 1兆回を示す。
600 500 400 300 200 100 0
5 0 30 25 20 15 10
1999.11 2000.06 2000.11 2001.06 2001.11 2002.06 2002.11 2003.06 2003.11 2004.06 2004.11 2005.06 2005.11 2006.06 2006.11 2007.06 2007.11 2008.06 2008.11
システム数 中国の性能合計(テラ FLOPS)
日本の性能合計(テラ FLOPS)
中国
(参考:日本)
性能合計(テラFLOPS) システム数