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新・学歴重視主義の構図 : 大学卒の定期採用人事 の実態についての考察

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(1)

新・学歴重視主義の構図 : 大学卒の定期採用人事 の実態についての考察

その他のタイトル New Pattern of Diplomaism in Post‑industrial JAPAN

著者 岡田 至雄

雑誌名 関西大学社会学部紀要

巻 23

号 2

ページ 195‑241

発行年 1992‑03‑01

URL http://hdl.handle.net/10112/00022587

(2)

新・学歴重視主義の構図

ーー大学卒の定期採用人事の実態についての考察ー一 岡 田 至 雄

New Pattern of Diplomaism in Post‑industrial JAPAN. 

oshio OKADA  Abstract 

This  study  has  two distinct  though  interrelated purposes.  The first  is  to specify  the  contemporary tendencies  of  practical  interests  and/or  requirements  regarding  the  regular  recruitment  on  university graduates・.  In  brief,. it  is  to  search for the  image of  the  ideal  employee  in  Japanese  bussiness  world.  The second  is  to present  and  analyze  some  existing  data  with  a view  to demonstrating  the actual  state of diplomasim upon the  employment  of  graduates.  The data which  I utilized  are  "DAIGAKUBETSU  SHUSHOKUSAKI  SHIRABE 1990" which  was originally  collected  for  other  purposes by the  Recruit  Circle.  My study  is  one  such  secondary analysis. 

It  has  been pointed  out  that  research  concerning  seniority,  diplomaism  and  life  time  employment  was basic  to  an  understanding of the Japanese  practices  of  personnel  administration.  My attention  here  is  focused on  diplomaism.  According  to  my analysis  of  this  phenomenon, management  tends  to  intensify  diplomaism  under the  veil  of  meritocracy.  Special  attention  should  be paid  to the  fact  that  the  employment  opportunities  for graduates  depend on which  university  they gradudted from  rather than on  simply  the  school  years.  In  other words.  The chances  for getting  a job  with  a big  name company are  profoundly affected by whether or not  the graduate  is  from the  right  school. 

In  the  conclusion  of  this  analysis,  it  is  pointed out  that  a new pattern  of  diplomaism  is  in  the  process of  developing  along  with  the progress of  post‑industrialization  and  the globalization  of management. 

Key words: the image of ideal employee, Softening of management, meritocracy, seniority  life  time employment, diplomaism, the right school.  academic year. the place  of employment by universities. regular recruitment on graduates. relationship  between deviation value and the place of employment 

抄 録

脱工業化,ソフト化,グローバリゼーション。企業を取り巻く環境の変化は著しい。これらの変化 が企業の管理体制や人事戦略の見直しや再編を必然化する。このことに対応して当然人材に対するニ ーズや期待も変わらざるを得ない。いま,企業や組織はどのような人材を求め,人材に何を期待して いるのだろうか,また必要な人材をどのようにして獲得しているのであろうか。この簡単な疑問に本 稿は答えようとしている。日本の伝統的な人事の慣行は,年功序列と終身雇用を軸にして制度化され,

これを支える基幹要因として独特の学歴主義を溝入してきた。この伝統が,労働力市場の新たな展開 とそれへの要求のなかで, どのように変貌を遂げるのか興味深い。本稿は特に学歴重視主義や学歴階 層制の実相,期待される人材観と学歴主義との連関を実証的に吟味しつつ,新しい学歴主義の実態を 解明することに焦点を絞っている。

キーワード:期待される人材像,ソフト化,能力主義・業績主義,年功序列,終身雇用,学歴重視主

義,銘柄校,大学別就職先状況,大卒者定期採用実態,偏差値別就職先状況,銘柄校就

職先状況。

(3)

関西大学「社会学部紀要」第

23

巻第

2

1 .   脱工業社会の人事戦略

(1)  国際化と経営の進化

経済審議会長期展望委員会の下に設立された産業社会小委員会が,活力ある産業社会の形成を 展望しつつ長期的観点から「 2 0 0 0 年の日本」

I)

を公表して 1 0 年が経過した。そのなかで, 今後の 産業社会をめぐる状況は,国際面,国内面,技術面のいずれをとっても大きく変化すると見通し た上で,今までの諸種の政策に転換を迫られる時期に差しかかっていることが強調されている。

特に加速化の著しい高齢化現象に起因する労働力事情の問題や,かつて高度成長を支えた世代と はかなり異質の価値観をもつ若い労働力,とりわけ新人類の仕事・職業・人生親の問題を射程に 入れた上で人事施策を講じることの必要性を示唆している点に留意すべきであろう。また,脱工 業化社会の潮流が,形態的には情報化,知識集約化,文化産業化,サービス経済化を指向しつつ も,本流はソフト化

2)

で展開しており,このソフト化路線を名実ともに活性化するためには,旧 来の伝統的な制度に固執し,現状維持に躍起になる守勢の戦略から脱皮して,時勢にマッチした 適応体制を導入し,英知と決断による斬新な実践的戦略を採択することの必要性を訴求する論点 は有益である。ソフト化現象は,種々の分野で,多彩な姿で具体化するわけであるが,いずれも 人間性に密着した局面を構成する要素であり,たとえば労働をソフト化するということは,労働 の質を苦役や非人間性から解放し,仕事とのかかわりがより人間性に充ち,創造性や知的活動と 一体化した労働力を保証することに通じるわけで,積極的に推進すべき潮流であろう。しかし,

このソフト化を支えるのは,あくまでも人間の英知であり,人間の努力であることを忘れてはな らない。仕事や労働のソフト化の比重が増してくると,それに十分応じきれる高品質の労働力が 必要になってくるし,旺盛な貢献意欲や進取の気象を求められる。当然,ハイレベルの職業的競 争力を備えた人的資源とその有効利用を可能にするメカニズムの有無がソフト化の達成には重大 な役割を演じる。

これまで, 日本の高い生産性と高度成長を支えた基幹要因が,一方に労働者の旺盛なモラール や企業が独自に開発した教育訓練プログラムと諸種の温情主義的労務管理施策,加えて一般的職 業活動能力の育成に多大な貢献をした学校教育制度の相互補充にあったことは明白である。特 に,高度工業化の演出に不可欠の技術開発を可能にした基盤が,学校教育の質的充実,とりわけ 義務教育の徹底と普及,高等教育の体系的整備とグレードアップ,なかでも大学教育の大衆化・

汎化といった動向にあることを軽視することはできない。また,企業が積極的に人材育成,モラ

1) 経済企画庁総合計画局編「200~

の日本」(各論)一活力ある産業社会の形成ー一昭和

57

年 。

2)同書 16‑17

頁 。

(4)

ール高揚に向けて手策を講じてきたことも評価しなくてはならない。日本の経済的成長と繁栄 は,こうした企業の長期に亘る独特の人材育成計画の成果とみなすこともでき,この企業内訓練 制度こそ日本的人材開発の真髄と評すことができる。しかし,このような組織的教育に順応しが ちな文化的風土は,平均能力のレベルアップには確かに有効であるが,往々にして体制改革に向 けて独創的なエネルギーを投射し,果敢に挑戦する力を養うという点では問題がある。例えば,

森谷氏は「日米欧技術開発戦争」の中で,日本は勤勉,熟練,機敏,緻密,洗練,集中カ・組織 力という工業力の発展に必要な 7 要素中 6 要素については全て保有しているが,挑戦意欲という 点で劣りこれが独創性を欠く原因となっていると分析している

3)

。一般に日本は改良応用技術に

は秀れているが,創造性を求められる技術,すなわち革新的発明•発見技術には立ち遅れがあ

り,この分野を不得手とするという評価をされている。つまり,勤勉で教育好きという国民性 は,保守的,受動的,保身的に通じる一面を内在しており,特に,既存技術のフォロイングに秀 れ,その改良や精緻化に強大な知力を集中させることを得手にしている。またそのような知力の 育成に向けて優秀な人材を訓練するわけであるが,これは,優秀な人材を新分野の開拓や未知な るものへの挑戦に投入する欧米の傾向とは対照的である。無論,どちらが産業社会の発展に適 し,貢献するかを決めることは容易ではないし,むしろ不可能に近い。ただ,より国際的な,ぁ るいはよりグローバルな視点から問題視するならば,欧米で発明• 発見された革新的技術にタダ 乗りして経済的合理主義に没頭しているという批判を冷静に受け止める必要があることだけは確 かである。効率本位,利益一辺倒の発想から脱却して,経済的合理主義を度外視して,純粋に科 学的合理主義のシナリオで,無駄と試行錯誤を等閑視した度量の広い英断の下,新分野の技術開 発に挑むことで国際社会に寄与することを,グローバルには先進諸国から要請されていることを

自覚する必要がある。

革新的技術開発や急転する技術革新に対応して的確かつ鋭敏に対処するためには,それを可能 にする人材や人材育成のプログラムがとりわけ教育システムの充実が不可欠である。長期展望委 員会の技術開発検討グループは「技術開発人材の育成と教育のあり方」° と題して, この議題に 対する試案を提起している。

これからは専門分野に偏向しがちな企業内教育に比べて,一般教育による基礎的・普遍的な知 識が重要になるとともに,先端分野でリーダーシップのとれるように大学を活性化し,それを弾 機にして技術開発を創造性に充ちたものへとシフトさせることが極めて重要であるという前提に 立って,大学教育の充実・改善に注目しつつ,①大学院の弾力的運用,②産学協同の推進と活発 化,⑧大学の国際化の 3点を重点課題として提案したのである。ここで指摘された内容は,かな り以前から有識者によって繰り返し唱導されてきたことで目新しさはない。人材問題を学校教育

3) 同書 7 4 頁 。

4) 同書 8 5 ‑ 8 6 頁 。

(5)

関西大学「社会学部紀要」第

23

巻第

2

に委託する発想は,期待としては当然かもしれないが,学校教育の理念と企業の技術開発の論理 との間には大きなラグがあり, これらを直線的に結びつけることには疑義もあろう。むしろ,

「政府の役割」と「技術の国際的展開」

5)

の項で提案されている諸施策の方が,より有効で,現実 味を帯びているように思える。人的資源のグレードアップに学校教育がその一翼を担うことは否 めないが,現状において安易に学校教育万能主義的立場でその意義を唱導したり,人材問題に関 する最後の逃げ場を大学教育の充実という形に求めることは,ある意味で無責任であり,無いも のねだりに近い。新しい意図のもとに,新しい分野の技術開発を狙うのであれば,当然,既存の 機関ではなくて,新しい機関を創設して意欲的に取り組むことが筋である。長期的展望に立つの であれば,なおさらのことであろう。企業戦略としてもその方がより効率的であり,建設的なは ずである。

長期雇用制と年齢・勤続年数重視の人事管理,生え抜き・純血主義といった慣行をペースにし た従業員尊重の精神が日本的経営の基本である。新規学卒者を定期採用し,企業内教育や手厚い 社外研修を通じてコーポレイトアイデンティティや職務遂行能力を育成し,グレードアップを図 り,その中から幅広い職業的能力を兼備したゼネラリストと,専門的な職業能力をもったスペシ ャリストとを巧みに分離養成していくといった人事戦略には,確かに魅力がある。リスクや不確 実性を避け,安全で安定した労務管理を持続したい場合,この日本的経営の効率性と安定化への 貢献度は殊の外大きい。このようにして育成された企業に対する従業員の信頼度や一体感の演じ る役割は大きく,自己実現欲求を犠牲にしてまでも和と企業への忠誠を重んじる会社人間の強力 な勤勉と専心が日本の経済成長を支えてきたことも事実である。しかし,いま,企業を取り巻く 環境に急速な質的変化を呈する段階で,これらの慣行に過度に固執することは反って立ち遅れを 招き,時勢に逆行することに帰着する。理念は保ちつつも中味は変えていく戦略が肝要である。

現に「従業員に愛社精神を求めることは間違いと思うようになった。今では活私奉公,会社のた めではなく自分のために働けと呼びかけている」

6)(佐友信託•松本専務)という発言に示唆され

ているように,仕事への愛着,仕事に対する一体感に比重を移し,仕事・労働そのものに自己実 現欲求を求めるプロ感覚を大切にする人事管理システムヘの旋回を求められている。

事業の知識集約化・高付加価値化の必要性が急速に高まり,既存知識の陳腐化や技術的遅退が 高速化してくると,専門スクッフの充実はもとより,異質で多彩な即戦力の導入による企業風土 の活性化と改良が必然化する。チームワークよりも個性や独創性が,個人のフロンティアスビリ

ットが重要になり,年功神話は崩れざるを得ない。人的資源の選別基準を修正し,能力主義を活 かすために年功や長期雇用,純血主義といった慣行の再検討を余儀なくされる。「本来, 若手が 能カ・業務給として受け取るべき部分の半分が,中高年層に配分されている」 (ボストン・コン

5)同書 86‑90

頁 。

6)

日経産業新聞社編,進化論「日本の経営」,

198

吟 三 ,

42

頁 。

7) 同書 6 3 頁 。

(6)

サルティング・グループ 堀 副社長談)と現実を疑問視する経営者も少なくない。事実,この 慣行が原因で若くて優秀な人材がスカウトに応じ,独創力のある有能なエリートは転職・移動す る。日本的人事管理の基底に潜む減点主義

8)

はもう通用しない。ミスを犯さないことを基尺にし た人材評価は時代遅れなのである。得点主義に徹して,曖昧な抽象的コンセプトを規準にした評 価(例えば,協調性,主体性,思考力,実践性••…·)ではなくて,業績基準を定型的に具体化し た評価(例えば,業績内容を数値化し,数量的に明示する)によって客観的に公平かつ適正な人 事考課システムを導入することが急務となってきたといえよう。つまり,曖昧な評価基準による 考課は,結局,形式的な帰属的地位を重視する旧来の晒習の温存に帰趨することになる。確か に,ラインの指導者やゼネラリストとしての成長に年功や学歴といった要因が有効かつ重要であ ることは否めない。指導力,判断力,実践力,調整力,幅広い視野などと人材の資質を枚挙した ところで,これらを測定する具体的なスケールが定められない場合,結局,経験と経歴に依拠し た判定に帰着せざるを得ず,年功や学歴が浮上するというわけである。しかし,優秀な人材,独 創性に富んだスペシャリストの定着率を高めるためには,実力主義・業績主義をベースにした処 遇や考課を人事戦略の柱にすることが不可避であり,得点主義による考課方法の導入に踏み込む 必要がある。無論,西欧型の能力主義・個人主義一辺倒の雇用慣行を推奨するわけではない。こ の慣行もまたいま曲がり角に来ている

9)

わけで,これからは職種や分業形態によって多彩な人事 管理,つまり人事戦略のマルチメニュー化が必要になる。

企業の成果が従業員のエネルギーを一点集中的に集約できるかどうかに左右されるような状況 では,集団主義的ピラミッド組織が有効であるが,目標達成能力よりも目標選択能力の方がウエ イトを増し,革新的活力やマルチ指向的独創性が重視されるようになると,同質的な人材集団の 育成ではなくて,異質な人材や新しい血を注ぎ込む刺激的な組織づくりが必要になってくる。日 本を代表する企業の社長の見通しでは,経営のグローバル化 ( 7 6 彩),価値観の多様化 ( 5 5 彩 ) , 就業意識の変化 ( 5 2 彩 ) , ハイテク・情報化 ( 4 7 彩)といったインパクトによって, 年功序列は 姿を消し ( 8 7 彩 ) , ビラミッド型組織も見直され ( 4 3 彩 ) , 能力主義が一段と普及・定着し ( 7 0 彩),個性派人間の登用が汎化する ( 4 0 彩 )

10)

時代の到来は間近い。極端な伝統的人事管理がまか

り通る時代は確かに去りつつある。このドリフトを,「日本の経営」の進化と呼んでいる。

(2)  日本的人材開発と学歴主義

高度工業化が進み,経営理念のグローバル化が叫ばれるなかで,企業の組織戦略もそれに順応 すぺく変わりつつあるが.その基幹に大学卒定期採用者を据える考え方は依然として根強く定着 している。欧米のようにスペシャリストやゼネラリストをその市場で買って使うシステム,すな

8) 同書 6 5 頁 。

9) 同書 1 3 3 頁 。

10)同書 189‑192

頁 。

(7)

関西大学「社会学部紀要」第

23

巻第

2号

わち一般に使い捨て人事と呼ばれる方法

11)

ではなくて, 日本ではそれらを育てて使う長期雇用を 原則としているので,どうしても優秀な原石を入手することに執着する。いくら高度で卓越した 教育訓練プログラムを用意しても,その円滑な稼働を果たすためには適格な人材を確保しなけれ ばならないというわけである。一方,大卒者の方では,適性をベースにした職業選択というより も企業選択・産業選択という傾向が強く,プロ意識に根ざした明確な職業選択は一部の職種を除 きほとんどみられない。企業も学校教育で得た知識や技術がそのまま実際に役立つとは考えてい ないし,期待もしていない。企業に必要な職業的知識や技能・技術あるいば情報は採用後企業内 の教育訓練でみっちりと叩き込むという前提で採用管理を組んでいる。したがって,採用時に重 視されるのは,潜在的能力の有無をいかにして見極めるかである。この見極めのための客観的な 最適基準が「学歴」である。その意味で日本の雇用慣行・人事戦略の特徴として学歴別階層制,

学歴別人事処遇を挙げることができる。

高学歴化現象の深化に伴って通称「大学卒」の価値は確かに相対的には低下し,「高卒」対「大 学卒」という尺度で評定すると以前に比べて学歴格差は縮小しているように見える。ところが,

通称「大学卒」の値踏みの背後に, 実際には鮮明に透視できる学歴差の実体がある。つまり,

「学士様」だけでは通用しない,切札である「銘柄」の世界,すなわち特定の大学の値打ちが他 の大学に比べて一段と高騰するという大学卒の差異化現象の冗進である。特に,「エリート先き取 り型」の人事戦略を骨子としている日本では,先行投資的色彩の強い採用制度がとられ,その選 別基準として伝統や偏差値競争で粉飾された大学の質(評判)が実質以上に過大評価される傾向 を指摘できる。また,この企業側の意図に呼応するかのように,学生の側でも企業をランクづけ 偏差値競争の論理で適合就職先を選定するようである。学生にとっての売手市場も,一部の有名

・銘柄企業には応募者は多く,高い競争率で,買手市場となる。学歴別階層制は,マクロな学校 制度差から, ミクロな出身校差というレベルに置換されつつ温存されている。長期雇用慣行の維 持存続を旨とした採用管理の下では,このような学歴問題はむしろ不可避に近く,両者はむしろ 表裏一体の関係にあると捉えた方が的確かもしれない。将来のエリートを有名大学の優秀な人材 を採用して丹念に育てあげたいという単純な発想が,学歴による昇進慣行の温存と共に,ゼネラ リスト育成の理念と方法に影響を及ぽすことになる。能力主義を前面に出して唱導し,ェリート 主義に期待をかけるとき,学歴が最し絵として浮上してくるのは能力が教育によって陶冶される という全く単純な通念に起因している。特に職業選択というよりも企業選択という指向のもとに 就職先を決める場合,非定型で,状況への適応性が強く望まれるホワイトカラー職の職務遂行能 力を見極める基準は,スペシャリストの能力査定とは異なり,潜在的総合能力の予知という側面 が強く,キャリア形成に当たって適格かどうかが問題にされるので,結果的に学歴要因が注目さ れることになる。実際に,学歴要因がどの程度有効なのかは長期的スペンの中で探られるべき問

11)同書 69‑70

頁 。

(8)

題ではあるが,能力開発が大学教育で得た識見や思考様式によって左右されるということは明ら かであり,それゆえに企業の大卒者に対する期待も大きくなる。精鋭主義を標榜し,能力主義管 理への移行を公言する傾向が定着しつつある中で,優秀な大卒者を定期採用で確保できないとい うことは企業経営にとって決定的な打撃を受けることを意味する。経営者の期待する人材像すな わち職務遂行能力に秀れ,企画・立案力を有し,指導カ・統率力を備え,対外接渉力に長け,プ ロフェッショナルとしての能カ・知識・技術をもった人材の潜む市場は,そう広くはない。確率 的には大学卒業者のプールしか望めない。年功制に対しては廃止の方向を基本的には示唆しつつ も,長期雇用制に対しては依然として存続を主張する企業が大勢を占める状態

12)

にあっては,そ の基調から推して,大学新卒者の定期採用が人事戦略の要となり,優秀な人材をめぐる争奪戦の 激化を予知できる。事実,その様相は青田刈り現象に例示されるように鮮明になり,特に銘柄大 学卒業生の獲得に向けての大手企業のアプローチの凄まじさは話題の域を出ているといわれる。

この論文は,大卒者の就職状況を多角的に実態に則して分析することを狙っている。

2 .   大 卒 者 の 定 期 採 用 状 況 に み ら れ る 学 歴 主 義 の 動 向

(1)  期待する人材像と学歴主義

人的資源のどの局面を企業が重視するかはそれぞれの企業を収り巻く一般状勢や,個別の企業 の特殊事情によって大きく左右される。 ここでは, 特に前者に注目して, 全般的に, 高度工業 化,ソフト化,グロバール化といったドリフトが顕在化しつつある中で, 日本経済をリードする 代表的企業が今どのような人材を求めているのかを「大卒者」の定期採用に当たって示した求人 像を通して探ってみたい。

資料は「日経就職ガイド」に収録されている 1 部上場の銘柄企業で, 1 9 8 1 年度版に掲載してあ る 2 4 0 社を対象にした分析結果である。分析方法はこのガイドプックの「人事組織の方針」 ( 1 9 8 1 年版),「人材育成の方針」 ( 1 9 9 1 年版)の項で, 2 4 0 社が指摘している特性項目を,人事考課の能 力構成表に則して単純集計するという手法を用いた。

表 1 は,全産業 2 4 0 社の年度別の項目指摘状況を比率 CM.A) で示したものであるが,ガイド に記載されている期待する人材像についての表現は多彩であるため,ほぽ表記の 1 1項目に概括し た。なお,これをさらに内容から集約して 3 要因に類別してある

18)

1 9 8 1 年度と 1 9 9 1 年度を比較すると,その動静に極端な相異を検出することはできないが,部分

1 2 ) 通産省産業政策局企業行動課編「高齢・高学歴時代の人事戦略」一人事活性化の決め手一―, 1 9 8 3 年 , 第 7章参照。

1 3 ) 南博編「人事管理」,昭和 3 4 年 , 1 2 6 頁 。

横浜国立大•藤田氏の「能力構成表」をベースにして,簡略化したものである。

(9)

1

「トップビジネスの期待する人材像」(%)

全産業項H別全産業要因別 1981年度1991年度1981年度1991年度 2.5 1. 7 2.5 1.7  60.0 44.8  22.1 20.9  171. 7 150.4  20.4 16.I  69.2 68.7  22.1 30.9 22.1 30.9  7.9 I. 7  9.6 3.5  16.3 17.4 65.4 53.9  22.1 22.2  9.6 ().1 

\ー/た れ性 さ特 摘材

指人1,¥  体カ・健康 知的能力 知識・技術 企画・創造力 識見・オ幹 少数精鋭 国際感虻 協調

i

生・和 決断・実践力 個性・人間性 積極性・熱、意 貨任感.; 滅実

(特性のカテゴリー) 肉体的能力 知的・精神的能力 潜在(1¥J職務能力 応JI]的能)J 総合能)J 総合的判断力 組織適応力 現出力 梢、意的特質 滋志的特性 役割遂1―j•

(特性の要因) 身体的要因 客観的・知的 要因 主観的・心理 的要因

涯庶汁怖 r芹鼎柿婆祀漉」瀕23~ffi

人材の総合的JJ餓

240 230 240 230 標本企業数 2.62 2.37 2.62 2.37 1企業平均指摘数

(10)

的には国際感覚や広角視野で職責を遂行できる人材を望む企業が増え,漢然としたイメージの知 的能力(判断・理解・分析・洞察力など)を削除した企業が激減したことを指摘できる。つま り,大局的にみれば, トップビジネスの期待する人材像は不動のまま1 0 年を経過したということ になる。全般的に客観的・知的・静態的要因を重視した人材観への傾斜が著しく,量的には,識 見,才幹,精鋭といった総合的能力や,前記の知的能力に対する指摘率が高く,主銀的・心理的 要因の構成項目の指摘率が意外に低いことが分かる。なお,身体的要因は,指摘するまでもない こと,あるいは人的資源の前提条件になっているという意味で,他の要因とは異次元のものであ る。次に産業別の特性をフォローしてみると(表 2 ) , まず第 2 次産業の時系列変化では,国際感

表 2 産業別・年度別「トップビジネスの期待する人材像」(%) 第2 次産業項目別

1 9 8 1 年度

1 9 9 1 年度

4 .  9  2 . 1   I 

5 8 .  3  3 6 . 8   1 2 .  

6  19. 0 

2 0 . 4   1 4 . 7   6 9 .  9  7 0 .  5 

第 3 次産業項目別 1 9 8 1 年度 1 9 9 1 年度

0 .  7  1 .   5 

1 3 . 6   3 2 . 6  

6 1 .  3  5 0 . 4   2 9 . 2   2 2 . 2   2 0 . 4   1 7 . 0   6 8 . 6   6 7 . 4   2 8 . 5   2 9 . 6  

(指摘された 人材特性)

体カ・健康

知的能力 知識・技術 企画・創造力 識見・オ幹 少数精鋭

6 . 8   1 . 1   8 . 8   2 . 2   6 . 8   4 . 2   1 1 .  7  3 . 0   1 7 . 5   2 1 . 1   1 5 . 3   1 4 . 8   1 5 . 5   2 8 . 4   2 7 . 0   1 7 . 8   9 . 7   1 3 .  7  9 . 5   5 . 9  

国際感覚 協調性・和 決断・実践力 個性・人間性 積極性・熱意

責任感•誠実

1 0 3  

2 . 3 6  

9 5   2 . 4 4  

1 3 7   2 . 8 1  

1 3 5   2 . 3 2  

数り数 業当摘 企業指 本企均 標 1 平

覚や幅広い視野といった総合的判断力や,積極性・主体性・熱意といった意志的処理力に注目す

る企業が増えたのに対し,静態的な知的能力を挙げる企業の減少したことがわかる。そして,総

合的能力(識見,才幹,静鋭など)に対する希求が堅調な指摘率を保っている。この能力は表 1

に示されているように,知的・精神的能力+潜在的職務能力+応用的能力と累積的に形成される

上位概念であり,非常に高度な能力を指称しており,企業がここに人的資源の理想像を絞り込む

ことは通念として必然であろう。問題はその現実型で,総合的能力を有した人材というのは,期

待し,探し求める願望水準を示す偶像であって,実際にこのような人材を得ることは非常に困難

である。つぎに,第 3 次産業のこの 1 0 年間の推移をみると. 1 企業当たりの指摘した項目数の平

均値が0.5 ポイント減少したこともあって ( 2 .81‑2. 32=0. 4 9 ) 全般的に項目の指摘率が下降気

(11)

関西大学『社会学部紀要」第 2 3 巻第 2 号

味になっている。平均値が 0 . 5 減少ということは,指摘率に換算すると全体で50% の目減りを意 味するわけで,このことを加味してデークを見ると,総合能力(識見,精鋭など), 国際感覚・

視野の広さ,個性・人間性,応用能力(企画・創造力)などの項目は 1 0 年前の指摘率に近い指摘 を受けたことになり,比較的固定化し,不変的な希求特性とみなすことができよう。一方,主観 的・心理的・動態的要因と目される項目の指摘率が大幅に低減し,なかでも協調性・和・決断・

実践,積極性・熱意といった特性の強調が消衰したことは注目に値する。第 3次産業の企業活動 の性質にもよるが,より実質合理性を重んじ,能力主戦の人事戦略が伸展しつつあることを類推 できる。

表 3 は,要因別にその構成項目の率を加算したものであるが,このデータから 2 つの重要な動 表 3 年度別・産業別「トップビジネスの期待する人材像」 (%) 

1 9 8 1 年度要因別 1 9 9 1 年度要因別 第2 次産業

第3 次産業 第2 次産業

第3 次産業 身体的要因 4 . 9   0 . 7   2 . 1   1 .  5  客 静 観 態 的 的 ・ 要 知 的 因 1 6 1 .  2  1 7 9 . 5   1 4 1 .  0  1 5 7 . 0   主 的 観 動 態 的 的 ・ 心 要 理 因 5 6 . 3   7 2 . 3   6 8 . 5   4 3 . 7   総合的判断力 1 3 . 6   2 8 . 5   3 2 . 6   2 9 . 6  

向を摘出できる。すなわち,第 2 次産業では1 0 年前に比べて主観的・心理的要因(とりわけ意志

的特性)を強調する企業が増加しているのに対して,第 3 次産業ではこの要因を指摘する企業は

激減し, 10 年前の 4 割減になっている点,および第 2 次産業において国際感覚に芽生えた幅広い

視野で職責の果たせる人材つまり総合判断力に長けた人材を希求する企業が 2.4 倍に急騰してい

る点である。前者については,今後,ますますグローバルな市場競争に巻き込まれていく情勢の

中で,熾烈な戦いを制するには製品開発力の醸成と旺盛な競争意欲の育成が不可避となるが,そ

れにも増して要求されるのが,媒介要因としての意欲や態度の淘汰およびグレードアップにある

という論点で十分理解される。強力な経営指向的態度と高いモラールこそ競争を制する重要な要

石であるという戦略上の信念が示唆されている。また,最近になって若者の仕事に対する動機づ

けが,非常に脆弱で遊び指向であるために,第 2 次産業の過酷な負荷の下でモラールが漸減・下

降し易いという事情が背後にあって,とりわけ意志的特性に執着することも考えられる。さら

に,第 2 次産業の場合には,第 3 次産業に比べて,相対的に組織的プレイを尊重する傾向が強

く,自己実現や主体性発揮のチャンスが少なく,個人の業績や能力を純粋に析出することが難し

いために,チャレンジ精神や積極的な意欲の吐け口も閉ざされがちで,モラールの低下が汎化し

易い情勢にあることにも関連している。次に後者については,国際舞台でグローバルな競争に巻

き込まれている企業にあっては当然の希求であろう。その競争の主体が人間である以上,国際的

な広角的視野に立って,しかも豊かな国際感覚を駆使して活躍できる人材を求めるのは当たり前

(12)

である。日本のサービス産業の国際的進出は製造業に比べてはるかに立ち遅れ,最近になって製 造業の国際化に追随してサービス産業も国際化に動き始めたといわれている

14)

。第 2 次産業はそ の意味で逸早くグローバル化に巻き込まれたこともあって,その製品開発のレベルは高く,競争 力も強い

15)

。とりわけ,食品,電気機器,輸送用機器などでは,商品力よりも今では国際感覚や 広い視野といった人間的姿勢がより重要になっていることを時系列データは暗示している。

企業の求める人材像を大学卒定期採用人事という面からみてきたが,環境の変化が叫ばれてい るわりには,この 1 0 年間という歳月はその変化を探るには短すぎるのか人材の希求項目に有意な 変化を統計的に認めることはできなかった。いま,少し具体的に詳細な吟味を銀行を例に行って みると,最近銀行は情報を媒介にして顧客と結びつく段階,つまり情報が商売になり,情報提供 が第 2 の本業になってきたことに伴い,その質がリスクヘッジになる段階に入った

16)

ことに対応 した人事戦略の再編を迫られているといわれる。しかし,銀行部門の時系列デークを見ると(表 4 ) ,   日本銀行, 国民金融公庫, 日本興業銀行, 日本長期信用銀行,東京銀行などは, 1 9 8 1 年度

表 4 銀行部門の指摘項目の時系列相関表(頻度)

I  ( 1 9 9 1 年度に指摘された項目)

( 1 9 8 1 年度に指摘された項目) IAJBlclnlEIFJGIHI  I  J1 IK  A  体カ・健康

B  能力(判断カ・分析カ・洞察力) 1 0   c  知識(一般・専門・技術・語学) 6 

創造カ・企画・創意・フロンティア精神 3  1  E 

識見•能力向上・自己啓発・精鋭

1 1 6   1  1  1 

F  国際感覚・幅広い視野 2  7  1 

G  協調性・和・チームワーク 1 

決断力•実践カ・思考カ・バイタリティ

1  1  4  1  2 

I 個性・人間性 1  1 

意志カ・積極性・熱意•主体性

1  2 

k  責任・誠実さ 1  1  1 

8 1 年当時は「なし」 1  2  1  1 

のリクルート用文章がそのまま 1 9 9 1 年度のガイドプックに掲載されている有様で,デークに使っ た政府系 5 機関,都市銀行1 1 行,長期信用系 3 行,農林中金,合計20 機関の 1 機関当たりの平均 指摘項目数は3 . 6 5 であったが,そのうち6 9 彩が, 1 0 年間の経過があるにもかかわらず,そのまま 踏襲されている。精選・精鋭主義をほぼ垂範するオリンビック・プレーヤー

17)

の揃った評判の高 い業界で, 1 0 年間の経過にもかかわらず 7 割近くの期待項目一致度があることは注目に値する。

1 4 )   NHK 経済プロゼクト編訳「2 1 世紀日本企業はどうなる」,平成元年。

1 5 ) 同書 1 1 81 1 9 頁 。

1 6 )日経産業新聞編,前掲書 1 7 81 7 9 頁 。

1 7 )  N .  Tichyは世界のトップレベルの競争力をもった企業をオリンヒ°ックプレヤーとしての企業と呼んで

いる。 NHK 経済プロジェクト編訳,前掲書 1 2 2 頁 。

(13)

関西大学『社会学部紀要』第 2 3 巻第 2 号

オリンピックプレイヤーには時空を越えた絶対的特性が想定できるということを意味するのであ ろうか。またこの業界の成果と繁栄が示すごとく, 10 年前の人事戦略がこれに帰着できるとすれ ば,変更の余地はないという裁定も当然であろう。主要大手銀行の人事戦略がハイグレードで充 実していることは周知のことではある。

1980 年頃,高齢化・高学歴化現象の急伸に伴って,年功的人事管理に対する修正や見直しが迫 られる中で,少し古いデークではあるが,昇進・昇格の評定基準として将来重視すると経営者が 指摘した内容をみると

18),

職務遂行能力,指導・統率力がほとんどの企業で枚挙され,続いて,

実績,意欲,専門的知識や技能,企画・立案力などが,高い指摘率 ( 7 0 彩代)を保っていた。こ れに対して, 学歴(平均 8 彩 ) , 勤続年数(平均 1 5 彩 ) , 年齢(平均 8 彩)を挙げた企業は少な く,いわゆる能力主義管理を強化しようとする意図が鮮明に示されている。しかし,能力主義を 強化する人事戦略は,現状ではいろいろな障害や緊張を喚起することが予期され,長期雇用制と の折合いをつけるためには補充策としての企業内教育訓練や能力開発のための労務対策に力を入 れる必要が生じることになる。その意味では,伝統的に人材のキャリア育成に積極的に取り組ん できた金融機関,とりわけ大手の有名銀行の教育研修制度が能力主義に基づいた戦略モデルの典 例として良き教材となる。より国際化され,業務内容が高度化,広範化,専門職化してきた金融 界で,日本を代表するビッグ・バンクの人材育成の基本は,一般に専門職的なゼネラリストの養 成にあり,そのためにメニュー化された研修はまさにシステマチックで充実している。その実態 は「日経就職ガイド」の情報によれば,次のようにまとめられる。

主要大手銀行の教育研修制度の実態(度数と構成比)

制 度 内 容 濯嗜

I

棗 誓 骨

1

都市銀行

I

II

政府系

1

長期信用

1

都市銀行

I

海外留学制度 ,  3  1 1   2 3   8 1 .  8  1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   9 2 . 0   国際機関への派遣制度 1 0   2  7  1 9   9 0 . 9   6 6 . 7   6 3 . 6   7 6 . 0   階層別研修 ,  2  7  1 8   8 1 .  8  6 6 . 7   6 3 . 6   7 2 . 0   語学研修・講座 7  2  6  1 5   6 3 . 6   6 6 . 7   5 4 . 5   6 0 . 0   通信教育講座 6  2  2  1 0   5 4 . 5   6 6 . 7   1 8 . 2   4 0 . 0   国内機関への派遣制度 7  1  7  1 5   6 3 . 6   3 3 . 3   6 3 . 6   6 0 . 0   業務別研修 3  3  8  1 4   2 7 . 3   6 6 .  7  7 2 . 7   5 6 . 0   国内大学への留学制度 2  5  7  1 8 . 2   4 5 . 5   2 8 . 0   体系的集合研修 3  3  6  2 7 . 3   2 7 . 3   2 4 . 0   資格取得支援制度 2  2  4  1 8 . 2   1 8 . 2   1 6 .  0  特殊な専門職研修 5  5  4 5 . 5   2 0 . 0  

該当機関数 1 1   3 

1 1  

2 s  

 11

1 0 0 .  o 

1 0 0 .  o 

1 0 0 .  o 

1 0 0 .  o  品質の優れた原料(人材)を仕入れて,最先端の優秀な工程(研修制度)で丹念に加工して最 高の熟成品(期待する人材像)に仕上げていくという人事戦略は,これまで以上に重視されるこ

1 8 )通産省産業政策局企業行動課編,前掲書 1 4 2 頁 。

(14)

とになろう。能力主義とか実力主義というコンセプトは確かに魅惑的ではあるが,その内実はき わめて曖昧であり具体性を欠いている。その構成要索が,学歴であったり,年齢,勤続年数であ ったりするわけで,これらの属性を完全に捨象した形で能力を測ることは不可能に近い。その意 味では,人材評価のコンセプトには流行的表現があり,変化をみることができても,その内実は 部分的修正はあろうとも大筋では変異の幅は狭いように思える。したがって,ハイレベルの能力

(頭脳)を求めるのであれば,おのづからその市場は限定され,市場としてのターゲットも絞ら れてくることは必定で,ここに学歴社会の発生する素地を設定することができる。

多彩なジャンルで専門職業人を必要とするビッグビジネスの人材構成のニーズは,職業選択と いうよりも企業選択というパターンで展開している雇用慣行・採用人事の見直しを迫り,同時に 終身雇用や企業内訓練制度の問題についても本格的に手を入れる必要性を示唆している。単なる ビジネスマンとしてではなく,プロフェッショナルとしての人材観が浮上し,集団主義的管理方 針に一本化された人材管理のみでは対応しきれなくなっていることをまず自覚する必要がある。

専門職業人の頭脳や意欲を尊重し,活用することを基調にした人事戦略の導入には,旧来の語習

を打破する勇気と熱意が不可避であり,革新型のリーダーの登場が不可欠である。日本では集団

主義的人事戦略に偏ったために,組織内では協調・和・減点主義が徹底する反面,対外的にはそ

の反動で敵慄心が煽られ,異常とも思える競争意識と得点主義が推奨され,これに起因して不正

や国際的非難を誘発している。企業間の厳しい競争と鏑を削る戦いは,それ自身,善悪という尺

度で論じるべき筋合のものではなく,先進国に共通の現象でさえある。日本の経済成長や繁栄が

これらを弾機にして達成できたことも紛れのない事実であり,その意味では厳しい競争は推奨す

べき現象としてむしろ評価すべきことである。しかし,自社の地位を安定化し,自社の利益を守

るために,他社に,あるいは他国に極端な不利益を与えたり,そのしわ寄せを他者に強いたりす

るということになるとその評価も一変せざるを得ない。競争に勝って利益を得るためには何をや

っても構わないという利益至上主義・自社中心主義は,グローバルな経済社会という識見からみ

るとき,おのづから節度ある自制を求められる。投資, 技術, 販売,サービス, 価格といった

競争の局面で共存をベースにした戦いを展開するには,これらの局面で投入される資源とりわけ

人的資源の公正なる競争力を基幹にした人間的自制が重視されなくてはならない。集団主義的同

調の奨励,利益一辺倒の市場戦略の展開,自社中心主義への信仰,企業に対する一体感や忠誠心

の育成への異常なまでの固執,といった日本的な経営風土に変革のメスを入れ,グローバル時代

に適わしい組織運営戦略の展開が求められているわけである。単なる習慣も一旦慣行として制度

化してしまうと,その改変・打破は至難に近い。しかし,産業構造の変質に伴う職業構造の変貌

は,当然のことながら第二次産業やプルーカラーをベースに考案されてきた伝統的な人事慣行の

妥当性に疑問符を打つことになり,その無力化・形骸化に連動する。若い世代を中心にして会社

人生から仕事人生へ,会社人間から仕事人間へと着実にモデルチェンジが進行している今,依然

として旧態然とした人事管理方式にこだわっていたのでは結果は歴然としており茄蛙現象を招く

(15)

関西大学「社会学部紀要』第

23

巻第

2

ことになる。最近, 2 0 代や 3 0 代のエリートが会社を捨て始めている。会社にとって残ってほしい エリートがいとも簡単に辞めていく。会社や企業に対する求心力や魅力が,時代遅れの人事施策 によって阻害されているからである。特に仕事の範囲やその評価基準が曖昧で非定型的なホワイ

トカラーの場合,その専門職化と職業的能力の開発とその有効利用をめぐって企業の人事戦略は 変わりつつあるし,また改善•変革への要請も一段と高まっている。これからは労働人口の高齢 化・高学歴化・女性化が進みまた産業構造の脱工業化,職業構造の脱労務化・事務化が漸進する 中で,人材に対する役割期待も大幅に変質することが予期され,大学卒の定期採用組に対する人 事戦略も改変する兆しがすでに現われている。こうした傾向はトップビジネスを中心に顕在化 し,「肩をこわしたビッチャーはいらない」

19)

(三菱電工飯田社長)と「情」と「理」との峻別 を強いられるほど事態は逼迫している。「意欲があって有能な人材なら勤続年数や学歴を問わず どんどん登用していく。そうした組織でないと社員の士気は低下し,前向きの姿勢がなくなるの は旧国鉄が証明してきた」

20>

C J   R 東日本夏目人事課長)と,能力主義の徹底を人事の柱にす る動きも活発になってきた。しかし,長期雇用慣行への執着が依然として強固な中で,この長期 雇用と能力主義をどう和合させるかという課題・戦略に答を出すことは容易ではない。長期雇用 制は必然的に人事戦略の本流に定期採用組を据える発想を優先し,途中入社,引き抜き, トレー ドといった方法はあくまでも補助的手策として位置づけられる。その意味では長期雇用制と実 カ・能力主義との実践的調合こそ,学歴重視主義という処方であったととれなくもない。日本の 企業における労働移動は昔に比べれば激増し,オープンになったとはいえ,一流企業のそれは極 めて低率である。一流企業の人材登用のメカニズムとシステムは万全を期しており,ハイレベル で充実している。そして,その要に歴然とした学歴階層制が布置されている。

(2)  新規大卒者の就職先動向と学歴主義 ( a )   銘柄大学卒業者の産業別就職先状況

大学卒業者の新規定期採用分の就職状況を1 9 9 0 年度のデータで吟味するが,特に銘柄大学は一 般大学に比べて異なる就職パクーンを示すのではないかという命題を検証したいという狙いがあ り,この視角からデータを整理している。まず表 5は短大,大学,銘柄大学の新規卒業生の産業 別就職状況を中分類の項目で示した一覧表である。ただし,課題設定の性格上,銘柄大学の選定 作業は非常に難しく,結局,いろいろな受験情報誌の大学難易度を基礎資料にして,分析のジャ ンル毎に偏差値の高い順に 1 0 校程度を抽出するという方法で選定することにした。ここでジャン ルとは「国立銘柄校」とか「私立銘柄校経済学部」とか以下の分析で単位となるクラスクーを指 している。主観的・有意的な選定を避けるために偏差値を用いたが, 1 9 9 0 年度の各大学の就職先 実態については, リクルート・サークルの『大学別就職先しらべ 1 9 9 0 』諒リクルートリサーチ

1 9 )日経産業新聞編,前掲書 1 0 2 頁 。 2 0 ) 同書 1 1 頁 。

‑208‑

(16)

表 5 大学卒業者の産業別就職者状況

1 9 7 0 fl( 年 四 D 大学ホ業者(年度別) 国立大学 私立大学銘柄校

1 9 7 0   1 9 8 0   1 9 9 0   銘 柄 校 関東地区 中部以西 1 9 7 0   1 9 8 0   1 9 9 0  

建設業 2 . 1   2 . 6   3 . 1   5 . 5   6 . 3   5 . 5   2 . 9   2 . 7   3 . 7   製造業 2 3 . 2   1 8 . 0   1 9 . 3   3 8 . 7   2 4 . 3   2 7 . 9   3 1 .  8  2 8 . 7   3 1 .  2  卸売・小売業・商業 1 3 . 2   1 5 . 3   1 7 . 4   1 7 . 1   1 8 . 4   1 4 . 4   5 . 6   1 1 . 1   1 6 . 3   金融・保険業 1 3 . 4   1 2 . 9   1 8 . 2   8 . 0   8 . 6   1 1 .  6  2 1 .  9  2 8 . 6   2 1 . 4   不動産業 0 . 3   0 . 5   1 . 0   0 . 5   0 . 5   1 . 1   1 .  2  1 . 8   1 .  6 

運輸•通信・出版業

3 . 5   2 . 5   2 . 7   4 . 0   2 . 4   3 . 3   9 . 7   1 0 .  8  6 .  0  電気・ガス・熱供給業 0 . 7   0 . 9   0 . 6   0 . 6   0 .  7  0 . 7   2 .  1  1 . 0   0 . 3   サービス業 3 7 . 2   3 8 . 7   3 3 . 4   1 8 . 4   2 6 . 5   2 6 . 2   6 . 6   7 . 3   1 0 . 2   公務・官公庁 4 . 1   6 . 3   3 . 3   5 . 8   1 0 . 8   8 . 4   1 4 . 5   5 . 5   6 . 2  

第二次産業計 I  2 5 . 2   2 0 . 6 1   2 2 . 4   4 4 . 2   3 0 . 6   3 3 . 3   3 4 .  7  I  3 1 .  3  I  3 5 . 0  

第三次産業計 7 2 . 4   7 7 . 0   7 6 . 6   5 4 . 5   6 7 . 8   6 5 . 7   6 4 . 8   6 8 . 0   6 3 . 7  

合計(卒業者数) 8 0 , 7 4 0  1 2 9 , 1 5 6  1 8 1 , 2 2 9  1 8 8 , 2 2 7  2 8 5 , 1 2 9  3 2 4 , 2 2 0   1 4 , 7 2 5   2 6 , 7 0 6   1 9 , 9 5 8   女子学生比(彩) 9 4 . 0   2 7 . 4   2 1 .  6  2 6 . 5   2 4 . 8  

※国立大学銘柄校として,北大,東北大,筑波大,東大,名大,京大,阪大,九大,東工大, 一橋大,横国 立大,神戸大,広大を選ぶ。

※※私立大学銘柄校として関東地区は早大,慶大, 明治大, 立教大, 学習院大, 上智大, 青山学院大, IC 

u ,   中央大を中部以西は関学,関大,同志社大,立命大,南山大,京産大, 龍谷大, 西南学院大をそれぞ れ選ぶ。

*国立•私立の銘柄校の状況は 199吟三度である。

発行)を生データとせざるを得ないという制約もあって,たとえ偏差値が高くても使用可能なデ ークがこの生データにインプットされていない大学,あるいは半端なデークしか掲載されていな い大学はおのづからオミットされることになる。偏差値からみて当然銘柄校として取り扱われる べき大学が,掲上されていないのはそのためであって,分析者の恣意的選別によるものではな い。また,各ジャンル毎にできるだけ統計的に信頼のおける処理をしたいということから,銘柄 大学の校数にこだわったため,偏差値の均一性という点で不揃いが生じ,この大学が入るのなら ばなぜあの大学が指定されないのかといった誹を免れ得ないだろう。しかし, 1 点刻みで序列化 されている上に,受験情報誌によって微妙に評価が上下する各大学の偏差値を客観的に輪切りに することは想像した以上に容易ではなく,熟慮断行の結果であることを断っておきたい。

大学卒業者の産業別就職者状況は,人口数では製造業とサービス業が圧倒的に多く,両者で過

半数に達するが,時系列でその構成比を見ると製造業の大幅減に対しサービス業の急騰振りが目

につく。短大卒業者と比べると女子学生の占有比率が非常に異なることにも起因するが,第 2 次

産業への就職者率が高いことを指摘できるが,その比率も 1970 年頃に比べれば最近では約 1 0 彩の

低下で,脱工業化の波は大卒者の就職先の動向にも鋭く反映している。産業経済の繁栄と成長

(17)

関西大学『社会学部紀要」第 2 3 巻第 2 号

は,労働人口の絶対量にも反映するから,就職者数でみれば2 0 年前に比べて第 2 次産業が1 .3 倍 , 第 3 次産業が 2 . 1 倍と増大しているもののその伸び率は第 2 次産業では低調である。ただ, 日本 全体の就業者の産業別人口構成でみれば,第 2次産業に就職した大学生の比率は,全体の縮図に なっていることがわかる。因みに,国立・私立銘柄大学の卒業生の就職先の構成比が, 1 5 歳以上 の日本全体の就業者構成といかに異なるかを, 「国勢調査報告」のデークと対比させながら参考 までに紹介したい。両者の間で著しい相違のある産業は,示されているカテゴリーでみると 7 業 種になる。まず,銘柄校の就職率が全体よりも高い就職先を示す筆頭は,金融・保険である。こ の部門では全体が 3 . 3 彩であるのに対し銘柄校では平均約2 4 彩にも及び,実に 7 倍近い就職率で ある。これに次いで官公庁・公務関係が全体の 4 彩に対して銘柄校では国立が約 1 5 彩,私立て約 7 彩と多く,また同じく電気機器で全体が4 . 2 彩であるのに対し銘柄校は 1 1 . 1 彩と 3 倍弱の値に なっている。この他に,比率の絶対値は小さいが,化学工業で銘柄校の比率が全体よりもかなり 高くなっている。次に逆のケースすなわち全体の就業者構成比が銘柄大学の比率よりも高率を示 している業種は,まずサービス業で全体が2 3 彩であるのに対し銘柄校では 8 彩に過ぎず,次いで 小売・商業部門では就業者全体では 2 5 彩とかなり高率であるのに比べ,銘柄校では国立が 6 彩 , 私立が1 4 彩と国立と私立では大きな差異があるけれども総じて,全体よりも低率であるのが目立 つ。また,建設部門は相対的にはこれらに比べると構成比は低いが,それでも全体が1 0 彩である のに比べ,銘柄校は国立・私立の平均で 3 . 2 彩に過ぎず,これは全体の約 3 分の 1 に匹敵し,逆 のケースとしてあえて枚挙しておく。以上,簡単に日本全体の産業別就業者人口比と銘柄大学卒 業生の定期採用分の産業別就職先状況とを対比させながら,その相違点を浮き彫りにする形で吟 味してきたが,明らかになったことは,銘柄大学の学生(俗に優秀な学生と世評で呼ばれている もの)には,傾向として,金融・保険,官公庁・公務,電気機器といった業界に強く惹かれる一 方で,サービス業,商業・小売といった産業を敬遠するという趣向が見受けられる点である。む ろん,ここで銘柄大学と総称しても,その中に例外的現象を示す大学が具体的には存在する。

次に銘柄校の傾向を大学全体と対比しながらみると,産業構造上の構成比ではほとんど差がな いが, ミクロにみると第 3 次産業の中で,金融・保険,運輸,通信・出版の業種への就職率が高 く,サービス業への就職率が極端に低いことを指摘できる。また国立大学銘柄校では,公務・ 官 公庁関係の比率が非常に高く, 逆に私立大学の銘柄校では大学全体の平均比 ( 8 . 4 彩)よりも公 務・官公庁関係への就職率が,関東 ( 5 . 5 彩),中部以西 ( 6 . 2!  彩)ともに低いという対照的現象 も認められ,伝統的な就職先パクーンが温存されていることがわかる。さらに関東地区と関西地 区(中部以西を以下このように呼ぶ)の銘柄校を比較すると,関東では金融・保険に約 3割の学 生が集中するという特異現象が表われているのに対し,関西では商業・小売・サービス関係が多 いという地域的特徴を指摘できる。しかし,このような銘柄校一般の傾向も,個別に各大学毎に その実態をみると変化に富み,その妥当性に疑問符を打てないわけではない。

国立大学,私立大学関東地区,私立大学関西地区の 3 大ジャンルの銘柄大学の就職先を産業別

(18)

6

大学別就職先調査〔国立大・銘柄校〕(彩)

学名東京大京都大1北海道大

I

東北大筑波大1名古屋大1大阪大l九州大 東京工 業大 1一橋大横浜国 立大

神戸大

1

広島大

13大学合計

建食繊

設品維

パルプ・紙 化学工業 石油石炭 ゴム・ガラス・土石 鉄鋼 非鉄金属

機械 電気機器 輸送用機器 精密機器

その他製造 百貨店スーパー

商業 金融

保険

証券 不動産

運輸 電カ・ガス 報道・出版 サービス

官公庁

教育団体その他

第二次産業 第三次産業

1. 7  1. 4  0.6  2.2  0.1  0.5  3.4  0.5  0.4  6.8  2.6  0.3  0.3  0.5  4.5  21. 5  8.5  3.0  1. 1  4.7  2.9  11.0  4.5  15.6  1. 3  20.8  79.1 

3.6  3.5  1. 8  0.2  5.2  〇.4 0.8  2.4  1. 5  0.5  11. 2  4.1  1. 3  0.5  0. 7  4.5  18.0  5.1  1.0  0.8  4.5  2.8  8.8  4.3  9.6  3.0  37.1  62.9 

4.6  4.1  0. 6  0.6  4.2  0.5  1.0  2.1  1. 1  1. 3  11. 6  3.7  1. 3  1.1  1. 3  5.0  11. 1  3.7  2.6  1. 1  2.4  2.8  7.9  7.1  13. 5  2.5  37.6  61. 0 

6871330197838701728868030508 

L5L0&LLa00&2OOL3440OLL6500‑tL 

1136 

3.0  1.8  1. 2  0.2  3.3  0.3  0. 7  1.0  0.5  0.5  11. 5  3.6  1. 2  2.3  1. 8  5.2  9.0  2.6  3.0  1. 7  2.0  1. 6  7.8  10.5  6.7  17.0  30.9  68.9 

2.2  2.1  1. 2  0.1  3.0  0.4  2.7  2.0  1.0  4.3  13.7  5.4 

1.1 

0.6  0.4  5.1  12.1  5.2  2.6  0.3  2.1  2.0  8.1  6.5  9.3  5.9  39.9  59.7 

2.7  2.9  1. 9  0.2  6.3  〇.1  0.8  3.1  2.1  2.9  15.3  5.1  2.3  0.6  0.3  4.8  16.4  5.0  1. 2  0.8  3.4  2.6  6.3  5.4  5.3  2.4  46.1  53.8 

3.4  3.1  0.9  0.9  6.5  1.0  2.4  3.0  0.9  1. 3  12.9  5.0  1. 3  1. 4  0.4  3.5  10.0  4.9  1. 3  0.8  2.1  2.7  5.5  7.6  11. 6  5.1  44.0  55.3 

2.6 

1.1 

0. 8  4.1  0.4  1. 1  2.2  0.8  1. 9  18.3  6. 7  2.2  0.8  0.8  6.3  15.3  6. 7  2.6  1.1  4.5  1. 9  7.5  9.0  0.4  1. 1  42.9  57.1 

0.6  2.3  1. 2  2.5  0.2  0.7  2.3  0.6  4.9  1. 4  0.5  0.1  0.4  8.2  34.1  11. 8  3.7  2.3  2.5  2.4  8.2  3.8  3. 7  1. 3  17.3  82.5 

3.6  2.3  1. 1  0.1  2.1  0.3  1.0  1. 8  0.6  1. 5  14.2  5.2  2.4  1. 7  0.9  4.2  10.3  5.4  2.7  2. 7  2.1  0.9  3. 7  6.4  3.8  18.5  37.8  61. 6 

3.5  2.8  2.2  4.0  0.2  0.9  2.0  0.8  2.0  12.6  3.6  1. 5  0.8  0.9  6.8  14.8  6.3  1.1  0.9  2.3  1. 9  5.5  7.0  5.9  9.2  36.8  62.5 

3.4  2.9  1.0  0.3  4.0  0.4  1.1  1. 6  0.4  1.0  10.5  3.5  1. 2  1. 1  1. 7  2.5  5.8  1. 7  1. 2  0.9  1. 1  0.7  4.6  9.5  9.6  28.1 

2.9  2.8  1. 3  0.2  4.2  0.4 

1.1 

2.3  0.9  1. 3  11. 3  3.9  1. 3  0.9  0.9  4. 7  14.6  5.4  2.0  1. 2  2.7  2.1  7.0  6.6  9.2  8.8  32.4  67.3 34.7  64.8  合計(就職学生数) 理工系学生比1,787  31. 4 1,246  47.4 874  57.6 882 11. 110 

CT 

192 1. 285 ‑268 838 1. 219 1. 487  31. 6 45.1(推)46. 9 57. 4 ̲ 57. 2 100. 

o  I 。 I

31. 4 

32. 3 1,539  38.3 14,725  国立大の銘柄校の指定基準は合格難易度で全学部の偏差値がおおよそ65以上のものとした。リクルートサークル「大学別就職先調べ1990」国公立編,私立編より。

(19)

関西大学「社会学部紀要」第

23

巻第

2号

表 1

大学別就職先調査〔私立大•関東銘柄校〕

( 彩 )

大 学 名 濯臭 1 慶応大 1 明治大 I 立教大 1 畠 夏 I 上智大け!圧 i1 暑 塁 奏 I 中央大 I

9

校計 建 設

2.5  1. 2  3.6  2. 7  2.1  0.2  3.0  0.6  4.4  2. 7 

食 品

2.1  1. 6  3.1  2.8  2.3  2.1  2.1  3. 2  1. 7  2.4 

繊 維

1. 2  1. 2  0.7  1.0  1. 6  0.9  1.  2  0.3  0.6  1.0 

パルプ・紙

0.4  0.1  0.3  0.2  0.5  0.1  0.4  0.3 

化学工業

3.1  2.1  3.7  4.0  2.6  2.4  3.2  2.3 

1 . 1  

3.0 

石油石炭

0.6  0. 7  0.3  0.4  0.4  0.6  0.5  0.4  ゴム・ガラス•土石 1. 4  1. 7  0.9  0.5  〇.9 0.8  1.0  1. 5  0.8  1.  1 

鉄 鋼

1. 7  1. 7  0.7  0.5  0.4  0.8  0.4  0.9  0.4  1.0 

非鉄金属

0.7  0.5  0.4  0.£  0.2  0.5  0.5  0.6  0.2  0.5 

機 械

1.0  0.5  1. 7  0.6  0.9  0.9 

1 . 1  

0.8  1.0 

電気機器

10.7  11. 2  10.5  8.5  8.9  11. 4  12.9  11. 9  17.2  11. 5 

輸送用機器

3.1  3.6  2.6  2.2  2.4  3.2  4.0  1. 2  3.9  3. 1 

精密機器

1. 5  0.9  1. 5  1. 7  1. 4  1. 7  3.4  1. 2  3.4  1. 9 

その他製造

1. 8  〇.8 1. 7  1. 9  1. 2  1.  2  1. 3  2.6  2.0  1. 6 

百貨店・スーパー

2.6  2.8  3.5  4.0  3.4  2.9  3.4  2.6  4.9  3.4 

商 業

6.8  8.1  6.6  9.8  11. 7  8.9  10.3  7.6  4.0  7.8 

金 融

14.4  24.4  11. 2  14.1  19.6  19.0  14.0  15.7  16. 5  15.9 

保 険

8.5  12.0  5.5  8.8  8.6  6.2  6.8  2.6  8.2  8.1 

証 券

3.2  3.9  4.3  4.6  3.8  5.7  5.8  7.9  6.5  4.6 

不動産

1. 8  2.0  1. 7  2. 7  1. 7  1.0  1. 5  0.9  1. 3  1.8 

運 輸

3.3  3.6  1. 9  4.4  3.4  4.5  3.7  5.5  2.2  3.4 

電カ・ガス

1.  5  2.1  0.5  0.3  0.3  0.5  0.9  0.9  1.0 

報道・出版

11. 6  7.1  4.5  7.6  5.1  10.6  5.2  13.4  3.8  7.4 

サービス

7.2  3.1  8.2  10.4  8.4  7.0  6.1  11. 9  7.9  7.3 

官公庁

3.6  1. 6  10. 4  2.1  4.5  2.0  2.3  1. 5  6.6  5.0  教育団体•その他 3.3  0.7  1. 4  3.4  2.9  4.3  4.0  4.4  0.9  2.5 

第二次産業

31.5  27.8,  34.l  127.0  25.4  26.6,  34.9,  26.2,  36.4  31.3 

第三次産業

67. 8  71. 5  64. 5  72. 3  72. 3  72. 7  63. 9  73. 8  63. 6  68. 0 

合 計 I 

6. 335 

3. 637  5,867  2,372  1. 278  1,637  2,614  344 

2. 622 

26. 706 

理工系学生比 I 

15. 1 

1s. 1 

21. 

o  I 

4.9 

7.8 

13.3 

15.9 

1  o  I 

20. s 

関東の銘柄校の指定基準は合格難易度で偏差値がおおよそ6

5

以上のものとした。

に百分率で示したものが,表 6 , 7 ,   8 である。下段の「合計」とは

1990

年度の各大学の就職学 生数である。最下段に参考までにその学生数の中で理工系の学生の占める比率を示してある(た だし,筑波大学については生データでは不明のため,入試要項資料に基づいて推定した数値であ る)。各大学の就職先に影響する要因は,その大学の伝統的背景は無論のこと, 内部事情, 社会 的・経済的環境など多岐にわたるが,ここでは特にそれらの中から学部構成に注目して,理工系 学生の占有率と就職先との関係に限定して考察するためにこの占有率を取りあげてみた。

国立・私立の銘柄校全体の理工系学生の占める学生比とその大学の第 2 次産業への就職者率との

相関は

r=O. 618 

(a 

=O. 05,  0. 347 :s;:p:s;:O. 778)

となり, やはり予想通り, 理工系の学生比率の

表 5 大学卒業者の産業別就職者状況 円1970 fl( 年 四 D 大学ホ業者(年度別) 国立大学 私立大学銘柄校 1 9 7 0  1 9 8 0  1 9 9 0  銘 柄 校 関東地区 中部以西1970 1980 1990  建設業 2
表 8 大学別就職先調査〔私立大•関西銘柄校〕 ( % )   大 学 名 1 関西大廿盟西実 I 贋 虔 1 羞 奥 I 南山大 1 甲南大且配阿癸 I 龍谷大 1 謡南実 I ふ大壽 I 建 設 5
表 9 大学別就職先調査〔国立経済学部銘柄校〕 ( 形 ) 大 学 名 I 東京大1 京都大 I 一橋大且指臭 I 東北大 I 嵐臭 I 大阪大1 神戸大1 九州大1 広島大唇匝咲1 1 1 1 校計 建 設 2
図 3 因子分析による構造図「工学部」 慶 大・ . 東大 早大 A.  •B  横浜・ •  明治 D  c  •F  •E  図 4 産業別就職先パターンの類型「工学部」 クラスター分析によるデンドログラム 東 京 大 早 稲 田 大 慶 応 大 I o.85 5  枠 5 2 7 A  大 B  大 横浜国立大 戸 。 │
+2

参照

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