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第 35 回米国核医学会総会報告

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Academic year: 2021

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(1)

‑ 8 0‑

第 35 回米国核 医学会総会報告

油野 民雄 松田 博史 滝 淳一 横山 邦彦 利波 紀久

3 5

回米 国核 医学会 総 会 は

1 9 8 8

6

1 4

日か

1 7

日 ま で の

4

日 間,サ ン フ ラ ン シ ス コ 市 の

Ge or ge

R.

Mos co ne Conve nt i on Ce nt e r

で,

B Le o nar dHol man

会長 の もとに開催 され た。今年 の発表 は, 口述発 表 が

4 9 5

題, ポスター発 表 が

5 0 5

題 の計

1, 0 0 0

題で あ り, その うちわが国か らの発表 は, 口述32題, ポス ター

4 0

題 の計72題 (全 体 の

7 %)

で あった。われわれ の教室 か ら も,海外 留学 先 での研究成果 の発表

2

題 を含 めて計

9

題 の演題が 採択 され,久 田教授以下

9

名が出席 し,幸 い各 自異 なった領域 を拝聴 したので,池野,松 田,滝,横 山 の諸氏 に, それ ぞれ見聞 しえたなかで興味深か った 発表 について簡 略 に記 して もらった (利波)0

中枢神経系

今 回の

SNM

ne ur ol o gy

に関す る口述発表 は

1 2

セ ッシ ョンの多 きに至 り,核 医学 での この分野 の躍進ぶ りを示 していた。 その うち

SPECT

に関す る ものが

4

セ ッシ ョン,他 は

PET

で あった。

SPECT

で最 も注 目を浴 びたの は,新 しい

9 9 m Tc

標識脳血流 シンチ グラフィ用剤で ある

9 9 m Tc‑ L,L‑

e t hylc ys t e i na t edi me r( ECD)

で ある。本剤 は

Du Pont

社 で開発 された ものであ り, 同種 の薬剤 であ

9 9 m Tc ‑ HM‑ PAO

と比較 す る と次 の ような利点 を 有 す る

。 1)

標識 率 が高 く, しか も標識 後安定 で あ る。2)脳対周囲軟部組織比 が高い。3)灰 白質対 白 質比 が高 い

。4 )2 4

時 間で

7 5 %

以 上 が尿 中 に排滑 され,被曝線量が少 ない。唯一の欠点 としては ( だ し臨床上 は殆 ん ど問題 ない と思 われ るが),脳 よ りの洗 い 出 しの半 減 期 が

1 7

時 間 と

,9 9 m Tc‑HM‑

PAO

の半減期 の

7

1時間 に比 べ短 い ことである。本 剤 は脳 内でただ ちに酵素 によ り脱 エステル化 され水 溶 性 代 謝 物 とな り脳 内 に と ど ま る と報 告 さ れ

。9 9 m Tc ‑ HM‑ PAO

の欠点 の一 つ に,高血流域で の初期 の洗 い出 しが大 き く,結果 として病変部 と健 常部 の コン トラス ト差が低下す る ことが挙 げ られ る

,9 9 m Tc ‑ ECD

は この現象 に も乏 しい と考 え られ, 現時点で は最 も理想 的な脳血流 シンチグラフィ用剤 である。

SPECT

での神 経受容体 イメー ジング も着実 に進 行 してお り,ペ ンシルバ ニア大学 の

Kung

らは ドー パ ミンDl,お よびD2に選択 的 なア ンタゴニ ス トで ある

I BGP

お よび

I BGM

123で標識 し,サル脳 に お けるそれぞれの像 を示 した。 またオース トリアの

Daut h

らは123標識

Ro1 6 ‑ 01 5 4

を もちいて ヒ ト脳 でのベ ンゾダイ アゼ ピン受容体 のイメー ジを示 し, い よい よ

SPECT

による神経受容体 イメー ジングが 本格 的 に着手 された と言 える。

SPECT

装置 も

FWHM 7mm

級 の ものが市販 さ れ るようにな り, さらに

SPECT

脳核医学が発展す る もの と思 われ る

。PET

の分野 で も受容体 イメー ジングの臨床 が非 常 に盛 ん になってお り

,PET

SPECT

への還元 によ り一般病院で も受容体 イメ ー ジが得 られ る日はそ う遠 くないで あろう (松 田)0

心 臓

今年 の

SNM

での心臓 の分野 で個人 的 に注意 を引 いた もの として

,1 )VEST

(持続心機能モニ ター) を用 いての心機能評価

,2 )

心筋

vi a bi t i t y

の評価,

3 )Ant i myo s i n

による急性心筋壊死 の評価

,4 )

Re po r to f3 5 t hannualme e t i ngofSNM i n1 9 8 8

Abur a noTami o,Ma t s udaHi r o s hi ,TakiJ uni c hi ,Yokoya maKuni hi koandTo na miNor i hi s a De p a r t me n to fNu c l e a rMe d i c i n e , S c h o o lo fMe d i c i n e , Ka n a z a waUn i v e r s i t y

金沢大学医学部核医学科

〒9 2 0

金沢市宝町

1 3 ‑ 1

(2)

種疾患 における

MI BG

による心筋 の病態評価

,5 ) FFA

による心筋脂肪酸代謝の評価

,6 )I s o ni t r i l

よる心筋血流の評価, な どがあった。

ve s t

は,今年 は演題数が大幅 に増 えて一 つのセ ッションを形成す るに至 り, ようや く普及 しつつあ る といった印象 を受 けた。内容的 には,非常 に基礎 的な ものか ら臨床応用 にまで踏 み込 んだ もの まで さ まざまであった。得 られ る

EF

値 は,ガ ンマカメラ と比較 して安静時 お よび運動負荷時 において もよ く 一致 し,十分 に臨床応用可能であった との基礎的検 討報告や,虚血性心疾患 においてその重症度や病態 解明 に有用 であった との臨床的報告がなされ,今後 の臨床応用が ます ます期待 され る。

心筋

Vi a bi l i t y

の評価 は,臨床 的に もっ とも興味 のある ところであ り, また重要な問題 で もあ る。現 在の ところ,

T1 ‑ 2

01の再分布の有無 によ り

Vi a bi l ‑ i t y

を評価 しているが,再分布 のない欠損部や集積 低下部 においてはすべてが梗塞 を意味する ものでな く,虚血で も同様 の所見 を呈する ことが以前か ら問 題点 として指摘 されていた

。T

lで

f i xe dde f e c t

示 した部位 に

,PET

FDG

の集積 を認 める例が かな りある との報 告が い くつかの施 設 に よ りな さ

,f i xe dde f e c

tは必ず しも心筋 の繊維化 を意味す るものでない ことが示 された。 しか し

PET

は限 ら れた施設 に しか な く, よ り簡単 な評価 法 が望 まし い。 その点で興味 をもたれた方法 は,運動負荷心筋 シンチグラフィにおける

de l aye di ma ge

2 4

時間 後 に とるか, また は

3

時間のイメー ジング時 に

Tl

を追加投与 す るかである。 この方法 によれば,通常 の方法で

f i xe dde f e c t

を示 した部位 にかな りの頻度 で再分布が み られた とが報告 された

。PET

を もた ない施設では

,poo rme n' sme t hod

として

,vi a bi 1 ‑ i t y

を診断す る有用 な方法 と思われ る。

ト1 2 3MI BG

は心筋の

adr e ne r gi cne ur onde ns i t y

の分布 をイメージング化す るものであるが,虚血時 では

T

lよ り

MI BG

の方が よ り鋭敏 に異常 を示 し,

MI BG

was hout

の程度 は

r e pe r f us i o n

によ り生

じる

ar r hyt hmi a

の発現頻度 に良 く相関す るとの動 物実験報告や,心不全で集積が低下する との臨床報 告等

,T

lとの併用 な どで今後益々興味深 いデータ が期待 され る もの と思われる。 さらにい くつかの新 しい心筋血 流や代謝 イメー ジング用 剤 の報 告 もあ り,今後 の発喪が期待 された (滝)。

核医学画像診断 Vol . 3No . 21 9 8 8 .1 0 . ‑ 8 1‑

腫癌 (

MoAb)

モ ノクローナル抗体

( Mo Ab)

を用いた腰痛核医 学 の 一 般 演 題 数 は,前 年 度 よ り さ ら に増 加 し,

MoAb

と題 されたセ ッシ ョンだけで も

1 4

にのぼっ た。本年度 は

,1 )r a di oi mmuno t he r apy( RI T)

臨 床 的 検 討

,2)human ant i mous e ant i body

( HAMA)

の問題 と解決法の検討

,3 )1 1 1 I n

標識抗 体 の肝摂取機序 の解明,4)

9 9 m Tc

標識抗体 の臨床 応用が特筆 され るべ き傾向であった と思われ る。

まず

,1 )RI T

に関 してであるが,昨年お よび一 昨年 と比 べ て

,RI T

関連 の演題 数が著増 した。 こ れ は,動物実験や前臨床段階の可能性 を模索 してい た頃か ら一歩前進 し,徐々 に,臨床応用 さらに実用 段 階 へ と移 行 しつ つ あ る。 と りわ け

Ear l y

Badge r

らは小数例 なが ら, はじめて完全寛解 を報 告 した

。DeNar do

らのグル ープ と同様 に,放射線 感受性の高いB細胞 リンパ腫 を標 的 とした ことが好 結果 につなが った と思われ る。ただ し, うち

1

例 は 骨髄移植 を必要 とした ことよ り,現状 で は殺細胞効 果 を期 待 し う る 吸 収 線 量 は,同 時 に

mar r ow oxi c i t y

の域 を こえる投与量 によっては じめて実現 され るとい う二律背反 を解消 していない。 よ り腫癌 への選択性の高い抗体 の開発が望 まれ るが,姑息的 解決策 としては, この ような骨髄移植やイ ンター ロ イキ ン

I( I L‑

I)の併用が検討 されている0

2 ) HAMA

の免疫応答 は, ヒ ト型 のモノクロー ナル

( b‑ Mo Ab)

を用いることで軽減 され ることが 予 想 さ れ て き た (本 誌

2

,1 9 8 7

年)。 そ の 際,

ant i i di o t ypi c

また は

a nt i al l ot ypi cr e s pons e

が どの 程 度 の弊 害 をお よぼす か が,鍵 とされ た。今 回,

Car r as qui l l o

によって

,h‑ Mo Ab

の投与 を うけた

1 6

例 で

humanant i humana nt i body( HAHA)

の生 成が一例 もみ られなか った との成績がだ された。 ほ ぼ同一の発表が本年

2

月の

SanDi e go

の シンポジ ウムで報告 されているためイ ンパ ク トは若干弱 い も の の,非常 に大 きな朗 報 で あ る こ とに変 りな く,

MoAb

の人体応用への道標 が確 立 した とい って も 過言で はない。

本学会 で注 目されたひ とつ に

,1 1 1 I n

標識抗体 の 肝摂取機構 に関す る演題 だけで1つのセ ッションが 設 け られた ことがあげ られ る。 この間題 に対す る関 心 の高 ま りを示す もの とい えるが

,1 1 1 I n

の高 い肝 摂取 と肝での停滞 の機序が不明であった ものの,絹 谷 らの リソゾ‑ムへの

t r a ns c he l at i o n

を示 した報

(3)

‑ 8 2‑

告 は注 目された

。4) 9 9 の Tc

標識抗体 の成否 は,人 体内で至適の腫癌対非腫癌の放射能 コン トラス トを 達 成 し得 るか に依 って い た (本 誌

2

,1 9 8 6

年)

,Fr i t z be r g

らの

N2 S

2化合物 ばか りで な く,

Sc hwa r z

の方法で も,臨床 レベルで良好 な腫癌 の 描画 を呈示 していた。それぞれに非特異的集積 ( 者 は甲状腺,腎,後者 は肝)が み られ る もの

,9 9 m Tc

標識

MoAb

が実用段階へ移行 しつつあることを 実感 させた。抗体が第二世代 に入 ってきてお り,そ の標識のための

l i nke rt e c hnol ogy

も既存の諸問題 を解決 しつつあ り, また種々の

BRM

との組 み合せ

b‑ Mo Ab

の使用 により副作用の低減 もはかって いることより,今回の

SNM

を通 じて, この領域の 是否 はここ数年で結著 しそうな, そんな "煮つ まっ た''印象 を大いにうけた。 また とくに治療の方面で

,c l i ni c alt r i al

による成績 と実績の積 み重ね もさ ることなが ら,理論的裏付 けが急務であるが,その 努力

( mi c r odos i me t r y)

が着実に見 られていること

は喜 ばしい限 りである (横 山)0

消化器,泌尿器,その他

私が従来 より主 として関心のあるのは,腫癌核医 学,消化器核医学,泌尿器核医学であるが,腫癌核 医学 に関 しては横 山が述べたので消化器核医学,泌 尿器核医学 に関 して記す ことにす る。

消化器核 医学 で は,第

3

日目の早朝 に

r e vi e w c o ur s e

として最近注 目されている消化管 の運動機 能 に関する評価法が, トピックとして取 りあげ られ た。食道通過時間,胃食道逆流,胃排出時間,十二 指腸 胃逆流,小腸通過時間,大腸通過時間の各検査 方法の実際,お よび臨床 的意義 に関 し紹介 された が, この分野 は最近我々の施設で も消化器内科およ び外科 よりの依頼が増加 しているだ けに,非常 に興

味深い ものであった。周知の如 く,上記消化管運動 機能の各検査方法では,使用する放射性医薬品およ びデータの測定条件が各検査法で異 なるだけに,核 医学専門家 を標傍す るもの としては,各検査法の詳 細 を熟知 してお く必要性 を感 じた (詳細 は紙面の都 合上省略)。一般演題では,肝移植後拒絶反応の評 価 に

,de c o nvol ut i o na nal ys i s

法で

bol us

注入補正 を行 なった後,ガ ンマ関数 により一回循環か ら全肝 血流量 に対する門脈血流量比 を求 める方法が報告 さ れた。従来,生検以外 には,肝移植後の合併症 とし て,拒絶反応 とウイルス感染 による肝細胞機能低下 との鑑別 は困難であるとされて きただけに,拒絶反 応 に特異的に減少す るとの報告 は特記すべきもので あった。

泌尿器核医学で は,腎動脈狭窄 を評価する手段 と して,アンジオテンシン変換酵素抑制薬であるカプ トプ リルを投与 した報告や

,de c onvol ut i o n a nal y‑

s i s

法 により

RI

の腎実質通過時間 を求 める報告が 今年 もい くつかみ られた。 この中で注 目すべ きは, カプ トプ リル投与後の

GFR

低下が,腎機能低下 を 伴 う腎動脈狭窄以外の腎疾患で も認 め られるとの報 告である。腎血管性高血圧の診断や,

PTA

治療 の 腎動脈狭窄の改善度 を評価す る手段 としてのカプ ト プ リル投与

9 9 m Tc‑ DTPA

レノグラフイの有用性 は 低下 しない ものの,腎血管性高血圧 に対す る診断的 特異性 を考慮す る場合 には,注意 を要するもの と思 われる。

その他の分野では,炎症巣の検 出にモノクローナ ル抗体 を用いた研究発表がい くつかみ られた。その 中で

,CEA

関連抗体 である抗 白血球モノクローナ ル抗体の臨床応用で,炎症巣が明瞭 に描出されてい たのが印象に残 った (油野)0

参照

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