奈良教育大学学術リポジトリNEAR
ハイパー群の双対と幾何学的双対
著者 親木 翔平
発行年 2017‑03‑24
URL http://hdl.handle.net/10105/00012843
平成 28 年度修士論文
ハイパー群の双対と幾何学的双対
奈良教育大学大学院
教育学研究科 修士課程 教科教育専攻 数学教育(情報を含む)専修 河上研究室
153302 親木翔平
目 次
1
はじめに3
2
準備3
3
正多胞体上のランダムウォークから得られるハイパー群と幾何学的双対4 3.1 正多胞体の定義 . . . . 4 3.2 正多角形 , 正多面体上のランダムウォークから得られるハイパー群 . . 6
4
具体例8
4.1 D が正多角形の場合 . . . . 9 4.2 D が正多面体の場合 . . . . 9 4.3 D が 4 次元の正多胞体の場合 . . . . 11 5
一元生成有限可換一般分岐則代数から得られるグラフ14 5.1 一般分岐則代数 F n から得られるグラフ K n+1 . . . . 18
6
おわりに20
1 はじめに
本論文では , 「ハイパー群の双対と幾何学における双対との関係」について考察 を行った .
ハイパー群の公理は 1975 年頃に C. F. Dunkl, R. I. Jewett, R. Spector によって 確立された . その後 , ハイパー群に関する様々な研究が盛んにされている .
多くのグラフや図形上の対称ランダムウォークを考えると , 有限可換ハイパー群が 得られることが知られている . さらに , ハイパー群 , 正多角形 , 正多面体 , それぞれに おいて「双対」という概念が存在する .
一方 , 多くの一元生成のハイパー群 K の既約 ∗ - 作用 α に付随して , K の生成元 c 1
を用いて α(c 1 ) からグラフが得られる . しかしながら , α(c 1 ) を定数倍などをする必 要があった .
以上のような背景から, ハイパー群とグラフとの関係について, 一元生成有限可換 一般分岐則代数の表現を用いて , 研究を進めてきた . 本論文では , 有限可換ハイパー 群とグラフの関係について考察した結果を報告する . また , それぞれの双対の関係に ついて得られた結果を報告する.
第 3 章では , 正多角形や正多面体上の対称ランダムウォークを考えることによって 得られるハイパー群について考察を行う . 例えば正多面体を D としたとき ,
• K 0 (D) : D の各頂点から辺を共有している頂点へと等確率で動くランダム
ウォークから得られるハイパー群
• K 2 (D) : D の各面から辺を共有している面へと等確率で動くランダムウォー
クから得られるハイパー群
とすれば , ハイパー群接合和を用いて K (D) := K 0 (D) ∨ K \ 2 (D) と定義したとき ,
\ K (D) ∼ = K ( D) b が成立する . 左辺がハイパー群における双対であり , 右辺が幾何学に おける双対を表していることが特徴である .
第 4 章では , 前章の具体例を示す . さらに , ハイパー群の構造式がどのようになっ ているのかも記述する . 一部ではあるが , 高次元の正多胞体についても定理が成立し ている例とその構造式を挙げる .
第 5 章では , グラフとハイパー群の関係を述べるために必要な一元生成有限可換一 般分岐則代数の導入を行う. F を正規化して得られるハイパー群を用いてハイパー 群とグラフとの関係を考察した .
2 準備
定義
1 (有限ハイパー群).
有限集合 K = { c 0 , c 1 , . . . , c n } に対して , K を基底とする代数的な線形空間を C K :=
{ µ =
∑ n k=0
a k c k : a k ∈ C }
とおく . C K において , 合成積 ◦ と対合 ∗ が定義されていて ,
(H1) C K は c 0 を単位元とする , 結合律を満たす ∗ -algebra.
(H2) c i , c j ∈ K に対し , c i ◦ c j =
∑ n k=0
a k ij c k であり , a k ij ∈ R + ,
∑ n k=0
a k ij = 1.
(H3) K が対合 ∗ で不変である. c ∗ i = c j であるための必要十分条件は c 0 ∈ supp(c i ◦ c j ).
を満たすとき , K = (K, C K, ◦ , ∗ ) は有限ハイパー群と呼ばれている . さらに , 合成積
◦ に関して可換であるとき , 有限可換ハイパー群と呼ばれている . 位数が 2 のハイパー群 K はパラメーター q (0 < q ≦ 1) を用いて,
K = { c 0 , c 1 } , c 2 1 = qc 0 + (1 − q)c 1 . の形で表され, このハイパー群を Z q (2) と表す.
3 正多胞体上のランダムウォークから得られるハイパー 群と幾何学的双対
まず本章で重要な概念となる , 用語の定義を述べる .
定義2 ( ハイパー群の指標 ).
有限可換ハイパー群 K に対して, C K 上の複素数値関数 χ が次を満たすとき, 関数 χ をハイパー群の指標という .
1. K の単位元 c 0 に対して , χ(c 0 ) = 1
2. c i .c j ∈ K に対して, χ(c i ◦ c j ) = χ(c i )χ(c j ) 3. χ(αc i ) = αχ(c i )
4. χ(c ∗ i ) = χ(c i )
また , 自明な指標を χ 0 と表す .
定義
3 ( 強ハイパー群 , Pontryagin ハイパー群 ).
ハイパー群 K の指標全体の集合を K b とする. K b は一般にハイパー群になるとは限 らない . K b がハイパー群となるとき , K は強ハイパー群とよばれている .
このとき , 双対性 K ∼ bb = K が成り立つので , K は Pontryagin ハイパー群と呼ばれて いる.
3.1 正多胞体の定義
定義
4 (n 次元空間内の n 次元多胞体の n 次元面の中心 O n ).
n 次元多胞体は 0, 1, 2, . . . , n 次元面により構成されている. この n 次元多胞体の中
心 O n を次のように帰納的に定義する .
1. 0 次元多胞体の中心は唯一存在し , それは 0 次元多胞体自身とする .
2. 点 O n は各 i 次元面の中心 O i (0 ≤ i ≤ n − 1) から点 O n までの距離がそれぞ れ等しい点である .
定義
5 (n 次元空間内の n 次元正多胞体 D).
n (n ≥ 1) 次元空間のコンパクト部分集合 D が n 次元空間内の n 次元正多胞体で あるということを次のように帰納的に定義する .
1. 0 次元面(点)は 0 次元正多胞体とする . 2. 有限個の超平面で囲まれている .
3. 中心 O n が存在する .
4. 各 i (0 ≤ i ≤ n − 1) 次元面はすべて i 次元の正多胞体である.
ただし , 超平面とは , c を定数 , a i ∈ R とし , 次式で表される点 (x 1 , x 2 , . . . , x n ) の集 合である .
∑ n i=1
a i x i = c
本論文では , 主に , n = 2, 3 の場合つまり , 正多角形 , 正多面体の場合について考察 した .
定義
6 ( 正多角形 D の双対 D). b
D を正多角形とする . D の各 1 次元面(辺)の中心を結び , それを 1 次元面(辺)
とするような正多角形を D b とする.
この定義から直ちに次の系が得られる .
系1.
任意の正 n 角形 D n はそれ自身と双対である. つまり, D c n = D n .
定義7 ( 正多面体 D の双対 D). b
D を正多面体とする . D の各 2 次元面(面)の中心を結び , それを 1 次元面(辺)
とするような正多面体を D b とする.
この定義から直ちに次の系が得られる .
系2.
面の数が n である正多面体を D n とすると , 次式が成立する .
D c 4 = D 4 , D c 6 = D 8 , D c 8 = D 6 , D d 12 = D 20 , D d 20 = D 12
.
3.2 正多角形 , 正多面体上のランダムウォークから得られるハイパー 群
正多角形上のランダムウォークから得られるハイパー群および , 正多面体上のラ ンダムウォークから得られるハイパー群をそれぞれ次のように定義する .
定義
8 ( K 0 (D), K 1 (D)).
D を正多角形とする . 正多角形 D 上のランダムウォークから得られるハイパー群 K 0 (D), K 1 (D) をそれぞれ次のように定義する .
• K 0 (D) : D の各頂点から辺を共有している頂点へと等確率で動くランダム
ウォークから得られるハイパー群
• K 1 (D) : D の各辺から頂点を共有している辺へと等確率で動くランダムウォー
クから得られるハイパー群
すると , K 0 (D), K 1 (D) は Pontryagin ハイパー群となることが実際に計算すること で確認できる.
全ての正多角形 D から K 0 (D) および , K 1 (D) が得られることは確認できる . 同様 に , 正多面体上のランダムウォークを次のように定義する .
定義
9 ( K 0 (D), K 2 (D)).
D を正多面体とする .
• K 0 (D) : D の各頂点から辺を共有している頂点へと等確率で動くランダム
ウォークから得られるハイパー群
• K 2 (D) : D の各面から辺を共有している面へと等確率で動くランダムウォー
クから得られるハイパー群
すると , K 0 (D), K 2 (D) は Pontryagin ハイパー群となることが実際に計算すること で確認できる .
全ての正多面体 D から K 0 (D) および , K 2 (D) が得られることは実際に計算するこ とで確認できる .
定義
10 (ハイパー群接合和).
2 つの有限ハイパー群 H = { h 0 , h 1 , . . . , h m } , L = { ℓ 0 , ℓ 1 , . . . , ℓ n } に対して ,
H ∨ L = { h 0 , h 1 , . . . , h m , ℓ 1 , ℓ 2 , . . . , ℓ n } とおく . このとき , H ∨ L 上の合成積 ◦ を以 下で定義する.
h i ◦ h j := h i ◦ H h j , h i ◦ ℓ j := ℓ j ,
ℓ j = ℓ ∗ i のとき , つまり , ℓ i ◦ L ℓ j = a 0 ij ℓ 0 +
∑ n k=1
a k ij ℓ k のとき ,
ℓ i ◦ ℓ j := a 0 ij ω H +
∑ n k=1
a k ij ℓ k ,
ℓ j ̸ = ℓ ∗ i のとき , ℓ i ◦ ℓ j := ℓ i ◦ L ℓ j .
ただし , ◦ H , ◦ L はそれぞれハイパー群 H , L の合成積 , ω H は H の不変測度である . つまり,
ω H :=
∑ n i=0
w(c i ) w(K) c i
このとき, H ∨ L はハイパー群となり, このハイパー群は H の L によるのハイパー 群接合和と呼ばれている .
以上の準備の元 , 次の定理が得られた .
定理
1 (ハイパー群の双対と幾何学的双対との関係).
1. D を正多角形とする . K 0 (D) の K \ 1 (D) によるハイパー群接合和 K 0 (D) ∨ K \ 1 (D) を K (D) とする . この状況の下で次が成立する .
\ K (D) ∼ = K ( D) b
2. D を正多面体とする . K 0 (D) の K \ 2 (D) によるハイパー群接合和 K 0 (D) ∨ K \ 2 (D) を K (D) とする. この状況の下で次が成立する.
\ K (D) ∼ = K ( D) b
この定理では , 左辺における双対は , ハイパー群の双対を表しており , 右辺におけ る双対は , 幾何学における双対を表しており , それらの関係を示しているのが本定理 の特徴である. この定理の証明に必要な補題を述べる.
補題
1 ( 正多角形 , 正多面体の双対とランダムウォークから得られるハイパー群との 関係 ).
1. D を正多角形とするとき以下が成立する .
K 0 (D) ∼ = K 1 ( D) b (1) 2. D を正多面体とするとき以下が成立する .
K 0 (D) ∼ = K 2 ( D) b (2)
証明
.
式 (1), (2) はそれぞれ , 正多角形 , 正多面体の双対の定義から従う . また , 実際にハ イパー群の構造式を求めることでも確認できる.
上記の補題 1 を用いて定理 1 を証明する .
定理
1
の証明.
1. D が正多角形の場合
\ K (D) = K 0 (D) \ ∨ K \ 1 (D)
= K \ \ 1 (D) ∨ K \ 0 (D) ( ∵ K ∨ L \ = L ∨ b K b )
= K 1 (D) ∨ K \ 0 (D) ( ∵ K ∼ bb = K )
= K 0 ( D) b ∨ K \ 1 ( D) ( b ∵ 補題 1 より)
= K ( D) b 2. D が正多面体の場合
\ K (D) = K 0 (D) \ ∨ K \ 2 (D)
= K \ \ 2 (D) ∨ K \ 0 (D) ( ∵ K ∨ L \ = L ∨ b K b )
= K 2 (D) ∨ K \ 0 (D) ( ∵ K ∼ bb = K )
= K 0 ( D) b ∨ K \ 2 ( D) ( b ∵ 補題 1 より )
= K ( D) b
次に具体的な例を通して , 上記の定理が成立していることを確認する .
4 具体例
補題
2.
ハイパー群 K の指標表が対角線に関して対称ならば , K ∼ b = K が成立する . つまり , χ i (c j ) = χ j (c i ) ならば K ∼ b = K .
証明
.
ハイパー群の指標の定義より , χ i (c j ◦ c k ) = χ i (c j )χ i (c k ) であり , χ i (c j ◦ c k ) = χ i
( n
∑
ℓ=0
a ℓ jk c ℓ )
=
∑ n ℓ=0
a ℓ jk χ i (c ℓ ) =
∑ n ℓ=0
a ℓ jk χ ℓ (c i ) χ i (c j )χ i (c k ) = χ j (c i )χ k (c i ) = (χ j χ k )(c i )
よって ,
χ j χ k =
∑ n ℓ=0
a ℓ jk χ ℓ
以上より題意は示された .
4.1 D が正多角形の場合
例
1 (D が正方形の場合 ).
まず , K 0 (D) = { h 0 , h 1 , h 2 } の構造式は h 2 1 = 1
2 h 0 + 1
2 h 2 , h 1 h 2 = h 2 h 1 = h 1 , h 2 2 = h 0 .
また , 指標表を求めると , 対称になっているので , K \ 0 (D) ∼ = K 0 (D) となる . さらに , K \ 1 (D) に関しては , 補題 1 より ,
K \ 1 (D) = K \ 0 ( D) = b K \ 0 (D)
となるので , K \ 1 (D) ∼ = K 0 (D) である . よって , それらのハイパー群接合和をとった K (D) = K 0 (D) ∨ K \ 1 (D) = { h 0 , h 1 , h 2 , ℓ 1 , ℓ 2 } の構造式は次のようになる.
h 2 1 = 1
2 h 0 + 1
2 h 2 , h 1 h 2 = h 2 h 1 = h 1 , h 2 2 = h 0 , h i ℓ j = ℓ j , ℓ 2 1 = 1
8 h 0 + 2
8 h 1 + 1
8 h 2 + 1
2 ℓ 2 , ℓ 2 2 = 1
4 h 0 + 2
4 h 1 + 1
4 h 2 , ℓ 1 ℓ 2 = ℓ 2 ℓ 1 = ℓ 1 . 次に , このハイパー群 K (D) の指標表を求めると , 次の表 1 のようになる .
表 1 が対称になっているので, \ K (D) ∼ = K (D) が成り立つ.
表
1: K (D)
の指標表h 0 h 1 h 2 ℓ 1 ℓ 2
χ 0 1 1 1 1 1
χ 1 1 1 1 0 − 1
χ 2 1 1 1 − 1 1 χ 3 1 0 − 1 0 0 χ 4 1 − 1 1 0 0
そして今, D b = D なので,
\ K (D) ∼ = K ( D) b
となり定理の成立が確認できる. 他の正多角形に関しても同様である.
4.2 D が正多面体の場合
例
2 (D が正四面体の場合 ).
K 0 (D) = { h 0 , h 1 } , h 2 1 = 1
3 h 0 + 2 3 h 1 , K \ 2 (D) ∼ = K \ 0 ( D) = b { ℓ 0 , ℓ 1 } , ℓ 2 1 = 1
3 ℓ 0 + 2
3 ℓ 1 .
となるので , K (D) = K 0 (D) ∨ K \ 2 (D) = { h 0 , h 1 , ℓ 1 } とすると , 構造式は次のように なる.
h 2 1 = 1
3 h 0 + 2
3 h 1 , h 1 ℓ 1 = ℓ 1 , ℓ 2 1 = 1
12 h 0 + 3
12 h 1 + 2 3 ℓ 1 . 次に , このハイパー群の指標表を求めると , 次の表 2 のようになる .
これが対称になっているので, \ K (D) ∼ = K (D) が成り立つ.
表
2: K (D)
の指標表h 0 h 1 ℓ 1 χ 0 1 1 1 χ 1 1 1 − 1 3 χ 2 1 − 1 3 0
そして今 , D b = D なので
\ K (D) ∼ = K ( D) b となり定理の成立が確認できる .
例
3 (D が正六面体の場合 ).
K 0 (D) = { h 0 , h 1 , h 2 , h 3 } の構造式は h 2 1 = h 2 2 = 1
3 h 0 + 2
3 h 2 , h 2 3 = h 0 , h 1 h 2 = h 2 h 1 = 2
3 h 1 + 1 3 h 3 , h 1 h 3 = h 3 h 1 = h 2 , h 2 h 3 = h 3 h 2 = h 1 .
また , K \ 0 (D) = { ℓ 0 , ℓ 1 , ℓ 2 } の構造式は ℓ 2 1 = 1
2 ℓ 0 + 1
2 ℓ 1 , ℓ 2 2 = 1 3 ℓ 0 + 2
3 ℓ 1 , ℓ 1 ℓ 2 = ℓ 2 ℓ 1 = ℓ 2 .
したがって, K (D) = K 0 (D) ∨ K \ 2 (D) = { h 0 , h 1 , h 2 , h 3 , ℓ 1 , ℓ 2 } の構造式は次のように なる .
h 2 1 = h 2 2 = 1
3 h 0 + 2
3 h 2 , h 2 3 = h 0 , h 1 h 2 = h 2 h 1 = 2
3 h 1 + 1 3 h 3 , h 1 h 3 = h 3 h 1 = h 2 , h 2 h 3 = h 3 h 2 = h 1 ,
ℓ 2 1 = 1
16 h 0 + 3
16 h 1 + 3
16 h 2 + 1
16 h 3 + 1 2 ℓ 1 , ℓ 2 2 = 1
24 h 0 + 3
24 h 1 + 3
24 h 2 + 1
24 h 3 + 2
3 ℓ 1 , ℓ 1 ℓ 2 = ℓ 2 ℓ 1 = ℓ 2 , h i ℓ j = ℓ j . よって , 指標表は表 3 のようになる . そして , この指標表から K \ (D) の構造式は次の ようになる .
χ 2 1 = 1
4 χ 0 + 2
4 χ 1 + 1
4 χ 2 , χ 2 2 = χ 0 , χ 1 χ 2 = χ 2 χ 1 = χ 1 ,
表
3: K (D)
の指標表h 0 h 1 h 2 h 3 ℓ 1 ℓ 2
χ 0 1 1 1 1 1 1
χ 1 1 1 1 1 − 1 2 0
χ 2 1 1 1 1 1 − 1
χ 3 1 1 3 − 1 3 − 1 0 0 χ 4 1 − 1 3 − 1 3 1 0 0 χ 5 1 − 1 1 − 1 0 0
χ 2 3 = χ 2 4 = 1
18 χ 0 + 4
18 χ 1 + 1
18 χ 2 + 2
3 χ 4 , χ 2 5 = 1
6 χ 0 + 4
6 χ 1 + 1 6 χ 2 , χ 3 χ 4 = χ 4 χ 3 = 2
3 χ 3 + 1
3 χ 5 , χ 3 χ 5 = χ 5 χ 3 = χ 4 , χ 4 χ 5 = χ 5 χ 4 = χ 3 , χ i χ j = χ j (i = 0, 1, 2, j = 3, 4, 5).
この構造式は確かに K ( D) b の構造式と一致しているので ,
\ K (D) ∼ = K ( D) b
となり定理の成立が確認できる . K ( D) = b { h 0 , h 1 , h 2 , ℓ 1 , ℓ 2 , ℓ 3 } の構造式は以下で ある .
h 2 1 = 1
4 h 0 + 2
4 h 1 + 1
4 h 2 , h 2 2 = h 0 , h 1 h 2 = h 2 h 1 = h 1 , ℓ 2 1 = ℓ 2 2 = 1
18 h 0 + 4
18 h 1 + 1
18 h 2 + 2
3 ℓ 2 , ℓ 2 3 = 1
6 h 0 + 4
6 h 1 + 1 6 h 2 , ℓ 1 ℓ 2 = ℓ 2 ℓ 1 = 2
3 ℓ 1 + 1
3 ℓ 3 , ℓ 1 ℓ 3 = ℓ 3 ℓ 1 = ℓ 2 , ℓ 2 ℓ 3 = ℓ 3 ℓ 2 = ℓ 1 , h i ℓ j = ℓ j .
4.3 D が 4 次元の正多胞体の場合
4 次元の場合 , 正多胞体は 6 つに限ることが知られており , 各多胞体における i 次 元面の数 N i は次の表 4 のようになっている . さらに , 次のそれぞれの正多胞体のペ アが双対の関係にあることも知られている.
1. 自己双対関係にある:正五胞体 , 正二十四胞体
2. 双対関係:正十六胞体と正八胞体 , 正六百胞体と正百二十胞体
例4 (D が正五胞体の場合 ).
D の 0 次元面と 1 次元面との接続の仕方をグラフで表すと , 完全グラフ K 5 となる . K 0 (D) ∼ = K 3 ( D) b となる . さらに , 完全グラフ K n+1 からはハイパー群 Z
1n
(2) が得ら れるので , K 0 (D) ∼ = Z
14
(2) である . したがって , K d (D) = { χ 0 , χ 1 , χ 2 } の構造式は次 の通りであり , 定理の成立が確認できる .
χ 2 1 = 1
4 χ 0 + 3
4 χ 1 , χ 1 χ 2 = χ 2 χ 1 = χ 2 , χ 2 2 = 1
20 χ 0 + 4
20 χ 1 + 3
4 χ 2 .
表
4: 4
次元の正多胞体のi
次元面N i
の個数多胞体 N 0 N 1 N 2 N 3 N 4 正五胞体 5 10 10 5 1 正十六胞体 8 24 32 16 1 正二十四胞体 24 96 96 24 1 正六百胞体 120 720 1200 600 1 正八胞体 16 32 24 8 1 正百二十胞体 600 1200 720 120 1
例
5 (D が正十六胞体の場合 ).
次に , D が正十六胞体の場合について . この場合 , 0 次元面の個数は 8 個であり , 1 次元面の個数は 24 個である . 接続の仕方を平面グラフに表すと , 次の図 1 のように なる . したがって , K 0 (D) = { h 0 , h 1 , h 2 } の構造は次のようになる .
図
1: D
が正十六胞体の平面グラフh 2 1 = 1
6 h 0 + 4
6 h 1 + 1
6 h 2 , h 1 h 2 = h 2 h 1 = h 1 , h 2 2 = h 0 .
次に, K \ 3 (D) については, K 3 (D) ∼ = K 0 ( D) b となり, D b は正八胞体である. したがっ て , K 3 (D) = { ℓ 0 , ℓ 1 , ℓ 2 , ℓ 3 , ℓ 4 } の構造式は次のようになる .
ℓ 2 1 = 1 4 ℓ 0 + 3
4 ℓ 2 , ℓ 1 ℓ 2 = ℓ 2 ℓ 1 = 1 2 ℓ 1 + 1
2 ℓ 3 , ℓ 1 ℓ 3 = ℓ 3 ℓ 1 = 3 4 ℓ 2 + 1
4 ℓ 4 , ℓ 1 ℓ 4 = ℓ 4 ℓ 1 = ℓ 3 , ℓ 2 2 = 1
6 ℓ 0 + 4 6 ℓ 2 + 1
6 ℓ 4 , ℓ 2 ℓ 3 = ℓ 3 ℓ 2 = 1 2 ℓ 1 + 1
2 ℓ 3 , ℓ 2 ℓ 4 = ℓ 4 ℓ 2 = ℓ 2 , ℓ 2 3 = 1
4 ℓ 0 + 3
4 ℓ 2 , ℓ 3 ℓ 4 = ℓ 4 ℓ 3 = ℓ 1 , ℓ 2 4 = ℓ 0 .
これより K 3 (D) の指標表は表 5 のように対称になる. よって K \ 3 (D) ∼ = K 3 (D). これ らより , K (D) = K 0 (D) ∨ K \ 3 (D) = { h 0 , h 1 , h 2 , ℓ 1 , ℓ 2 , ℓ 3 , ℓ 4 } の構造式は以下のように なる .
h 2 1 = 1
6 h 0 + 4
6 h 1 + 1
6 h 2 , h 1 h 2 = h 2 h 1 = h 1 , h 2 2 = h 0 , h i ℓ j = ℓ j , ℓ 2 1 = ℓ 2 3 = 1
32 h 0 + 6
32 h 1 + 1
32 h 2 + 3
4 ℓ 2 , ℓ 2 2 = 1
48 h 0 + 6
48 h 1 + 1
48 h 2 + 4 6 ℓ 2 + 1
6 ℓ 4 ,
表
5: K 3 (D)
の指標表ℓ 0 ℓ 1 ℓ 2 ℓ 3 ℓ 4
χ 0 1 1 1 1 1
χ 1 1 1 2 0 − 1 2 − 1 χ 2 1 0 − 1 3 0 1 χ 3 1 − 1 2 0 1 2 − 1 χ 4 1 − 1 1 − 1 1
ℓ 2 4 = 1
8 h 0 + 6
8 h 1 + 1
8 h 2 , ℓ 1 ℓ 2 = ℓ 2 ℓ 1 = 1 2 ℓ 1 + 1
2 ℓ 3 , ℓ 1 ℓ 3 = ℓ 3 ℓ 1 = 3 4 ℓ 2 + 1
4 ℓ 4 , ℓ 1 ℓ 4 = ℓ 4 ℓ 1 = ℓ 3 , ℓ 2 ℓ 3 = ℓ 3 ℓ 2 = 1
2 ℓ 1 + 1
2 ℓ 3 , ℓ 2 ℓ 4 = ℓ 4 ℓ 2 = ℓ 2 , ℓ 3 ℓ 4 = ℓ 4 ℓ 3 = ℓ 1 . よって, K (D) の指標表は次の表 6 のようになる. 以上より,
表
6: K (D)
の指標表h 0 h 1 h 2 ℓ 1 ℓ 2 ℓ 3 ℓ 4
χ 0 1 1 1 1 1 1 1
χ 1 1 1 1 − 1 1 − 1 1 χ 2 1 1 1 0 − 1 3 0 1 χ 3 1 1 1 1 2 0 − 1 2 − 1 χ 4 1 1 1 − 1 2 0 1 2 − 1
χ 5 1 0 − 1 0 0 0 0
χ 6 1 − 1 3 1 0 0 0 0
K \ (D) = { χ 0 , χ 1 , χ 2 , χ 3 , χ 4 , χ 5 , χ 6 } の構造式は以下の式のようになる.
χ 2 1 = χ 0 , χ 1 χ 2 = χ 2 χ 1 = χ 2 , χ 1 χ 3 = χ 3 χ 1 = χ 4 , χ 1 χ 4 = χ 4 χ 1 = χ 3 , χ 1 χ 5 = χ 5 χ 1 = χ 5 , χ 1 χ 6 = χ 6 χ 1 = χ 6 , χ 2 2 = 1
6 χ 0 + 1
6 χ 1 + 4 6 χ 2 , χ 2 χ 3 = χ 3 χ 2 = 1
2 χ 3 + 1
2 χ 4 , χ 2 χ 4 = χ 4 χ 2 = 1
2 χ 3 + 1
2 χ 4 , χ 2 χ 5 = χ 5 χ 2 = χ 5 , χ 2 χ 6 = χ 6 χ 2 = χ 6 , χ 2 3 = χ 2 4 = 1
4 χ 0 + 3
4 χ 2 , χ 3 χ 4 = χ 4 χ 3 = 1
4 χ 1 + 3 4 χ 2 ,
χ 3 χ 5 = χ 5 χ 3 = χ 5 , χ 3 χ 6 = χ 6 χ 3 = χ 6 , χ 4 χ 5 = χ 5 χ 4 = χ 5 , χ 4 χ 6 = χ 6 χ 4 = χ 6 , χ 2 5 = 1
64 χ 0 + 1
64 χ 1 + 6
64 χ 2 + 4
64 χ 3 + 4
64 χ 4 + 48
64 χ 6 , χ 5 χ 6 = χ 6 χ 5 = χ 5 , χ 2 6 = 1
48 χ 0 + 1
48 χ 1 + 6
48 χ 2 + 4
48 χ 3 + 4
48 χ 4 + 32
48 χ 6 .
5 一元生成有限可換一般分岐則代数から得られるグラフ
有限群 G とその部分群 G 0 の誘導と制限からフロベニウス図形 D( G b ∪ G c 0 ) が得ら れる . また , G と G 0 に対して , ペア (G, G 0 ) が admissible pair であるとき , 有限可換 ハイパー群 K ( G b ∪ G c 0 ) が得られる [2]. しかし, K ( G b ∪ G c 0 ) と D( G b ∪ G c 0 ) との関係は 1 対 1 ではない . よって , 我々は一般分岐則代数の表現を導入し , グラフとハイパー 群との対応について考察する .
定義
11 (有限一般分岐則代数).
有限集合 F = { X 0 , X 1 , . . . , X n } に対して , F を基底とする代数的な線形空間を C F :=
{ µ =
∑ n k=0
a k X k : a k ∈ C }
とおく . C F において , 合成積 ◦ と対合 ∗ が定義されていて , (GF 1) C F は X 0 を単位元とする , 結合律を満たす ∗ -algebra.
(GF 2) X i , X j ∈ F に対し, X i ◦ X j =
∑ n k=0
a k ij X k であり, a k ij ∈ Z + = { 0, 1, 2, . . . } . (GF 3) F が対合 ∗ で不変である . さらに , X i ∗ = X j となる必要十分条件は X 0 ∈
supp(X i ◦ X j ).
を満たすとき , F = (F, C F, ◦ , ∗ ) を有限一般分岐則代数という . ただし , supp(µ) = { X k : a k ̸ = 0 } . さらに, 合成積 ◦ に関して可換であるとき, 有限可換一般分岐則代数 と呼ばれている .
定義
12 ( 一元生成有限可換一般分岐則代数 ).
F := { X 0 , X 1 , . . . , X n } を有限可換一般分岐則代数とする . ℓ = 2, 3, . . . , n に対して ,
X 1 ℓ =
∑ ℓ k=0
b kℓ X k (b ℓℓ ̸ = 0, b kℓ ∈ Z + )
のとき, F を生成元 X 1 の一元生成有限可換一般分岐則代数と呼ぶ. なお, 以降では 特に記載がない限り , 単に一般分岐則代数といったときには一元生成有限可換一般 分岐則代数を指すものとする .
定義
13 ( 次元関数 ).
F = { X 0 , X 1 , . . . , X n } が一般分岐則代数のとき, C F から C への準同型写像 d が d(X j ) > 0 を満たすとき , d は F の次元関数と呼ばれている .
定義
14 ( 一般分岐則代数の表現 ).
F := { X 0 , X 1 , . . . , X n } を X 1 を生成元とする一般分岐則代数とする. C F から M(m, C ) への ∗ - 準同型写像 β が以下の条件をみたすとき , β を F の表現という .
• β(X 0 ) = I
• β(X j ) の行列成分が全て非負の整数
また , Ω = { 1, 2, . . . , m } とする . 表現 β が既約であるとは , β(X k ) ∈ M (m, C ) を Ω への作用と考えたとき, S を Ω の空でない部分集合としたときに, s ∈ S, X k ∈ F に 対して ,
supp(β(X k )s) ⊂ S ⇒ S = Ω であるときをいう . また , 表現 β が
β(X k ∗ ) = β(X k ) ∗
をみたすとき , β を ∗ - 表現という . また , m が F を正規化して得られるハイパー群 K の重みと等しいとき , β を極大表現という .
定義
15 ( 正規化されたハイパー群 ).
F = { X 0 , X 1 , . . . , X n } を一般分岐則代数とする . ここで , 次元関数 d を用いて , c i := 1
d(X i ) X i
とおく. このとき, K = { c 0 , c 1 , . . . , c n } は有限可換ハイパー群となる. この K を F の正規化されたハイパー群という .
このように定義すれば, ハイパー群ができることを確認する.
証明
.
公理 (H1) から (H3) までを確認する . 公理 (H1), (H3) については , それぞれ一般分岐 則代数の公理 (GF 1), (GF 3) から直ちに従う . (H2) については , X i ◦ X j =
∑ n k=0
b k ij X k だったので,
d(X i ◦ X j ) = d ( n
∑
k=0
b k ij X k )
=
∑ n k=0
b k ij d(X k ) (3)
となるから ,
c i ◦ c j = 1
d(X i )d(X j ) X i ◦ X j
= 1
d(X i ◦ X j ) X i ◦ X j ( ∵ d は次元関数なので準同型 )
= 1
d(X i ◦ X j )
∑ n k=0
b k ij X k
= 1
d(X i ◦ X j )
∑ n k=0
b k ij c k d(X k ) ( ∵ 正規化されたハイパー群の定義 )
=
∑ n
k=0 b k ij d(X k ) d(X i ◦ X j ) c k
であり, 係数の部分に注目すると, 式 (3) より, 係数の和が 1 であるので成立してい
る . よって , 公理 (GF 2) を満たす . 以上より , K はハイパー群である .
定義
16 ( ハイパー群 K = { c 0 , c 1 , . . . , c n } の元 c i の重み w(c i )).
ハイパー群 K = { c 0 , c 1 , . . . , c n } において, 定義より, c i ◦ c ∗ i = a 0 ii c 0 +
∑ n k=1
a k ij c k (a 0 ii ̸ = 0) とかけるので , 元 c i の重み w(c i ) を次式で定義する .
w(c i ) := 1 a 0 ii また , ハイパー群 K の重み w( K ) を
w( K ) :=
∑ n k=0
w(c i ) で定義する .
命題
1.
F = { X 0 , X 1 , . . . , X n } を一般分岐則代数 , K = { c 0 , c 1 , . . . , c n } を F を正規化して 得られるハイパー群とする . w(c i ) を c i の重み , b 0 (X i ) を X i ◦ X i ∗ の X 0 の係数とし たとき,
w(c i ) = d(X i ) 2 b 0 (X i ) が成立する .
証明
.
c i ◦ c ∗ i を計算することで得られる. ここで, d(X i ) が実数であることから, d(X i ) ∗ = d(X i ) = d(X i ) であることに注意する .
c i ◦ c ∗ i = ( 1
d(X i ) X i )
◦ ( 1
d(X i ) X i ) ∗
= 1
d(X i ) X i ◦ ( 1
d(X i ) ) ∗
X i ∗
= 1
d(X i ) X i ◦ 1 d(X i ) X i ∗
= 1
d(X i ) 2 X i ◦ X i ∗
= 1
d(X i ) 2 (
b 0 (X i )X 0 +
∑ n k=1
b k ii X k
)
= b 0 (X i ) d(X i ) 2 c 0 +
∑ n k=1
b k ii d(X k )c k となるので , w(c i ) の定義より ,
w(c i ) = d(X i ) 2
b 0 (X i )
この命題 1 を用いてさらに次の命題 2 を証明する .
命題2.
一般分岐則代数の次元関数は , 存在するならばそれはただ一つである .
証明.
命題 1 より ,
w(c i ) = d(X i ) 2 b 0 (X i ) であるから ,
d(X i ) 2 = b 0 (X i )w(c i )
となる . ここで , 正規化していない不変測度を e K とする . つまり , e K = w(c 0 )c 0 + w(c 1 )c 1 + · · · + w(c n )c n 右辺を計算すると ,
e K = w(c 0 )c 0 + w(c 1 )c 1 + · · · + w(c n )c n
= c 0 + d(X 1 ) 2
b 0 (X 1 ) c 1 + · · · + d(X n ) 2
b 0 (X n ) c n ( ∵ 命題 (1))
= X 0 + d(X 1 )
b 0 (X 1 ) X 1 + · · · + d(X n )
b 0 (X n ) X n ( ∵ 正規化されたハイパー群の定義 )
そして , e K は不変測度なので , c i ◦ e K = e K つまり , ( 1
d(X i ) X i )
◦ e K = e K よって , 次式が得られる .
X i ◦ e K = d(X i )e K
この式の両辺に d と異なる次元関数 d 1 をとると , d 1 (X i ◦ e K ) = d 1 (d(X i )e K )
d 1 (X i )d 1 (e K ) = d(X i )d 1 (e K ) ( ∵ d 1 は次元関数なので準同型 ) d 1 (X i ) = d(X i ) ( ∵ 両辺 d 1 (e K ) ̸ = 0 で割った )
以上の準備の下, 次の定理 2 が得られた.
定理
2.
F を X 1 を生成元とする一元生成の一般分岐則代数とする. K を F を正規化して 得られるハイパー群とする . F の表現 β から , グラフ D(β) が得られ ,
K ∼ = K d (D(β))
である .
証明
.
命題 1, 2 より, 一般分岐則代数 F から, それを正規化してハイパー群が得られる ことは証明できている . K から K d (D(β)) への写像 π が準同型であることを示す . π(c i ) := 1
d(X i ) β(X i ) としたとき , π(c i ◦ c j ) = 1
d(X i ◦ X j ) β(X i ◦ X j )
= 1
d(X i )d(X j ) β(X i )β(X j ) ( ∵ β, d は準同型)
= 1
d(X i ) β(X i ) 1
d(X j ) β(X j )
= π(c i )π(c j ).
5.1 一般分岐則代数 F n から得られるグラフ K n+1
定義
17.
自然数 n に対して , 一般分岐則代数 F n を , 次のように定義する . F n = { X 0 , X 1 } , X 1 2 = nX 0 + (n − 1)X 1 . これは一元生成の一般分岐則代数である .
例
6 (一般分岐則代数 F n から得られるグラフ K n+1 ).
K を一般分岐則代数 F n ( n は自然数)を正規化して得られるハイパー群とする . F n の表現 β に対して , D(β) が得られ ,
K ∼ = K d (D(β)) である.
証明
.
F n := { X 0 , X 1 } , X 1 2 = nX 0 + (n − 1)X 1 とする . F n = { X 0 , X 1 } , X 1 2 = nX 0 + (n − 1)X 1 . ここで,
β(X 0 ) =
1 0 . . . 0 0 1 . . . 0 .. . .. . . .. ...
0 0 . . . 1
| {z }
n + 1
n + 1 , β(X 1 ) =
0 1 . . . 1 1 0 . . . 1 .. . .. . . .. ...
1 1 . . . 0
| {z }
n + 1
n + 1
とすれば , これは既約 ∗ - 表現 β である . そして , X 1 2 = nX 0 + (n − 1)X 1 より , 次元関 数を求めると,
d(X 0 ) = 1, d(X 1 ) = n
となる .
c 0 := 1
d(X 0 ) X 0 = X 0 , c 1 := 1
d(X 1 ) X 1 = 1 n X 1 .
と定義し正規化することによって , ハイパー群が得られそれを K とする . その構造 式は ,
c 2 1 = 1 n X 1 1
n X 1
= 1 n 2 X 1 2
= 1
n 2 (nX 0 + (n − 1)X 1 )
= 1
n X 0 + n − 1 n 2 X 1
= 1
n c 0 + n − 1 n 2 nc 1
= 1
n c 0 + n − 1 n c 1
となり, K はハイパー群となる. 一方, β(X 1 ) を隣接行列にもつグラフは, n + 1 個の 頂点を互いにすべて辺で結んだグラフ(完全グラフ) K n+1 であり , このグラフから 得られるハイパー群は先のハイパー群 K と一致する . つまり ,
K ∼ = K d (D(β))
が成立している . 以下の図は , 各 n の値における完全グラフ K n+1 である .
,...
, ,
n = 2 n = 3 n = 4
次に一つ具体例を示す .
例
7 ( 一般分岐則代数 F 3 から得られるグラフ K 4 ).
これは, 上記の例の n = 3 の場合である. F 3 := { X 0 , X 1 } , X 1 2 = 3X 0 + 2X 1 とす る . β(X 0 ), β(X 1 ) をそれぞれ次で定義する .
β(X 0 ) :=
1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1
, β(X 1 ) :=
0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0
.
これは表現である . そして , X 1 2 = 3X 0 + 2X 1 より , 次元関数を求めると , d(X 0 ) = 1, d(X 1 ) = 3
となる .
c 0 := 1
d(X 0 ) X 0 = X 0 , c 1 := 1
d(X 1 ) X 1 = 1
3 X 1 .
と定義し正規化することによって得られるハイパー群を K とする . その構造式は , c 2 1 = 1
3 X 1
1 3 X 1
= 1 3 2 X 1 2
= 1
3 2 (3X 0 + 2X 1 )
= 1
3 X 0 + 2 3 2 X 1
= 1
3 c 0 + 2 3 2 3c 1
= 1 3 c 0 + 2
3 c 1
となり , K はハイパー群となる . 一方 , β(X 1 ) を隣接行列にもつグラフは , 4 個の頂点 を互いにすべて辺で結んだグラフ(完全グラフ) K 4 であり , このグラフから得られ るハイパー群は先のハイパー群 K と一致することが確認できるので,
K ∼ = K d (D(β)) が成立している .
例