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づくり : 日本語指導が必要な児童に対する教科学 習支援

著者 杉浦 綾子, 矢崎 満夫

雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

巻 22

ページ 171‑180

発行年 2014‑03‑31

出版者 静岡大学教育学部附属教育実践総合センター

URL http://doi.org/10.14945/00007801

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静 岡大学教育学部附属教育実践総合セ ンター紀要 No 22 p 171〜 180(2014) く 実践報告〉

在籍クラス と支援クラス との連携 をもとに した授業づ くり

一 日本語 指導が必要 な児童 に対す る教科学習支援―

杉浦   綾子 *・ 矢崎   満夫 **

Designing Lessons based on Cooperation between Home Class and Support Class:

Subjects Learning Support for Children Needing Japaneee Instruction SUGIURAAyak● ・ YAZAKI  Ⅳ Ltsuo

【 要 旨】

学校教育現場における日本語指導が必要な児童生徒の教育課題 として、在籍クラスにおける教科学習への参 加をどう保障するかとい う点が挙げられる。 しか し、その解決に向けた従来の対処法は、当該児童生徒を担当 する指導者が支援クラス等においてどのような効果的指導を行 うかとい う視点からのものが中心で、在籍クラ ス担当教員 との連携をもとにした指導体制のあり方についてはほとんど議論 されてこなかつた。今回筆者 らは、

小学校において在籍クラス担任 との連携をもとに、国語科の教材を用いて単元全体を見据えた指導計画を立て、

在籍クラスと支援クラスの学習内容を有機的に結びつける授業実践を試みた。その結果、2名 の対象児童には 在籍クラスでの授業に参加できた達成感や学習意欲の高まりを示す態度が表れたことがわかつた。今後もこう

した在籍クラスと支援クラスとの連携をもとにした指導のあり方を追求 していきたいと考える。

1  は じめに

文科省 の 2012年 度調査 によれ ば、 静岡県内の公立 学校 に在籍す る「日本語指導が必要な児童生徒」 (以 下、当該児童生徒 )の 数 は全国第 3位 の約 2500人 とされてお り、当該児童生徒 に対す る指導のあ り方 は、今 日、外国人が集住する県西部地区を中心に学 校現場 にお ける喫緊の課題 として注 目されつつあ る。

当該児童生徒 に対す る教育上の課題 として、近年、

日本語初期指導 を終 えた後の教科学習指導 をいかに 効果的に進 め、当該児童生徒の学びを保 障 してい く かが しき りに議論 され るよ うになつた。 た とえば、

文科省 では 「 JSLカ リキュラム」 と呼ばれ る 日本語 指導 と教科指導 を統合 した指導方法を提示 し、その 普及に努 めてい る。その他 の論考では、松 田他 (2009) が在籍 クラスでの国語学習につなげるために支援 ク

ラスにおいて リライ ト教材 o)を 使用 した授業実践の 報告 を行 つている。また清 田他 (2005)で は、支援 クラスにおいて対象生徒の母語 も併用 した国語の先 行学習 を行い、在籍 クラスの学習 に有効 であつた と 述べている。劉 (2011)は 支援者 が在籍 クラスで生 徒 の母語 を用いた適切な入 り込み支援 を行 うことに よ り、対象生徒が教室活動に能動的 に参加で きるよ

うになつた とす る報告 を行 っている。 一方、櫻井 (2007)で は在籍 クラス との連携 を念頭 に置いて母 語 による取 り出 し支援 を行 つた結果、在籍 クラスに おける国語 の授業 に参加 できただけでな く、対象児 童 の母語力 も向上 した と述べてい る。以上か らは、

文科省 の 「 JSLカ リキュラム」 も含 め、櫻井以外は 当該児童生徒を担 当す る指導者個人が取 り出 し支援 等の場において、いかに効果的 な教科学習指導 を行 うか とい う視点か らの取 り組みが中心であることが うかがえる。 どれ も在籍 クラスにおける学びの保障

*浜 松 市立佐藤小学校   **教 職 大学院

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を 目指 してい る点で示唆 に富むが、 当該 児童 生徒 が 教 科 学 習 を進 め る うえで重 要 な役割 を担 う在籍 ク ラ ス担 当教員 との連携 の あ り方 について は 、 これ まで ほ とん ど議論 が深 め られ て こなか った といえ る。 在 籍 ク ラスにお け る教 科 学習へ の参加 を ど う保 障す る か とい う教 育課題 は、当該 クラスで 日々の授業 を行

う担任 や教 科担 当 との指導 上 の連携 を抜 きに して は、

真 の改 善にはつ なが りに くい と筆者 らは考 えた。

それ で は在籍 ク ラス と支援 クラス との間で どの よ うな連携 の あ り方が考 え られ るだ ろ うか。 筆者 らは 両 クラスの 関係性 を示す形 を「従 来型 」と「連 携型 」 の 2つ の指導体制 に分 け、図 1の よ うにま とめた。

在籍 クラス 支援 ク ラス

どのよ うなタイミングで支援 クラスでの指導を行 うか、協働 して単元計画をたてる

<学 習のつなが り >

在籍クラス と支援クラスにおける従来型 と連携型の指導体制の比較

1

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在籍 クラス と支援 クラス との連携 をもとに した授業づ くり

従来型 の指導体制では、当該児童生徒 は在籍 クラ スにおける通常の教科学習 にはなかなかついていけ ない とい う理 由か ら、その同 じ授業時間帯に支援 ク ラスヘ移動 し、個別 に指導 を受 けることが一般的で ある (取 り出 し支援

)。

しか し、その場合 に子 どもの 指導に関 して在籍 クラス と支援 クラスの担 当教員間 で連携 が とれ てお らず 、子 どもは教室間 を移動す る ものの、両 クラスの学習 内容が有機的 に結びついて い るとは言い難 いケースも少な くなかつた。つま り、

子 どもに とつては 「それぞれの クラスで別々の学習 を行 う」とい うことが頻繁 に起 きていた。た とえば、

国語 の授 業時 に在籍 クラスでの学習内容 につ いて特 に考慮す ることな く、支援 クラスでは下学年 の漢宇 の学習 を進 めた り、国語 とは関係 のないか け算九九 の練習 を した りす る とい うケースである。在籍 クラ スの授業 内容 を意識 してい る場合で も、支援 クラス の教員が子 どもに 「今 、在籍 クラスでは教科書の ど の部分 を勉強 しているか Jと 尋ね、それ を聞いてそ の場で指導 内容・ 方法 を決 める とい うこ とも珍 しく なか つた。また、すべての国語 の時間に取 り出 し支 援 が行 えればまだ個別の指導計画 を作成 して学習が 進 め られ るが、現場では週 5回 の うちの 2回 だけ文 援 クラスに行 くといつた指導体制が とられ ることも 少 な くない。 こ うした場合 に も し子 どもに とつて両 クラスでの学習 につなが りが感 じられ ない ものだ と すれば、「在籍 クラスでの学習 を保 障す る Jと い う支 援 クラスで指導す るこ との意義その ものが問われ る ことにな る。 当該児童生徒の教科学習上に とって何 よ りも大切 なのは、やは り在籍 クラスでの学 びの充 実である。 そのた めには、在籍 クラス と支援 クラス 双方の学習内容は子 どもに とつてつなが りが感 じら れ るものでなけれ ばな らない。

筆者 らは以上の課題 を克服す る 1つ の方法 として、

在籍 クラス担 当 と支援 クラス担 当の連携 をもとに単 元全体 を見通 した指導計画 を立て、在籍 クラスでの 学習に必要な指導 を支援 クラスで進 めてい く 「連携 型」の指導体制 を考 えた。具体的には、両クラスの 担 当教員が協働 して単元全体の指導計画 を立て、 ど こに支援 クラスでの指導 を入れれ ば在籍 クラスでの 学習に効果的か を考 えて教科指導 を進 めてい くこと

に した。 この連携型の指導体制が見据 える目標 は、

当該 lFL童 生徒が在籍 タラスでの学習において充実感 や達成感 が持て るよ うになることである。なぜ な ら、

在籍 クラスで活躍 できた とい う成功体験 こそが、子 どもの 自信 とさらなる学習意欲 を生み出す と考 える か らである。本稿 では、以上の連携型 の指導体制 を 取 り入れた授業実践を試み、その成果 と課題 につい て報告 を行 う。

2  授業実践の概要

2‑1  支援クラスについて

本授業実践は、杉浦が教職 大学院生だった時 に実 習生 として入つた静岡県内の S4ヽ 学校 において行 つ た。

S小 学校 には平成 23年 4月 当時、日本語指導が必 要な児童が 55人 在籍 してお り、全児童数の 8̲6%を 占めていた。 また、 日本語指導が必要な児童への支 援体制の 中心 とな る外国人指導担 当の教員 としては 加配教員 2名 が配置 され 、当該児童 のための支援 ク ラスを担 当 していた。支援 クラスでは、初期 日本語 指導が終 了 した児童や継続的な 日本語指導が必要な 児童 に対 し、国語・ 算数・ 社会等の教科学習のため の取 り出 し支援 を行 つていた。

2‑2  対彙児童

今回の研究にお いては、杉浦が 3か 月間 Trと し て在籍 クラス内で支援 を行っていた第 6学 年の A子

と B男 を対象 とした。二人の母語はポル トガル語 で、

日本での就学歴 は 3〜 4年 であ り、 S小 学校 の同 じク ラスに在籍 していた。彼 らの実態は表 1の とお りで ある。

3か 月の間、外国人児童である A子 と B男 の授業 支援 を行 つてきた ところ、両者 ともに読み書 きのカ が身についていない ことがわかつた。 r読 む Jに つい てはわか らない言葉が多いため内容が理解 できず 、

「書 く」では短い文は書 くことはできるが、長い文 章 を書 くことが苦手であつた。「話す」について も、

相手に 自分 の考 えを伝 えることは苦手で、 自分の思 い を持 てて も相 手に伝 えることができない場面があ

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り、本人 た ち も もどか しさを感 じてい るよ うに見受 け られ た。

一 方 、在籍 クラスの担任教員 (以 下 、担任 )が 感 じる教科 学習上の課題 と しては、 A子 は 日本語 の理 解 面が 、 B男 は 日本語の理解 面 に加 えて表現力や言 語 活 用 能 力 が低 い点 が挙 げ られ た。 担任 と して は、

国語科 において 2人 ともに 4年 生 くらいの学習 レベ ル までには達 してほ しい とい う願 いを持 ち、そのた めに個別の支援 も必要であると感 じていた。しか し、

普段の授業の中ではなかなか彼 らに対す る個別支援 までは手が回 らないため、支援 クラスでぜひ適切な 指導を して ほ しい とい う要望が杉浦に寄せ られた。

表 1  対象児童の実態

氏 名 母 語 就学履題 実 態

A子  ̀

(6年 女子

)

ポル トガル語 プラジル生まれ

H19来 日

'S rl、

転入

H21S小 を転出 し、1年 間 不就学 とな る

‖ 23 S小 l=コ 暉11入

(学 冒菫欲

)

積極的に学ぼ うと し学習に集中できる。

(日 本洒色 力

)

日本語の会議はでき、ひ らがな、カタカナは読み書 きできる。

短文は書けるが、綸理的な文章は書 けない。

澳字は不得意。日常的に使われない言葉 や教科特有の専目的 な言葉 など、わか らない言葉が 多い。そのため、学習内容につ いていけないことがある。発表はほとん ど しよ うと しない。

(人 間関係

)

日本人の友運も多く、誰とでも伸良くできると認められてい る部分がある。

B男 (6年 男子

)

,fl,t,

F

ril,# ブラジル生 まれ

H20来 日・ ‖小転入 H22 1小 か ら S小 へ転入

(学 習菫欲

)

目願科の学習にな歓 を持てす ̲隣 の席の児童に話 しか けた り、手遊びを した りして しま う。

(日 本語能力

)

日本語の会話 はでき、ひ らがな、カタカナはできる。手先が 署用で、絵や工作が上手。

凛字は不得意。思 いつ くまま言葉 を並べ て書 くことはできる が、まとま りのある文章 を書 くことは難 しい。また、乱暴な言 葉遣 いが多い。

(人 間関係

)

男子 との友達目係 はよい。下級生 と遊ぶ ことも好 き。

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在籍 クラス と支援 クラス との連携 をもとに した授業づ くり

2‑3  単元計画

授業実践の教科には、 日本語指導が必要 な児童 ら に とつて特に課題が大 きい と考え られ る国語科 をあ えて選ぶ ことに した。普段は支援 クラスにおいて在 籍 クラス とは別の内容の国語学習 を進 めていたが、

在籍 クラス との連携 をもとに した授 業づ くりを行 う ことに よつて成功体験が得 られれ ば、国語 の学習 に 対す る 自信や意欲 を持つ ことがで きるのではないか

と考 えた。

扱 う教材 には、 6年 生の国語科の説 明文 「平和の とりでを築 く J(光 村図書 )を 選んだ。本教材 の中 には文章の読解 とともに 「意見文 を書 く」「意見文 と ス ピーチ を発表す る」 といつた学習内容が入 つてお り、 r書 く J「 読む J「 話す」 f聞 く」の 4つ の言語活 動がすべて含まれていた。本文の読解だけではな く、

「意見文を書 く」「スピーチをする」といつた表現活 動 があ ることか ら、対象児童 に も在籍 クラスにおい て 日本語 を使 つた 自己表現 を促す ことがで きると考 えた。

「平和の とりでを築 く Jの 単元計画 については担 任 との話 し合いをもとに作成 した。対象児童 らには 特 に 「読む」「書 く」の課題 があるとい う実態 か ら、

在籍 クラスでの学習 を中心に据 えつつ、単元の中の

「読む」「書 く」に関する指導 を主に支援 クラスで行 ってい くことに した。それまでは週 3回 、決 め られ た曜 日・ 時間帯 に支援 クラスで個別の指導 を行 つて いたが、本実践 にお いては在籍 クラスの中では指導 しきれない 「読む」「書 く」を中心 に適宜支援 クラス で行 う指導体制 を とつた。「読む」「書 く」学習は支 援 クラスにおいて時間をかけてスモール ステ ップで 行 い、「話す J「 聞 く」は在籍 クラスにおいて多 くの 児童 とともに 自分の意見を発信 した り、他 の児童 の 意見を開いた りしなが ら進 めてい く。 こ うした指導 体制 を とることによって、対象児童が在籍 クラスの 中で活躍 で きる場を増や していけるのではないか と 考えた。具体的には、伝 え合 いな どの交流活動や、

意見文・ ス ピーチ等 の発表活動 が含 まれ る授業 を在 籍 クラスで担任 が行 い、在籍 クラスでの授業参加 に 必要な意見文の作成等 を支援 クラスで杉浦が指導す ることに した。また 、単元計画の原案 を もとに授業

を進めることに したが、必要に応 じて柔軟 に指導計 画の変更・修正を行 つてい くことも確認 した。 当初 立てた単元計画は、巻末資料表 2の とお りである。

なお、基本的には在籍 クラスでは担任が、支援 ク ラスでは杉浦が授業 を行 うが、以下 3点 の理由か ら 導入時 (第 1時 )の み在籍 クラスにおいて杉浦が Tl

として授業を担 当す ることに した。

1)在 籍 クラスではなかなか活躍の場が持てない対 象児童にも、全体の場 で発言す る機会 を与 え、

自信 をつけ させ ることができる。

2)在 籍 クラスでの TT指 導では気付 けない対象児 童 の表れをみ とることができる。 T2で はな く

Tlと して指導 を行 う中で、授業者の視 点か ら 対象児童の表れに対す る気づ きがあると考 えた。

3)対 象児童 の支援 クラス と在籍 クラスでの様子の 違 いをみ とり、在籍 クラスにお ける授業参カロ上 の課題 を把握できる。

2‑4  実践内容

本実践内容 の概要を図 1中 の 「連携型」にあては める と、図 2の よ うにま とめることができる。

第 1時 は在籍 クラスで杉浦が導入 を行 つた。 A子

と B男 が在籍 クラスで発表 し、活躍 できる場 を増や すため、意図的に二人 を指名す るよ うに した。 ただ し、 A子 B男 が 自信 を持 つて発表できるものに限 って指名 を行 うよ うに心がけた。 また、 A子 ・ B男

に限 らず、 どの児童 に もわか りやすい授業 となるよ うに、スモール ステ ップでかつ写真等の視覚教材 を 用いた授業を行 つた。

第 2時 は時間割の変更に よ り、当初予定 していた 支援 クラスではな く、在籍 クラスにおいて 「本文か ら平和についての思いをもつ」 とい う内容で担任 が 授業 を行 つた。

第 3時 は支援 クラスにおいて、第 4時 に在籍 クラ スで行 う話 し合い に参加 させ るため、戦争 について の知識や思い をもて るよ うに写真や絵等の視覚的な 支援方法 を用いて説 明 を行 つた。 また、光元・ 岡本 (20116)の リライ ト教 材を使用 して本文の読解指導 も行 つた。

(7)

第 1〜 2時

<導 入 >

第 3時

<読 解 >

第 4時

<討 論 >

第 5〜 7時

<意 見文を書く >

第 3時

<班 で意見文発表 >

第 9〜 11時

<読 解・討論 >

第 12時

<ス ピーチの工夫 >

第 13〜 17時

<学 級全体に向けて スピーチ発表 >

在籍クラス 支援 クラス

どのようなタイミングで支援クラスでの指導を行うか、協働 して単元計画をたてる

く >

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工 夫 >

向けて

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児 童

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図 2  在籍 クラス と支援クラス との連携 をもとに した授業実践

第 4時 では、在籍 クラスで平和 に対す る話 し合い    つた。「ウェビシグ」

o)、

「短冊作文」〈 o等 の手法 を用 活動 を行 つた。内容 は、討論形式で 自分の平和 に対    いて時間 をかけて行 つた ところ、 2名 の対象児童 は す る考 えを述べ るとい うものであつた。          それぞれ 自分な りの意見文 を書 き上げ ることができ

第 5〜 7時 は、支援クラスで意見文を書く指導を行    た。

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在籍 クラス と支援 クラス との連携 を もとに した授業づ くり

第 3時 では、在籍 クラスで 自分の意見文の発表 を 行 つた。第 5〜 7時 に支援 クラスで納得 のい く意 見文 を書 き上げ られた ことか ら、本時では 自信 をもって 発表 を行 うことがで きていた。

第 9〜 11時 では、在籍 クラスで 「平和の とりで を 築 く」の教科書 の読解 と読解 内容に関す る話 し合い 活動 を行 つた。 ここでは、第 3時 に支援 クラスで行 った読解指導 とのつなが りを考慮 し、また他の児童 との話 し合い活動 もあることか ら、在籍 クラスにお いて授 業 を行 つた。 しか しなが ら一斉授業の 中での 読解 の学習はや は り対象児童には難 しかつた らしく、

なかなか授業 に参加 できない様子が観察 された。

第 12時 では、在籍 クラスで意見文のス ピーチ を行 うために、「はつき り話す」「大事 な ところは大 きな 声で話す」「人の 日を見て話す Jな ど、よいス ピーチ

を行 う方法 について支援 クラスで考え させ る活動 を 行 つた。

第 13時 以降の在籍 クラスでのス ピーチ発表では、

第 12時 の支援 クラスでの学習 を生か しなが ら他の 児童や担任 と交流 して発表活動 がで きたため、意欲 的 に学習 に取 り組 む姿が見 られた。 なお、 この在籍 クラスでのス ピーチ発表 は時間割 の都 合に よ り、当 初の計画 か ら延長 して第 17時 まで行われた。

3  本実践に関す る考察

3‑1  授業実践 を振 り返 つて

S小 学校 では本実践前 まで、対象児童 らに対 して は週 4回 の国語の授業の うちの 3回 を支援 クラスで 学習 させ る指導体制 が とられていた。 しか し今回の 授 業実践では、単元の流れ の柱 を在籍 クラスに置 き、

「文章の読解 J「 意見文 を書 く」「ス ピーチの工夫 を 考 える」 といつた 「読む」「書 く Jに 関す る指導は適 宜支援 クラスで行 い、「話 し合 い活動」「意見文の発 表」「ス ピーチ活動」 といつた 「話す」「開 く」に関 す る指導は在籍 クラスで行 うことを原則 とした。

実践 を通 しての成果 について考察す る と、特に在 籍 クラスでの話 し合 いの活動時に対象児童 の よい表 れが見 られ た。第 3時 の支援 クラスでの読解指導 と 第 4時 の在籍 クラスでの話 し合 い活動 に よつて、 A

子の平和 につ いての考 えが深 ま り、最終的に 「戦争

が起 きる原 因について知 りたい」 とい う思いを持つ ことにつながつた。 この表れは、第 3時 に支援 クラ スで A子 の苦手な読解 の指導 を行い、第 4時 に在籍 クラスで話 し合い活動 に参加 させた成果 といえ るだ ろ う。特 に話 し合い活動は、支援 クラスで行 うとど うしても 日本語能力の水準が同 じくらいの児童 同士 での活動 とな り、 自分の考 えに広が りや深 ま りが生 まれ に くい。それ よ りも、在籍 クラスで他 の 日本人 児童 らの考 えに数多 く触れ るほ うが新 しい考 えや知 識 が生まれやす くな ると考 える。 日本語指導が必要 な児童 に とって、在籍 クラスでの学習は同年代 の児 童 の考 え方 を知 る ことがで き、担任や多 くの児童 と 同 じ土俵 で学んでい くこ とができる貴重な場である。

在籍 クラスでの学習の機 会 を担保す るために も、本 実践 のよ うな在籍 クラス と支援 クラス との連携 をも とに した指導体制 の導入 が必要なのではないか と筆 者 らは考える。

単元全体 を通 して考 えてみ る と、 A子 は 自分で「理 解 で きた Jと 感 じた時や周囲か ら称賛 された場合 に 積極的に意見を発表す る ことができていた。一方、 B

男 は事前 に学習 しておいた り、 自分で もできる と自 信 を持てた りした場合 に在籍 クラスでの授業に積極 的に参加 す ることができていた。 この こ とか ら、在 籍 クラスで効果的 に教科学習 を進 めるためには、支 援 クラスにおいて予習的な内容 の授業 (先 行学習 )

を行 うこ とが重要で ある こともわかつた。その こと に よつて、在籍 クラスでの活躍 の場 を少 しずつ増 や

してい くことがで きると考える。

3‑2  インタ ビュー結果よ り

対象児童お よび担任 か ら、在籍 クラス と支援 クラ ス との連携 を もとに した指導体制について意見 を開 いた。 A子 か らは、 r支 援 クラスで十分な準備 ができ た ことに よつて、在籍 クラスでの発表活動が成功で きた と思 う」 とい う意見が出 された。 この事実か ら も、やは り両クラスの学習のつ なが りを意識す るこ とは とて も重要であ ることが明 らかになつた。また、

B男 か らは 「これ か らは作文が少 しうま く書ける気 がす る J等 の今後 の学習 に対す る自信や意欲 を感 じ させ る言葉 を聞 くことが できた。

177

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担任へのイ ンタピューでは、 「対象児童 の在籍 クラ スでの居場所が得 られ た」 とい う肯定的な意見 を聞 くことができた。話 し合 いの活動 を在籍 クラスで行 うことに よ り、担任 の 「話す力 をつ け させ たい」 と い う願 いに沿 う形で指導 を進 めることができた と思 われ る。 また、 A子 ・ B男 ともに最後 まで在籍 クラ スでの学習 をや り遂げ られ た ことにつ いて も、担任 は高 く評価 していた。担任 と密 に連絡 を取 り合 うこ とに よ り、児童 の実態に合わせた よ りよい指導 を展 開で きたのではないか と考 える。

3‑3  実践の成果

今回の実践を通 して、 A子 は 自分の意見を述べ る ことに対 して 自信 が もてるよ うにな り、 B男 も達成 感 を もつて授 業 を終 え られ ていた ことがわか つた。

「平和の とりでを築 く Jの 学習後の変化 と して、 A

子は授 業で多 くの発表 をす るよ うにな り、さらに「発 表 したい」 とい う思いが持 てるよ うになつた。 B男 は指導 当初、大勢の前 で発表す ることが苦手だつた が、本実践後には、実習生だった杉浦のお別れ会で 率先 して 「は じめのあい さつ」の役 を買つて出 るな ど、在籍 クラスで積極的 に 自己表現 を行 うよ うにな った。 こ うした表れか ら、 2人 ともに在籍 クラスで の授業に以前 よ りも前 向きに取 り組 めるよ うになつ て きた ことがわかつた。

また、在籍 クラスの担任 と話 し合いを重ね ること に よ り、十分な連携 を図 ることができた。時間割 の 都合な どで多少の変更はあつた ものの、児童のその 時 々の実態 を把握 しつつ、必要 な指導 を協働 して進 めることができた。今回の実践では、 A子 B男 の 表れや実態について担任 と繰 り返 し話 し合いを持 ち なが ら指導 を行 つた。 その ことによつて在籍 クラス で彼 らが挙手す る とすか さず指名す るな ど、担任 が 授業中に 2人 に対 して配慮す る場面が多 くなつたよ

うに感 じられた。

以上の実践 を通 して、支援 クラスでは在籍 クラス で活躍で きる場面を増やせ るよ うな支援 を進 めてい くことが大切であることがわか つた。 単に児童 の苦 手な部分 に焦点を当てて指導す るだけではな く、支 援 クラスでは子 どもの課題 を少 しずつ克服 させ なが

ら、 どうすれば彼 らが在籍 クラスでの 日々の授業に 参カロできるよ うになるかを考 えて支援 を展開すべ き で ある。 また、在籍 クラスでの学びに重点を置 くこ とによつて、いずれは支援 クラスでの指導 を減 らし

t

子 どもの 自立を徐々に 目指 してい くことも必要であ ると考 える。

4  今後の課題

今後の課題 としては、まず支援 クラスで学習す る 対象児童 が複数名 い る場合 に どう対応 してい くか と い う点が挙げ られ る。今回は在籍 クラスが同 じ児童

2名 に対す る実践だ つたため、同時に取 り出 し支援 を行 うことがで きた。 しか し、支援 クラスには同学 年 でも異 なるクラスか ら対象児童が通 つて くること

も多々ある。その場合 には在籍 クラスごとで授業進 度 が異 なることもあ り得 るため、本実践の よ うな指 導体制は とりに くくなつて しま う。 その よ うなケー スでは、できるだけ学年で進度 をそろえて もらうよ うに、支援 クラス担 当か ら各担任・ 学年等に依頼す ることも必要になつて くるだろ う。

次に、今回の よ うな意見文作成や ス ピーチ等の表 現活動 を含 まない単元では どの よ うに授業づ くりを 進 めてい くか も課題である。読解の学習が中心 とな る授業の場合は、在籍 クラスの 中で本文の内容 をつ かませ るのはなかなか難 しいた め、支援 クラスでの 授業が主 となる可能性 が高い。 しか し、支援 クラス を中心に据 えた指導体制では、対象児童 が取 り出 し 支援での学習に依存 しがちにな り、在籍 クラスでの 授業 に学習意欲が持てな くなるおそれ がある。担任 との連携 をもとに事前 に本文の内容 をわか りやす く 伝 えた り、キー ワー ドを指導 した りす るな ど在籍 ク ラスでの授業 を中心に据 えなが ら、適宜支援 クラス での先行学習等を行 つて指導を進 めるこ とが必要で あると考える。

また、在籍 クラスの担任 としてで きる ことは何な

のかを考 えてい くことも重要であ る。本実践後、杉

浦は実習生 として在籍 クラス担 当 とい う立場 か ら算

数 の授業実践 を行 う機会 があつた。 その際、支援 ク

ラスで外国人児童担 当教員に練習問題 を予習 してお

いてもらつた ところ、在籍 クラスでの授業中に B男

(10)

在籍 クラス と支援 クラス との連携 をもとに した授業づ くり

が 「この問題 わか る !」 と言 つて積極 的に発表 を行 う場面が見 られた。杉浦 も事前 に支援 クラスでの学 習内容 と A子 ・ B男 の状況を聞いていたため、す ぐ に B男 を指名 す ることができ、 B男 も自信 を持 つて 発表 できた ことを とて も喜んでいた。一方、 A子 も 支援 クラスでの学習 を生か して授業 中にた くさんの 問題 を解 き進 めてい くことができた。 この よ うに在 籍 クラス担任 の立場 か らも、支援 クラスの担 当教員 との連携 を図 ることによつて当該児童の実態 を的確 に とらえ、授業 中に児童が活躍 できる場面 を生み出 す ことは可能 となる。

今後 も以上の よ うな在籍 クラス と支援 クラス との 連携 をもとに した指導のあ り方 を追求 していきたい

と考 える。

(1)リ ライ ト教材 とは、日本語初期 の段階か ら教科の 学習 に入 りやす くす るために、教科書本文 を子 ども の 日本語力 に応 じてわか りやす く書 き換 えた (リ ラ イ トした )教 材 の ことである。光 元・ 岡本 (2006)で は 6つ の 日本語能カ レベルに分 けた作成方法が紹介 されてお り、使用す る リライ ト教材の レベル は学習 者 の力の伸びに合 わせ て徐々に上げてい き、次第 に 教科書本文に近づ けてい くとされ てい る。生活 に必 要な 日本語 を

2、

3か 月学習 してひ らがなの読み書 き がほぼで きるよ うになつた時期か ら始 め ると効果的 である とい う。 日本語指導が必要 な外 国人児童生徒 だけでな く、聴党障害や LDの 児童 にも効果 があつ た とい う報告 もされている。

(0総 合学習等 において、 課題やテーマ を中心に置 き、

そ こか ら思い浮かぶ言葉や興味関心のあ る事柄 を蜘 蛛の巣 を張るよ うに次々 とつなげて 自分の考 えを広 げ、次の活動へ の手 がか りを見出す手法 の こと。

(⇒ 矢崎 (2005)に よる作文指導法の 1つ 。長 い文章 を書 くことが苦手な子 どもに対 して、短 冊 1枚 につ き 1文 だけを書かせ ていき、後で書 いた短冊 を集 め て 1つ の丈章 にま とめてい く手法の こと。指導の手 順 は以下の とお りである。

① 作文のテーマについて子 どもと話 し合いながら、

作文で書ける内容を 1文 で発話 させ、それを短冊

1枚 に書かせ てい く。

② 間違 つた 日本語 (話 し言葉等 )で 表現 した場合 に は正 しい書き言葉の言い方に直 して、 も う一度発 話 させ るよ うにす る。

③ 時系列 (話 の順番)に はとらわれず、子どもがそ

のテーマで思 いついた こ とを どん どん発話 させ書 かせ て い く。

④ 学習者がある程度短冊の文が書けた段階でそれ らの短冊を並べ替 え、一連 のま とま りのある文章 に してい く。適宜、教師が内容 に関す る質問 を行 い、適 当な文 (短 冊 )を 追加す る。 また、必要に 応 じて接続詞 を指導 し、文 と文の間に挿入す る。

⑤ 全体 を音読 して文章が正 しいか を確認 した後、作 文用紙 に写 し書 きさせ る。

]1用 ・参考文献

清 田淳子・朱桂栄 (2005)「 両言語 リテ ラシー獲得 を ど う支援す るか― 第一言語 の力 が不十分 な子 ど もの場合」 『 母語・ 継承語 。バイ リンガル教育研 究』 1号 母語・継承語・ バイ リンガル教育研 究 会  pp44・ 65

櫻井千穂 0008)「 外国人児童の学びを促す在籍学級 のあ り方―母語力 と日本語力の伸長を目指 して 一」 『母語・継承 .I・ バイ リンガル教育研究』 4 号母語・継承語・バイ リンガル教育研究会 pp1 26 松 田文子・光元聴江・湯川 lle子 (2009)「 JSLの 子

どもが在籍学級 の学習活動 に積極 的 に参加す る ための工夫 一 リライ ト教材 を用 いた r日 本語 に よる学ぶ力 Jの 育成―」 『 日本語教育』 142号 日 本語教育学会 pp145‐ 155

光元聴江・ 岡本淑明 (2006)『 外国人児童・生徒 を教 えるための リライ ト教材』ふ くろ う出版

矢崎満夫 (2005)「 短冊作文」大蔵守久・池上摩希子 監修『子どもといつしよに !日 本語授業面白ネタ 集 2』 几人社 pp39‐ 41

劉雲霞 (2011)「 来 日間もない外国人生徒の在籍学級 国語科授業参加の試み― 「教科・母語 。日本語相 互育成学習モデル Jに よる実践から一」 『 人間文 化創成科学論叢』第 14巻 お茶 ノ水女子大学

pp157・ 165

179

(11)

資 料

表 2  本実践における「平和の とりでを築 く」単元針画

時 間 (ク ラス

)

学 習 内容 外 国人児童指導上 のね らい

1(在 籍 )

※指導者 :杉 浦

・「平和の とりで を築 く」 を読むための導 入 を行 い、平和 とは、戦争 とは何か とい

つた学習課題 をもつ。

本文を読み込 んでい くための きっかけづ く りを行い、平和や戦争について考えよ うと す る態度 をもつ。

2(支 援

)

。 「平和の とりでを築 く Jを 読み、 タイ ト ルについて考 えることを通 して、著者の 思いを とらえる。

・ リライ トされた本文の内容 を理解す る。

・ タイ トル か ら筆者 の思 いを考 えることを通 して、筆者 の思いを知 る。

3(在 籍

)

1、

2時 間 日での学習 を元に平和につい て話 し合い、 自分の考 えをもつ。

・意見文の例 を読み、意見文の書き方の工 夫 を知 る。

・ 相手 の話 を聞いて 、周 りの友 だ ちが どん な 考 えを もつて い るの か を知 る。

・ 意見文 の書 き方の工夫 を知 る。

4(支 援

)

・平和 について 自分 の考 えを短 くま とめる (仮 の要 旨 を作 る

)。

・ 班で交流 し、要 旨を見直す。

・ 自分 の考 えを ウェ ビン グ と して書 き出す こ とがで きる。

・ 友だ ちの意見 を聞いて思い を もつ。

5・ 6(支 援

)

・ 仮 の要 旨を説 明す るた めの資料 を探 し、

調 べ る。

・ 調べ た こ とを元 に要 旨を確 定す る。

自分の考 えを箇条書 きで書 くことがで きる。

自分 で考 えた ことについて関連す る本 を探 し、読む。

意見文 に資料 として書 き加 えたい事柄 を見 つけ、文 を整理 してま とめることがで きる。

7(在 ) ・ 班で交流 し、意 見文 を読みあい、感想 を 言い合 う。

・ 友 だ ちの意 見 文 に思 い を もち、伝 え る こ と が で きる。

8(在 籍 ) ・ 教科書 内のス ピーチ原稿 を CDで 開 き、

意 見文 と比 較 をす る こ とを通 して 、工夫 点 、参 考 に したい ところを見つ ける。

スピーチを聞いて 、話 し言葉 、書 き言葉が あることを知 る。

9・ 10(支 援

)

・ 意見文を基にス ピーチの構成 を考 える。

・ 資料集めを し、ス ピーチメモ を作 る。

・ 意見文か らス ピーチで伝 えたい ことを書 き 出 し、話 し言葉 に変 える。

・ ス ピーチ をす るときに必要な資料 を用意す る。 (絵 や図な ど

)

11(在 籍

)

・ ス ピー チ練習 を行 う。 ・ 資料 を見せ なが らス ピーチ をす ることがで きるよ う練習 を行 う。

12〜 14(在

)

・ ス ピーチを 自分で行い、相手のス ピーチ を聞 く。

・意見が明確 に伝 えられていたかを相互評 価す る。

・友だ ちのス ピーチ を聞いて、感想 を もち、

それ を相手に伝 えることができる。

※第 1時 のみ、杉浦が在籍 クラスにおいて授業 を担 当す る計画 とした。

参照

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