• 検索結果がありません。

秋田運河の水質とその変化

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "秋田運河の水質とその変化"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

秋田運河の水質とその変化

軽部昭夫、佐藤孝行

1緒

秋田市は昭和40年度新産都市に指定され,今後の産業 発展が期待されるようになった。産業の発展は同時に多 くの問題をともなうが,中でも大気汚染と水質汚濁の公 害は先進工業都市でも未解決の状態であり,秋田市にお いてもこの問題は当然予想される。

そこで, まず現況調査が必要と考え, 1968年7月から 1969年6月までの一年間,最も汚染が予想される秋田運 河, およびその周辺河川,海岸の水質調査をおこなっ た。その結果,秋田運河は源の雄物川と旭川の水質や水 量の変化,工場排水や市内下水の流入,それに海水の浸 入等によって複雑な変化を示すことがわかり,興味ある

1)

結果を得た。 くわしい調査結果については後報するが,

本報では主として秋田運河における水質の特殊性につい て論ずる。

2採

秋田運河は雄物川放水路の河口より約2.5km上流の 取入口に源を発する。ここから約1.5km下流で旭川と 合流する。この地点は茨島工業地帯の工場排水もはいる ので,水質は大きく変化する。ここから約2.7km下流 で水量は少ないがひどく汚染された草津川を吸収する。

この先は川巾は広くないが水深も深く運河として整備さ れ,約2.3km下ったところに石油配分基地がある。こ の先は秋田港を通り, 日本海に注いでいる。

以上運河の概略だが, これに対して採水地点を図iの ように選定した。旭橋は旭川と太平川の合流地点で,分 析値は右岸と左岸の平均値で示した。雄物川は国鉄鉄橋

(新屋側) ,雄物新橋(割山側)それに取入口の3地点 で採水して平均した。新川橋は旭川との合流地点のすぐ゙ 下流にあたり,両岸で採水した。河口は最初旧北防波堤 先端で採水したが,秋田北港工事が開始されたため,約

0.8km内陸に後退した。

採水は1968年7月から1969年6月までの1年間で,毎 月1回中旬におこなった。

2〜8)

分析法は別記参考文献の方法によっておこなった。

3結果および考察

3. 1 天候本期間中の天候をふりかえると, 7月に

夛室訂拓1口

日本審

I

雄鈎〃

3K"し

O Z 3

図1採水地点(地形は1968年9月現在)

晴天が続き,河川の水量も著しく減少したが, 8月9月 11月は雨天続きで水量も増加した。一方冬は暖冬で積雪 も少なく,特に2月は気温もかなり上昇した。3月には いってから低温が続き,最低気温を示した。採水時刻が 異なり各地点の水温は比較できないので,全採水地点の 気温と水温の平均値を図2に示した。水温の最高は7月 と8月の24oC,最低は1月の10Cであった。なお12月

〜3月の期間は水温より気温の方が低かった。

3.2雄物川と旭川の水質秋田運河の源は雄物川と 旭川なので,両河川の水質を検討することが必要であ る。旭川は秋田市内を流れた川なので,かなり汚染され

(2)

℃妨勿佑旧50

:二段9 QIlP1'1⑩胸佐軸

5

4

5劃

蕊繩

0.K私

32

や、

7 8 9 iO Il lユ 2 3

図2気温,水温

ているが,今のところ自然浄化作用がおこなわれ,旭橋 ではかなり回復している。雄物川は取入口の地点ではほ ぼ清浄な河川水で7月の渇水期に各成分の濃縮がおこ

り, 4月の雪どけによる増水で,各成分が希釈されるな ど,多少の変動はあるが,水質,水量とも季節変化は比 較的少ない(十条製紙秋田工場の排水口は対岸にあり,

運河には影響ない) 。

9)

雄物川,旭川の水質を全国主要河川の平均値,および

9)

東北主要河川の平均値と比較すると表のようになる。こ れによると雄物川の水質は,硫酸イオン,塩素イオンが 多く, カルシウムイオン,炭酸イオンが少ない。これは いわゆる酸性河川ということで,雄物川にかぎらず,秋

刈叩即帥如沁

IC

図3雄物川,旭川の水質変化

10)

田県内多くの河川についてみられる現象である。また硫 酸イオンや塩素イオンによる溶解で,鉄分も非常に多い。

表雄物川,旭川の水質(東北および全国主要河川平均値と比較)

Ca Mg

SO、 │ C! │ Fo iNO3‑NINH,‑N蒸発残留物

HCO3

東北35河川平均値 全国225河川平均値

6.32 6.45 7.7 8.8

12.8 11.3

17.6 10.6

16.6

20.1 7.9 5.8

0.63 1.37 0.49 0.24

0.38 0.45 0.26 0.26

0.11

0.75 0.06 0.05 15.5

25.6 19.9 31.0

77 100 79.1 74.8 2.49

3.17 1.9 1.9

(単位mg/J)

COD畷犯 X恥二坪s秘

Q

O

l5

O① ○⑩

lO

の①︑

5

①①

0 Q5 1,0 20 勿馳Fe

0 05 LO l.5 20 班脆

図4雄物川,旭川の鉄とCOD 図5雄物川,旭川の鉄と亜硝酸

Q 1 0

黒搭我檀物

p Q

(3)

雄物川、旭川ともにここでは海水の影響が少ないの で,化学的酸素要求量(以下CODと略す) ,鉄,亜硝 酸イオン,アンモニアの各成分が相互に相関グラフでほ ぼ直線関係になる(アンモニアについては片対数グラフ で直線関係)。したがってこれらの成分の量で,おおよ その汚染度が推定される(図4〜7)。

図8汚濁の分布(DO%)

O高 IoC

α02 O妬 01 0

図6雄物川・旭川のアンモニアとCOD

1■■■■

0 0

0

I5 0

0

0

①①

10

0

O

5 の︑ ①の①

図9汚濁の分布(CODmg/J) 00Z oo5 0. l o,Z o.5 1,o"弛朏刃

図7雄物川,旭川のアンモニアと亜硝酸 /,粋河口

油基地 3.3秋田運河の水質雄物川,旭川の両河川は新ノ│ |

橋で合流し,汚染されてゆくが,その様子を図8〜10の 分布図に示す。

新川橋では工場排水等の関係でかなり汚染されてお り, また満潮時には海水の浸入もあり, この地点の水質 は常に変動し,右岸と左岸の差も大きい。図11に主な成 分の変化の様子を示す。蒸発残留物などが7月, 9月, 、 2月に高い値になっているが, 7月は日照による川の水 量不足と満潮による海水の浸入, 9月は満潮, 2月は工 場排水と推定される(理由は後述する)。なお9月の満 潮は特にひどく,採水時に川の逆流が承られた。

a、33

WI'l

'6牛

新11噛イ&

a活

油ノリ

図10汚濁の分布(NH3‑Nmg/J)

(4)

新川橋より下流は絶えず海水の浸入があり,その量は 一定しないが,塩素イオンの平均値で示すと図12のよう になる。一方河川水に多く含まれ,海水に含まれない鉄 イオンは,新川橋で汚染水の混合により一時増加する が,海水の混合によってしだいに減少してゆく。

運河では塩素イオンとマグネシウムイオンは海水の混 合量に支配されるので,その比はほぼ一定で全対数グラ フで直線関係になる(図13) 。また蒸発残留物もこれら と直線関係を示す(図14)。

海水にはこのほか, カルシウムイオン,硫酸イオンな どもかなり多量に含まれているが, これらが常に塩素イ オンやマグネシウムイオンと一定関係になっているわけ ではない。図15〜17の相関グラフでわかるように,新川 橋では全般的に塩素イオンやマグネシウムイオンに比較 してカルシウムイオンと硫酸イオンが多く含まれ,直線 からはずれている。この傾向は特に12月, 2月, 5月,

6月に著しいが, これは海水以外に工場排水等の影響が 大きいことを示すもので, 12月と2月にはアンモニアも 多くなっている。

アンモニア,亜硝酸イオン等の成分は新川橋でかなり 増加しており, ここ以後でも海水の混合による希釈があ るにもかかわらず,減少量は少ない(図8〜10) oこれ は下流にも汚染源があるためで,各種工場の排水,ひど く汚濁された草津川の流入,秋田港の汚水など色々考え られる。

鉄イオンが河川の汚染と非常に関係あることは前述し たが(図4, 5) ,鉄イオンと塩素イオンは非常に興味

馳柳抑珈伽唖獅

432

I

32しり

I

仰弧鋤伽

無訂淳二

無訂淳二

7

ソ、汀

65

ソ、汀

3 γ IC

図11新川橋の水質変化

200伽 l"00

"̲..‑‑‑C. 30

溌牟標輪差

皿γ州

Qー

")

即00 25 別00 jZlOOO 漁500

雌00

i !"50

1 20

2.0 I,5

ロ卯

I,0

Q5

L

C‑‑‑‑̲r、 0

距雌kL9,0 9,5 25 0 0.5 05

石麹挫免 ︵海面︶海上

雄旭

III III

新川楠 ︵一軽奪伽珍海底河口

図12秋田運河の塩素と鉄の変化

ロロ﹄●

鯛I

↑1,、

Dロ●ロロ︼写

I D Q

一画一画

(5)

△歩

銀ざ

I

'㈹ △△

︶挙句︽諭 ⑦9

@口

I0 踏豊

。⑮、戯p,‐

③島ee

●雄物Iリ

○稲】11

.封III"(Zi)

④草諫III

△石頭茎地 口潅(可q) 塑字は採水の月 5 P

2I

ラーー而荊デテ荊一祁一薊 −師 一mO 剛 α (液姪)

図13塩素とマグネシウ

ある関係を示す(図18)。これによると河口や石油配分 田運河はかなり汚染されているといえる。また運河の水 基地のように,比較的海に近いところでは,塩素イオン 質は,雄物川,旭川の水質と水量の変化,海水の浸入量 が増加すると鉄イオンが減少するのに対して,新川橋や で大きくかえられ,さらに工場排水などが加わって複雑 草津川のように海から遠いところでは,塩素イオンが増 な変化を示すことがわかった。本年県や市は公害防止条 すと,鉄イオンはむしろ増加している。塩素イオンを海 例を定め,排水基準や環境基準を設定したが,その施行 水と考え,鉄イオンを汚染水と考えると,海水の浸入に にあたり水質調査をする場合,秋田運河については調査 よって海から近いところでは河川水の希釈により汚染は 結果の判定が非常に困難になるものと予想される。いず 少なくなるが,遠いところでは,海水の混合があるにも れの場合もまず海水の混合量を調べ, さらに海水成分 かかわらず,河川の流れを止め,逆に押しもどすかたち (Na+,C1‑,Mg2+) と各成分との相関関係を調べ,

になり,むしろ汚濁をひどくしている。特に草津川は主

その結果どのような状況のときに採水したか,また汚染 流からはずれているので,運河の増水によって流れを止

の原因がなにによるものかを検討する必要がある。しか められ,この傾向が著しい。この関係はCODと塩素イオ

も海水の浸入は海から近い場合は汚染水を希釈するが,

ンとの間にもみられ,また塩素イオンのかわり,マグネ

遠い場合は濃縮することに注意しなければならない。

シウムイオンや蒸発残留物などとの関係を調べても同様 の結果になる。9月の採水時は海水の浸入が特にひどか

終りに,本研究に絶えず御指導,御協力くださいまし ったので,新川橋では中間的性質を示しているのも興味

深い。また12月, 2月, 4月には海水以外の原因による た秋田大学鉱山学部佐原良太郎教授ならびに小室昭一氏 汚染があったことを示している。 に深く感謝の意を表します。また各方面で色,々御助力く

ださいました長坂栄進氏,足利一司氏はじめ本校関係職

4結 員各氏に感謝いたします。

本研究の費用の一部は秋田市総合計画推進本部の委託

今回の調査目的は現況調査ということであったが,秋 研究費によるもので,御尽力くださいました同本部の各

(6)

口厘

〆乞

△響口

器ロ

9︐

l剛

5伽

剛仰抑

︵尋邑零謬駒憩

零%雷

⑧⑭鋤⑭#︾胤側︲

誰 難

20C

IOO

一古当赤市‑歳弓赫‑前お耐

α一御秘)

図14塩素と蒸発残留物

−−一−

脚ロ△

ロ助ロ

I

急ぎ争芭 1脚釦鼬 YZEfp

6, ⑤稔

さ。

!⑭@

灘亀⑭

lO

5

S0 1M 200

5 ノ0 20 50 IM 200 600 1M0 amC

壁一 N+(晩)

図15マグネシウムとカルシウム

(7)

.500

△孕

鍜齢

△ロ 副C

側別 ノ、

l︲へ隷篇︶牟琶

亀鮮

△ノ

⑭⑭⑭

Ⅱ①

錬65●@℃①

IO

5

10 20 SO l㈹伽 500 IMamO 5MIO"020MO α (っ瀦弛)

図16塩素と カルシウ

秤△△

20m 口珊△△

酷ロロ

l師

釦0 ?○ロ

勢酔い卵

△△

●△勘△

がが

d!

⑭①

イヨ@

⑭⑭

0﹄#

⑭○衝⑭⑭

︷↓・一⑳

IOI

湾二市一肺茄‑前揃‑獅一前肺品

αー (祝妬ノ

図17塩素と硫酸イ オン

(8)

⑭7

⑲雑物'1

○加、新⑭草△石

鷲!

口吃(河口)

数字'よ掬くり8

4 、旧

ず、2

⑭⑭⑭

、●

3

⑳︑

喝剛斡o鶴③樋綴 2

U

LL

△△△□

ロロ△△

ロ△唾ロ△△△狙△

I

10 20 50 100 200 Soo ノ000 刷00 5000 10000副0m

C@/ ("彰企)

図18塩

三宅泰雄,北野康、'水質化学分析法〃地人書館

(1960)

JISKO101工業用水試験法(1966) JISKO102工業排水試験法(1964) 衛生試験法26飲料水試験法(1965)

衛生試験法30下水試験法(1965)

小林純,農業研究, 48, 263(1960)

J・KoBAYAsHI,B".O肋γα,J"sオ.Lα拠dz(ノ Fo"sc". , 9, 329(1951)

氏に感謝いたします。 4)

参砦文献 JjjjJj567890

秋田大学鉱山学部地下資源開発研究所報告投稿 予定

日本分析化学会北海道支部編、'解説水の分析〃東 京化学同人。 (1966)

半谷高久、'水質調査法〃丸善(1960)

1)

2)

3)

参照

関連したドキュメント

・性能評価試験における生活排水の流入パターンでのピーク流入は 250L が 59L/min (お風呂の

瀬戸内海の水質保全のため︑特別立法により︑広域的かつ総鼠的規制を図ったことは︑政策として画期的なもので

 もうひとつは、釣りに出港したプレ ジャーボートが船尾排水口からの浸水 が増大して転覆。これを陸側から目撃 した釣り人が

3点目は、今回、多摩川の内水氾濫等で、区部にも世田谷区も含めて水害の被害がありま

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

自分ではおかしいと思って も、「自分の体は汚れてい るのではないか」「ひどい ことを周りの人にしたので

雨地域であるが、河川の勾配 が急で短いため、降雨がすぐ に海に流れ出すなど、水資源 の利用が困難な自然条件下に

品川駅及び目黒川変電所における工事の施工にあたっては、環境保全措置として「有害物質の有 無の確認と汚染土壌の適切な処理」、