• 検索結果がありません。

愛さずにはいられない仲間(特別企画 道場親信教授 追悼)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "愛さずにはいられない仲間(特別企画 道場親信教授 追悼)"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

愛さずにはいられない仲間(特別企画 道場親信教授 追悼)

著者 挽地 康彦

雑誌名 和光大学現代人間学部紀要

10

ページ 209‑210

発行年 2017‑03‑10

URL http://id.nii.ac.jp/1073/00004197/

(2)

現代」(2015 年 1 月 16 日、2015 年 2 月 8 日)という連続シンポジウムの企画でも 2011 年と 同じようにリーダーシップをとってくれたのも忘れられない。

2015 年度頃から、和光大学創立者・梅根悟の著作を熟読していた道場さんから、梅根理 念を現代の大学改革に生かす「梅根悟ルネッサンス」構想を聞かされるようになった。目 先のことにとらわれた大学改変が蔓延する中で、大学の社会的意義についての研究成果に 裏打ちされた理念に基づいて時代に打って出ようという姿勢は、今時の大学改革のお手本 になりうるものであったが、大学改組の道半ばで夭逝されたのは残念でならない。

道場さんは専門分野であった社会運動から大学教育まで広きにわたる視野と、それらを 有機的に組み合わせる技量を持っていた。そこから私はいろいろ楽しく学ぶことができた が、若い人々は、日本社会の現状とその抱える問題をとても明快に語る彼の姿からもっと もっと多くのものを得たのではないだろうか。そして彼は和光大学を場としていろいろな 実験ができることを見せてくれた。これで終わらせるわけにはいかない。我々は道場親信 が日本社会と和光大学に残した宿題を受け止めていかねばならない。

──────────────────

[どうまえ  まさし・和光大学現代人間学部身体環境共生学科教授]

もう何年前だろうか、ある学会後に吉祥寺へ飲みに行った時の出来事を思い出す。駅の 改札口を出たかと思うと、道場さんは私たちを残したまま何も言わずに一人で駆け出して いった。呆気にとられていた私は、「ああいう人なんです…」と呟いたお連れ合いの麻里さ んの表情をみて、田舎もんのために飲み屋を探しに行ってくれたのだと納得した。麻里さ んがいなかったら、危うくこっちが彼を探しに行くところだった。

私も 40 代半ば。互いにまだこれからだと思っていた矢先に、愛さずにはいられない一人 の仲間を失ってしまった。

道場さんが和光に着任したのは 2009 年の春。これまでの約 7 年間、小さな学科でずっ と一緒に働いてきた。研究室もお向かいで、私たちの部屋は 8 階の一番隅にあった。大量 の書籍で埋まる研究室から微かにこぼれる明かりを頼りに私は彼の在室を確認し、彼もま たそうしていた。廊下で顔を合わせれば、照れくさそうにうつむき加減で「やぁ」とだけ 彼は小声で挨拶した。

私たちは院生時代に出会っているが、当時、道場さんは早稲田におり、私は九州にいた。

その距離感から生まれるのか、彼の遠慮がちな佇まいがどこか心地よかった。また野添憲

209

和光大学現代人間学部紀要 第10号(2017年3月)

愛さずにはいられない仲間

挽地康彦

H

IKICHI

Yasuhiko

(3)

治の『海を渡った開拓農民』など、私の研究関心について熱く教えてくれた世話好きのと ころも当時から惹かれていた。

表向きの道場さんは、一切の妥協も許さない「正義」の人として知られるだろう。あら ゆる会議に出ては欠かさず発言し、議論をふっかけ、容赦なく闘う。この何とも疲れる展 開を止めようとしないのが道場さんだからである。彼にとっては、それが愉しくもあった のだろう。合間に面白おかしくジョークを飛ばしていたが、相手に通じることは稀だっ た。学生の前でもいつも一人で笑っていた。

2015 年の秋、そんな彼がすこしスリムになっていた。2015 年は学部学科再編が本格化 し、私たちの学科も試練を迎えた年。私は業務による疲労のせいだと思い込み、深刻な状 態に気がつかなかった。いま思えば、道場さんはずっと痛みをおしながら学科再編に奮闘 していたのだろう。自らの大学入試で和光大学を受験した頃から和光を愛し、こだわりを 持ち続けてきた彼は、最後まで和光大学のために命を削っていたのである。

本当にそれでよかったのか、和光に来てなければ別の人生が待っていたんじゃないの か。悔恨の念にかられてどうしようもない。

道場さんが病状を伝えてくれた 2016 年の 1 月、彼の研究室で二人だけで話したことが ある。「死ぬつもりはないから」と彼は自分を保っていたが、自分を見つめ直すように「和 光に就職できて本当によかった」と涙ながらに語った。それが私にとって忘れられない言 葉となった。

道場さんは生前、「麻里さんと二人でハワイに行くから」と嬉しそうに話し、私はホノル ルで二人を歓迎すると約束していた。しかし、私が出発する 1 週間前に、道場さんはこの 世を去ってしまった。道場さんをハワイでゆっくり休ませてあげたかった。現実を受け入 れられないままハワイに来た私は、どんな風に彼に過ごしてもらうか未だに考えながら朝 を迎える。そして、毎朝のように現れては消える幻想的な虹を見る。道場さんも同じ虹を 眺めているはずである。あの、にんまりとした笑みを浮かべながら。

(2016 年 11 月 ホノルルより)

───────────────────

[ひきち  やすひこ・和光大学現代人間学部現代社会学科准教授]

210

特別企画◎道場親信教授追悼

参照

関連したドキュメント

⑤調査内容 2015年度 (2015年4月~2016年3月) 1年間の国内宿泊旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の有無について.

継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、×年4月1日から×年3月 31

賞与は、一般に夏期一時金、年末一時金と言うように毎月

計画断面 計画対象期間 策定期限 計画策定箇所 年間計画 第1~第2年度 毎年 10 月末日 系統運用部 月間計画 翌月,翌々月 毎月 1 日. 中央給電指令所 週間計画

計画断面 計画対象期間 策定期限 計画策定箇所 年間計画 第1~第2年度 毎年 10 月末日 系統運用部 月間計画 翌月,翌々月 毎月 1 日. 中央給電指令所

・各企業が実施している活動事例の紹介と共有 発起人 東京電力㈱ 福島復興本社代表 石崎 芳行 事務局

発電所名 所在県 除雪日数 中津川第一発電所 新潟県 26日 信濃川発電所 新潟県 9日 小野川発電所 福島県 4日 水上発電所 群馬県 3日

6.25 執行役員 カスタマーサービス・ カスタマーサービス・カン 佐藤 美智夫 カンパニー・バイスプレジデント