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地学教材に関する基礎的研究 (剃報)* 一鉱物構成元素の簡易検出法(1)一

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(1)

      197

C

地学教材に関する基礎的研究 (剃報)*

一鉱物構成元素の簡易検出法(1)一

自然科学教育研究室 高  瀬  一  男

1 緒   言

鉱物構成元素の検出方法には,一般の化学分析法をはじめ,吹管分析,鏡検分析,斑点 分析,点滴分析など種々の鉱物化学的な方法があるが,本研究においては,大竹氏1)に

よって紹介されたH,M.イサコフ氏による粉末定性分析法を参考として・その構成元素を 定性的に検出した。

皿M.イサコフ氏は,種々の固体試薬ならびに鉱物について,構成元素の検出を行っ ているが,本研究では,鉱物を対称として,より広い範囲にわたって検討してみたもので

ある。

本法の特徴は,第一には,従来の分析法と異なり,試料を直接溶液とすることなしに,

固体粉末の状態において,容易に分析することができる。第二には,実験器具と実験操作 が極めて簡単であること。また,試薬はほとんど特殊試薬を必要とせず,比較的一般に用 いられているものですむこと。第三には,実験上の危険性もほとんどないことなどの点で

ある。

かような点からみて,本法は,教材実験として有効であろうと考えられる。殊に,改訂 中学校学習指導要領(昭和33年10月1日公布)理科編をみれば,新教材として,鉱物・鉱 石などについて,吹管分析で化学成分を調べることがとりあげられているが,本法の特徴 からみて,吹管分析にかわる有用な一つの分析法であると思う。

そこで,本報では,改訂中学校学習指導要領理科編などに示されている方鉛鉱などをは じめとし,約30種の鉱物を対称として,10数種の金属元素を検出したので,それらの結果 を報告する。

      〆

d 実 験 方 法

本法は反応物質(鉱物試料および分解,検出などに用いる試薬)のすぺてを粉末となし

*地殻変動に関する模型実験について,茨城大学教育学部紀要.,No.gP.135(1959).を地学教       1

@材に関する基礎的研究(第1報)とする。

(2)

198      茨城大学教育学部紀要 第十号

これらをよく混合する過程において,固体相互の直接的な接触反応により,有色化合物を 生成させ,その呈色の色調から構成元素を定性的に検出するものである。

本実験で,特に,反応物質を砕粉する意味は,固体表而に不飽和な原子・分子を数多く 生じさせて,結合エネルギーを大ならしめることである。換言すれぱ,砕粉化によって,

固体相互の接触面積が増大すると同時に,固休表面における化学的結合エネルギーも増加 するから,化学反応が起り易くなる。従って,でき得る限り砕粉することが第一の条件で ある。また,このことは固体反応に関係する他の幾つかの条件をも満すことができる。

(1) 実 験 器 具

本実験に用いる器具は,つぎにあげるような極めて簡単なものである。

1. 試料粉末用容器一一小型の湯呑茶碗,蒸発皿,ルツボなどの磁製容器。

2 試料粉末用棒一ガラス棒(ガラス管の端を丸めたもの)。

3。試薬用スプーンー一一小型の水牛製スプーンまたは細いガラス管を引きのばして作 った耳かき型のスプーン,小型のプラスチック製スプーンなど。

4.加熱用器具一一アルコールランプ(またはブンゼンバーナー),ルッボ挾み(ま たはピンセット),三脚アズベスト付金網など。

5. 条痕板一条痕板は試料粉末用容器の代用となる。鉱物を板上でこすりつけて条 痕(粉末)としたのち,ただちにこの板上で所定の検出操作を行えば,簡単に元素の検出 ができる。特に硬度の大なる鉱物または結晶の大なる鉱物などの場合には好適であろ。

6.色明帖

物質相互の化学反応によって生ずる呈色を客観的に観察するため,財団法人日本色彩研 究所監修の200色入れの色明帖を用いた。

(皿)試   薬

実験に用いた試薬はつぎに示す22種である。

1. 鉱物試料分解用試薬

硫酸苓素カリウム(KHSO4),塩化アンモニウム(NH4Cl)・硝酸アンモニウム(NH4 NO・)の混合物(2:1の重量比による)。

2・元素検出用試薬

硝酸銀(AgNO,D,硫駿飼(CuSO4・5H2(⊃),硫駿第二鉄(Fe2(SO4)の,水酸化カリウ ム(KOH),黄血塩(K4〔Fe(CN)6〕),ヨウ化カリウム(KI),チオシアン化アンモニウム

(NH4SCN)またはチオシアン化カリウム(KSCN、,硝酸鉛(Pb(NO3)2),チオ硫酸ソ

(3)

高 瀬:地学教材に関する基礎的研究 (皿報)      199 一ダ(Na2S203。5H20),アリザリンS(C14H502(OH)2SO3Na・Hρ),モリブデン酸 アンモニウム ((NH4)2Mo7024・4H20), 硫化ナトリウム (Na2S), アンモニア水

(NH40H),酢酸(CH3COOH),塩化第二水銀(HgClの,ヨウ素(12),ジメチ

(皿) 予 備 実 験

鉱物中の主要構成元素の検出実験を行う前に,予備実験として,化学成分の既知物質

(試薬),例えば硫酸銅,硫酸第二鉄,硝酸鉛中の銅,鉄,鉛の検出を行った。

1. 硫酸銅中の銅の検出

硫酸銅の結晶約5mgを磁製皿にとり,ガラス棒で粉末としたのち,黄血塩のほほ同量 を加え,粉砕,混合すれば,ただちにフェ・シアン化銅の赤褐色を呈する。

2CuSO4十K4〔Fe(CN)6〕= Cu2〔Fe(CN)6〕 十2K2SO4 赤褐色

この反応によって,銅の検出ができる。

2 硫酸第二鉄中の鉄の検出

硫酸第二鉄の約5mgを磁製皿にとり,粉末としたのち,ほほ同量の黄血塩の結晶を加 えて、粉末化を続げるとフェ・シアン化鉄の青色を呈する。

2Fe2(SO4),十3K4〔Fe(CN)6〕= Fe4〔Fe(CN)6〕3十6K2SO4 青色

この反応によって,鉄の検出ができる。

また,鉄の場合には,チオシアン化アンモニウム(またはチオシアン化カリウム)との 反応によって生ずるチオシアン化鉄の赤血色の呈色からも検出できる。

Fe2(SO4)3十6NH4SCNこ2Fc(SCN)3十3(NH.)2SO4      一

赤血色 3. 硝酸鉛中の鉛の検出

硝酸鉛の結晶約5mgを磁製1HLにとり,粉末にしたのち,ほほ同量のヨウ化カリウムの 結晶を加えて,粉末,混合すれは,ただちにヨウ化鉛の黄色を呈する。

Pb(NQ∂2十2KI=Pbl2十2KNO3      一

黄色

この反応によって,鉛の検出ができる。

以上のような方法で,多数の既知成分物質中の主要元素の検出について予備実験を行っ たが,その詳細は省略する。

(4)

200      茨城大学教育学部紀要 第十号

(rv) 鉱物構成元素の検出方法

鉱物構成元素の検出方法は,前述の予備実験とほぼ同様であるが,固体試薬と異なり,

鉱物粉末試料に直接検出試薬を添加し,粉末,混合しても,反応することは稀れであっ て,大多数の鉱物は検出試薬を加える前に,適当な分解試薬によって分解し,反応し易い 状態にまで移行しておくことが必要となる。

つぎに,鉱物構成元素の一般的検出法について,第1表中に示す,赤銅鉱中の銅の検出 を例として詳述してみる。

赤銅鉱の分解試薬としては,硫酸水素カリウムおよび塩化アンモニウム・硝酸アンモニ ウムの2種を用いたが,ここでは,硫酸水素カリウムを用いた場合について考察してみ

る。

赤銅鉱の結晶約5mgを磁製容器にとり,ガラス棒で粉末にしたのち,硫酸水素カリウ ムの1〜2倍量を加えて,粉末,混合すると,常温においてまもなく淡黒紫色を呈する(表 中この分解処理における呈色をR行に示した。)また,別に常温処理した試料をさらに加熱 処理すれば,熱時は淡緑色を呈し,放冷後の呈色は淡灰褐色を呈する(表中この分解処理 における変化をH行に示した)。上述の方法により,2種の異なる処理をした試料につい て各黄血塩の結晶約2〜3mgを加え,粉末,混合すると,常温処理した試料は,ただちに 予備実験の銅の場合と同様にフェロシアン化銅の濃赤褐色を呈する。また,加熱処理した 試料は,前者よりも水分が少ないため赤禍色を呈するのが,ややおそい。これに息を吹き かけるか,または,1滴の水を加えるとただちに濃赤褐色を呈するので,さらに銅の存在 が確認できる。

また,別に常温処理および加熱処理した試料にヨウ化カリウムの約2〜3mgを加え・粉 末,混合すれば,ヨウ化銅の赤黄色の呈色から銅が検出できる。

以上は,赤銅鉱中の銅の検出操作について,硫酸水素カリウムによる試料の分解処理法 と黄血塩およびヨウ化カリウムによる銅の検出法について述ぺた。また,塩化アンモニウ ム・硝酸アンモニウム混合試薬を用いて行う場合の分解処理法および検出処理法などもほ ぼ同様であるので省略する。

結局,赤銅鉱中の銅の検出は,試料を前二者のいずれかの分解試薬を用いて常温または 加熱処理したのち黄血塩あるいはヨウ化カリウムを加えて処理すれば検出できる。

皿 実験結果とその考察

つぎに,〔1〕〜〔X〕で示す各鉱物について,その主要構成元素の検出法とその結果につ

(5)

高 瀬:地学教材に関する基礎的研究 (皿報)      201 いて述へるが,実験操作については,前述の赤銅鉱の場合とほぼ同様であるので,詳細な 記述は省略する。

雛石としては・前述の赤銅鉱のほカ・翻鉱孔雀石,珪孔雀石,黄銅鉱斑銅鋤ど の瀬について銅の検出を行い,また,黄銅鉱斑鰯につ・・ては鍋検出した。その結 果を赤銅鉱とともに第1表に示した。

実験結果から,銅錨の分解は轍水素カリウムまたは塩化アンモニウム.轍アンモ ニゥム混合試薬によって,常温加熱処理の・・ずれでも分解されるが功嚥の場合はさら に容易である。また,黄銅鉱,斑銅鉱などの硫化物の場合は,概して硫酸水素カリウムよ

りも塩化アンモニウム・硝酸アンモニウム混合試薬の方が分解されやすい。

上記の処理後,検出試薬として黄血塩を加えた場合は,フェロシアン化銅の赤褐色(小 豆色),ヨウ化カリウムの場合には,ヨウ化銅の赤黄色の呈色から銅を検出した。

また,齢鉱斑銅鉱は鉄を舗するから,チオ硫酸ナトリウムのような翫剤鯛、・る と,黄血塩によって同時に銅,鉄の検出ができる。この場合の反応は,最初試料中の鉄と 作用して青色のフェロシアン化鉄を生ずる。つぎに,この試料にチオ硫酸ナトリウムを加 えて還元すれば,青色(3価の鉄との反応)は消失して,銅と反応し,フェロシアン化銅 の赤褐色を呈する。従って,同一検出試薬で銅,鉄が同時に検出される。

結局,銅鉱石中の銅の簡易検出法は,硫化鉱物以外については硫酸水素カリウム試薬を 用いて常温分解後,また,硫化鉱物試料については,塩化アンモニウム・硝酸アンモニウ ム混合試薬を用いて加熱分解後,検出処理を行いは容易に検出できる。

〔R〕 鉄鉱石中の鉄の検出

第2表に示す赤鉄鉱,褐鉄鉱,磁鉄鉱,砂鉄黄鉄鉱,菱鉄鉱,藍鉄鉱,硫砒鉄鉱など の8種の鉄鉱石について鉄の検出を行った。また,藍鉄鉱については燐,硫砒鉄鉱につい ては砒素の検出を行った。

実験結果から,鉄鉱石の分解法としては,硫酸水素ナトリウムが最も優れ,常温,加熱 処理のいずれでも分解されるが,加熱処理においては,さらに容易である。一方,塩化ア ンモニウム・硝酸アンモニウム混合試薬では,常温処理ではほとんと分解しないが,加熱 処理すれは菱鉄鉱,磁鉄鉱以外の鉱石は分解される。しがし,この分解されない鉱石でも 検出試薬を加えたのち,さらに加熱処理を行いば反応が進行する。

上記の処理後,検出試薬として前述の予備実験で用いた黄血塩およびチオシアン化アン

(6)

202      茨城大学教育学部紀要 第十号

モニウム(またはチオシアン化カリウム)によって生ずる龍のフェ・シアン化鉄および 赤血色のチオシアン化鉄の呈色から鉄の検出ができる。いずれの試薬も鉄の存在において 呈色が顕著であるが,チオシアン化化合物の方が鋭敏である。

また,鰍鉱中の燐の検出は,分解処理した試料にモリブヂン酸アンモニウム効1え,     . 生ずる黄色の燐モリブデン酸アンモニウムの呈色から検出した。

なお,硫砒鉄鉱中の砒素の検出は,雛検出したのちの試料にチオ硫酸ナ団ウムを加 えて鉄を還元したのち,硝酸銀を加え,生ずる茶黒色の砒酸銀の呈色から検出した。

結局,駈の結果から鉄鉱石中の鉄の↑賜検出法は,試料に硫醐・素ガリウム試薬を加 えて常温分解後,黄血塩またはチオシアン化カリウムを加えて,検出処理を行いばよ い。また,一一般に鉄鉱石は硬度が大であるから,条痕板あるいは代用条痕板(加熱処理な

とを要する場合は特に薄手の板が最もよい)などを用いて,直接試料鉱物をこすりつけて 粉末としたのち,検出処理を行うと最も簡便であり・2〜3分で検出することができる・

なお,砒素は有毒元素なので硫砒鉄鉱中の鉄,砒素の検出には,常温処理法によって検 出操作を行うことが,危険防止上肝要である・

(7)

第 1表  銅 鉱 石 中 の 銅 の 検 出 方 法 と 検 出 結 果

分  解  処  理  法 検  出  処  理  法 鉱   物 条痕色 硬度 検出元素

分 解 試 薬 瓶謝色 調 添加検出試薬舳時の艶1力醐の呈色

の別

R 淡黒紫 濃赤褐

H 淡 緑→淡灰褐

K4〔Fe(CN)6〕

赤  褐※

KHSO4

R 淡黒紫 KI 赤褐黄

赤銅 鉱 褐赤 4.0 Cu I H 淡 緑→淡灰褐 赤  黄

Cu20 R 灰  青 赤  褐※

一一

1 K4〔Fe(CN)6〕

NH4Cl+NH4NO3 H 黄 →褐 黄 赤  褐※ 一}

(2:1)

R 灰  青 赤  黄

H 黄 →褐 黄 KI 赤  黄

R 淡黄緑 濃赤褐※

KHSO4

藍 銅 鉱 3.75

l Cu H 淡緑青→淡緑青

K4〔Fe(CN)9〕

濃赤褐※i乾燥状)

(CuCO3)2Cu(OH)2

NH4C1+NH4NO3 R 濃緑から漸次褐黄   1…一齪…D赤褐から     ※漸次濃赤褐

H騰撫→褐黄

濃赤褐※

KHSO4 R 淡暗黄榿 濃赤褐※

孔 雀 石 淡緑 3.4〜4.0 Cu H 灰  → 灰

K4〔Fc(CN)6〕

  ※

ヤ褐(乾燥状)

CuCO3・CuOH2

lNH4Cl+NH4NO3 淡灰暗黄 1

  ※

ヤ褐(乾燥状)

欝罐→黄 /蕪諜継

「 R

淡  青 「 濃赤褐

KHSO4 一『

珪孔雀石 3.5 Cu H 青 緑→淡黒褐

K4〔Fe(CN)6〕 濃赤褐 CuSio3・2H20

NH4Cl+NH4NO3 R 淡  青 褐  赤※

H 赤  褐

  

Fe KHSO4 灰銀黒 :淡 青 +濃  青

I H 黒  →  黒

K4〔Fe(CN)6〕 1什淡  青※

1

  ×bu + 職。, 1 灰緑青

黄銅鉱 黒緑 4.0

×

卦 (還元剤)  i       i

淡暗紫褐

CuFeS

Fe NH4C1+NH4NO3

: R ねずみ ねずみ 帯  圭  同

… H 褐 →褐 黄

K4〔Fe(CN)6〕

冊濃  青

Cu 1 冊   Na2S203柵  (還元剤) 濃赤褐

濃赤褐

Fe KHSO4 R 淡  黒 +淡灰紫 +濃  青

H 青 → 灰

K4〔Fe(CN)6〕

日十淡  青※

1

Cu 十   Na2S20窪 ねずみから漸

汳W赤褐

斑 銅 鉱   1 i什  (還元剤) (5分以上)

茶黒 3.5 1 赤  褐※

Cu3FeS3 R ねずみ 柵  主  目

Fe NH4C1+NH4NO3 1  K4〔Fe(CN),〕

H 黄褐→ 黄 冊濃  青

1

Cu 帯   Na2S203 濃暗赤褐

i漸次)

冊  (還元剤)

濃赤褐

註1.常温時の呈色欄中の※印はその呈色物質に1滴の水を加えると,さらにその呈色が濃くなることを示す。

註2. H欄における→印の左側は加熱時,右側は加熱後放冷させた時の呈色を示す。

註3.検出元素欄中の×印はその元素をその行の検出操作で検出できないことを示す。

註4. 同一鉱物について,検出処理法欄中の十,卦,世,鼎印は,上段から下段の同符号への連続操作を示す。

(8)

第 2 表  鉄 鉱 石 中 の 鉄 の 検 出 方 法 と 検 出 結 果

1        i

ェ解処理法@ 1 検  出  処  理  法 鉱   物 康痕色 硬度 検出元素

分 解 試 薬 騰瑠色 調1添力喉出試薬1常滞の艶1縢時の呈色

の別 1       !         1    1

R 1  暗赤紫黒

KHSO4

        1

ヤ 鉄鉱   i褐赤 6.5 Fe R   濃蘇芳→淡蘇芳

K、〔Fe(CN〕、〕  1

淡  青※

Fe203 H 赤娼茶 ト 灰赤褐

NH4Cl+NH4NO3

H 淡黒赤褐→淡黒赤隅 淡黒赤褐  濃  青

R 籟購  1 錆灰青 濃  青

K4〔Fe(CN),〕

H 暗赤茶→灰桃赤

主  ※目

KHSO4 濃  青

R 茶黄味榿 KSCN 濃赤血

褐 鉄鉱 茶隅 5.5 Fe H 暗赤茶→灰桃赤 濃赤血

   一一一

Fe203・3HgO R 淡蕉茶 K4〔Fe(CN)6〕

H 赤茶褐→赤茶褐

NH4Cl+NH4NO3 一一黶A一

R 淡蕉茶 黄味たいしや暗茶赤〜赤血

H 赤茶褐→赤茶褐 KSCN 濃赤血

/ ! R 濃  青 1  一

KHSO4 磁 鉄鉱

    lI 6.O l Fe

H 淡 黒→淡青黒 K4〔Fe(CN)6〕 濃  青

川、@i

FeO・Fe203 R       I戟@灰   濃  青

1 NH4Cl+NH4NO3 1

H 淡黄灰→淡黒灰 淡黒青  暗緑青     1

1 R1 茶 黒 1  『

1 KHSO4 1

        i

サ   鉄   1黒鉛 l Fe

i H l白 灰→淡白灰    「

K4〔Fe(CN)、〕

  ※

W青(乾燥状)

1 1

i i R 1  茶  黒 黒  灰

NH4Cl+NH4NO3 1

H 濃 色→暗赤茶 灰暗赤茶

1 R l  淡  黒       1 青 i

KHSO4 1

黄鉄鉱 4.5 Fe H 淡 黄→乳 白 K4〔Fc(CN)6〕

 青(漸次)一一

濃  青 FeS2 、、、

R 濃いねずみ ねずみ

NH4Cl+NH4NO窪 一一 1i

lH 黄 →黄 褐 1濃 青

[R 灰  白 [ 淡緑青

KHSO4

菱 鉄鉱 灰白 4.0 Fe H 灰 白→ 白 K、〔Fe(CN)、〕

青(乾燥状)    −…

FeCO3 1 R 旨   白 濃  青

NH4Cl+NH4NO3

1H 淡黄→姦すか奮 濃  青

Fe R 淡金茶

K4〔Fe(CN)6〕 隈 青 濃  青

1

_1 KHSO4 H 淡金茶→灰 白 濃  青

P

r R 淡金茶 灰  青

(NH4)6Mo7024

1

藍 鉄 鉱 r H 淡金茶→灰 白 灰  青

灰青 2.5 一一

Fe3(PO4)5。8H20 Fe R 暗青灰 K4〔Fe(CN)、〕 空  色 濃  青

I NH4Cl+NH4NO3 H 黄味榿→榿味黄 濃緑青 濃  青

1 一}一 一 h−¶

R 暗青灰 淡青鼠 濃  黄

P 1 (NH4)6Mo7024

1 H 黄味榿→榿味黄 淡  黄

Fe R K4〔Fe(CN)6〕 濃  青+

 As

│一 KHSO4

+ Na2S203(還元剤)

@  十AgNO3 チヨコレート

Fe H 灰 黒→灰 黒 K4〔Fe(CN)6〕 濃  青什

硫砒鉄鉱 黒鉛 5.5

As 什 Na2S203(還元剤)

@  十AgNO3

濃チヨコレート

FeAsS Fe R K4〔Fe(CF)6〕 濃緑青耕

As

NH4Cl+NH4NO3

柵 Na2S203(還元剤)

@  十AgNO3 チヨコレート

 Fe

黶o

H 黄味榿→榿味黄 K≦〔Fe(CN)、〕 濃  青冊

As 冊 Na2S203(遠元剤)

@  十AgNO呂 チヨコレート 』_

(9)

高 瀬:地学教材に関する基礎的研究 (H報)      207

〔皿〕 鉛鉱石中の鉛の検出

第3表に示す方鉛鉱,白鉛鉱,紅鉛鉱などの3種の鉛鉱石について鉛の検出を行った。

また,紅鉛鉱についてはクロームも検出した。

第 3表  鉛鉱石中の鉛の検出方法と検出結果

  1条痕

検出

   分 解 処 理 法一心一一

検出処理法 l       i

鉱物

@  1

硬度 元素1

      贈温(R) 分解試薬 」加熱(H) 色   調I     lの別

添  加 沛o試薬 常温時フ呈色

加輪「の呈色

I /    KHSO4 暗小豆茶 「※※

テ小豆 濃 黄

1 一一一 

方鉛鉱 l    l葡モP 2.75 Pb

iH澱黒→淡灰I    I

KI 一  一 PbS i   一

hNH4Cl

  E

q  淡暗小豆茶  1  ※※1淡小豆茶

濃 黄 1 1+N職N°^ H!黄羅→茶燈1 1黄   『

一一一一一

@ 1 R     灰 濃黄※ 一訥

KHSO4

白鉛鉱 3.5 Pb H    白→白 KI 濃黄※

PbCO3

NH、Cl i R 黄(漸次)

1 +NH4NO3i@   l H 黄白→白灰     1 黄※1 『一

1

一 

R }  明るい澄一一一一 i 暗赤茶〜

テ緑※※

濃黄i   l

Pb

KHSO4 H      一一セるい緑黄→@  黄味灰 「濃 黄 _ i

1 1〕一一一〜

R 明るい榿 1濃赤褐

紅鉛鉱

2,5〜3

Cr H 明るい緑黄→@   黄味灰 淡 黄     1P濃赤褐

1 1

PbCrO4 R 黄 榿

i KI 黄榿※※けゴ

Pb l  k

@ lINHCl H  l禮から茶褐→@    灰褐i 淡黄※

R 黄 榿 榿 黄 淡黄茶

H 榿から茶褐→@   灰褐 AgNO3 黒褐灰 赤 褐

一』一…一

註1※※印の物質に1滴の水を加えると黄色を呈する

実験結果から,鉛鉱石の分解法としては,硫酸水素カリウムおよび塩化アンモニウム・

硝酸アンモニウム混合試薬によって,常温,加熱処理のいずれでも分解されるが,加熱処 理の方がさらに容易である。

上記の処理後,検出試薬としてヨウ化カリウムを加え,粉末,混合すれば鉛の存在にお いて生ずる黄色のヨウ化鉛の呈色から鉛の検出ができる。

      ● ワた,紅鉛鉱中のクロームの検出は,分解処理した試料に,検出試薬として硝酸銀を加

えて,粉末,混合後,所定の検出処理を行えば,クロームの存在において生ずるクローム 酸銀の赤褐色の呈色から検出できる。

(10)

208      茨城大学教育学部紀要 第十号

ここで,緒言でも述ぺたように,中学校教材実験として,特に,方鉛鉱中の鉛の検出

(吹管分析)がとりあげられているので,前述の検出法の例(赤銅鉱)と重複する点もあ ろうが,改めて,本法による検出法を具体的に述ぺる。

方鉛鉱の試料約5mgを磁製容器にとり,ガラス棒で粉末後,1〜2倍量の硫酸水素カリ

ウムまたは塩化アンモニウム・硝酸アンモニウム混合試薬を加えて,粉末,混合(常温処       」

理)後,検出試薬としてヨウ化カリウムを加え,さらに粉末,混合をくりかえす。しかし この場合は2種の分解試料とも鉛による呈色がほとんど認められないが,この試料に1滴 の水を加えるといずれの試料も淡黄色を呈し,鉛の存在が確認できるが,さらに試料を加 熱すれば,ただちに濃黄色を呈し,鉛の存在がさらに確認できる。

また,前二者のそれぞれの分解試薬によって加熱処理した各試料にヨウ化カリウム試薬 を加えて,粉末,混合すれば,いずれもただちに濃黄色を呈するから確認できる。

方鉛鉱中の鉛の検出は,上述したいずれの実験操作によっても簡単に行い得る。なお,

これに要する時間は5分もあれば十分であるが,鉄の場合と同様に条痕板を用いて行い は,さらに短時間で検出できる。

〔IV〕 アルミニウム鉱物中のアルミ=ウムの検出

第4表に示すボーキサイト,正長石,明舞石,白雲母,緑泥石などの鉱石・鉱物につい てアルミニウムの検出を行った。

実験結果から,アルミニウム鉱物の分解試薬としては,硫酸水素カリウムが優位で,常 温加熱処理のいずれでも容易に分解が進行する。

上記の分解処理後,検出試薬としてアリザリンSの微量を加え,粉末,混合後,アンモ ニア水の1〜2滴を加えてアルカリ性とすれば紫色を呈する。さらに酢酸の1〜2滴を加え酸 性にするとアルミニウムの存在において赤色を呈する。この赤色の呈色からアルミニウム の検出ができる。

またアルミニウム鉱物の場合は分解処理を要せず,鉱物粉末試料に直接アリザリンSを 加え,粉末混合すればただちに検出できる。

結局,アルミニウム鉱物中のアルミニウムの簡易検出法は,鉱物の粉末試料に直接アリ ザリンSを加え粉末混合すれば検出が容易である。また,硫酸水素カリウムを用いて分解

(11)

高瀬:地学教材に関する基礎的研究 (皿報)      209 第4表  アルミニウム鉱物中のアルミニウムの検出方法と検出結果

i条痕 検嗣1   分 解 処 理 法

検 出 処 理 法

鉱物 硬度

元素 分解試薬

常温(R)

チ熱(H)の別

色   調 添  加

沛o試薬

辮麟

1

1

KHSO4 R 卵  黄 一iF

1「ボーキサイ 淡紅褐→淡紅褐 一一

     ト

̀I203・2H20 暗榿 1〜3 INH4C1 R 卵  黄 アリザリンS

_   F

P

5

「+NH4NO311   1

H 黄褐→褐黄1 1−1

一こ1−1アリサリンs 濃赤

±  1

l   R   ,   1ヤ  一i1

正長石

KHSO4 (無

ァ明)→白 アリザリンS

@十NH40H

 一  }赤 1−1      

K20. Al20・ 6 Al NH4Cl

「−@R 十CH3・ 1      11赤褐1−i   I

   6Sio2

P +NH、NO,i    1

uH  白→白 COOHI      iヤ褐1−1     }

1        1

│ 1−1 一 アリザリンS       ヤ 1−i  i   j  明馨石K20.3Al,03.

SSO3・6H 20 灰i・・ 」  一 1

衛ゴ

 白雲母  「  ;窒P2.51Al    I 1

       1−  i−    −

@      1

iアリザリンS 紅赤

1 緑泥石 l l 1 1 1      L

齪騨硝灰1〜 ・5 Al {  一  …

1− p 1濃概一

〔▽〕 アンチモン鉱石中のアンチモンの検出

第5表に示すようにアンチモン鉱石として輝安鉱を用いてアンチモンの検出を行った。

第 5 表  輝安鉱中のアンチモンの検出方法と検出結果

1   I     I

痕   検出

1    分 解 処 理 法       検 出 処 理 法  l      I      l

i

旨鉱 物

硬度I

@ l元素 分 解 試 薬 辮掴罐出試纏磐総餐鷺i

}     lR          1ゥから漸次榿濃榿赤

「   KHSO4   1 1

1 l     H 淡緑黄→灰黒 灘登赤 膿榿赤「

一一w一一一一 Na2S 1__

1徽鉱黒鉗 2。5, Sb

NH崖α+NH4NO3 R 魏ら轍i一州

is幡 Il   2 I H 黒 →黒  離轍    「蜷ヤ…一 一一

i 黄から3〜4分  1

1 一 l K°H }R KOH 雰墜羅寡1「「         」  一一一『

実験結果から,輝安鉱の分解法は,硫酸水素カリウムおよび塩化アンモニウム・硝酸ア ンモニウム混合試薬によって,常温,加熱処理のいずれの場合でも分解されるが,加熱処 理の方がさらに容易である。

上記の分解処理後,検出試薬として硫化ナトリウムを加え粉末,混合すれば,アンチモ

(12)

2io      茨城大学教育学部紀要 第十号

ンの存在において榿赤色の硫化物を生ずる。この呈色からアンチモンの検出ができる。

また,輝安鉱の粉末そのものに水酸化カリウムを加えると,分解されてただちに黄色を 呈し,さらに,これが時間の経過とともに進行し,3〜4分で濃榿色となり,12〜13分後に は濃榿色のアンチモンの硫化物を生ずる。従って,輝安鉱は水酸化カリウム試薬のみを用 いることによって,常温において分解,検出が容易にできる。

結局,輝安鉱中のアンチモンの簡易検出法は,粉末試料に直接水酸化カリウムを加えて 混合すれば,黄色を呈し,しだいに榿赤色を呈する反応により最も容易に確認することが

できる。

〔V1〕 マンガン鉱石中のマンガンの検出

第6表に示す硬マンガン鉱軟マンガン鉱菱マンガン鉱などの3種についてマンガン

の検出を行った。

第 6表  マンガン鉱中のマンガンの検出方法と検出結果

、−@    1     条痕 1検出1        rェ 解 処 理 法 検出処理法一『P

鉱  物

硬慶  元素        1常温(R)i分 解 試 薬 加熱(H)       の別  i

色   調

@    1

綾出試釧壁灘

1−  一「      1 一一

一一一一一

R     一一決鼾 1

里1_川 1

1 KHSO4

    一一一回}

鼈鼈鼈鼈 1一一

l       I

P謙ガ幽 H 淡茶すみれ→白     一_一幽一一一 一一

KOH 濃黒一黷P−一

   E¥MnOI

@    l 黒16.O

@l Mn 一一一一 褐  黒 +AgNO3

1轟゜ NH、Cl+NH、NO3

H 茶褐→淡灰茶褐 濃黒1 一L_

1        一一一@  一一一一 一一鼈鼈鼈鼈齊l一一一 1

i  l KOH R 黒 一

1 lRl黒茶      一

  }

1 KHSO4 lHl桃白一白桃 KOH nに  1Z黒一

鼈黷P−一

鷲鉱1里、、、 2.0 Mn

NH、Cl+NH、NO3

rR「  一黒LH「藤一灰添 十AgNO3 濃黒一

黷P一Z黒一

1 K・H !R 淡  黒 AgNO3

R! 白 隠ト

KHSO4 一 

H  無(透明)→白1

@ 1   一

    旨 jOH       

{AgNO3

菱マンガン鉱

@MnCO3

淡紅白

4.5 Mn R I  白       一一一一一}  、一一 一一

膿黒一1

チヨ

NH、Cl+NH、NO3

Hl濃黄→黄一1i

      11       1 1− 『

i 1 K・H lR  白 [A・N°・灘}一 1

実験結果から,マンガン鉱石の分解法は,硫酸水素カリウムおよび塩化アンモニウム・

硝酸アンモニウム混合試薬によって,常温,加熱処理のいずれの場合でも容易に分解され

(13)

高瀬:地学教材に関する基礎的研究 (ll報)      211 る。また常温において,水酸化カリウム試薬により,容易に分解される。

上記の分解処理後,水酸化カリウム(水酸化カリウム分解処理試料には加えない)を加 えて粉末,混合し,さらに,硝酸銀を加え粉末,混合すれば,マンガンの存在において黒 色の金属銀を折出する反応によってマンガンの検出ができる。

結局,マンガン鉱中のマンガンの簡易検出法は,水酸化カリウムによって常温分解後,

硝酸銀を加えることによって,常温でただちに検出することができる。

〔皿〕 閃亜鉛鉱中の亜鉛の検出

亜鉛鉱物として,第7表に示す閃亜鉛鉱について亜鉛の検出を行った・

第 7 表  閃亜鉛鉱中の亜鉛の検出方法と検出結果

{  「 P検出

   1霜鉱 物1 「比重

@  剖  元素 分繍薬       1常温Y加検出元素時の@     厘色加熱時フ呈色   1

1 R 淡 灰i   廣縁黒劇

KHSO≧ 1.  _一_1

   1M亜鰯灰銀 40 Zn H 淡 黄→ 白

[K,〔H,(SC蝋灰紫「 黒紫…

ZnS ×         l

mH、Cl+NH、NO3 R 灰ねずみ [       1    i−1−{CuS°・

暗オリーブー一一

} 1 1 lH 淡黄褐→淡黄褐      黒紫1− I      I         l  1       一

実験結果から,閃亜鉛鉱の分解は塩化アンモニウム・硝酸アンモニウム混合試薬により 加熱処理によって容易に分解される。

亜鉛の検出は,分解処理後,チオシアン化水銀カリウム(塩化第二水銀とチオシアン化 カリウムの8:9の混合比による)および硫酸銅の結晶を加えて検出処理を行えば,亜鉛の 存在において生ずる黒紫色の呈色から検出できる。

〔皿〕 錫石中の錫の検出

錫鉱物として,第8表に示す錫石について錫の検出を行った・

第 8 表  錫石中の錫の検出方法と検出結果

  1検出比重        [ェ 解 処 理 法 検 出 処 理 法

一一目一

瑚響   t

元素        常温(R)

ェ 解 試 薬 加熱(H)i色   調       の別  1 添加検出試薬 麟響

1 R 灰小豆 灰小豆睡青

1

一}}

1 KHSO4 1

錫 石1赤褐

6.5 Sn H 青 →空 青 (NH4)6Mo702、濃 青 一

鼈黷P

SnO2 ×1 R 灰小豆 淡紅灰灰青トー

1NH4CI+NH、NO、

1 } H 淡灰褐→淡灰褐 一桃味國トー

1      1 1 _1

(14)

212       茨城大学教育学部紀要 第十号

実験結果から,錫石は,硫酸水素カリウムによる常温分解は不可能であるが,加熱処理 によれば分解される。しかし,常温処理した試料に検出試薬を加えた後,加熱すれば反応 が進行して錫の検出ができる。一方,塩化アンモニウム・硝酸アンモニウム混合試薬では 分解されない。

錫の検出は,分解処理後,モリブデン酸アンモニウムを加えて検出処理を行えば,硫酸 酸性(この場合は,硫酸水素カリウムで処理してあるので,硫酸を加える必要はない。)

において,錫が存在すれば生ずる青色の化合物の呈色から検出できる。

〔皿〕 珪ニッケル鉱中のニッケルの検出

ニッケル鉱物として,第9表に示す珪ニッケル鉱についてニッケルの検出を行った。

第9表  珪ニツケル鉱中のニツケルの検出方法と検出結果

 条痕 1検出1 分 解 処 理 法 検 出 処 理 法         『

鉱   物

硬度i

元素        5 ェ 解 試 薬

常温(R)1

チ熱(H)1色  調の別 添  加

沛o試薬

常温加熱

R 暗 灰   1ヤ桃1一 KHSO4

珪ニツケル鉱 H 暗灰→暗灰1、

ジメチルグリオ

…一赤細一

(NiMg)Sio3・ 2〜4 Ni l R iキシム 霧ご

nH20 1 NH、Gl+NH、NO3

@       [ H 灰→灰 旨  十NH40H 赤細一

1 一一一堰│一

[   1  一層一}−P 騨工i一

実験結果から,珪ニッケル鉱は,硫酸水素カリウムおよび塩化アンモニウム・硝酸アン モニウム混合試薬により常温,加熱処理のいずれの場合でも分解される。

ニッケルの検出は,分解処理後,ジメチルグリオキシムを加え,粉末,混合後,1滴の アンモニア水を加えれば,ニッケルの存在において生ずる赤紅色のニッケルジメチルグリ オキシムの呈色により検出できる。また,珪ニッケル鉱は分解処理を必要とせず,粉末試 料に直接ジメチルグリオキシムを加え,粉末,混合後,1滴のアンモニア水を加えれば,

赤紅色を呈し,ニッケルが検出できる。

〔X〕 マグネシウム鉱物中のマグネシウムの検出

マグネシウム鉱物として,第10表に示す菱苦土鉱についてマグネシウムの検出を行っ

た。

(15)

高 瀬:地学教材に関する基礎的研究 (∬報)      21ゴ

第10表  菱苦土鉱中のマグネシウムの検出方法と検出結果 i 1条痕i

検出 分 解 処 理 法 検 出 処 理 法

鉱 物

硬度

元素        常温(R)ェ 解 試 薬 [加熱(H)       1の別

色 調 添加検出試薬

常温時加熱時の呈豊の呈色1

1

R    [ゥ赤褐一

KHSO4

菱苦土鉱 4.5 H 白→白

KOH+KI+12 黄赤褐

MgCO3 lMg

R 黄赤褐

NH、C1+NH、NO3

H 白→白 黄赤禍 一1

1 実験結果から,菱苦土鉱は硫酸水素カリウムおよび塩化アンモニウム・硝酸アンモニウ

ム混合試薬により,常温,加熱処理のいずれでも分解される。

マグネシウムの検出は,分解処理後,水酸化カリウム・ヨウ化カリウム・ヨウ素の混合 試薬を加えて,粉末,混合すれは,マグネシウムの存在において生ずる黄赤褐色の呈色に

よって検出できる。

w 要   約

以上は,粉末定性分析による鉱物・鉱石中の主要構成元素の検出法について検討してみ たものである。その結果をまとめると,つぎのようになる。

1.本法は,一一般の湿式分析法と異なり,沈殿,濾過などの分析操作を必要とせず,簡 易な器具と簡単な実験操作によって,鉱物構成元素を迅速に検出できる。なお,条痕板を 用いて行う場合は,一層迅速に検出できる。

是       2.危険防止上の観点から考察すると,本法は,強酸,強アルカリなどの液体試薬を要 しないから,試薬使用上の危険性がほとんどない。また,試料の分解処理には,分解試薬 を吟味することによって,数種の鉱物以外は加熱操作を必要としないから,実験操作上に おける危険もほとんどない。

3.本法は,吹管分析法とならび得る有用な一つの分析法であると考えられる。特に・

教材実験の立場から考察すれば,前述の理由から吹管分析法に優る点が多い。吹管分析 は冶金学上の観点からは有用であっても,この分析結果生じた金属の形状のみでは,化学 成分を確認し難い。このような場合,それを確認する意味においても,やはり本法が有効

となろう。

生 鉱物・鉱石中の化学成分を調べる教材試料としては,方鉛鉱などより・むしろ・我 々の生活の場に広く分布する砂鉄などを対称として,本法を用いれば,より効果的な学習 ができる。

(16)

214      茨城大学教育学部紀要 第十号

5. 本法は,野外観察,調査などにおける鉱物・鉱石の鑑定に使用し得る。

終りにのぞみ,本研究を行うに当り,種々御指導御鞭縫をいただきました本研究室の高 野1亘雄先生はじめ,諸先生方ならびに鉱物試料を提供され,かつ,御鞭健いただきました 本学文理学部地学教室の大山年次先生に厚く感謝の意を表します。

〔後記〕 本研究は,昭和35年10月28日,日本理科教育学会第10回全国大会(於大阪市)

において講演発表してある。

参 考 文 献

1)大 竹 三 郎:科学の実験,Vol. Vll, No・2, p.22(1956)・, Vol. Vll, No.3, p.23

(1956).

2)須 藤 俊 男:鉱物化学1,(1954)・

3)石 館 守 三:微量定性分析,(1949)・

参照

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