• 検索結果がありません。

東京財団

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "東京財団"

Copied!
66
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)
(2)
(3)

酒井啓幸(特定非営利活動法人全日本自動車リサイクル事業連合専務醇)

(4)

*********************************************

東京財団は、日本財団及び競艇業界の総意にもとついて設立された非営利独立の知 的拠点です。

当財団では、政策研究事業として、国内外のさまざまな物事の本質について調査研究 し、日本の将来を見据えた提言を行っております。

本報告謝ま、その一環として、「パラオ共和国における自動車リサイクルの適正化と 自動車輸入のQuota System設計」(2006年4月1日〜2006年9月30日)の研究成 果をまとめたものです。広範な人々に読んでいただき、活発な政策論議や社会的な運 動につながることを期待しております。

なお、報告書の内容や提言は、すべて執筆者個人に属し、東京財団の公式見解を示 すものではありません。報告書に対するご意見・ご質問は、執筆者までお寄せください。

2006年12月

東京財団研究推進部

(5)

目次

序文 5

エグゼクティブサマリー 7 要約 9

第1章提言_...。..._...._.__... _._......._.._.___._.._....__..心_..._.___..14

  第1節 パラオモデルの意義 14

     1離島の輸入制限の必要性 14/2テストケースとして将来の国際的発展を目指す15   第2節 パラオモデルの構築 15

     1検討課題15/2地理的考察17   第3節 パラオモデルの実践 17

     1自動車輸入制限公社について17/2具体的な組織構造18

第2章パラオ共和国における廃車実態調査____.__.______...__._.20   第1節 パラオ共和国を選んだ理由 ⑳

     1パラオ共和国の概要20/2歴史背景20/3自動車政策21   第2節 パラオの政治経済 22

     1政治経済の概略22/2観光立国としての課題23/3パラオに対する日本のODA 24   第3節 パラオの自動車社会 26

     1自動車社会の現状26/2自動車に対する意識26/3自動車産業について27

第3章離島における使用済自動車処理_.____.___.___.______....2夕 第1節 使用済自動車の処理・リサイクル 2g

   l自動車の処理・リサイクルシステムの概要29/2自動車リサイクル法の施行による処理・リサイク    ルシステムの変化30/3自動車リサイクル促進センターの離島対策等支援事業31

第2節 利尻島における使用済自動車問題 31

   1利尻島における使用済自動車問題の顕在化31/2放置車両などの一斉撤去32/3条例の制定    による対応32

第3節 八丈島におけるケース 35

   1自動車リサイクル法以前の動向35/2自動車リサイクル法の施行とその波紋35/3自動車リサイ クル法の導入による町の苦慮36

(6)

第4節 奄美大島におけるケース 37

   1全国初の広域連携37/2広域連携の評価38

第5節 まとめ39

   1離島での使用済自動車処理・リサイクルの問題点39

第4章シンガポールにおけるvehicl, Qu。ta sy,tem備入自動車入札割当制度)  42   第1節 シンガポールのVQS 42

     1パラオにおけるvQSの可能性42/2シンガポールにおける交通政策一vQsを中心に一43   第2節 自動車リサイクル法とEU指令44

  第3節デポジットリファンド制度45

  第4節パラオにおける処理・リサイクル問題と政策提言46

     1パラオにおける使用済自動車問題46/2パラオにおける輸入自動車入札制度とデポジット制度47

  第5節 まとめ4g

第5章具体的提案______.______.______._.____._____50   第1節 パラオの問題点と計画実施の前提条件 50

  第2節 パラオ廃車処理計画にあたり準備すべき項目 51   第3節 具体的計画提案 52

     1第1計画 解体実務研修の実施による解体技能士の育成計画52/2第2計画 自動車解体業・

     中古部品卸売業の立ち上げ計画53

参考文献 57

今回の研究に当たって、とくにお世話になった方々 59

(7)

序文

研究の背景と目的

 「太平洋の美しい島々が日本製自動車のゴミ捨て場になっている」、「製造国の責 任として使用済みとなった自動車の処理まで面倒みるのが筋ではないか」。太平洋

島峻国の研究などを推進しておられる学者からこうした話を聞いた。日本国内の自 動車リサイクル事業者で組織する特定非営利活動法人全日本自動車リサイクル事業 連合は早速、この問題を自らの目で確かめるべく調査に入った。2005年5月、日 本からグアム経由で気軽にアクセスできるミクロネシア連邦共和国とパラオ共和国 の2国を選定。当時、理事の一員であった私も視察に参加した。

 そこでは、10年ほど前に日本でよく目にした自動車が、適正な処理をされず放 置されている状況だった。日本では無価値になってしまった自動車ではあるがまだ

まだ現役で充分活躍できるはずの自動車が、初歩的なメンテナンスの知識がなく、

補修部品の調達も満足にできない環境下において、数年で廃車になっているという。

しかしパラオでは大変高価で、自動車を資産として所有しているため、動かなくな ったとはいえ、誰も安易に捨てようとはしない。私も日本で自動車産業の片隅とは いえ、世話になっている身分であるから、責任感からくる後ろめたさを感じ、当地 を後にした。

 帰国後早速、視察した両国の情報を交換し、同法人では同年夏には視察報告書を まとめ広く配布、関係者の間では一定の評価を得ることができた。しかし、たった 1回の視察ではつかみきれない課題は多々あり、より具体的な展開を煮詰めるべく、

関係者の間で議論を継続していた。そして太平洋を挟んだ隣国において、自分たち が乗っていた自動車が、美しい島々の美観や環境を破壊しようとしている事実に冷 静に向き合う必要があるという結論に至った。

 その責任の一端を自覚し、2006年の4月から9月にかけて東京財団の研究プロ ジェクト「パラオ共和国における自動車リサイクルの適正化と自動車輸入のQuota System設計」にて研究を行い、提言を本研究報告書にまとめた。この研究報告書

をきっかけとして賛同者を募り、さらに大きなプロジェクトへと発展し、ゆくゆく は太平洋島喚国全体のテーマとして大きく展開していくことを期待している。

(8)

研究経過

 日本で2005年に施行された自動車リサイクル法の調査に関しては日本の関係省 庁等を訪ね、自動車の交通政策調査に関しては、世界の最先端であるシンガポール の法令を研究するために出張し、その概要や成果等を把握した。また日本の離島に おける自動車の廃車問題を調査すべく、八丈島と奄美大島の現地調査とヒアリング を行ない、日本の実績について見識を高めた。

 パラオ共和国に対しては、パラオ共和国大使館を訪ね、ダイジロウ・ナカムラ駐 日特命全権大使と交流し、研究者としての意向を話し、全面的な協力要請を申し入 れた。またパラオ共和国においては、前大統領で実業家であるクニオ・ナカムラ氏

と面会、同国の実情を詳細に把握するとともに、日本との関係などについても研究

を重ねた。

研究成果

 調査研究については当初より、その幅を大幅に拡大し、自動車輸入入札割当制度 をシンガポールのVQSに学び、廃車処理費用の負担については我が国の離島の実務 に倣った。また、デポジット・リファンド制度についてはそれを採用しているスウ ェーデンや台湾の事例を調査し、その管理・運営については我が国の自動車リサイ クル促進センターの活動を参考にした。

 「百聞は一見にしかず」。時間の許す限り面会によるヒアリングや実際に当地に 足を運んでの調査などを重ね、情報聞き込みなども充分行えたと実感している。

謝 辞

 日本の自動車業界や自動車解体業界の方々、そして太平洋島喚国の研究家など、

業界を超えて実に様々な方々の協力を戴き、代表者・共同研究者ともにこの場をお 借りして感謝を申し上げたい。またこのような研究の場を提供してくださった、東 京財団に重ねて感謝申し上げたい。

      記載年月  2006年9月 共同研究者 竹内啓介 共同研究者 淺木洋祐 代表者   酒井啓幸

(9)

エグゼクティブサマリー

 日本のカーオーナーのうち、最終処理まで気にかけている人はどのくらいいるだ ろうか。日本では新車を購入すれば、3年後の車検や少なくとも次回の5年目で買 い換える人が多い。普通乗用車ならば、約6年で下取り価格がゼロになり、もしく は処理するための費用を請求されることすらあるからだ。しかしいったん車を手放 せば、前に乗っていた自動車がどのような道を歩んでいるかは、ほとんどの人は気

に留めないことだろう。

 最初のオーナーの手を離れた自動車は、中古車として第2の人生を歩むことにな る。人気のある車種ならば、2代目・3代目とオーナーが変わっていく。バブルの 崩壊以後、徐々に自動車の使われ方も欧米化し、日常の足、道具としての扱いにな ってきていると言われているものの、現在でも日本の乗用車の平均寿命は、約10 年、走行距離は10万kmとされている。

 この数値は、米国の17年30万km、欧州の15年20万㎞に比べ、大変贅沢な乗 り方をしていると言える。これに目を付けた世界の自動車バイヤーは、まだまだ乗 れるにもかかわらず日本では価値がなくなった車を買い取り、それらを必要とする 国に輸出し、中古車として、また部品単位で販売されている。

 まだまだ乗れるとはいえ、自動車整備のインフラが不充分なそれらの国では、数 年の使用により自動車としての完全な寿命を全うすることになる。問題なのはその 処理。それらの国のほとんどは自動車解体、廃車処理のノウハウを持っていないの が現状で、路上に放置されたり、山や海に捨てられたり、適正に葬られていない。

美観を害し、環境にも負荷を与えるため、全世界で廃車の適正な処理の実現は、近 い将来必要不可欠だという声も年々高まっている。

 今回私たちは縁あって、パラオ共和国という日本ととても関係が深く、多くの日 本人観光客が訪れている国での廃車事情を目の当たりにした。巨大な自動車産業を 持つ日本。幸いなことに自動車解体事業のノウハウについても世界に誇れるレベル

に達している。

 同じ太平洋を臨む隣国の住民として、太平洋の汚染はやがて日本にも少なからず 悪影響を及ぼす。太平洋の美しい島々を日本製自動車の墓場にしないために、私た ちは以下の提言をしたい。

(10)

1:パラオ共和国に自動車輸入管理公社を設立 2:自動車解体のノウハウを伝授

3:自動車中古部品の安定した供給体制の実現 4:パラオ国内に自動車解体処理工場の設立

5:事前選別対象回収物の輸出及びくず鉄など資源の輸出援助

(11)

要約

 私たちが南太平洋にいだくイメージは、青いきれいな海を前にして白い砂浜に椰 子が茂る静かな景色の島々であるかと思う。

 自動車リサイクルに関する私が2005年2月大東文化大学のシンポジウムに招か れ提示された問題は、それらの島々にもモータリゼーションの波が押し寄せ、深刻 な廃車問題を引き起こしている現実に、自動車生産国である日本がどう対処したら 良いかという問題であった。大東文化大学は、トンガとの結びっきに見られるよう に、南太平洋諸国との絆が強固で、その地域についての調査研究では世界的レベル にある。そのシンポジウムに出席して私は地球環境問題への取り組みの原点が南太 平洋の島々に現存する廃車適正処理の実施にあることを痛感した。当日、説明資料 で見せられた現地の廃車を含めたゴミ問題の深刻な状況は「地球の有限性」を訴え ており、島という環境容量の有限性の中で人々が排出する様々なゴミを如何に処理 し環境の快適性を保つかという命題を投げかけていた。中でも工業製品の廃棄物は、

島の人々にとっては適正処理する術がなく、自然の生態系の中で放置しておけば問 題なく処理できていた伝統的在来物品と違って、プラスチックや缶・ビンなどのよ うにいつまでもなくならず、ゴミの山となっていく様子に戸惑いが生じているとい う。それは、このまま為す術もなく放置したときの地球の未来を暗示しているよう

である。

 南太平洋の島々ばかりでなく、アフリカの国々からも、中古工業品の輸出はゴミ の輸出であると先進工業国は非難されているが、確かに現下の世界貿易は自由貿易 体制下にあって、輸入品の廃棄処理は輸入国の責任であると主張することはできる が、地球環境保全という観点から見た場合に、解体ノウハウやインフラが無く適正 廃車処理ができない国の場合に、それで済ませられるかどうかが問われ始めている。

21世紀を迎えて工業製品の大量生産・大量消費・大量廃棄の構図は一層大きくな ると予想され、それに大量リサイクルを加えて循環型経済社会を構築しようと努力 してみても、大型国際商品である自動車の場合は、途上国を含めて資源の有効利用 や循環資源の制度設計を国際的に確立することが必要不可欠であると認識され始め ている。わが国の学界や実業界においても、それに耳を傾けたり、一歩進んで生産 国責任を論じたりする人々が出てきている。なかでも、柳内俊二教授の各国はグ

(12)

ローバル活動の中で自国の国益とは別に国境を越えた責務として国際社会の利益、

すなわち「国際公益」を意識し尊重しなければならないという主張は、グローバル 化時代を迎えた今日、新しい倫理基準として聞くべきものがあるように感じている。

南太平洋の島々は2,000以上を数え、1,200以上の言語が存在し、多様な文化を育 んできたという。しかし、これらの島にもグローバル化と都市化が押し寄せ、多く の言語と文化が失われつつあると報告されている。どの島にも共通して見られる典 型的な経済の形は、MIRAB型経済である。

 MIは移民・出稼ぎ、 Rは送金・仕送り、Aは援助、 Bは官僚リーダシップを意味 しており、先進国からの援助金の多額化と流出する移民労働者からの送金の増大に よって生活の大幅な構造変化を来たし、大量消費社会を出現させて大量のゴミを排 出し、適正処理されないまま土壌汚染や海洋汚染を犯している。人々の生活に直結 した工業製品の廃棄の中で、量的に最も大きな厄介者は日本製中古自動車であると

いえる。

 日本の車社会は、世界で一番贅沢で資源浪費型車社会であるといえる。日本では 乗用車は平均して10年10万㎞しか走行せず廃車されてきた。10年経過車には車 検制度においてもグリーン税制においても罰点的に厳しい取り扱いがなされてきた から、人々は車は10年で買い替えるものと洗脳されてしまっていた。聞くところ によれば、アメリカでは廃車までに17年30万km走行し、ヨーロッパでも12年〜

15年15〜20万㎞走行しているという。補修する場合も、わが国では5年経過車で も7年経過車でも新品純正部品を用いることが通常化しており、中古部品を使用す ることは極めて稀である。それは、新品純正部品の供給サービスが各メーカーの努 力で極めて能率的に、しかも迅速正確に行われているからで、修理日数が短くユー ザーにとっては大変便利で安心してまかせられるからだ。欧米のように新品純正部 品の供給サービスが迅速でない車社会では、中古部品の使用が安価なのも手伝って 活発化し、その使用率がアメリカでは20%台、ヨーロッパでは多くの国が10%台 に乗せているのに対し、日本ではまだ3%という低いレベルで推移している。

 そのため外人バイヤーが日本にやって来て、自動車解体工場を回り、捨て値同然 の中古部品を集め、40フィートのコンテナに満載してシッピングしている。金額 的には小さくても、物量的には大量に中古部品が海外に輸出されている。資源の有 効利用の面からは、大いに歓迎される中古部品取引となっている。

(13)

プラザ合意(1985年)以後、中古部品購入の外人バイヤーの来日が急速に増えて きた過程で、外国人バイヤー達は解体工場にある再販価格がゼロの10年経過車が あるのに気づいた。その中には5万㎞も走っていない優良中古車が含まれており、

彼らはそのような車を探し、小額の代金で買い付け、海外へ持ち出すようになった。

そのようにして持ち出された日本の中古車が年々増加し、最近ではほぼ全世界に輸 出されている。

 2005年1月1日から施行された自動車リサイクル法は、自動車の最終ユーザー に廃車する際に、3品目(フロン類・エアバッグ類・シュレッダーダスト)だけで はあるが、リサイクル料金の支払いを義務付けた。同法に併行して1部改正された 道路運送車輌法は、輸出抹消登録制度を導入したので、輸出中古車として輸出され たことが明確な場合には国内で解体処理費用が発生しないから、輸出中古車に対し ては前払いリサイクル料金が返戻されることになった。それで、中古車の輸出が急 速に増大し、2005年の輸出中古車は前年より40万台増え、140万台に達したと経 産省・環境省から発表された。

 日本の中古車が輸出されて輸入国で使用されることは、資源の有効利用であるか ら大いに支持されるところであるが、問題は廃車時にそれを適正処理する資金・技 術・施設を持っていない一部の途上国においては、放置車あるいは不法投棄車とな

ったり、不適正処理されたりしているケースが多々見られる。自国に自動車解体の ノウハウやインフラが整っていて廃車の適正処理が可能な国の場合は、それを実行 してもらうことで済むが、適正処理能力がなく中古工業品の輸出はゴミの輸出であ ると言っている国に対しては、何らかの支援を行って適正処理の自立を指導するこ とが必要であると考える。特に南太平洋の島々では、廃油・廃液・有害化学物質等 を取り除かず、廃車をそのまま海に投棄しているケースがあり、魚獲高の減少と汚 染が警告されているが、廃車の海洋投棄が関与しているとすると、それは日本国民 にとっても由由しい問題であると考える。環境保護は世界共通のテーマとして認識 されつつある現在、廃車処理のノウハウを持っていない国で日本車により起きてい る問題は、製造物責任の一環として、間接的に製造者にも責任が問われても仕方の ないことであろう。

 それ故、解体業の先進国であるわが国の自動車解体業者としては、南太平洋の廃 車適正処理化に関心を持たざるを得ない。本研究では事例をパラオ共和国に求め、

(14)

パラオ共和国に生じている廃車処理事情を明らかにし、その適正処理の自立化に向 けて如何なる対策が必要かを究明し、それに要する技術的・財政的分析を加えた。

提言1:パラオ共和国に自動車リサイクル法施行および自動車輸入管理公社の設立  パラオ共和国政府は自動車輸入管理公社を設立し、自動車の輸入制限を法制化す る必要がある。輸入制限については、シンガポールのVQSが著名で、これに加え日 本の自動車リサイクル法や日本国内の離島における自動車処理システム、また諸先 進国の自動車リサイクル関連法令を参照して、パラオ共和国に一番適すると思われ る法令を施行する。

 またこれを管理維持するために、自動車輸入管理公社を設立し、現在、無制限に 輸入されている自動車に歯止めをかけ、これ以上、廃車を無作為に増やさないよう に制度化する。

提言2:自動車解体のノウハウを伝授

 自動車の解体処理技術については、日本は世界に類を見ない独自の高い技術とノ ウハウを持っている。解体事業者からボランティア等を募集し、解体ノウハウの伝 授を実施し、島峻国の国民に対して、自動車の適正処理の必要性を広く啓発する。

提言3:中古部品の安定した供給体制の実現

 パラオ共和国内で廃車を生み出さないために、最もよい方策は自動車の寿命を延 ばすことである。島峻国で自動車の寿命が著しく短いのは、自動車オーナーのメン テナンスの知識の乏しさに加え、部品が手に入りにくいことがあげられる。製造か ら10数年経た自動車に新品純正部品を使用する必要性はなく、高品質な日本製中 古部品の供給ルートが確立できれば、送料コストを差し引いても、安価な修理の実 現が可能になり、自動車の寿命を延ばすことが可能だと考える。

 また同時に、自動車整備技術の高度化や日本語によって発行されている日本製自 動車の整備マニュアルの英語化などが実現できれば、さらなる整備需要の活性化に 結びっくと考える。

(15)

提言4:自動車解体処理工場の設立

 日本の自動車解体ノウハウが世界的にも高水準であるのは間違いない事実である。

自動車の解体工場では、自動車の部品を素材別に分別し、それぞれの素材にあった 適正なリサイクルが施される。また解体過程においてまだ使える部品については、

中古部品として丁寧に取り外し、保管し、需要があればそれを流通させる。

 パラオ共和国の自動車保有台数を鑑みると、日本の小〜中規模の自動車解体業者 1社で充分処理できる。国営か、民間かの問題は、第1章で言及しているが、日本 の適正業者のシステムを応用することで、比較的容易に解体工場が建設できるもの と考えられる。

提言5:事前選別対象回収物の輸出及びくず鉄など資源の輸出援助

 自動車は鉄だけでなく、アルミや鋳物、白金などの非鉄金属などの有価物、プラ スチック・バンパー類は熱源量としてサーマルリサイクルできるもの、シートのフ ァブリックやトリム類の容易にリサイクルできないものなど、非常に多くの素材で 構成されている。島喚国の場合、一番のネックになるのがこれらの輸送の問題であ るが、日本の例に倣い、最も効率よく輸送できるシステムを整える必要がある。こ うしたノウハウも伝授する必要がある。

(16)

第1章提言

第1節 パラオモデルの意義 1 離島の輸入制限の必要性

 離島における廃車処理は、自動車が離島に持ち込まれたとき、予め将来発生する 廃車処理費用を前払い方式により、自動車の輸入業者ないしはユーザーから徴収す る。それを公的機関で保管し、当該自動車が将来廃車することになったとき、その 前払い費用をデポジット・リファンド的にユーザーに返還したり、あるいは廃車処 理機関に直接支払ったりする制度がベストであるというもの。加えて、道路や保管 スペースの有効面積が限られている島国において、無制限に自動車の輸入を認める ことは、交通渋滞を招いたり、廃車適正処理の困難をかかえたりして、行政コスト も増大させる原因になるから、適正保有台数を定めて輸入台数制限を設けることも 考えられなければならない。

 くず鉄価格は国際価格であり、また、離島の場合、離島内で解体及び破砕処理す ることはできても事前選別対象回収物や解体後の鉄・非鉄・ASR(シュレッダーダ スト)の適正処分をすることは難しく、島外へ運び出すことになるが、問題は船賃 もまた国際価格であることがあげられよう。そもそも廃車処理に当たって事前選別 対象回収物(6品目)を島内で回収するかどうか、回収し部品取りした廃車ガラを 島内で処理するかどうかも経済的観点から検討されなければならない問題で、廃車 したとき前払い処理費用がデポジット・リファンドされても、その返還費用がその 時の適正処理費用を賄いきれない金額のときは、廃車が放置、もしくは不法投棄さ れる可能性が避けられない。廃車が持ち込まれた廃車処理機関が当該廃車を適正処 理するとは期待できず、また受け入れ拒否をすることも考えられる。

 そのように離島の廃車処理は、国際価格に影響されない制度設計にする必要があ る。すなわち、前払い方式の廃車処理費用が適正処理費用に不足するときの対策が 考えられなければならない。おそらく不足費用を廃車時点でユーザーから回収する ことは、制度として考えられても実行は難しく、実行するためには相当強い強制力 を伴った徴収制度と機構を作らなければならないだろう。

(17)

2 テストケースとして将来の国際的発展を目指す

 誰がこれらの業務を担当するのが望ましいかという問題は、色々な見方ができる が、行政等がサービスベースでやるべきか、民間がビジネスベースでやるべきか、

島内事情を勘案して選択すべき問題であろう。

 民間業者がビジネスベースで行う場合は、市場原理を最大限に働かせることによ って費用を圧縮し効率化が図られると考える。ただし、国際市況の変動リスクに対 する措置を別途考えておく必要がある。

 行政がサービスベースで行う場合は、監視の目が行き届き、必要が生じた場合は 行政の予算措置がとられ、適正処理が担保されると期待されるので好ましい面はあ るが、効率的に運営されるかどうかという点では心配が残る。現在パラオ政府がか かえている過剰公務員をサービス要員に振り向けることが可能であることはプラス 材料といえる。

 このような条件の中で最適の組み合わせを検討し、パラオ政府の採用に至ればパ ラオ・モデルとしてPIFの残り13島峻国やアフリカの途上国に対して模範モデル となり、世界的にも地球環境保全対策として多大の貢献をすることになるだろう。

第2節 パラオモデルの構築 1 検討課題

 パラオには有力政治家や企業家が揃っており、モデルの妥当性さえ理解されれば、

実行の可能性は高いと考えられる。しかしながら、実行に当たっては次の諸点が考 慮・検討されなければならない。

 1)自動車の輸入に対して台数制限が設けられねばならない。経済活動がそれ程 活発でない人口2万人の小さな島が7,000〜1万台の自動車を保有し、ダウンタウ

ンで交通渋滞を起したり、1本の国道を夜遅くまで若者が音響を鳴らしながら走り 廻ったりすることが、島民全体の利益をもたらしているのかどうかが問われる。自 動車は若者にとっては麻薬みたいなもので何らかの規制が加わらないと際限なく保 有台数は増大する。もし中古乗用車より先に中古自動二輪車が輸入されていたなら ば、乗用車はそれ程増えず、ヴェトナムのように自動二輪車の車社会になっていた のではないかと想像される。

(18)

 2)輸入台数制限をどんな方法で実行するかは色々考えられるが、一つの案とし てシンガポール政府が実施している公開入札制度が考えられる。入札制度といって もシンガポール政府のように年間数万台という規模ではなく、せいぜい数百台規模 であるから、単純化した入札制度で対処することができる。輸入価格よりも入札価 格が大きくないと入札制度を実施する意味はない。入札価格と輸入価格の差額は、

国の税収となり、廃車適正処理費用の価格調整資金として積み立てることが可能と

なる。

 3)輸入に際しては、輸入業者もしくは輸入自動車のユーザーから、輸入時に将 来発生する廃車処理費用を前払い方式で徴収する。

 4)廃車時にその前払い廃車処理費用がデポジット・リファンドされて廃車する ユーザーに支払うか、もしくは廃車処理業者に直接支払われる方式にするかは、行 政において決定する必要がある。

 5)前払い廃車処理費用の保管は、公的な機関で安全確実に保管されなければな らない。保管中の運用に関しては、安全確実な方策が法的に規定され、責任ある監 査が実施されなければならない。

 6)廃車処理の方法について、どれを選択するのか決めなければならない。すな

わち、

 ①廃車を島内で解体せず丸車のまま島外へ運び出し、適正処理可能な外国へ解体   処理を委託するのか。バーゼル条約に違反しなければ可能。

 ②事前選別対象回収物の処理や部品取りは島内で済ませ後、廃車ガラのままで輸   出するのか。

③廃車ガラをAプレス(ソフトプレス)してくず鉄として輸出するのか。

 ④シュレッダーにかけ、くず鉄・非鉄・シュレッダーダストに分別して輸出する   のか。シュレッダーダストだけの輸出が可能か。

 以上4点が検討され、決定されなければならない。選択にあたっては、コストと 処理能力(経済能力・技術能力が問われる)の検討が必要となる。

(19)

2 地理的考察

 パラオ政府は、前述したようにPIFメンバーの中では一番所得が高く、また戦前 のわが国統治時代から教育が進んでいて民度が高く、高卒者対象の職業訓練校

(Palau Co㎜unity College)があって自動車整備技術の実務教育が行われている。

各国の情報を比較して判断し、PIFメンバーの中で本格的解体工場を建設すると仮 定すると、パラオが最も条件が良いと判断される。解体後のくず鉄や非鉄の売り込 み先として予想される中国・台湾・韓国・その他東南アジアの諸国の市場に一番近 い位置にあり、日本から技術的指導援助に赴くにしても、ミクロネシア連邦共和国 のヤップ島(旧トラック島、ヤップ州)を除けば日本に一番近い島国であり、シー ズン中は∫AL直行便が飛ぶ便利さがある。

 それ故、パラオを選び、パラオモデルという太平洋島喚国の模範となるような廃 車処理システムをパラオに構築したいと考える。パラオモデルが解体工場を建設し、

軌道に乗ってくれば、他の島喚国から廃車もしくは廃車ガラをパラオに持ち込んで 解体処理する可能性が出てくる。

第3節 パラオモデルの実践 1 自動車輸入制限公社について

 自動車輸入公社設立を図り、公社に上述のパラオモデルに明らかにした業務を担 当させることから始める。それには法制の整備が必要となるが、法制の内容そのも のはわが国の自動車リサイクル法・同省令を参考にして立案制定することができる。

また、自動車輸入公社の活動に関しては、財団法人自動車リサイクル促進センター に関する規定がそのまま使えると考える。

(20)

2 具体的な組織構造

(1)自動車輸入公社の組織(案)

監事・監査室

理事会 理事長

理事 理事 理事

事 務 局をかねる︒

シ ス テ ム の 構築・管理運営をする︒

シ ス テ ム セ

ンター 解体処理センターとなる︒ 自社でやる場合は 廃車処理指導をする︒解体業務を 廃車収集処理センター

の 保 管 及 び 運 用をする︒

前 払 い方式で徴収した廃車処理費用 資金管理センター

(2)各部門の役割

・ 理事会は理事をもって構成する。

・ 理事のうち1人を理事長とする。

・ 理事長は公社を代表し業務を統轄する。

・ 公社の資産は理事長が管理し、その管理方法は理事会の決議による。

・ 理事は理事会を構成し、業務の執行を決定する。

・ 理事会は理事長が召集する。

・ 公社の事業計画書及び収支計算書(資金管理業務に関するものも含む)は理事 長が作成し、毎年業年度開始前に理事会において議決され、主務大臣の認可を得

る。

・ 公社の事業報告書、収支決算書および財産目録は理事長が毎年業年度終了后遅 滞なく作成し、監事の監査を経た上、理事会の議決を得て主務大臣に提出する。

(21)

・ 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。

・ 事務局は、自動車輸入の入札割当制度の実施業務を行う他、自動車のリサイク ルおよび適正処理の促進に関する内外関係機構との交流および協力、各種調査・

研究、自動車メンテナンス知識の普及・啓発、各種情報の提供等の業務を担当す

る。

・ 資金管理センターは、自動車ユーザーもしくは輸入業者が当該自動車の輸入に 際し前払い方式により支払った廃車処理費用の管理・運用業務を担当する。

・ 廃車処理費用の運用に当たっては、運用先の安全確実なものに限定するととも に、自動車ユーザーもしくは輸入業者から信頼されるよう公明正大に管理・運用 することも心掛け、監事の監査も経た上、管理・運用状況並びに決算報告を公表

しなければならない。

・ システムセンターは、システムの構築並びにその運営・管理をする。

・ 廃車収集・処理センターは、廃車収集と廃車処理を担当する。

 廃車処理方式をいずれの形で選択するかによって業務は異なるが、仮に16ペー ジに記した④を選択した場合、次のように、

a解体・破砕工場を公社自体で経営し廃車処理する。

b民間の解体・破砕業者に廃車処理を委託する。

という2方式の何れを選択するかによって、業務内容は変わってくる。

 aの場合は、競争入札によって委託業者を決定する。くず鉄・非鉄・シュレッダ

ーダストの処分は島外に頼らざるを得ないため、それらの処分については島外の関 係業者との折衝は廃車収集・処理センターの担当とする。

(3)法制・規制の設定

 公社設立に当たっては、パラオ政府が自動車リサイクル法を制定し、自動車輸入 公社法を定め、公社が担当する下記3業務に関し規定を作成しなければならない。

・ 前払い方式で徴収した廃車処理費用の管理・運用に関する資金管理運用業務規定

・ 輸入時から廃車時に至る保有自動車の情報管理に関する情報管理業務規定

・ 廃車収集処理および循環資源として再資源化ないし廃車処分に関する廃車収集  処理および再資源化等の業務規定

(22)

第2章パラオ共和国における廃車実態調査

第1節 パラオ共和国を選んだ理由 1 パラオ共和国の概要

 パラオ共和国(Republic of Palau)は、グアム島の南西約1,400㎞の太平洋に 浮かぶ島興国で、南西約640㎞の間に点在する約300の島々から構成されており、

それらの島には火山島もあれば珊瑚礁の隆起した島もある。そのうち人が住んでい る島は9島に過ぎず、首都はコロール(Koror)島のコロールにある。人口は 19,129人(2000年)の小さな国で、ロックアイランドという愛称で呼ばれる世界 で最も美しい海洋景観を誇る島々である。年間を通じて気温は28℃前後、年間降 雨量は約4,000㎜、2〜4月が乾季、6〜1月が雨季といわれているが、湿度は年 間を通じて80%の高温多湿の亜熱帯気候の中にある。健康には優れた適地である といい、今や観光事業が産業の中心になろうとしており、日本・韓国・台湾からダ イバーやオーシャンフィッシングを楽しむ人達が年間5万人訪れている。

 日本からパラオへ行く場合はグアム経由で行くのが通常で、グアムからコロール へはContinental Airが飛んでいる。特定のシーズンには∫ALが直行便を飛ばし、

約4時間のフライトで到達。日本とは時差がなく、言語は英語とパラオ語、通貨は 米ドルが使われている。住民の構成はパラオ人が7割、フィリピン人を中心に外国 人が3割を占めている。

2 歴史背景

 わが国とパラオの関係を歴史的にいうと、第1次大戦後1919年にわが国が国際 連盟から委任統治をまかされ、それは第2次大戦終了時まで続いた。1919年には 日本政府の南洋庁が設置され、熱帯産業研究所が開設されてパラオの産業興隆が図 られた。日本からの入植が奨励されたため日本人の居住者が増え、1936年には南 洋群島開発10ヶ年計画が策定され、南洋拓殖株式会社が力を入れたパイナップル やカカオの栽培が進み、パイナップル缶詰工場が建てられたり、カカオ豆が明治製 菓のチョコレート原料として輸出されたり、キャッサバの栽培が450町歩に及んだ

という。その他にも関西ペイントが参加した油脂・タンニンの製造や東洋紡が参加

(23)

した熱帯繊維協同組合事業が始まったり、漁業関係では鰹節工場も開かれたりした ようだ。従って、日本との貿易は黒字で活気があり、現地の古老は当時のことを懐 かしがっている。1940年には日本からの入植者は、376戸、2,021人に達したと記 録され、第2次大戦中は1万人を超えたとも言われている。南洋庁は現地の教育に 力を入れたから、古老の中には日本語を解する人が今でも大勢居る。

 第2次大戦末期ペリリュー島では日本の守備隊と米軍の上陸部隊とが激突したが、

日本軍の守備隊長が海上に浮かぶおびただしい米艦船を前に、現地の人々に山の向 こうに避難するよう指示し、決戦に臨んで全将兵が玉砕したことが今でも語りつが れ、日本人が尊敬されている。それ故、親日感情は濃厚で日本人が訪れるには甚だ 快適な島である。

 この海域には14ヶ国の島峻国があり、それにオーストラリアとニュージーラン ドが加わって太平洋島喚国連盟(Pacific Islands Federation)を形成している。

第2次大戦後、この海域の島々は1947年よりアメリカを施政権者とする国際連合 の信託統治下に入った。当時の世界は、米ソの冷戦下にあったため、アメリカには

この一帯の海域に軍事的価値しか認めず、軍事基地化した。その代償としてアメリ カは、各国政府に多額のコンパクト(盟約)マネーという無償の財政援助を実施し てきたが、産業育成には無関心で放置したため、戦前芽生えていた栽培農業や漁業 その他の産業は全て衰退した。パラオは1975年に自治政府が発足し、1994年に独 立を達成した。パラオの1人当たり国民所得は、太平洋島峻国の中では最も高く、

約7千ドル/年に達している。それは、海外に出稼ぎに出た身内からの送金と年間 10億ドルのコンパクトマネーが入ってくるからである。

3 自動車政策

 自動車に関する諸制度が近隣諸国より整備されていて、自動車登録制度が確立し ており、自動車ユーザーは自動車登録料(Car Registration Fee)を毎年75ドル 支払い、加えて州政府に自動車保管税を納めることになっている。廃車したときは 抹消登録するから、自動車保有台数の把握は容易である。環境問題への人々の関心 は未だ高くはないが、太平洋諸国の中では高い方だといわれている。

 以上の諸事情を勘案した結果、パラオ共和国を太平洋島喚国における自動車リサ イクルの制度設計のモデルに選ぶのが最も適していると考えた。

(24)

第2節 パラオの政治経済 1 政治経済の概略

 1989年のパラオの国内総生産は、1億3,714万ドル、人口は18,500人(推定)

だったから、1人当たりGDPは7,413ドルであった。そのようにパラオは太平洋諸 国の中ではGDPが飛び抜けて高く、それを可能にしているのは、海外に出稼ぎに出 た身内からの送金と様々な経済援助によって巨額の資金がパラオに流入し国家財政 を支えるとともに、公務員の給与や公共事業を通して国内に配分されているからだ と説明されている。

 2000年の国勢調査では、人口19,129人で内訳はパラオ人13,209人(69%)、外 国人5,920人(31%)となっている。外国人の中でウェイトが高いのはフィリピン 人で、出稼ぎに来ている人が多く、労働者の中核をなしている。人口の8割が首都 のあるコロール州と隣接するアイライ州に集中しており、残り14州では平均して

1州300人程度の人口となっている。

 2003年度のパラオ政府の歳入歳出は表2−1の通り。

 パラオのような小さな島国は、太平 洋の遠隔・分散・狭陰という地勢的制 約条件の中で、何を産業の中心として 経済を支えて行けば良いのかが問われ ている。コンパクトマネーが打ち切ら れるときに備えて、各島峻国で色々な 試みがなされているが、失敗例が多く 厳しい事情にある。

 パラオはアジアに近く、国内には民

表2−1 2003年度のパラオ政府歳入歳出 (万ドル)

歳 入 歳 出

国内一般歳入  3,145 一般会計  5」17 国内特定財源  130 特別会計  130

借入金返済  147 コンパクト関連

年度引渡金  1,393

信託基金   500 借入金合計   147

5,315 5β15

(注)合計数字が合わないが原文のまま

族紛争がなく政情は安定している。大統領は選挙で選ばれ、任期満了(2期8年)

しており、太平洋島喚国の中では優等生といえる。ただし、教育レベルは未だ低く 人材が欠乏しており、労働力は主としてフィリピン人の出稼ぎ労働者に依存してい るという負の要素もある。

パラオにおいては、漁業の振興に力が払われてきた。後述のわが国のODAも漁業支 援にウェイトがかかっていた。しかし、それはパラオの特殊事情からあまり成功し たとは言えない。1998年の国内総生産に占める漁業の成果は、LlO2万ドルと低調

(25)

であり、総水揚げ量の60%は生存魚業といわれる自家消費型の漁業である。これ に1,100人がかかわっており、残り40%が商業漁業で200人が従事している。す なわち、両者合わせて漁業従事者は1,300人、800隻の漁船が参加しているが、伝 統的な沿岸漁業に留まっている。海好きでフィッシングは愛好するが、あまり激し

く働くことは好まず、遠洋漁業の乗組員になることなどはきらうパラオ人気質が沖 合漁業への進出を拒んでいるようだ。沖合漁業は主として台湾・中国の漁船によっ て行われ、マグロ・カツオ魚が中心。しかし、マグロ漁が極めて不振で、1991年 のピーク時に約3万tあった漁獲高が、近年は2,500t(台湾1,299 t、中国995

tと両国で8割を占める。日本は46tという僅かな数字で買い取り漁業が中心)

に激減してしまった。漁法はまき網漁法が消滅してはえ縄漁法に代わっている。

 自家消費の沿岸漁業は、鮮魚流通市場の発達を妨げ、安価の輸入品に国内水産物 は圧倒され、更には都市部の労働形態の変化に食生活も影響されて、小規模沿岸漁 業の限界が暗示されているようである。パラオ漁業は輸出志向の沖合漁業に進出す るのか、養殖漁業に着手するのか、いままさに決断しなければならないところに来 ているようである。それにしてもあまり一所懸命働かなくても食べて行けるパラオ 生活では、男性は長期泊り込みで漁船に乗り込むことはきらう上、台湾・中国が抑 えている漁場で対抗して行けるかどうかを考えると、パラオ漁業にとってはどちら を選択するにしても厳しい試練に迫られているといえる。

 食糧・飲料・衣類は全て輸入に頼るパラオにおいては、第1次産業の振興が不可 欠であるが、農業の近代化や企業化は未だ達成できていない。パラオにおいては、

伝統的に畑仕事は女性の仕事ときめっけているから、フィッシング好きの男性を農 業に従事させるのは大変難しいようである。

2 観光立国としての課題

 最近のパラオは、海洋景観を誇る亜熱帯の気候風土が観光客をひきつけているの で、観光事業がパラオの新しい基礎産業に成長して行くように見える。観光客は主 として日本と台湾からの来島者だが、ピーク時(1997年)には6万3千人(日本 人19,166人、台湾人30,350人、その他14,085人)あった来島者が、何故か2001 年には4万5千人(日本人21777人、台湾人12,141人、その他ll,948人)に減っ ている。観光客の多くはダイバーとフィッシングの愛好者だから、環境汚染で海が

(26)

汚れてきたのが原因だとするとパラオの将来は暗くなる。環境保全を図りつつ外貨 を導入して持続的に観光資源の開発を進め、観光事業の充実を図ることが、パラオ の将来にとって重要な選択ではないかと思われる。

3 パラオに対する日本のODA

 太平洋島峡国14ヶ   表2−2太平洋島嗅国に対する日本のODA供与実績  (単位百ドル)

国に対するわが国の ODAの供与実績は表2−

2の通り。

 この供与額は、フラ ンス、オーストラリア、

アメリカに次いで第4

位の数字だが、政府貸       (注)カッコ内%は、わが国OD^全体に占める比率        (出典:「ODA国別データーブック2001」外務省より作成)

付額では第1位、無償

資金協力では第4位、技術協力では第3位となっている。

わが国の太平洋島喚国に対するODA供与方針は、次の事項に重点を置いているという。

・ 経済・社会のインフラ整備

・ 経済構造改革への支援

・ 民間セクターにおける人材育成

・ 環境保全対策への支援

・ 複数国間に広がる広域的な協力推進

 しかし、この海域の諸国は、皆人口も経済規模も小さく、しかも地理的に数百キ ロの単位で分散しており、どの国家も立案能力を欠き、資金も不足している途上国 である。皆、第1次産業依存型経済であり、農業・漁業分野の開発・振興が急務と なっている。

 国際競争力を満たしておらず、国際市場に参入するに必要不可欠である運輸や通 信手段を欠いているので、果たして国際市場に参入できるのかどうか、甚だ厳しい

ものがあるように感じている。

内 訳 1999 2000 1900からの累計

贈与

無償資金協力

技術協力

69.72

53.56

54.52(2.59%)

56.57(1.53%)

1,007.66

769.52

計

123.29 111.08(1.91%) 1,717.19

政府貸付等 14.95 39.98(1.04%) 364.26

ODA合計 138.23 151.06(1.57%) 2,081.43

(27)

表2−3 太平洋島喚国各国に対する日本のODA供与実績

1999 1999 2000 2000 1999 海

域

国 名 人口(千人) 1人当りGNP

 (ドル)

対日輸出

(百万ドル)

対日輸入

(百万ドル)

ODA実績

(百万ドル)

ミクロネシア

パラオ ミクロネシァ マーシャル ナウル キリバス

19 116 51 88−

(1998)

7,413 1,830 1,950   −

 910

1,938百万円    2,325

 34百万円     一

   1,510

 904百万円

    1,116 12,322百万円      一     971

12.1 6.8 9.2 4.5

12」

メラネシア

パプアニユーG     、◆ブイーンー

ソロモン ヴァヌアツ

4,705 801 429  193

810

2,300

750

1,180

39,289 3,553 2,463 1,940

4,849 2,981

674

2,323

37.1

20.9

7.0 7.5

ポリネシア ニウエトンガ

トウバァル サモア クック諸島

100:169一 1,730  :

1,070

 一

1,035

 :  21

233

287   1

 14

2,341  104

5.5

0.1

0.6 8.6 0.5

合 計 一 一 一 一 138.3

(出展:「ODA国別データブック2001」 (外務省)より作成)

 2000年4月に太平洋サミットが宮崎で開催され、森喜朗総理(当時)が出席さ れて太平洋フロンティア外交を展開することを表明し、「宮崎イニシャティブ」(経 済協力)が発表された。それにより、太平洋諸島センター(PIC:Pacific Islands Center)が設置され、わが国と太平洋島峻国との貿易と投資を拡大し、観 光開発の促進に協力することが目指すことになった。この海域の諸国は、所在する 海域によってミクロネシア、ポリネシア、メラネシアの3海域に分けることができ る。今わが国のODAがこれら3海域の島峡国にどのように配分されているかを、人 口・1人当たりGNP、対日貿易のデータとともに整理すると表2−3のようになる。

 これに見られる通り、わが国のパラオに対するODAの供与額は、人口対比で見る と際立って大きく、1991〜1999年の援助額は107.88億円で、そのうち95.58億円 が無償で援助された。その援助の対象は18プロジェクトのうち8プロジェクトが 漁業開発関連であったといい、漁業開発に力が入っていた。例えばプロジェクトの

1つに、1996年の北部漁村施設整備計画(3.03億円)や1998年のペリリユー島漁 村開発計画(3.68億円)に無償援助が行われたと記録されていた。

(28)

第3節 パラオの自動車社会 1 自動車社会の現状

 表2−4パラオに おける自動車登録 台数・輸入台数・

および廃車台数を

記した。

 登録台数と輸入

表2司 パラオにおける自動車登録台数・輸入台数および廃車台数  (13)

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 登録台数

輸入台数 廃車台数

8,486   NA   NA

9,736

 NA  NA

11,588

t398

2,066

10,920 1,014 3,030

8,904 1,149 2,053

(8,000)

 1,022  1,913

7,109   NA   NA

(注1)2002年の登録台数は2001年と2003年の平均値を仮に入れた

(注2)廃車台数は(当該年の登録台数+当該年の輸入台数)一翌年の登録台数

台数は年々の実数だが、2003年に7,109台に激減しているのは、1999年の自動車 税制の改定が影響しているといわれている。約2万人の島民が7,000台の自動車を 保有しており、3人に1台強の保有率は先進国並みといえる。そのほとんどは、10 年経過の低年式の日本製中古乗用車である。16歳以上の免許取得可能人口が 14,000人だから、その半数が自動車を保有している勘定。また世帯数は、3,350世 帯だから、おおよそ1世帯に2台保有されているとみられる。

 パラオの家庭は女系社会であり、パラオ人はアメリカの労働ビザを取得すること が可能であるため、若者の多くはグアムやハワイへ出稼ぎに行き、稼いだお金を家 族に送金してくるので、1世帯当たりの平均収入が12,845ドル(2003年)という 太平洋の島峻国の中では大変豊かな生活をエンジョイできる基盤を作っている。

2 自動車に対する意識

 パラオは所得水準が高いので、日本で再販価格がゼロになった低年式中古乗用車 が1台当たり15万円の船賃その他の諸経費をかけて輸入され、島内のディーラー

(3〜4社)を通じて1台30〜60万円で販売されている。所有者は1人であって も、出稼ぎに行った家族の送金に助けられて購入した車だという意識が強いため、

大家族が皆で所有しているという気持ちから、車が動かなくなって廃車するしかな い状態に至っても、廃車せず保有を続けるという風習がある。従って、廃車すべき 車を自宅の庭やその他の場所に放置した状態の車が散見される。

 基本的には車のメンテナンスを如何にすべきか、ということをユーザーがよく認 識し実施しておれば、車はもっと長期に使用できた筈だが、メンテナンスを欠き、

世界でも有数の雨の多い高温多湿の中で走行しているので、エンジン・トランスミ

参照

関連したドキュメント

⼀般財団法⼈ ⽇本財団 DIVERSITY IN THE ARTS · 4F Jimbocho-Sun Bldg..

東京電力パワーグリッド株式会社 東京都千代田区 東電タウンプランニング株式会社 東京都港区 東京電設サービス株式会社

東電不動産株式会社 東京都台東区 株式会社テプコシステムズ 東京都江東区 東京パワーテクノロジー株式会社 東京都江東区

東京電力パワーグリッド株式会社 東京都千代田区 東電タウンプランニング株式会社 東京都港区 東京電設サービス株式会社

東電不動産株式会社 東京都台東区 株式会社テプコシステムズ 東京都江東区 東京パワーテクノロジー株式会社 東京都江東区

東電不動産株式会社 東京都台東区 東京発電株式会社 東京都台東区 株式会社テプコシステムズ 東京都江東区

南多摩地域 個体 サツマイモ、アシタバ 通年 新島村

一般社団法人 東京都トラック協会 業務部 次長 前川