244
最
近
の
電
気 推
進
に
つ いて
糸 井
宇
生
*1
はし
が
き
船 舶の電 気推進方式は欧 米で発 達し
,
建 造実績も欧 米 に多い 。 電気推 進は操 船 性がきわめて優れて い るに もか かわ らず,
設備費が高 価 となることが最大 の欠点とされ, そ れゆ えにわ が国に おい ては特 殊 な 例 を除い てほ と ん ど 建 造さ れてい ない。 現 在 欧 米に お い て は カー
フェ
リー
に 盛ん に採 用 され てい る。 電気 推 進 装 置は重 量, 容 積 が 大 きく効 率が悪い とい うことが欠 点であっ た が,
最近の電 気機 器の発 達に よ り機器類は かなり小形 軽量化さ れ,
効 率 も一
段と向上して い る。一
方, 中高 速ディー
ゼ ル エ ン ジ ンや ガス ター
ビ ンを採 用 す るこ とに よ り,
機 関室の空 間 を有効 に 利 用 して船の積 荷 容 量を増 加 させ る ことが 可 能と な り,
これに電 気 推 進 装 置 を動 力 伝 達 機構と して使 用 する こ と の 価値が認 識さ れつ つ あ る。
さ らに半 導 体 装 置や 可変ピ ッ チプロ ペ ラ の発 達に よ り, 設 備費の 廉価 な 効 率の よい 交 流 電 気 機 械 を利 用 する こ と が で き る ように なっ た。
また, 電 気 推 進 方式は複数台の原 動 機の結 合が きわめ て容 易で あるの で,
ター
ビン プ ラン トに優る大 出 力の推 進 装 置 として も大いに期 待され る もので あ る。2
電 気 推進の発 展
経
過船 舶の推進 動力と して電動 力 を採 用 することは通常考 え られることであ り
,
以 前よ り電 気推進 装置を装 備し た 船 舶も多 く建 造 されて い る。 1912 年,
米国において最 初の電 気 推 進 船 “USSJupiter
” が建造 さ れ た 。 これ は 後に空母に改 造 され,
“
USS
Langley”
と命 名さ れて い る。
こ の空母は レ シ プロ エ ン ジ ン に よ る直 流 電 気 推 進 方 式を採用して いた が,
数 年 を経 ず して, 1918 年にター
ビ ン電気推 進の戦艦‘
‘New Mex 三co”
が建 造 され た。
こ の 期 間 中に米国において建 造 された軍 艦の多 くに は電 気 推 進が採用さ れ た が,
こ れ は操縦 性が優れてい る ぼか りで な く,
当時有 効な減 速 装 置が なか っ た からである。
第一
次世界大戦後すな わ ち 1918 年以 降, 米海軍は数 多くの 交 流 電 気 推 進に よ る艦 艇 を建 造した が, やがて機 械 式の 減 速 装 置が開 発 され るに 及び, 電 気推進方 式はその 欠 陥が 目立つ ようにな り 急 速に 姿 を 消し て い くこ とにな る。 * 川 崎 重 工 業(株)神 戸工 場一
一
.
fi1
ドイツに おい ては, なお 1930 年 代に交 流 電 気 推進に よ る 戦 艦‘
‘
Gneisenau”
お よび‘
‘
Scharnhurst”
が 建 造 され, 英国お よびフ ラン ス な どで も一
般 商 船に電 気 推 進が採 用 され てい る。第二 次 大 戦 中, 米 国は 500 隻以 上 にのぼる 16,000
DWT
の タン カー
を建 造したが, これ ら はT2
タンカー
と して よく 知 ら れてい る もの であ る。
当 時,
戦争に よ り 機 械 式 減 速 装 置 が なか っ た た め,
こ れ らの タン カー
はす べ て電 気 推 進 装 置に よっ てい る。 現在T2
タン カー
の多 くは鉱石 ある い は石 炭 運 搬 船 な どに改 造 さ れてい る が,
推 進 設 備 だけ は今 もっ て電 気推 進方式のま ま で あ り, そ の うちの あ る船は出力 を 増 す よ うに推 進 設 備が 改 造 さ れ てお り,
さ らに ある船は もっ と出 力 を 増加 し て今 後 25 年 間 就 航 させ る ように計 画 されて いる。
こ の事 実は電 気 推進設備がいか に信 頼 度の高い もの で ある か の証 明と な っ てい る。 その後,
機 械 式 減 速 装 置の発 達に よ り, 軽 量, 少 損 失 の ター
ビ ン プ ラン トが現 われたため, 電 気 推 進 装 置はそ の特徴 を生かすことを目的と した船, た とえ ば 砕氷船, トロー
ル 船 , 自動 式 ドレ ッ ジ ャ,一
部の フ ェ リー
な ど以 外は全 く建 造され ない よ うになっ た。 わ が国にお け る電 気推進船の実績は欧米諸国に比べ る と は るか に少 な く,
戦 前,
2,
3 の 艦艇に装 備さ れ た例 があり, 戦後で は南極観測 船‘
‘
ふ じ7 , (1965 年就航), しゅん せつ船‘
‘海竜 丸” (1962年就航 ),
海 洋調査 船“
白 鳳 丸”
(1967年 就 航 ) その 他 が あ る。 これ ら はいず れ も 船の運航特性上,
電 気 推 進方式を採用 す るこ と が適当で あ るか らに ほ か な ら ない。
こ こで, 船 用電 気 機 器一
般の発 展 をみ る に, 各 電 気 機 器は戦 後に お い て小 形1 軽 量 化,
高 効 率 化 な ど,著 しい発 展を遂 げて い る。 こ れ らは特に電 気 絶縁物の開発に負 う ところ が大 きい。
回 転 機に お い て は, 船 舶 用とし て戦後一
般にA 種 絶 縁 (木 綿 , 紙な どの有 機 物に ワニ ス類を含 浸し たもの)が採 用さ れ てい た が,
これ は許 容 温 度 が 低 くその結 果, 電 気 機 械の寸 法 も大きく な らざる を得 なか っ た。 その後,
許容温 度の高い絶 縁物が開 発さ れ,
E 種 絶縁 (合成 樹脂系)が採用 さ れ るに及び, 回 転 機 械の寸 法を著しく小 さ くせ し め ることを可能に し, 最 近ではさ ら に 許容温 度の 高い F種 絶 縁 (マ ィカ,
石 綿,
ガラス繊 18罕 角 説
245
維 な ど をシ リコ ン ア ルキッ ド樹 脂などの接着剤と ともに 用い た もの)が船 舶用 と して一
般に採用 さ れ る傾向に あ り, すで に一
部の船 舶では実 施 され, 良好な運 転 を 続 け て お り,回 転 機の小 形 化,
軽 量 化は一
段 と進みっ っ あ る。
この こ とは 電気推進用 機器に も あて はまる こ と であっ て,
電 気 推 進の欠 陥の 1つ と考え ら れて いる電気機械の 容 積 や 重量が大 きい とい うこ とは,
あ る程 度 是正されて い るのが現 状で ある。
ま た, 絶 縁 物の発 展は電 気 機器の 高圧化を促 進し,
直流 で は 220V が限 度とされて いた回 転 機の定格電圧 を,
最近で は約1,
000V
まで使 用可 能 と せ し め,
交流 機に おい ても 15, eOOV まで 可 能と な・
、・
て い る。
これ は機 械の効 率 を 高めるの に 著 しい 効 果が あ り,一
方,制 御 機 器の小 形 化に も役立っ て い るの で あ る。 ま た回 転 機 械の特 性の向 上に も努 力が払 わ れ, 自励 交流 発 電 機の 出 現に よ り発 電 機 特 性の著 しい改 善 をみ ること が で き, さ らに最 近で は特 性の よい ブ ラッ シ=
レ ス発電 機 が 開 発 され, 保 守に要 する時 間が大 幅に削 減さ れ る と 伺 時に信 頼 性が高ま る結果 と なっ た。 つ ぎに,
電気推 進装置を操 作 する制御機器に も大幅な 開 発が なされ, 大 容 量しゃ断 器の開 発,
保護継電器の無 接 点 化な どによ り,
これ らの装置は小形 化する と同 時に その 信 頼 性を著しく高めてい る。
ま た,
電 力 を 伝 送 する ケー
ブル におい て も,
近来の合 成樹脂 系の絶 縁 物の発展 に よ り,
容 積,重量などが軽 減 され,大 電 力の伝 送が き わ め て容易となっ て きて い る。
さ らに最 近で は ケー
ブル ダ ク ト方式が開発され, 高圧, 大 電 力用 と して将 来が 期待 され て お り, すで に一
部の船 舶で は,
船 内 配 電電路の一
部 に採 用 されて い る。
この よ うに周辺機 器に対し ても, 軽 量, 小 形 化, 信頼 性の向上が は か られ,
電 気 推 進 方 式 の 有 用 牲を高め て い る の で あ る。 こ こで特 筆しな けれ ばな らない のは, 半導体 装置の発 展と実用 化である。
高 圧 大 電 力 用の半導体 装 置が実 用 化 され る に及び,
これ ら は 直ちに 電 気 推 進 装 置 の 中に取 入 れられ た。 半導体と して は, 単に整 流 作 用のみを有す るもの (ダイ オー
ド),
増幅作 用を有 するもの (トラン ジス タ),
電圧 あ るい は電流 を 制御する もの (サイ リス タ) な どがあ り, これ らはそれぞ れの用 途に応 じて電気 推 進 装 置な らびに 制御機 器に適用さ れて お り,
ま た一
般 の船 舶に あっ て も半導 体装置の 利用は 常識となっ て い る。
半 導 体 装 置の特 徴は, 小 形 軽 量で ある こと, 高 効 率 で あ ること, 半 永久的寿 命を有するこ と, 速 応 性が あ る こと,
消費電 力が僅 少で ある こと が長所で あ る が,一
方,
耐 熱 性が劣る, 過 電 圧, 過 電 流に よ り容 易に破壊さ れ る な どの短 所 を 有し, 設 置 場 所 と し て風 通し の よ い, 周 囲 温 度が あ ま り高く ない 場 所 を選ば な け ればな らないが, 船内に おい ては この ような場 所 を 容 易に 選ぶこ と がで き,
かつ,一
般に 居住区 な ら びに機 関 部制御 室で は冷 房 が完 備してい るか ら, 半 導 体 装 置の設 置 場 所 が 特に問題 と な ること は ない。
電 気 推 進 装 置にあっ て は サ イ リス タ の電圧 制御 機 能が効 果を発 揮し,
最 近の電 気推 進装置に は, サ イ リス タを 用い た ものが多い。
現 在 さ らに回 転 機 械の小 形 化 をはか る試みが なさ れて い る。
そ れは超 電 導 導 線を用い た回転機械で あっ て, 超 電 導 導 線により強 力 な 磁 界を 発 生 さ せ る ことが でき機 械 の 寸法 を驚くほ ど小 形にするこ と が 可能と なっ た。
た だ し, 現在で は超 電導機 械はまだ実 用 化 され てお らず, 開 発の段 階にある が, その実 用 化の見 通しは きわめ て明る い。
一
方, 最 近の船 舶の推進 機関 と して,一
般にス ティー
ムター
ビ ン,
低 速デ ィー
ゼ ルエ ンジ ンが使 用され てい る が,これらの ほ か にガスター
ビン ,中 高 速デ ィー
ゼ ル エ ン ジ ンな どが現われて きてお り, これ らは小 形で ある ため 設 置 場 所に あま り制限を う け ない 。した がっ て,船 舶の小 形 化 あるい は積 荷の増 加 をは か るため に は, 動 力 伝 達 機 構と し て、
主 機の設 置 場 所が制 限 される機 械 式 減 速 装 置 よ り も その設置場 所が任意に選ぺ る電気推 進方式の 方が 有利と なっ て く る。 特に ガス ター
ピ ン のように きわめ て 小 形軽量で上 甲板に設 置し,
従来の意味で の機 関 室を設 け る 必 要のない場 合は電気推 進は き わ めて有 効な動 力伝 達手段と なっ てくる。 すでにガス ター
ビ ン に よ る電 気 推 進 装 置を設 備し た船舶 も就 航 し てい る。
こ のよ うに最 近 では船舶の推 進 動力 系 が 小 形 化 さ れ るに及 び,
電 気推 進 方式が再び検討さ れ ようと し てい る。 3 電 気推 進の特 徴 プロ ペ ラの特性に合致 した原動 機 が あ る な ら ば,
プロ ペ ラ と原 動 機とを直 結 することが で き る。 た と え ば低 速 ディー
ゼル エ ンジ ンで あ る。 しか る に,
両者の間に特性 の相 違がある な ら ば,
そ れ ら を適 合さ せ る た めの結合 装 置が必 要 と なる。 たと え ぱ,
高 速,
低 トル ク の ター
ビン に低 速, 高 トル クを要 する プロ ペ ラ を直結する こ と は で き ないわ けで, ご のため に両 者の間に減 速 歯車 を介在 さ せ,
動力の伝達を行っ てい る ので ある。
当然の こと な が らこ の ような 動 力 伝 達 装 置 とし て,
電気推進装 置が浮か び上がっ て くる。 以下に電 気 推 進方 式の 特徴につ いて述 べ ることとする。
まず 長 所と して , (a ) 発 電 機と電 動 機とを分離して設 置 す ることがで き る。 した がっ て, 原 動機の 設 置 場 所を プロ ペ ラ と は無 関係に任意に選ぶこと がで き るか ら,
空間の有 効 利用 が 可能となり, 船の積 荷量の 増加 あ るいは船の小 形 化を 可一
】9一
246 日本 造 船 学会誌 第539 号 (昭 和49年 5 月) 能 な らし め る
。
特に小 形の複数台の原動 機を設置 する時 に有 利とな る。
さ らにす すん で,
エ ン ジ ンの 選び 方いか ん で は従 来の機 関 室 を な くすこと も で き る。 ま た, プロ ペ ラ軸が な く な る結 果, 軸 機構の 占め る空 間が不 要と な る。
(b) 原 動 機の回 転 方向を変え ない で, プロ ペ ラ のみ 回 転 方 向 を 変え ること がで き る。 電 動 機の回転方向は.
ス イ ッ チ機構によ り き わめ て容 易に変 え るこ と がで き る。
直 流に あっ ては,
電 動 機の印加電圧の極 性を,
交流にあ っ ては, 相を 入 れか えて電動 機の回転方向を変え る。
こ れ は押ボ タン操 作に より遠 隔 操 作が簡 単に できる。
(c) 広 範 囲の無 段 変 速が可 能で あ る。 直 流 電 動 機を 使用 すれば,
回 転 数0か ら100% ま で任 意の回 転 数を容 易に得るこ と がで き る。 た だし,
交流電 動 機にあっ ては 回 転 数の無 段 変 速は 必ずしも容易で は な く, 段階 的 な可 変 速 度し か得 られない場合もあ り,
方式に よっ て は原 動 機の回 転 数を 変 化 させ 無段変速を行っ てい る場 合 もあ る。
(d ) 逆 転 時におい ても前 進時と同じ最 大の電動機出 力 トル ク を得る こ と が で き る。
こ れ は電 動機の特性と し て,
回転方向が変わっ て も発生 トル ク は 正転 時と 変 わ ら ないた めである。
した がっ て, 船を後 進 させ る時に き わ めて有効で,
操船性 能が向上 す る こ とにな る。
(e) 応答が速い 。 電 気機 械の特徴と して,
加 速,
減 速, 逆 転の際の応答が き わめ て速 く, 船の操縦が容 易と なり, 精 度の高い操 船が 可能と な る。 (f) 遠 隔制御が容 易に行え る。
電 気 機 械は本 来,
遠 隔 操作が容 易にで き る特質を もっ てい る ため,
操 舵 室か ら プロ ペ うの回 転 方向,
回転 数 等 を 簡 単に制 御 するこ と がで き る。
ま た,
制 御 装置の構造 も き わめ て簡 単で あ る。
遠隔操作を 行 うため には,
電気機 械の状況 が 十分監 視 さ れなけ ればな ら ないが,
電 気 式 監 視 装 置には精 度の 高い 信 頼 性のあ る もの が製 作可能で あ り,
こ の面か ら も遠 隔 制 御が容 易と な・
.
て い る。
(g ) 各種の特性を有する原 動 機に使 用で きる。
電 気 推 進 方 式は機 械エ ネルギ を一
度 電 気エ ネル ギ に変 換 する の であ るか ら, 原 動 機の 特 性が い か なるもの で あっ て も, プロ ペ ラを 駆 動 する電 動 機に必要 な 電 力を供 給 する こ とがで きる。
し た が っ て, い か な る原 動 機に対 し て も 電 気 推 進方式を適用する こ とが で き,
原 動機の選択 範囲 が き わめ て広 く な る。
さ らに,
異種の原 動磯の結合,
た と え ば 蒸 気ター
ビン と中高 速 デ ィー
ゼル エ ン ジ ン と を同 時に使 用 する こ とも可 能となるe (h) 任 意の台 数の原 動 機と プロ ペ ラに対 して適 用で き る。
各 原 勧 機に よっ て発 電機を運 転し,
発電 機を適 宜 組 合 わせ るこ とに よっ て 必要 電 力 を発 生 させ,
その 電力 を任意の 台数な らびに出 力を有 する プロ ペ ラ駆 動用電 動 機に供 給 する こ とが できるの で,
プロ ペ ラの数 と原 動 機 台数との 間には何らの制 隈も な く な る。
こ の ことは,
原 動 機 が 故 障 し た と き は,
残りの原 動 機を使用 して, 船速 が あ る程度低く な る け れ ど も航 行がで きるこ とを 示して お り, しか もこ の組 合 わせが任 意に, かつ容易に で きる か ら推 進 機 関の信 頼 性 を高め てい る。
ま た, 全 速以 下で 巡 航 する時に は, 必 要 な 台 数の原 動 機のみを全 負 荷にて 運 転 す れば よい の であるか ら経 済 上有利 と な り, 原 動機 の維持に 対 して も 都 合 が よい。 (i ) 騒音が少ない。 機 械的減 速 装置を有する場 合に 比 較 すれば,
電 気 推 進 装 置か ら発 する騒 音はきわ めて低 い。
特にター
ビン を使 用し た直 流 電 気 推 進 装 置が もっ と も静か であ る。 ター
ビン駆 動の交 流 方 式は, 発 電 機が高 速で運 転 され る た め, 直 流 方 式に比べ て騒 音が大 きい が 機 械 式 減 速 歯 車 装 置に比べ ればは る か に静か で ある。
ま た, 電 気 推 進 方 式で はプロ ペ ラ軸 を な くすことがで き る の で, これ が原 因となる騒 音 や 振 動が な く な る。
(j
) 信 頼性が高い。
電 気機械は一
般に,
熱,
湿気を き ら うもの で あ り, これ らが 寿 命に著 しく影 響 する。
し た がっ て, 条件の 悪い船 内にあっ ては, 電 気推進装置は 故 障が起 り易く寿命も短か く 信 頼 性 も 低い と判 断 さ れ が ちで あるが, 前 述 し た ように, 第二次 世界 大 戦 中, 米 国 で建 造 され たT2 タンカー
がい ま だに就 航 して い る事 実 は, 電 気 推 進 装置の信 頼性 がいかに高い もの であ るか を 証 明 する もの と なっ て いる。 特に最 近では, 絶 縁 物の発 達に より電 気 機 械の寿 命が著し く 延 びて きてお り,
致 命 的な電 気 機器の事故はほ と ん ど な くなっ てい る。 こ のように電 気 推 進 方 式は数々の利 点を有 する が, つ ぎに欠点につ い て述べ る。
(a) 高価である。 発 電 機, 電 動 機 な らびに これらに 対 する電 力 供 給の操 作を行 う配 電 盤を必 要 とし,
機 械 式 滅 速 装 置に比べ れ ば建 造 費がか な り高 価となる。
(b
) 重 量が大 きい。
電 気 機械は元 来 重量の大 きい も の であ り, 特にプロ ペ ラ軸に直 結さ れる電 動 機は低 速回 転である ため 重量が大 き く なるD(C)
効 率が悪い
。
電 気 推 進 装 置は原 動 機か らの機櫨 = ネル ギ を一
度 電 気エ ネル ギに変え,
さ らにそれ を機櫨 = ネルギに変え る た め,エ ネルギ 変 換に伴 う損 失が生じ, 原動機か らの 機 械エ ネルギ を その ま ま プロ ペ ラに伝える 減速歯 車 装置に 比べ れば,
効 率は 若干 悪 く な る。
た だ し, 長 所の項 目で も述べ た ように,
複 数台の原 動 機を有 する電 気 推 進 船が部 分 負 荷で航 行す る場 合は, 1台の主 機を有 する船に比べ て,
電 気 推 進 船の方が効率が よく な一
20一
解 説 247 る場合も あ る。 (d) 多くの設置場所 を 必 要 とす る
。
電 気 機 鍼の容積 が大 きい の で,
広い設 置 場 所 を必 要 と す る。
もっ と も,
長所の項 目で も述べ たよ うに, 発 電 機お よ び電 動 機を 比 較的自 由に置 き,
無 用な空 間 を な くすこ と がで きるか ら,
原 動概の形 式お よび 台数の選び方 に よっ てはこれは必 ず し も欠 点と はなら ない。
上述せ る ように, 電 気 推 進 方 式には多くの利 点が ある に もか かわ ら ず,
現状で は一
般に採 用さ れ るt
,会の少な い の は, 欠 点の面が離 舵の建造に開し あ ま り に も重 大 な 影響を 及 ぼすか らで ある。
特に 重量の大 きい こ と と建造 費が高 くなる ため であ る。
した が っ て, 電気推進方式を 必 要と せ ざるを得ないよ うな特 殊 巨的の船に採 用さ れ る にす ぎない。
米国に お け る電 気 推 進 船の発 展 過程 でも明 らか なよ うに,
有効な機楓 式 減 速 装 置が開 発さ れ れ ば 電 気推進 方 式は衰 微の一
途 をたどっ てい る。 現在歳 航あ る い は建造中の電気推 進 船は,
いす れも電 気 推 進 方 式の 利 点がその船の 目 的に き わ めて有利で ある か ら に ほ か な ら ない。
電 気 推 進 方 式の有利な船種にはつ ぎの ような もの がある。
(a) 砕 氷 麟。
ひ んぱん な 前役 進を繰返 すた め, 後 進 時の プロ ペ ラ トル ク が大き く,
連 応性が よ く, かつ 船 橋か らの遠 隔 操 作が容 易に行い得る こ と が条件で あ るか ら,
電気推 進方式が有 利で あ り, 現 在 世 界で建造 さ れ る 石 氷船の ほ とん ど すべ てが電 気推 進に よっ て い る。 わ が国におい て も南 極 観 測 船 (砕 氷 船 )‘
‘
宗 谷”
は デ ィー
ゼルエ ン ジ ン のプロ ペ ラ直 結 駆 動であっ た が,
その 後建 造 さ れ た‘
‘
ふ じ,
’
は 電 気推 進を採 用し てい る。(
b
)フ ; リ
ー,
ひ き船, 海 洋 観 測 船, ケー
ブル布設 船。
これ らの船はいず れ も高 度の操 船 性が要求さ れ るた め, 速応性が よく船橋か らの遠 隔 操 作の容 易な電気推進 が有 利であ る。 わ が国においては, 瀬 羊観 測 船は電気推 進を採用 し た ものが多いが, フ s リー
には ほ とん ど採 用 さ れて いない。 こ の理由は, わ が国の フ r リー
は海 洋を 航行する ものが大 部 分で あっ て, 夕1
国の ように 河 川 を航 行 する 必 要 が な く, それほ ど高 度の 操 船 性を 必 要 と し な い か らで あろ う。
し か しな が ら最 近の ように, カー
フ=
り一
が著 しく増 加 し,
狭い港 湾 内で しば しば衝 突 事 故 を 起 こ して い るの を みる と, 電 気 推 進を採 用し操船の速 応 性 と精 度を高め たならば, こ れ らの 事故はある程 度 防 げ るの で はなか ろ うか。 (c ) 水中翼 舩, ホー
バー
ク ラフ ト。
これらの船は狭 V 舶 体空間 内に,
原 動 機 や 減 速 装 置を収めな け れば なら ない の で,
電 気 推 進が有 利 と考 え られてい る。 ま た こ の よ うな 船に装 備 さ れ る 主機は小 形の ものが要求さ れ るた めに,
必 然 的に高 速 回 転となる。
こ れ に 対 しすべ ての場 合に適用で きる信 頼 性の あ る減 速 装 置が ま だ開 発 されて いない の で,
この よ う な場 合に も電 気推進が採用 さ れ る 。 (d) 消 火 艇, 自航 式 ド レ ッ ジ ャ, 工{ ノ1 船。 これ らの 船はその船の作 業 目的の ため に多大の電力 を 必 要 とす る もの で あっ て,
航 行 中は電 気 推 進 装 置と して電力が消 費 さ れ,
信 船し作 業を行 う時は, その作 業に必 要 な 電 力が 供 給さ れ るp これは機 関室の有効利 用と建 造 費¢ 軽 減 を 目的 と し,
かつ 正確な操 船が要 求さ れる の で電 ダ 推 進を 採用 し た もの で あ る。 (c ) 高 速複数台 あ るいは 非逆転の原 動 機を主 機とす.
る船。 最近開発さ れて き た中高 速デ ィー
ゼルエ ンジ ンを 多数使用 す る と き はプロ ペ ラ との有 効な機 械 式 結 合 装 置 が得ら れ ない 場合が あ り,
ま た ガス ター
ビ ンは高 速 非 逆 転で あるか ら,
これ らに対 しては電 気 推 進が有 効 な 穿 段 とな るe なお, 原子力 潜 水 艦は長期間 潜 航する必要が あ り,
乗 組 員の 騒 音に よ る 障 害 を 軽 減 する 目酌で, 騒 音の少 な い蒸 気ター
ビン電気 推 進方 式 が 米 海 軍の 原 子 力 潜 水 艦 ‘‘
Glcnard P.
LiFscomb”
に採 用 さ れてい る。
現 在,
電気推 進は特殊な目的 を有す る船に採 用 されて い る にす ぎ ないが, ガス ター
ビンや 可変ピンチプロ ペ ラ が 出現 す るに及び,一
般の船離に対 し て も その価 値が見 直さ れよ うとし て い る。
す なわ ち,
ガス ター
ビンは小形 で 高 出 力が得 られる か ら, これを 上 甲板に設 置し て従 来 の機 関 室 を なくし, 積 荷の量 をか な り増加 させ ること が で きる か ら, たと え建 造 費が高くな ろ うとも運航 利 益を 考えれ ばか えっ て有 利と な る と判 断 され て いる ようであ る。
そし て推 進 動 力 系の効 率,
維 持, 簡 便さ, 価格お よ び操 船 性を考 慮す れ ば,
推 進 機 構 と して同 期 電 動 機と可 変 ピッ チ プロ ペ ラ と を採用す るのが経 済 上 もっ とも有 釈 で ある と考え ら れて いる。
また,
最近 建 造 され つ っ あ る 巨大タン カー
(VLCC )で は,
全 速か ら{亭止ま で の時 間と その間の続 行 距 離と がきわ め て長い ことか ら, 衝 突 予 防 上重大 な問 題と なっ てい る が,
この よ うな場合に も逆 転 トルク の大 きい電 気 推 進 方 式が有 効な手 段と なろ う。
4
各
方 式の 特 質 電 気 推 進 方 式は供 給 電 力の性 質によっ て,
直 流方式,
交 流 方式お よび交 直 併用 方 式の 3つが 基 本 形態と して考 え られ る。 これは電 気 推 進 装 置の発 展 過 程に も関 係 する もので あっ て, 初 期に あ・
フては直 流 機が, その後 機 関 出、
力の増大に伴っ て交 流 機が採 用さ れ るよ うに なっ た。
さ らに最 近は, 半 導 体 装 置の発達に よっ て,
交 流お よび 直 流 方 式の長所 を 取 入 れ た交直併用 方 式 が 可能となっ たの 21248 日本造船 学会誌 第539 号 (昭 和 49年 5 月) で あ る。 つ ぎに各方式の特質につ い て述べ る。 4
・
1 直 流 方 式 ここ にい う直流 方式とは直 流発電 機お よび直 流 電 動 機 よ り構 成さ れ る方 式 を 指 す。
本 方 式は, 直 流 電 動 機が全 速後 進まで精密にかつ 連続的に速 度制御が可能である こ とか ら, 高 度の操 船性が要 求さ れる船に採 用 され る。
まft1
直流方式は 種々の プロ ペ ラ特{生に よ く適 合 す るた め,
あ ら ゆ る 船の 電気 推進 装置として 適用 さ れ得 る。
さ・
ら に直流機の特性とし て か なりの過 電 流に耐え るた め,
プロ ペ ラを 加 速 あるい は逆転 させる期 間 中は過 電 流によ る運 転を 行い,
加 速 あ るい は逆 転時 間をきわめ て短か く す ること が で き る。 こ の 間電 動 機に加えられる電圧 は低 電圧で ある た め,
原動 機は過 負 荷 とはな らない。
し か しな がら,
直 流方 式では 回転 機 賊に印加 され る電 圧に制 限があ り (約 1,000V )こ のため大 出 力ともな れ ‘ば,
ケー
ブル や 配 電 装 置な どの容 積 が大き くな り, また 機械自体の重量も大 き く な る。
したが っ て大出 力の推 進・
装 置に は不 適で あ り , 1軸 あた り約 5,000kW が限 度で あ っ て, こ の場 合で も 出 力の大きい時は, 直 流 電 動 機2
台’
ない し3台を1軸に直 結し て プロ ペ ラ を 駆 動 してい る。
直流 電動機の駆動 方 式には, 主と してつ ぎに述ぺ る4 と お りの方 法 が あ り
,
それぞれの推進 設備の大 き さ, 用 途に応じて適用 され る。
(1)
ワ
ー
ドレオ ナー
ド方 式こ の方 式は 1台の発 電機に 1台の電 動 機 を接 続 するもの で あっ て
,
小 形の ひ き船などに採 用 され る。
図 1に本方 式の基本系 統 図 を 示 す。 図に おい て C は直 流 発 電 機, M は推 進 電 動 機で あ Fd 図1
ワー
ドレオ ナー
ド方 式 る。
発 電 機 界 磁は他励界 磁 巻 線 Fg,
分巻界 磁 巻 線 Fh,
差動 界磁巻 $fi
Fd か ら成 り, こ れ らの界 磁 巻 線に よ り発 電 機 電圧 が 制御さ れ,
発 電 機に過電 流 が 流れ た時は,
差.
動 界磁巻 線の作 用に より発 電 機 電圧 が降 下し, 駆 動 原 動 機が過 負 荷にな ら ない ようになっ て い る。
これ を 3界 磁 巻線 方 式と い う。
電 動 機の 回 転 速 度は電 動 機に印 加 され る電圧に比 例 するか ら,可 変 抵 抗 器 Rg の大 きさ を変え,
発 電 機の電圧 を変 化さ せて電 動 機の速 度制御を行 う。
電 動機の 界磁巻線 Fntに流れ る 電 流 を可変 抵 抗 器 R. に よっ て変化さ せ るこ とに よっ て も速 度 制 御 を行 うことが で き る が制 御の範 囲が狭い。 逆 転 を行 う時にはFg
に流 れ る電 流の方向を変え, 電 動 機に 印 加される電圧の極 性 を 反 転 させ る。
電 動 機 側の界 磁 電 流は, 主と して電動 機が プP ペ ラ の トル ク速 度 特 性に合 うよ うに調整 さ れ るの で あっ て, 界 磁 電 流 を 増せ ば大 きな出 力 トル クが得ら れ る。 ワー
ドレオ ナー
ド方 式の 速 度 制 御 範 囲は き わ め て広 く,
か つ 円 滑に行え る こ とが その特徴で あっ て, 他の 方 式も根本的に はワー
ドレオ ナー
ド方 式の原理 を 用い て い る。 した がっ てJ 精 密 な 操 船が必 要な船に適し た方 法で あ る。
園 転速 度 制 御は原 則とし て Rg お よびRm
の大 き さ を変え るだけで よ い の であ り,
電気推進 方 式は実に簡 易な 遠 隔操縦 装 置で事 足 り るかがわか る で あ ろ う。 (2) 直 列ワー
ドレオナー
ド方式 任 意の台 数の発 電機 な らびに電 動 機に ウー
ドレオナー
ド方式を採用する 時に用い られる方 法であっ て, 発 電 機お よび電 動 機 を 電 気 的に直 列に接 続す る 方法であ る。
ワー
ドレオ ナー
ド方 式 が 発 電 機, 電 動 機とも1台で ある とい う制 限が あ る た め プロ ペ ラ出 力 も小 さ な もの とな らざるを得なか っ た。 ゆえ に 1軸 あた りの プロ ペ ラ出 力を増すた め に は 複数台 の電 動 機 を 直 結 し,
これに対 し発 電 機も ま た複数 台を設 けて大出力を得てい る。
なお, 発 電 機 を分 割 するこ と は 機 関室 空間の有効 利 用,
信 頼 度の向上,
エ ンジ ン の維 持 の容 易という長 所も生ま れて く る。 図2に南 極 観 測船“
ふ じ”
の推 進 系の電 力 系 統 図 を 示 す。 ‘‘
ふ じ” は 2個のプロ ペ ラ を有 し,
各プロ ペ ラ に対 し図2
の推 進 系 が 構 成 されてい る。 すな わ ち各プロ ペ ラ 軸に 2台の電 動 機 を直 結し,
それに給電する発 電 機 も2 台 装備さ れて い る。 発 電 機お よ び電 動機に対 しそ れぞれ 独立し た励磁電源 を も・
ってい る。
各 機の絶 縁は すべ てB 種を採用 してい る が, その後 開 発さ れすで に実用の段 階 に入っ てい るF種 絶 縁 を 採 用 すれ ば, 機 器の寸法, 重量 はかな り軽 減 され ることにな る。一
般に直 列ワー
ドレオナー
ド方 式で は発電 機お よび電 G :推 進 用 発 電 機 2,420kW ,
600 rpm,
2台 M :推進 用 電 動 機 2,25DkW , 850v,
1101150 rpm , 2台図2
‘‘ ふ じ
’
「
の 推 進 動力 系 統 図 (1軸を 示 す)一 22
旱 角 説 249 動 機を交互に接続 する ので あ
t−)
て, こ の よ うにすれ ば各 機に加わ る大 地 電 圧が低く な り, 経 済的 な絶 縁設 計が可 能と な る。
電 動 機の 回転 速度 な らび に回 転 方 向の制 御は,
発 電 機 界 磁 電 流の大 き さな らびに 方向を制 御 することによりな さ れ,
発 電 機お よ び電動機の 界磁 電 流を同時に制 御し て プ 卩 ペ ラに必要な出力 が常に発電 機 出 力と合 致 するよう に なっ てい る。 ま た, 電 磁 開 閉 器による 切 換え操 作に よ り,
任意の台数の 発電機 と電 動 機との組 合わせ が可 能 と なっ てい る。 さ らに,
各機 械に は共通に同じ大きさの 電 流が流れ る た め,
過 電流 が 生 じた とき1
台の機 械のみ が過負荷 と は な ら ず,
各機の負 荷 が一
様に増加する ため,
過負荷に よ る事故の発 生の機 会が少なくな る。
こ の よ う な 利 点に よ り電 気 推 進 方 式 として は本 方式がもっ とも 多 く採 用さ れてい る。 ただ,
電気 回 路 が 直 列の 1回 路の み で あるか ら, しゃ断 器の故 障で こ の 回路の どこ か 1箇所 が聞かれ た な らば, 電 気 推進装 置 全 体の機 能が停止 する とい う 欠 陥 が あ る。
砕氷船はその性格上,
プロ ペ ラ の 負 荷 ト ル クがさまざ まに変 動 する。
した がっ て, これに よっ て原 動 機が過 負 荷と な ら ない ように特別の考 慮が払わ れてい る。 す なわ ち,
発 電 機に は 3界 磁 巻 線方 式 を 採 用 し,
過 電流が流れ た時に発電機電圧 を電流の大き さ に応じ て急速に下 げる ように してい る。
これ は前述の差動 界磁巻線の作 用に よ る もの で あ る。
ま た 電動機 が 停 動 (ス トー
ル)した時に も過 電 流と な ら ない ように し機器の損 焼を防ぐ ように し てあるが,
長時 間停動 する と電 動 機の整 流 子 が 損 焼 する の で,‘
‘
ふ じ”
で は電 動 機 停 動 後 30 秒 経 過 すれ ば自動 的に給 電が停 止 する ようになっ て い る。 (3) 定電流 方 式 こ こ に い う定電流方式と は, そ れ ぞ れ 用 途 お よ び 定格の異な る複数台の電動機,
た と え ば推 進 用 電 動 機,しゅん せつ ポンプ用 電 動 機,
バ ウス ラス タ用 電 動 機な ど を 1台あ るい は そ れ 以 上の発電機 と電気 的に直 列に接 続 する方 式で あっ て,
これ らの発電 機に よ っ て, その容 量 以 内で何 台の電 動 機に対 しても電力を供 給 し, か つ 電 動 機個々を 独 立に制 御で きる利 点を もっ
て い る。
直 列回路に流れる電 流は常に一
定となる ように発 電機の界 磁 電 流 が 自 動 的に調 整さ れ る。
し た が っ て用途 の異なる個々の電 動 機の 界 磁 を制 御し,
それぞれの電動 機の 速 度 な らびに回 転 方 向の制御を行うこ とに な り,
電 動 機の出 力 トル ク が制 御 され る。 本方式は電 動機の電 機 子 電 流が常に一一
定に保た れ る か ら過 電 流に よ る焼 損 事 故 の心配が ない。
なお,
直 列に接 続さ れ た各機 械は電 気 回 路に影 響 を 及ぼすこ と な しに,
投入お よ び しゃ断が で き る よ うになっ てい る。
しか しなが ら, 各 電 動 機の 負 荷 トGt,
C2 :発電 機 1,000 kW,
600V,
360 rpm Pl,
Pi:推 進 用 電 動 機 900 kW , 600 V, 300 rpm Dエ, D2: し ゅん せつ ポソブ用電動 機 450kW ,300V ,
220 rpm 図 3 ‘‘ 海 龍丸,
1の 基本系 統 図 ル クの変 動が直 列回路に流 れ る電 流を変動 さ せ,
その結 果 他の電 動 機の速 度 が変化 する の は や むを得ない 。 図3に本 方 式の一
例 と して,
ドラ グ サ クシ ョ ン しゅ ん せ つ船‘
‘
海 龍 丸” の電 気 推 進 装 置の 基 本 系 統 図を 示す。
図に お い て, 発 電 機2台が推 進用電 動 機 2台お よ び しゅ ん せつ ポン プ 用電動 機2
台と直 列に接続さ れて あ る。
各 機の操 作は 操 舵 室 よ り 遠 隔操作 され るよ うに なっ て お り, それぞれの 目的に応じ適宜 各 機が 独 立 に制 御さ れ る。
(4) 並列 接続方式 上 述 せ る直 流 方 式は, 発 電 機 と電 動 機と が すべ て直 列に接続さ れ てい る こ と を特徴と し た。
こ の方式で は発 電 機お よび電 動 機は交 互に組 入れ ら れ,
各 機の絶 縁耐 力が少 な くてす むよ うになされ て い る。 し か し,
た とえ ば1台の発 電 機に 3台 以 上の電 動 機 が接続 さ れ る時は, 発 電 機 な らびに 電 動 機の 絶 縁 耐 力 を大 き くする か ある いは発電 機電圧 を低 く し な け れば な らない。
した力二り
て 大出力の電 気推進装置に対し ては適 当 な 方法で はな く,
こ の ような場合には む し ろ各発電 機 と電 動 機と を並列に接続する 方 が よい。
この 方 式は各 発 電 機の しゃ断 器の 電流 定格を 小 さ くすること がで き, ま た 1個の発電 機 用しゃ断器 が 故 障し て も給 電が持 続 され る とい う特 徴を有 する。
しか しなが ら直 列 方 式の 方が電 気 推 進 装 置と しては 根本 的な利 点 を 有 する の で,
並 列 接 続 方式は ほ と ん ど用い られず, 米 国の 砕 氷 船に例を み る にす ぎない。
図4に米国 で 建 造 さ れ た砕 氷 船 “G皇acier”
の電気推進 装置の基本系統 図を 示す。
発 電 機は並行 運 転さ れ,
各発一
23250
日本造船学 会誌 第5391号 (昭 和49
年 5 月) C,〜
Gs :推 進用発 電 機 1,
340 kW , 837V,
1,
600A
M :推進 用 電 動 機10,
500He(900V ),
120〜
175 「p
「11 EX :励磁機 HR :定 出力制 御装 置 図 4‘
‘
Glacier
”
の 基 本 系 統 図 電 機の励磁回 路は 1つ の励磁電源に接続さ れ てある。 こ の励磁電源電圧は操舵室よ り遠隔制御さ れる。
電動 機は 任 意の電圧に お い て,一
定 出 力となるよ うに定 出 力 制 御 装置によっ て電動 機の界 磁 電 流が自動 的に加 減さ れ,
船 の 加速か ら通常航走に いた る まで,
負 荷の大 き さに応じ て, 常に出カー
定となる よ うに電 動 機の 回転速度が制御 されることになる。
4・
2 交 流 方 式 こ こにい う交流 方 式 とは,
同期発 電 機に てプロ ペ ラ に 直結さ れ た交 流 電 動 機を駆 動 する方 式を指す。
現 在, 交 流 電 気 推 進が採 用 され るの は電 気 推 進 装 置と しての 機 関 室の空 間の有利 な使用の ほ か に大出力の動力伝 達機構と し てで あっ て, 電 動 機と して同 期 電 動 機を採 用 すれば, 1台 当 り 70,
OOO〜 80,
000 kW まで製 作 可 能で ある。
こ れ以上の 出 力を必 要とする時は 2台 以 上の電 動 機 を 磯 械 的 に直 結 し てや れ ばよい。
また, 交 流 機に は直 流 機の よ うな整 流 子がなく, 機 械の保 守, 整 備 も きわめ て容 易で あ る。 さ ら に交 流 電 気推 進方 式 は直流方式に比べ て4
% あ ま り効 率 がよく, 現 在の ように省エ ネル ギ 化 が一
般 的 な問題と なっ て い る 折か ら,
燃料消費の 少ない 複 数 台の デ ィー
ゼ ルエ ンジンに よ る大出 力の交 流電気推 進方式を 考え て み ること も意義のあ ること と思わ れ る。
交流 方式にあっ ては,
同期 発 電 機は高 速 度で運 転 さ れ 電 動 機は低 速 度で回 転 され るけれ ど も, その聞の 回転速 度 比は一
定で あっ て一
種の歯 車 機 搆と考え ら れ る。 同 期.
電 動 機の回 転 速 度を,
発電 機回 転数とは無 関 係に円 滑に 変 化 させ るこ と は原理 上 不可能であ ⊃ て,
その よ うな場 合に は, 発 電 機を駆 動して いる原 動 機の 回 転 速 度 を変 化 さ せ る 以外に方 法はな く,
これ ゆ えに直 流 方 式の よ うに 精密な船の操 縦に は適し てい ない。
た だ し,
2段あ るい は3段 階に速 度 を 変 化 させ る ことは電 動 機の極 数 変 換に よっ て可 能で は あ る。
電 動 機と して誘 導 電 動 機を採用 す る時に は,
電 動 機 回 転数を発 電 機と は無 関 係に連 続 し て :変 化させ る こ とも可能で は あるが,
複 雑な補 助 装 置を 必 要 とす る上 に, 出 力も大 きな もの を製 作す ることは不可 能で あ る。 交 流方式で は電気機 械の電圧 も 直流方式に比べ て きわ め て高く選ぶこと がで き,
約 15,
000V まで製 作可能で あっ て, それ ゆ えに重 量, 大きさ, 価 格など も低 くする こと がで き, ま た付 属 機 器 も小 形 化 する こと がで きる。
(1) 推 進 用 交 流 発 電 機 交 流 発 電 機は 原動 機に直 結あ るい は減 速 装置を通じ て駆 動 され, 通 常 1台の発 電 機に 1台の電 動 機 が 接 続 される が, 図5に 示 す よ うに発 電 機の並 行 運 転 も 不 可能で はない。
ただ し,
こ の時は各 発電 機の負荷分 担が 均一
に行わ れ る ように, 発 電 装置の 総合特 性 を 合 わせ るこ とが必 要で ある。
G G帽
M〜
図5 交 流 電気推 進 装 置の基本系 統 図 通 常 航 海 中は プロ ペ ラの トル ク変 動に よっ て電 動 機の 電 流に変 化をきたし, その 結 果 発 電 機 電圧 が変動 して同 期 電 動 機 が 脱 調 するおそ れがあるの で,
自動 電圧調 整器 を 設 け 発 電 機 電圧 が常に一
定に維 持さ れ る よ う に なっ て い る。
ま た,
電 動 機 回 転 速 度が 20% 以 下では電 動 機の 力 率が低 くな り (こ の時に は同 期 電 動 機も誘 導電動 機と して運 転 される), 所 要 電 動 機 電 流が 大き く な る た め発 電 機に は 過 大な 電 流が流れ, こ の た め に 過励磁を 要 す る。
同 期 電 動 機を始動 させ る時は,
発 電 機 を低 速 運 転と し, 同 期 投 入 後 発 電 機 回 転 速 度を増 加さ せ,
定格運転に 入 る。
発 電 機の構 造とし て は,
ター
ビン駆動の場合は円 筒 回 転 界磁 形の 2 極同 期発電機が採用さ れ,
デ ィー
ゼ ルエ ン ジ ン駆 動の場 合は 10〜
18 極の突 極回 転 界磁 形同期 発 電 機が採用 さ れ る。 ま た,
全 閉 水 冷 形 が 使 用 さ れ,
し た が っ て騒 音が少ない。 (2 ) 推進用交流電 動機 電動機と し て は誘 導 電 動 機と同 期 電 動 機 とが あ る が,
誘 導 電 動 機は 低 速度 (100 r/m 以下 ), 大出 力 (10,000kW 以 上)の もの を製 作す ること が眠 難で,
力率も あ ま り よ く な く,
構造 上 固 定 子 と回転 子と の空 隙 を大 きくする こと がで き ないため,
小 出 力の電 気 推 進 装 置以 外には 用い られ ない。 こ れ に対し 同期電 動 機は 低速 (80r/m 程 度), 大出力 (約80
,000
kW まで)の もの が 製作可能で あ り,
回 転 部分の空隙 も 大 きく と るこ とが で き,
据えつ け,
保守が容易で ある た め推 進罵 電 動 機と して十 分 使 用 すること がで き る。
玄 た 同 期 電 動 機は界 磁 電 流 を加 減し て力率の調 整を行 うこと がで き,
通常 100% 力率で運転さ れ る.
した が っ て効 率一 24 一
解 説
251
も高く (約 98% 以 上),
同一
出力に対して所 要 電流 を 小 さ くするこ とがで きる か ら, 電 動 機は も ちろん, 発 電 機 その他の付 属機 器 を 小形にする こ と が で き,
全 電気 推 進 装 置の銅 損 を最 少にする こ と がで きる。
つ ぎに推 進 用 同期 電 動 機の特 質に つ い て述べ る。 同 期 電 動 機は負荷 トル クの変動が甚だ しい 場合は脱 調 し停止する場合が あ る。
し た がっ て荒 天時の航 行に あっ て は プロ ペ ラ の負荷トル ク が大き く変動する から, これ に よっ て脱 調 し ない よ うに電 動機 その もの の 設 計 を 考 慮 する と と もに十 分 な る 励 磁 を 与 え るよ うに し なければ な ら ない。 プロ ペ ラの 回転 速度を変え る た め に は発 電 機 回転 数 を 変 え な け れ ば な ら ない が,
発 電機 駆 動 用原 動 機が ター
ビ ン の場 合は, 速 度 変 化の範 囲は 20〜
100%で あ る か ら 回 転 速 度 を20
% 以下 と し た い時は,
同期電動 機の励 磁 を 切 り離 し,
誘 導 電 動 機と して運転 す る。 こ のた め 同 期電 動 機には誘 導 電 動 機 運 転に適 する ような制 動 巻 線が設け て ある。
誘 導 電 動 機の出力 トル ク は電圧の2
乗に比例し て 変化 す るか ら,
発 電 機 電圧 を 低く す れ ば プ ロ ペ ラ は 20% 以下の任意の 回転速 度で 駆 動さ れ る ゆえ, 通常の ター
ビン船よ りも 広 範 囲の調 整が可 能と なる。
始 動お よ び逆 転時にも,
同 期電動 機は誘 導 電動 機 と し て操作さ れ,
定 常 状態に 入 っ て か ら同 期 電 動 機と し て運 転 さ れる。
電 動 機にとっ て全 力 前 進か ら全 力後 進に移る 時が もっ と も 苛 酷 な 状態であ り, こ の間 電 動 機は誘 導 電 動 機 とし て運 転 されるため, 制 動 巻 線は通 常の もの よ り も大 き く, かつ 頑 丈につ く られてあ り逆 転 時に高 トル ク 負 荷に耐える よ うになっ て いる。
ま た,
始動時あ るい は 逆 転 時にあっ て は誘 導 電 動 機と して の力 率が低いか ら,
過 大 な 電 動 機 電 流が流れ, こ の た め に推 進 用 発 電 機を過 励 磁としな け れ ば な ら ない。
同 期 電 動 機の構 造と しては, 大 出 力, 低 速で あるため 極 数がきわめ て多 く, 軸 方 向に短か く直 径の大 きい構 造 の もの と な り, 突極形 回 転界 磁構 造と な る。
回 転 速 度 が 低い ため 独 立 し た通 風 機に よ っ て 冷 却 しな ければな ら ず, 水 冷 式の循 環 通 風 方 式が採 用 されて いる。 また,
近 時 開 発され た ブ ラ ッ シ レ ス 同 期 電 動 機を採 用 するな ら ば 保守は さ ら に容 易 と なる。
(3) 最 近の 交 流 方 式 前述し た ように,
交 流 方 式 は大出力に適し速 度の制御が 容易でないか ら,
全 負 荷で 長 期 間 運 航す る船舶 に適し てい る。
操 船 性の問題は最 近 開 発 された可 変 ピッ チプロ ペ ラを 用い ることに より解決 さ れ る。
ま た,
近 時ガス ター
ビン が出現す るに及 び,
動 力伝 達 機構 と し て の 交流電気推 進方 式 が注 目さ れ るよ う になっ た。 交 流 電 気 推進は 1918 年に すで に 米 国の戦艦‘
‘
Nヒw Mexico”
に 採 用 さ れて い る が,
こ れ は その当時有効 な 減 速 装 置 が なか っ たか らで あ る。
その後 機械 式 減 速装置 の発 展に伴い,
減 速機構と しての 電 気 推 進 方 式は全 く 影 をひ そめて し まっ たが, 近 時ガス ター
ビ ン の船 舶へ の 適 用が 可能と なっ た結果, ガス ター
ピン と プロ ペ ラと を結 合 する 装置と して の 電気 推進 方式が再び脚 光を 浴 び る ように なっ た。 た と え ば, Standard OilCompany
ofCalifornia
(Chevron)セま, 3隻の 35,
000 DWT タン カー
の建 造に際 し交 流 電 気 推進方 式 を 採 用 し た。
これ は 重 構造ガス ター
ビ ン (11,
000 re>によっ て同期発 電機 を一
定回転 速 度に て駆 動し, 12
,500 四 の 同期電動機を 運 転 する もの であ る。
プロ ペ ラ は可変ピ ッチ プロ ペ ラ を 採 用 し,
船の操縦性を容 易に して い る。 ま た,
推進 用 発 電 機 か ら船内の一
般電気 機器へ も電力 を供 給 するこ とがで き る ようになっ て お り,
荷 油ボン プ を電動 化 し,
荷 揚げ時 に推 進 用 発 電 機 を 運 転して これに よっ て荷 油ポン プ に給 電 する ように なっ て い る。
なお,
ガス ター
ビン お よび発 電 機は上 甲 板 上に設 置さ れ, 遠 隔制御さ れ る。 し た がっ て従 来の意 味の 機 関 室はない。
推 進 用 電 動 機は専用の電 動機室に置かれてい るo ま た,
ガス ター
ビン の監 楓 保 守に要 す る人 員が著し く減 少され る た め,
通 常の タン カー
の乗 組 員38名 がこ の船に対して は 14名 と激 減した。 こ の ように交 流 電 気 推 進は ガス ター
ビ ンと可変ピ ッ チ プロ ペ ラとの組合わせ で もっ て採 用され るの が 現 状で あ る が,
小形 高 出力ガス ター
ビンの 出現に よ り電 気 推 進 方 式が再び見直さ れ る結 果と なっ た の である。
ガス ター
ビ ンが交流電気推 進装置に対 し有利で ある の はつ ぎの理 由 によ る。 (a > ガス ター
ビ ンは発電機と一
体 化され 小 形 化 され るた め,
据えっ けに要す る時間や費用 が僅か です む。
設 置 場 所 も比 較 的 自 由に 選ぷこ と が でき,
上記 Chevron の場 合で は上 甲板に設 置 されてあ る。 こ のた め機関室 を な くし, 積荷容積を増加さ せ ることができる。 したが っ て, ガス ター
ビ ンは必 ず しもプロ ペ ラ軸と機械的結合の 行える場 所に設 置 され ない。 それ ゆ えに動力伝達 機構と し て,
両 者の設 置 場 所に拘 束さ れ ない 電気 推 進 方 式が採 用 される。
(b) 機 関 員の削 減と自動 化が容易に行え る。 電 気 機 械は本 来 自動 化お よび遠 隔 制 御が容易で あ り,
こ れ に適 用 され る原 動 機 も 自動 化が容 易であること が望ま しい。
ガス ター
ビン はその機構上,
他の原 動 機よ り も自動 化が 容 易で あ り,
電 気 推 進に適 した原 動 機である といえ る。
さ らに,
重 構 造ガス ター
ビン の始 動は押ボタン で簡 単に 行 うこと がで き, 始 動 後 3.
5分 以 内に全 負荷運 転を行 う一 25
252 日本 造 船 学 会 誌 第 539号 (昭 和49 年 5 月) ことがで きる
。
し た がっ て機 関 室 無 人 化船に とっ て最 も 有利な原 動 機であ る とい える。
(C ) ガス ター
ビンは高回転速 度で あ り,
ま た高 出 力 で あ る か ら交 流電気推進 装置に適する。
操 船は可 変ピッ チ プロ ペ ラに よりなさ れ る。 もちろ ん固 定ピッ チプロ ペ ラ を 用いて も よい が,
この場合可 変 ピッ チ プロ ペラ の方 が操縦性が優れてい る。 ま た, 可変 ピッ チ プロ ペ ラ を用 い る場 合は発電 機 を一
定 回転 速 度で運 転 するこ と が でき るか ら, 船 内 電 気 機 器へ は推 進 用 発 電 機か ら給 電 するこ と が 可能となり, 船 内 負 荷 専 用の発 電 機 を別に設け る 必 要がな くなる。
図6
に ガス ター
ビン交流 電 気 推 進 方 式の 基本系統図を 示 す。
図におい て, 荷 油ポン プモー
タ な ど大 形 電動機は 推 進 用 発 電 機から直 接 給 電さ れ,
そ の他の小 容量機 器は 並 列 接 続 された 2台の変圧 器 を 通 じ て給電 される。
推 進 用 発 電 機の ほかに補助 発電機と非常用発電 機と が設 置さ れ, 推進用発電 機が故障し た時に は補 助 発 電 機によっ て 船 速 を落と して航 行で きる ようになっ て い る。
非 常 発 電 機は人命の安全, 船 舶の維 持に必 要な電 力のみ を供 給す る。 ガス ター
ビン発電 装置 を 上 甲 板に置 く時は防 滴 形 と することがで きる が, 機 関 室 内に置く時は全 閉 水冷形と する。 ガ ズ ター
ビ ン 発 電機 補助発覚 機バ 非 常 発 電 機 槲 図
6
ガス ター
ビン交 流電 気 推 進 装 置の基 本 系 統図4 ・
3
交 直 併用方 式 従 来の電 気 推 進 方 式で は,
発電機の発 生 電 力 を そのま ま電動 機に供 給 して いた が, こ こに半導体 装 置の急速な 発展に よ り, 交 流お よ び 直流 方式の長所 を 取入 れ た電 気推進 方式が出 現 する に いたっ た。
前述した ように, 近 来の原動機の高 出 力 小 形 化に適 合 す る もの と し て交流電 気推進が 現 わ れ た が,一
方,
電 気 機 器方面において高 電 圧,
大容 量の ダ イ オー
ド,
サ イ リス タが 開 発 さ れ,
これ が電 気 推 進 装 置の進 展に大い に貢 献 する こ とと なっ たの である。交 流 機は構造が簡単で, 回 転 速 度 や 電圧 を高くする こ と がで き るか ら, 寸 法, 重 量 と もに小 さく な り, したが っ て効 率がよ く
,
か つ 保 守も容 易で あ る。
また,
これ を 駆動 する 原 動 機 も 高 速 回 転の もの を 用い る ことが で きる た め, 原 動 機自体も 小形化 さ れ機関室の有 効 利用 をは か ることがで きる。 し たがっ て, 発電 機と しては同期発 電 機 を 用い るのが よい ことは 明 らか であ る が, 交流方 式 は 電動機の速 度制 御が 難か し く,
連 続的 な速 度調整は 原動 機の回 転 速 度 を 変え る以 外に方 法 が な く, 精 度の 高い操 船 性は望め ない. よっ て,
特に 正確 な 操 船 性が要 求さ れ る船 舶に対 して は, 電 動 機と し て直 流 機 を使 用し円滑 な 回 転 速 度 制 御 を行 うのが よい。
以 上を要 すれば, 直 流方式に おいて発 電 機 を 同 期 発 電 機に置 換 えたもの にす ぎない。
しか し, 発 生 電 力が交 流 で あるか ら,これを直 流に変 換 する装 置が必 要であっ て, こ の 目的の た め に ダ イ オー
ドある い は サ イ リス タ が 用い られる。
従 来より交 直 変 換 装 置 として は, 大 電 力 用と し て水 銀 整 流 器が あっ た が,
こ れ は動揺や振動に よ り動作 が著しく不 安 定と な りまた寒冷時に は始 動が困難であ る ため,
船用 と しては とうてい 使 用 に 耐えるもの で はな か っ た。 し か る に 半 導 体 整 流 装 置が 実 用 化 さ れるに 及 び, 船 用 とし て きわめ て有 効な るこ とが わ か っ た た め,
近年船 用一
般 電 気 機 器は も ち ろん の こ と, 電 気 推 進 装 置 の交直 変 換 装置と し て 用い られるよ うに なっ た。
さ ら に,
励 磁 回路,
制 御 回 路 な どに も取入 れ ら れ, 付 属 機器 の小 形 化の みな らず 保 守に要する時 間を も著 しく 減 少 さ せ る結 果となっ た。
(1) ダイオー
ドに よ る方式 ダ イ オー
ドは交流 を 直 流に変 換 する整 流 作用のみ を有す る もの であっ て, こ れ に よっ て直 流 変圧 の大 き さ を 制 御 するこ と は で き な い。
ゆえ に発 電 機 電圧 を変 化さ せ て直流電圧 を加 減 す る 必 要が あ る。 こ れ は電 源が交 流で あ るワー
ドレオナー
ド の一
種と考 えるこ とがで き る。 図 7にその一
例を 示す。 ooo G〜
ヂ
図 図7 ダイ t一
ドに よ る方 式 ダイオー
ドは図に示すように通 常3 相ブ リッ ヂ結 線が用 い られる。
交 流 側 電圧 と直 流 側電 圧 との聞には一
定の比 率 が あ り, 交 流 発 電 機G の 励 磁を 加減する ことに よっ て 発 電 機 電圧が 変 化 し, これに比 例 し て直 流 側 電圧 が変化 するか ら, 直 流 電 動 機M の回 転 速 度を変 化させ るこ とが で きる。
ダイ オ
ー
ド方 武も直列 ワー
ドレオ ナー
ド方 式あ るいは一
26一
解 説 253 図8 ダイオ