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迷い・認知空間における構成要素に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)迷い・認知空間における構成要素に関する研究. 木幡 容子 1.研究の背景と目的. 北天神地区 親不孝地区.  急速に変化し続け、 複雑で多様な景観を生み出して いる日本の都市において、わかりやすさ=レジビリティの 重要性が挙げられる。 空間構造を理解し易い都市は、 来街者にとって魅力的である。しかしそれは、近代都市. 地下街地区. 大名地区. 計画が目指した、効率的で整然とした街並みによって、 必ずしも生み出されるとは言い難いのではないか。  現在街路空間はマクロ的な視点により機能や効率の 面を重視した整備が行われているが、 来街者の視点を 考慮することが大切である。本研究では、多くの人々が 共にレジビリティを高める基礎的知見を得ることを目的と し、 迷い空間と認知空間の構造を探り出す。. 南天神地区. 2.研究の方法. 今泉地区.  福岡市中心部、 天神地区を対象とし、 九州大学の学 生を被験者として 2 回のアンケートと1 回の実験を行う。 図 1 迷い空間マップ. ①迷い空間把握 :迷い空間とはどのような特徴をもつの. 表 1  迷い要因図. か。迷った地区を地図上にプロットし、その時の状況や. 迷い要因例. 迷い要因. 理由を自由記述してもらい、 迷いやすい地区とその特. 特殊形態. 28 不整形街路(渡辺通り5). 街路類似 41 街路空間 100 物 建物類似 24 的 外 108 目的地不明確 7 要 的 122 因 特殊空間 3 地上と 地下 3 要 因 ランドマーク・ 5 目印不明確 5 付属物. 徴を抽出する。 ②認知空間把握:次に認知空間を構成する要素の特徴 を探る。地図上に認知要素を記入してもらい、それらの. 要環 14 因境. 属性 ・立地等によって分類 ・分析を行う。 内 的 要 因. ③写真実験 :以上の分析から得た迷い ・認知空間の特 徴を検証する。対象地区の写真見せ、それがどこの写. 60. 状態. 9. 視界不良. 変化. 5. 通行障害. 経験. 40. 情報. 9. 個人的. 不慣れ. 格子状街路(大名) 飲食店が多い(大名) ・ オフィスビル群(北天神) 店が奥まったところにあって見えない(今泉) 地下街に下りると東西がわからなくなる(地下街) 目立つ看板やシンボルがない(大名). 9 暗くて狭く人が多い(地下街) 5 いつもの道が工事中で通れない(大名) 22 初めて通った道(北天神). 記憶不明瞭 18 店の位置をうろ覚え(大名) 情報不足. 9 曖昧な地図しか持っていない(北天神). 11 目的無意識 11 適当にぶらぶら歩く(大名). 真か、 また判断要素は何かをヒアリングする。. ける要因が 100 件と最も多く、 特に 「どの道も同じに見. 3.迷い空間把握. える」といった「街路類似」が 41件ある。逆に「不整形な. ①迷い要因について. 街路形態で迷う」といった「特殊形態」も28 件と次に多.  迷い空間の特徴を分析するべく、 アンケートを実施し. く、 簡潔さと複雑さは表裏一体の関係であると言える。. た。回収できた66 人の迷い体験 126 件をプロットしたも.  「建物類似」が24件と、要素自体にも要因がある。「似. のが図1であり、色が濃い部分ほど迷い度が高い事を表. たようなオフィスビルが多い」「美容室が多い」といった形. している。また自由記述で得られた182件の状況 ・理由. 態 ・用途の類似が迷う要因になっている。. を整理した結果、街路 ・建物形態等の外的要因と、個.  環境要因 14 件中、 「視界障害」が 9 件あった。 夜や. 人的な経験等の内的要因に分類することができた。 ま. 地下等の暗い空間や、アーケードといった視界が狭くな. た、 外的要因は物的 ・環境要因に分け、 更に計 12 個. る場所も迷いやすい。 D/ H の小さい街路や入り組んだ. の迷い要因に細分類することができた(表 1)。表右側に. 細街路も見通しの悪さに繋がり、 迷いやすくなる。. は状況 ・理由の一例を記載する。.  内的要因の主たるものは、 個人の 「経験」で 40 件あ.  外的要因 122 件 :内的要因 60 件から人が迷う際は外. る。初めて通る道、いつもと違う交通手段、目的地の曖. 的要因に寄るところが大きい。その中でも街路空間にお. 昧な記憶…利用頻度が高いほど迷う確率は低くなる。. 7-1.

(2) ②地区別分析  次に迷い度の高い6 つの地区において考 察する(表 2)。  56 件と迷い度が高 かった大名地区にお. 表 2  地区別迷い要因 地区名 親富孝 北天神 大名 地下街 迷い件数 10 5 56 7 特殊形態 2(20) 11(20) 街路類似 3(30) 26(46) 3(43) 建物類似 2(20) 2(40) 8(14) 4(57) 目的地不明確 5(9) 地上と 地下 2(29) 目印不明確 1(10) 2(4) 視界 4(57) 通行障害 2(4) 不慣れ 2(20) 1(20) 10(18) 記憶不明瞭 1(20) 10(18) 情報不足 2(40) 2(4) 1(14) 性格 1(10) 5(9) 1(14). 今泉 17 5(29) 2(12) 4(24) 2(12). 2(12) 1(6) 1(6) 3(18) 1(6) 2(12). 渡辺5 6 5(83) 1(17). まんだらけ. 1(17) 2(33) 1(17). 吉野家. 認知空間調査地域. いて、 最も要因となったのは 「街路類似」で 26 件だっ IMS. た。「通りの景色が似ている」「直線街路が多い」「目立つ 要素が無い」等の記述があり、自分の位置を把握し辛い 空間構造のようだ。また 「建物類似」も8件あった。「美 大名 ローソン. 容室が多い」「小さい店が多い」等の理由が挙げられた。. ampm. 商業の激戦区である大名は、美容室や飲食店等の同じ 元沼田病院. 用途の店舗が多く、また小さい店舗が多数存在すること から、個々の建物を認識し辛いようである。また、店舗. 立地特性調査地域. の入れ替わりが激しい事も記憶の妨げになっていた。  大名に次いで件数が多かった今泉地区(17 件)では、 「入り組んだ不整形な街路が多い」という「特殊形態」が 全理由の 29%あった。 また 「建物類似」も24%ある。 図 2  認知要素プロット図. これは「似たような建物や駐車場が多いことで、 同じ景.  表 3の最高 ・最低指摘数を見ると、認知度には個人差. 色に捉えやすい」という理由が挙げられた。  親富孝地区は大名 ・今泉と逆の事象が起こっている。 「建物類似」が 20%あるが、自由記述を見ると「夜光る 路もさっき通った錯覚に陥る」という理由が挙げられた。  地下街地区は 「視界不良」が 57%だった。日に当た. 知要素が少ない。あったとしても 「大名ローソン」のよう 知度の低いものが広範囲に立地していたりと、空間を把. を失いやすい。 「建物類似」も57%ある。 これは地下. 握する為の要素にはなり難い。また、渡辺通り沿いの地. 街の店舗形態が単調で変化がないことから来ている。. 区では、認知度の高い大型商業施設が多数存在してお.  北天神地区は訪れる回数が少ないことから、内的要因 に偏っている。また 「建物類似」が 40%あった。オフィ ス街のこの地区は無機質なビルが連なり変化に乏しい。  渡辺通り5 丁目地区は 「特殊形態」が 83%あり、 不. り、 迷い地区と判断されていなかった。  次に個々の認知要素について、立地特性・用途特性・ 建物特性の3つの視点から分析を行った。 ①立地特性. 整形街路が大きな要因となっている。  以上の分析から、 迷い要因が複合的に合わさること で、 迷い空間が作られることが理解できた。.  天神内で最も若者が回遊する地区である天神 2丁目、 大名 1 ・2丁目を中心に立地特性を調べた(図 2 ・表 4)。 角地に立地する建物は 231個、そのうち認知されたもの. 4.認知空間把握. は 102 個と44%に上った。また、アイストップとなる位置.  人々は都市の中で何を認知し、 記憶に留めているの. に立地する建物は 41 個、 そのうち認知されていたもの. かを明らかにする為アンケートを行い、68人(男性 47人. は 22個と過半数を占めていた。その他の街路沿いの建. 女性 21 人)から回収した。. 物は総数 667個中 57個が認知され、わずか9%だった。.  表 3はアンケート結果、図 2は. 表 3  認知空間アン. アンケートで得た認知要素を地. ケート結果. 多いことを表している。.  地図全体で見ると、 前章で得られた迷い空間には認 に局地的に認知度が高かったり、 今泉地区のように認. らず人で混雑している場所は、視界が狭くなり方向感覚. 色が濃い要素ほど、 指摘数が. 均は 27.4 個、女性平均は 34.3 個と女性のほうがより多 くの要素を覚えていた。. 看板やネオン等の自己主張のぶつかり合いで、 どの街. 図上にプロットしたものである。. が大きくあることが伺える。また男女差を見ると、男性平. 認知要素指摘数 認知要素指摘総数 指摘数一人平均 最高指摘数 最低指摘数 指摘数男性一人平均 指摘数女性一人平均. これより角地及びアイストップに立地する建物は認知度. 個数. 383 2010 29.6 108 5 27.4 34.3. 表 4  認知要素立地特性 幹線道路交差点. 建物総数(A) 認知建物数(B). B/ A. 7-2. 角地 その他. 35 27 77%. 196 75 38%. 合計. アイストップ. 231 102 44%. 41 22 54%. その他. 667 57 9%. 合計. 939 181 19%.

(3) 認知度高. 認知度低. %)低層住宅(14%)中高. 表 6 角地分類. 層住宅(17%)が低い。こ れ らは 外 装 に 個 性 が な 角地 ソラリアプラザ. アイストップ 元沼田病院. 主要道路交差点 吉野家. セットバック 昭和通ローソン. 街区内 天神3丁目内CVS店. く、印象に残りにくいもの. 図 3  認知要因立地特性. と伺える。. が極めて高いことが伺える。角地の中で見ると、吉野家. ③建物特性. (44件)や三越(42件)等、主要道路が交差する角地の要.  380 要素中、 4 プロット. 素は特に認知度が高い(77%)。. 以上の上位 93 位迄を分.  逆に認知度が低くなる立地もあった。コンビニエンスス. 析した結果、立地 ・用途. トア(CVS店)は用途別で見ると認知度の高い要素である. 特性を含まないものの、. が、主要道路からセットバックしている店舗や、一歩入っ た街区内の店舗は認知度が低い。 視界に入りにくい、. 認 知 され ている要 素 が あった。69位である西通. 親近感がないことが理由だと思われる。. り沿いのかに本家( 5 件). ②用途特性. 細分類. 要素数. 買いまわり総合 衣料品 身の回り品 本屋 スポーツ インテリア 電化製品 携帯ショップ DS 最寄総合店 食料品 家庭用品店 CVS 特殊小売 GS 飲食店 FC店 サービス店 娯楽 専門学校 ホテル 銀行 その他サービス系 オフィスビル 官公庁 厚生施設 交通 中高層住宅 低層住宅 公園 駐車場 空き地 合計. 10 20 7 2 1 1 3 1 4 1 9 1 12 4 3 30 13 5 6 4 3 13 6 27 5 4 1 6 7 2 17 3 231. 認知要 プロッ 1店舗 認知要 素数 ト数 割合 素度 10 100% 335 33.5 9 45% 28 3.1 4 57% 4 1.0 2 100% 18 9.0 1 100% 3 3.0 1 100% 1 1.0 3 100% 43 14.3 1 100% 2 2.0 2 50% 4 2.0 0 0% 0 3 33% 6 2.0 0 0% 0 11 92% 106 9.6 2 50% 4 2.0 2 67% 5 2.5 8 27% 20 2.5 12 92% 103 8.6 1 20% 3 3.0 5 83% 10 2.0 2 50% 3 1.5 3 100% 41 13.7 5 38% 33 6.6 1 17% 2 2.0 4 15% 38 9.5 2 40% 25 12.5 1 25% 2 2.0 1 100% 8 8.0 1 17% 1 1.0 1 14% 1 1.0 2 100% 68 34.0 1 6% 1 1.0 1 33% 8 8.0 102 926 9.1 44%. は、目立つ看板を所有している。通りを往来すると、そ.  次に全 381認知要素を用途別に分類した(表 5)。小分. れが自然と視界に入ることから認知度が高くなってい. 類で最も多いのは百貨店等の買い回り総合店で 430 件 だった。大規模で 1施設に多くの店舗が出店しているこ. る。マツヤレディス(33件)壁面の大画面もその一つであ る。銀行は認知度が低いが、37位の西通り沿いの福岡. とから、 記憶に残り易いものと伺える。 次に多いのは飲. シティ銀行(11 件)は、 他の銀行と比べて形態が特殊で. 食店の中のフランチャイズチェーン店(FC店)だった。一. あり注意を引きやすい。同様の要因例として、天神コア. 般飲食店よりFC 店の方が認知度は高い。また3番目に 多かったのもFC店の一種であるCVS店(162件)だった。. (35件)とIMS(49件)、VIVRE(23件)は規模も位置もほと んど違いがないが、形態 ・ファサードが特殊であるIMS. その中で最も多かったのは国体道路沿いの ampm( 19. が最も認知度が高い。 その他、要素の規模も認知度を. 件)、 次いで大名中心部のローソン(15 件)だった。しか しこれらの名称を記入した人は居らず、全員 「コンビニ」. 左右している。16位の大名小学校(25件)は周囲の建物 に比べて大きいことが起因していると思われる。. と記述した。このことから人々はCVS店の存在そのもの は記憶するが、固有名詞には関心がないことが伺える。 これは今泉公園等の 「公園」でも同じことが言えた。  またメデ ィアに 頻 繁 に取上げられる要素も. 表 5  認知要素用途分類 大分類 指摘 (7) 総数. 高い。一風堂(13件)や 元沼田病院(19件)等、. 買い回り小売 店 商業系. 968 最寄品小売店. 雑誌 ・テレビ等で取上. 特殊専門店. げられる要素は耳に残 サービス 508 系. りやすい。. 指摘. 中分類(14) 総数. 飲食・サービス 店 娯楽・文化系 サービス施設. 宿泊施設.  逆 に 認 知 度 の 低 い 要素もある。 認知度の 高い角地に立地する 要 素 を用 途 別 に 集 計 すると(表 6)、 オフィス ビル( 1 5 % ) 駐 車 場( 6. 業務系. 158. 事務施設. 都市系. 180. 都市施設. 住宅系. 17. オープン 118 スペース. その他. 61. 合計. 2010. 中高層 低層 公園・広場 駐車場・空き地. 空間名 単体名 合計. 小分類(31). 指摘 要素 総数 数. 買いまわり総合店 430 衣料品 94 身の回り品店 30 736 文化品店 88 耐久消費財 89 DS 5 食料・ 家庭用品店 34 196 CVS 店 162 特殊小売 22 36 GS 14 飲食店 121 317 FC店 179 サービス店 17 娯楽系サービス施設 66 122 文化系サービス施設 56 69 ホテル 69 銀行 60 その他サービス系 7 158 一般事務所名 25 オフィスビル名 66 官公庁施設 91 180 文化・ 文教厚生施設 62 交通 27 15 マンション 15 2 民家 2 101 公園・広場 101 17 駐車場・空き地 17 街路 14 52 商店街 23 交差点 15 9 その他 9 2010 合計 2010. 認知度高. 図 5  認知要因建物特性. 13 29 17 14 12 2 16 7 6 1 67 23 8 23 14 8 9 4 17 13 8 16 8 3 1 9 7 6 4 6 9 380. ④相乗効果  以上 3 つの特徴をすべて満たす要素は、 特に認知度 が高い。渡辺通り北端に位置するまんだらけ(29件)はY 字路、 目立つ看板、 全く中が見えないファサード、 異 色用途の特徴から高い。 親富考通り入り口に位置する 吉野家は、大通りが交差する角地にあり、FC店で名称 がよく知られている。 また非常に大きな看板が設置され ている。 よって認知度は高く44 件だった。 表 7  認知上位要素 順位 名称. 1 Zside 2 ショッパーズ 3 IMS 4 中央郵便局 5 吉野家 6 ソラリアプラザ 7 三越 8 警固公園 9 岩田屋 10 コア 13 まんだらけ 16 大名小学校 20 ビブレ 23 国体道路ampm 27 大名ローソン 39 西通りシティ銀行 75 かに本家. 認知度低. CVS. 利用頻度 ガスト. メディア取上げ度 一風堂. 複数店舗 三越. FC コンビニエンスストア. オフィスビル 銀行. 図 4  認知要因用途特性. 7-3. プロッ ト数. 新細分類. 54 買いまわり総合店 50 買いまわり総合店 49 買いまわり総合店 48 官公庁施設 44 FC 43 買いまわり総合店 42 買いまわり総合店 40 公園・広場 37 買いまわり総合店 35 買いまわり総合店 29 本屋 25 文教厚生施設 23 買いまわり総合店 19 CVS 15 CVS 11 銀行 5 飲食店. 角地. アイス ファ 異色 看板 トップ サード 形態. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. ○ ○ ○. ○. ○. ○ ○ ○. ○ ○ ○. ○. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. FC. 複数 店舗. ○ ○ ○. ○ ○ ○ ○ ○. ○ ○. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. ○. 利用 メディ 頻度 ア. ○ ○. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. ○ ○. ○ ○. ○. ○ ○ ○. ○ ○. ○ ○ ○. 規模. ○ ○ ○ ○.

(4) 5.写真を使った実証実験. 素を見ると、この3つの要.  これまでの分析で得られた迷い ・認知空間の特徴が、. 因のどれかに当てはまっ. 実際わかりやすさに結びつくのかを調べる為、写真を利. ている(表 9)。図 8におい. 用した実験を行った。12枚の天神地区の写真を被験者. て、西通り沿いKFCは角. 表 9  高認知度要素 立地特性 写真 番号. 名称 KFC かに本家 吉野家 ampm テムジン エルガーラ ソラリア. 11 4 7 9 1 10 3. 個数 角地. 20 ○ 19 19 ○ 19 ○ 18 ○ 18 17. アイス トップ. 建物特性 用途特性 建物 利用 看板 FC 形態 頻度. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○. ○. ○ ○ ○ ○. ○ ○ ○ ○. ○ ○. 20名に見せ、何処で撮影されたかを地図上にプロットし. 地+看板のセットから全員. てもらう。 そして写真内で知っている要素は何か、 その. が認知していた。 逆側の. 中でもどの要素が場所を決定する為の手がかりとなった. 角地にあるDS店も角地 +. かをヒアリング調査によって抽出した。写真は平成 14年. 看板だが、 KFCの方 が. 度に大浦が行った街路選択のアンケートで得た結果か. 利用頻度が高く認知度も. ら、 利用頻度の高い街路のものとした。. 高い。 このことから、 立.  実験の結果、20人全員が正解した写真は図 6の西通. 地 ・建物 ・用途特性すべ. り南端である。 決定要素となったのは、 通り中盤にある. てを備えた要素は認知度が高くなることが伺える。. 「かに本家」の看板(19人)と角地に位置するCVS店(18.  12枚中角地が存在するものは 10枚、アイストップが存. 人)だった。最も正解率が低かったのは図 7の警固神社. 在するものは6枚。被験者がまず目に留めていたものは. 交差点(4 人)である。 全員見たことのある景色だと答え. 角地かアイストップの要素だった。 それによってだいた. た。しかし前面道路の幅から国体道路だと認識するもの. いの位置を確認し、 その後他の要素によって撮影場所. の場所を特定することができなかった。 正解した 4 人が. を確定していた。図 7は認知度の高い要素がなかったこ. 手がかりにしたものは右角の白い建物だった。 「ガラス. とが、場所を規定できなかった要因であろう。このように. 張りのファサード」「白い外壁」といった建物形態から記. 場所を規定する為には最低2つの認知要素が必要であ. 憶していたという。 同じ角地でも左角の建物は誰一人と. ることがわかった。. して記憶に残していなかった。認知されるか否かは建物. 6.まとめ. 形態が左右していることが伺える。.  以上の考察から、 次のことが明らかになった。.  また二枚を比べると、認知要素数は図 6 が 6 個、図 7. ①迷い空間は外的 ・内的要因が存在し、特に街路空間. が10個と、正解率が高いにもかかわらず図 6のほうが少. における特殊形態街路、街路 ・建物の類似が主な要因. ない。 しかし、 認知要素一個当たりの認知度を比較す. である。 また迷い要因は 12 個に細分類でき、 これらの. ると、 図 6 は 7.3、 図 7 は 3.2 と図 6 の方が高い。 これ. 組み合わせにより迷い空間がうまれている。. よりわかりやすさに起因するのは、認知要素の個数でな. ②空間認知能力には個人差、 男女差がある。. く一つ当たりの認知度であることが伺える。. ③迷い空間では認知要素が少なく、 空間把握がし辛.  12枚中の認知要素を集計した結果(表 8)、最も認知度. い。 また、 認知要素が多ければ、 街路のわかりやすさ. を左右している要因は看板(297 個)、次に角地(190 個). が向上するというわけではなく、少なくとも2つ、認知度. 建物形態(150 個)だった。 17 人以上が認知していた要. の高い要素があることで向上する。. 表 8 実験結果. ④認知要因には立地 ・建物 ・用途特性の 3 つに分けら. 番号. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 合計. 正解 数. 14 4 17 20 17 10 19 17 19 13 17 18 185. 立地特性 認知要 認知要 アイス その 素総数 A/ B 角地 素数A トップ 他 B. 10 10 12 6 7 6 11 11 10 9 7 9 108. 44 32 45 44 51 36 52 48 55 49 44 29 529. 4.4 3.2 3.8 7.3 7.3 6.0 4.7 4.4 5.5 5.4 6.3 3.2 4.9. 18 4 11 18 11 0 36 29 20 0 25 18 190. 6 1 19 0 0 11 0 0 5 18 0 0 60. 20 27 15 26 40 25 16 19 30 31 19 11 279. 建物特性 看板 看板 無. 31 10 29 33 6 33 33 29 39 27 25 2 297. 13 22 16 11 45 3 19 19 16 22 19 27 232. 用途特性 建物 形態. 6 4 32 6 32 0 1 7 20 18 13 11 150. FC. 7 3 0 14 0 11 19 0 22 0 33 0 109. FC以外. 37 29 45 30 51 25 33 48 33 49 11 29 420. 利用 頻度. 10 4 7 7 10 10 4 7 9 24 22 5 119. 街路空間 メディア 街路 空間 取上げ 形態 要素. 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 5. 5 13 5 1 1 0 8 4 2 2 0 5 46. 図 8 西通り(番号 11). れる。立地特性では角地 ・アイストップに立地する要素 は認知度が高い。建物特性では看板を所持する要素、. 2 4 6 2 0 0 6 9 5 2 6 4 46. 特異形態の要素が高い。用途特性ではFC店等、利用 頻度の高い店舗が高くオフィスビルは低い。更にこれら 3つの特性の相乗効果によって認知度は高くなる。  都市のわかりやすさは、必ずしも近代都市計画が目指 した効率的な格子状街路によってつくられる訳 ではな い。複雑な街路によって生じる角地 ・アイストップの要素 は大きな役割を果たす。また、景観を損なうと言われる 看板も、 都市の構造を理解する為には必要な要素であ る。 これらのデザインを良くすることで、 都市のレジビリ ティと景観美の向上が実現するものと考えられる。. 図 6 西通り南端(番号 4) 図 7 警固神社交差点(番号 2). 7-4.

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