地 価 を 指 標 と し た 地 方 都 市 都 心 部 へ の 住 宅 地 導 入 の 可 能 性 評 価 に 関 す る 研 究
2016 年 3 月
村 上 幸 二 郎
地価を指標とした地方都市都心部への 住宅地導入の可能性評価に関する研究
20 16 年 3 月
村 上 幸 二 郎
徳 島 大 学
目 次
第 1 章 序 論 1
1 . 1 研 究 の 背 景 1
1 . 2 研 究 目 的 4
1 . 3 研 究 の 内 容 5
第 2 章 地 価 と 土 地 利 用 に 関 す る 既 存 研 究 お よ び 本 研 究 の 位 置 づ け 8
2 . 1 既 存 研 究 8
2 . 1 . 1 バ ブ ル 経 済 期 以 前 の 研 究 8
2 . 1 . 2 バ ブ ル 経 済 期 以 降 の 研 究 12
2 . 1 . 3 2 つ 以 上 の 土 地 利 用 用 途 に 関 す る 研 究 13
2 . 2 本 研 究 の 位 置 づ け 14
第 3 章 徳 島 市 の 地 価 お よ び 地 価 関 連 指 標 の 推 移 16
3 . 1 徳 島 市 の 概 要 16
3 . 2 徳 島 市 に お け る 地 価 の 推 移 21
3 . 2 . 1 徳 島 市 全 域 の 長 期 的 な 地 価 の 推 移 21
3 . 2 . 2 長 期 的 な 地 価 分 布 22
3 . 2 . 3 長 期 的 な 地 価 分 布 と 人 口 、 世 帯 数 の 推 移 24
3 . 2 . 4 近 年 に お け る 土 地 利 用 用 途 別 地 価 の 推 移 27
第 4 章 地 方 都 市 都 心 部 に お け る 住 宅 地 導 入 の 可 能 性 評 価 30
4 . 1 概 説 30
4 . 2 希 望 価 格 の 導 入 31
4 . 2 . 1 土 地 利 用 用 途 と 地 価 形 成 要 因 と の 関 係 31
4 . 2 . 2 土 地 の 正 常 価 格 32
4 . 2 . 3 希 望 価 格 33
4 . 3 希 望 価 格 に 関 す る 意 識 調 査 37
4 . 3 . 1 前 提 条 件 37
4 . 3 . 2 調 査 概 要 38
4 . 3 . 5 意 識 調 査 結 果 の 概 要 45
4 . 4 用 途 別 地 価 関 数 の 推 定 56
4 . 4 . 1 需 要 関 数 ・ 供 給 関 数 の 導 出 56
4 . 4 . 2 地 価 関 数 の 推 定 60
4 . 5 住 宅 地 導 入 の 可 能 性 評 価 69
4 . 5 . 1 用 途 別 実 需 給 者 数 の 推 定 69
4 . 5 . 2 住 宅 地 導 入 の 可 能 性 77
4 . 6 結 語 79
第 5 章 商 ・ 住 用 途 境 界 エ リ ア に お け る 地 価 下 落 の ミ ク ロ 要 因 の 分 析 81
5 . 1 概 説 81
5 . 2 地 価 形 成 要 因 の 考 察 と 商 ・ 住 用 途 境 界 エ リ ア で の 地 価 動 向 に 関 す る 前 提 条 件 82
5 . 2 . 1 地 価 形 成 要 因 に 関 す る 考 察 82
5 . 2 . 2 商 ・ 住 用 途 境 界 エ リ ア で の 地 価 動 向 に 関 す る 前 提 条 件 85
5 . 3 分 析 方 法 90
5 . 4 地 価 関 数 モ デ ル の 構 築 と 乖 離 率 の 算 定 91
5 . 4 . 1 地 価 関 数 モ デ ル の 構 築 91
5 . 4 . 2 乖 離 率 の 算 定 95
5 . 5 地 価 下 落 を 生 じ さ せ る ミ ク ロ 要 因 の 解 明 99
5 . 6 結 語 112
第 6 章 結 論 113
6 . 1 本 研 究 で 得 ら れ た 知 見 113
6 . 2 今 後 の 課 題 と 展 望 117
参 考 文 献 119
付 録 1 〔 第 4 章 4 . 3 希 望 価 格 に 関 す る 意 識 調 査 〕 ア ン ケ ー ト 調 査 票 A , ア ン ケ ー ト 調 査 票 B
付 録 2 〔 第 5 章 5 . 4 . 1 地 価 関 数 モ デ ル の 構 築 〕 重 回 帰 分 析 使 用 デ ー タ
第1章 序 論
1.1 研究の背景
わが 国の多くの地方都市では、人口 の郊外 化が進み、それと相まって、元 々都 心に立地してい た公共施設の郊外移転や、大規模小売 店舗の 郊外立地が顕著に見 られる。図1− 1は地方における現在の地域全体の魅 力度に ついての概要を示し たものである。 この図に示すように、これまで長年に わたっ て公共のインフラ整 備 の た め の 公 共 投 資 と 多 く の 民 間 投 資 が 集 中 し て 行 わ れ て き た 都 心 の 商 業 地 は 現在は衰退し、 休日における賑わいも陰りを見せてい る。そ れに伴い、商店主の 高齢化や後継者 不足により、商店の多くは閉店、撤退 等を余 儀なくされ、土地の 有効活用は停滞 の一途をたどっている。一方で、地価 の安い 郊外部では大規模店 舗の進出等で利 便性が向上した結果、土地の魅力度は 都心部 に比し優位に立って いる。この様に 、過去からの累積投資額が大きく、依 然回収 過程にある都心部は 衰退し、反面、 土地の市場人気が高まり、人口が増え る郊外 部は上下水道や交通 網等のインフラ 需要に対しては十分対応しきれておら ず、イ ンフラ整備に対する 財 政 負 担 増 や 高 齢 者 の 自 力 で の 買 い 物 行 動 が 制 約 さ れ る 等 の 問 題 が 生 じ て き て いるのが現状と いえる。この状況下で、広域的な県単 位とし ての地域全体のバラ ンスのとれた秩 序的都市形成も困難となっているため 、この ままでは地域全体の 経済活動が非効 率となり、活力が益々減退することが 予測さ れる。
しかし、地方都市の 中心部には、河川や丘 陵地とい った、自然環境にふれあう ことができる空間が残されているところも多く、そこ では生 活利便性に加え、潜 在的に良質な居住環境を享受することができる地域性 を有し ている。特に、自力 での外出に制約を持つ高齢者にとっては、都心は良好 な生活 の場となり得る可能 性を十分に有するものと想定される。
このような良好な居 住環境を持つ地方都市 中心部の 活性化にとって、都心居住 の推進は、地方において経済再活性化と高齢社会に対 応する ための都市計画の重 要な課題施策の1つと考えられる。それを実現するに は、地 方都市都心部が、本 来 持 つ 立 地 環 境 を 最 大 限 生 か し た 住 宅 用 地 を 創 出 す る こ と が 求 め ら れ て い る と いえる。
しかしながら、都心 居住の推進にあたって は、地方 都市といえども都心部市街 地が一般に数ヘクタールの規模を有し、それぞれの街 区で交 通条件や環境条件等 の立地条件が異なることから、都心部のどのエリアを 住宅用 地として整備するか そして、ミクロ的にどの様な形態の都心居住地にする かによ って、経済効果が大 きく異なることが予想される。そこで土地の資産価値 を表わ す指標として地価に 着目することで、都心部の住宅地としての潜在的魅力 度を最 大限引き出すことが できるエリアが抽出可能であると考えられる。すなわ ち、地 価は土地に対する魅 力度を示す総合評価値であるから、より高い地価が実 現され ることは、需要者に と っ て 魅 力 度 の 高 い 土 地 と 認 識 さ れ る と 捉 え ら れ 、 逆 に 地 価 が 下 落 す る こ と は 、 魅力度が低下し土地の資質が下がっていることを意味 する。 このことから、地価 の形成要因をコントロールすることで、地域特性に応 じた最 適な土地利用を実現 することが期待できる。これら地方都市都心部のある べき姿 を図1−2に示した。
この図のとおり、都心部の大部分が商業地区としての 土地利 用に供されている現 在、地価は大きく下落している。そこで、都心居住地 区を創 出することで中心部 の魅力度を高めることができた場合、高い地価が実現 できる ことになる。この様 に地価を指標することで、より魅力度の高い都心居住 を実現 することが可能と考 えられる。
図1−2 地方都市 都心部の将来あるべき 姿
そのためには、地域 の特性と地価との関係を十分把 握することが必要となるが、
近年の都心部で は、土地取引件数が激減しており、た とえ取 引が行われたとして も、売り急ぎ等 の特殊事情が介在した結果、時価に比 べて非 常に低い額での取引 が増えている。 こういった現状は、これまで市場価格 を直接 反映してきた取引価 格も、現在では そのまま正常な地価として捉えること は難し くなってきているこ とを示唆してい る。
このことから、都心 部における地価の形成メカニズ ムを十分把握するためには、
取引実例以外の データから、売り急ぎ,買い進み等の 特別な 動機や市場参加への 制約のない状況 での適正な市場価値へアプローチする ことが 必要となる。
一方で、一定期間に おける地価変動についても都市 内では一律ではなく、同一 都 市 内 で あ っ て も 立 地 条 件 が 異 な れ ば 地 価 形 成 要 因 の 違 い か ら 場 所 に よ っ て そ れぞれ異なった 挙動を示す。都市における土地利用用 途別の 種別としては、大き くは商業地と住 宅地に分けられ、実際に地価変動の推 移は、 これまで中・長期的 にみても両者に は明らかに違いが認められる。従って 、土地 種別を土地利用用途 の側面から分類 した場合は、土地の最終需要者層が利 用用途 によって異なること
から、地価の形成メカニズムの把握にあたっては、土 地利用 用途固有の地価形成 要因についての分析のみならず、異なる土地利用用途 が混在 する場合の地価動向 についても把握する必要がある。
以上を踏まえて、大 部分が商業地としての 利用用途 に供されている都心部にお いて、有効性の高い一団の住宅用地整備の形態を探る にあた っては、商業地や住 宅地に加え、これらが隣接する商・住用途境界エリア につい ても実態に基づいた 地 価 動 向 を 十 分 把 握 す る た め の 土 地 需 給 関 係 に 関 す る 科 学 的 実 証 分 析 が 重 要 と なっている。
1.2 研究目的
地方都市において有 効な都心居住を実現す るために は、都心部内の様々な立地 条件の下で、できる限り高い資産価値を持ち、なおか つ隣接 する既成の市街地と と も に 共 存 共 栄 を 果 た す こ と で 将 来 に わ た っ て も そ の 資 産 価 値 を 維 持 で き る 住 宅用地の創出が求められることになる。
そこで本研究では大 きく次に挙げる2つを 目的とす る。
Ⅰ.都心 部への 住宅地導入の可 能 性評価手法の構築
地価の観点から みた可能性評価手法を構築し、これを 徳島市 都心部に適用 し 、 区 分 さ れ た エ リ ア 毎 に 住 宅 用 地 と し て の 評 価 値 を 算 定 す る こ と に よ り 、 都心居住地 の選定を行う。
Ⅱ.商・ 住用途 境界エリアにお け る地価下落のミクロ 要因 の解明
徳島市をケース スタディとして既存商業地と創出され た住宅 地(都心居住 地)とが隣 接する商・住用途境界エリア において も一定の資産価値を維持で きるように するために、地価下落のミク ロ要因に ついての解明を試みる。
この様に、都心部で の住居系土地利用の潜 在需要と 中・長期的な地価形成の動 向について明らかにすることで、都心における住宅用 地の創 出を促し、住宅整備 に結びつけるための計画策定を行うために、必要かつ 有意義 な情報を提供するこ とを目指すものである。
1.3 研究の内容
本 研 究 の 主 た る 内 容 は 、 前 項 研 究 目 的 の Ⅰ 、 Ⅱに 応 じ て 、 次 の よ う に 大 別 さ れる。
Ⅰ.都心 部へ の住宅地導入の 可 能性評価手法の構築……3章
Ⅱ.商・ 住用 途境界エリアに お ける地価下落のミクロ 要 因の解明…4章
本論文の各章の内容 を簡単に記述すると以 下のよう になる。
まず、第2章では、都市における地価や地 代と土地利用に関する既存研究 につ
いて整理した上で、本研究の位置づけおよび意義につ いて述 べる。
第3章では、4章以降の分析においてケーススタディとする徳島市に関し、地 価に関連する一般経済指標のこれまでの推移をまとめ るとと もに、公示地価等を もとにこれまでの地価の推移について分析を併せて行 う。
第4章では、徳島市都心部をケーススタディとして都心部への住宅地導入の可 能性評価について述べる。
4.2では、希望価 格の概念を導入するこ とで、売 り急ぎ等の特殊事情が介在 した取引価格からではなく、市場参加への制約のない 状況下 での適正な市場価格 にアプローチできるとともに、現況利用に基づく地価 だけで なく、希望価格は現 況 と 異 な る 想 定 上 の 利 用 用 途 を 前 提 と し た 地 価 の 基 礎 デ ー タ に な り 得 る こ と を 示す。
4 . 3 で は 、 希 望 価 格 等 に 関 す る 意 識 調 査 を 示 す 。 デ ー タ 精 度 を 高 め る た め、
アンケート被験者の属性を考慮した結果として、2種 類のア ンケート調査票の設 計内容並びに配布方法について説明する。
4.4では、意識調 査で得られた希望価格 データに 基づき、商業地と住宅地の 土 地 利 用 用 途 そ れ ぞ れ に つ い て の 総 需 要 お よ び 総 供 給 に 係 る 用 途 別 地 価 関 数 を 推定する。
4.5で、用途別地 価関数をもとに、商業 地と住宅 地の土地利用用途毎の評価 値を導出することで、住宅地導入の可能性についての 評価手 法を提案する。
次に、第5章では、商・住用途境界 エリアにおけ る地価下落のミクロ要因 につ いて述べる。
ついて考察するとともに、これらが隣接する商・住用 途境界 エリアの土地需要と 地価動向について考察する。
5.3および5.4 では、徳島市をケース スタディ として地価関数モデルを構 築するとともに、当該モデルによる推定地価と実勢地 価との 乖離率を市内の一定 のエリア毎に算定し、中・長期的な実際の地価の推移 や一般 経済指標と併せて整 理する。
5.5で乖離率の特 に大きい地点について 抽出し対 比することで、商・住用途 境界エリアでの地価下落のミクロ要因の解明を試みる 。
以上の分析を通して 、第6章では結論とし て、地 方都市都 心部において住宅地 導 入 を 行 う に あ た っ て 本 研 究 で 得 ら れ た 知 見 並 び に 今 後 の 課 題 と 将 来 の 展 望 に ついて考察する。
以上の研究構成は、 図1−3に示すとおり である。
研究 の背 景・目的・内 容
・ 既 存研 究
・ 本 研究 の位 置づけ
・徳 島市の概要
・徳 島市における 地価の 推移
・ 希 望価格 の導入
・ 希 望価格 に関する意識 調査
・ 用 途別地 価関数の推定
・ 住 宅地導 入の可能性評 価
・ 地 価 形 成 要 因 の 考 察 と 商 ・ 住 用 途 境 界 エ リ ア で の 地 価 動 向 に 関する前提条件
・ 分析 方法
・ 地 価 関 数 モ デ ル の 構 築 と 乖 離 率 の算定
・ 地 価 下 落 を 生 じ さ せ る ミ ク ロ 要 因の解明
付 録1
・ アンケー ト 調査票 A
・ アンケー ト 調査票 B
付 録2
重 回帰分析 使用デ ー タ
・ 本研究 で得られた知 見 ・今後の課題と展 望
図1−3 本研究の構成 第4 章 地方都市都心部に
おけ る住 宅地導入 の可 能性 評価
第1 章 序 論
第2 章 地価と土地利用に関 する 既存研究および本研 究の 位置づけ
第5 章 商・住用途境界 エ リアにおける 地 価下落 のミクロ 要 因の分 析
第6 章 結 論
第 3章 徳島市の地価 およ び地価 関連指標の推 移
第2章 地価と土地利用に関する既存研究および本研究の位置づけ
2.1 既 存 研 究
2.1.1 バブル経済期以前の研究
土地の資産価値を表す指標として大きくは地価と 地代が あげられ、両者は果 実 と 元 本 の 相 互 一 体 の 関 係 に あ る 。 わ が 国 で は 地 価 へ の 関 心 度 が 高 い 一 方 で、
地代については、特 に欧米において活発な 議論が行 われてきた。
古 く は 生 産 物 価 値 と 投 下 労 働 価 値 と の 差 額 が そ の 土 地 の 地 代 を 規 定 す る と したリカード 1)によって確 立された差額地代論を基礎に、チューネン 2)は、空 間概念を導入して地 代を最大化するように 土地利用 が実現されると考え、土地 利用の分布を説明し ている。その後、交通 要因が加 味された土地市場で値付け される地代と土地利 用との関係を理論的に 分析して いる。わが国では山田 3)、 宮尾 4)のほか、小宮 5)が土地面積から留保 需要を差し引いた土地供給曲線 と需 要曲線から、地代の 上昇メカニズムを説明 している 。しかし、地代の実証的研 究は未だ乏しい状況 にある。
一方で、地価に関する研究について、小宮 5)は土地利用 を明示的には扱って いないが、一定量の 土地総量の下で、留保 需要との 差から、需給均衡点として 地価を分析している 。岩田 6)はこれをさら に発展さ せ、効用最大化から土 地需 要を導いている。新 沢・華山 7)は、郊外の 通勤限界 地の宅地化が都市内地 価の 上 昇 原 因 で あ る と し て 、 都 市 の 地 価 を 説 明 し た 。「 都 市 内 で は 交 通 コ ス ト と 地 価の和が一定となる ように地価が決定され る」とす る概念は、空間分布を交通 コストから捉え、土 地需要者の効用最大化 を図ると いう点で、先のリカードの 差額地代論とも通ず る。さらには、伊豆ら 8)の研究をはじめ、昭 和40 年代後半 から地価の実証的分 析が行われるようにな った。こ れらは、空間格差による土 地利用を理論的に解 明しようとするミクロ 的分析と 、総需給均衡によって統計 的に地価水準を解明 するマクロ的分析に大 別できる が、いずれも土地供給は固 定的で需要重視の傾 向にあるといえる。ま た、青山 9),10),11)、廣瀬ら 12)は、投 下資本の流れから地 価高騰の投機行動の理 論的解明 を試みるとともに、地価の 空間波及効果を明ら かにしている。さらに 土井ら 13)は、地 価総額に着目した地 価多段階モデルを提 案し、マクロ的・ミク ロ的両性 格をもつモデルの構築を試 みている。これは実 用性に優れている反面 、地価総 額データについては推定値
さらに大橋 14),15),16)は 、我が国の土地問題に資する土 地利用モデルを開発す るために、土地問題 、土地政策、地価地代 の理論、 土地利用モデルに関する従 来の研究を調査した 。そして、我が国の土 地問題に 適すると思われる土地の需 給均衡に立脚した市 街地モデルを開発し、 土地需要 者の行動のみならず、供給 者の行動も明示化し 、政策によって発生す る便益や 府便益の帰属主体も明らか にする必要があると 指摘した。田代 17),18)は、土地住 宅供給者の行動を資産選択 行動と想定して、都 市内全ての地区のすべ ての不動 産財の同時均衡状態におけ る土地利用形態の理 論的解明を試みるため 、需要者 の効用関数に対数線形効用 関数を特定化するこ とにより、付け値分布 、敷地規 模分布など様々な分布と需 要関数を導出し、そ の性質を検討した。こ れにより 、効用分布という視点から の土地住宅需要者集 団の基本的行動を明ら かにした 。また、土地所有者の行動 を 平 均 分 散 ア プ ロ ー チ に よ る 資 産 選 択 理 論 を 用 い て 表 現 す る こ と を 目 的 と し た研究も行っている 。ここでは、平均・分 散ポート フォリオ理論を都市の空間 分析に適用可能にな ることを示し、土地の 需要およ び供給関数を導き、土地所 有者の資産選択行動 を理論的に検討した。
これら地価動向について、土地利用との関係に言 及した ものを見ると、市街 地拡大局面では、土 地は一般財と同レベル の選択財 として捉えられ、効用最大 化により宅地転用が なされた結果、新たな 土地利用 が実現するという考えを基 に需・給関数を想定 するものが主流であっ たといえ る。この時代に主流であっ た 需 要 関 数 導 出 に 至 る プ ロ セ ス を 既 存 研 究 に 基 づ い て 概 述 し た も の を 図 2 − 1に、供給関数導出 に至るプロセスを概述 したもの を図2−2に示す。
図2−1 主に バブル期 以前に多くみられた
需要関数導出に至る既存研究の主な 流れ
図2−2 主に バブル期 以前に多くみられた
供給関数導出に至る既存研究の主な 流れ
2.1.2 バブル経済期以降の研究
わが国にお いては、地価に関する実証的 研究はバ ブル経済期をピークに減少 する。地価は全国的 下落局面にあって、特 に地方都 市では土地のキャピタルゲ インが期待できない こともあり、都心内の 土地は、 もはや投資財としての金融 資産ではなく、最終 需要者が経済活動を行 うための 資本財としての要素が強く なってきた。このよ うに土地に求められる 機能が、 所有権能から利用権能重視 にシフトしている状 況下では、今後は最終需要者の活動の場とし て、本 来的な、
土地の利用目的を踏 まえた行動実態から、 土地利用 について地価の形成の理論 的解明を行うことが 重要となってきた。そ こで、不 動産価格を資産選択におけ る効用理論に基づき 推定する分析方法から 、社会資 本整備効果が地価に現れる としたヘドニックア プローチにより空間分 布する地 価を、多変量解析手法で推 定する実証分 析が概して多くみられ る傾向が強まってきた 19),20),21)。これは、
近年になって公的な 地価データベースが蓄 積されて きた成果ともいえる。
近年の市街 地縮退化の中で、明石 22),23)は、人 口減 少時代の都市形態がどのよ うに変化するのかを 見極め、既存の都市資 源を有効 に活用しながら、環境負荷 を軽減する都市構造 再編について言及して いる。
この他、松浦 24),25),26),27)らは、大都市部 におけ る社会資本投下が環境に 与え る外部効果と地価に 与える効果を考える必 要性が特 に大きいとして、同一時点 における地点間の地 価の差と同一地点にお ける異時 点間の地価の差が、社会資 本 ス ト ッ ク の 整 備 状 況 の 差 や 環 境 要 因 の 変 化 に よ り ど の よ う な 影 響 を 受 け て いるかを明らかにす るとともに、地価関数 の推計を 元に、具体的な社会資本整 備の例を取り上げ、 それが地域の実情によ りどのよ うに異なる影響を与えるか を試算することで、 社会資本投下の効果を 考察して いる。その結果、地価が土 地の特性,都市計画 規制,アクセシビリテ ィ,社会 資本の整備状況,環境要因 等によって影響され ていることを明らかに した。ま た、その地域の置かれた条 件によって道路整備 の地価に与える影響は 異なるこ とが示された。
愛甲 28),29),30)らはヘドニックア プローチによって、地 方都市に おいて公園緑
地 の 存 在 が 地価 に 与 える 影 響 と 公 園の も つ 具体 的 な 特 性 の 解 明 を 試 み て い る 。 ここでは、公園緑地は地価を上昇させる要因とし て効果 を及ぼしており、具
体的には最寄の公園 が大きいこと,周辺の 緑地率が 高いことが地価を上昇させ る要因となっている ことを明らかにした。 併せて最 寄りの公園の拡張面積と地 価上昇率を地価関数 モデルから推定してい る。
阪の両都市圏に関し て地価関数を適用し、 時間的・ 空間的変動を地価データベ ース化して、地価高 騰が都市圏間あるいは 都市圏内 で時間的に如何に波及した かを視覚的に検討し ている。その結果、東 京圏と大 阪圏の地価形成機構の間に はおよそ 2〜3 年の時間差 があったこと、単一の都市圏内では都心部から 郊外 へ向かって時間的な 遅れを伴って波及した ことなど 、一般的認識と一致する現 象が観察されている 。
以上、バブル経済 期以降の地価下落局面 の下で、 都市においての地価をヘド ニック分析により計 量的に推定するモデル が多く研 究されている。バブル経済 期以降の不動産市場 では、投機目的の取引 より、そ の土地自体の収益性や快適 性を重視した取引が 多くを占めることとな り、この ことが土地本来の適正な資 産価値を表わした地 価推定の背景にあった ものと考 えられる。
2.1.3 2つ以上の土地利用用途に関する研究
バブル経済期の前 後にかかわらず、地価 関数モデ ルの多くが、商業地や住宅 地等様々な土地利用 用途のうち、どれか単 一の土地 種別について論じられてい るのに対し、2つ以 上の土地利用用途の混 在するケ ースを対象とした地価動向 についての研究は稀 少といえる。しかし、 特にバブ ル経済期以降の研究の中に あって、多用途の利 用に供された土地等に ついての 研究が若干見られる。
石川 33),34),35),36),37)らは 首都 圏と地方都市を対象として、都市のコンパク ト化
に 関 わ る 重 要 な 要 素 で あ る 用 途 混 合 に つ い て 利 便 施 設 の 住 宅 地 へ の 混 在 に 関 す る 心 理 的 評 価 と い う 視 点 か ら そ の 特 徴 を 順 序 ロ ジ ッ ト 分 析 等 に よ り 明 ら か にした。そこでは、用途の混合を計画的に進 めるにあたっては、その受容性を、
居 住 者 の 価 値 観 と い う 心 理 的 側 面 を 考 慮 に 入 れ な が ら 判 断 す る こ と の 重 要 性 を示している。同時 に、利便性の面での居 住満足度 が高い者ほど、用途混在へ の許容度が高いこと も明らかとなった。そ の結果、 コンパクトシティ化および 機 能 の 集 中 化 を 、「 生 活 利 便 性 の 向 上 」 と い う 視 点 か ら の み 進 め る こ と は 、 居 住者の心理的抵抗を 受ける可能性があるこ とを明ら かにした。また、利便性を 積極的に評価する居 住者はこれらの用途の 混在を許 容し、他方、利便性を重視 しない居住者は居住 環境の保護を優先する という、 二つの相反する傾向も捉え ている。更には、教 育環境を重視する居住 者は、児 童施設や保育所の混在を許 容し、鉄道駅の混在 を臨まない傾向にある 他、居住 年数の長い人ほど(あるい は年齢が高いほど) 老人福祉施設に対する 混在許容 度が高い点を明らかにした。
を当て、ヘドニック アプローチを用いて、 住宅と工 業系用途との混在が地価に 与える影響について 考察している。その結 果、商業 施設と住宅との混在は地価 を上昇させる効果が ある一方で、工業系用 途と住宅 との混在については、住宅 との混在が地価を下 落させる効果があるこ とに加え 、工業系用途の集積の利益 は存在するが、住宅 が一定程度集積してい る場合に はその集積の利益は混在に よる外部不経済で相 殺され、地価を下落さ せる可能 性があることを明らかにし ている。同時に、現 状の工業系用途地域に おける用 途に関する立地規制内容が 効率的な土地利用を 実現していない可能性 も示唆し ている。
これらのほか、混在地そのもの を対象と はして いないが、渡部 41)は幹線道沿 線の商業地と幹線道 路背後の住宅地につい て、従来 では商業地の地価より住宅 地の地価が上回るケ ースを取り上げ、この 事例から 、商業地,住宅地それぞれ の地価形成要因につ いて考察するとともに 、両者の 長期的な地価変動の違いに ついても言及してい る。さらには、中心商 業地が衰 退し、商業街の中に空き店 舗が増えることで店 舗の連たん性が弱まり 、これが 商業地の魅力を喪失させる ことでさらなる空き 店舗が増加する悪循環 に陥るこ とを予想し、これら商業集 積 地 が 衰 退 す る こ と で 稼 働 店 舗 と 空 き 店 舗 と の 混 在 す る プ ロ セ ス の 特 徴 を 明 らかにすることを試 みている。ここでは、 商業集積 地における業種別の店舗数 動向を全国的な統計 から把握し、分析対象 地区にお ける衰退過程の特徴を抽出 し、全国傾向との比較を 行う。Spacing法の 1次元理論モデル を用いて 、撤 退店 および業種別店舗の 空間分布の変化を把握 している 。この結果を踏まえて業種 間の隣接性向を把握 するとともに、業種特 性と店舗 廃業との関連性を分析して いる。42)
以上より、今後もヘドニックアプローチ は都市の 地価動向把握にとって主た る分析方法となるも のと考えられるが、都 市全体の 資産価値を高め、魅力度向 上を図るための基礎 データとするため、特 に多種に わたる利用用途の土地の集 合体からなる都市内 では、各用途の地価形 成要因毎 に細分化するとともに、複 数の異なる利用用途 の地価形成要因間の相 互作用を 把握していくことが、今後 重要な課題となるも のと考える。
2.2 本研究の位置づけ
ルの構築を主な 原因としたものである。一方で、都心 居住に 関する研究は、主に 効用関数等を用 いること等で居住の有意性が論じられ てきた 。
本研究では、都心居 住の可能性評価手法の構築と、 周辺既成商業街区との関係 に お い て 好 ま し い 都 心 居 住 地 形 態 の 解 明 に つ い て 地 価 を 導 入 し た こ と に 位 置 づ けられる。これ によって、これら地価と都心居住化の 論点要 素を併せ持つ内容と なっている。
具体的には、本研究 では「希望価格」の概念を導入 したことが特徴の一つとし て挙げられる。 これまでの多くの研究が、実際の地価 を基礎 データとして用いて いるのに対し、 ここでは都心部が住宅地としての利用 が行わ れる場合の想定上の 地価をアンケー ト調査で希望価格として得た回答結果 をもと に分析している。
この希望価格は、売 り希望価格と買い希望価格とい う限界的な価格を問うたも の で あ り 、 こ れ に よ っ て 、 総 需 要 ・ 総 供 給 関 数 を 推 定 す る こ と が で き る 。 ま た 、 希望価格は商業 地と住宅地それぞれについてデータが 得られ 、両者を比較するこ とで都心居住の 可能性を評価することが可能となる。
さらには、実際に都 心居住政策が実行される場合、 都心居住地としての候補地 の選択後、新た な都心居住地と既成商業街との隣接地 で想定 される問題点を地価 形成に関するミ クロ的要因の側面から分析している。 既存研 究では、商業地と住 宅地の土地利用 用途の種別が純化した地域に限定され るもの は多いが、両者の種 別を併せ持った 、いわゆる商・住混在地についてのも のは極 めて少なく、地方都 市での用途混在 地に対する土地利用動向の分析の試み は、本 研究のもう一つの特 徴といえる。図 2−3には、都心部におけるまちづく りの課 題と本研究で対象と する課題を示す 。
これらによって、都 心居住について、より政策的・ 実践的要素を有する研究内 容とすることが 可能となった。
第3章 徳島市の地価および地価関連指標の推移
3.1 徳島市の概要
徳島市は徳島県 の東部臨海部のほぼ中央に位置し、吉 野川と その支流によっ てできた 沖積平野の三角州に発達 した地方中心都市である。総面 積は 191.58 平方㎞で あり、温暖な気候と肥沃な土地に恵ま れた当市は、従来より交通の要 衝で、産 業をはじめ、政治、経済 、文化、教育、情報が集積する 県都である。
大鳴門橋 が昭和 60 年 、明石 海峡大橋が平成 10 年に完成し、神戸淡路鳴門自動 車道が全 線供用開始(平成 10 年 )され、当市内には南北に縦断 する国 道 11 号、55 号、東西に 192 号が整備されている。市の中 心部でこれら国道が交差 すること から起こる渋滞緩和のために、都市型環状道 路となる徳島外環状道路 を現在整 備中である。
これまでは隣接 する小松島市および 6 町 1 村、さらに古くは徳島県 全域をも 商圏とし て中心商業街が形成され てきた。「そごう徳 島店」が JR 徳島駅前に 1983 年に開店、1993 年に JR 徳島 駅ビル「徳島クレメントプラザ 」が完 成し、
商業中心 が東新町商店街から徳島駅前へ と移動 した。近年においては高速道路 網の整備 により徳島市が京阪神の商圏に 包含さ れつつあることや、休日の郊外 型大型商 業施設の集客率向上等に より、既成商業街の収益力は低 下している。
中心市街 地活性化策として、とくしまマルシェ(月 1 回)「マチ☆アソビ」(年 数回)が開催され、人気のイベントとして定着 しつつある。ま た、西新町の再 開発事業 は一時中断していたが、新町西地区市 街地再開発組合について、平成 26 年 8 月 25 日 に設立認可され、新町西地区第 一種市街地再開発事業の施行地 区および 設計概要の縦覧が始まった。
(1)人 口
明治 22 年 10 月 1日市町村制施 行時の徳 島市の 人口は60,861 人で、こ れは当時全国10 位であった。以降 昭和42年最終合併 が行われ 221,608人
(昭和 43年 12月 31日、推計人口)となる。平成 10年に 270,436人(平 成10 年12月 31日、推計人口 )とピークを迎えたが 、平成 21年 12月31 日現在で264,586人(推計人口)と−0.02〜−0.41%(年間)程度減少 を続 けている。図3−1が表すよう に人口 減少と世帯数の増加は顕著であ り、
平成 22 年 6月 1 日現在で 112,075世帯と明治 22 年市制当時 (14,607世 7.7
図3−1 徳島市住民基本台帳人口・世帯数の推移 (8月1 日現在)
また、表3−1将来の市町村 別人口および指数に示すとおり、今後も人 口減少は留まる ことなく継続するものと予測される。 一方で表3−2徳島 市人口増減の推 移および図3−2 徳島市人口増減イ ンデック スをみると 65歳以上の老年人口は、 平成 20年の 22.5%から 26.2%(平成 26年)に 増加し、今後も 漸次増加が見込まれる。
表3−1 将来の市町村別人口および指数 (2010 年=100 とした場合)
高齢化と核家族化、少子化による老年世帯の増加も 近年では 顕著となっ ており、周辺部 の過疎地域のみならず徳島市都心部で も人口減 少と高齢化 が進行している ことがわかる。
表3−2 徳島市人口増減の推移
図3−2 徳島市人 口増減インデックス
(2)道路・交 通の状況
当市内中心部では南北に縦断する国道 11号、55 号、438号、東西に192 号が交差するこ とから起こる渋滞緩和のために、都市 型環状道 路となる徳 島外環状道路を 現在整備中である。そのうち西環状線 について は一部供用 が開始されてい る。南環状道路(国土交通省直轄)は 調査設計 ・用地買収
項目/年月 H2 0 .1 0 H21.10 H22.10 H23.10 H24.10 H 2 5 .1 0 H26.1 H26.4 H26.7 H2 6 .10 総人口 26 5 ,2 7 5 264,607 264,548 263,913 263,464 2 6 2 ,6 1 1 262,498 261,729 261,888 2 6 1 ,8 4 7
総人口id 1 00.0 99.7 99.7 99.5 99.3 99.0 99.0 98.7 98.7 9 8.7
生産年齢人口 17 1 ,2 9 7 169,493 164,930 164,343 161,897 1 5 8 ,7 6 9 158,173 156,893 156,647 1 5 6 ,0 8 1
生産年齢人口id 1 00.0 98.9 96.3 95.9 94.5 92.7 92.3 91.6 91.4 9 1.1
老年人口 5 9 ,7 1 5 61,221 61,457 61,677 63,754 6 6 ,4 4 5 66,959 67,693 68,133 6 8 ,6 3 5
老年人口id 1 00.0 102.5 102.9 103.3 106.8 111.3 112.1 113.4 114.1 11 4.9
高齢化率 2 2 .5 % 23.1% 23.2% 23.4% 24.2% 2 5.3 % 25.5% 25.9% 26.0% 2 6 .2 %
高齢化率変動(H20-H25): 2.8 % 人口変動(H21.10-H26.10): - 1 .0 %
を推進中である 。徳島東環状線のうち、阿波しらさぎ 大橋を含 む徳島市川 内町平石の徳島 総合流通センターから徳島市住吉の市 道常三島 沖洲線まで
の約 3.7kmが完成し、4月25 日に供用 開始。末広住 吉工区の一部が平成
27年 3月20日に開通した。都市計画道路 は東吉 野北沖洲線が平成 20年 3 月に供用開始と なり現在は2路線(昭和町大道線、住吉万代園瀬橋線 )の 整備推進中であ る。
主 な 公 共 交通 施設 は 、鉄 道 、バ スで ある 。 鉄道 で は徳 島駅 を中 心に JR 高徳線(高松方面 ),徳島線(池田方面),牟岐線(海部方面)、以南を阿佐 海岸鉄道が甲浦 (高知県)まで連絡するが路線が限ら れている ため、自家 用車に頼るとこ ろが大きい。バスは徳島市バスおよび 徳島バス が運行して おり、徳島市バ スは競争激化による貸切りバス事業の 撤退を余 儀なくされ ている。その他 、神戸淡路鳴門自動車道,四国縦貫自 動車道( 徳島道,高 松道)の整備に より、京阪神,四国他県等への移動は 高速バス 利用が主流 となっている。 明石海峡大橋並びに大鳴門橋の料金値 下げの影 響により、
一般自家用車の 利用が増加し、高速バス路線、フェリ ーの一部 廃止および 運航の見直し等 も行われている。
(3)経済の概 況
欧州での景気低迷や軟調な中国経済等、海外景気の 下振れが 、引き続き 景気を下押しす るリスクが若干残っているものの我が 国の経済 状況には持 ち直しの兆しが みられ、先行きについては輸出環境の 改善や経 済対策、金 融政策の効果や マインドの改善などを背景に、次第に 景気回復 へ向かうこ とが期待される 。
このことは図3−3消費者物価 指数の 推移に示 されるように平成 27 年初 より消費者物価 指数が高留まりに安定推移しているこ とにも表 れている。
企業の業況判断 は上昇傾向にあり、図3−4 平成 24 年度徳島県市町村 民経済計算推計 結果では徳島市の総生産は平成 21 年より上昇 に転じ てお り、雇用情勢は 依然として厳しさが残るものの、この ところ改 善の動きが みられる。45)
図3−4 平成 24 年度徳島 県市町村 民経済計算推計結果
全国的な物価の動向を総合してみるとこれまでのデ フレ状況 が一部変化 しつつあり、個人消費も持ち直 している。ICT関連企業の誘致 に係る 補助 制度の拡大等に より徳島市にも平成22年・23年に新規雇用 100名前後の コールセンター が 2 社操業してい る。平 成 24 年 9月にはサテライト オフ ィスが開設され る。
(4)新設住宅着工 戸数 46)
徳島県での住宅建設は消費税増税前の駆け込み需要 もあり、昨年(2014 年)は前年度比10.9%減の 4,023戸となった。また、同年 7月は持家での 駆け込み需要の 反動減が大きく前年比 2.6%減の 332 戸となっている。全 国的にも住宅取 得マインドの改善や、投資環境の持ち 直し、消 費税引き上 げを見据えた駆 け込み需要、東北3県の着工増加など が着工要 因を下支え ているものとし て挙げられる。
徳島市につい ては新設住宅戸数の推移はここ数年の 景気の停 滞により、
年間1,500戸前後で推移 してきた が平成25年は4,516戸まで戻してい る。
今後は雇用・所得環境の動向 や個人消費意欲が増減に影響するものと考 え ら れ る 。 戸 建 マ ン シ ョ ン に つ い て は 平 成 25 年 2,002 件 ( 対 前 年 比 +
42.3%)と大幅に増 加してい る。図3−5徳島市新 設住宅着工戸数 増減
推移・対前年同 期比の比較に示されたグラフでは消費 税増税前 の駆け込み 需要が主な要因 と考えられるが、増税後の平成 26 年 4 月以降の着工 件数 も昨年とほぼ同 程度に推移している。近年人気の文教 地区であ る助任、前 川、田宮地区で のマンション建設が行われており、い ずれもほ ぼ完売であ る。また、小規 模分譲は特に中心市街地近傍の佐古、 住吉、北 田宮地区等 で堅調である。46)
図3−5 徳島市新 設住宅着工戸数 増減 推移・ 対前年同 期比の比較
3.2 徳島市における地価の推移
3.2.1 徳島市全域の長期的な地価の推移
徳島市全域 の昭和 60 年から平成 24年までの 27 年間の推移につ いて、 公示 価格を基に商業地, 住宅地,工業地等各土地種別毎 に図3−6に示す。こ れに よれば、平成 2 年にバブル経済 が崩壊 した後も 徳島市では地価は上昇 を続け、
商業地では平 成 4 年頃をピー クに、住 宅地では平成 11 年頃をピークに、下落 に転じている。その 後平成 17 年頃まで、商業地, 住宅地とも下落率が拡大し ていた。平成 18 年頃からよ うやく下落率は縮小傾向を示し、現在に至る。た だし、最近は局所的 ではあるが都心部周辺の住宅地 について約 1%前後の 上昇 地点も見受けられる 状況である。47)
図3−6 徳島市の地価公示価格等の推移 (S60〜H24)
3.2.2 長期的な地価分布
徳島市都心 部のバブル経済崩壊後の平成2年から平成24年の22年間にかけ ての地価分布の推移 について、凡例に示す価格帯により色分けし、図3−7(1),
(2)に示す。これ によると 、バブル経済崩壊後も都心部では高位な地価が広 がっていることがわ かる(平成 7年)。平 成12 年には都心でもJR徳島駅前の 近傍周辺の地価の高 位なエリアのみを残し、地価が 外縁部から大きく下落して いるものと捉えられ る。都心部のうち商業地として 機能している地区は、依然 一定の地価水準は維 持されている一方で、都心外縁 部では、ここ 20 年間にお いて店舗閉鎖が目立 ち、空店舗若しくは空地等とな っている。この状況におい ては商業街として、 もはや健全な収益性が期待でき た商業地としての機能が失 われてしまうととも に、住宅地としての環境も都心 部周辺の閑静な住宅街に比 し劣るため、事業者 層と居住者層いずれの需要も見 込めない。その結果、都心 部のある程度の収益 力を保っている商業地よりも地 価は下がることとなる。ま た、この様な地区に おいては、市全体の地価が下落 する中、相当な割安感が生 じるまで地価は大き く下落することが予測される。
図3−7( 1) 徳 島市都心部の地価分布 の推移
図3−7( 2)徳島市都心部の地価分布の 推移
3.2.3 長期的な地価分布と人口、世帯数の推移
徳島市都心 部において細分化したエリア 毎の人口 ・世帯数の推移分布を前記 3.2.1の地価分 布と併せて図3−8〜 図3−1 0に示す。
これによれ ば、世帯数についてはほぼ横 ばいであ るのに対し、地価の推移に 合わせ人口の減少が 顕著に見受けられ、地 価と人口 の相関関係が特に強いこと が認められる。
年 地価分布 年 地価分布
H2 H7
H12 H17
H22 凡
例
図3−8 徳島市都心部の地価分布の推移
年 人 口 年 人 口
H2 H7
H12 H17
H22 凡例
人/ k㎡
図3−9 徳島 市都心部 の人口の推移
年 世帯数 年 世帯数
H2 H7
H12 H17
H22 凡例
世 帯/k ㎡ 図3−10 徳島市都心部の世帯数の推移
3.2.4 近年における土地利用用途別地価の推移 48)49)
(1)住宅地
図 3 − 1 1 に地 価 水 準 下 落 率 の 推 移 ( 住 宅 地 ) を 示 す 。 こ れ を み る と 、 市 街 地 中 心 部 付 近 や 利 便 性 の 高 い 周 辺 地 域 に お い て は 期 の 前 半 は 後 半 に 比し地価水準下 落の縮小幅が大きくなっている。アベ ノミク ス・金融緩和 政策等の効果に よる雇用情勢の改善、インフレへの移 行、個 人消費の回復
図 3 −11 地価水準下落率の推移 (住宅地 )
(2 )商業地
図3−12に地価水準下落率 の推移(商業地)を示す。
図3−12 地 価水準下 落率の推移(商業地)
これをみると主要な 商圏は隣接する小松島 市および 6町1村、さらに 古く は徳島県全域をも商圏として中心商業街が発達してき たが、近年において は高速道路網の整備により徳島市が京阪神の商圏に包 含されつつあること や、休日の郊外型大型商業施設の集客率向上等により 、既成商業街の収益 力は低下している。また、高速道路料金の値下げによ り消費者の京阪神方 面への流出は顕 著になっている。1990年頃より商業中 心が東新 町商店 街か
ら徳島駅前へと移動し 、「そごう徳島店」が JR徳島駅前に 1983 年に開店、
1993 年に JR 徳島駅ビル「徳島クレメントプラザ」が 完成し 、1995 年東 新町商店街の老舗百貨店であった「丸 新」が閉店する 。さら に、2000年ご ろより、県外に本店を持つ大型商業施設の進出が相次 いで行われるように なり、隣接する北島町にはシネマ・コンプレックスを 含む郊外型大型商業 施設が 2001 年に出店する。その影響により、徳島市 内の映 画館を併設し た「ダイエー徳島店」「徳島東宝」が 2005年に、「徳島ホ ール」が 2006年 に相次いで閉館し、全国で唯一、映画館を持たない県 庁所在地となる。さ らに市内において比較的大型の規模を有するスーパー マーケットであった
「サティ」が 2007 年に、「ジ ャスコ」も 2009年 2月に閉店、市中心部東 新町商店街での小売店舗閉店も相次ぎ、2010年4月には、県内第1号店と して 30 年余り営業してきたハ ンバーガーチェーン大 手の日 本マクド ナル ド徳島店も閉鎖となった。一方で地域活性化を図るた め東新町商店街と徳 島、徳 島文理、四国 の3大学 、市の産学官 が連携し 、2010年 6月より中心 市街地活性化を目的として東新町の商店街にある空き 店舗を、大学の授業 やサークル活動に活用する市の「ま ちなか キャンパス( 略称・まちキャン)」
を開始したところである。JR 徳島駅前の 徳島CITYビル、旧 ラスタビルが 取り壊されアミコビル、クレメントビル内でも閉店、 空き店舗状態が見ら れる。郊外の大型商業施設へと商圏の移動は顕著であ るものの、進学塾等 収益性の高い業 者が入居している。又 、CITY ビル跡地には 全国にチェー ン展開するホテルが建設中で1階には高速バスチケッ トセンターが開設さ れる。市内路線商業地域では沖浜地区・川内地区で自 動車ディーラーが出 店する等、需要回復の兆候が見られる。
徳島駅から国道192号沿線八百屋町周辺並びに県庁 周辺中洲町〜かちど き橋に至る国道 55 号沿線でのオ フィス 賃料は約 10,000 円〜12,000 円/坪 程度で新規供給 も少ないため、賃料水準・空室率は共 に横ば い傾向。
富田浜に敷地面積2,338.30 ㎡鉄骨鉄筋コ ンクリ ート造10階建の徳島銀 行新本店ビル竣 工、本部機能および本店営業部移転。 新たな オフィス需要 が喚起されると 期待される。
地価水準は平成 24 年以降は各用途とも下げ幅を縮 小して推移している ことがわかる。
第4章 地方都市都心部における住宅地導入の可能性評価
4.1 概 説
地方都市都 心部への 住宅地導入を図るにあたっては 、理論 的根拠に基づいた合 理的な情報を提供することで合意形成を円滑に促進す る必要 がある。都心居住整 備にあたっては、まず、面的に広がる都心部市街地の うち、 どのエリアを住宅用 地として整備するのかを選定する必要がある。そこで 、土地 に対する魅力度を示 す総合評価値である地価を指標とすることで、計量的 分析手 法を構築することは 重要である。
本章では都心におけ る住宅用地の創出を促 し、住宅 整備に結びつけるための整 備 計 画 を 策 定 す る 上 で 必 要 か つ 有 意 義 な 計 画 情 報 を 得 る た め に 以 下 の 点 を 明 ら かにする。
まず、本研究の特徴 の1つとして、希望価 格の概念 を導入する。希望価格の導 入にあたっては、はじめに土地利用用途と地価形成要 因との 関係について考察す る。次に、不動産市場での市場価値を表わす適正価格 である 正常価格について取 り上げるとともに、実際の取引実例価格と比較して正 常価格 を把握することは容 易ではない実情から、希望価格の地価把握手段として の有用 性を考察する。
次に、都心部におい ては商業地としての土 地利用が 卓越しているが、売り希望 価格並びに商業地としての買い希望価格、そして住宅 地とし ての買い希望価格を 意識アンケート調査によって明らかにする。
そして、得られた希 望価格データを基に、 地価関数 として、徳島市をケースス タディとして土地需要関数並びに土地供給関数をそれ ぞれ構 築する。同時に、土 地需要に関する意識調査について集計・分析を行う。
以 上 の 情 報 を 基 に 、 現 在 の 地 方 都 市 の 中 心 商 業 地 区 を 居 住 地 と 捉 え た 場 合 に、
新たに創出可能な実需要量並びに実供給量の把握を試 みる。 これらに基づき、都 心居住地に対する評価値を算出する。これと前章で分 析した 徳島市における社会 経済指標や市中心市街地の地価分析およびこれまでの 地価動 向と併せて、都心部 に居住することの効果を明確にし、まちづくりの社会 的コン センサスを得るため の情報をまとめる。
4.2 希望価格の導入
4.2.1 土地利用用途と地価形成要因との関係
地価は多数 の要因の相互作用の結果、形成 される ものであるが(以下、これ ら の 要 因 を 地 価 形 成 要 因 と い う )、 こ れ ら 要 因 は 一 般 的 に は 商 業 地 や 住 宅 地 な ど土地の利用用途種 別によって構成内容が異なると ともに、要因の1つ1つが 地価に及ぼす影響力 が異なるとされている。図4− 1は土地の利用用途と地価 形 成 要 因 と の 関 係 に つ き 都 心 部 と 周 辺 住 宅 街 の エ リ ア に つ い て の 仮 説 を 示 し たものである。ここ では都心部等では現況利用用途 のほとんどが商業地として 利用されていること を示している。その結果、商業 地として利用する事業者等 の 需 要 層 に よ っ て 商 業 地 の 地 価 形 成 要 因 を 前 提 に 判 断 さ れ た 商 業 地 と し て の 実勢価格が実現され ているものと推定される。一方 で、住宅地としては利用さ れていない為、居住 者需要層は基本的には市場に参 加しないことから、住宅地 としての地価形成は 現実には行われず、潜在化して いるものと考えられる。図 4 − 2 に は 都 心 部 と 郊 外 に つ い て の 土 地 利 用 用 途 と 地 価 形 成 要 因 と の 関 係 に ついての仮説を示す 。このことは、都心部に限らず 、その近傍周辺や郊外に至 るまで同様と推察さ れる。
以上の様に、実勢価格が現在実際に行われ ている 利用用途を前提として形成 されているならば、 現在と異なる潜在的な土地利用 用途を想定し、その用途に 基づく地価形成要因 が新たな需要者に十分認識され た場合は、現在とは異なっ た地価が実現される 可能性があるものと考えられる 。
図4−1 土地 利用用途と地価形成要因との関係(仮 説)
図4−2 土地 利用用途と地価形成要因との関係(仮 説)
― 都心部と郊外 ―
4.2.2 土地の正常価格
土地の正常 価格とは、市場性を有する不 動産につ いて、現状の社会経済情勢 の 下 で 合 理 的 と 考 え ら れ る 条 件 を 満 た す 市 場 で 形 成 さ れ る で あ ろ う 市 場 価 値 を表示する適正な価 格をいう。実際には、 周辺の取 引価格を基にした「いわゆ る実勢価格」を正常 価格として把握してい るのが実 態である。48),49)
しかし、特 に都心部の主な用途種別であ る商業地 取引は稀少である他、実際 の取引には恣意的事 情もかなり含む場合も 多く、取 引当事者の考える純粋な希 望価格は実際の取引 価格からは推定が困難 であるの が実情といえる。また、取 引価格は買い手(需 要者)の利用用途目的 は不明で ある。この様に、取引価格 は 現 実 に 取 引 が 行 わ れ た と い う 点 か ら 一 定 の 規 範 性 を 有 す る 価 格 と い え る 反 面、取引価格それ自 体が即正常価格を表わ している とは限らない他、一定期間 を経過してはじめて 購入者が当初予定して いた利用 用途が判明する等、得られ る情報が限定的な面 も有している。
図4−3に 土地の正常価格の意義と実際 の土地取 引価格との関係を示す。こ の 図 は 実 際 の 不 動 産 市 場 で は 取 引 当 事 者 の 様 々 な 事 情 や 保 有 情 報 の 偏 り 等 が 有する中で売買取引 が行われているのが実 情である が、あくまでこれら実際の 取引価格を踏まえた 上で、正常価格が把握 されてい ることを表わすものである。
現況利用用途 住 宅 地 商 業 地 住 宅 地 その他
種 別 住 宅 地 商 業 地 住 宅 地 その他 種 別
主 な 需要者層
地 価 形 成 要 因
商 業 地 としての 要 因
(※1)
× ○ × × × ○ × × 事業者需要層
住 宅 地 としての 要 因
(※2)
○ × ○ × ○ × ○ × 居住者需要層
そ の 他 種 別 の 要 因
(※3)
× × × ○ × × × ○
その他の 需要者層 農業従事者 etc
※1 商業地としての要因: 交通量,繁華性,駐車場 ・・・etc 主に収益性要因
※2 住宅地としての要因:学校との距離,日照・景観,画地配置・・・etc 主に快適性要因
※3 その他種別の要因:農地等に係る要因
周辺住宅街 都心部 周辺住宅街 郊外住宅街 郊外型店舗 郊外住宅街
図4−3 土地 の正常価格の意義と実際の土地取引価 格との 関係
4.2.3 希 望 価 格
そこで本章 では、希望価 格の概念を導入する。具体的には、土地の供給者(主 に 土 地 所 有 者 ) の 考 え る 売 り 希 望 価 格 と 土 地 の 需 要 者 ( 主 に 土 地 利 用 予 定 者 ) の考える買い希望価 格を設定する。
ここでは図 4−4に示すように買い希望価 格と売 り希望価格を定義する。
図4−4 買い希望価格と売り希望価格の定義
需要者(主に土地利用予定者)がこの金額なら購入しても よいと考える最高価格
買い希望価格
供給者(主に土地所有者)がこの金額なら売却してもよい と考える最低価格
売り希望価格
すなわち、 買い希望価格とは、需要者(主 に土地 利用予定者)がこの金額な ら購入してもよいと 考える最高価格と定義する。し たがって、最終購入価格は すべての需要者が示 した買い希望価格の最高額以下 で決定される。一方で、売 り希望価格とは、供 給者(主に土地所有者)がこの 金額なら売却してもよいと 考える最低価格と定 義する。この場合、最終売却価 格はすべての供給者が示し た売り希望価格の最 低額以上で決定される。
更には、図 4−5に示すとおり、土地の買 い希望 価格を、住宅地と商業地用 途に区分する。
図4−5 土地利用用途別の希望価格
もし、需要 者の買い希望価格が、商業地よ りも住 宅地の方が高く、かつ供給 者が商業地として保 有している土地の売り希望価格 を上回る場合は、住宅地と しての利用が促進さ れると考えられる。この関係を 図4−6に示す。現在、都 心部で商業地として 利用されている場合、将来も商 業地利用されることを前提 に地価が決定されて いるが、もし良質な住宅地とし ての条件が保証される場合 には、住宅地として の需要が発生し、現在とは異な る地価が顕在化すると考え られる。
また、土地 の売り希望価格については、供 給者が 売却後の土地利用には無関 心であることから、 用途別区分は考慮しないものと する。
図4−6 住宅 地利用される場合の希望価格の関係
こ れ ら 希 望 価 格 と 実 際 の 取 引 価 格 を 比 較 し た 場 合 、 考 え ら れ る 主 な メ リ ッ ト・デメリットを表 4−1に示す。
表4−1 希望価格の主なメリット・デ メリット
メリ ット デ メリット
実際 の取 引価格と異なり、売 り急 ぎや 買い 進み等、取引当事者 間の 不 正 常 な 特 殊 な 事 情 が 介 在 し に くく 、土地の 正常価格に沿っ た理 論値 が得 られ易い。
売 買 取 引 の 少 な い 都 心 部 の 土 地 の 市 場 価 格 情 報 が 取 引 価 格 に 頼 るこ とな く得られる。
現状 のみ ならず、現状と異な る環 境 を 前 提 と し た 土 地 利 用 用 途 に つ い て の 価 格 情 報 も 得 ら れ る た め、整備計画 のための様々な ケー スス タデ ィが可能となる。
希 望 価 格 は 限 界 価 格 と し て の 性 格を 有す るため、総需要,総 供給 関 数 を 推 定 す る た め の 基 礎 デ ー タと する ことができる。結 果、市 場 実 態 を 反 映 し た 精 度 の 高 い 土 地 の 需 要 行 動 定 式 化 が 可 能 と な る。
売 主 は 経 験 し た 過 去 の 地 価 相 場 の うち最大値を基に、売り 希望価 格 をより高く判断し、一方 、買主 は こ れ ま で 下 落 し て き た 現 在 か ら 更に将来を予測し、買い 希望価 格 を よ り 低 く 判 断 す る 傾 向 が 強 い と考えられる。
売 り 希 望 価 格 は 都 心 部 の 土 地 所 有 者 以 外 の 回 答 価 格 の 信 頼 性 は 低 く、また、商 業地 として の買い 希 望 価 格 に つ い て も 土 地 所 有 者 又 は 事 業 経 験 者 以 外 の 回 答 価 格 の 信頼度は低い。従って、一般住 民 の 希 望 価 格 が 混 在 す る と 分 析 精 度 の 規 範 性 が 劣 る 可 能 性 が あ る 。
売 り 希 望 価 格 お よ び 商 業 地 と し て の買い希望価格につ いて は、主 に 都 心 部 の 土 地 所 有 者 や 事 業 経 験 者 へ ア ン ケ ー ト を 配 布 す る 必 要 があり、任 意 配布 のアン ケート に 比し、配布 先 を選 定する 際に手 間 を要する他、一定 以上の 回答数 も 得られにくい。
本研究では 、希望価格のメリットを最大 限利用す るとともに、デメリットを 極力抑えた上で、売り希望価 格,買い希望価格を、調査・分析する ことで 、各々 の土地や、それらが まとまった地域の特性 を総合的 に表す地価の側面から、効 率的な住宅地の創出 方法を提案する。
4.3 希望価格に関する意識調査
4.3.1 前 提 条 件
徳 島 市 都 心 部 を 対 象 と し た 土 地 の 需 要 と 供 給 に 関 す る 実 態 を 把 握 す る と と もに、土地の供給関 数および需要関数を推 定するこ とを目的として、主に土地 の売り希望価格、買 い希望 価格を中心とした意識 調査を平成 24年 8月〜10月 に行った。調査にあ たっては、次のa)〜d)の前提条 件を設定 した。
a) 徳 島 市 都 心 部 を 街 路 , 交 通 , 環 境 , 行 政 的 条 件 等 の 地 域 特 性 が 概 ね 類 似 し、一定の実勢 価格水準帯を 示すエリア毎にゾーニン グを行 うこととする。
土 地 は 、 一 筆 ま た は 一 画 地 ご と に 、 使 用 者 の 意 図 に よ っ て 利 用 さ れ る が 、 同時にこれら個 々の土地が周囲の土地とともに集合体 となる ことで、社会 的・経済的に同質的な一定範囲 の地域を構成する。50)従って、同様な形状,
規模,幅員を持 つ道路に面した土地でも、地価は個々 の土地 が属する一団 の 地 域 特 性 ( 街 路 , 交 通 , 環 境 , 行 政 的 条 件 等 の 立 地 条 件 ) に 基 づ い た 、 いわゆる地価相 場といわれる地域の標準的な地価水準 を基礎 として、この 水 準 を 基 に 個 々 の 土 地 の 地 価 が 決 定 さ れ て い る 。 以 上 よ り 、 本 研 究 で は 、 都心部を立地条 件を同じくする街区にゾーニングし、 この街 区を一定の地 価水準帯を有す る分析単位とする。
b) 需 要 と 供 給 の 対 象 と な る 不 動 産 は 土 地 の み と し 、 借 地 ・ 借 家 権 等 の 権 利 負担はないもの とする。
c) 需 要 者 は 、 転 売 目 的 で は な く 、 自 ら が 使 用 す る 目 的 で 土 地 を 購 入 す る 最 終需要者とし、 供給者は土地の処分権利者である所有 権者とす る。
d) 都 心 部 に お け る 土 地 購 入 後 の 用 途 を 商 業 地 と 住 宅 地 に 限 定 す る 。 な お 、 本調査では、都 心部の土地を商 業地として営業目的で 購入す る場合と 、住 宅 地 と し て 居 住 目 的 で 購 入 す る 場 合 の 価 格 水 準 を そ れ ぞ れ 質 問 し て い る が、このうち都 心部における住 宅地とは商業街にあっ ても閑 静な環境 の下、
居住するための 快適性が確保された空間であることを 前提とし た上で、買 い希望価格の回 答を求めることとする。
e) 土 地 供 給 者 ( 土 地 所 有 者 ) は 、 売 却 後 の 用 途 に 関 与 し な い と 考 え 、 用 途 別の売り希望価 格は想定しない。