建 設 マ ネ ジ メ ン ト研 究 論 文 集Vol.152008
トー タル ステ‑シ ョンシステ ム を活 用 した 出 来 形 管 理 要 領 の 検 証
国土交通省 国土技術政策総合研究所 神原 明宏*1 国土交通省 国土技術政策総合研究所 田中洋 一*2 国土交通省 国土技術政策総合研究所 金澤文彦*2
By Akihiro KAMBARA, Yoichi TANAKA, and Fumihiko KANAZAWA
トー タ ル ス テ ー シ ョ ン(以 下,TSと い う)は,ル ー ザ ー に よ る 距 離 測 定 と経 緯 儀 に よ る角 度 測 定 が 同 時 に で き る 電 子 式 測 距 測 角 儀 で あ り,公 共 測 量 作 業 に お い て 一 般 的 に利 用
され て い る.一 方,国 土 交 通 省 で は,情 報 通 信 技 術(ICT)を 活 用 した 施 工 管 理 に つ い て 取 組 ん で い る.そ の た め,施 工 管 理 の うち 出 来 形 管 理 に お い て は,TSを 活 用 した 出 来 形 管 理 手 法 の 提 案 が な され て い る.し か し,TSを 活 用 した 出 来 形 管 理 手 法 は,運 用 方 法 が 定 め
られ て い な い た め 実 施 され て い な か っ た.
本 研 究 は,TSを 活 用 した 出 来 形 管 理 手 法 が 効 率 的 に 実 施 され る こ と を 目的 に 運 用 方 法 を 要 領 と して 作 成 した.そ の 上 で,TS及 びTSの 利 用 を サ ポ ー トす る ソ フ トウェ ア で 構 成 さ れ た シ ス テ ム(以 下,TSシ ス テ ム とい う)を 活 用 して,要 領 に 基 づ く試 行 工 事 を行 い,適 用 性 を 検 証 した.検 証 結 果 よ り,要 領 に 基 づ くTSシ ス テ ム を活 用 した 出来 形 管 理 手 法 が 実 工 事 で 運 用 可 能 と な っ た.そ の 上 で,施 工 作 業 の 迅 速 化,品 質 の 向 上,監 督 ・検 査 業 務 迅 速 化 の 可 能 性 を 示 した.
【キ ー ワー ド】 トー タ ル ス テ ー シ ョ ン,出 来 形 管 理,3次 元 情 報
1.は じめ に
国 土 交 通 省 で は,CALS/ECア ク シ ョ ンプ ロ グ ラ ム を 策 定 し推 進 して い る1).CALS/ECア ク シ ョ ンプ ロ グ ラ ム は,公 共 事 業 の 調 査,設 計,施 工,維 持 管 理 の 各 フ ェ ー ズ で 発 生 す る情 報 を 電 子 化 し て,関 係 者 間 で 効 率 的 に 情 報 を利 活 用 す る こ と を 日指 し て い る.施
工 フ ェー ズ で は,ICTを 活 用 す る こ と に よ り施 工 の合 理 化 に 取 組 ん で い る.
施 工 管 理 は,旧 態 依 然 の 作 業 内 容 の ま ま で あ り, 書 類 作 成 に 手 間 と コ ス トが か か っ て い る.そ の た め, 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 で は,工 事 全 体 の 施 工 管 理 の業 務 手 続 に つ い て 分 析 を行 い,ICTを 活 用 した 施 工 管 理 の 業 務 改 善 に つ い て 提 案 を 行 っ た.既 往 の 研 究 2)3)では
,施 工 管 理 や 監 督 ・検 査 業 務 を 分 析 す る こ と に よ り構 成 す る機 能 と施 工 で 利 用 す る 情 報 と の 関 係
を 表 現 し,効 率 的 な 情 報 の 利 活 用 を 行 え る 可 能 性 が あ っ た 。 特 に,出 来 形 管 理 で は,ICTを 活 用 した 施 工 管 理 に お け る 高 い 作 業 効 率 化 を行 え る可 能 性 が あ っ た.
施 工 管 理 の うちICTを 活 用 した 出 来 形 管 理 に つ い て は,民 間 に お い て も既 に 取 り組 み が 進 め られ て き た.し か し な が ら,民 間 か ら の 提 案 に よ る 出 来 形 管 理4)‑6)は,大 規 模 工 事 で の利 用 が 前 提 で あ り,小 規 模 工 事 の利 用 を想 定 し て い な い.
国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 で は,公 共 測 量 作 業 で 一 般 的 に 利 用 され て い る トー タ ル ス テ ー シ ョ ン(以 下, TSと い う)を 活 用 した 出 来 形 管 理 を小 規 模 工 事 で利 用 す る こ と を 提 案 し た 。TSは,1台 の 機 器 で 解 度 (鉛 値 角 ・水 平 角)と 距 離 を 同 時 に 測 定 す る電 子 式 測 距 測 角 儀 で あ る.TSは,測 角 の た め の 望 遠 鏡 の 光
*1国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 高 度 情 報 化 研 究 セ ン タ ー 情 報 基 盤 研 究 室 (〒305‑=804,茨 城 県 つ くば 市 旭1番 地029‑864‑4916,kanbara‑ag24a@nilim.go.jp)
*2国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 高 度 情 報 化 研 究 セ ン タ ー 情 報 基 盤 研 究 室
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軸(視 準 軸)と 光 波 距 離 計 の 光 軸 が 同 軸 に な っ て い る こ と,電 子 的 に 処 理 され た 測 定 デ ー タ が 外 部 機 器 に 出 力 で き る こ と,の2点 が 最 大 の 特 徴 で あ る7).
有 冨 ら8)は,道 路 土 工 を 対 象 に3次 元 設 計 情 報 を 電 子 化 した も の をTSに 搭 載 す る こ とに よ り,出 来 形 管 理 が 効 率 的 に 行 え る こ と を 明 らか に した.し か しな が ら,現 行 の 出 来 形 管 理 基 準 は,TSを 活 用 した 出 来 形 管 理 手 法 を 実 工 事 で 実 施 す る こ と を想 定 して い な い.そ の た め,TSの 利 用 を想 定 した 出 来 形 管 理 基 準 作 成 が 望 ま れ て い た.
筆 者 らは,現 行 の 出 来 形 管 理 基 準 に てTSを 利 用 す る こ とが で きれ ば,請 負 者,監 督 ・検 査 職 員 のICT 利 用 が 促 進 され る と考 え た.そ の た め,本 研 究 で は 実 工 事 に お い て,現 行 の 出 来 形 管 理 基 準 を遵 守 し た TSに よ る 出 来 形 管 理 を 運 用 す る た め の 請 負 者 及 び 監 督 ・検 査 職 員 向 け 要 領 を作 成 した.ま た,有 冨 ら9)10) が 提 案 したTS及 びTSの 利 用 を サ ポ ー トす る ソ フ ト ウ ェ ア で 構 成 され た シ ス テ ム(以 下,TSシ ス テ ム と い う)を 活 用 して,要 領 に 基 づ く試 行 工 事 を 行 い, 要 領 の 適 用 性 につ い て 検 証 した.
2.現 行 の 出 来 形 管 理 の 問 題 点
現 行 の 巻 尺 ・レベ ル に よ る 出 来 形 管 理 手 法(以 下, 従 来 手 法 と い う)に お け る 出 来 形 計 測 で は,巻 尺 で 長 さ,ル ベ ル で 高 さ を 計 測 し た も の を 野 帳 に メ モ 書 き して お き,出 来 形 管 理 図 に 転 記 し必 要 な 図 示 や 計 算 式 を標 記 し て 出 来 形 管 理 資 料 を 作 成 して い る.こ の た め,さ ま ざ ま な 手 間 の か か る 作 業 が 発 生 す る だ け で な く,転 記 ミ ス,判 読 ミ ス,計 算 ミス な ど の 要 因 とも な っ て い る(図‑1参 照)‑
図‑1現 行の出来形管理の問題点
TSシ ス テ ム を活 用 し た 出 来 形 管 理 手 法(以 下,TS 手 法 と い う)は,3次 元 情 報 を 活 用 して,判 読 ミ ス, 計 算 ミ ス,転 記 ミス と い っ た 人 為 的 な ミ ス を軽 減 で
き る.と こ ろが,TS手 法 は 従 来 手 法 と異 な る作 業 内 容 で あ る.そ の た め,本 研 究 で は,TS手 法 に お け る 現 行 の 出 来 形 管 理 基 準 と の 適 用 性 に つ い て 検 証 す る.
3.現 行 の 出 来 形 管 理 関 係 基 準 調 査
本 研 究 で は,現 行 の 出 来 形 管 理 基 準 を 遵 守 したTS 手 法 を 運 用 す る た め の 要 領 を 作 成 す る.そ の た め, 現 行 の 出 来 形 管 理 関 係 基 準 を 調 査 し,TS手 法 の 要 領 に 記 載 す べ き事 項 を抽 出 した.
(1)請 負 者 が 行 うべ き 出 来 形 管 理 に つ い て
出 来 形 管 理 に つ い て,国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局 の 土 木 工 事 共 通 仕 様 書11)(以 下,土 木 工 事 共 通 仕 様 書 とい う)で は1‑1‑23施 工 管 理 の 項 目で 「請 負 者 は, 出 来 形 管 理 基 準 及 び 品 質 管 理 基 準 に よ り施 工 管 理 を 行 い,そ の 記 録 及 び 関 係 書 類 を直 ち に 作 成,保 管 し, 完 成 検 査 時 に 提 出 し な け れ ば な ら な い.た だ し,そ れ 以 外 で 監 督 職 員 か ら の 請 求 が あ っ た 場 合 は 直 ち に.
提 示 しな け れ ば な らな い.」 と記 載 され て い る.
出 来 形 管 理 基 準 に つ い て は,国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局 の 土 木 工 事 施 工 管 理 基 準 及 び 規 格 値12)に 記 載 され て い る 土 木 工 事 施 工 管 理 基 準(以 下,土 木 工 事 施 工 管 理 基 準 とい う)に 定 め られ て い る.土 木 工 事 施 工 管 理 基 準 の5.管 理 項 目及 び 方 法 の(2)出 来 形 管 理 で は 「請 負 者 は,出 来 形 を 出 来 形 管 理 基 準 に 定 め る 測 定 項 目及 び 測 定 基 準 に よ り実 測 し,設 計 値 と 実 測 値 を 対 比 して 記 録 した 出 来 形 成 果 表 又 は 出 来 形 図 を作 成 し 管 理 す る も の とす る.但 し,測 定 数 が 10点 未 満 の 場 合 は 出 来 形 成 果 表 の み と し,出 来 形 図 の 作 成 は 不 要 とす る.」 と記 載 さ れ て い る.ま た,
6.規 格 値 で は 「請 負 者 は,出 来 形 管 理 基 準 及 び 品 質 管 理 基 準 に よ り測 定 し た 各 実 測(試 験 ・検 査 ・計 測)値 は,す べ て 規 格 値 を 満 足 し な け れ ば な ら な い.」 と記 載 され て お り,さ ら けに7.そ の 他 で は
「請 負 者 は,工 事 写 真 を 施 工 管 理 の 手 段 と して,各 工 事 の 施 工 段 階 及 び 工 事 完 成 後 明 視 で き な い 箇 所 の 施 工 状 況,出 来 形 寸 法,品 質 管 理 状 況,工 事 中 の 災 害 写 真 等 を 写 真 管 理 基 準(案)に よ り撮 影 し,適 切 な 管 理 の も と に 保 管 し,監 督 職 員 の 請 求 に 対 し直 ち に 提 示 す る と と も に,検 査 時 に 提 出 しな けれ ば な ら
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な い.」 と記 載 され て い る.こ の よ うけに 請 負 者 は 出 来 形 管 理 で,定 め られ た 基 準 に 基 づ き 実 測 し,出 来 形 成 果 表 又 は 出 来 形 図,工 事 写 真 を 作 成 して 保 管
し,完 成 検 査 時 に 提 出 す る 義 務 が あ る.ま た,定 め られ た 規 格 値 は 満 足 しな け れ ば な らな い こ と と さ れ て い る.
出 来 形 管 理 の 作 業 手 順 に 関 して は,土 木 工 事 共 通 仕 様 書1‑1‑23施 工 管 理 に よれ ば 「1。 請 負 者 は,工 事 の 施 工 に あ た っ て は,施 工 計 画 書 に 示 され る 作 業 手 順 に 従 い 施 工 し,品 質 及 び 出 来 形 が 設 計 図 書 に適 合 す る よ う,十 分 な 施 工 管 理 を し な け れ ば な ら な い‑¥」 と記 載 され て い る.施 工 計 画 書 の 記 載 方 法 に つ い て は,土 木 工 事 書 類 作 成 マ ニ ュ ア ル(案)13)に 出 来 形 管 理 計 画 表 記 載 例 が あ り,「 「土 木 工 事 土施工 管 理 基 準 」 等 に よ り記 述 す る.」 と記 載 され て い る.
こ の よ う けに 作 業 手 順 に つ い て は 施 工 計 画 書 に 記 載 す る こ と に な っ て い る も の の,各 種基 準 類 に 適 合 す る よ うに 作 業 を 行 え ば よ く,具 体 的 な 作 業 手 順 に つ い て は 定 め られ て い な い‑
(2)監 督 ・検 査 職 員 が 行 うべ き 出 来 形 管 理 に つ い て
土 木 工 事 監 督 技 術 基 準(案)ω は 監 督 職 員 の 業 務 内 容 を 記 載 して い る が,出 来 形 に 関 し て 記 載 され て い な い.
検 査 職 員 の 業 務 内 容 は,地 方 整 備 局 土 木 工 事 検 査 技 術 基 準(案)15)に 基 づ き 出 来 形 の 検 査 を 行 う こ と
に な っ て い る.
(3)調 査 結 果
調 査 結 果 よ り,現 行 の 出 来 形 管 理 関 係 の 基 準 を 遵 守 した 請 負 者 向 け 要 領 と し て は,施 工 計 画 書 の 記 載 事 項,出 来 形 管 理 基 準 及 び 規 格 値,工 事 写 真 撮 土影 方 法 をTS手 法 の 要 領 に記 載 す べ き 事 項 とす る.現 行 の 出 来 形 管 理 関 係 の 基 準 を 遵 守 した 監 督 ・検 査 職 員 向 け 要 領 と して は,現 行 の 地 方 整 備 局 土 木 工 事 検 査 技 術 基 準(案)に 基 づ き検 査 を 行 うこ と をTS手 法 の 要 領 に 記 載 す べ き事 項 とす る.
4.TS手 法 の 作 業 内 容 調 査
TS手 法 は,従 来 手 法 とは 作 業 内 容 が 異 な っ て い る.
そ の た め,TS手 法 で 確 実 に 作 業 を実 施 させ る た め に は,具 体 的 な 作 業 手 順 を 要 領 と して 作 成 す る 必 要 が あ る‑し か し な が ら,請 負 者,監 督 ・検 査 職 員 の 業
務 内 容 に 関 して は,現 行 の 出 来 形 管 理 関 係 基 準 に 具 体 的 な作 業 手 順 は 定 め られ て い な い.
そ こ で,本 研 究 で は,従 来 手 法 に は な いTS手 法 の 特 記 事 項 と な る 作 業 内 容 及 び 作 業 手 順 を 調 査 し,要 領 に 記 載 す べ き項 目 を抽 出 した.
(1)請 負 者 が 行 う出 来 形 管 理 作 業
請 負 者 が 行 う出 来 形 管 理 作 業 は,従 来 手 法 とTS手 法 で 異 な っ て い る(図‑2参 照).TS手 法 で は,設 計 図 書 か らの 設 計 情 報 抽 出,TS設 置,TSに よ る計 測, TSに よ る デ ー タ記 録,出 来 形 帳 票 の 作 成 とい う作 業 が 必 要 と な る.
図‑2従 来手法 とTS手 法 との違 い
設 計 図 書 か ら の 設 計 情 報 抽 出 は,出 来 形 計 測 値 と 比 較 す る た め,設 計 図 書 よ り設 計 情 報 を 抽 出 し,3 次 元 設 計 情 報 を作 成 す る必 要 が あ る.
TS設 置 位 置 は,現 場 に 設 置 され た 基 準 点 よ り3次 元 座 標 を 取 得 し算 出 す る.そ の た め,TS設 置 で は, TS設 置 位 置 を算 出す る た め の 基 準 点 設 置 が 必 要 と な
る.
TSに よ る計 測 は,TS手 法 で の 基 本 と な る作 業 で あ り,従 来 手 法 で の 計 測 に代 わ り必 要 とな る.
TSに よ るデ ー タ 記 録 は,出 来 形 計 測 値 を 自動 的 に デ ジ タル デ ー タでTS内 部 の メ モ リー な ど に記 録 され
る.
出 来 形 帳 票 の 作 成 は,設 計 デ ー タ,出 来 形 計 測 デ ー タ よ り出 来 形 帳 票 を 自動 的 に 作 成 す る .
(2)監 督 ・検 査 職 員 が 行 う出 来 形 管 理 作 業
請 負 者 が 行 うTS手 法 の 作 業 内容 は従 来 手 法 と異 な る た め,監 督 ・検 査 職 員 が 把 握 す べ き 作 業 内 容 に つ
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い て も従 来 手 法 と は 異 な る.そ の た め,請 負 者 が 行 う従 来 手 法 と異 な る 作 業 内 容 に つ い て は,監 督 ・検 査 職 員 と して も把 握 す る.
(3)調 査 結 果
調 査 結 果 に よ り,請 負 者 向 け 要 領 に は,請 負 者 が 行 うべ き 作 業 内 容 で あ る,設 計 図 書 か らの 設 計 情 報 抽 出,TS設 置,TSに よ る計 測,TSに よ るデ ー タ 記 録,
出 来 形 帳 票 の 作 成 に つ い て 記 載 す る.ま た,監 督 ・ 検 査 職 員 向 け 要 領 に は,請 負 者 が 行 うべ き作 業 内 容
を 監 督 ・検 査 職 員 が 把 握 す べ き 項 目 と し て 記 載 す る.
5.TSシ ス テ ム の 機 能 調 査
TSを 活 用 した 出 来 形 管 理 を行 うた め に は,TSシ ス テ ム が 必 要 で あ る.本 研 究 で は,要 領 に 記 載 す べ き TSシ ス テ ム の機 能 を調 査 した.
TSシ ス テ ム に 基 づ く 出 来 形 管 理 作 業 は,図‑3に 示 す よ う に,基 本 設 計 デ ー タ 作 成,出 来 形 計 測,出 来 形 帳 票 作 成 の 順 に 進 め られ る.TSシ ス テ ム で は, 基 本 設 計 デ ー タ 作 成 を 基 本 設 計 デ ー タ 作 成 ソ フ トウ ェ ア,出 来 形 計 測 を 出 来 形 計 測 デ ー タ 作 成 す るハ ー
ドウ ェ ア及 び ソ フ トウェ ア(以 下,出 来 形 管 理 用TS とい う),出 来 形 帳 票 作 成 を 出 来 形 帳 票 作 成 ソ フ ト ウ ェ ア で 行 う.基 本 設 計 デ ー タ 作 成 ソ フ トウ ェ ア 及 び 出 来 形 帳 票 作 成 ソ フ トウ ェ ア はTSに よ る 出 来 形 管 理 に 用 い る施 工 管 理 デ ー タ作 成 ・帳 票 作 成 ソ フ ト ウ ェ ア の 機 能 要 求 仕 様 書(案)16),出 来 形 管 理 用TSは 出 来 形 管 理 用 トー タ ル ス テ ー シ ョ ン 機 能 要 求 仕 様 書
(案)Ver2.217)に 基 づ き構 築 され る‑な お,こ れ ら 3つ の ソ フ トウ ェ ア 間 の デ ー タ 交 換 は,TSに よ る 出 来 形 管 理 に 用 い る 施 工 管 理 デ ー タ 交 換 標 準(案) Ver2.Ol8)に 基 づ き行 わ れ る.
図‑3TSシ ス テ ム 構 成
要 領 に 記 載 す べ きTSシ ス テ ム の機 能 は,こ れ ら3 つ の ソフ トウ ェ ア 及 びTSの 機 能 とす る.本 章 で は , 3つ の ソ フ トウ ェ ア の 機 能 で あ る 基 本 設 計 デ ー タ作
・成 ,出 来 形 計 測 及 び 出来 形 帳 票 作成 の機 能 につ い て 記 述 す る.
(1)基 本 設 計 デ‑タ 作 成
請 負 者 は,最 初 に 基 本 設 計 デ ー タ を 作 成 す る.基 本 設 計 デ ー タ は,TSを 用 い た 出 来 形 管 理 を行 うた め
に 必 要 な,3次 元 の 設 計 形 状,工 事 基 準 点 な ど の デ ー タ か ら構 成 され る .3次 元 の 設 計 形 状 は,道 路 中 心 線 形 な ど の 中 心 線 と出 来 形 横 断 面 形 状 の 形 状 デ ー タ に よ り,出 来 形 管 理 対 象 と な る 横 断 面 の 外 郭 を 表 現 して い る(図‑4参 照).
図‑4基 本 設 計 デ‑タ の イ メー ジ(道 路 土 工 の 場 合)
請 負 者 は,道 路 の 線 形 計 算 書,平 面 図,縦 断 図, 横 断 図 な ど の 設 計 図 書 な ど か ら判 読 した 平 面 線 形, 縦 断 線 形,幅,横 断 勾 配,法 面 形 状,管 理 測 点 番 号 な ど の 情 報 項 目 を 順 に 基 本 設 計 デ ー タ 作 成 ソ フ ト ウ ェ ア を 用 い て 入 力 す る.
(2)出 来 形 計 測
TS手 法 に よ る 出 来 形 計 測 は,図‑5に 示 す 作 業 手
図‑5TS手 法の出来形計測作業手順例
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順 例 の よ う に 行 わ れ る.請 負 者 は,作 成 した 基 本 設 計 デ ー タ を 出 来 形 管 理 用TSに 搭 載 し,現 場 で 出 来 形 計 測 点 で あ る 道 路 中 心 線 形 又 は 法 線,端 部,法 肩, 法 尻 な どの3次 元 座 標 値 を 計 測,記 録 す る.出 来 形 管 理 用TSは,単 に 基 本 設 計 デ ー タ 及 び 出 来 形 計 測 デ ー タ を 搭 載 で き る だ け で な く
,現 場 で 効 率 的 に 出 来 形 計 測 ・確 認 す るた め の 機 能 を 持 っ て い る.
(3)出 来 形 帳 票 作 成
請 負 者 は,出 来 形 帳 票 作 成 ソ フ トウ ェ ア に 基 本 設 計 デ ー タ と 出 来 形 計 測 デ ー タ を 登 録 こする こ と で,完 成 検 査 で 提 出 す る 出 来 形 管 理 資 料(図‑6参 照)を
自動 作 成 す る こ とが で き る.
図‑6出 来 形 管 理 資 料‑覧
6.IS手 法 に お け る 要 領 の 作 成
TS手 法 は,3.4.の 調 査 結 果 よ り,TSシ ス テ ム を 利 用 す る た め の 運 用 方 法 を 定 め る こ と に よ り効 率 的 に 実 施 す る こ と が 可 能 とな る‑そ の た め,本 研 究 で は,3.4‑の 調 査 結 果 及 び5.のTSシ ス テ ム構 成 を 反 映 し た請 負 者 向 け 要 領,監 督 ・検 査 職 員 向 け 要 領 を 作 成 した.要 領 は試 行 工 事 毎 に 毎 年 改 訂 され て い る が,要 領 に 基 づ く試 行 工 事 実 施 項 目 に つ い て は 同 じで あ る.本 章 で は,従 来 の 出 来 形 管 理 基 準 と 対 比 す べ き事 項,TS手 法 で の 特 記 事 項 に つ い て記 述 す る.
(1)請 負 者 向 け要 領 の 概 要
請 負 者 向 け 要 領 に は,土施 工 計 画 書 の 記 載 事 項,出 来 形 管 理 基 準 及 び 規 格 値,写 真 撮 影 方 法 とい っ た 現 行 の 出 来 形 管 理 基 準 で 記 載 して い る 事 項 や 基 本 設 計 デ ー タ の 作 成 及 び 確 力認,基 準 点 の 設 置 方 法,出 来 形 計 測 方 法,出 来 形 帳 票 の 作 成 とい っ たTS手 法 の 特 記
事 項 と な る作 業 内 容 に つ い て 記 述 し て あ る.ま た, デ ー タ を 有 効 活 用 す る た め に 電 子 納 品 作 成 規 定 に つ い て も記 述 して あ る.
a)適 用 の 範 囲
対 象 とな る作 業 の 範 囲 は,図 一7に 示 す と お りで あ り,丁 張 り設 置 や 施 工 途 中 段 階 で の 利 用 を適 用 範 囲 外 と して い る 。 し か しな が ら,丁 張 り設 置 や 施 工 途 中段 階 で のTSの 利 用 を妨 げ な い よ うに配 慮 して い る.
※実線部分が適用範囲、破線部分は適用範囲外
図‑7対 象となる作業の範囲
適 用 工 種 は,表‑1に 示 す とお りで あ る:現 在 は, 対 象 工 事 数 が 多 い こ と と,技 術 普 及 の 効 果 が 大 き い
と判 断 した た め,土 工 に 関 し て の み の 適 用 と し て い る.将 来,他 工 種 でTS手 法 が適 用 可 能 で あ る と検 証 で き れ ば,適 用 工 種 の 追 加 を行 うこ とに な る.
表‑1適 用 工 種 区 分
(国土 交 通省 関 東 地方 整備 局 土 木工 事施 工 管理 基 準及 び規 格 値の 工種 区 分より分類)
b)施 工 計 画 書
請 負 者 は,施 工 計 画 書 に 施 工 管 理 計 画 と して 出 来 形 管 理 に つ い て 記 載 して お く必 要 が あ る.そ の た め, 施 工 計 画 書 に は,請 負 者 向 け 要 領 に 基 づ く適 用 工 種, 適 用 工 種 の 出 来 形 管 理 基 準 及 び 規 格 値,写 真 管 理 基
準 を 記 載 す る こ とに して い る.ま た,TSシ ス テ ム が 関 連 す る 機 能 要 求 仕 様 書 に 適 合 し て い る も の で あ る こ と も記 載 す る こ と と して い る.
c)電 子 成 果 品 の 作 成 規 定
TS手 法 で は,施 工 管 理 デ ー タ(XMLフ ァイ ル), 出 来 形 帳 票 デ ー タ(土XMLカフ ァ イ ル),出 来 形 管 理 デ ー タ(PDFフ ァイ ル)を 得 る こ とが で き る.こ れ らの デ
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ー タ を確 実 に 納 品 す る た め に 電 子 成 果 品 の 作 成 規 定 を 定 め て い る.電 子 成 果 品 の 作 成 規 定 で は,格 納 フ ォ ル ダ と打 合 せ 簿 管 理 項 目 に つ い て 定 め て お り,現 行 の 工 事 完 成 図 書 の 電 子 納 品 要 領(案)19)と 同 様 で あ る が,打 合 せ 簿 の 管 理 項 目の う ち,打 合 せ 簿 オ リ ジ ナ ル フ ァ イ ル 日本 語 名 及 び 予 備 の 項 目 に つ い て は, TS手 法 で 得 られ た デ ー タ で あ る こ とが わ か る よ うに, 必 須 入 力 と して い る こ と を記 述 し て あ る(表‑2参 照).
表‑2打 合 せ 簿 管 理 項 目(一 部)
【記入者】□:電子 成果品作 成者が記入す る項 目。
▲:電子 成果品作 成ソフト等が 固定値を自動的 に記 入する項 目。
【必要度 】◎:必須記 入。
○:条件 付き必須 記入 。(データが 分かる場 合は必ず 記入する)
△:任意 記入。
※ 複 数ある場 合にはこの項 を必要な回数繰 り返 す。
d)基 準 点 の 設 置
TS手 法 で は,現 場 に設 置 され た 基 準 点 を 用 い て3 次 元 座 標 値 を 取 得 し,こ の 座 標 値 か ら,幅,長 さ を 算 出 す る.こ の た め,出 来 形 の 精 度 を確 保 す る た め に は 基 準 点 の 精 度 管 理 が 必 要 と な る.基 準 点 の 設 置 は,国 土 交 通 省 公 共 測 量 作 業 規 程 の 路 線 測 量 を 参 考 に4級 基 準 点 又 は3級 水 準 点,も し く は こ れ と 同 等 以 上 の も の とす る こ と を記 述 して あ る.
e)基 本 設 計 デ ー タ の 作 成
基 本 設 計 デ ー タ 作 成 は,設 計 図 書 な ど を 用 い て 作 成 す る基 本 設 計 デ ー タ 作 成 ソ フ トウ ェ ア で の 入 力 項 目,入 力 範 囲 や 作 成 時 の 留 意 点,設 計 変 更 時 の 対 応
方 法 に つ い て 記 述 して あ る.
f)基 本 設 計 デ ー タ の 確 認
基 本 設 計 デ ー タ の 間 違 い は,出 来 形 管 理 の 結 果 に 致 命 的 な 影 響 を 与 え る.そ の た め,基 本 設 計 デ ー タ の 確 認 は,作 成 した 基 本 設 計 デ ー タ と設 計 図 書 と の 照 合 を チ ェ ッ ク シ ー トを 用 い て 確 認 し,チ ェ ッ ク結 果 を 監 督 職 員 に 提 出 す る こ と を記 述 して あ る.
g)出 来 形 管 理 用TSに よ る出 来 形 計 測
出 来 形 管 理 用TSに よ る 出 来 形 計 測 は,出 来 形 管 理 用TSの 設 置 手 順 及 び 計 測 に 関 す る留 意 事 項 を記 述 し
て あ る.
計 測 に 関 す る 留 意 事 項 と して,TSに よ る 出 来 形 計 測 は,高 さ方 向 の 計 測 誤 差 が 測 定 距 離 に 比 例 して 大 き く な る傾 向 が あ る.そ の た め,実 証 実 験 の 検 証 結 果20)を 踏 ま え て,計 測 距 離 を100m以 内 に 制 限 す る こ とで,高 さ 方 向 に 関 す る 計 測 精 度 を 確 保 して い る こ と を 記 述 して あ る.ま た,土 工 で は,計 測 点 を 観 測 で き る位 置 に既 知 点 が な い 場 合 な ど を 考 慮 して, 一 定 の 精 度 を確 保 で き る 範 囲 で 後 方 交 会 法 の 利 用 を 認 め て い る.後 方 交 会 法 は,2つ の 既 知 点 の 座 標 値 と TSま で の 水 平 距 離 か らTSの 位 置 座 標 を算 出 す る方 法 で あ る(図‑8参 照).こ れ に よ りTSを 基 準 点 直 上 に 据 え る こ とな く,現 場 で 出 来 形 計 測 に 適 した 任 意 位 置 にTSを 設 置 す る こ と を可 能 と して い る.
図‑8後 方交会法算 出方法
h)出 来 形 管 理 基 準 及 び 規 格 値
出 来 形 管 理 基 準 及 び 規 格 値 は,現 行 の 土 木 工 事 施 工 管 理 基 準 に 定 め られ た 内 容 と 同 様 と し,従 来 手 法
と評 価 尺 度 を 同 じ に して い る.
測 定 値 は,契 約 で 示 さ れ た 横 断 図 の うち 出 来 形 計 測 を 行 う断 面(以 下,管 理 断 面 とい う)上 に あ る 出 来 形 計 測 点 を 計 測 し,計 測 点 の3次 元 座 標 よ り基 準 高,法 長,幅 を 算 出 す る.こ こ で,管 理 断 面 上 の 計 測 は,管 理 断 面 に 対 して 直 角 方 向 に ±10cmの 範 囲 で 行 っ て も 良 い こ と を記 述 して あ る.こ れ は,管 理 断 面 に 対 して ±10cmの 誤 差 の 範 囲 に 計 測 点 を とれ ば,
‑212‑
幅,法 長 の 長 さ の 差 は,設 計 値 の 長 さに 対 して0.5%
以 下(設 計 値 が2mの 場 合)で あ り実 務 上 問 題 な い と 判 断 した た め で あ る(図‑9参 照).
図‑9管 理断面上範囲の考え方
i)出 来 形 管 理 写 真 基 準
出 来 形 管 理 写 真 基 準 は,撮 影 方 法 を現 行 の 国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局 の 土 木 工 事 写 真 管 理 基 準21)(以 下,土 木 工 事 写 真 管 理 基 準 と い う)か ら簡 素 化 した.
現 行 の 土 木 工 事 写 真 管 理 基 準 で は,工 事 写 真 の 撮 影 方 法 と し て,被 写 体 と して 写 し こ む 小 黒 板 に 工 事 名, 工 種 等,測 点(位 置),設 計 寸 法,実 測 寸 法,略 図
の 必 要 事 項 を 記 載 す る こ と と な っ て い る.請 負 者 向 け 要 領 で は,設 計 寸 法,実 測 寸 法,略 図 を 省 略 して も よ い こ と と した.TS手 法 で は,巻 尺 を用 い た 長 さ 計 測 は 不 要 で あ り,リ ボ ン テ ー プ,ピ ン ポ ー ル な ど を 写 し こ ん だ 出 来 形 寸 法 を確 認 す る 写 真 は 必 要 な い た め で あ る.
j)出 来 形 管 理 資 料 の 作 成
出 来 形 管 理 資 料 の 作 成 は,出 来 形 帳 票 作 成 ソ フ ト ウ ェ ア に 基 本 設 計 デ ー タ 及 び 出 来 形 計 測 デ ー タ を 登
録 す る こ と で,現 行 の 帳 票 類 と同 様 の 形 式 で 作 成 で き る.
これ に よ り従 来 の 巻 尺 ・レベ ル の 計 測 結 果 をパ ソ コ ン に 手 入 力 す る 作 業 は 不 要 に な り,帳 票 作成 作 業 の 省 力 化 と入 力 ミス を削 減 す る こ とが で き る.
(2)監 督 ・検 査 職 員 向 け要 領 の 概 要
監 督 ・検 査 職 員 向 け 要 領 に は,請 負 者 向 け要 領 に 基 づ く監 督 ・検 査 実 施 手 順 と し て,施 工 計 画 書 の 記 載 内 容,基 準 点 の 設 置 状 況,基 本 設 計 デ ー タ の 照 合 な ど に 関 して 記 述 して あ る:具 体 的 な 監 督 ・検 査 手 順 に つ い て は,参 考 資 料 と して 一 例 を 記 述 して あ る.
a)出 来 形 管 理 用TSに よ る 出 来 形 管 理 監 督 作 業
監 督 職 員 は,請 負 者 向 け 要 領 に基 づ い て 出 来 形 管 理 用TSに よ る 出 来 形 管 理 の 監 督 業 務 を実 施 す る こ と に な る.実 施 内 容 と し て は,請 負 者 向 け 要 領 に 基 づ く 作 業 が 行 わ れ て い る か を,施 工 計 画 の 概 要,基 準 点 の 設 置 状 況,基 本 設 計 デ ー タ及 び 照 査 結 果,出 来 形 管 理 状 況 よ り把 握 す る こ と と し て い る.実 施 項 目 と し て は,施 工 計 画 書 の 受 理 等,基 準 点 の 把 握,基 本 設 計 デ ー タ の 受 理 等,出 来 形 管 理 状 況 の 把 握 に つ
い て記 述 して あ る.
b)出 来 形 管 理 用TSに よ る 出 来 形 管 理 検 査 作 業
検 査 職 員 は,請 負 者 向 け要 領 に 基 づ い て 出 来 形 管 理 用TSに よ る 出来 形 管 理 の検 査 業 務 を 実 施 す る こ と
に な る.実 施 内 容 と して は,請 負 者 向 け 要 領 に 基 づ く作 業 が 行 わ れ て い る か を,基 準 点 に 関 す る測 量 結 果,基 本 設 計 デ ー タ 及 び 照 査 結 果,施 工 計 画 書,出 来 形 管 理 状 況,実 地 検 査 に よ り検 査 す る こ と と して
い る.実 施 項 目 の う ち 工 事 実 施 状 況 の 検 査 と して は, 施 工 計 画 書 の 記 載 内容,基 本 設 計 デ ー タ の 照 合 結 果, 基 準 点 の 測 量 結 果 に つ い て 記 述 して あ る.出 来 形 の 検 査 と して は,出 来 形 管 理 状 況,実 地 検 査 に つ い て 記 述 して あ る.
c)基 本 設 計 デ ー タ と設 計 図 書 との 対 比 手 順
基 本 設 計 デ ー タ と設 計 図 書 との 対 比 は,請 負 者 か ら提 出 され た 基 本 設 計 デ ー タ 及 び 基 本 設 計 デ ー タ の チ ェ ッ ク シ ー トを 元 に 基 本 設 計 デ ー タ 作 成 ソ フ ト ウ ェ ア 上 で 設 計 図 書 との 対 比 す る 手 順 に つ い て 記 述 して あ る(図‑10参 照).
d)出 来 形 管 理 状 況 の把 握 手 順
出 来 形 管 理 状 況 の 把 握 手 順 は,出 来 形 管 理 資 料 の 把 握,計 測 デ ー タ の現 地 確 認,任 意 断 面 の 出 来 形 確
‑213‑
図‑10基 本設計データ確認画面例
認 に つ い て 記 述 して あ る.
出 来 形 管 理 資 料 は 出 来 形 管 理 デ ー タ(PDFフ ァイ ル)で あ る.
出 来 形 計 測 デ ー タ の 現 地 確 認 は,出 来 形 計 測 デ ー タ が 現 地 で 正 確 に 取 得 され た か 否 か を確 認 す る 手 順 に つ い て 記 述 し て あ る.具 体 的 に は,出 来 形 管 理 用 TSは,計 測 済 み の 出 来 形 計 測 点 を選 択 して,選 択 し た 点 にTSを 誘 導(逆 打 ち 誘 導)に よ る 計 測 位 置 の 確 認 を 行 う機 能(図‑11参 照)が あ り,こ の 機 能 を 利 用 した 手 順 に つ い て 記 述 して あ る.
図‑11計 測済み点の選択画面例
任 意 断 面 の 出 来 形 確 認 は,管 理 断 面 以 外 の 任 意 の 断 面 に お い て も 出 来 形 計 測 値 を確 認 で き る機 能(図
‑12参 照)が あ る た め,こ の機 能 を利 用 した 手 順 に つ い て 記 述 して あ る.
e)測 定値 の確 認 手 順
測 定 値 の 確 認 は,規 格 値 を 満 足 して い る か ど うか を確 認 す る 手 順 で あ る.
基 本 設 計 デ ー タ で 定 義 さ れ て い る 出 来 形 計 測 対 象 点 へ の 誘 導 と,設 計 値 と 出 来 形 計 測 値 を 対 比 す る 機 能 を利 用 して,測 定 値 を 確 認 す る手 順 に つ い て 記 述
して あ る(図‑13参 照).
図‑12任 意断面での出来形確認機能例
図‑13設 計値 との差異表示画面例
f)出 来 形 管 理 資 料 の確 認 手 順
出 来 形 管 理 資 料 は,電 子 成 果 品 に よ り納 品 され る こ と か ら,納 品 さ れ て い る 格 納 フ ォ ル ダ とデ ー タ に つ い て 記 述 して あ る.
7.現 場 試 行 工 事 の 実 施
作 成 した 請 負 者 向 け 要 領,監 督 ・検 査 職 員 向 け 要 領 が 現 場 で 適 用 で き る か を 検 証 す る.そ の た め,本 研 究 で は,平 成17年 度 か ら平 成19年 度 に か け て 作 成 した 要 領 に 基 づ く試 行 工 事 を 実 施 し た(表‑3参 照).
(1)平 成17年 度 試 行 工 事
平 成17年 度 試 行 工 事 は,道 路 土 工 工 事 を 対象 と し て,全 国6現 場 で 実 施 した(表‑4参 照).出 来 形 管 理 は,従 来 手 法 とTS手 法 との 両 方 の 手 法 で 行 うこ
と に よ り,要 領 に 基 づ くTS手 法 の 現 場 で の適 用 性 及 びTSシ ス テ ム の操 作 性 につ い て 検 証 した.TS手 法 で 利 用 す るTSシ ス テ ム は,試 行 工 事 を行 うに あ た りプ
‑214‑
表‑3試 行工事概要
表‑4平 成17年 度試行工事現場概要
表‑5平 成18年 度試行工事現場概要
ロ トタイ プ を 開 発 した.
(2)平 成18年 度 試 行 工 事
平 成18年 度 試 行 工 事 は,道 路 土 工 工 事 を対 象 と し て,全 国6現 場 で 実 施 した(表‑5参 照).出 来 形 管 理 は,従 来 手 法 とTS手 法 の 両 方 の 手 法 で は な くTS 手 法 の み で 実 施 す る こ と に よ り,要 領 に 基 づ く 出 来 形 管 理 作 業 及 び 出 来 形 管 理 に 係 わ る監 督 ・検 査 業 務 の 適 用 性 に つ い て 検 証 した 。 な お,出 来 形 管 理 用TS
に つ い て は,有 限 責 任 中 間 法 人 日本 測 量 機 器 工 業 会 会 員 企 業 に 開 発 を 協 力 し て い た だ い た.基 本 設 計 デ
ー タ 作 成 ソ フ ト ウ ェ ア 及 び 出 来 形 帳 票 作 成 ソ フ トウ ェ ア に つ い て は,国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 が 自 ら 開 発 を行 っ た.こ れ ら開 発 した 機 器 及 び ソ フ トウ ェ ア の シ ス テ ム を試 行 工 事 で利 用 した.
(3)平 成19年 度 試 行 工 事
平 成19年 度 試 行 工 事 は,道 路 土 工 で 得 られ た 知 見 を 基 に 河 川 土 工 工 事 を 対 象 と して,全 国3現 場 で 実 施 し た(表‑6参 照).出 来 形 管 理 は,従 来 手 法 と TS手 法 と の 両 方 の 手 法 で 行 うこ と に よ り,要 領 に 基 づ くTS手 法 の 河 川土 工 にお け る 適 用 性 に つ い て 検 証 した.TS手 法 で 利 用 す るTSシ ス テ ム は,平 成18年 度 試 行 工 事 の シ ス テ ム を利 用 した.
表‑6平 成19年 度試行工事現場概要
8.試 行 工 事 の 実 施 結 果
要 領 に 基 づ く試 行 工 事 結 果 で は,請 負 者,監 督 ・ 検 査 職 員 の 双 方 か ら特 に 実 務 上 の 問 題 は 報 告 され な か っ た.そ の た め,要 領 に 基 づ くTS手 法 は,現 場 適 用 が 可 能 で あ る こ と を確 認 で き た.そ の 上,出 来 形 管 理 作 業 の 効 率 化,監 督 ・検 査 業 務 の 迅 速 化,出 来 形 帳 票 作 成 作 業 の 効 率 化,施 工 現 場 で の 対 応 迅 速 化, 品 質 向 上 の 効 果 が 得 られ る こ とが わ か っ た.ま た, 機 器 及 び ソ フ トウ ェ ア の 費 用,TS手 法 で 施 工 で き な い 箇 所 へ の 対 応,基 本 設 計 デ ー タ の 作 成 作 業 の 手 間
とい っ た 課 題 が 得 られ た.
出 来 形 管 理 作 業 の 効 率 化 は,従 来 手 法 で あ る 巻 尺 ・レベ ル に よ る 出 来 形 管 理 に 比 べ て 出 来 形 計 測 時 間 が 短 く な っ た.表‑7は,出 来 形 の 計 測 効 率 を,
表‑7従 来手法 とTS手 法 との作業時間比較
注1)従 来 手 法で は基準 高 さ12点 、長 さ9箇 所 の計 測を行 った。
注2)TS手 法 では、1回のTS設 置 と12点の 座標 計 測を行 った。
‑215‑
従 来 手 法 とTS手 法 で 比 較 した も の で あ る.TSを 用 い た 出 来 形 管 理 は,従 来 手 法 よ りも約1.5倍,計 測 効 率 が 高 い.
監 督 ・検 査 業 務 の 迅 速 化 は,TS手 法 に お け る 監 督 ・検 査 業 務 の 作 業 時 間 を 調 査 し(図‑14参 照), 監 督 ・検 査 職 員 に ヒア リ ン グ を 行 う と,従 来 手 法 で の 作 業 時 間 と同 じ程 度 で あ る とい う意 見 が 得 られ た.
図‑14監 督 ・検査職員作業時間測定結果
出 来 形 帳 票 作 業 の 効 率 化 は,出 来 形 計 測 か ら出 来 形 帳 票 作 成 ま で をTSシ ス テ ム で デ ー タ処 理 が で き た た め,出 来 形 帳 票 作 成 が 効 率 化 され る と と も に,デ ー タ転 記 の ミス も防 ぐ こ とが で き た .
施 工 現 場 で の 対 応 迅 速 化 は,計 測 と 同 時 に 現 場 で 設 計 値 と の 対 比 が で き た た め,出 来 形 不 足 な ど も迅 速 に 発 見 し速 や か に 施 工 の 修 正 が で き る こ とが 期 待 で き る.
品 質 向 上 は,管 理 断 面 の み な らず,任 意 断 面 に お い て も設 計 値 と測 定 値 の 差 を 現 場 で 即 座 に 確 認 で き た た め,不 正 行 為 の 抑 止 効 果 や 出 来 形 不 良 の 早 期 発 見 が 期 待 で き る.
機 器 及 び ソ フ トウ ェ ア の 費 用 は,TSシ ス テ ム利 用 の た め に発 生 す る.TSシ ス テ ム で は,出 来 形 管 理 用 TS及 び 基 本 設 計 デ ー タ,出 来 形 帳 票 作 成 ソ フ トウ ェ
ア が 必 要 と な る.試 行 工 事 で は,基 本 設 計 デ ー タ, 出 来 形 帳 票 作 成 ソ フ トウ ェ ア を,国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 自 ら 開 発 して 請 負 者 に 提 供 した が,実 工 事 で の 運 用 で は,こ れ ら ソ フ トウ ェ ア の 購 入 費 用 が 負 担
とな る.
TS手 法 で 施 工 で き な い 箇 所 へ の 対 応 は,ラ ウ ン デ ィ ン グ部 な どTS手 法 で は 行 うこ とが で き な い 箇 所 が
あ る.ラ ウ ン デ ィ ン グ部 で は 曲線 と な る た め2点 間 の3次 元 座 標 に よ り長 さ を算 出 す るTS手 法 で は 利 用 で き な い.
基 本 設 計 デ ー タ 作 成 作 業 の 手 間 は,3次 元 設 計 情 報 の 作 成 とい う,従 来 手 法 で 行 っ て い た 丁 張 り位 置 の 算 出 とは 異 な る作 業 で あ る た め 手 間 と な っ て い る.
9.考 察
(1)TS手 法 を活 用 す る た め の 基 準 の 提 案
現 行 の 出 来 形 管 理 基 準 は 管 理 断 面 箇 所 に 設 け て い る.請 負 者 は,管 理 断 面 部 分 の み 精 度 よ く施 工 す れ ば評 価 され る.し か しな が ら,TS手 法 に よ り,管 理 断 面 以 外 の 任 意 の 断 面 につ い て も 設 計 値 と の 対 比 を 行 う こ と が で き る.そ の た め,管 理 断 面 以 外 の 任 意 の 断 面 に お け る 設 計 値 と の 対 比 結 果 が 良 好 で あ れ ば, 工 事 成 績 を 加 点 す る な ど し て,全 体 の 仕 上 が り を 評 価 す る基 準 を 設 け る こ と に よ り,品 質 向 上 に つ な が
る の で は な い か と考 え て い る.
(2)TS手 法 の 利 用 促 進 策
TS手 法 を 利 用 す る 上 で,請 負 者 は,機 器 及 び ソ フ トウ ェ ア の 購 入 又 は レ ン タ ル 費 用 が 負 担 と な る.TS 手 法 は 発 注 者 に と っ て も メ リ ッ トが あ る 手 法 で あ る た め,総 合 評 価 に よ る 技 術 評 価 点 の 加 点 を 行 うこ と に よ り,請 負 者 と して も,TS手 法 に よ る提 案 を行 う メ リ ッ トが 発 生 す る.TS手 法 が 普 及 す れ ば,機 器 及 び ソ フ トウ ェ ア の 購 入 又 は レ ン タ ル 費 用 も 下 が る 可 能 性 が あ る た め,さ らな る利 用 促 進 が 見 込 め る と考
え て い る.
基 本 設 計 デ ー タ は,設 計 段 階 か ら流 通 して い な い た め,基 本 設 計 デ ー タ 作 成 作 業 が 手 間 と な っ て い る.
た だ し,基 本 設 計 デ ー タ の う ち道 路 中 心 線 形 デ ー タ は,道 路 中 心 線 形 デ ー タ 交 換 標 準 に 係 わ る 電 子 納 品 運 用 ガ イ ドラ イ ン(案)22)に 基 づ く道 路 中 心 線 形 デ
ー タ の 電 子 納 品 が 平成20年10月 以 降 の 業 務 か ら適 用 され る.今 後,道 路 中 心 線 形 デ ー タ が 設 計 段 階 よ
り流 通 し,基 本 設 計 デ ー タ 作 成 作 業 が 一 部 効 率 化 さ れ る.そ の た め,請 負 者 がTS手 法 を 利 用 す る 効 果 が 高 く な る と考 え て い る.
(3)施 工 作 業 の 効 率 化
ラ ウ ンデ ィ ン グ部 の 処 理 方 法 な どTS手 法 に お け る 施 工 方 法 が 確 立 され て い な い 事 例 が あ る.現 行 の施 工 方 法 は ラ ウ ンデ ィ ン グ 部 の 端 部 を厳 密 に 定 義 して
‑216‑
い る わ け で は な い た め,TS手 法 で は,ラ ウ ン デ ィ ン グ 部 の 曲 面 部 を 直 線 で 近 似 す る こ と に よ っ て 施 工 可 能 で あ る と考 え て い る.
そ の た め,TS手 法 に よ る施 工 作 業 の 効 率 化 す る た め に は,現 行 の 施 工 手 法 を と りま と め た 上 でTS手 法 の 施 工 事 例 を 検 証 す る.そ の 上 で,施 工 事 例 集 と し て 公 表 して い く こ と を考 え て い る.
(4)監 督‑検 査 業 務 の 迅 速 化
監 督 ・検 査 業 務 に お け るTS手 法 と従 来 手 法 の 作 業 時 間 は 同 じ程 度 で あ る と い う ヒ ア リ ン グ結 果 を 得 た.
TS手 法 に 関 す る 監 督 ・検 査 職 員 へ の 説 明 時 間 は,監 督 ・検 査 職 員 がTS手 法 に慣 れ る こ と に よ り時 間 短 縮 が 図 る こ とが で き る‑そ の た め,今 後,TS手 法 が 普 及 し て い く と,監 督 ・検 査 業 務 の 迅 速 化 に も 寄 与 す
る の で は な い か と考 え て い る.
10.ま と め
試 行 工 事 で 利 用 した 請 負 者 向 け 要 領,監 督 ・検 査 職 員 向 け 要 領 は,試 行 工 事 結 果 を 踏 ま え て 編 集 し, 施 工 管 理 デ ー タ を 搭 載 した トー タ ル ス テ ー シ ョ ン に
よ る 出 来 形 管 理 要 領(案)23)(以 下,要 領(案)と い う)及 び 施 工 管 理 デ ー タ を 搭 載 した トー タ ル ス テ ー シ ョ ン に よ る 出 来 形 管 理 監 督 ・検 査 の 手 引 き (案)24)(以 下,手 引 き(案)と い う)と して 作 成 した.作 成 した 要 領(案)は 平 成20年4月 に 公 開 し, 道 路 土 工 及 び 河 川 ・海 岸 ・砂 防 土 工 を 対 象 にTS手 法 が 運 用 で き る こ と とな っ た.
TS手 法 に よ る請 負 者 及 び 監 督 ・検 査 職 員 の 作 業 内 容 は,要 領(案)及 び 手 引 き(案)の 作 成 に よ り明 確 と な っ た.ま た,要 領(案)及 び 手 引 き(案)に 基 づ くTS手 法 は,施 工 作 業 の迅 速 化,品 質 向 上,監 督 ・検 査 業 務 の 迅 速 化 が 期 待 で き る.
国 土 交 通 省 で は,情 報 化 施 工 推 進 戦 略 が 策 定 さ れ 25),施 工 段 階 の 情 報 を 維 持 管 理 段 階 で 活 用 す る 方 法 や 設 計 デ ー タ を 建 設 機 械 へ 活 用 す る 方 法 な ど を 検 討 す る こ と に な っ て い る.ま た,3次 元 設 計 情 報 に お い て は,道 路 中 心 線 形 デ ー タ が 道 路 中 心 線 形 デ ー タ 交 換 標 準 に 係 わ る 電 子 納 品 運 用 ガ イ ドラ イ ン(案)
に 従 っ て 受 け 渡 され る.道 路 中 心 線 形 デ ー タ の み な らず 道 路 横 断 形 状 デ ー タ な ど の 設 計 情 報 が 流 通 す れ ば,基 本 設 計 デ ー タ 作 成 は効 率 化 され る た め,TS手 法 が よ り効 果 の高 い 手 法 とな る と考 え て い る.
謝 辞:本 研 究 を 遂 行 す る に あ た り,施 工 の 高 度 情 報 化 分 科 会,有 限 責 任 中 間 法 人 日 本 測 量 機 器 工 業 会 ソ フ ト部 門 会,社 団 法 人 日本 建 設 機 械 化 協 会 施 工 技 術 総 合 研 究 所 の 方 々 に は 要 領 作 成 で 貴 重 な ご 意 見,ご 協 力 を 賜 っ た.ま た,国 土 交 通 省 大 臣 官 房 技 術 調 査 課 及 び 総 合 政 策 局 建 設 施 工 企 画 課 や 各 地 方 整 備 局 に は 試 行 に お け る 実 証 実 験 で ご 協 力 を 賜 っ た.こ こ に 記 し て 感 謝 の 意 を 表 す る.
【参 考 文 献 】
1) 塚 田 幸 広, 青 山 憲 明, 光 橋 尚 司: 統 合 情 報 の 活 用 に よ る 建 設 情 報 の 高 度 化‑建 設CALS/ECを 中 心 と し た 動 向, 土 木 学 会 論 文 集, No.581/VI‑37, pp.1‑
15, 1997.
2) 岸 野 正, 奥 谷 正, 有 冨 孝 一: シ ス テ ム ア ー キ テ ク チ ャ 構 築 に よ る 建 設 マ ネ ジ メ ン トの 効 率 化, 建 設 マ ネ ジ メ ン ト問 題 に 関 す る 研 究 発 表 ・討 論 会 講 演 集, Vol.21, pp.135〜138, 2003.
3) 有 冨 孝 一: ITを 活 用 し た 施 工 管 理 の 業 務 改 善, 建 設 マ ネ ジ メ ン ト問 題 に 関 す る 研 究 発 表 ・討 論 会 講 演 集, Vol.21, pp.147〜150, 2003.
4) 斉 藤 重 明, 木 村 哲, 杉 村 正 次, 堀 場 夏 峰: GPSを 用 い た 出 来 形 管 理 シ ス テ ム 構 築 の た め の‑検 討, 土 木 情 報 シ ス テ ム シ ン ポ ジ ウ ム 講 演 集, Vol.26, pp.21‑24, 2001.
5) 藤 岡 晃, 菊 田 勝 之, 清 水 則 一, 桜 井 春 輔: GPS測 量 を 用 い た 土 工 事 の 出 来 形 測 定 シ ス テ ム の 開 発, 土 木 学 会 論 文 集, No.468/VI‑19, pp.31‑38, 1993.
6) 宮 嶋 俊 和, 青 野 隆: 土 工 事 の 情 報 化 施 工, 建 設 の 機 械 化, Vol.575, PP.22‑26, 1998.
7) 利 田 光 隆: 進 化 し 続 け る 主 力 測 量 機 トー タ ル ス テ ー シ ョ ン
, 建 設 機 械, Vol.41/No.3, pp.4‑7, 2005.
8) 有 冨 孝 一, 松 岡 謙 介, 上 坂 克 巳, 奥 谷 正: 3次 元 設 計 情 報 を 用 い た 出 来 形 管 理 技 術 の 提 案, 建 設 マ ネ ジ メ ン ト研 究 論 文 集, Vol.11, pp.81〜90, 2004.
9) 有 冨 孝 一, 松 林 豊, 上 坂 克 巳, 柴 崎 亮 介: 施 工 管 理 に 活 用 で き る 道 路 構 造 物 の 基 本 設 計 情 報 の 構 造 化, 土 木 情 報 利 用 技 術 論 文 集, Vol.14, pp.219‑
230, 2005.
10) 有 冨 孝 一, 上 坂 克 巳, 阿 部 寛 之, 田 中 洋 一, 柴 崎 亮 介: トー タ ル ス テ ー シ ョ ン を 活 用 し た 道 路 土 工 に お け る 出 来 形 管 理 シ ス テ ム の 構 築 と 現 場 実 証,
‑217‑
土 木 情 報 利 用 技 術 論 文 集.Vo1.15.pp.259‑
270.2006.
11) 国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局: 土 木 工 事 共 通 仕 様 書.2007. 10.
12) 国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局: 土 木 工 事 施 工 管 理 基 準 及 び 規 格 値.2007. 4.
13) 国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局 企 画 部: 土 木 工 事 書 類 作 成 マ ニ ュ ア ル (案).2008. 4.
14) 国 土 交 通 省: 土 木 工 事 監 督 技 術 基 準 (案).
2003. 3.
15) 国 土 交 通 省: 地 方 整 備 局 土 木 工 事 検 査 技 術 基 準 (案).2006. 3.
16) 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 高 度 情 報 化 研 究 セ ン ター 情 報 基 盤 研 究 室: TSに よ る 出来 形 管 理 に 用 い る施 工 管 理 デ ー タ 作 成 ・帳 票 作 成 ソ フ
トウェ ア の機 能 要 求 仕 様 書 (案).2007. 7.
17) 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 高 度 情 報 化 研 究 セ ン ター 情 報 基 盤 研 究 室: 出 来 形 管 理 用 ト ー タル ス テ ー シ ョ ン機 能 要 求 仕 様 書 (案) Ver2 . 2.
2007. 11.
18) 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 高 度 情 報 化 研 究 セ ン ター 情 報 基 盤 研 究 室: TSに よ る出 来 形
管 理 に 用 い る 施 工 管 理 デ ー タ 交 換 標 準 (案) Ver2.0.2007. 12.
19) 国 土 交 通 省: 工 事 完 成 図 書 の 電 子 納 品 要 領 (案).2005. 6.
20) 阿 部 寛 之.上 坂 克 巳.有 冨 孝 一.金 澤 文 彦.田 中 洋 一: 土 木 工 事 の 検 査 機 器 と して の トー タ ル ス テ ー シ ョン の 精 度 に 関 す る‑考 察.土 木 情 報 利 用 技 術 講 演 集.Vol.31.pp.73‑76.2006.
21) 国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局: 土 木 工 事 写 真 管 理 基 準.2007. 4.
22) 国 土 交 通 省 大 臣 官 房 技 術 調 査 課: 道 路 中 心 線 形 デ ー タ 交 換 標 準 に 係 わ る 電 子 納 品 運 用 ガ イ ド
ライ ン (案).2008. 3.
23) 国 土 交 通 省: 施 工 管 理 デ ー タ を 搭 載 した トー タ ル ス テ ー シ ョ ン に よ る 出 来 形 管 理 要 領 (案).
2008. 3.
24) 国 土 交 通 省: 施 工 管 理 デ ー タ を搭 載 した トー タ ル ス テ ー シ ョ ン に よ る 出 来 形 管 理 監 督 ・検 査 の 手 引 き (案).2008. 3.
25) 森 下 博 之: 情 報 化 施 工 推 進 戦 略 の 策 定 に つ い て.
建 設 マ ネ ジ メ ン ト技 術.364号.2008. 9.
A study of realizing a manual for as-build management method by using the total station system
By Akihiro KAMBARA.Yoichi TANAKA.and Fumihiko KANAZAWA
A total station (TS) is electric stadimeter and transit which can measure simultaneously distance by laser and an angle by universal instrument.and it is used generically in the public survey. Meanwhile.the Ministry of Land.Infrastructure.Transport and Tourism is promoting construction management by using Information and Communication Technology (ICT). As a part of the promoting.as-build management of construction management was proposed for as-build management method by using the TS. However.as- build management by using the TS was not defined management method.so it was not promoted.
In this study.as-build management method by using the TS was developed as a manual for the purpose of the promoting in efficiency. In addition.it was conducted the trial work for the manual by using the system which consisted of TS and software by using the TS (TS system).and it was verified applicability. By the verification result.the as-build management method as the manual which used the TS system could be realized by the real work. In addition.it has shown that as-build management method as a manual can be realized speeding up in construction.improving quality, and speeding up in check inspection.
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