経済産業省資源エネルギー庁御中
平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査
再生可能エネルギーに関する海外コスト調査分析事業
調査報告書
平成 30 年 3 月
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所
i 目次
第1章事業目的と調査の概略 ... 1
第2章調査の方法 ... 3
1. 主要国調査機関との連系による情報収集 ... 3
2. 共通フォーマット ... 3
3. データ収集の結果(国別収集状況) ... 5
4. データ収集状況を勘案した分析 ... 5
第3章 VREの発電コスト構造 ... 7
1. 電源別のコスト構造(太陽光:住宅用) ... 7
2. 電源別のコスト構造(太陽光:非住宅用) ... 10
3. 電源別のコスト構造(風力:陸上) ... 12
4. 電源別のコスト構造(風力:洋上) ... 14
第4章 2030年及び2050年のLCOE見通し ... 18
1. 評価方法 ... 18
2. 評価結果 ... 23
第5章統合コストの評価 ... 32
1. 統合コスト評価の必要性 ... 32
2. 統合コストの概念 ... 34
3. 統合コストの区分 ... 38
4. 統合コストの評価例 ... 39
5. 統合コスト評価の課題 ... 49
第6章まとめ ... 50
1. 調査結果からの示唆 ... 50
2. 詳細なLCOE比較分析の必要性 ... 50
3. 統合コスト評価の重要性 ... 52
4. 今次分析方法の課題 ... 52
付属資料:各国データの出所・参考資料 ... 55
ii
<図目次>
図 2-1 LCOEの現状分析・見通し作業の流れ ... 6
図 3-1 住宅用PVのLCOE評価 ... 8
図 3-2 住宅用PVの初期投資費用 ... 9
図 3-3 非住宅用PVのLCOE評価 ... 11
図 3-4 非住宅用PVの初期投資費用 ... 12
図 3-5 陸上風力のLCOE評価 ... 13
図 3-6 陸上風力の初期投資費用 ... 14
図 3-7 洋上風力のLCOE評価 ... 15
図 3-8 洋上風力の初期投資費用 ... 17
図 4-1 太陽光発電コスト(住宅用、非住宅用)の将来見通しの推計方法 ... 19
図 4-2 米国における初期費用及びO&M費用の低下(2010~2017年) ... 20
図 4-3 陸上風力発電コストの将来見通しの推計方法 ... 21
図 4-4 米国における設備利用率向上の見通し(NREL) ... 22
図 4-5 モジュール価格の推移と習熟率の推計 ... 24
図 4-6 2030年及び2050年のモジュール価格低減見通し ... 25
図 4-7 住宅用太陽光発電のLCOE低減見通し ... 27
図 4-8 非住宅用太陽光発電のLCOE低減見通し ... 28
図 4-9 タービン価格における習熟率の推計 ... 29
図 4-10 2030年及び2050年のタービン価格低減見通し ... 30
図 4-11 陸上風力発電のLCOE低減見通し ... 31
図 5-1 東欧を対象とした「100%再エネ」評価例(Dominkovic et al.; 2016) ... 34
図 5-2 統合コストの概念図 ... 35
図 5-3 平均費用と限界費用(例) ... 37
図 5-4 英国におけるバランスコスト(Joos and Saffell; 2018) ... 39
図 5-5 統合コストの評価例(Hirth et al.; 2015) ... 40
図 5-6 統合コストの評価例(UKERC, 2016) ... 42
図 5-7 蓄電池必要量の評価例(Cebulla et al.; 2018) ... 44
図 5-8 統合コストの評価例(Brouwer et al., 2016) ... 45
図 5-9 統合コストの評価例(Samadi, 2017) ... 47
図 5-10 統合コストの評価例(Sholz, 2017) ... 48
図 5-11 System LCOEの評価例(Gils, 2017) ... 49
図 6-1 アイルランドにおける陸上風力発電の初期投資コスト見通し(€/kW) ... 51
<表目次> 表 2-1 LOCE共通フォーマット(各電源共通) ... 4
表 2-2 国別データ収集状況 ... 5
表 3-1 住宅用PVのLCOE評価 ... 8
表 3-2 住宅用PVの初期投資費用 ... 9
表 3-3 非住宅用PVのLCOE評価 ... 10
表 3-4 非住宅用PVの初期投資費用 ... 11
表 3-5 陸上風力のLCOE評価... 13
iii
表 3-6 陸上風力の初期投資費用 ... 14
表 3-7 洋上風力のLCOE評価... 15
表 3-8 洋上風力の初期投資費用 ... 16
表 4-1 陸上風力発電の設備利用率想定 ... 23
表 4-2 2030年及び2050年の太陽光発電設備容量見通し ... 24
表 4-3 各国のBOS費用の習熟率 ... 26
表 4-4 2030年及び2050年の陸上風力発電設備容量見通し ... 30
表 5-1 再エネ100%シナリオ採点結果(Heard et al.; 2012)... 33
1 第1章 事業目的と調査の概略
近年、世界的な再生可能エネルギーの導入拡大が進む中で、再生可能エネル ギーによる発電コストが年々低減し、他の電源と比較してもコスト競争力のあ る電源となり、更なる再生可能エネルギーの導入拡大がもたらされるという好 循環が生じている。
他方で、我が国における再生可能エネルギーによる発電コストは、国際水準 と比較して依然高い状況にある。例えば、太陽光発電競争力強化研究会報告書
(太陽光発電競争力強化研究会、2016年 10月)では、日本の非住宅用太陽光 発電のシステム価格は欧州の約 1.9 倍、住宅用のシステム価格は約 1.8 倍と報 告されている。また、同時期に取り纏められた風力発電競争力強化研究会報告 書(風力発電競争力強化研究会、2016年 10月)では、日本の風力発電の発電 コストが欧州主要国の 2倍程度と評価されている。
2015年に取り纏められた日本の長期エネルギー需給見通しでは、2030年度 の発電電力量に占める再生可能エネルギー由来の電気 の比率を 22~24%とす る目標が設定されたが、この目標を実現するとともに、以降も持続的に再生可 能エネルギーの導入拡大を図っていくためには、我が国でも大幅なコストダウ ンを通じて、再生可能エネルギーをコスト競争力のある電源としていくことが 必要である。
こうした政策課題に取り組むに当たっては、まずは、海外の再エネコストを 正しく分析することが不可欠である。しかし、従来の国際比較の中には、①各 国のコスト算定基準が統一されておらず、比較になじまないもの、②蓄電池や バックアップ電源、系統への接続に係る費用が計上されていな いもの、③各国 の自然条件、再エネに関係するインフラ整備状況やエネルギー政策等を適切に 反映できていないものなどが少なくない。本事業ではこうした問題点を克服し つつ、海外の再エネコストの調査・分析を行うことを目的とする。
具体的には、調査対象国における研究機関・組織等に、当該国の変動性再生 可能エネルギー(VRE:Variable Renewable Energy)の平準化発電単価
(LCOE:Levelized Cost of Electricity (Energy))の評価データと系統安定化 費用(Grid-level system costs)の分析情報の提供を依頼し、一次情報の収集 を行った。各国におけるデータの入手可能性や分析事例の制約によってデータ
2
の不足部分がある場合には、参照可能な LCOE データの出所における情報を 活用して、より詳細な分析を試みた。次いで、各国の過去の LCOE データを 用いた習熟曲線の導出を行い、設備費や O&M等の設備費以外の価格低減の動 向について分析を行った。ここで得られた習熟曲線データと各国の政府や研究 機関、IEA等の国際機関、もしくは(一財)日本エネルギー経済研究所の長期 エネルギー需給見通しにおける長期的なVRE 導入見込みより、2030年・2050 年における LCOEの見通しを行い、各国別の動向について分析を行った。 更 に、VRE大量導入時を想定した際に系統等で追加的に必要となる統合コスト について、主に欧米を対象とした既往の研究事例を纏めた。 最後に、今後の VRE促進に向けて、LCOE評価を通じた日本と海外の比較分析 と LCOEの将 来見通しの結果から得られた示唆と、今回実施した事業の課題 について取り纏 めている。
3 第2章 調査の方法
1. 主要国調査機関との連系による情報収集
本調査では、IRENAや IEA等の国際統計情報とは独立したデータの収集を 試みた。具体的には、対象候補国における主要な研究機関等を選定し、各国で 個別に収集・分析されている LCOEや系統安定化費用のデータ収集の可能性 についてアプローチを行った。収集するデータについては、各国を横並びで比 較可能とすること、ならびに、より詳細な情報の収集を目指すことを目的とし て、国際機関等で検討されている LCOE の費用項目を特定化した共通フォー マットを作成し、各機関から提供可能な情報を入手した。調査対象の VRE は 住宅用・非住宅用 PV(国情によって、いずれかのデータが選択された)と陸 上・洋上風力発電を取り上げている。
データ提供の要請では、最も至近の設備に関する情報と、長期的な LCOE
(国によって、入手可能な分析年次は異なる)も対象として加えている。これ は、将来的な LCOEの推計にあたっては、各国におけるエネルギー需給と VRE導入見通し(計画)に大きく左右されるため、直近の実績と見通しとの 間に手法的な整合性を担保するためである。また、後述する各国別の LCOE 見通しの結果と比較することで、本調査で実施した推計結果の確からしさを検 証するために 活用する事も、収集目的の一つである。
2. 共通フォーマット
(1) LCOE 情報収集フォーマット
LCOE共通フォーマットでは、以下の事項の情報について情報の収集を依頼 している。
① 運転開始年:LCOEを評価した設備の運転開始年
② 設備容量:LCOEを評価した発電設備の設備容量。国によっては、経年比 較を行うために設備容量を現状と将来について固定している場合がある。
③ 設備利用率:発電設備が設備容量に基づいて 100%発電することに対する 想定される発電電力量(一般には、風況が良ければ設備利用率は高まる)
④ 運転期間:LCOE評価を行うにあたっての想定される事業期間
⑤ 金利:事業期間を通じて要する金融コストの前提
⑥ 初期投資費用(機器費用):発電設備の費用で、一般にタービンやインバ ータ、風力のタワー等の費用が含まれる
4
⑦ 初期投資費用(土地代、建築費等):発電設備の購入・地代、建設に係る 費用が含まれる
⑧ 系統接続費用:発電設備から主系統への接続に係る費用、接続料金が設定 されている場合がある
⑨ 廃止費用:設備運転終了時における廃棄等に向けた費用(引当)
⑩ 運転費用(人件費):発電時に発生する発電量当たりの人件費
⑪ 運転費用(修繕費):発電設備の修繕に 係る費用、定期保証等も含まれる
⑫ 運転費用(その他):運転に係る租税、保険、等
表 2-1 LOCE共通フォーマット(各電源共通)
5 3. データ収集の結果(国別収集状況)
関係機関からの LCOEデータ収集状況 を表 2-3 に記す。
表 2-2 国別データ収集状況
※ 注 : △ は フ ォ ー マ ッ ト に 数 値 の 記 載 は な い が 、 参 考 情 報 が 記 さ れ て い た も の
各国からもたらされた LCOE情報は、各国の電源構成や統計・分析の蓄積状 況を反映してバラツキが認められる。例えば、シンガポールの国内における主 たるVREは住宅用太陽光発電(業務用ビル等への設置を含む)ことから PV に限定される。また、スペインの将来値に関しては、費用項目が欠落している ものもある。そのため、本調査の目的に沿った分析を行うにあたっては、参照 された文献情報、もしくは IEA等で公表された時系列データ等の活用に よっ て、不足するデータの補完を行うこととした。
4. データ収集状況を勘案した分析
前述したように、収集した情報は部分的に欠落している国が認められた(本 件は、複数国における LCOE分析の実施に当たって、個別情報のみに依存し た分析の制約・課題であると考えられる)。そのため、現状の LCOE 分析や 後述する習熟曲線を用いた過去からの費用低減、ならびに将来的な LCOE の 評価を行うに当たっては、継続性のある IEA 等のデータと比較しながら、そ の情報の確からしさを踏まえつつ分析を行う事とした。また、LCOEのより詳 細な分析は、各国の数値根拠として参照しているデータベースや文献情報のデ ータを適宜活用しながら実施すること とした(図 2-1)。
6
図 2-1 LCOE の現状分析・見通し作業の流れ
(1) 手法①:LCOEの現在値、ならびに将来値を入手した場合
➢ 現在値に関しては IEA やIRENA によるデータを参照し、データ の確からしさを確認する(関連するデータベースや文献を参照し て、現在値の詳細分析を行う)。
➢ その上で、IEA過去系列データから習熟曲線を推計することで、
現在値までのコスト低減の傾向を分析する。
➢ 得られた習熟曲線と将来の VRE導入見通し (政策目標)から、長 期的な LCOEの評価を行う。
(2) 手法②:LCOEの将来値が未入手(内訳が不明)の場合
➢ 現在値に関しては手法①に同じ。
➢ 習熟曲線に将来の導入見込み値(国内外の機関公表値)を入力して 将来値を推計する。
(3) 手法③:LCOEの現在値・将来値が未入手(内訳が不明)の場合
➢ 現在値に関しては、IEAの時系列データに基づき分析するととも に、習熟曲線を推計する。
➢ 習熟曲線に将来の導入見込み値(国内外の機関公表値)を入力して 将来値を推計する。
7 第3章 VREの発電コスト構造
本章では、国内外から得られたデー タに基づいて、VRE の発電コスト
(LCOE)を電源別に各国の比較分析を行うことにする。
1. 電源別のコスト構造(太陽光:住宅用)
表 3-1、図 3-1 に、住宅用太陽光発電の LCOEデータを記す。米国は、特 に日照条件の違いによる LCOEの違いが示されている。米国内での条件の違 いは、設備利用率で 14ポイントの開きがあり、LCOEも 4倍近い格差となっ ており、基本的に日照条件の違 いがLCOE に強く影響を与えることが示唆さ れている。国の代表値として LCOEが低いのは欧州のドイツやスペイン、そ してシンガポールである。スペインは日照条件が最も良好であり、かつ運転期 間が長いことから LCOEが低水準になっていると考えられる。実際に想定し ている期間、設備が稼働するのかは今後の追跡的評価が必要であるが、メンテ ナンスや設備寿命の長期化が、住宅用太陽光発電の LCOE低下に向けた取り 組みとなりうるともいえる。ドイツの設備利用率は他国と違いはないものの、
初期投資と運転維持費双方が低い水準にあり、FIT 制度導入による急速な設備 の導入による生産・運用両面でスケールメリットがもたらされていると考えら れる。市場が未成熟なマレーシアやタイでは、他の国に比べ特に初期投資額が 高く、かつ運転維持費率が相対的に高いという特徴がある。日本は、モジュー ルコストと運転維持費双方でドイツ・スペインに比べ LCOEが 2倍程度高く なっている。
8
表 3-1 住宅用PVのLCOE 評価
(出 所)ド イ ツ は 、Fraunhofer Institute, “Recent Facts about Photovoltaics in Germany”, January 3, 2018の 住 宅 用PV初 期 投 資 費 用 デ ー タ と ド イ ツ よ り 入 手 し た デ ー タ よ り 推 計 。 そ の 他 は 各 国 か ら の 収 集 資 料 よ り 作 成 。 日 本 は 、 資 源 エ ネ ル ギ ー 庁 調 達 価 格 等 算 定 委 員 会 「 平 成 30 年 度 以 降 の 調 達 価 格 等 に 関 す る 意 見 」 ( 平 成30年2月7日 ) の デ ー タ を 参 考 に 推 計 。
( 注 ) 金 利 : ス ペ イ ン は 負 債 が な い 場 合 の 借 入 金 利 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 マ レ ー シ ア 、 タ イ は 借 入 金 利 、 米 国 は 資 本 費 をWACC( 加 重 平 均 資 本 費 用 ) で 示 し て い る こ と か ら 金 利 で は な く 割 引 率 、 そ の 他 の 国 も 割 引 率 で 想 定 。
図 3-1 住宅用 PVのLCOE評価
(出 所)表3-1に 同 じ
最小 最大 最小 最大
設置年 2016 2020 2016 2017 2014 2014
設備利用率(%) 27 13 14 11 21 14 15 15 15 17
運転期間(年) 25 25 30 20 20 20
金利・割引率(%) 5 10 7 3 7 7
LCOE
(US-cent(2016)/kWh) 7.0 30.2 8.9 26.8 8.3 18.7 7.7 8.9 15.4 24.6 初期投資 4.6 27.8 7.3 22.4 7.5 16.5 6.8 8.0 13.4 22.1
運転維持費 2.4 2.4 1.5 4.4 0.8 2.2 0.9 0.8 2.0 2.5
[構成比率]
初期投資 66% 92% 83% 84% 90% 88% 88% 90% 87% 90%
運転維持費 34% 8% 17% 16% 10% 12% 11% 9% 13% 10%
5.4 4-20
米国 シンガポール
2015
30
2017
20 日本
ドイツ アイルランド スペイン マレーシア タイ
92%
66%
83% 84%
90% 88% 90% 88% 87% 90%
0%
25%
50%
75%
100%
0 5 10 15 20 25 30 35
米国 最大
米国 最小
ドイツ アイルランド スペイン 日本 シンガポール 最大
シンガポール 最小
マレーシア タイ
初期投資 運転維持費 初期投資費用比率
US-cent(2016)/kWh
9
表 3-2、図 3-2 に住宅用 PVの初期投資費用の推移と、構成要素の値を記し ている。今回入手したデータの中には詳細不明なものが含まれていたが、投資 額では欧州と中国が相対的に低位である。その中で、日本のモジュールと設置 費用が、対象国の中で高位にあることが認められる。
表 3-2 住宅用 PVの初期投資費用
( 出 所 )IEA: IEA PAPS, TRENDS (Year) IN PHOTOVOLTAIC APPLICATIONS、METI: 調 達 価 格 等 算 定 委 員 会 資 料 よ り 推 計 、 そ の 他 は 各 国 か ら の デ ー タ 。
( 注1) 米 国 の ソ フ ト 費 用 と は 、 系 統 接 続 や 土 地 取 得 等 の 事 務 的 経 費 を 含 む 。
( 注2) 接 続 と は 、 発 電 設 備 か ら 系 統 ま で の 系 統 接 続 設 備 費 。
図 3-2 住宅用PVの初期投資費用
( 出 所 ) 表3-2に 同 じ
スペイン 日本 中国
IEA METI IEA IEA IEA
設置年 2016 2018 2016 2020 2016 2016 2015 2017 2014 2016 2014 2015
内訳不明 2.35 0.76 1.77 1.95 2.33
モジュール 0.64 0.68 0.75 1.99 0.59 0.68 0.95 0.78
インバータ 0.21 0.22 0.40 0.09 0.27 0.32 0.34
他ハード費用 0.37 0.53 0.24 0.12 0.27 0.33 0.31
設置 0.3 0.12 0.63 0.19 0.30 0.15 0.31
ソフト費用(設置以外) 1.41 0.02 0.11 0.14 0.11 0.17
接続 0.03 0.07
Total 2.93 2.35 1.44 1.77 1.66 3.25 1.11 1.95 1.69 1.92 2.33 1.91
タイ
(単位:USD(2016)/W) 米国 英国 ドイツ アイルランド シンガポール マレーシア
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5
2016 2018 2016 2020 2016 2016 2015 2017 2014 2016 2014 2015
IEA METI IEA IEA IEA
米国 英国 ドイツ アイルランド スペイン 日本 中国 シンガポール マレーシア タイ 接続
ソフト費用(設置以外)
設置 他ハード費用 インバータ モジュール 内訳不明 USD(2016)/W
10 2. 電源別のコスト構造(太陽光:非住宅用)
非住宅用の太陽光発電の LCOEも、住宅用と同様の傾向が認められる。日 照条件の良いスペインが最も LCOEが低い水準にあり、日照条件がスペイン ほど良好ではないドイツ・英国がそれに続く。
国際的にみて大幅な PV導入が進むドイツだが、公開データの取得制約によ り2014年断面の水準が示されている。しかし、2017年後半に実施された入札 結果からは、設備コストと運転維持費の双方が短期的に低下している可能性が 示唆されている。そのため、ドイツの LCOE の直近の水準は、表 3-3での値 以上に低下している可能性がある。
日本は、欧州先進国に比べて住宅用同様に LCOEが高位であるが、特に初 期投資の欧州との格差は住宅用に比べて縮小していることが認められる。
表 3-3 非住宅用 PVのLCOE 評価
(出 所)各 国 か ら の 収 集 資 料 よ り 作 成 。 日 本 は 、 資 源 エ ネ ル ギ ー 庁 調 達 価 格 等 算 定 委 員 会 「 平 成 30 年 度 以 降 の 調 達 価 格 等 に 関 す る 意 見 」 ( 平 成30年2月7日 ) の デ ー タ を 参 考 に 推 計 。
( 注 ) 金 利 : ス ペ イ ン は 負 債 が な い 場 合 の 借 入 金 利 、 イ ン ド ネ シ ア は 借 入 金 利 、 米 国 は 資 本 費 をWACC( 加 重 平 均 資 本 費 用 ) で 示 し て い る こ と か ら 金 利 で は な く 割 引 率 、 そ の 他 の 国 も 割 引 率 で 想 定 。
最小 最大
設置年 2014 2014 2020 2016 2017 2017 2014
設備利用率(%) 27 13 14 14 11 21 15 14 18
運転期間(年) 25 25 25 30 20 25 20
金利・割引率(%) 6.7 5 10 7 3 6 7
LCOE
(US-cent(2016)/kWh) 6.8 13.6 8.4 10.1 13.3 6.8 14.9 9.6 17.4 初期投資 5.6 12.4 7.1 8.2 11.4 6.2 11.6 6.9 15.8 運転維持費 1.2 1.2 1.2 1.9 1.9 0.6 3.3 2.7 1.6
[構成比率]
初期投資 83% 91% 85% 81% 86% 91% 78% 72% 91%
運転維持費 17% 9% 15% 19% 14% 9% 22% 28% 9%
中国
アイルランド スペイン インドネシア
5.4 米国
2015
30
日本 英国 ドイツ
11
図 3-3 非住宅用 PVのLCOE 評価
(出 所)表3-3に 同 じ 。
表 3-4、図 3-4 に非住宅用 PVの初期投資費用を記す。日本と米国の費用が 他の先進国に比べ高位にある。ただし、住宅用モジュール費用に比べれば、各 国との価格差は縮小していることが伺える。
表 3-4 非住宅用 PVの初期投資費用
( 出 所 )IEA: IEA PAPS, TRENDS (Year) IN PHOTOVOLTAIC APPLICATIONS、METI: 調 達 価 格 等 算 定 委 員 会 資 料 よ り 推 計 、 そ の 他 は 各 国 か ら 寄 せ ら れ た デ ー タ
( 注1) 米 国 の ソ フ ト 費 用 と は 、 系 統 接 続 や 土 地 取 得 等 の 事 務 的 経 費 を 含 む 。
( 注2) 接 続 と は 、 発 電 所 か ら 系 統 ま で の 系 統 接 続 設 備 費 。 ド イ ツ の 接 続 費 用 は 、 発 電 設 備 か ら 直 線 距 離 で 最 短 の 、 グ リ ッ ド シ ス テ ム か ら 求 め ら れ る 電 圧 で 接 続 す る た め の 新 規 電 源 線 建 設 に 係 る 費 用 が 記 さ れ て い る 。 そ の た め 、 地 理 的 条 件 に よ っ て 、 実 際 に は よ り 多 く の 費 用 を 負 担 す る 場 合 が あ る 。
91%
83% 85%
81% 86% 91%
78% 72%
91%
0%
25%
50%
75%
100%
0 5 10 15 20 25 30
米国 最大
米国 最小
英国 ドイツ アイルランド スペイン 日本 中国 インドネシア
初期投資 運転維持費 初期投資費用比率
US-cent(2016)/kWh
USD(2016)/W
IEA IEA METI IEA IEA IEA
2016 2016 2018 2020 2014 2017 2016 2016 2016 2017 2015 2014 2014 2014 2015
内訳不明 1.10 1.07 1.35 2.33
ハード費用 0.90 1.30
モジュール 0.64 0.64 0.62 0.49 1.05 0.90 0.59 0.51 0.62
インバータ 0.09 0.10 0.12 0.06 0.26 0.37 0.05 0.13 0.14
他ハード費用 0.26 0.20 0.07 0.50 0.27 0.15 0.26 0.14
設置 0.16 0.15 0.06 0.14 0.79 0.63 0.04 0.22 0.06 0.11 0.25
ソフト費用(設置以外) 0.25 0.33 0.11 0.02 0.03 0.00 0.13 0.19 0.25 0.47 0.17
その他 0.26
土地造成 0.04
接続 0.01 0.04 0.07 0.12 0.10 0.14 0.09
Total 1.49 1.42 1.25 1.07 1.13 1.35 0.77 2.66 2.17 1.17 1.21 1.35 1.97 2.33 1.33
マレーシア インドネシア タイ
(単位:USD(2016)/W)
米国 スペイン 日本 中国
英国 アイルランド ドイツ
12
図 3-4 非住宅用 PVの初期投資費用
(出 所)表3-4に 同 じ 。
3. 電源別のコスト構造(風力:陸上)
日本の風力発電は、近年設置される発電設備の技術的向上等によって設備利 用率が増加し、発電コストの低減に貢献しているとみられる。直近に運転開始 した発電設備の設備利用率は 25%を超える実績が認められるなど、LCOEの低 減がもたらされていると考えられる。しかし、比較対象として欧州の状況をみ れば、より高い設備利用率による運用が行われており、引き続き LCOE の価 格差が認められる。
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5
2016 2016 2018 2020 2014 2017 2016 2016 2016 2017 2015 2014 2014 2014 2015
IEA IEA METI IEA IEA IEA
米国 英国 アイルラン ド
ドイツ スペイン 日本 中国 マレーシア インドネシ ア
タイ 接続
土地造成 その他
ソフト費用(設置以外)
設置 他ハード費用 インバータ モジュール ハード費用 USD(2016)/W
13
表 3-5 陸上風力のLCOE評価
(出 所)各 国 か ら の 収 集 資 料 よ り 作 成 。 日 本 は 、 資 源 エ ネ ル ギ ー 庁 調 達 価 格 等 算 定 委 員 会 「 平 成 30 年 度 以 降 の 調 達 価 格 等 に 関 す る 意 見 」 ( 平 成30年2月7日 ) の デ ー タ を 参 考 に 推 計 。
( 注 ) 金 利 : ス ペ イ ン は 負 債 が な い 場 合 の 貸 出 金 利 、 米 国 は 資 本 費 を WACC( 加 重 平 均 資 本 費 用 ) で 示 し て い る こ と か ら 金 利 で は な く 割 引 率 、 そ の 他 の 国 も 割 引 率 で 想 定 。
図 3-5 陸上風力のLCOE評価
(出 所)表3-5に 同 じ 。
表 3-6に、陸上風力の初期投資費用について記す。詳細が不明な国がいくつ かあるものの、コストの高低を左右する要因はタービンのコスト、およびその 他の要素である。この要素には建設費や土地収用等の費用が含まれる。
日本は、タービン+タワーのコストが欧米諸国に比べ高いことが、 全体のコ スト押し上げ要因となっていることが確認できる。
最小 最大 最小 最大 風況良 風況普通
運転開始年 2016 2017 2017 2017
設備利用率(%) 47 11 50 30 32 23 25 23
運転期間(年) 20 20 20 20
金利・割引率(%) 10 7.25 3 6
LCOE
(US-cent(2016)/kWh) 4.0 18.1 6.6 10.7 5.9 8.6 9.8 8.1 13.0 6.7
初期投資 2.7 12.7 4.6 8.7 3.4 5.8 7.7 6.3 8.5 4.0
運転維持費 1.3 5.5 2.0 2.0 2.4 2.9 2.1 1.8 4.5 2.7
[構成比率]
初期投資 68% 70% 70% 81% 58% 67% 79% 78% 65% 60%
運転維持費 32% 30% 30% 19% 42% 33% 21% 22% 35% 40%
米国 英国 ドイツ
アイルランド
5.4 6.7 3.5
中国
2015
24
2017
20 2018
31.7 24
日本 スペイン
14
表 3-6 陸上風力の初期投資費用
( 出 所 )IEA: IEA Wind TCP Annual Report、 そ の 他 は 各 国 デ ー タ
( 注1) 接 続 と は 、 発 電 所 か ら 系 統 ま で の 系 統 接 続 設 備 費 。 ド イ ツ の 接 続 費 用 は 、 発 電 設 備 か ら 直 線 距 離 で 最 短 の 、 グ リ ッ ド シ ス テ ム か ら 求 め ら れ る 電 圧 で 接 続 す る た め の 新 規 電 源 線 建 設 に 係 る 費 用 が 記 さ れ て い る 。 そ の た め 、 地 理 的 条 件 に よ っ て 、 実 際 に は よ り 多 く の 費 用 を 負 担 す る 場 合 が あ る 。
( 注2) ド イ ツ の タ ー ビ ン コ ス ト に は 建 設 費 ・ 輸 送 費 が 含 ま れ る ( そ の 他 は 、 建 設 用 地 の 整 備 、 計 画 段 階 の 費 用 等 が 含 ま れ る ) 。
図 3-6 陸上風力の初期投資費用
( 出 所 ) 表3-6に 同 じ
4. 電源別のコスト構造(風力:洋上)
欧州では近年、洋上風力の開発が促進されているが、陸上風力に比べて風況 が良く、陸上に比べて 10ポイント近く設備利用率が高くなるものの、LCOE
IEA IEA IEA IEA
設置年 2016 2018 2016 2016 2018 2016 2016 2015 2017
内訳不明 1.88 1.53 1.35 1.93
タービン 1.26 1.05 1.05 1.83 0.59
タービン(タワー除く) 0.83 1.10
タワー 0.24 0.37
その他 0.52 0.26 0.30 0.19 0.79 1.11 0.68 0.44
接続 0.17 0.08 0.09 0.10
Total 1.59 2.31 1.64 1.53 1.35 1.24 1.93 1.84 2.59 2.51 1.14
(単位:USD(2016)/W)
中国 アイルランド
スペイン
米国 英国 ドイツ 日本
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
2016 2018 2016 2016 2018 2016 2016 2015 2017
IEA IEA IEA IEA
米国 英国 ドイツ スペイン アイルランド 日本 中国
接続 その他 タワー
タービン(タワー除く)
タービン 内訳不明 USD(2016)/W
15
でみればその発電コストは陸上に 比べて未だ倍近い状況にある。しかし、発電 設備の大型化等の技術進展により、コスト低減に対する期待が高まっている。
今回の調査で得られた 2020年代半ばの洋上風力発電の発電コスト見通しで は、現在の発電コストに比べドイツで 40%近く、英国でも 20%近くが 10 年内 に低下すると見込まれている。
表 3-7 洋上風力のLCOE評価
(出 所)各 国 か ら の 収 集 資 料 よ り 作 成 。 日 本 は 、 資 源 エ ネ ル ギ ー 庁 調 達 価 格 等 算 定 委 員 会 「 平 成 30 年 度 以 降 の 調 達 価 格 等 に 関 す る 意 見 」 ( 平 成30年2月7日 ) の デ ー タ を 参 考 に 推 計 。
( 注 ) 金 利 : 米 国 は 資 本 費 をWACC( 加 重 平 均 資 本 費 用 ) で 示 し て い る こ と か ら 金 利 で は な く 割 引 率 、 そ の 他 の 国 も 割 引 率 で 想 定 。
図 3-7 洋上風力のLCOE評価
(出 所)表3-7に 同 じ 。
最小 最大 最小 最大
設置年 2013 2020 2017 2017
設備利用率(%) 45 31 45 45 30 34
運転期間(年) 24 24 20 20 20 20
金利・割引率(%) 7.9 10 3 6
LCOE
(US-cent(2016)/kWh) 10.7 27.4 13.6 17.4 16.2 14.1 20.1 10.3 初期投資 7.9 21.4 9.8 13.6 12.6 11.3 12.7 7.4 運転維持費 2.8 6.0 3.8 3.8 3.7 2.9 7.5 3.0
[構成比率]
初期投資 74% 78% 72% 78% 77% 80% 63% 71%
運転維持費 26% 22% 28% 22% 23% 20% 37% 29%
中国 米国 英国 ドイツ
アイルランド 日本
5.4 6.7
2015 2018
48 22
74% 78%
72% 78% 77% 80%
63%
71%
0%
25%
50%
75%
100%
0 5 10 15 20 25 30
最小 最大 最小 最大
米国 英国 ドイツ アイルランド 日本 中国
初期投資 運転維持費 初期投資費用比率
US-cent(2016)/kWh
16
表 3-8、図 3-8 に、洋上風力の初期投資費用を記す。前述したように、洋上 風力発電の LCOEは陸上風力のそれを大きく上回っているが、費用構成でみ れば、いかにタービン価格の低減を図るかが、コスト低減のポイントとなる。
中国は自国での設備生産を行っていることから、初期投資費用が先進国の約半 分であり、タービンのコストや建設といったサプライチェーン全体でコストが 低減していることが伺える。
表 3-8 洋上風力の初期投資費用
( 出 所 )IEA: IEA Wind TCP Annual Report、 そ の 他 は 各 国 デ ー タ
( 注 ) 接 続 と は 、 発 電 所 か ら 系 統 ま で の 系 統 接 続 設 備 費 。 ド イ ツ の 洋 上 風 力 は 、 発 電 事 業 者 は 既 存 送 配 電 系 統 お よ び 電 源 線 の 建 設 費 用 を 負 担 し な い の で 0と し て い る 。
着床 浮体
2016 2016 2018 2020 2013 2016 2017
内訳不明 3.95 4.13 5.19
タービン 1.51 1.51 1.37 1.03
その他 3.01 4.88 3.39 1.18
接続 0.60 0.00 0.18
Total 4.58 6.38 4.55 4.13 4.76 5.19 2.40
中国
(単位:USD(2016)/W)
米国 英国 アイルランド ドイツ 日本 METI
17
図 3-8 洋上風力の初期投資費用
( 出 所 ) 表3-8に 同 じ 0
1 2 3 4 5 6 7
2016 2016 2018 2020 2013 2016 2017
着床 浮体
米国 英国 アイルランド ドイツ 日本 METI
中国 接続
その他 タービン 内訳不明 USD(2016)/W
18 第4章 2030 年及び2050 年の LCOE見通し
前章で示した各国のデータをもとに、本章では 2030年及び 2050年までの コスト低減見通しを作成した。
1. 評価方法
(1) 太陽光発電
太陽光発電については住宅用、非住宅用それぞれに対し 、図 4-1に示す方法 でLCOEの将来推計を行った。ここで住宅用とは各文献で Residentialもしく は10kW未満等と記載されているものに対応し、非住宅用とは Utility Scale、
Ground-mounted、5MW以上もしくは 10MW以上、等と記載されているもの
に対応する。
ここではまず、太陽光発電の初期投資 費用について、モジュールとその他の 部分(広義の Balance of System: BOS)に区分する。モジュールの価格は世 界の累積生産量に従って低下すると想定されるため、IEA-PVPS のデータから 世界の平均的なモジュール価格の時系列変化を算出し、それに対して太陽光発 電の累積設置容量によって習熟率を推計した上で、将来のコスト低減見通しを 作成する。各国のモジュール価格は将来的にこの世界平均の価格に収斂してゆ くものと考えられるが、特に日本においては現状で世界平均との価格差が大き いことから、価格が世界平均に収斂 するケースと、収斂せず価格差が維持され るケースとの双方を考慮した。
他方で、モジュール以外の部分(BOS)については、基本的には各国内の累 積導入量に従ってコストが低減すると考えるのが自然である(但し「モジュー ル以外」の部分にはインバータ等、各国で共通となる機器も含まれるため、こ れは一種の近似になることには留意が必要である)。このため、国内での累積 導入量とBOSのコストの時系列データから習熟率の推計を行った。
将来(2030年及び 2050年)のコスト低減見通しは、それぞれの年における 累積設備容量の見通しに依存 する。ここでは、世界の設備容量見通しについて は国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)の”World Energy Outlook 2017”及び”Energy Technology Perspectives”を参照し、また 各国の導入見通しについては各国の政策文書や日本エネルギー経済研究所
『IEEJアウトルック 2018』等を参照し、それぞれ低位・中位・高位の 3つの ケースを作成した。なお各国の導入設備容量の将来見通しは住宅用・非住宅用
19
合計の値を用いているが、これは 発電設備の内訳(住宅・非住宅比率)のトレ ンドが過去から将来にわたって変化しないと想定していることに相当する。
図 4-1 太陽光発電コスト(住宅用、非住宅用)の将来見通しの推計方法
このようにして初期費用の見通しを作成した後、運転維持費(O&M費用)
及び設備利用率等の想定のもとに、平準化発電原価(LCOE)を推計した。年
間のO&M費用は設備容量当りの単価(固定 O&M)、もしくは発電量当りの
単価(可変O&M)として想 定されているが、例えば初期投資額に対する比率 として固定O&M費用が想定されている場合は、数式上は初期費用が低減する につれ、それに比例して O&M費用が低下することになる。但し実際には、過
去O&M費用は確かに低減しており、今後もその傾向は見込まれるものの、初
期費用と同じ比率での急速な低減は見込めない可能性が高い。例えば図 4-2 は、米国における住宅用・非住宅用の初期費用及び O&M費用の変化を示して いる。合計の初期費用は、2010 年から 2017年にかけては住宅用で 61%、非
住宅用で80%低減しているが、モジュールの方が BOSに比べて低減率が高い
ため、BOSで見ると住宅用で 47%、非住宅用で 75%の低減となっている。こ れに対し、住宅用の O&M費用は45%と、ほぼBOSと同程度の低減率となっ ている一方で、非住宅用の O&M費用の低減率は 15%程度に過ぎない。2010 年時点では住宅用で 36ドル/kW/年、非住宅用で 22ドル/kW/年と大きな隔た
モジュール
モジュール以外
(広義のBOS)
初期費用
O&M費用
LCOE 設備利用率、
稼動年数等の 想定
・実績値(世界平均)と世界の累積 導入量(MW)から習熟率を推計
→推計された習熟率と2030年・2050 年の世界の導入量想定から、将来の モジュール価格(世界平均)を評 価。
・各国のモジュール価格は将来的に 世界平均に収斂すると想定。
・日本のみ、世界平均に収斂する ケースとしないケースを考慮。
・実績値(各国の総システムコストか らモジュール価格を引いた値)と各国 内の累積導入量(MW)から習熟率を 推計
→推計された習熟率と国内の導入見通 しに基づき、将来のBOSコストを評 価。
・将来にわたってO&M費用が低減し ないケースと、モジュール以外の初期 費用に比例してO&M費用が低減する ケースとの二つを考慮。
20
りがあったのに対し、2017 年時点ではそれぞれ 20ドル/kW/年及び19 ドル /kW/年と、かなり差 が縮小している。
将来的にもO&M費用の低減は見込まれるものの、初期費用と同等程度の高 い低減率は見込めないことから、ここではO&M費用が将来に向けて変化しな い場合と、BOS相当に比例した(より低い)低減率で下降する場合との双方 を考慮した。
図 4-2 米国における初期費用及び O&M費用の低下(2010~2017 年)
初期費用(計) 初期費用(BOS)
O&M費用
( 出 所 )NREL 0
1 2 3 4 5 6 7 8
2010 2017 2010 2017
住宅 非住宅
2016USD/W
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
2010 2017 2010 2017
住宅 非住宅
2016USD/W
0 5 10 15 20 25 30 35 40
2010 2017 2010 2017
住宅 非住宅
2016USD/kW/yr
21
(2) 陸上風力発電
陸上風力発電についても太陽光と同様に、初期費用を 2つに区分して推計し た。推計の方法を図 4-3に示す。
ここではタービンについて、太陽光発電のモジュールと同様に世界の累積設 備容量で推計を行う一方、タービン以外の部分については国内の累積設備容量 で推計を行った。但し、データの取得可能性の観点から、タービンとタービン 以外をともに米国におけるコストのデータを用いて習熟率を推計し、それを各 国の見通しに適用した。また タービンについてもモジュールと同様、日本では 諸外国よりもコストが高いことから、国際水準に収斂するケースとしないケー スを想定した。一方で、今回推計を行った国の中では、中国において国際価格 よりもコストが大きく安価となっていることから、中国については収斂しない ものとした。O&M費用については太陽光発電と同様、将来にわたって変化し ないケースと、タービン以外の部分と同じ比率で低減するケースとを考慮し た。また設備利用率は将来にわたって上昇すると考えられることから、米国 NRELの想定に準じて上昇するケースと、現状が概ね維 持されるケースとを考 慮した。
図 4-3 陸上風力発電コストの将来見通しの推計方法
陸上風力発電の設備利用率は過去、世界の多くの地域で上昇を続けており、
今後も上昇が見込まれる。図 4-4は、NRELによる米国の陸上風力における 設備利用率の見通しを示したものである。ここでは足元実績の 41%に対して、
タービン
タービン以外 初期費用
O&M費用
LCOE 設備利用率、
稼動年数等の 想定
・米国の実績値と世界の累積導入量
(MW)から習熟率を推計
→推計された習熟率と2016年の世界 平均タービン価格、2030年・2050 年の世界の導入量想定から、将来の 世界平均タービン価格を評価。
・各国のタービン価格は将来的に世 界平均に収斂すると想定。但し中国 は他国よりもタービン価格が低いた め、収斂を考慮しない。
・日本についてはPVモジュールと同 様、世界平均に収斂するケースとし ないケースを考慮。
・米国の実績値と米国内の累積導入量
(MW)から習熟率を推計
→推計された米国の習熟率を他国にも 適用し、各国内の導入見通しに基づい て将来のコストを評価。
・将来にわたってO&M費用が低減し ないケースと、タービン以外の初期費 用に比例してO&M費用が低減する ケースとの二つを考慮。
設備利用率が一定のケース と、将来に向けて上昇する ケースとの二つを考慮
22
低位ケースでは将来まで 41%が継続する一方で、中位ケースでは 2050 年まで
に51%、高位ケースでは同 56%まで設備利用率が上昇する見通しとなってい
る(それぞれ現状の 1.26倍及び1.38倍)。
図 4-4 米国における設備利用率向上の見通し(NREL)
ここでは、この NRELの見通しを参考に、本調査では風力発電の設備利用 率が足元実績から上昇しない場合に加えて、概ね 1.26倍まで上昇する場合
(上記中位ケースに相当)を考慮した。なお、日本では従来、陸上風 力発電の 設備利用率は 20%で計算されていたが、近年上昇傾向が見られることから経済 産業省『調達価格等算定委員会』1においては 2020年度に 25.6%という想定が 示されている。このことから、本調査では低位ケース(上昇しないケース)で 将来にわたって 25.6%、高位ケースで20%に NREL高位相当の1.38倍を乗じ
た28%の想定を置くこととした。各国の想定を表 4-1に示す。
1 調 達 価 格 等 算 定 委 員 会 『 平 成 30年 度 以 降 の 調 達 価 格 等 に 関 す る 意 見 』 http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20180207001.html
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
2010 2015 2020 2030 2040 2050
High Medium Low 実績値
23
表 4-1 陸上風力発電の設備利用率想定
2. 評価結果
(1) 太陽光発電
① 初期費用(モジュール価格)
世界の累積設備容量とモジュール単価を両対数で示した図 4-5のグラフにお いて、平均のモジュール単価の推移を直線で近似すると、その傾きは-0.307程 度となる。これによって、太陽光モジュールの習熟率(累積生産量が 2 倍にな ったときのコストの低下率)は 1-2-0.307 = 19.2%と計算される。多くの生産製 品において20%~30%程度の習熟率が見られることが古くから認識されてお り、太陽光発電モジュールについても概ね20%程度の習熟が観測されることは 従来から指摘されている。
2030 2050
据置き 上昇 据置き 上昇 米国 41% 41% 46% 46% 51%
ドイツ 30% 30% 34% 34% 37%
英国 32% 32% 36% 36% 40%
スペイン 23% 23% 26% 26% 29%
アイルランド 32% 32% 36% 36% 40%
中国 23% 23% 26% 26% 29%
日本 20%/25.6% 25.6% 28% 25.6% 28%
足元想定
24
図 4-5 モジュール価格の推移と習熟率の推計
この習熟率を用いて、将来の太陽光発電モジュール価格の低減を見通すこと ができる。ここでは IEAによる見通しを参考に、2030年・2050 年の太陽光発 電設備容量を表 4-2の通り設定する。ここで CPS、NPS、SDS はIEA ”World Energy Outlook 2017”における Current Policies Scenario, New Policies
Scenario及び Sustainable Development Scenario を、また Ref.、2DS、
B2DSは Reference Technology Scenario, 2 Degree Scenario 及び Beyond 2
Degree Scenarioを示している。
表 4-2 2030年及び2050 年の太陽光発電設備容量見通し
( 出 所 )IEA, “World Energy Outlook 2017”, “Energy Technology Perspectives 2017”
それぞれ 3つのケースによる将来の幅を、コストの低減とともに記すと図 4-6の通りとなる。現在(2016年)のモジュール価格 0.69ドル/Wに対し、
2030年には高位(CPS)で 0.47ドル/W、中位(NPS)で 0.44ドル/W、低位 単位:GW
2015 2030 2050
CPS 225 1027 Ref. 2396 NPS 225 1295 2DS 4019 SDS 225 1846 B2DS 4424
25
(SDS)で0.39 ドル/W、2050年には高位(Ref.)で0.36ドル/W、中位
(2DS)で 0.31 ドル/W、低位(B2DS)で 0.30 ドル/W(何れも 2016年実質 値)となる。
図 4-6 2030年及び2050 年のモジュール価格低減見通し
図 4-6に示す通り、日本では現状、モジュール価格は国際平均に比べてかな り高い水準にある。この差は輸入モジュール価格自体に差があることに一部起 因するとも言われているが、それ以上に、特に住宅用については、国内の流通 形態に伴う要因があるとも言われている。ここでは図に示す通り、国内外の価 格差が将来にわたって継続するケースと、2050年に国際価格に収斂するケー スとの双方を考慮した。日本においては住宅用と非住宅用のモジュール価格の 差が大きいことから、両者を区別して将来推計した。
一方で、諸外国では住宅用・非住宅用の モジュールに日本ほど大きな差がな い場合が多く、また多くの国でそれらは国際水準と同等の価格になっている。
ここではデータの利用可能性の観点から、日本以外の国では住宅用・非住宅用 のモジュールについて同一の将来推計値を用い、また世界平均のモジュール価 格との(比較的微小な)差は 2050年までに解消するものと想定した。但し、
-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
2 3 4 5 6 7
平均
日本(住宅:IEA) 日本(住宅:METI) 日本(非住宅:METI) 米国
log10(モジュール単価, 2016ドル/W)
log10(累積設備容量, MW)
2030 2050
26
米国においては NRELによる最新実績推計値(2017 年)が0.35ドル/Wと国 際水準に比べて大幅に安い。しかしこの内外の価格差がこのまま継続するとは 考えにくいことから、米国においても 2050 年までに価格差は 0に近づくもの と想定した。
② 初期費用(BOS 費用)
一方で、国別の BOS費用の時系列推移から、その習熟率を推計すると表 4-3の通りとなる。
表 4-3 各国のBOS費用の習熟率
ここに示されるように、一般的に先進諸国の BOS費用の習熟率は新興国に 比べて低く、また住宅用は非住宅用に比べて低い(先進国の住宅用:13~
16%・非住宅用:17~20%、新興国(中国・マレーシア)の住宅用:17%・非
住宅用:20%)。これは、例えば設置のための人件費のような、習熟の効果に より低減しにくい費用が占める比率が先進国では新興国よりも高く、また住宅 用では非住宅用よりも高くなっていることに基づくと考えられる。特に新興国 の非住宅用はモジュールとほぼ同程度の 20%という高い習熟率を示している。
前章で示した通り、日本では諸外国に比べて太陽光発電の初期費用は住宅 用・非住宅用ともに高い水準にあるが、時系列的な変化で見ると、他の先進諸 国との大きな差異は観測されず、むしろ諸外国と同様の 習熟を過去も示してき たことが伺える。表 4-3において習熟率の推計結果が先進国・新興国それぞれ の中で概ね一致した値を示しているということは、太陽光発電の初期費用の変 化については習熟曲線による分析が極めて有効であることを示唆している。
住宅用 非住宅用
米国 12.9% 17.5%
ドイツ 13.1% 19.7%
英国 12.6% 17.7%
スペイン 16.1% 17.9%
日本 14.7% 17.3%
中国 16.8% 19.8%
マレーシア 16.6% 20.0%
27
③ LCOE見通し
これらの習熟率・習熟曲線を用いたモジュール価格・BOS費用から国別の 太陽光発電初期費用(住宅用・非住宅用)を推計し、それに O&M費用を加算 することで LCOEの将来値を推計した。2030年・2050年の推計結果(中位ケ ース・O&M費用を将来にわたって固定した場合と、低減させた場合との平均 値)は図 4-7(住宅用)及び図 4-8(非住宅用)の通りである。ここで LCOE の計算に際しては実質割引率を 3%で統一し、また単位は米セント/kWhで統一 した。
図 4-7 住宅用太陽光発電のLCOE 低減見通し
住宅用太陽光発電については、日本は国際価格に収斂しない場合であっても 10セント/kWh 近くまでコストが低減し、英国・アイルランド・米国(標準的 なケース)と同等のレベルまで低減する。一方で、初期費用の安価な中国や気 象条件の良好なスペインではコストは更に低減し、3~4 セント/kWhに達す る。
0 5 10 15 20 25
2015 2020 2030 2040 2050
米国(標準)
米国(好条件)
ドイツ 英国 スペイン アイルランド マレーシア シンガポール 中国
日本(国際価格に収斂せず)
日本(国際価格に収斂)
2016 UScent/kWh