北 海 道 の 雪 氷 No.25(2006)
雪 氷 路 面 のす べ り摩 擦 係 数 計測 機 器 の比 較 試 験 と海外 事 例 報 告
独立行政法人土木研究所寒地土木研究所
○舟橋
誠 独立行政法人土木研究所寒地土木研究所
徳永
ロヘ・ルト 独立行政法人土木研究所寒地 土木研究所
高橋
尚人 独立行政法人土木研究所寒地土木研究所
浅野
基樹
1.は
じめ に積雪寒冷地域で は、冬期 にお いて も安全で快適な道路交通 を確保す ることが重要な課題であ る。そのため、道路管理者は、除排雪作業や路面凍結対策 を実施す るな ど冬期の路面管理の充 実 を図つて いる。冬期の路面管理 を行 う上にお いて雪氷路面の状態 の把握は、路面管理の重要 な要素である。 この路面状態の把握 には、 日視 による路面性状分類や加速度計な どの計測機器 を利用 して路面のすべ り摩擦係数 を計測す る方法が ある。現在 、北海道の国道の冬期路面管理 にお ける路面状態の把握 には、 日視 による路面性状分類 を基 に して管理 を行 っている。 しか し なが ら、 日視 による路面性状分類では、観測者の主観的判断や個 人の経験 による差や判別 の難 しい路面が存在す るため、路面状態判断の客観性 に問題がある。 この ことか ら、寒地土木研究 所 で は、冬期路面管理 に路面のすべ り摩擦係数 を計測する方法 を用 いることで客観的に雪氷路 面 の状態 を把握す る手法 について研 究 を行 って いる。
本報告で は、車載用 の加速度計数種 と路 面すべ り測定車 による雪 氷路面のすべ り摩擦係数比 較試験 と第 12回 PIARCに お いて展 示・紹介 された摩擦係数の計測機器や手法 について報告す る。
2.す
べ り摩擦係数計測機器比較試験2.1
試験概要冬期路 面管理 にお いて路面状態 を客 観的 に把握す るため に、標準的な路面のすべ り摩擦 係数 の計測車である路面すべ り測定車 と比較的安価 な車載用の加速度計 を用 いて雪氷路面のすべ り 摩擦係 数の計測 を行 い、そ の比較検 証 を行 った。
2.2
試験機器本 試験 にお いて使用 した機器 につ いて説明す る。
写真
‑1は
路面 のすべ り摩擦係数計測の標準的な計測装置である路 面すべ り測定車である。この機器 は、車両を走行 させた状態で車両 中程 に設置 された試験輪 (写真
‑2)の
み に制動 を か け、その ときに試験輪 にかかる制動力を計測する ことによ りすべ り摩擦係数 を求める。次 に本試験 で使用 した加速度計 につ いて説明す る。加速度 計 による路面のすべ り摩擦係数の 計測 方法は、加速度計を設置 した車両 に急制動 をか け、その ときに得 られる加速度 (減速度)
写真
‑2試
験輪写真
‑1路
面すべ り測定車 写真‑3試
験車両‑9‑
咆豪場が瓦
北 海道 の雪氷 No.25(2006)
を計測す る ことによ りすべ り摩擦係数 を求める。本試験 にお いては、4種類 の加速度計 を用意 し、試験 車両 (写真
‑3)に
設置 して計測 を行 った。加速度計A(写
真‑4)は
、北欧 にお い て冬期路 面管理 に使用 されている装置である。北欧のフィンラン ドでは、 この装置 を使用 して 計測速度 が 60km/h、 計測箇所 は勾配が2%以下の傾斜が小 さい直線道路で計測 を実施 している。加速度計
B(写
真‑5)も
海外の加速度計であ り、今回使用 した加速度計の中では最 も車両設 置が容 易な機器 である。 しか し、 この加速度計Bは急制動後、車両が停止するまで計測する必 要が あ り、実道での計測 には支障 を来す可能性がある。加速度計C(写
真‑6)は
、車両運行 記録装置 を改造 した もので、加速度の他 、プ レーキ信号やGPSに
よ る計測時刻・位置 。速度 等 の計測 。保存機能 を有 した装置である。加速度計D(写
真‑7)は
、 当研究所 にお いて車両 挙動の計測試験 に使用 して いるもので、姿勢計測装置内に加速度計 を有 してお り、試験車両の 重心位置 に近 い場所 に設置 している。なお、使用 した試験車両 (写真‑3)は
、駆動方式がFF式、制動 装置 には
ABS装
置 を装備 した車両である。また、各加速度計は車種の違 いを除 くた め に、同一車両 に設置 し (写真‑8)、 計測 は同時 に行 った。2.3
試験方法当所所有の苫小牧寒地試験道路 (写真
‑9)の
コー ス上に雪氷路面 (圧雪及び凍結路 面、図‑1)を
作 製 し、その雪氷路面 を路面すべ り測定車 と加速度計 を設置 した試験車両 にてすべ り 摩擦係数 の計測 を行 った。試験速度は各車両 ともに 40km/h、 計測回数は両路面でそれぞれ 10 回計測 を行 った。写 真
‑6加 驚
速 度 計C骰
(左:姿勢計測装置、右:制御装置)
写 真
‑4加
速 度 計A
写真
‑7加
速度計D
写 真
‑5加
速 度 計B写真
‑8設
置状況写真
‑9苫
小牧寒地試験道路‑10‑
図
‑1試
験 概 略 図‐1.1靡
丁緻 苺凩 ξ 心 不
北海道 の雪氷 No.25(2006)
2.4
試験結 果図
‑2に
試験結 果 を示す。 この図にお いて、縦軸 は、路 面すべ り測定車 で計測 されたすべ り 摩擦係数 を、横 軸 には各加速度計で計測 されたす べ り摩擦係数 を表示 した。 この図は、路面す べ り測定車で計測 されたすべ り摩擦係数 に対す る各加速度計の計測値 となってお り、対角線上 にデー タがプロ ッ トされている場合は、路面すべ り測定車 と1対
1の関係が ある ことを示す。この図よ り、路面すべ り測定車 に対 して各加速度計は、良好な
1対
1の相 関が得 られて いな い ことがわかる。特 に圧雪路面における計測値が広 い範囲で分布 してお り路面すべ り測定車 と の良好な相関性が得 られない結果 となった。 これは、計測方法の違 いや路面 (圧雪路面)の性 状 による もの と考 え られ、今後 の研究 にて明 らか に して い く必要が ある と思われ る。次 に、図
‑3は
加速度計同士 を比較 した結果である。 この図において縦軸 には加速度計Dによ り計測 されたすべ り摩擦係数 を、横軸 には残 り3種類の加速度計で計測 されたすべ り摩擦係 数 を表示 した。 この図は、加速度計Dに対す る各加速度計の計測値 を比較 した図で ある。縦軸 に加速度計Dを配置 したのは、加速度計Dが搭載 車両 のほぼ重心位 置近 くに設置 されてお り搭 載車両 の走行挙動 を最 も把握で きる位 置で あ るためで ある。
この図よ り、加速度計Dに対 して
1対
1の相関が最 も高か ったのは加速度 計Cであ り、加速 度 計Aや加速度計Bについて も加速度計Dに対 して ある程度 の相関が ある ことがわか る。計測 されたすべ り摩擦係数値に差異が生 じたのは、各加速度計の設置位置 。方法や演算方法に起因 す る もので ある と考 え られ る。なお、北欧 の フ ィンラン ドで は加速度 計Aを使用す る際、気温・5℃ 、圧雪路面にお いて摩擦係数が0.29を示す よ うにキ ャ リブ レー シ ョン作 業 を実施 して いる。
以 上よ り、今 回 の試験結果か らは加速度計 と路 面すべ り測定 車 との良好 な相 関性 は得 られな か ったが 、加速 度計同士による計測結果 を比較す ると、加速度計同士では一定の相関が得 られ た ことか ら、加速 度計を用 いて雪氷路面のすべ りやす さの程度 を把握す る手法 として適用が可 能である と考 え られ る。
︵■︶0た場燿員
︵ミ
︶
■ 製 菫 さ で
■ 日 出
0.0 0.1 02 0.3 0.4 0.5
加違魔計(μ)
図
‑2す
べ り摩擦係数の比較(路面す べ り測定車 ―加速度計)
3.海
外 の摩擦 係 数の計測機器 と手法第12回 PIARCは、
2006年
3月 27日〜30日 にイタ リアの トリノ市で開催 された。内容 は、冬期道路 に関す る研 究 開発や政策評価 に関す る発表 の ほか 、各国や企業の冬期道路管理への取 り組み等の展示等が行われた。その中にお いて、冬期路面の摩擦係数 に関す る技術発表や計測
0.0 0.: 0.2 0.3 04 0.5
各■加速度計(μ)
図
‑3す
べ り摩擦係数の比較(加速 度計D―加速 度計)
′
「
■ ● 。▲
薔加速度計8
●加速度計C
中 囲
‑11‑
ν
/ィ̀。
北海道 の雪氷 No.25(2006)
機器 の展示が あったので紹介する。
技術発 表では、冬期 の路面の摩擦係 数 を連続的に測定する車両牽 引式の計測機器や可搬式の 計測機器 につ いて報告 された (ノル ウェー)1)。 内容 は、現在 ノル ウェーで は、加速度計 を使 用 して路 面の摩擦 係数 を計測 し冬期道路管理 を行 って いる。 しか しなが ら、加速度計には、① 計測者や搭載車両の影響、② 計測箇所が限定 され る、③道路の傾斜 の影響等の欠点があ り、 こ れ ら欠点 の解消 を図るため、連続 して路面の摩擦係数を計測で きる装置(写真‑10〜写真‑12、
スウェーデ ン製)を使用 して冬期路 面管理 を実施す るための試験的な取 り組みが報告 された。
また、展示会場では、従来の加速度計の他 に、即時 に路面状況の把握や散布判断を行 うため に一般車両だけではな く凍結防止剤散布車 に直接取 り付 け可能な摩擦係数計測装置 (写真‑13、
アメ リカ製
)や
、可搬式の摩擦係数計測装置 (写真‑14、 スウェーデ ン製)が展示 されて いた。また、 このよ うな連続 して摩擦係数 を計測する機器 を用 いて道路管理者や道路利用者へ情報提 供 (図
‑4)を
実施 して いる。写真
‑10車
両牽 引式連続摩擦係数 計測装置(RoAR MkⅢ)写真‑11車両牽 引式連続摩擦係数 計測装置(TWO)
写真‑12歩道用可搬式連続
摩擦係数計測装置いSFT T2Go)
│,鳳
hil lず ― 1欝
竜 ‡
│五義菫議
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図
‑4情
報提供概略図写真‑13凍結防止剤散布車に取付
写真‑14歩道用可搬式連続
図
‑4情
報提供概略図可能な連続摩擦係数計測装置(RT3) 摩擦係数計測装置(試作機)
4。 ま とめ
現在 、日視 によ る路 面性状分類 のよ うな経験 的手法を利用 して冬期の路面管理 を行 っている。
しか し、 この手法では凍結区間や凍結時間の把握が難 しく凍結防止剤等 の過剰散布や散布 を見 落 とす といった ことが懸念 され る。そのため、路面予測手法やすべ り摩擦係数の計測 による路 面状態 の把握 といった よ うな客観的な手法 を利用す ることによ り、冬期の路面管理のよ リー層 の適正化や定量的なデータに基づ いた判断が可能 になる と期待 して いる。
そのため に今後 は、 このよ うな海外事例 を参考 に北海道の冬期路面管理 に適 した管理水準の 構築、客観的なデータの取得方法の構築や工夫や新たな手法の試行 を継続 して行 う予定である。
参考文献
1)3aard No■stad.(2006)The use of friction measurement techniques in winter lnaintenance in Norway. 12th lnternational Winter Road Congress of PIARC.
‑12‑
「膠