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食品素材としての県産品活用方法の研究

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Academic year: 2021

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食品素材としての県産品活用方法の研究

後藤優治 ・ 佐野一成 ・ 江藤 勧 食品産業担当

Study on Application method of Agricultural products for food material

Yuji GOTO, Kazunari SANO, Susumu ETO Food Industry Section

要 旨

県内農産品の香気成分の回収方法及び分析方法を検討した.大葉,山椒,カボスを用いて,香気成分の回収を試みた.

ガスクロマトグラフにより,主要な香気成分が複数の方法で回収できることが確認できた.一方で,溶媒の種類や蒸留 区分により香気成分の組み合わせが変化する事も確認できた.ヘッドスペースガスクロマトグラフとの比較では,回収 できていない小さなピークも認められた.この小さなピークが香気に及ぼす影響は不明であるが,官能評価ではほぼ同 等の香気が確認できた.また,回収した香気成分は,官能評価では,生臭さや青臭さが強調され,希釈することで本来 の香りに近づく検体も認められた.これらが,濃度によるものか,各ピークの組み合わせによるものかは不明である.

1. はじめに

県内には,豊富な魅力ある農林水産品や地域資源があ り,生鮮品や加工食品として流通・消費されている.生 鮮品は,味や風味を最大限に生かすために,冷蔵や包装 など鮮度保持技術が開発されているが,長期保存に適さ ない点,旬による生産調整が難しい点が課題である.加 工食品は豊富な地域産品を活用して,保存性や嗜好性を 高めることで付加価値の向上やブランド力の向上に寄与 しているが,加工工程で味や香りが変化する点が課題で ある.

県産品活用のために食品加工技術は重要であり,付加 価値の向上のためには,青果物と同等の風味を出すこと が必須である.また,色や香りは近年注目されている素 材であり,県産品を新たに活用できる可能性がある.

そこで,県産品の色や香りといった特徴を食品素材と して活用するための検討を行ったので報告する.

本研究では,『果実から香料の開発』や,『青果物にお ける特徴香の解析』などの研究事例を参考とし,当セン ターでこれまでに行ってきた,『酒類の香気成分分析』の 研究の手法を応用した.

2. 方 法 2.1 試験材料

本試験では,大葉(大分県産),朝倉山椒(津久見市産), カボス(大分県産)を用いた.

2.2 香気成分の回収

香気成分の回収は次に示す 3 つの方法で検討した.

2.2.1 加熱蒸留

試験材料を適当な溶媒に加え加熱し,得られた蒸気を 冷却,回収した.蒸留は,常圧,減圧の各条件で実施し,

溶媒には,水,エタノール,及びそれぞれを混合したも のを用いた.

2.2.2 蒸気蒸留

適当な溶媒を加熱し,得られた蒸気を試験材料に接触 させた後,冷却,回収した.蒸留は,常圧,減圧の各条 件で実施し,溶媒には,水,エタノール,それぞれを混 合したものを用いた.

2.2.3 溶媒抽出

試験材料を有機溶媒に十分に接触させた後,溶媒を除 去拠した.有機溶媒として,エタノール,ジエチルエー テルを用いた.

2.3 香気成分の分析

香気成分は以下の条件により分析を行った.

2.3.1 ヘッドスペースガスクロマトグラフ

分析機器は,Turbo Matrix HS16(㈱パーキンエルマー ジャパン製),7890B GC System【FID 検出器】(㈱アジレ

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平成30年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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ント・テクノロジー製),カラムは,HP-INNOWAX(60m,

0.25mm,0.5μm)を用いて条件検討を行った.

2.3.2 ガスクロマトグラフ

分析機器は,7890B GC System【FID 検出器】(㈱アジ レント・テクノロジー製),カラムは,HP-INNOWAX (60m,

0.25mm,0.5μm)を用いて条件検討を行った.

2.4 官能評価

回収した香気成分は機器分析の他,官能評価を行った.

3. 結果および考察 3.1 香気成分の回収について

2.2 香気成分の回収に示した方法により,香気成分の 回収を行い,いずれの試験区においても,原料の香気を 有する液体が回収できた.

3.2 香気成分の分析について

ヘッドスペースガスクロマトグラフでは,試験材料そ のものの香気成分のパターンを取得した.試験材料毎の 香気成分の取得データを,Fig.1~4 に示した.加熱温度 が高くなるほど,また,加熱時間が長くなるほど,検出 されるピークが増加した.

Fig.1 大葉の香気成分分析

(ヘッドスペースガスクロマトグラフ)

Fig.2 山椒の香気成分分析

(ヘッドスペースガスクロマトグラフ)

Fig.3 カボス(果皮)の香気成分分析

(ヘッドスペースガスクロマトグラフ)

Fig.4 カボス(果汁)の香気成分分析

(ヘッドスペースガスクロマトグラフ)

ガスクロマトグラフでは,回収した香気成分の分析を 行い,分析データを取得した.異なる方法により回収し た香気成分の取得データを,Fig.5~17 に示した.大葉,

カボスに共通する結果として,回収した香気成分につい ては,以下の 3 点が特徴として認められた.

減圧蒸留と比較して,常圧蒸留で検出ピークが多い.

エタノール,水それぞれで強く検出されるピークがあり,

蒸留時間でピークパターンは変動する.

エタノール,水にそれぞれ香りは移行し,移行する香 り成分には違いがある.

Fig.5 大葉の香気成分分析

(熱水/常圧蒸留)

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FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180523_2\1412080000002.D)

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pA

0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180529\1412080000002.D)

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0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

pA

0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180601\1412080000002.D)

min

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

pA

0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20181211\1812110000003.D)

min

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

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0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180614\1412080000002.D)

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平成30年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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Fig.6 大葉の香気成分分析

(熱水/減圧蒸留)

Fig.7 大葉の香気成分分析

(水蒸気/常圧蒸留)

Fig.8 大葉の香気成分分析

(エタノール溶液/常圧蒸留/初期画分)

Fig.9 大葉の香気成分分析

(エタノール溶液/常圧蒸留/後期画分)

Fig.10 大葉の香気成分分析

(エタノール蒸気/常圧蒸留)

Fig.11 大葉の香気成分分析

(水抽出/常圧蒸留画分)

Fig.12 大葉の香気成分分析

(エタノール溶液抽出/常圧蒸留画分)

Fig.13 大葉の香気成分分析

(エーテル抽出)

min

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pA

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FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180614\1412080000006.D)

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0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20190301\1903010000006.D)

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0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

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FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180613\1412080000002.D)

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0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

pA

0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180618\1806180000007.D)

min

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

pA

0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20190301\1903010000007.D)

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0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

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0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180622\1806220000002.D)

min

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

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0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20180627\1806270000006.D)

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0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

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0 20 40 60 80 100 120 140

FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20190301\1903010000008.D)

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平成30年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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Fig.14 カボス(果皮)の香気成分分析

(熱水/常圧蒸留)

Fig.15 カボス(果皮)の香気成分分析

(エタノール溶液/常圧蒸留)

Fig.16 カボス(果汁)の香気成分分析

(熱水/常圧蒸留)

Fig.17 カボス(果汁)の香気成分分析

(エタノール溶液/常圧蒸留)

3.3 香気成分の官能評価について

回収した香気成分について,機器分析の他に官能評価 を行った.得られた液体の多くは試験検体と同等の香り を有していた.香気の中には生臭さや青臭さが強く感じ られるものがあったが,希釈することで本来の香りに近 づく検体も認められた.希釈倍数や定量的評価は実施し ていない.また,経時的な評価では,香気の減少は認め られなかった.

4. まとめ

今回の試験では,青果物の香気成分について香気成分 の回収方法を検討し,香気成分の分析を行った.その結 果,青果物から蒸留により香気成分を回収できることが 確認できた.また,回収方法で香気成分が異なることが 確認できた.

大葉については十分な評価が出来たものの,山椒,カ ボスについて,一部の試験結果しか得られておらず,詳 細な評価のためには検体の確保が必要である.しかしな がら,各検体で同様の結果が得られたのは,試験検体と して選んだものが,葉や未熟果であったため,香気成分 が似ていたためと考えられる.

5. 今後の方向性

今後は,花や果実での試験検討を行い,異なる香気成 分での評価を試みる.また,食品素材として色,香気成 分を保持できる賦形剤の検討を行う.

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FID1 A, ? ? ? ?? ? ? ? (20190228\1902280000002.D)

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平成30年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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