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3. 切削面積と評価値による切削 特性の評価

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Academic year: 2021

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(1)

三次元 CAD を活用したボールエンドミルによる 切削特性の簡易評価法

1. はじめに

 ボールエンドミルは回転によって先 端部の切れ刃の包絡面が半球面となる 工具であり,三次元形状の加工に不可

欠な工具である.最近ではコーティン グ技術の発展(1)により,高硬度な金型 材料の直彫り加工も行われ(2),機械加 工におけるボールエンドミルの役割は さらに広がっている.しかし,ボール エンドミル加工は形状が複雑な切れ刃 による断続切削となり,切削機構や切 削特性を容易に把握することが困難で ある.

 そこで,本稿は製品設計等で普及し つ つ あ る 三 次 元 CAD(Computer Aided Design)を活用し,工具およ び工作物モデルを作成するとともに,

切削の進行により変化する切削面積を 容易かつ高精度に計算する方法を提案 している.また,本方法を用いれば切 削面積の重心および重心から主軸まで の距離も容易に計算できる.さらに,

両者の積を評価値として,切削トルク に対応する切削特性およびその変化を 容易に把握することも可能となる.ま た,良好な切削特性が期待できる加工 方法を予測でき,傾斜面加工を事例と して紹介する.

2. モデリングと切削面積の計算 方法

 図 1 は,三次元 CAD により定義し た工具と工作物を干渉させた切削モデ ルであり,図中の abcd は 1 回の切削 で除去される切りくずである.

 図 2 は切りくず abcd と切れ刃の干 渉による切削面積の計算方法を示して おり,X-Y 面に投影している.切削 面積 A は切りくず abcd と切れ刃を含 むすくい面が干渉する部分であり,

klmn により示している.工具の回転 角の基準は切れ刃が Y 軸に接した切 れ刃 3 の位置をθ=0°としている.図 中の G と LGは切削面積の重心と主軸 から点 G までの距離である.

3. 切削面積と評価値による切削 特性の評価

 図 3 は傾斜角αを変化させ,ピック フィードを下面方向に与えたスッテプ ダウンによる切削面積の変化を下向き

切削により比較している.図より切削 条件によりさまざまな変化を示してお り,切削機構の複雑さが読み取れる.

 そこで,切削力が切削面積の重心 G に集中力として作用するものと仮定 し,次式により切削トルクに対応する 切削特性を評価する値Edを定義する.

  Ed = A・LG (1)  

 図 4 は評価値の最大値 Edmaxを各種 条件により比較している.図よりス テップアップ(↑)に比べてステップ ダウン(↓)の評価値が小さく,後者 の場合下向き切削(D),前者の場合 上向き切削(U)の条件でともに評価 値が小さい.なお,ステップダウン,

α=20°で Edmaxは最小値を示してい る.この結果より,加工面に対して主 軸を 70゜傾斜させ,ステップダウンの 条件で加工すると,両切削方式ともに 切削トルクに対応する切削特性が良好 となることが期待できる. 

4. おわりに

 三次元 CAD を活用して複雑な切削 過程となるボールエンドミル加工にお ける切削機構と切削トルクに対応する 切削特性の簡易的な評価方法を示し た.また,その値を用いて良好な削特 性を期待できる条件について,傾斜面 加工を例に検討した.

 今後は 5 軸制御加工を想定した主軸 の送り方向への傾斜の検討も必要とな る.また,切削実験の結果との比較を 通じて,提案した方法を検証し,生産 性と加工精度をともに両立させる加工 法の開発に活用できる実用的な評価法 へと発展させることも求められている.

(原稿受付 2008 年 2 月 12 日)

〔岩部洋育 新潟大学〕

●文 献

( 1 )山田保之 ・ 青木太一 ・ 田中裕介 ・ 脇平浩一 郎,コーティッド超硬工具による高硬度材 の切削 , 日本機械学会論文集,60-577,C

(1994),2906-2910.

( 2 )岩部洋育 ・ 嶽岡悦雄 ・ 宮口隆司 ・ 賀井治久 , 高速ミーリングの 現状と今後,精密工学会 誌,64-6(1998),808-812.

図 1 ボールエンドミルによる切削モデル 切れ刃

切りくず

工作物 工具

0 Y X Z

f

c d

0

0:( c,0,0)

c:( ccc α Φ

η

c

図 2 切削面積の計算方法 θ

切れ刃3(     )=0 切れ刃2

切れ刃1

0 0, Y, Y m n G 1

k

Z/2 X

切れ刃4(      )θ θ 0

θ

θ θ

(      ) i

i

θ0

G

Z  

図 3 工具回転角による切削面積の変化

c=10mm,  d=1.0mm,  z=0.1mm/ 刃 0.16

傾斜角

ステップダウン 0.12

0.08 0.04

−180°−135°

0° 30° 60°

15° 45° 75°

−90° −45° 0° 45°

0 切 削 面 積(mm2

工 具 回 転 角θ

図 4 工作物傾斜による Edmaxの変化

c=10mm,  d=1.0mm,  z=0.1mm/ 刃 1.6

1.2

7 上向き切削

& 下向き切削

ステップダウン ステップアップ 0.8

0.4

00° 15° 30° 45° 60° 75°

評価値dの最大値(mm3

α Ꮏ૞‛௑ᢳⷺ

7 7

&

&

542

日本機械学会誌 2008. 6 Vol. 111 No.1075

─ 78 ─

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